仏書・良書に親しむ
秋の読書特集2018

秋の読書特集 掲載広告





『週刊佛教タイムス』2018年10月18日号の秋の読書特集では、約30冊の仏教書・宗教や信仰をテーマにした書籍をご紹介しました.

(各書評は紙面でご覧ください)

・『現代思想』10月臨時増刊号・特集「仏教を考える」
・溝縁ひろし写真『青木新門の親鸞探訪』東本願寺出版
・田原総一朗『創価学会』毎日新聞社
・堀江宗正責任編集『いま宗教に向きあう1 現代日本の宗教事情 国内編Ⅰ』岩波書店
・中西直樹『明治前期の大谷派教団』法藏館
・柴田久美子『私は、看取り士。』佼成出版社
・大竹晋『大乗非仏説をこえて』国書刊行会
・大東仁『反戦僧侶・植木徹誠の不退不転』風媒社
・島崎義孝『アトムの誘惑』ノンブル社
・鈴木隆泰『ここにしかない原点最新研究による本当の仏教 第3巻』興山舎
・智山勧学会編『日本仏教を問う―宗学のこれから』春秋社
・ビハーラ医療団『信を得ることとビハーラ』自照社出版
・税理士法人ゆびすい編著『実務がわかる宗教法人会計・税務』出版文化社
・堤楽祐『勤式作法手引書』永田文昌堂
・浄土宗宗立宗門学校教育振興会監修『仏教読本』浄土宗出版
・岡村喜史『日本史のなかの親鸞聖人』本願寺出版社
・日蓮宗新聞社編『ひと口説法 Ⅱ・Ⅲ』日蓮宗新聞社
・真下尊吉『サンスクリット原典から学ぶ般若心経入門』東方出版
・星野哲『「定年後」はお寺が居場所』集英社
・宇野弘之『極楽浄土念仏往生論』山喜房佛書林
・山折哲雄『老いと孤独の作法』中央公論新社
・曹洞宗宗務庁の書籍が続々電子化(高崎直道『般若心経入門』ほか)

災害・防災を読む―記憶を語り継ぎ、自助・共助を考える


 地震に豪雨、台風、それに猛暑と自然災害が相次いだ今年の日本列島。阪神淡路大震災や東日本大震災のみならずこの30年間に雲仙普賢岳噴火と火砕流、奥尻島地震と津波、中越地震、頻発する豪雨と洪水など、いつ、どこで災害が起きてもおかしくない。

 古文書類から過去および現代の全国の災害を特集した雑誌『時空旅人』11月号(三栄書房/価778円+税)は、そんなことを実感させる。テーマは「天災の記憶」。先人たちが残した記録は、まさに教訓と言えよう。そして、記憶を伝えるための役割を果たすのが供養の営みや各地にたつ石碑であったりする。200年以上前の天明3年浅間山噴火の歴史は、噴火で唯一残った鎌原観音堂で、地元の人たちが先祖供養を営む場で語り継いでいるという。

 発災から7年が経った東日本大震災。今年初旬に刊行された『津波の霊たちー3・11 死と生の物語』(早川書房/四六判・315頁・価1800円+税)は、在日20年の英国人ジャーナリストのリチャード・ロイド・パリー氏が、大川小学校の悲劇を軸にしながら、被災地での心霊現象や、そのカウンセリングを行う僧侶・金田諦應氏の活動にも迫ったルポルタージュ。74人の児童と10人の教職員が亡くなった大川小学校で、あの日何が起きたのかー。悲しみの淵から発せられる遺族の言葉と、彼ら/彼女らの表情や心の機微を捉える描写が重なって、声が聞こえてくるほどに情景が思い浮かぶ。被災した人々がどんな思いでその後を生きぬいてきたのか。死者との繋がりも含めた物語の数々は、震災の記憶を伝える力を持つ。

 「自助・共助・公助」の語もよく耳にするようになった。自分で自分のいちのを守る自助、家族や地域社会などとコミュニティで助け合う共助、そして行政による支援の公助。まずは自助。災害が起きてから自身のいのちを守るのは当然だが、災害前の段階から準備しておかなければならない。『自衛隊防災BOOK』(マガジンハウス/四六判・156頁・価1200円+税)はそのノウハウを教示。家具の配置から自宅周辺の避難所、非常口の位置などを確認することは必須のようだ。地震に遭った時には両手で頭を抑えて下を向いて移動しがちだが、これはNG。落下物がないか看板や窓ガラスを確認するため頭上を見ることが必要だという。さまざまな災害ケースが想定されており、自助・共助にすぐ対応できそうだ。

 宗教施設においても、災害時には自身のいのちを守ることが優先される。それから被害状況を把握し大きな被害がなければ共助へと移行することが期待されている。

 阪神淡路や東日本の災害時に避難所となった宗教施設は多い。そうした体験から制作された仏教NGOネットワーク(BNN)の『寺院備災ガイドブック』(A4判・58頁・500円)は、寺院(宗教施設)及び宗教者に特化しているだけあって、他の災害対策書籍とは異なった特色がある。例えば、心のケアについても記載し、寺院の避難所運営マニュアルを詳述する。5年前の刊行だが、各方面で重宝され、これを参考にした自治体もあると聞く。BNNのHPではPDF版もある。

 その姉妹編にあたるのが今年発行の『発達障がい児者受け入れのてびき』(世界宗教者平和会議〈WCRP〉日本委員会女性部会編/A4判・38頁・500円)である。高齢者や障がい者、乳幼児など社会的弱者に対する災害時の対応マニュアルだ。発達障害の場合には外見からは分からないために「落ち着きがない」「うるさい人」と見られたり、家族たちも避難所では肩身が狭くなる。そうした人たちへの気遣いは必要であり、本書はそれらを網羅する。
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