2020/10/29
核兵器禁止条約発効へ 50カ国の批准達成 WCRPが歓迎声明

 
 24日、ホンジュラス共和国が核兵器禁止条約に批准し、発効に必要な50カ国を達成した。90日後の来年1月22日に発効する。同条約は史上初めて核兵器を全面禁止とするもので、核兵器の開発や実験なども禁じている。前文では「被爆者」の苦しみと被害にも触れている。ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と共同して条約の発効に力を注いできた世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は25日、植松誠理事長名で歓迎する声明を発表した。

 世界には約1万4千発の核兵器があり、その9割を米ロが保有している。そうした中で3年前の2017年7月、国連での核兵器禁止条約交渉会議で122カ国が賛成して採択された。採択にあたっては被爆者の存在も大きな影響を与えた。しかし、同会議に核保有国やその同盟国などは参加せず、日本も加っていない。

 唯一の戦争被爆国である日本が動かなかったことに失望感が広がった。だから同条約を支持する市民団体などが批准に向けた諸活動を展開してきた。WCRP日本委では、「核兵器禁止条約タスクフォース」を「核兵器禁止条約批准タスクフォース」とした。

 今回の歓迎声明では、「『核兵器なき世界』に向けて大きな前進であり、その実現をめざす人々に多大な勇気を与えるもの」と評価。さらにWCRPとして日本政府に対し、①核兵器廃絶に向けて、より一層の行動を強化すること。②核兵器廃絶の最大の障壁と考えられる核抑止政策の信ぴょう性に対する検証を行うこと。③核兵器禁止条約の締約国会合にオブザーバー参加し、同条約の発効から目をそむけず、国際法として尊重し、誠実に向き合うこと――を要望している。

2020/10/29

智山派代表会 末寺総合調査を1年延期 宗費減免等の要望も 

2期目最初の代表会で演説する芙蓉総長 真言宗智山派の第131次定期教区代表会(池田英乘議長)が20・21日、京都市東山区の総本山智積院内宗務庁に招集された。2期目最初の代表会を迎えた芙蓉良英宗務総長は、宗内約3千カ寺の現状を把握するために5年ごとに実施することになっている総合調査(宗勢調査)の今年度の実施を、1年間延期すると発表。10回目の調査となるが、著しい収入減などコロナ禍の影響も項目に加える方針を示した。

 調査費544万円は次年度に繰り越し。関義央代表(上総第1)はコロナ対策やプライバシーの保護などの観点から、オンライン調査の導入を提言した。

 楠宗融代表(福島第1)は、コロナ禍で収入減となった末寺への宗費減免等の支援を要望。芙蓉総長は「現行制度中には、地震や豪雨などの災害被害の救済規定はあるが、収入減に対する救済制度はなく、今後の検討課題になる」と答弁し、拝観者や宿泊者の減少で「本山も宗派も、やっとの現状」と理解を求めた。

 さらに災害対策特別会計と復興貸付金制度を挙げ、「これは災害被害が対象であり、(コロナ禍に適用するには)規定改正が必要になる」と説明。楠代表はこの答弁を受け、制度や規定の抜本的な見直しを要請した。

 元財務部長でもある深澤照生代表(下総海銚)は、コロナ禍を受けての財務規定の見直しを提案。「宗費負担数と負担申告基準は5年ごとに設定するとあるが、(状況が激変した)このままでよいのか」と問題提起した。

 コロナ禍で収支共に減少。今年度の智山派一般会計第1次補正予算は3841万7千円減の9億8448万2千円、総本山智積院の同予算は3726万9千円減の7億1955万3千円となった。緊急事態宣言期間中の宗務庁の交替勤務導入で、6月29日付で雇用調整助成金を申請。8月28日に1032万円が給付された。

2020/10/29 高野山大学 教育学科 来年4月開学 認可受け学生募集を開始


会見で満面の笑顔を見せる芝田法人本部長(左)、添田理事長(中央)、乾学長 高野山真言宗の宗門校・高野山大学が、経営再建の切り札として大阪府河内長野市での開学準備を進めている文学部教育学科。文部科学省への設置申請が23日、正式に認可された。吉報はコロナ禍で審査が遅れる中、「弘法大師号下賜1100年記念法会」期間中にもたらされた。和歌山県高野町の同大で同日、記者会見が開かれ、㈻高野山学園の添田隆昭理事長(宗務総長)は「本学にしかない、本当の人間力を育むカリキュラムがある。期待してほしい」と受験生にメッセージを送った。

 学科設置認可の審査機関である大学設置・学校法人審議会から22日、文科大臣に「可」(合格)の答申が提出されたことから、同大では23日に記者会見を開催。会見開始の1時間前の午後2時に、文科省から「正式に認可された」旨の連絡を受けた。そこで会見では、「本日、学生募集をスタートする」とキックオフ宣言を行い、まずは今年度入試で入学定員50人を集めることを誓った。
 
 入試日程を近日に発表。年内は11・12月に推薦入試を実施する予定だ。

 教育学科は教育連携協定を結んだ河内長野市の大阪千代田短大内に新設。別の大学の敷地と施設を借りて、新キャンパスを運営する事例は日本初とみられる。高野山大学は135年の歴史を通して、初の高野山と河内長野の2校地制となる。教育学科でも僧侶資格取得は可能だ。

 添田理事長は、「教員採用試験に合格するための予備校のような従来の教育学部ではなく、教育現場の様々な難題に対応できる教員を養成する学科にしたい」と抱負。高野山よりも学生を集めやすい河内長野市での学科展開に強い期待感を示した。

 乾龍仁学長は、国公立大学の教育学部が統合・縮小に向かう中、教育学科が認可されたポイントについて、「『物の興廃は必ず人に由る―』という弘法大師の教育思想と高野山の1200年の伝統の重みを感じてもらえたのではないか」との見解を提示。大学本体の密教学科の学生募集(入学定員30人)にも、「奨学金を充実させる」など全力を傾注すると表明した。

 河内長野キャンパス内には地域支援センターを設置し、森林組合や乗馬クラブ、農園などの地域12団体と連携して体験学習を実施。芝田啓治・学園法人本部長は、「体験重視型のカリキュラムを通して『失敗することを恐れない』学生を育てたい」と熱っぽく語った。

 河内長野キャンパスの地は、高野山信仰圏の古くからの要衝でもある。芝田本部長は、「ここは高野山へと向かう西高野街道と中高野街道の結節点であり、河内長野で西と東の高野街道も結節する。この地での学科新設は、弘法大師のお導きだ」と話した。

2020/10/29

京都 耳塚で慰霊式 南北朝鮮代表も出席

 
耳塚の前で供養する大谷氏。テント内右端は池口氏 日本と韓国・北朝鮮との友好を結ぶ市民団体「京都から世界に平和を広める会」(小椋正恵会長)は23日、京都市東山区の耳塚で慰霊式を営んだ。耳塚は豊臣秀吉の朝鮮出兵で殺害された人々を弔うための五輪塔。

 同会名誉顧問の大谷義博氏(真宗佛光寺派西徳寺)と、幾度もの訪朝経験を持つ池口惠観氏(高野山真言宗清浄光院)が塚に向かって読経し、参列者一同も日本と朝鮮半島の歴史に思いを寄せた。有志によりアリランの合唱も捧げられた。アリランは朝鮮半島全土で歌われている民族歌のため、政治的な立場を越えて心を一つにするにふさわしい曲として選ばれた。

 韓国文化院院長の鄭泰九氏は朝鮮出兵など不幸な歴史があったことを踏まえつつ、「過去は変えられないが、未来は私たちの手によって作っていくことができる。日本の若いみなさんはKポップや韓国映画で、韓国の若者も日本のアニメなど水準に高い文化に感心している」と、文化を通じた日韓友好を願った。

 在日本朝鮮人総連合会京都府本部国際統一部長の金賢一氏は「日本と朝鮮半島の歴史は2千年にわたりますが、ほとんどは友好関係。一時的に悪かったのは秀吉の朝鮮侵略と、近現代の100年少しばかり」と語り、京都から善隣友好を発信する「広める会」に期待した。韓国と北朝鮮の代表が同じ式典に出席することは珍しい。

 大谷氏は、少年時代の親友が北朝鮮に渡ったことを回想し「平和と友好は日本人としての大切な義務です」と話した。

 池口氏は耳塚では初めて供養したという。「塚の下で眠られている方には強い怒りがあると思う。そういった怒りを引き受け、弔わなければいけない」と手を合わせた。

 小椋代表は今後、岡山県の耳塚でも慰霊式を行いたいと希望している。

2020/10/22

高野山真言宗 弘法大師号下賜1100年法会開白 大師信仰の原点再確認

 
奥之院燈籠堂での開白法会(17日) 入唐し密教の全てを請来した真言宗の開祖・空海に、醍醐天皇から「弘法利生」の意を込めた弘法大師号が贈られて1100年。和歌山県高野町の高野山真言宗総本山金剛峯寺で17日、「大師号下賜千百年記念法会」が始まった。山内僧侶が出仕して、大師御廟前の奥之院燈籠堂で開白法会を厳修。「大師は今も生き続け、奥之院で永遠の禅定に入りながら悩み苦しむ人々に救いの手を差し伸べている」という弘法大師入定信仰と同行二人信仰の原点を再確認した。

 弘法大師の諡号は、延喜21年(921)10月27日に下賜された。空海入定(承和2年=835)から80年以上後のことで、『弘法大師伝』をはじめ『今昔物語集』や『平家物語』などには「醍醐天皇から大師号と共に賜った桧皮色の御衣を宗祖に奉るために高野山に登った東寺長者・観賢僧正が、御廟の扉を開いて宗祖の姿を目の当たりに拝し、伸びた髪を剃って衣を取り替え申し上げた」とする説話が収録されている。開白法会の願文でも、この説話が長谷部真道総務部長によって力強く奉読された。

 全ての大師信者が唱える御宝号「南無大師遍照金剛」の誕生へと繋がっていく大師号下賜は、「祖廟を信仰の源泉とする本宗にとって立宗開教の原点と言うべき日」(添田隆昭宗務総長)。コロナ禍で全国的な参拝の呼びかけは自粛されたが、開白法会当日も多くの人が燈籠堂に参拝した。大阪府岸和田市在住の男性は、「たまたま会社の人と来た。詳しいことは知らないが、弘法大師は徳のある偉い人だということは知っている。今日はタイミングが良かった」と喜んだ。

 開白法会の導師を務めた葛西光義座主は、「大師号を頂いて1100年、今日が迎えられたのは、『ありがたい』の一言に尽きる」と述懐。「宗祖は〝お大師さん〟と呼ばれて皆さんに慕われている。この記念法会を機にますます信仰を篤くしていただけたら」と願った。

 コロナ禍で大規模な団体参拝が困難になり、当初の法会計画を大幅に縮小。全国檀信徒には、「御宝号念誦御写経」の奉納による法会への結縁を呼びかけた。18日以降の全国9ブロックの各地域伝道団代表による慶讃法会で、写経奉納式を順次挙行。27日の奥之院諡号奉讃会で結願法会を迎える。

 千玄室大宗匠が献茶

 法会後、葛西座主や山内高僧らと歓談する千大宗匠 茶道裏千家の千玄室大宗匠が開白法会で献茶。大師御廟に向かって厳かに拝礼した。

 千大宗匠は法会後、葛西座主や塔頭三寳院の飛鷹全隆前官、山内高僧らと金剛峯寺で歓談。海軍飛行専修予備学生(学徒出陣)として召集され、特攻隊員となった体験も振り返り、自身も所属する海軍第十四期会(同期の桜)の慰霊塔がある高野山への思いを語った。

 千大宗匠は歓談後の取材に、「今回もこうして7回目の献茶をさせてもらった。もう97歳。これが最後かなと思っている。奥之院で献茶のご奉仕をさせていただくのはいいね。ありがたいことだ」と感慨深そうに話した。

2020/10/22

WCRP創設50周年の祈り 開会時のベルと共に

 
50周年を祝福するアッザ・カラム国際事務総長 10月16日午前9時35分―50年前、京都国際会議場で開催された第1回世界宗教者平和会議(WCRP)京都大会。開会を告げる当時のベルの音と共に日本国内外で同時刻に50周年の祈りが捧げられた。

 オンラインで開かれた「WCRP50周年記念の祈り」は、会場となった京都国際会館前の大西英玄氏(清水寺執事補)を進行役に開式。「50年前のその時に思いを寄せ、改めて諸宗教協力による平和活動の意義について噛みしめて参りたい」と呼びかけた。

 50年前の開会当日の映像を視聴後、開会式の荘厳なベルと共に時空を超えて1分間の祈りが捧げられた。

 主催者を代表して日本委員会の植松誠理事長が挨拶し、「世界平和への熱意と使命感を持って、幾多の困難をものともせず世界平和の大義のために献身された先達たち。その呼びかけに応じて日本や世界の各地から馳せ参じてくださった300人にのぼる参加者たちに改めて深い敬意と言い尽くせぬ感謝を捧げます」と述べた。

 続いて国際事務局のアッザ・カラム事務総長がビデオメッセージで祝福。先人たちの取り組みに謝意を示すと共に「宗教の違いがあったとしても協力し、協働しようとするとき、私たち人類は地球を救うこと、いのちを救うこと、生きとし生けるものを守るために献身するのです」と宗教者の使命を口にした。

 第1回京都大会には39カ国から約300人が参加。昨年の第10回リンダウ世界大会には125カ国から約900人が参加した。WCRP(RfP)は今日、90カ国以上に国内委員会を有し、世界で最大規模の諸宗教協力組織として貧困や核廃絶、気候変動などに取り組んでいる。

2020/10/22
天台宗宗議会 寺院収入申告を2年延期 杜多総長、最後の議会に


最後の宗議会を終え、在職中の協力に謝辞を述べる杜多総長 天台宗の第147回通常宗議会(中村彰恵議長)が13・14日、滋賀県大津市の宗務庁に招集された。コロナ禍で今年度の宗費収入中の寺院教会納金を20%減額して1億1040万円減の4億4160万円とし、今年度通常会計予算を1億1220万円減額して10億3210万円に補正。新たな宗費額を策定するために来年度の実施を目指していた寺院教会収入額申告の2年間延期も決定した。

 杜多道雄宗務総長は、「今年12月に全寺院に収入額申告書が配布される予定だったが、直近3年間の収入の平均額を申告する今回の調査ではコロナ禍の影響が全く反映されず、本調査を実施しても実状を把握できない」と説明。「宗務所長会からも感染症が収束し檀信徒が新しい生活様式で日々が過ごせるようになり、寺院経営が落ち着き安定してからの実施を要望されている」ことなども理由に挙げた。

 新成会の栁澤最伸議員(栃木)は、4年ごとの実施が規定されている収入額申告が東日本大震災以降先送りにされていることを問題視。「寺院格差や都市と地方、教区間の不平等感は収入額申告を実施してもなくならないが、実施することで時代に即した対応ができるのではないか」と提起した。

 杜多総長は施政方針演説で、「任期を約半年前倒ししての11月中の辞任を決断した」ことを報告。宗議会の理解を求めた。道興会の村上圓竜議員(東海)が、「任期を延長して大遠忌事業を円滑に運営する道をなぜ選ばなかったのか。事業の継続性をどのように担保しているのか」と代表質問。杜多総長は「任期延長の考えは持ち合わせていなかった」とし、コロナ禍の中で「宗務所長会からは次年度の宗費減額も要望されている。次年度予算案は次期内局の新たな視点で編成してもらうことが最善と判断した」と答弁した。

 来年度に迎える伝教大師1200年大遠忌に向けて、今年度実施予定だった教区法要や「不滅の法灯 全国行脚」がコロナ禍で来春に延期になったことなどを受け、伝教大師大遠忌を掉尾とする祖師先徳鑽仰大法会の期間の1年延長を決定した。

2020/10/22
護国寺別院・筑波山大御堂 新本堂の落慶法要営む 廃仏毀釈の歴史乗り越え


筑波山の中腹に完成した新本堂。導師は小林貫首 茨城県つくば市の真言宗豊山派大本山護国寺別院筑波山大御堂(知足院中禅寺)の本堂落成慶讃法要式が11日に営まれた。観音霊場として信仰を集め、明治期には廃仏毀釈や自然災害によって伽藍を失うなど苦難の歴史を有する同寺の新本堂が完成し、地元の信徒や有縁寺院、工事関係者ら約50人が落慶を祝した。

 関東平野を一望できる筑波山の中腹に完成した大御堂本堂。落慶法要は大本山護国寺の小林大康貫首を導師に営まれた。 

 表白では德一上人の開基にはじまり、江戸時代には坂東三十三観音霊場として名を広めながら、明治期の廃仏毀釈に遭い、本尊の千手観世音菩薩が篤信者によって守護された歴史を紐解いた。再建に向けて昭和15年に佐々木教純護国寺貫首により再建計画が立案されたが戦争で中断、昭和36年の岡本教海貫首の代には民家を改造した本堂が完成したことを振り返り、今年新本堂の再建が完成したことを奉告。「篤信者のあつき信仰心の賜物」と本堂落慶に深謝した。

 式典では工事の設計・施工を担当した㈱翠雲堂の山口豊社長をはじめ関係者に感謝状が贈られた。

 挨拶に立った小林貫首は大御堂の歴史と本堂完成までの苦難の道のりに言及したうえで、「これからは筑波山神社と大御堂と交流を図って、町の発展のために尽くしていきたい」と展望した。

 祝辞では廃仏毀釈の際に大御堂の仏具等を預かってきた同派萬蔵院(坂東市)の中川祐聖住職が、古くから交流のある両寺の歴史を念頭に「出開帳の交流などもしたい」と提案。「これからもいいご縁をいただき、神社とも、町とも仲良くしていきたい」とよびかけた。(続きは紙面でご覧下さい)

2020/10/15

曹洞宗宗議会 上限200万円の貸付制度を新設 未執行2億7千万円を積立金に

 
アクリル板で囲まれた演台で演説する鬼生田総長 曹洞宗の第135回通常宗議会(須田孝英議長)が12日、東京都港区の檀信徒会館で始まった。新型コロナウイルスの対応策として、収入が減少した寺院に対し、上限200万円を無利息で貸し付ける制度が提案された。さらに、中止となった事業などで未執行となっている今年度予算約2億7400万円を、感染症対策積立金とする補正予算案を提出した。

 6月から延期していて、今年度初回の宗議会となった。演台や議員席の間にアクリルの板を設置したほか、中継会場を設けて議員を分散させるなど感染対策をして議事を進行した。

 鬼生田俊英宗務総長は演説で、例年同時期と比べて8割の寺院で収入が減っていることが分かったアンケートの結果を受け、貸付制度の導入を提案。「一時的な資金難に直面した寺院に対し、無金利での貸し付けを行うことにより、返済の負担を最小限に抑えつつ、運営資金面をサポートする」と説明した。

 この貸付制度は、議決されれば11月1日に施行する。重複して借りる場合でも上限は200万円。貸借契約を結ぶ期限は2023年3月まで。1年間の据置期間(最大2年)を経て5年以内に返済しなければならない。

 申請書は、収入の減少状況や返済計画などの文書と共に、宗務所を経由して総務部長に出す。総長や内局で構成する査定委員会が貸付を審査する。貸付制度は2030年3月末に廃止する。

 また、感染症の影響で中止となった事業など未執行分の今年度予算を、感染症対策積立金とする方針も発表した。積立金は今年度一般会計臨時部歳出に新設。その上で来年度一般会計歳入に繰り入れる。

 有道会を代表して総括質問をした吉村明仁議員は「感染拡大が収束したとしても寺院収入が戻る確証はない」と訴え、返済を前提しない給付金や宗費減免の可能性について見解を求めた。

 答弁した鬼生田総長は新設の積立金について、「全国の寺院に対して来年度の宗費負担を軽減しようとする経済施策だ」と述べ、さらに支援を拡充させる方向性を示した。

 新型コロナ対応策に関する制度案や補正予算案のほかに、副貫首選挙の供託金を郵便為替から現金に変更、審事院規程を大幅改正するなど7議案と、2019年度決算案など17承認案が提出された。同年度決算案は歳入が約50億270万円、歳出が約44億4550万円で、約5億5700万円の黒字となった。
 会期は5日間。

2020/10/15

宗教・印仏2学会が抗議 日本学術会議任命問題で

 
 菅義偉総理が日本学術会議の新会員候補推薦者105人のうち6人を任命しなかった異例事態に対して、日本宗教学会(鶴岡賀雄会長)は7日に理事会名で声明文を発表した。

 「正当な理由なく任命されなかったことは了承しがたく、日本学術会議の独立性を冒し、設立理念に反し、延いては日本における学問の自由と自律を脅かすことにつながりかねないと危惧」している。任命されなかった6人のうち芦名定道氏はキリスト教学を専門とし、同学会の常務理事を務める。

 日本印度学仏教学会(下田正弘理事長)も同じく7日、理事会名で声明文を発表。「日本学術会議の機能を著しく毀損するもの」と厳しく批判し、「任命拒否に至る個々の具体的理由の開示と、任命拒否された会員候補者の任命」を菅首相に対し強く要請している。

 両学会の加盟する日本宗教研究諸学会連合も、島薗進委員長名で7日に「正当な理由なく任命されなかったことは理解に苦しむ」とする声明文を出した。日本基督教学会も12日に声明文を出している。

2020/10/15
妙智會教団 開教70周年式典 会主と大導師の教え 継承

 
 昭和25年(1950)10月12日、法華経による先祖供養の実践と世界平和に貢献するために東京・代々木の地で誕生した妙智會教団。開教記念日の同日、本殿大講堂において「妙智會開教七十周年・ありがとうインターナショナル設立三十周年記念・物故者報恩供養式典」が宮本惠司法嗣を導師に厳かに執り行われた。式典は、今日の教団の礎を築いた先達・物故者への感謝を忘れることがないようにとの宮本法嗣の願いが込められ、宮本丈靖大導師の「反省は前進」という教えを踏まえながら、さらなる前進と精進努力を訴えた。式典は規模を縮小して行われ、会員代表が参拝した。(続きは紙面をご覧ください)

2020/10/15
京都・三十三間堂 後白河法皇の菩提祈る声明 800年ぶりに復元し奉納

 
開山法皇に感謝した千体仏国宝指定2周年の記念法要  京都市東山区の天台宗妙法院門跡・蓮華王院三十三間堂で3日午前、全1001躰の千手千眼観世音菩薩立像(千体仏)の国宝指定2周年慶讃法要「浄土如法経」が厳修された。開山・後白河法皇の十三回忌で唱えられた声明「六時礼讃」を約800年ぶりに復元奉修。鎌倉初期の旋律に則り、「往生安楽国」を祈る浄土宗開祖・法然上人ゆかりの法儀が甦った。

 後白河法皇の生前の姿を忠実に写したと伝わる御影(複製、原本は重要文化財で東京国立博物館に寄託)を掲げ、杉谷義純・妙法院門跡門主を導師に法皇十三回忌の法儀にならって慶讃法要を厳修。杉谷門主が表白で開山法皇への報恩謝徳を奏上した後、浄土宗古儀聲明研究会の僧侶6人が声明「六時礼讃」を唱えた。

 『法然上人行状絵図』には「後白河法皇十三回忌(元久元年・1204)に当たり、土御門法皇の御願を受けた法然上人が浄土三部経を書写し、三十三間堂で弟子たちと声明「六時礼讃」を勤めて法皇の菩提を弔った」と記載されており今回はこの法要を復元奉納。「(コロナ禍以降)ずっと外出を控えていたが、今回初めて出かけた」と話す市内在住の女性は、「声明自体が初めてで、非常に厳かな感じがした」と感想を述べ、「800年ぶりのご縁に遇えて良かった」と喜んでいた。

 三十三間堂では国宝指定を機に、途絶えてしまった中世の法儀の復興を発願。田渕清晃執事は、「以前から何か機会があれば法皇様に奉納したいと考えていた」と語った。

 浄土宗古儀聲明研究会の伊藤正芳代表(京都市伏見区・法伝寺)は、「この法要は浄土宗でも文献だけしかなく、儀式としては残っていなかった。本来伝わっていなければならない法要を復元できたのはありがたい」と話した。

 午後には後白河法皇が愛した芸能・今様の古旋律が復元され、法皇御影の前で奉唱された。

2020/10/8

浄土宗宗議会 緊急事態規程を制定 宗務総長の権限拡大


感染対策が取られた議場。傍聴者は別室で中継を視聴した  浄土宗(川中光教宗務総長)は9月28日から10月2日まで第124次定期宗議会(村上眞孝議長)を京都市東山区の宗務庁に招集した。昨年度決算、新型コロナウイルス対策で寺院を支援する補正予算や、宗務総長の権限を拡大する緊急事態規程など15の議案を可決。3月宗議会は会期が短縮されたため不完全燃焼気味だったが今回は11本の一般質問があり、活発な質疑が行われた。

 川中総長は初日の事務報告で、「ウィズコロナ時代と言われる中、宗の行事や会議も時代に適応させながら臨んでいく必要がある」と述べ、PCR検査を徹底した教師養成道場の計画、オンライン会議の実行などを説明。手探りの中で対応策に取り組んでいるとした。

 今年度の一般会計経常部歳入歳出補正予算案は当初比約8500万円増の約26億円とした。うち、「新型コロナウイルス感染症対策費」として約9280万円を計上。体温測定カメラなど感染防止物品の購入や、8つの総大本山や本山・特別寺院への見舞金、伝宗伝戒など各道場入行者のPCR検査費などに充てる。災害規程を変更し、国の新型インフルエンザ等対策特別措置法による緊急事態宣言が出た場合に、感染症対策支援給付金の交付や無利息貸し付けが可能となった。このため特別会計のうち、災害救援復興資金に3億円を増額した。

 「緊急事態規程」は、宗の基本秩序や組織、制度に影響を及ぼす重大な事案が生じる際に宗会が解散・閉会していて臨時宗議会を開く時間的余裕もないことが明らかな際に、宗務総長が宗令を定めることで迅速かつ適切な対処を可能とするもの。法規特別委員会では「緊急時でも議員の意見を集約できる方策を検討すべきでは」という慎重論から「そもそも総長(代表役員)の権限は大きく、この明文化がかえってその権限の制限になるのではないか」という懸念まで多様に出たが、可決された。

 コロナ対策関連の一般質問では、荒井道也議員が「緊急事態宣言が解除された時点で臨時宗議会を開催し各種施策を講じることが可能だったのではないか」と質問。杉森隆志企画調整室長は「当時はマスクや消毒液の流通がまだまだで、PCR検査の体制も整っていなかった。開催するにこしたことはなかったが、当時はやむを得なかった」とし、緊急事態規程の必要性を説明した。

 佐藤智史議員は「コロナの第二波は収まりつつあるが、今後はインフルエンザ等の合併症も危惧される。宗として感染症対策を各寺院に出す考えはあるか。一般への周知も必要ではないか」と質し、杉森室長はすでに4~5月に葬儀マニュアル等を公表していることを踏まえつつ「公式サイトでのさらなる情報発信について検討させていただく」と答弁した。

2020/10/8

大本山永平寺 福山諦法貫首が退董 御征忌法要を最後の務めに

別れを惜しむ僧侶たちに見送られ山門をくぐる福山貫首 福井県永平寺町の曹洞宗大本山永平寺で9月29日、福山諦法貫首(87)の退董式が営まれた。「これにて皆さまお別れでございます」と感謝とともに辞別を告げた福山貫首を、参列者約300人が見送った。
 この日は道元禅師の命日で、1週間の御征忌法要の最終日。「高祖大師正当献供諷経」の導師として最後のお勤めに臨んだ福山貫首は、宝前に進んで香を手向けた。

 法要を終え参列者に向き直ると、「高祖さまにご焼香をさせていただけたこと、誠にありがたいことでございます」と話し、参列者にも感謝を述べた。また、「一仏両祖のありがたい教えを何一つ体得できず、分からずじまいになってしまいました」と修行僧然とした言葉を残した。

 「後のことは南澤老師にお願いいたします」と、貫首としてこの後入山する南澤道人副貫首(93)に託し、「ご機嫌よろしゅう、さようなら」と別れの言葉を告げると、ちょうど正午頃に退董を知らせる太鼓が3回鳴り響き、法堂を出た。

 2008年の就任以降、12年にわたる貫首の務めを果たし、別れを惜しむ僧侶らに見送られながら山門をくぐり、永平寺を後にした。

 福山貫首は体調不良を理由に退董を決めた。生前に貫首を退き、退董式が執り行われたのは1976年の山田霊林第75世以来、44年ぶり。後任の南澤第80世の晋山式は来年4月2日に営む予定。

副貫首に羽仁素道氏 参議は熊谷紘全氏

 大本山永平寺(福井県永平寺町)の南澤道人貫首(93)の後任となる副貫首に、曹洞宗参議で弥勒護国寺(群馬県沼田市、迦葉山龍華院)の羽仁素道住職(86)が就任する見通しとなった。9月30日に開かれた永平寺顧問会で選ばれた。候補者が1人のため無投票当選となる。曹洞宗責任役員となる後任の参議には永平寺顧問で円通寺(青森県むつ市、恐山菩提寺本坊)の熊谷紘全住職(79)が選出された。

2020/10/8
お寺の戦伝遺産を歩く⑥ NY本願寺「被爆親鸞像」 1955年広島からマンハッタンへ

 
NY本願寺仏教会前の被爆親鸞像と中垣氏 マンハッタンの西105丁目とリバーサイド・ドライブの角にニューヨーク本願寺仏教会がある。その入り口脇に、あみ笠をかぶり、右手に杖をもち、高さ4・5㍍、重さ2・5トンの僧侶姿のブロンズ像が目に入る。これが1945年に広島で被爆した浄土真宗の開祖親鸞聖人の銅像である。1955年に渡航、米国NY(ニューヨーク)仏教会に寄贈された。

 大正時代に大阪の実業家の広瀬精一という方が子どもを失ったことを機縁に念仏の教えに帰依し、南無阿弥陀佛の六字にちなんで、六体の親鸞聖人像を作造った。出身地の三重県(桑名)に加え、大阪、京都などに寄贈されたが、広島に寄贈されたものが原爆に遭遇した。その後、施主の広瀬氏が広島で被爆した親鸞聖人像を国連本部のあるNYに寄贈したいとの志を受けて、NY仏教会(当時の住職は関法善師)が同意、受理した。

 原爆投下の爆心地から北西2・5㌔㍍の場所で、親鸞聖人像は爆心地に向かって立ち、その銅像の正面は赤くただれた。その足元でも数多くの人々が亡くなったが、焼野原になっても立ち続ける親鸞聖人の姿は見た人に勇気と希望を与えたという。被爆像出発の際は、広島市内を練り歩き、市民の平和への願いを一身に受けて、NYへ平和説法に旅立っていった。(報告・中垣顕實)

2020/9/24・10/1

国連創設75周年 国際平和デーに各地で鐘打式 世界の平和と連帯を誓う


平和を願い1打を撞く三笠宮彬子さま(増上寺鐘楼堂) 国連創設75周年を迎えた国際平和デーの9月21日正午、全国で平和を祈る鐘打(しょうだ)式が宗教施設や公園などで行われた。本部式典会場となった東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺では、三笠宮彬子さまを主賓に、小池百合子都知事らが鐘を撞いて平和を願った。約50人が出席した。主催は国際平和デー日本委員会(会長=長谷川祐弘元国連事務総長特別代表)。

 鐘楼堂に立った彬子さまは鐘撞紐を手に取り、正午ちょうどに第1打を撞いた。江戸前期に鋳造され、関東で最大級の鐘の音が境内や周辺に響き渡った。

 第2打は、小池都知事、日本国連協会の千玄室会長(裏千家第15代家元)、世界連邦文化教育推進協議会の東久邇吉子会長、長谷川委員長の4人が撞いた。さらに主催団体および協力団体代表が鐘楼堂に上り、合計7回撞かれた。

 続く式典では主催者の長谷川実行委員長が挨拶し、「今年は国連創設75周年にあたる。新型コロナのパンデミックが世界中で多くの人々を苦しめている。今こそ世界が連帯すべき時である」とし、「各界各派の垣根を超えて全国各地で平和の鐘を鳴らし、世界の平和を祈り、世界の連帯を誓う」と強調した。

 97歳の千玄室氏は「鐘を撞くことは大変な意義がある。世界の平和、人類の平和を祈るための1打であり、この鐘が大きく広がることをお願い申し上げる」と述べ、東久邇会長は平和の鐘の由来を紹介しながら、「これからもこの活動がより多くの方々に広がり、世界中の人々が平和に向けて手を取り合ってくださることを心より願っている」と呼びかけた。

 来賓の小池都知事は新型コロナについて言及しながら「いまこそ私たちは手を携え、この人類共通の敵に立ち向かうべきではないか。私は先ほど新型コロナ終息のために世界が連携すべきと祈念して鐘打ちをさせていただいた」と話し、来年の東京オリンピック・パラリンピック成功に向けて決意を表明した。

 本部式典には、日本宗教連盟の戸松義晴理事長(全日本仏教会理事長)も出席した。また協力団体として宗教界からは世界連邦日本宗教委員会、世界連邦日本仏教徒協議会、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会、日本宗教連盟(日宗連)が参画した。

 鐘打は、浦上天主堂(長崎)平和の鐘(広島)立正佼成会大聖堂(東京都杉並区)比叡山延暦寺(滋賀)大本・人類愛善会(京都)沖縄平和祈念堂(沖縄)などで行われた。この模様は動画で中継された。

【国連平和の鐘と国際平和デー】
日本国際連合協会役員の故中川千代治氏(元宇和島市長)が「2度と戦争をしてはいけない」という思いから発願。26カ国のコインを鋳込んで造られ、「世界絶対平和万歳の鐘」と刻印。1954年6月に日本国際連合協会から国連本部に寄贈された。

 1981年の国連総会で9月21日を国際平和デーとすることが採択された。世界各地で平和に関する様々なイベントが行われている。

2020/9/24・10/1 妙心寺派宗会 全27教区に総額3千万円給付 コロナ対策で教区支援


先駆的なオンライン中継宗会となった 臨済宗妙心寺派(栗原正雄宗務総長)は16・17の両日、京都市右京区の大本山妙心寺塔頭微妙殿に第139次定期宗議会(真常紹天議長)を招集した。2019年度歳入歳出決算ならびに各種承認事項を承認した。全27教区に総額3千万円の「新型コロナ対策支援教区給付金」を支出する補正予算も可決。毎歳香資(僧侶賦課金)も値上げされた。

 昨年度の歳入決算は約10億9900万円(予算は約11億2700万円)、歳出決算は約10億5400万円。栗原総長は施政方針演説で「財政調整基金への積み立てはできる状況下ではない」と厳しい見解を示した。今年度は新型コロナウイルスの影響で花園会館の収入が激減し、8月時点で1億1900万円の損失が出ていることも報告された。

 教区給付金はおかげさま運動積立金から3千万円を取り崩し、各教区に寺院数に応じて分配。最も寺院数の多い岐阜西教区(274カ寺)には約246万円、最も少ない沖縄教区(18カ寺)には約16万円となり、1カ寺あたり約9千円の割合となる。

 澤田慈明財務部長は「給付金を使った後の実績報告や事業計画を提出してもらうことはない。幅広く使っていただければ」と説明、議員からも大いに歓迎されたが、一方で使途が教区の自由な裁量に任されたことで「ばら撒き」と思われかねないと懸念する声も。委員会で「コロナ禍によって停滞した花園会活動及び教区の活動の一助として給付金を活用していただきたい」と付帯文が加えられた。

 毎歳香資は現行では沙弥職(1400円)から特住職(25万円)まで14の法階ごとに定められている。これを沙弥職~準住職まではおよそ倍額とし、住持職~特住職までは1万円の増額とした。財政健全化のための一策であり、教師数約3300人からすれば毎年4千万円超の収入増となることが見込まれるようだ。

 今議会は新型コロナウイルス対策としてオンライン参加も可能とし、31議員のうち3議員が自坊と微妙殿を中継した。オンライン参加の江本宗昭議員は「オンライン会議ではどのくらいの経費がかかるのか」と節減状況について質問。上沼雅龍総務部長は「宗議会、所長会、管長推戴委員会を除く全所管の会議費は交通費や宿泊費も含め約1950万円。これをオンライン会議に切り替えると全委員・主事264人の日当の7千円のみで、184万8千円」と述べ、経費節減効果は高いとした。

 会議に先立つ9月2日付で「オンラインによる出席を認める」「議場を微妙殿とする」とする教令が発布されており、今議会で承認された。宗会でオンライン出席を認めた初の宗派となる。微妙殿は宗務本所よりも広く、ソーシャルディスタンスを保つことができる。

2020/9/24・10/1

曹洞宗が新型コロナ影響アンケート 8割の寺院が収入減 2割弱の寺院が50%近い減収に

 曹洞宗は、新型コロナウイルスの影響について全国の寺院に行ったアンケートの結果をまとめ、『宗報』9月号で発表した。例年同時期と比べ収入が減った寺院は79%に上ることが分かった。そのうち約17%が半減近い減収となり、感染者の多い関東と近畿で減収率が高い傾向があった。

 対象は約1万4千カ寺。6月初めに各寺院に届く『宗報』6月号にアンケートを同封し、締め切りの同月19日までに約20%にあたる2940カ寺から回答があった。

 例年同時期と比べて収入が減った寺院のうち、減収率は2~3割減が約20%と最も多かった。次いで約17%が半減近い4~5割減となった。9割以上減った寺院も約2%あった。

 感染症流行以前と比べ収入が減った寺院もほぼ同じ割合の78%で、減収率も2~3割減が約18%と最多。次いで約16%が4~5割減となった。

 管区別では、例年同時期と比べた収入に関し、全カ寺が減ったと回答したのは四国。次いで東海で約95%の寺院が減ったとした。どの管区も90%以上の寺院が減収したとしている。減収率で見ると、8割以上減った寺院が最も多かったのは関東と近畿でいずれも約9%超。感染者の多い地域で減収率が高い傾向があった。一方、北海道と東北では4割減までの寺院が60%以上だった。

 同じく管区別で、感染症流行以前と比べて減収した寺院は、約97%が減ったとした四国が最多なのは同様だが、最も少なかったのは約75%だった東海となった。減収率では、8割以上減った寺院は近畿が約11%と最多。関東は約8%で、例年同時期で聞いた場合と比べて少なくなっている。

 現状に対する認識について、「家族葬が一層顕著となり、この自粛傾向は終息後も続いていくと感じている」「用僧、伴僧が皆無となった。この災禍を機に用僧無しが一般化するのではと不安」「葬儀、法事とも総数は激減しているが、一件のお布施はさして変わらない」などの意見が寄せられた。

 法事と葬儀に関する調査結果は次の通り。

【法事】通常通り20%、縮小した34%、執行しなかった45%▼参列者=減った97%(かなり78%、少し19%)▼布施=減った63%(かなり27%、少し36%)、変わらない36%。
【葬儀】通常通り20%、縮小した75%、執行しなかった1%▼参列者=減った97%(かなり83%、少し14%)▼布施=減った55%(かなり22%、少し33%)、変わらない44%。

 調査結果は同宗ホームページの寺院専用サイトからも確認できる。宗務庁は結果を各部署で共有し、支援にどう生かすかは検討中としている。