2019/7/18
ハンセン病家族訴訟 問われたのは誰か?

横断幕に加え家族の思いを記した色紙を手にアピールした参加者。シュプレヒコールではない 6月28日、熊本地方裁判所がハンセン病家族訴訟で原告の元患者家族の主張を認める判決を出し、政府の控訴断念を訴えてきたが、7月9日安倍晋三首相が控訴をしないと表明。12日には総理大臣談話と政府声明が発表された。原告団や弁護団と支援者たちは10日、東京・永田町の衆院議員会館で院内集会を開き、控訴断念を評価。その後は首相官邸前でサイレント・アピールを行った。

 ハンセン病療養所である多磨全生園で入所者と30年余り交流を重ね、18年前のハンセン病訴訟では原告団をサポート。現在は「ハンセン病首都圏市民の会」の事務局長を務める酒井義一氏(東京都世田谷区・真宗大谷派存明寺住職)にインタビューした。

院内集会で発言する酒井義一氏 ――ハンセン病元患者が原告となった18年前の訴訟に続いて、今回の家族訴訟も全面的にバックアップされた。今の感想は。
 やったぜ、2連勝という気分です(笑い)。国を相手にした裁判なので容易ではないのですが、国を動かして国賠訴訟で2度勝訴したというのは、それだけ被害が重かったということでもあり、それを裁判所も総理も認めたのだと思います。

 また多くの人たちが我がこととして関わってきたということがあったと思います。多くの人というのは、自分自身はもちろんですが、マスコミや国会議員、弁護団、それに宗教者を含め、それぞれ責任ある人たちのことで、過ちを犯してきたという歴史を胸に、それを回復させ、贖罪の道を歩まなければならないという強い意志があった。それが勝利の裏側にあると思います。

 ――隔離政策に無関心でいたということは容認ないし肯定に等しいと弁護団も自己批判的に述べています。隔離の影響は、ハンセン病当事者のみならず、家族にまで及んでいた。
 私は真宗大谷派ですが、1996年の「らい予防法」廃止のときに教団として声明(ハンセン病に関わる真宗大谷派の謝罪声明)を発表しています。そこで家族の被害に言及しているんです。今から考えると、あの時点でよく言及できたなと思うのですが、ただしその後、家族の声をきちんと聴いてこなかった。そうした歴史が今日まで続いている。内実が伴わなかったというのは、自分自身の反省でもあります。

 ――その謝罪声明では「隔離されてきたすべての『患者』と、そのことで苦しみを抱え続けてこられた家族・親族に対して、ここに謝罪します」とあります。
 遅きに失しましたが、私自身、今回の家族訴訟が始まった3年前から、ハンセン病だった方々の家族の声を真剣に聴くように心がけました。それまでは、入所者の方々が中心でしたから。
 それに故郷に帰れないのは、家族が拒否しているからではないかと、どちらかというと家族が加害者のような見方がまかり通っていた。しかしそうではなくて、隔離政策によって、本来親しくあるべき家族に、そうした行為や言動をさせてしまった世の中や私たち宗教者にも責任があると思うのです。悩み、苦しんでいた元患者の家族に無関心だった。

 これまで入所者ばかりに目が向き、家族や親族にまで考えが及ばなかった。でも家族の側から出来事を見ると全く違った風景が見えてくる。家族も追い込まれ、誰にも打ち明けられず、孤立していたわけです。「筆舌に尽くしがたい」(安倍首相発言)状況にあったことが、見えてなかった。

 それが今回の訴訟で、きちんと耳を澄まし、目をこらして、現実を見なさいということが問われた、そういう裁判だと思います。

 ――宗教界に一言
家族の方々の苦しみや悲しみに対して、隔離政策に加担してきた宗教界の多くは沈黙しているのが現状ではないでしょうか。この訴訟によって問われているのは誰ですか? 私たちの一体何が問われているのですか? 宗教者は、このまま終わってしまっていいのですか? 宗教者にはそう強く問いかけたい。

2019/7/18
大正大学 次期学長に髙橋教授 智山派数学専攻

髙橋次期学長 大正大学(東京都豊島区)は大塚伸夫学長の任期が10月31日で満了になるのを控え、次期(第36代)学長に人間学部教育人間学科の髙橋秀裕教授を選出したと3日、発表した。任期は11月1日から2023年10月31日までの4年間。数学を専門とする学長は初。

 髙橋氏は1954年9月23日生まれ。早稲田大学教育学部理学科数学専修を卒業後、埼玉県の公立高校で数学教師を務めた。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。「ニュートン数学思想の形成」で博士(学術)。2007年から大正大学に勤務し、2012年に教授。図書館長、副学長を歴任した。埼玉県美里町の真言宗智山派眞東寺住職。著書に『ニュートン―流率法の変容』(東京大学出版会)などがある。教科書の執筆も多い。

2019/7/18

参院選推薦 全日仏32人 佼成会36人 本願寺派15人

 
 7月4日に公示され、21日に投開票が行われる第25回参院選(改選議席124)。いくつかの団体や教団では候補者を推薦している。

 全日本仏教会(全日仏)は32人を推薦。内訳は、自由民主党17人、立憲民主党7人、国民民主党5人、日本維新の会1人。無所属2人(7月12日現在)。公示後も推薦を受け付けており今後増える可能性がある。

 立正佼成会は36人を推薦したが、比例代表は含まれていない。内訳は、自由民主党8人、立憲民主党11人、国民民主党8人、無所属9人。

 浄土真宗本願寺派(西本願寺)は宗門推薦として15人(比例代表を含む)を推薦。内訳は、自由民主党8人、国民民主党3人、日本維新の会2人、立憲民主党1人、無所属1人(7月15日現在)。

2019/7/18

全日仏青 災害VC支援員研修 僧侶支援員増目指す 

 
講師を交えグループに分かれ、具体的な行動について話す青年僧ら 全日本仏教青年会(全日仏青、谷晃仁理事長)は6月27・28の両日、東京都港区の青松寺で災害時に大きな役割を果たす災害ボランティアセンター(VC)の「運営支援員」を目指す僧侶向けの基礎研修会を開催した。曹洞宗、浄土宗、天台宗、真言宗、日蓮宗の青年僧侶21人が参加した。

 研修1日目は、NPO・経団連・社会福祉協議会(社協)などが参画する災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)や全国社協職員、社協職員、消防士などの専門家が講義。

 2日目は、参加者が「すぐに被災地に行ける者」「活動をバックアップする者」「宗門や青年会組織の役職者」のグループに分かれ、平時にできること、災害時にできることを具体的に話し合った。

 参加した全国曹洞宗青年会の原知昭会長は「VCなど支援活動の中身が分かりイメージが広がった。我々青年会や僧侶の復興支援との連携が今後の課題。今日はその第一歩目になった」と災害支援の専門家による研修に手応えを感じていた。 

 運営支援員の研修は、災害VCを設置する全国社協が主催しているが、対象者別の講習を企画するにあたり、支援P委員でもある米沢智秀・曹洞宗高雲寺住職(全日仏青元顧問)が僧侶向けの研修を提案。全日仏青との共催で実現した。

 社協が設置する災害VCは被災地でニーズの把握やボランティアの受付、ボランティア活動の調整などを行い、今や復興に欠かせない存在。運営支援員は、その災害VCの立ち上げから運営、行政・NPOとの調整など被災している現地の社協職員を助け、協働する役割を果たしている。

 運営支援員ができる僧侶はまだ少なく、災害支援関係者も担い手として期待し、研修の開催日を水害が多くなる直前の時期に間に合わせた。今回講師も務めた米沢住職は「7月以降にもし災害が起きた場合、即戦力で現場に来てほしいと考えている」と後進の青年僧らに期待を寄せていた。

2019/7/11
「菩提寺あり」55% 全日仏×大和証券「仏教実態把握調査」 寺院からの情報提供は不足気味

 
檀信徒・門信徒からみた菩提寺を数字で解説する佐藤氏 (公財)全日本仏教会(全日仏)は4日、東京・築地本願寺第2伝道会館で「仏教に関する実態把握調査」(第2回)の報告会を開いた。檀信徒・門信徒側からみた菩提寺との関係や信仰心を調査したもので、半数超の55%が菩提寺があると回答したものの、23%はなしで、菩提寺があるかどうか分からないという回答は21%だった。全日仏の広報委員会委員、報道機関が参席した。

 全日仏と大和証券株式会社が実施した同調査。菩提寺との関係や距離、葬儀に至るまで細部にわたる項目と結果を同社営業サポート部副部長の佐藤泰之氏が解説した。過疎との関連では、「菩提寺が過疎地域にある」は25%だった。さらに「仏教信者の信仰心は、菩提寺が過疎地域にあることの影響はかなり小さい」と語り、信仰と過疎の相関性には一線を画した。

 一方で、自宅と菩提寺の距離が近い(概ね1時間未満)と仏教理解や信仰に影響を与えていることから、「理解や信仰につながる仏教への関心は、距離の近さを活かしきれていない。仏教に関心をもっている人に対し、お寺の敷居は高いのではないか」と注文を付けた。

 菩提寺からの情報提供については「菩提寺との距離が遠くなると情報が来ない。都市部は情報発信が熱心」と情報提供の格差を指摘し、「各宗派が過疎地寺院をサポートしているが、情報発信のサポートは必須ではないかと思う」と助言した。また菩提寺の収支報告書の開示を求める人が仏教信者の約24%あり、佐藤氏は私見と断った上で、「過疎地で寺院近くに住んでいる人たちは、菩提寺は大丈夫かなという意識から収支を見てみたいと捉えてもいいと思われる」と解説した。

 真宗教団連合の調査結果と今回の結果を重ね合わせて佐藤氏は、「お寺から情報が欲しいと若い人たちが希望しているにもかかわらず、お寺から情報提供されていない。情報が不足すればお寺との縁が遠くなり、その次にはお寺への満足度が減る」と述べ、情報発信の重要性を強調した。

 この調査は20歳から79歳までの男女を対象に回答のあった7412サンプルを基調とした。今回の報告書は全日仏HPに掲載されている。1回目は2年前、仏教文化の認知状況などに関して行われた。どちらも全日仏HPに掲載。

2019/7/11
生長の家 三たび与党を支持せず


 生長の家(山梨県北杜市)は3日、7月21日投開票の参院選を前に「三たび、与党とその候補者を支持しない」とする教団方針を発表した。HPにも掲載された。

 与党自民党が掲げる原発継続のエネルギー政策や、国や大企業の管理につながる「スーパーシティー」構想などに教団として反対を示す一方で、軍備拡大ではなく地球温暖化対策に注力するよう訴えてもいる。

 生長の家は2017年の衆院選、2016年の参院選でも与党を支持しないと発表した。

2019/7/11

「死にたい」にどう対処? 精神科医の住職が講義 僧侶Q&Aサイト「hasunoha」がセミナーを開催

 
僧侶回答者限定でネット配信もなされたセミナー。左が講師の川野氏 「死にたい」という悩み相談が寄せられた時、僧侶はどう答えるべきか。僧侶が悩みに答えるQ&Aサイト「hasunoha」(ハスノハ、堀下剛司代表)が企画した仏教と精神医学の連携セミナーが6月27日、東京都渋谷区の寺小屋ブッダLABで開かれた。臨済宗建長寺派林香寺住職で精神科専門医でもある川野泰周氏が講師を務め、自殺リスクへの対処や精神疾患の基礎知識を講義した。

 川野氏は最初に、自殺の相談に答える支援者は「自殺を水際でくい止めるゲートキーパー」であると指摘。自殺未遂者のうち、誰にも相談しなかった人は73・9%で、「この人なら理解してくれるかもしれないと思って気持ちを開示している、希死念慮の告白は困難が解決すれば生きたいとの意思表示」だと説明した。

希死念慮者の「死にたい」との言葉にひるんだり慌てたりする必要はなく、「死にたいというメッセージを受け取った時点ですでにその人を助け始めている。この人は自分が生きたいということを確認していると思ってほしい」と述べた。

 「死にたい」という言葉への具体的な対処としては、①告白に感謝し、気持ちを語ることは良いことだと知ってもらう②説き伏せても安心感は生じないので「自殺してはいけない」は避ける③病的・妄信的で論理が破綻していても耳を傾ける④死にたいと考えさせる要因について質問することは、問題を明らかにするきっかけになり、支援者との関係をつなぎとめる効果があると説示した。

 希死念慮には精神疾患が関係していることも多く、専門家の治療が必要な統合失調症、うつ病、PTSDなどを見分けるための基礎知識も解説。「ゲートキーパーにも限界がある。次の支援資源につなげることも大切だ」と抱え込みや燃え尽きにも注意を促した。

 同サイトが開設されて7年。質問件数は3万5千件を超え、回答が追いつかない状況だ。企画した堀下代表は「いじめ、パワハラ、セクハラ、親や夫を殺したいといった重たい相談も多い。質問は現代社会が抱えている問題とつながっており、ハスノハを通してお坊さんに助けてほしいという思いをひしひしと感じている」という。共同代表を務める井上広法氏(浄土宗光琳寺副住職)も「お坊さんも社会のことを知ることが今後ますます必要になってくる」と僧侶が社会に関心を寄せていく必要性を指摘した。

 セミナーは、遠隔地の僧侶回答者も受講できるようインターネットでも限定配信された。同サイトでは、引き続き僧侶回答者の参加を呼びかけている。

2019/7/11
ひたちなか市 無二亦寺 WFPを支援して20年 
「地球のはらぺこをすくえ!」お寺で飢餓問題を啓発


宇中住職と手作りのパネル。赤いカップはWFPの給食の器で、シンボルだ。 世界の飢餓人口は8億2100万人、全人類の9人に1人が飢えに苦しんでいる。飽食の日本でこの事実をどれだけの人が知っているであろうか―。こうした状況に取り組んでいるのが、国連世界食糧計画(WFP)である。このWFPをおよそ20年間支援している住職がいる。茨城県ひたちなか市の日蓮宗無二(むに)亦寺(やくじ)、宇中智伸住職(56)だ。「地球のはらぺこをすくえ」を合言葉に、飢餓をなくそうと訴え続ける。
 
 境内で秋に行われる「飢餓救済チャリティコンサート」。「笑って食べて楽しんで地球の腹ペコを救おう!」と、地元高校の吹奏楽団やビッグバンドジャズ、地域の音楽愛好家たちによる演奏が楽しめる。音楽だけでなくお笑い芸人やマジシャンの出演もあり、ピザやカレーの出店、特産品の販売、歯医者の出張診療まである。一種の寺フェスとも言える。


 無二亦寺のWFP支援はこれだけではない。WFPは世界の飢餓問題を訴えるチャリティ・ウォーキングイベント「ウォーク・ザ・ワールド」を大都市で行っているが、無二亦寺はそれをひたちなか市で開催。子どもも大人も、WFPの横断幕を掲げながら市内を散策、行進していく。ゲーム気分で楽しめるのが好評だ。世の中には、一日一食の給食が生命線で、そのために10キロの道を歩く人もいる。「今日歩いて、世界の人の苦しんでいる気持ちがわかった」。こんな感想も寄せられる。(続きは紙面でご覧下さい)

2019/7/4
キャッシュレスに反対!京都仏教会 課税対象の拡大を懸念


宗教行為に関するキャッシュレス決済に反対声明を出した京都仏教会の有馬理事長(左) 京都仏教会(有馬賴底理事長=臨済宗相国寺派管長)は6月28日、拝観料や賽銭といった布施を電子マネーなどで支払う「キャッシュレス決済」に反対する声明を発表した。キャッシュレス化に伴う手数料が発生し、「収益事業として宗教課税をまねく恐れを憂慮する」として、宗教活動に対する課税対象の拡大に懸念を示している。府内約千カ寺の加盟寺院のほか、全日本仏教会(全日仏)や日本宗教連盟など全国の寺院や団体、宗派に同調を求める方針。
 
 「布施の原点に還る」と題した声明文では、宗教行為と収益事業は違うとし、「宗教活動は世俗の事業とは本質的に異なる」と指摘。「キャッシュレスによる布施は対面的である宗教行為の本旨に反するものであり、不適切」と主張している。

 さらに、決済データから個人や寺院の情報が外部に流出した場合を想定し、「信者および寺院の信教の自由が侵される」ことや「宗教統制、宗教弾圧に利用される」ことへの危惧を示している。

 宗教法人への課税は収益事業に対して行われてきた。地方分権一括法が施行された2000年以降、課税を強めた自治体もある。京都仏教会は1985年に制定された拝観料に課税する京都市の古都保存協力税(88年に廃止)に、拝観停止で抵抗するなどして反発。宗教活動への課税に反対する姿勢をとってきた。

 キャッシュレス決済を寺社でも導入する動きが出てきたのを受け、昨秋から理事会や付属研究所などで対応を検討。京都市上京区の相国寺で同日に開いた記者会見で、「決済に手数料が発生し金銭取引と理解されれば、収益事業を行う施設として境内地にまで課税対象が広がる恐れもある」と説明。一方で、収益事業のキャッシュレス化を否定しない意向も示した。

 信教の自由や宗教統制への危惧については、過去に何度も宗教が弾圧を受けてきた歴史から、「ささいなことでも極めて敏感に捉えなければならない」と主張。研究所長の洗建・駒沢大名誉教授は、「ビッグデータの利用に関しては、重大な危機をはらんでいる。個人の信仰を秘匿する配慮が大切だ」と強調した。

 有馬理事長は「布施行の根本からすると、キャッシュレス化はありえない。考える機会にしてもらえたら」と話した。全日仏は、「声明の危機意識は十分理解できる。今後、話を聞いた上で対応を検討したい」とコメントした。

2019/7/4

僧侶がミスコン挑戦 「いい住職になるために」 大谷大3年 髙橋るりさん

 
身長は174センチ。「引け目だったけど持ち味にしたい」と話す髙橋さん 世界4大ミスコンテストとして知られ、地球環境問題への意識向上に取り組む「ミス・アース」の日本大会に、京都代表に選ばれた大谷大3年の僧侶、髙橋るりさん(27)が挑む。東京大卒業後に勤めた地元・愛知県の大手自動車メーカーを退職し、自坊・真宗大谷派正晃寺(名古屋市中村区)を継ぐために勉強中だ。「いい住職になるために挑戦した」と熱意を見せる。

 「住職、ミスを目指すことは似ている」。そう話す髙橋さんの言葉を聞いて、驚かれる住職もいるのではないか。「仏教離れと言われる世の中。住職一人ひとりが魅力を磨くことで興味を持ってもらえるのでは」。質問に答える目は真剣そのものだ。

 出場すると所作やスピーチ、身だしなみなど、人前に立つ様々な訓練が受けられるとテレビで知った。もともと前向きな性格ではなかったというが、「人に見られるのは住職も同じ。成長につながる」と、思い切って飛び込んだ。

 一昨年夏、人生観を変える出来事に直面した。同郷で一人っ子と境遇の似た、姉と慕った大学時代の先輩が亡くなった。突然だった。「何も力になれなかった。寺の娘なのに」。先輩の両親の気持ちを思うと、かける言葉もなかった。悔いが募り、「私の人生は何だったのか」との思いが頭をもたげた。

 「自分にしかできないことをしよう」。両親を大切にしたいとの気持ちも背中を押した。住職の道を選び、今年4月に真宗学科の3年次に編入した。得度は大谷派の習わしで9歳で済ませている。

 「自力の人生だったように思う。信心の大切さや本願の意味に触れ、価値観が大きく変わった。今まで頑張ってこられたのは両親や周りのおかげだったと気づいた」。編入してからの学びをこう語る。「個々の利益を追求する限り、環境問題は解決しない。大会で仏教の利他精神を訴えたい」

 木越康学長は「調和を大切にする仏教精神を発信し、自らの学びを深めてほしい」と激励の言葉を寄せた。

 日本大会は7月22日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で行われ、各都道府県の代表34人が競演する。世界大会は11月、フィリピンで開かれる予定。

2019/7/4
宣言に「ヒバクシャ」明記 16年ぶりABCPモンゴル大会

原爆被害を説明する岸田団長(中央)とパネルを掲げる日本団メンバー アジア仏教徒平和会議(ABCP)が結成50周年を迎え、本部を置くモンゴルのウランバートルにて6月21〜23日、第11回大会がガンダン寺内で開催された。前回のラオス大会から16年ぶりの大会となり、各国代表団で世代交代が確認された。13カ国と1地域から140人を超える仏教徒が結集し、伝統を引き継ぎつつ次の50年に向けての再出発を誓った。
 
 日本からは、日本宗教者平和協議会(宗平協)と立正平和の会の会員有志で日本代表団(団長=岸田正博・真言宗智山派多聞寺住職)を結成し、日本センターとしてABCP理事会より正式に認証された。

 ガンダン寺本堂の落慶式も兼ねた大会開会式では、モンゴル仏教会会長でABCP会長のハンボ・ラマ師はじめ、モンゴル国のバトトルガ大統領が祝辞を述べ、過去の大会には何度も出席しているダライ・ラマ法王のビデオメッセージが披露された。

 各代表団からの現況報告会では、日本団は、反戦・反核の活動を報告すると共に、被爆の実相、核兵器使用の非人道性、そして東京電力福島原発事故による、現在も続く甚大な被害を写真パネルを交えながら訴えた。日本団が国連に提出する「ヒバクシャ国際署名」に各国代表から賛同署名を得られた。

 続く各国代表からなる理事会では、冷戦下で策定された現行ABCP憲章の改訂作業が主な議題となった。ここで、原理主義やテロリズムの撲滅といった近年の平和への脅威を認識し、戦争のリスクを喚起すると共に、日本側の主張であった「軍縮」と「核兵器廃絶」も目標の一つとして憲章に明記された。

 大会の総括である宣言文には、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への支持と共に、さらに核兵器禁止条約履行への努力、「ヒバクシャ」のために祈り、NPT核兵器不拡散条約再検討会議の成功を祈念するといった具体的な文言も盛り込まれた。

 全体総会・閉会式では、アジアのみならず世界中の未来の発展と平和を祈る仏教徒としての連帯を再確認した。次回ABCP大会はインドで開催される予定。

2019/6/27
曹洞宗宗議会 総研に「近現代教団研究」新設 過去の宗門対応精査


総長演説に臨む鬼生田宗務総長 第133回曹洞宗通常宗議会(須田孝英議長)が24日、東京都港区芝の檀信徒会館に招集された。注目議案として、鬼生田俊英宗務総長が2月宗議会で演説した「曹洞宗総合研究センターの大胆な機構改革」のため、規程の大幅な変更案が上程された。鬼生田総長は施政方針演説で「研究機関としての機能の充実を図ろうとするもの」と述べた。総研は今年発足20年にあたる。

 総研規程の変更案で大きなものは、従来の現代教学研究部門を「未来創生研究部門」に改組することと、「近現代教団研究部門」の新設。後者は、明治元年以後の近現代の社会的な諸課題に対して宗門がどのように対応してきたか、その動向を精査し把握するものと位置付けられている。

 過疎化、葬式離れ、人権の抑圧、宗教の政治参画など現代社会で宗団が直面している多様な問題をひとまず明治から捉え直すことで、布教と問題解決に新視点をもたらすことが期待されているようだ。近年、宗内外で近代仏教研究が大きく進んでいることの反映でもあり、満を持しての設置との声もある。近現代部門には常任研究員若干名が置かれる。

 センター規定第1条には「本宗のシンクタンクとして現代及び未来の社会において本宗が直面する事象に係る諸問題を総合的かつ機能的に調査研究し、その成果を公開する」との文章が盛り込まれ、活動目的の明確化も図られている。

 総長演説では2月宗議会で伝道部に新設された過疎対策準備室についても説明があった。4月に島根県第一宗務所下の過疎地の視察を行ったことを皮切りに、状況と意見の把握に努めているとした。有道会・戸田光隆議員は総括質問で自身の選挙区である富山の過疎の苦境を訴え、視察を要請。総長は「特にご要請のある地域には担当者を率先して派遣し意見を伺いたい」と答弁した。(続きは紙面でご覧ください)