2019/3/21
WCRP日本委 宮城で復興会議と祈り トラウマ治癒 宗教者に期待 

各教団それぞれの作法でモニュメントに祈りを捧げた (公財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(植松誠理事長)は13・14日、宮城県で「震災から9年目をむかえる宗教者復興会合」を開催した。日本委が宗教者や学者、民間NPO、行政等と協力して取り組んだ復興支援活動が総括された。初日の仙台国際センター(仙台市青葉区)におけるセッションには約130人、2日目の千年希望の丘(岩沼市)での復興合同祈願式には約120人が参加した。

 日本委の庭野日鑛会長(立正佼成会会長)は、宗教者として「失われたいのちへの追悼と鎮魂」「今を生きるいのちへの連帯」「これからのいのちへの責任」の3つの方針を掲げ活動したと挨拶。震災発生後から2週間後に現地入りした際に見た「悲しみの中で懸命に生きている人のことを今でも忘れることはできない」と回想し、表面的にはかなり復興したようには見えるが、今なおいくつもの重荷を背負っている被災者を助けていく必要性を語った。

 震災復興タスクフォース責任者である黒住宗道氏(黒住教教主)は、「感謝の気持ちを持って現場で活動してくださった方が次々とこの場に来て下さったことを心から感謝します」しつつ、感謝の応酬ではなく忌憚のない意見を求め、そこから今後の展開に活かすと述べた。

 前復興大臣の吉野正芳衆議院議員(自民党、福島県選出)が基調発題。とりわけ子どもたちの心のケアは今も重要課題だと提示し、「お父さんお母さんがオロオロしている姿がトラウマになっている。子どもたちにとって親は神様みたいなものなのに、その神様が苦しむ姿を見せられ傷ついている」と語り、トラウマの治癒を宗教者に期待した。

 セッションでは曹洞宗僧侶の金田諦應氏、浄土宗僧侶の中村瑞貴氏ら宗教者が発言し復興支援・心のケアの成果と残された課題を話し合った。

涙を流し献花する昌林寺の松山住職 会議終了後の14日午後、岩沼市の千年希望の丘に移動した。同所は津波の直撃を受け、多くの犠牲者を出した地を整備したメモリアル公園。冷たい風が吹きつける中、一燈園、イスラーム、カトリック、聖公会、日本基督教団、黒住教、金光教、浄土宗、神道、真如苑、曹洞宗、立正佼成会の宗教者がそれぞれの作法で慰霊モニュメントに祈りを捧げた。津波が直撃し、本堂が全壊した曹洞宗昌林寺(仙台市若林区)の松山宏佑住職は、犠牲となった檀信徒や地元住民のことを思い出し、涙を流しながら舎利礼文を唱え、白菊を献花した。

 この3月をもってWCRPの震災復興タスクフォースは一区切りとなり、今後は各教団レベルでの支援活動が続くことになる。

2019/3/21 日宗連理事経験者 文化庁長官表彰受ける 宗教者は初めて  

 文化庁(宮田亮平長官)は11日、平成30年度(2018)の文化庁長官表彰として個人86人、団体3件を発表した。そのうち(公財)日本宗教連盟(日宗連)の理事経験者3人が該当した。3人は日宗連での活動が評価された。18日に都内の文部科学省で表彰式が行われた。

 長官表彰を受けた日宗連理事経験者は、竹田眞(88、元日本キリスト教連合会委員長)豊原大成(88、元全日本仏教会理事長・浄土真宗本願寺派)不破仁(90、元全日本仏教会理事長・真宗大谷派)の3氏。それぞれ「永年にわたり、宗教者として活動し、日本宗教連盟の理事を務めるなど、我が国の宗教文化の振興に尽力するとともに、宗務行政に多大な貢献をしている」と評価された。

 竹田氏は平成9年4月から同13年4月、豊原氏は同20年4月から同22年4月、不破氏は同10年2月から同12年1月まで日宗連理事を務めた。

 日宗連以外では、団体表彰で京都の退蔵院方丈襖絵プロジェクトが選定された。若手芸術家の育成と伝統技術の継承を合わせての襖絵制作などが評価された。

 文化庁長官表彰は毎年行われているが、宗教者への表彰は今年度が初めて。昨年9月、文化庁創立50周年を記念した「文化庁長官50周年記念表彰」(個人108人、団体52件)の際に、日宗連の理事長経験者や複数年次にわたり事務局長を経験した人を表彰(全15人)したことを契機としている。

 日宗連は、教派神道連合会、(公財)全日本仏教会、日本キリスト教連合会、宗教法人神社本庁、(公財)新日本宗教団体連合会(新宗連)の5団体で構成。各団体の代表者が1年交替で日宗連理事長に就任する。現在は、神社本庁総長の田中恆清氏が理事長。慣例により次期理事長は新宗連の順番となる。決算後の6月に交替予定。

2019/3/21
宗会シーズン 佛光寺派、醍醐派、御室派、大覚寺派、豊山派、浄土宗、日蓮宗


佛光寺派 新寝殿 来年3月完成
 真宗佛光寺派の第194臨時宗会が13日、京都市下京区の宗務所で開かれた。親鸞聖人誕生850年法要など2023年5月に営む慶讃法会の記念事業の一環で新築する寝殿の工事請負契約が承認された。(続きは紙面でご覧ください)

醍醐派 高齢化・檀信徒減 浮き彫りに
 真言宗醍醐派(壁瀬宥雅宗務総長)の第71次定期宗会(麻生章雄議長)が13・14両日、京都市伏見区の総本山醍醐寺内宗務本庁に招集された。「檀家制度の弱体化と信仰人口の減少」が進む中、全末寺の現状把握のためのアンケート調査を昨年5~7月末に実施。壁瀬総長は「43・1%(714寺院・教会中308)の回答を得た。厳しい現状を実感した」と危機感を表明し、昨年11月から3期目に入った壁瀬内局の施政方針として「社会のニーズに応える寺院活動を行う」を掲げた。(続きは紙面でご覧ください)

御室派 海外セレブ向け松林庵 「旅館業」で特別会計
 真言宗御室派(吉田正裕宗務総長)の第149回前期定期宗会(木村正知議長)が6・7両日、京都市右京区の総本山仁和寺内宗務所に招集された。主に海外セレブを対象にした「1泊100万円」の超高級宿坊・仁和寺寺「松林庵」を「旅館業」と明記し、新規事業として「仁和寺特別会計(松林庵)」を創設。修学旅行生らを迎える御室会館に加え、海外賓客が日本文化の至高体験を楽しむ松林庵が「公益事業以外の事業」に設定された。(続きは紙面でご覧ください)

大覚寺派 10月に新天皇奉祝法会 復元模写の般若心経開眼も 
 真言宗大覚寺派の第68次定期宗会(嘉原唱光議長)が13日、京都市右京区の宗務庁で開かれた。皇太子さまの新天皇即位に伴い、奉祝法会を営むことが発表された。昨秋の戊戌開封法会で披露された嵯峨天皇直筆般若心経の復元模写の開眼法要も合わせて執り行う。(続きは紙面でご覧ください)

豊山派 過疎問題、超宗派で法務も 困難寺院は吸収合併へ
 真言宗豊山派(星野英紀宗務総長)の第148次宗会通常会(5日から7日、加藤章雄議長)で、過疎問題に関する質疑で、星野総長は超宗派での対応についても言及した。
(続きは紙面でご覧ください)

日蓮宗 「祖山参拝規程」に難色 総長、明和会代表質問に
 日蓮宗(中川法政宗務総長)の第115定期宗会(大塩孝信議長)の明和会代表質問では、川口久雄会長が登壇した(6日)。川口会長は最初の質問で祖山興隆のための方策として祖山参拝規程の制定を提示し、総長の考えを問うた。中川総長は、「義務化や強制的と受け取られる可能性がある」と参拝規程の制定には、難色を示した。(続きは紙面でご覧ください)

浄土宗 4月から新体制スタート
 浄土宗の第120次定期宗議会(木村弘文議長)は8日、予算関連議案14件、法規関連議案15件、機構改革関連議案10件の計39議案を可決し、5日間の会期を終え閉会した。昨年2回の定期宗議会で骨子を固めた宗務庁の組織再編案に関し、仕上げとなる細部の諸規定を整備。4月からいよいよ新体制がスタートする。(続きは紙面でご覧ください)

2019/3/14

部下を「地涌の菩薩」と表現 吉田元所長を語る 同級生・杉浦弘道氏

放射線汚染土などの除染廃棄物の中間貯蔵施設の建設が進む(撮影2018年10月、大熊町) 8年前の東日本大震災で、とりわけ過酷な状況におかれたのが東電福島第一原子力発電所事故の処理にあたった作業員たちである。被曝を覚悟しながら原子炉に向かい続けた。これを指揮したのが吉田昌郎所長(2013年7月9日死去、享年58)である。吉田所長は作業員たちを法華経に記されている「地涌の菩薩」と表現した。「吉田君らしい」と語るのはネット公開された動画(当時)を見た奈良市の杉浦弘道・浄土宗稱念寺住職(64)である。


 「この時期になると吉田君を思い出します。今年7月には彼の七回忌を迎えます。静かに吉田君のことを、そして犠牲者の方々を回向したいと思っています」

 吉田君とは吉田昌郎元所長のことである。高校(大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎)2、3年時には同じクラスだった。2人の関係と証言は門田隆将著『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫、初出はPHP研究所)に記載されている。

 高校時代、杉浦氏の前に吉田青年が現れた。「突然、お前はお寺の息子か、般若心経ぐらい知っているだろうと言って、目の前で諳んじ始めた。そのシーンは今でもよく覚えています。当時、私はまったくお経を知らず恥ずかしく思いました。これに刺激されてお経の勉強を始めたんですよ」と苦笑する。吉田氏は在家出身である。『死の淵』では道元の『正法眼蔵』を座右の書としていたとある。

根底に武士道精神と慈悲の心
 高校時代から吉田氏は存在感があった。「剣道部に所属していたこともあり武士道に関心を持ち、憧れをもっていました。一本筋の通った男でした」。学生時代の吉田氏は多彩な才能を発揮。学園祭では同級生に旧制高校の寮歌や校歌を教え、写真にも関心を寄せた。「私も影響を受けて一眼レフを買う羽目になりました。社会派の写真家、土門拳が好きで、とても尊敬していた。どういう字を当てるのかは知りませんでしたが、倣って『ドビンカン』を自称して、写真を撮っていましたね」

 高校卒業後、別々の進路をたどり吉田氏は東工大から東京電力へ進んだ。杉浦氏は大学卒業後、高校時代に急逝した父の跡を継いで住職資格を取得。一方で京都の華頂学園(高校)の数学教師(非常勤)を7年ほど勤めた。

 卒業後、2人の出会いは残念ながらなかった。それが連日放映されるテレビで“再会”したのはまさに震災直後からだった。その様子を視聴した杉浦氏は「久し振りに見る吉田君は非常に立派でした。とても冷静で落ち着いていた。原発事故後、うまく収束することをずっと願っていましたが、彼ならやってくれると信じていました」と全幅の信頼を置く。そして「行動力があり責任感が強い人間でしたが、それは武士道からの影響が大きかったのではと思っています。また部下や作業員をうまくコントロールしていたのは、彼の持つ仏教的背景の『慈悲』の心がその根底にあったのではという気がしています」。

 2011年12月、吉田所長は食道がんのため退任し、その後は入院と手術が続いた。脳出血もあった。2012年8月、福島で開かれたシンポジウムにビデオ参加した吉田氏は次のような発言をした。

 「現場に飛び込んで行ってくれた部下に、地面から菩薩が涌く『地涌の菩薩』のイメージを、地獄のような状態の中で感じた」

 法華経従地涌出品第十五に登場する「地中から出現する菩薩たち」である。「吉田君らしい表現だと思います。私の宗派は浄土宗ですから法華経は専門外なので、調べ直してこんな意味があったのかと思いました。それから動画(ネット)を改めて見て、彼なりの彼らしい表現だったなと思いました。その表し方に部下を思いやる優しさや感謝の気持ちが滲み出てますものね」

 杉浦氏は1995年の阪神淡路大震災後、兵庫県西宮市の斎場で読経ボランティアを行い、灘高では炊き出しに協力した。灘高では自衛隊員が風呂の設営をしていた。杉浦氏には自衛隊員と、吉田所長と作業員が重なって映る。「自衛隊員のキビキビした動作は、被災者にどれだけ信頼感や安心感を与えたことか。それを私はひしひしと感じました。同じように吉田君の部下たちも、吉田君を心から信頼していたからこそ、このような行動ができたのだと思います。『フクシマ50(フィフティ)』と呼ばれるようになったのも、この絶大なる信頼関係がその裏付けにあったからなんだと思います」

 今夏7月9日は吉田氏の七回忌。「ご命日には本堂で一座の法要をしたい」と語る。そして人づてに聞いた話だとして、「彼は再び元気になって、迷惑をかけた福島の方々、一軒一軒を謝ってまわりたいと話していたようなのです。そんな思いで、病気に真剣に立ち向かっていた。しかし残念ながらできなかった。その無念の思い、彼の遺志を何かの形で受け継げるようなことができれば」と静かに話した。

 高校卒業から45年余り接する機会はなかったが、杉浦氏は、吉田氏の壮絶な生き様を改めて思い、菩提を弔いつつ、被災地の復旧復興という、いのちを賭したその悲願が少しでも早く成就されんことを心から願う日々を送る一人である。

2019/3/14
全日仏青 福島で慰霊法要 だるま300体を奉安


各宗派それぞれの形で復興への祈りが捧げられた 全日本仏教青年会(全日仏青)は8日、福島県伊達市(旧霊山町)の曹洞宗成林寺で東日本大震災慰霊法要と、全国の檀信徒から奉納された復興祈願だるまの奉安を行った。僧侶と成林寺檀家ら約50人が参加。震災から8年が経っても復興は道半ばだが、青年僧は「七転び八起き」のだるまさん精神で前に進む祈りを捧げた。

 震災の日を思い出すような冷たく強い風が吹いていた。成林寺は発災直後からしばらくの間、全国曹洞宗青年会災害復興支援本部が置かれ、復興支援の拠点となった寺。震災三回忌(2013年)に建立された納経塔には大小約300のだるまが並べられた。このだるまは、受験の合格や選挙当選などの願いがかなって両目が入れられた「役目を終えた」ものにもう一度、復興の願いを込めて届けられた。

導師を務めたのは倉島隆行理事長。金峯山青年僧の会による法螺貝の響きが山野にこだまし、曹洞宗の御詠歌、天台宗や真言宗の声明、浄土宗の念仏供養など各宗派それぞれの祈りを捧げ、観音経を読誦した。

 納経塔脇の「東日本大震災 鎮魂の誓い」の碑に書かれている「共に悼みます 失われた命を 共に祈ります 別れた命の安らぎを 共に忘れません その輝いていた命を 共に寄り添います 同じ命を生きる証に」の言葉を一同で唱和。碑が建立された時に全日仏青理事長だった村山博雅氏(現・WFBY世界仏教徒青年連盟会長)も、長い道のりに思いを馳せながら手を合わせた。

 成林寺の久間泰瑞住職は毎年、青年僧たちの慰霊法要が営まれていることに感謝。かつ、「今なお本県に帰ってこられない人が3万2千人いる」と語り、故郷を喪失した人々の苦しい心にも寄り添った。副住職の久間泰弘氏らが行っている、被災した子どもたちの心の悩みを聞く「チャイルドラインふくしま」には未だに、震災や原発事故で傷ついた子どもたちからの電話が鳴り止まないという。

 地元・白河市の白河だるま総本舗の14代目である渡邊高章氏は高校の卒業式を前に東日本大震災の直撃を受けた。「これだけのだるまが全国から集まったのは凄いこと。だるま屋の私でも初めての体験です」と驚き、東北復興のために力を尽くす青年僧たちの明るさ、思いやりを喜んだ。今回、だるまと共に5千円以上を奉納した人には、白河だるま総本舗が作っただるまが記念品として贈呈される。

2019/3/14
豊山仏青 「空」からも支援を整備 ヘリ会社と災害協定結ぶ

柏市の布施ヘリポートで調印の記念撮影を行った。(右から板谷氏、林氏、手塚氏、石井氏。ヘリ後方には布施弁天 真言宗豊山派仏教青年会(林映寿会長)は11日、国内唯一のヘリコプター旅客輸送プラットフォームを運用する㈱AirX(本社:東京都渋谷区、
手塚究代表取締役)と防災協定を締結した。協定は昨夏に結んだ食品メーカーの石井食品㈱(石井智康社長)とレンタルキャンピングカーの㈱レヴォレーター(板谷俊明代表)に次ぐ3社目で、今後、災害時のヘリコプターによる空からの物資支援体制を整備する。

 災害協定の調印式は千葉県柏市の同派布施弁天東海寺で開催。同寺から徒歩10分程の場所に布施ヘリポートがあることから行われた。同寺では昨年に豊山仏青主催の縁日プロジェクトが初めて行われた。

 東日本大震災から8年となることから、調印式を前に東海寺の下村法之住職を導師に本堂で復興祈願法要を厳修。下村住職は慰霊と復興を祈願し、「今後起こりうる災害に対して迅速なる支援を実現させるため、大同団結し災害協定の契りを結ぶ者なり」と奏上。災害が起こらずに、「この協定が履行されぬよう」と祈念した。

 昨年9月の北海道胆振東部地震では、被災地へ物資の支援を試みたが、陸路による物流が止まったため速やかな対応ができなかった。これを踏まえ、豊山仏青ではヘリコプターを活用した物資支援体制を整備することになった。AirXは全国のヘリコプター会社と提携し観光遊覧やチャーター事業を行っている。代表取締役の手塚氏は、「災害時には上空視察やお客様の移動などをしてきた。上空から何かお手伝いを出来たらと常々思っていた」と災害協定を歓迎。ヘリの着陸場所は20m四方があれば可能と言い、林会長は「今後、寺院の駐車場や境内地でも(着陸が)可能な場所を検討したい」と応じた。寺院のネットワークを活かした支援物資の運搬方法やネットワークづくりなどについては今後、具体的に検討していく。

 林会長は「(災害が起きず)活動しないことを願いつつも、どんなことが出来るのか、話し合う時間を4者で持ちたい」と抱負。昨年に「陸」のキャンピングカー、今回は「空」のヘリコプターと協定し、「次は『海』との提携を目指したい」と展望した。

2019/3/14
寺院実務法学会が発足 最新事例や判例を検討

寺院実務法学会への期待を語る渡辺教授(日蓮宗僧侶) 「寺院法務に精通した実務家の養成」を掲げる寺院実務法学会の設立総会が7日、神戸市東灘区の甲南大学法科大学院で開催され、弁護士ら専門士業や僧侶など約20人が参加した。設立発起人の西口竜司弁護士は、「宗教法人に関する法律を学んで寺院の発展に寄与したい」と抱負を語った。

 宗教法人の運営と実務に関する憲法・法律の専門的知識の習得や判例の検討を中心に、最新の問題や将来発生が予想される諸事象への対応、適切な寺院支援の方法を学ぶ。隔月で講演会や研修会などの定例勉強会を開くことを柱に、寺院でのフィールドワークも行う。寺院関係者対象の相談会なども予定しているという。

 宗教法人法や寺院実務等を深く学びたい住職・寺族ら寺院関係者の入会も可。営利目的での入会は不可。「入会金+年会費」は正会員=個人6千円・法人1万円。事務局(☎078―708―1919 神戸マリン綜合法律事務所内)。

 山梨県南アルプス市・日蓮宗了泉寺の副住職でもある渡辺顗修・同大法科大学院長(弁護士)は、「今、寺文化は間違いなく崩壊しつつある。もう(寺は)人が集まれる場所ではない。地域に根差したお寺が崩壊するのは、地域社会を弱め、日本を弱めていくことになる」と憂慮。「法という物差しを使って問題を解決していくサムライ(専門士業)と一緒に、(これからの)宗教文化を作っていきたい」と呼びかけた。

 第2回は4月26日午後6時から、三宮駅前の神戸市勤労会館で勉強会「仏教用語の基礎知識」(講師=中山戒仁・佑想庵代表)。参加費=会員千円、非会員3千円。今後、「クラウドファンディングによる収入は課税事業か、宗教活動(非課税)か」など、最新の事例検討も行っていくという。

2019/3/7
宗議会シーズン 浄土真宗本願寺派、高野山真言宗、真言宗智山派、浄土宗、日蓮宗、真言宗豊山派、臨済宗妙心寺派


浄土真宗本願寺派 4月に法要準備事務所設置 東京五輪イベントに協力
 浄土真宗本願寺派の第314回定期宗会(浅野弘毅議長)が2月27日、京都市下京区の宗務所で始まった。石上智康総長は執務方針演説で、2023年に営む親鸞聖人誕生850年、立教開宗800年の慶讃法要について、4月に法要準備事務所を設置し、12月に実働体制を整える方針を示した。4月15日の立教開宗記念法要で期日が発表される見通しだ。(続きは紙面でご覧ください)

高野山真言宗  学園赤字 参拝者補填? 駐車場有料化めぐり議論
 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)の第161次春季宗会(安藤尊仁議長、2月26~28日)で発表された、高野山内9カ所の金剛峯寺所有の駐車場を来年4月から有料化して収益約1億円を経営難の㈻高野山学園(大学・高校)の運営資金に充てる計画。髙橋隆岱議員(東京)が「学園が赤字でなければ有料化は必要ない。赤字の責任は誰にあるのか。参詣者に赤字を肩代わりしてもらうような施策は道義的にいかがなものか」と問いかけるなど、その是非をめぐって論戦が展開された。(続きは紙面でご覧ください)

真言宗智山派 宗派負担で保険化 弔慰金一律70万円
 真言宗智山派(芙蓉良英宗務総長)の第128次定期教区代表会(池田英乘議長、2月19~22日)で、住職遷化に際して宗派から支給される弔慰金を保険化する智山派慶弔規程の一部改正が行われた。宗派が保険料を全額負担して末寺住職らに「一律70万円の生命保険」に加入してもらう制度で、保険金を弔慰金として支給する形になる。(続きは紙面でご覧ください)

浄土宗 豊岡総長が公式見解 法主推戴に条件あり得ず
 浄土宗の第120次定期宗議会が4日、京都市東山区の宗務庁で始まった。一般質問で大本山清浄華院(京都市上京区)の離脱問題が取り上げられ、豊岡鐐尓宗務総長が「法主の推戴に条件があってはならない」との考えを語った。この問題に関し、浄土宗側が公式の場で見解を示すのは初めて。(続きは紙面でご覧ください)

日蓮宗 「強い日蓮宗」支援体制整備 福祉共済・過疎対策で前進
 日蓮宗の第115定期宗会(大塩孝信議長)が5日、東京都大田区の宗務院に招集された。中川法政宗務総長は施政方針で、「強い日蓮宗」を実現するため「すべての教師が活発な布教活動を安心して継続できる支援体制」を整えると表明した。現在検討中の福祉共済制度改革に言及したほか、過疎対策などの施策を打ち出した。(続きは紙面でご覧ください)

真言宗豊山派 長谷寺 今年が「修復元年」 特別賦課金、5月臨宗で審議
 真言宗豊山派(星野英紀宗務総長)の第148次宗会通常会(加藤章雄議長)が5日、東京都文京区の宗務所に招集された。星野総長は施政方針演説で重要課題である総本山長谷寺(奈良県桜井市)の伽藍修復について、来年度から本坊(重文)の耐震調査が始まることや、修復費のための特別賦課金が始まる今年を重要な「修復元年」と位置づけ、「困難な道のりだが最大限の努力を尽くす」と表明した。(続きは紙面でご覧ください)

臨済宗妙心寺派 小倉宗俊管長の発言受け 雛僧教育の検討要請
 臨済宗妙心寺派第136次定期宗議会の通告質問は2月21日に行われ、小倉宗俊管長が開会宣示で禅僧の質の低下を問題視し、「原因の一つは雛僧教育の欠如にある」と述べたのを受け、山本文匡議員(四国東)が雛僧教育の充実に向け、教区単位での研修会開催を提案した。(続きは紙面でご覧ください)

2019/3/7
被災65年 3・1ビキニデー 墓前で核廃絶誓う 焼津市弘徳院

久保山さんのお墓に参拝する宗教者ら。数人ずつ交代で参拝した 被災65年を迎えた今年の3・1ビキニデー。米国の原水爆実験で被曝した第五福竜丸の乗組員で、半年後に死亡した久保山愛吉さん(享年40)の墓前祭が今年も1日、静岡県焼津市の曹洞宗弘徳院(松永芳信住職)で営まれ、核兵器のない世界を願った。主催は日本宗教者平和協議会(宗平協、荒川庸生理事長)。

 午前9時半、焼津駅前に集合していた1千人を超える参拝者が弘徳院に向けて行進を開始。横断幕に続く先頭には宗平協メンバーが、「兵戈無用」「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などの幟を手に行進。地元の日蓮宗伊豆国撃鼓伝道隊も加わり力強く唱題行脚した。

 同10時30分からは境内特設テントでの追悼法要。祭壇には久保山さんの位牌と遺影が安置され、入院加療中の住職に代わって弘徳院の松永善弘副住職と焼津市仏教会が出仕して営まれた。

 主催者挨拶では荒川理事長が、宗平協主催の墓前祭が55年となり、弘徳院や仏教会、市民らの協力に感謝した。さらに「昨年6月には1回目から準備し、守ってこられた鈴木徹衆元理事長が遷化され、追いかけるように1回目から参加された日隈威徳さん(宗教学者)も1月に遷化された。私たちは多くの遺志を受け継ぎながら続けていかなければならない。核兵器廃絶の日まで、久保山愛吉さんの遺志に添って努力していきたい」と力を込めた。

 法要後、松永善弘副住職は世界各国からの参拝に謝意を示し、「久保山さんは、私の祖父の時代に被曝された。“原水爆の犠牲者はわたしを最後にしてほしい”と言われて亡くなられた。久保山さんの願いを、皆さまお一人おひとりの願いとして成就されることを祈念する」と挨拶した。

 各界の誓いでは、各団体代表がマイクを握り、核兵器禁止条約への日本の参加や、核なき世界を訴えた。宗平協を代表して矢野太一氏が天理教平和の会の活動を紹介しつつ、「久保山さんの願いをしっかり受け継ぎ、他宗派の人たちや民主団体と共同して核兵器のない平和な世界を目指して精進を続けることを決意する」と墓前に誓った。

 久保山愛吉さんのお墓には「原水爆の犠牲者はわたしを最後にして欲しい」という遺言も。参拝者は久保山さんが好きだったバラを献花した。合わせて宗平協が核廃絶を願って製作したキリスト教と仏教の二つの鐘からなる「平和の鐘」を鳴らして追悼した。