2020/2/20
日蓮宗大本山誕生寺 初のお題目サミット開く 降誕800年を翌年に控え広宣流布を共に誓願


法華経、お題目の実践を誓い日蓮聖人に報恩の誠を捧げたお題目サミット 日蓮聖人が生まれた千葉県鴨川市小湊でお題目を奉ずる出家・在家の教団が一堂に会して「第1回お題目サミット~ともにお題目を唱えよう」が16日、日蓮宗大本山誕生寺(石川日命貫首)で開催された。来年の降誕800年を前に日蓮聖人の誕生を祝し、賛同する12教団・寺院の代表者とともに約1300人が「南無妙法蓮華経」とお題目を唱え、広宣流布と世界平和仏国土顕現に向けて精進することを誓った。

 小雨が降る中、各教団の代表者によるお練り行列が総門から始まり、仁王門で各代表者を出迎えた石川貫首が列の最後尾に合流。境内では、万灯供養や纏(まとい)のほか、雨に負けまいと団扇太鼓に合わせた唱題が行われ、代表者らを迎えた。

 祖師堂では、各代表者が一人ずつ焼香。続いて満堂の参加者とともに「御降誕800年という尊い仏縁を得てお互いが仏使としての自覚を深め共に助け合い、今後も南無妙法蓮華経の広宣流布と世界平和仏国土建設にむけて精進していくことをお誓い申し上げます」と誓願文を読み上げた。

 石川貫首は挨拶で参加した各団体に御礼を述べ、「お題目をお唱えするすべての教団は、本仏釈尊から特命を受けた地涌の菩薩に他なりません。今こそお互いが手をとりあって、法華経、お題目、南無妙法蓮華経の実践をもって報恩の誠を捧げたい」と話した。

小雨の中、山門前の石段を昇る参加団体の代表 場所を近くのホテルに移して開かれた会議の部では、サミットの提言として同寺の角濵監鏡執事長が登壇し、お題目を奉ずる教団が社会問題に関心を持ち、各教団で問題に取り組んでいることに感謝。「子どもの貧困問題、家庭問題、地球問題、今も疫病の問題が起こっている」と指摘し、そうした社会課題について意見を交わすためにも今後もサミット継続を提言した。

 「お題目サミット」は日蓮聖人降誕800年を来年に控え、誕生寺の石川貫首が発案。「お題目をお唱えするすべての教団が教義・主義の垣根を超えて純粋な気持ちで日蓮聖人が弘めたお題目をもって、誕生の地である小湊に集い、100年に一度という千歳一遇の時を得た人々でお題目を捧げ日蓮聖人の御降誕をお祝いする」との趣旨の下、お題目を奉ずる教団に呼びかけられた。

 一昨年ほど前から各教団への趣旨説明など準備を始め、呼びかけた約40団体の内、15団体から賛同を得た。

 当日は各団体内の行事と予定を調整できた12団体・寺院(国柱会・思親会・真生会・大慧會教団・日本山妙法寺大僧伽・日蓮宗大本山池上本門寺・佛所護念会教団・福聚の会・妙智會教団・立正佼成会・日蓮宗総本山身延山久遠寺・日蓮宗大本山誕生寺)の代表者がお題目の聖地・小湊誕生寺に集った。

2020/2/20
核燃料サイクル差し止めへ 来月9日 宗教者200人が東京地裁に提訴 

 核燃料サイクル事業(青森県六ヶ所村)の運転差し止め求めて超宗派の宗教者が3月9日、東京地方裁判所に提訴する。第一次原告は今月15日で締め切られ、約200人が登録した。原告団は、核といのちは共存できないという立場から憲法判断を求める。原発は倫理に反し、次世代にツケを残してはならないという思いも共有されている。

 原告団は「原子力行政を問い直す宗教者の会」(宗教者の会)のメンバーら。仏教89人、キリスト教101人、その他が約10人の構成だが、さらに原告を募っていく方針。略称は宗教者核燃裁判。原告団の共同代表は、中嶌哲演氏(福井県、真言宗御室派明通寺住職)と岩田雅一氏(青森県、日本キリスト教団牧師)。

 被告は、核燃料サイクル事業の主体である日本原燃株式会社(本社・青森県六ヶ所村)。原発で発生した使用済燃料からウランとプルトニウムを取り出して再利用する事業を行っているが、危険性が極めて高い。政策が変われば軍事転用される恐れもある。

 原告団は、原発や原子力法制は主権者の権利を保障する日本国憲法に違反していることや、使用済み燃料・放射性廃棄物を後世に残すことは、宗教者、信仰者としての倫理性に反すると主張している。

 宗教者の会は2年前の松山全国集会で司法への働きかけが必要ではないかとの意見が提起され、昨年1年をかけて会合を重ね、他の団体とも意見交換しながら準備してきた。そして原告団の募集を行い、来月9日の提訴日が決まった。午後1時30分に東京地裁前に集合。提訴書類の提出後、弁護団が記者会見を行い、引き続き会場を移して決起集会を行う予定。

 環境と未来を破壊
 宗教者核燃裁判原告団共同代表の一人である中嶌哲演氏(真言宗御室派僧侶)の話
 いわゆる「国策民営」の原発推進でありながら、大都市圏の繁栄のために過疎・辺境の地にいずれの原発群を押しつけたり、多くの被ばく労働者を生み出してきました。その核燃サイクルの最終的なツケが本州最北の青森県に回されていることに、私たちは心痛と倫理的な責任を感じざるを得ません。

 かつて「国策」として進められた植民地支配や侵略戦争に対して、仏教者や各教団がどのように関わったのかという反省も、私たちは踏まえています。

 「フクシマ」が実証しているように、人間の一切合財を奪うだけでありません。生きとし生けるものや全環境とその未来を破壊するのです。原発と核燃サイクルの廃止を、倫理的・仏教的に問い直し、訴えて参りたい。

2020/2/20

第37回庭野平和賞 韓国の法輪師に贈呈 南北対話や難民支援活動 

 
第37回庭野平和賞を受賞した法輪師 宗教協力を通じて世界平和に貢献した個人や団体に贈られる庭野平和賞(公益財団法人庭野平和財団=庭野日鑛名誉会長〈立正佼成会会長〉・庭野浩士理事長=主宰)の第37回の受賞者に、韓国の在家仏教教団浄土会の創立者で禅師の法輪(ポンニュン)師(66)が選ばれた。「地球上に浄土を実現させる」ために、様々な団体を立ち上げて朝鮮半島の平和構築や難民支援、環境保全などに取り組んできた功績が評価された。

 法輪師は1953年4月11日、韓国蔚山(ウルサン)広域市蔚州(ウルチェ)郡生まれ。16歳の時に曹渓宗で出家し、35歳で浄土会(ソウル市)を創立。韓国を中心に信者約8千人が利他行の実践による仏道修行を行い、法輪師と共に戦争や紛争、自然災害や環境破壊に端を発した苦難の中にある人々の救済に取り組んでいる。日本国内にも4カ所の活動拠点がある。

 浄土会内に設立した各団体で社会貢献。2004年設立の「平和財団」では米朝対話や南北対話を推進し、1999年設立の「グッドフレンズ」では北朝鮮難民や中国への脱北者らを支援、1993年設立の「JTS」では北朝鮮・インド・フィリピン・インドネシアなどの貧困者支援を展開している。特に北朝鮮への1万トンのトウモロコシの支援や、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプへの10万台のコンロの提供など、非政府組織の特性を活かした活動を続けている。

 法輪師は受諾メッセージを寄せ、「飢えや無教育、過酷な貧困の背景に戦争や紛争が横たわっている」と指摘。「私たちが相互理解や他の人との違いを理解した上で、世界の諸宗教が共に平和のために協働すれば、今日世界中で起きている紛争や戦争を大幅に削減することができる」と述べ、今回の受賞を「平和への取り組みに向けた宗教指導者の皆様方との結束を高める」ものとした。

 庭野理事長は京都市内で17日に開かれた記者発表会で、テレビやYouTubeなどで分かりやすく仏教の教えを発信している法輪師の一面を紹介。一般市民向けの講演をして様々な質問に平易に答えるなど、韓国内では最も著名な僧侶の一人であると話した。

 同賞贈呈式は6月3日午前10時半から、東京都港区の国際文化会館で挙行され、賞状と顕彰メダル、賞金2千万円が贈呈される。同4日には京都市内で記者懇談会を予定。受賞者は125カ国・約600人の識者に推薦を依頼し、宗教者8人の国際委員から成る選考委員会で決定される。

2020/2/20
大谷大 茶葉使ったビール開発 フィールド先の魅力を商品化 

   
醸造所運営の卒業生が完成させたビール フィールドワークに通う京都市北区の山間部・中川地区の茶葉を使って、大谷大(同区)の学生らがビールを開発した。人口減や過疎化が進む同地区の活性化につながればと期待を込める。14日に発売した。

 北山杉の産地として知られるが、同地区の人口は現在300人を切り、高齢化率は約60%と高い。社会学部・志藤修史教授のゼミでは、答えの出ない過疎化の課題を探ろうと、2015年から同地区に通い始めた。掃除を手伝ったり、行事に参加したりするなど交流を続けている。

 そんな中、かつて山仕事の最中に飲まれたお茶を復活させる取り組みに協力。自家用に栽培されてきたため、品種改良されていない古来のままの品種に近いという。「まんま茶」と名付けられたこのお茶を通して同地区を広く知ってもらおうと、ビールの商品化を企画した。

 開発は、同大卒業生で障がい者の就労支援を行うクラフトビール醸造所を運営するNPO法人「HEROES」(上京区)の松尾浩久理事長に依頼。独特の風味があるまんま茶をさわやかな飲み口に仕上げた「京都・中川まんまビーア!」が完成した。学生が摘んだ茶葉約5㌔を使って約320㍑が造られた。

 同地区の社会福祉協議会の水田隆一会長は、「お茶がビールになるとは想像もしなかった。嬉しい」と喜んだ。売り上げの一部はゼミの活動費として、中川地区の魅力発信などに使う。

 330㍉㍑瓶が660円。500本限定で、HEROESが手掛ける「西陣麦酒」のオンラインストアで買える。醸造所併設のバーのほか市内の2店舗で生ビールも飲める。今年の茶葉でも醸造する予定だ。

2020/2/13
日中禅文化交流協会 中国にマスクを緊急発送 

 
 国際(日中)禅文化交流協会(大谷哲夫会長)はコロナウイルスが猛威を振るう中国を気遣い、1月28日にマスク500枚を湖北省仏教協会に寄付。続けて薬品等も発送した。

 同会は湖北省仏教協会と親密な関係で、これまで武漢市で禅林墨跡・仏画展などを共催してきた。武漢大学で講演した経験もある大谷会長は「老朋友の危機に黙ってはおれません」とマスクを集めて緊急に発送。中国で今、一番求められているのはマスクで、生産が追い付かず価格は高騰している。1月下旬は日本でもマスクがほとんど品切れ状態で集めるのは難しく、「もっと多く送りたかったのですが」と鈴木潔州幹事長は語る。

 同会では今春、中国僧侶の来日に合わせた交流が多数予定されていたが現時点ではすべて中止。5月には山東省への訪中も予定されているが、様子を見るという。

 6日に緊急役員会が開催され、一日も早い復旧の祈念と、病死者の追悼のための「コロナウイルス終息祈願法要」が25日午後4時から大谷会長の自坊・長泰寺(東京都新宿区市谷佐内町11)で営まれることが決定。日中友好を願うなら僧侶・一般問わず参加は自由となっている。

 中国在住の同会会員によると「お寺さんはどこも山門を閉ざして参詣者の立ち入りが禁じられていますし、もちろん法要などもできません。政府は人が集まることに神経を尖らせている」といい、寂しい状況になっている模様。例年、中国の寺院は旧正月(春節)で境内に人が押し寄せるが、省政府は感染拡大を恐れ閉門勧告を出し、中国仏教協会も全土の寺院に通達を出した。

2020/2/13

相次ぐ災害 支援体験を共有 有効性増す各方面との連携 SVA・曹洞宗・全曹青・婦人会共催シンポ

  
連帯と情報共有の重要性が確認されたシンポ (公社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)、曹洞宗宗務庁、全国曹洞宗青年会、曹洞宗婦人会の4者共催によるシンポ「災害支援のこれから―共に学び、新しい未来をつくる」が4日、港区の東京グランドホテルで開催された。曹洞宗宗務庁が昨年これらの関係団体と災害協定を結んだことを受けてのもの。寺院が宗門・関連団体・一般団体と連携を図ることが地域の物心両面の復興に大いに益することが論じられた。約200人が参加した。

 大阪大学教授の稲場圭信氏が「災害時における寺院の役割」について基調講演。東日本大震災、熊本地震から一昨年の西日本豪雨、昨年の台風19号に至るまで、避難所として人々を助けてきた寺院の「ソーシャルキャピタル」(社会・地域における人々の信頼関係や結びつきは資源であるとする考え方)を強調。

 「宗教者が平常時から自治体や自治会、社会福祉協議会、NPO、ボーイスカウトなどの地域社会と連携しているところは災害時に力を発揮する」と述べ、防災の取り組みが日常の縁作りにもつながると提言し、協力を推進。東日本大震災の時に、避難所指定されていないなどの事情のため門を閉ざし被災者支援ができなかった寺が地域住民から強い反感を買った事例もあったと述べた。(続きは紙面でご覧下さい)

2020/2/13
節分会スケッチ 京都・聖護院門跡 山伏の法力で鬼を調伏


山伏と鬼の迫力ある対決 京都市左京区の本山修験宗総本山聖護院門跡では、3日午後1時から山伏追儺式が営まれた。宮城泰岳執事長が大勢の参拝者に、「生かされていることに感謝しながら、“自分さえ良ければ”という心の中の鬼を少しでも追い出していただきたい」と挨拶。勇壮なほら貝の音と共に山伏と福男・福女ら約30人が宸殿に入堂し、宮城泰年門主を導師に除災招福を祈願する節分会法要を営んだ。

 宮城門主の掛け声に続いて、山伏と福男・福女らが「福は内!」「鬼は外!」と唱和。怒声を発しながら勢いよく乱入してきた赤鬼・青鬼・黄鬼に豆をぶつけた山伏が錫杖を振り始めると、金棒を振り回して狼藉三昧だった鬼たちも衰弱。法力で調伏されて改心すると、参拝者からの「鬼さ~ん、お願いしまーす!」という声援を浴びながら福男・福女と一緒に福豆をまいた。

 豆まき終了後も、鬼たちは大人気。集まってきた参拝者の頭に金棒を当て、身体健全などの加持をしていた。

 豆まき式を終えた宮城門主は、「世界の人たちが穏やかに暮らせるようになるには、一人ひとりが心の中の鬼を追い出し、社会を浄化するような暮らしをしていくことが大切だ」と話した。境内では山伏が厄除開運の陀羅尼豆を授与。午後3時から採燈大護摩供が厳修された。(この他の寺院・教団の節分行事の模様は紙面でご覧下さい)

2020/2/6

全日仏 死刑廃止諮問「教義と相いれない」と答申 理事会〝廃止表明ではない〟

 
 (公財)全日本仏教会(釜田隆文理事長)は1月30日、東京・芝公園の明照会館で4月から始まる新年度の事業計画や予算などを主議案とする第27回理事会を開き、原案通り承認した。釜田理事長が3つの審議会に諮問した事項の答申が報告された。その一つ、死刑廃止について事前にマスコミで「仏教会、死刑反対表明へ」と報じられたため、理事から答申内容を確認する場面もあった。理事でもある戸松義晴事務総長は「これは死刑廃止の表明ではない」と釈明した。1千字弱からなる答申では「仏教の教義と死刑が相いれないことは明白」とし、いのちの問題として一層議論が深まることを期待している。 

 釜田理事長は2年前の就任後、第33期社会・人権審議会(佐々木基文委員長・高野山真言宗)に「死刑廃止について宗教者はいのちの尊厳と人権的見地からどのように捉えるか」を諮問した。昨年12月2日に答申書が理事長に提出された。

 答申書では「教義と死刑が相いれないことは明白」と明記。死刑をめぐる日本の現状や教誨師、更生保護、被害者遺族、加害者親族などに触れ、問題意識を共有した上で、死刑についての議論の深化を期待する内容となっている。ただし、冤罪(誤判)の観点からの言及はない。

 質疑では、岡野正純理事(孝道教団)が、「答申報告ということであって、今後の進め方について改めて事務総局で明らかにしていただきたい」と要請。戸松事務総長は「皆さまからいろいろご意見をうかがい、また事務局で検討して次回理事会に向けて具体的な対応を考えていきたい」と前向きに応えた。 
 
 松原功人理事(本願寺派)は、同日のマスコミ報道と答申を付き合わせ、「どうみても死刑制度に関して各宗派が問題を共有して議論を深めていこうという答申だと思う。それが『死刑反対表明へ』という見出しとなっている。新聞に『理事会で了承される見通し』とあるが」と質した。

 戸松事務総長は「死刑廃止の表明ではない。理事会で決議して、全日仏として仏教会全体で死刑廃止でいくんだということでもない」と述べ、答申にあるようにあくまでも宗教者や加盟教団が議論を深めるものだと位置づけた。

 理事長経験のある齋藤明聖理事(大谷派)は死刑反対表明記事がネットでも溢れていたことを報告し、「(答申後)直ちに声明を出すことはあり得ないのではないか」と意見。議論を深める一方策として、「例えばセミナー(一昨年12月の「死刑廃止を考える」)を冊子にしてお配りをするなど様々な手だてを尽くしながら、各宗派にも社会にも問題提起していくことに努めていただきたい」と要望した。

「殺」して死なせる「殺人刑」
 「福岡事件」で無実を叫びながら刑死した死刑囚の再審や死刑反対を訴えている生命山シュバイツァー寺(熊本県玉名市)の古川龍樹代表の話

 「釈尊よ、私の無実を聞いてほしい」。こう日記に綴っていた「福岡事件」の西武雄死刑囚は、28年間の冤罪の訴えも空しく処刑されました。裁判も死刑も人間が行うことですので冤罪が生まれます。仏との出会いで魂は救われても、死刑で命は奪われたのです。
 
 元来「生」と「死」は天から賜ったもの。「殺」は「生」を人間の力で奪うこと。死刑は、頂いた「生」を「死」ぬことではなく「殺」して死なせるのですから「殺人刑」です。「不殺生」の立場を貫いた上で、冤罪も含めた様々な死刑の問題に取り組むことが、一刻も早く仏教者に求められるのではないでしょうか。

2020/2/6

日蓮宗勧学院研修会 降誕800年の意義を検討 三奇瑞と三大誓願に関係性

 
降誕の意義から法華信仰を検討した日蓮宗勧学院の研修会 日蓮聖人御降誕800年の意義を考える日蓮宗勧学院研修会が1月24日、東京都大田区の宗務院で開催された。学階を有する4人の研究者が「法華信仰の〝今〟を考える」をテーマに教義と信仰から降誕800年の意義を討議した。

 勧学院では、降誕800年の意義について研修会で討議しており、今年で3回目。誕生寺への団参が進む中、来年の宗祖降誕800年の正当に向けて、その意義を宗内外に広く宣揚できる教義からの意義づけが期待された。中川法政宗務総長も冒頭の挨拶で期待を述べ、研修会を聴講した。

 岡田真水講学(兵庫県立大学名誉教授)は、「現代社会における日蓮聖人誕生譚の意義」と題して発表し、宗祖の誕生譚に登場する清水が湧き出し産湯に使われた「誕生水」、時ならぬ時に浜辺に青蓮華が咲いた「蓮華淵」、海面に鯛の群れが集まった「妙の浦」の「三奇瑞」に着目した。

 岡田講学は、天から水や花が降り注ぐ釈尊の降誕と宗祖誕生譚の三奇瑞を対比。三奇瑞には共通して地面や海底が関係し「地から湧く」ことが暗に示されており、「いずれもが地面から生じた稀有な、素晴らしいものであり、地涌菩薩の出現を象徴している」と指摘した。

 さらに、日蓮が主著の一つ『開目抄』の中で「我日本の柱とならん、我日本の眼目とならん、我日本の大船とならん」と記した三大誓願と誕生譚の三奇瑞を考察。三奇瑞の「誕生水」は湧き水の水柱、「蓮華淵」の青蓮華は目の比喩であり、「妙の浦」の鯛を見るための船を思わせるものとして、「三奇瑞は柱・眼目・船の三大誓願を象徴するもの」だとした。

 安中尚史講学(立正大学教授)は「近代における日蓮聖人御降誕の意義」と題して、降誕700年前後の日蓮門下各派の動向について発表。北川前肇勧学職(東京立正短大学長)は「日蓮聖人の『師自覚』について」、望月海慧講学(身延山大学教授)は「他宗教との比較から見る日蓮聖人御降誕の意義」を講義した。

 会場も含む討議では、「三奇瑞と三大誓願が結びつくのは目から鱗だった」「一般に向けた分かりやすい意義で誕生寺参拝のきっかけにできないか」などの意見が寄せられた。

2020/2/6
第55回京仏壇・京仏具展 人気アニメと初コラボ 家庭に仏壇を置くきっかけに 


アニメキャラと伝統的な仏像に見入る若い来場者 第55回京仏壇・京仏具展(主催=京都府仏具協同組合・田中雅一理事長)が1・2両日、左京区の京都市勧業館「みやこめっせ」で開催された。若者向けの初の試みとして、人気ゲームアニメ「なむあみだ仏っ!―蓮台UTENA」とのコラボイベントを企画。美男子風にアニメ化された仏像と伝統的な仏像の両方に見入る若い女性客やカップルの姿が目立つなど、例年とは異なる賑わいを見せた。

 京仏壇・京仏具の伝統を受け継ぐ15店が出品し、絢爛たる京文化の心と技を披露。組合独自の厳しい認定基準を満たした「京仏ソムリエ」がプロデュースした新作仏壇コンテストも開かれた。

 仏像彫りや金箔押し、彫金など、一流職人による実演と体験コーナーも。京仏壇クイズラリーも行われ、子ども連れなど大勢で賑わった。僧侶による「仏事よろず相談」コーナーもあった。

 「(仏壇・仏具展に来るのは)初めて」と語るアニメファンの女性(30代・市内在住)は、伝統的な仏像を熱心に鑑賞。「(アニメとコラボなので)良い機会やし、行ってみようと思って来た。こういうイベントはありがたい」と話した。

 田中理事長(㈱田中伊雅社長)は、「アニメとのコラボ企画のために関東地方から来た方も少なからずおられた」と手応え。「多くの人が仏像をご覧になった後に伝統的な京仏壇や京仏具を見て、伝統工芸の体験もされた。今回のイベントが、家庭に仏壇を置いて手を合わせるきっかけになれば」と期待した。

2020/2/6
大本山護国寺 新貫首に小林氏


 真言宗豊山派大本山護国寺(東京都文京区)の第54世貫首に小林大康氏が就任した。1月24日に宗派から任命された。新執事には関本隆人氏、院代には岡本教雄氏が就いた。

 小林新貫首は昭和15年生まれ、79歳。自坊は茨城県かすみがうら市の南円寺。平成5年に護国寺執事長に就任。このほか、宗内では宗会議員(平成7~15年)、茨城県第二号宗務支所長(平成15~19年)等を歴任し、平成18年から菩提院結衆。

 昨年10月に前貫首の岡本永司貫首が遷化し、その後任となった小林新貫首は「岡本永司53世貫首の後を継ぎ、しっかりと護国寺を守っていきたい」と抱負を述べた。

2020/1/30 
AIロボットと仏教(宗教) 対立ではなく共存の道 「三性の理」で善転を 上出寛子・名古屋大学未来社会創造機構特任准教授

 
 人工知能の急速な発展は、技術の進歩としての「善」という意味を持つ一方で、人間の尊厳を奪いかねない「悪」というイメージを持たれることも多いようです。人工知能の正体が明確ではないために、脅威と感じることがあるのかもしれません。簡単な説明をしておきますと、人工知能とは、情報が不足している状態で、全体の整合性を保ちながら大量の情報を処理し、適切に処理する能力(知能)を実現するコンピュータ・プログラムのことです(『人工知能―その到達点と未来』中島秀之・丸山宏編著、小学館を参考)。

 定型的な作業が多い事務員や窓口係は人工知能に取って代わられやすく、創造性や柔軟性を要するアーティストや医師の役割を人工知能が担うのは難しい、といった話もあります。このような話を聞くと、つい、自分の職種を勘案して、自分は大丈夫だろうか、と不安を抱いてしまうのは仕方のないことかもしれません。

 人工知能が人間の尊厳や役割を奪う、という不安は根源的にどこから来ているのでしょうか。結論を先取りしてしまうと、暗黙のうちに設定されている私たちの問題の立て方、すなわち人工知能 対 人間、という対立構造が、そのような不安を誘導しているのだと思われます。私たちはすでに、多くの自動機械と共生しながら生きています。計算機は私たちよりも早く正確に計算を行い、ブルドーザーは私たちよりも多くの重い物を一気に運搬することができます。

 どのような技術が発展しようとも、機械にしか出来ないこと、人間にしか出来ないこと、機械にも人間にも出来ること・出来ないこと、といった領域は存続し、その境界が時代によって変化するに過ぎません。にもかかわらず、取り立てて人工知能だけを人間と対立させる必要はあるのでしょうか。

 私たちは日常的に、自分が無意識に設定している前提について、気がつかないうちにそれをまっとうなことだと考えています。しかしながら上記の通り、人工知能と人間とをわざわざ対立させる絶対的な必然性は特にないのです。もちろん、状況に応じて必要な場合には、そのような問いの立て方をすることもあるとは思います。しかしながら、必要に応じてわざと人工知能と人間を対立させているのか、または気がつかないうちにその前提を当然と思い込んでしまっているのかは、全く異なります。

 人工知能に対する脅威論の根本も、問題の立て方について反省をしないまま、対立構造を当然のこととみなしてしまうことで、偽物の問題をより深刻化させている結果のようにも思えます。重要な点は、人工知能や人間に出来ることを真摯に見通し、私たち人間の持っている潜在的な可能性を十全に発揮する実践を積むことだと思います。

 幸いなことに仏教には、価値の三性の理という教理があります。三性とは、善・悪・無記のことです。無記とは「記する、すなわち、○または×をつける、ということをしない」という意味で、善や悪よりも上位の次元に存在する、絶対的価値を廃した概念のことです。技術も人間も、他のあらゆる存在も、そもそもは無記なのです。

 それが、自分にとって都合の悪い状況になると無記が悪として出現し、都合の良い場合には善として立ち現れます。この状況では、人間は自分の都合に振り回されているだけで、人工知能も簡単に悪になってしまいます。先ほど「幸いなことに」と書いたのは、私たちは主体的に心を制御することによって、この悪を一旦、無記に立ち返らせて、いくらでも善へ転じることができるからです。これは三性の理が私たちに気がつかせてくれる、大きな功徳だと思います。この技術を善転させる作法こそが、今の時代にさらに磨かれるべき、人間特有の能力ではないでしょうか。

 技術にも心にも、制御というものは一番の要です。自分の心が練り上げられていなければ、人工知能のような新技術にはいくらでも振り回されて、偽物の問題を悪化させることに一役買ってしまうことになります。無記のハタラキが強ければ、悪用された時の被害は大きく、逆に、悪用されない程度の技術であれば、善としても役に立ちません。精度の高い制御がなされた技術は、私たちの生活を大きく変化させるイノベーションとなります。一方で、それらを使う私たちの心が制御されてなければ、私たちの将来はディストピアです。技術の持つ善悪の可能性を見通し、善へと転じる作法を身に付け、実践することが期待されます。

かみで・ひろこ/2008年大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。09年大阪大学大学院基礎工学研究科特任助教を経て,現在名古屋大学未来社会創造機構特任准教授。仏教哲学に基づくモノと人間の関係性について心理学的な研究を行う。近著に『今日、僕の家にロボットが来た。 ―未来に安心をもたらすロボット幸学との出会い』(共編著)、『ロボット工学と仏教―AI時代の科学の限界と可能性』(共著)がある。