2020/7/2

真宗大谷派本山東本願寺 大谷暢裕新門首が初勤行

 
門首として初めて宗祖御真影像に仏飯を供える新門首 京都市下京区の真宗大谷派本山東本願寺(真宗本廟)で1日午前7時から、大谷暢裕第26代門首(68)の就任勤行となる晨朝法要が阿弥陀堂と御影堂で営まれた。前日に第25代門首を退任した大谷暢顯前門(90)も出仕。僧侶や門徒約100人が参列し、心を合わせて新たな「御代始」となる念仏を称えた。

 暢裕門首と暢顯前門は阿弥陀堂での勤行を終え、宗祖親鸞聖人の御真影像を奉安する御影堂に移動。暢裕門首が御真影像に門首として初めての「お給仕」を行い、仏飯を宝前に供えた。

 法要後、参列した僧侶は「前門は就任以来約24年、門首として道を求めてこられた。その法灯が受け継がれ、今日、新しい歴史が始まった。新門首にも前門のように門徒の先頭に立って教えを聞き伝えていただきたい」と感激。福岡市から来た門徒は、「一生に一度のお勤めに参加させてもらった」と法悦を口にした。

 暢顯前門と暢裕門首は退任・就任にあたり、以下のコメントを発表した。
 暢顯前門「いついかなる時も、皆さまとともに聞法し、皆さまとの交わりに支えられて門首としての務めを何とか今日まで果たすことができた。連綿と受け継がれてきたお念仏のみ教えが、未来永劫にわたって相続されていくことを心から念願しつつ、生涯聞法の一路を辿らせていただきたい」。暢顯前門は、今後も折に触れて法要に出仕するという。

 暢裕門首「思えば10年ほど前、鍵役、開教司教のお話をいただき、2014年には門首後継者に選定いただいた。ブラジルで育ち、何も分からず不安を抱えながらであったが、多くの方々にお支えいただき、今日まで歩みを進めることができた。この上は、皆さまとともに同朋社会の実現に身命を賭し、世界中に南無阿弥陀仏のみ教えを届けるべく、力を尽くしてまいる覚悟」

職員の感染確認で変更 退任儀式を急遽中止に
 大谷派は6月30日、宗務所事務職員1人の新型コロナウイルス感染が29日夜に確認されたと発表した。これにより、当日午後3時半から予定されていた暢顯門首の退任勤行で御真影像の御厨子の扉を閉める「御扉閉(みとへい)」が急遽中止に。翌1日も暢裕門首が御真影像の扉を開ける「御代始・御親(ごしん)開(かい)」を行わず、通常の晨朝法要になった。

 感染が確認された職員は参拝者対応業務を行っていなかったため、一般参拝に支障はない。当該職員在籍の事務所と施設は消毒の上、当面閉鎖。濃厚接触の可能性がある職員は自宅待機中だ。

 宗務所では全職員の健康観察と感染予防策の徹底を改めて指示。「今後は保健所の指導等に基づきながら、引き続き感染拡大抑制に努め対応してまいる」としている。

2020/7/2

大正大学地域構想研 寺院へのコロナの影響 仏事・収入源…不安明らかに

 
 大正大学地域構想研究所・BSR推進センター(東京都豊島区)はこのほど、HPに「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」(5月7~24日)の集計結果を発表した。「現時点で個々の寺院が抱える不安や課題を集約、可視化する」ことを目的とするアンケートに、517人が回答。多数の寺院が檀信徒の感染防止対策による法務・行事の変更に苦慮し、檀信徒も葬儀・法要への参加に悩んでいる実態が明らかになった。

 設問は全13問。「葬儀の変化」では88・6%が「会葬者の人数が減った」、41%が「一日葬など葬儀の簡素化」と回答。「火葬のみ(炉前読経もなし)で葬儀を実施せず、忌明・納骨法要から行いたいという依頼があった」「市が一つの部屋の会葬者を10人以下にするよう通達している」などの自由記述があった。

 「法事の変化」では87・8%が「法事自体の中止や延期」、86・7%が「参列者の人数が減った」とし、自由記述には「コロナで収入が減ったので、御布施を減額要求されている」という声も。「葬儀や法事の際の特別な対応」では「こまめに換気」(79・9%)「間隔をあけて席を配置」(79・1%)などに加え、マスク着用や消毒液設置など通常の対策の徹底が多く、「法話をなくすなど時間の短縮」(21・1%)もあった。自由記述には「オンライン法要の実施・提案」(7件)や「当面の間、訪問しての日々の法要は自粛する旨を寺側から周知した(希望者の法要は行う)」があった。

 「収入の減少」の理由では、「住職(布教使)の主たる収入源であった他寺へ赴いてお説教をする場が2月中旬以降、ほぼ全滅している状況」という切実な声も。活動の変化では「近隣の子供たちのための集まりを全て中止にしている。その代わりに、困窮世帯や母子向けに無料食品配布を行うようになった」があった。
 
コロナ感染の相談も
 自由記述には、「コロナで身内を亡くした親族から、隔離後、初めて会ったのがお骨になった姿なので、どのように受け止めてよいか分からない」「親がコロナで亡くなったが、家族が濃厚接触者で自宅待機なので、遺骨を受け取りに行けない。葬儀もできないので、お寺で遺骨を預かってほしい」という悲痛な声や、「自分自身がコロナで亡くなった場合の葬儀の仕方に関する相談」などがあった。

 コロナ禍による今後の社会の変化では、「法事は不要不急との概念が定着するのが心配である」「墓のない信徒寺のため、行事の中止がご縁の切れ目にならないか不安がある」「オンラインの常態化を危惧」といった不安が複数挙げられた。「宗教法人も持続化給付金の対象にしてほしい」という要望をはじめ、宗派・本山に歳出削減による末寺の負担軽減策を求める声も目立った。

 そしてこんな決意も。「こんな時期だから僧侶は行動しなければならないと思う。お寺はいつの時代もどんな状況でもハッピークラスターな場所であるべきと考える」

2020/7/2
動画布教は何をもたらすのか 内藤理恵子氏(善通寺勧学院専門研究員・宗教学) 

 新型コロナウイルスによって葬儀や法事が縮小したのは周知の通り。そしてオンライン化が一気に加速し、寺院でも情報発信に忙しい。葬儀のネット中継も試みられている。「ネット布教」の現状と課題を宗教学者の内藤理恵子氏が解説する。


内藤氏コロナ禍における葬送の変化
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、転がる石のように人々の生活様式が変わり、意識も変わってきた。葬儀や法事の省略、極度な小規模化についても、テレビや一般紙などでも取り上げられるニュースとなっている。しかし実際には、新型コロナの影響をさほど受けておらず、葬儀や法事も以前と変わりがないケースや地域もある。

 気になるのは、マスメディアがあたかも「全国的な傾向」であるかのように、コロナ禍による葬儀や法事の簡略化をセンセーショナルに報道することだ。「葬送儀礼が一変した」という印象が広がることで、人々の葬送儀礼に関する常識が変わっていき、その結果として、日本人の死生観が変わる一因ともなる。もともと希薄化の傾向があった「イエの宗教」という意識も失われ、人々は個人的に思想の探究を始めるか、もしくは虚無的な死生観を持つようになるだろう。

葬儀のネット配信と、僧侶のYouTuber
 宗教者がこのような状況を打破すべく、積極的にインターネットを通じて情報発信、特に動画配信をしたいという気持ちは理解する。しかし、それがどのようなインパクトをもたらすのかは検討されているのだろうか。

 たとえば、寺院に出向くことが身体的に困難(闘病中で外出が難しいなど)な檀信徒にとって、タブレットやスマホで法話に触れられることは僥倖だろう。僧侶による写経や坐禅などのネット講座もステイホームに一役買える。バーチャルリアリティ(仮想現実)を活用する向きもあり、寺院の建立が困難な地域や海外に向けての布教という新しい可能性も出てくる。また、葬儀や法事のインターネット生中継は物理的に参列できない人に貴重な機会を与えるものであり、全体的には宗教者によるネット動画配信は肯定的に受け入れられている向きが強いといえるだろう。

 しかし、そのような機会の創出と、僧侶の「主な活動」としての動画配信者になることは意味が異なる。インターネットは基本的に「無料」の世界であることを忘れてはならない。たとえば私たちが便利な機能(検索など)を無料で使用できるのは、そこに掲載されている広告で収入を得るというモデルが設計されているからだ。他にも、基本は「無料」にして手軽にアクセスさせ、肝心なコンテンツには「課金」させるよう仕向けるモデルもある。

 一方で、読経や法話を無料配信している日本の僧侶は、それらがもし仮に「主な活動」になった場合、どのように伽藍の維持につなげていくのだろうか。ネット布教が成功したと仮定しても、よほどの知名度まで発展しない限りは動画の広告収入を寺院護持につなげることは難しい。初動は好調だった僧侶YouTuberの動向を追ったところ、数ヶ月で再生数が激減した事例もある。会費制のオンラインサロン形式にしたとしても、運営は茨の道であろう。配信者の母数が増えれば無意味な競争も起こりがちになる。

 私自身、SNSで情報発信するようになって10年経つが、インターネットの世界は想像を絶する厳しさである。肩書きなどは、ほとんど役に立たない。ゆえに、これまでの法話のスタイルをそのままコピーする形式で僧侶がインターネット放送しても、それが有効とは限らない。ネットの世界は流行の移り変わりも早く、消費されてしまう。そうはならないためのネットの活用法もあるはずで、それを模索する時期に差しかかっている。

 現実の寺院での法話には、伽藍の静謐な空気、香り、僧侶の凛としたたたずまい、何より大勢の人が一心に僧侶の話に耳を傾けているという一体感がある。ここでしか聴くことができないという切実さも相まって、心の奥に届く。いま思えば、秘仏開帳も人間の心理を活用した先人たちの知恵の結晶である。普段、なかなか手が届かない存在だからこそ、人は希少な機会を得ると、それを心に刻もうとする。本尊を撮影禁止にしている寺院が多いのも納得できる。対して、無料の動画配信は、すべてをフラットにしてしまうだけに「人々の心に届けたいものがかえって届かない」という事態を招きかねないだろう。

何を発信しないか
 また見落としがちなのが、知らないうちに自らの首を締めるような配信スタイルだ。ラフな私服による法話や、内輪話の暴露などはプラスとは思えない。僧侶の読経(朝のお勤めや年忌法要)をフリー音源化するような形式も出現している。葬儀や法事をネット中継するのであれば目的が明確で問題は少ないが、読経の無料配信をやみくもに行うことは、布教として成立するのだろうか。規制やルールで縛ることは、宗教者の個性を消してしまう一面を持つが、一歩立ち止まって考えるべき時期が来ているように見受けられる。

 いま日本の仏教界が模索すべきは「ネット配信に向いている情報とは何か」と共に「配信に向かないものとは何か」を見極めることである。

ないとう・りえこ/1979年愛知県生まれ。南山大学大学院人間文化研究科宗教思想専攻(博士課程)修了。博士(宗教思想)。著書に『あなたの葬送は誰がしてくれるのか』『誰も教えてくれなかった死の哲学入門』など。現在、善通寺勧学院専門研究員。

2020/7/2
真言宗豊山派 次期総長に鈴木常英氏

  
 真言宗豊山派(星野英紀宗務総長)の第153次宗会臨時会(川田興聖議長)が1日、東京・大塚の宗務所で開かれた。次期宗務総長の候補者選出の議案が提出された今宗会は、新型コロナウイルスの状況を踏まえた特例措置として委任状が採用され、議案は参事会へと付託された。宗会終了後に参事会が開かれ、次期総長に鈴木常英氏(集議、東京都葛飾区・金蓮院住職)が決まった。

 宗会冒頭で川田議長は星野宗務総長と協議し「今次宗会に限り、特例として委任状を採用する」と説明。宗会議員30人中8人が出席し、22人の委任状により宗会が成立した。上程された議案第一号「真言宗豊山派宗務総長候補者選出の件」は参事会に付託されて、153次宗会臨時会は閉会した。

 川田議長、岩﨑榮勝副議長、田中量教・総務常任委員長、酒井杲胤・教務常任委員長、参事の島本誠永議員、吉田真澄議員、長﨑勝教議員、佐藤眞隆議員の8人による参事会が行われ、満場一致で鈴木氏が選出された。議決後に、浅井侃雄管長に報告。宗務所に待機していた鈴木氏本人にも確認して了承を得た。参事会後に川田議長、岩﨑副議長が記者団に報告した。

 鈴木氏は昭和24年(1949)生まれ。東京都葛飾区・金蓮院住職。7月6日に新内局を発足させる。任期は4年間。

2020/6/25

禅とウィズ・コロナ時代の生活様式 「命を守る」原点意識し分断克服せよ


石井教授 新型コロナウイルスによる感染を防止するために3密(密閉・密集・密接)の回避が早くから指摘された。さらに日々の生活のあり方も見直さざるを得ない。禅の立場から駒澤大学の石井清純教授に新たな生活のあり方について執筆いただいた。

 稿を認めるに当たり、新型コロナウイルス感染症対策のため、日夜最前線で努力されている医療従事者各位に心より感謝の意を表します。

 道元の『正法眼蔵』は、難解な禅思想の書として知られるが、その中には「洗面」や「洗浄」(お手洗いの作法)といった、日々の生活における注意事項を記した巻も存在する。そこには、精神的な「清め」といった記述だけでなく、極めて細かな作法も記されている。

 たとえば、「歯を磨くときは舌の表面もきれいにしなさい」(「洗面」巻)や、お手洗いで用を済ませた後は、「灰と石を使って、包丁の錆を研ぎ落とすように掌を三回洗い、さらに土を使って三回、洗剤を使って一回洗い、最後はきれいに水で流しなさい」(「洗浄」巻)など、驚くほど詳細に記述されているのである。

 これは、「日常生活の重視」という禅修行の基本理念を示したものと捉えられるが、その背景には、集団で厳しい修道生活を行う禅の修行道場にあって、いかに病の流行を避けるか、という動機があったと考えられるのである。

 本年5月、新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、厚生労働省より「『新しい生活様式』の実践例」が公開されたが、その内容は、まさに、この教説を想起させるものであった。

 「よって、みなが禅僧のような生活をせよ」ということではない。このような生命の維持に有効な生活習慣が、いにしえに示され、すでに日本の多くの人々の意識に根付いていたことが、いまの日本の状況に反映されているのではないか、ということを申し上げたかったのである。

 古代から中世にかけて、民間布教に携わる僧侶は、医療や建設土木などの先進技術を持ち、教えとともにそれを全国に普及させた。先に見た衛生観念もまた、当然、伝わり定着していたと考えて良かろう。

 現在の日本は、新型コロナウイルス感染症による死者の数は、他国に比して非常に少ない。これは、第一に医療関係の方々のご努力によるものであるが、それに加えていくつかの要素が考えられるという。

 山中伸弥教授は、これを「ファクターx」と呼び、ホームページ「山中伸弥の新型コロナウイルス情報発信」において分析されている。その中に、やはり「手洗、入浴」などの高い衛生意識が候補として挙げられている。また、6月に厚生労働省より発表されたコロナウイルスの抗原検査では、抗原を持つ人はわずか0・3%という、他国と比べてかなり低い数値であったという。これは、現時点で、日本人が、強い行動規制なしに有効な感染防止行動を取ることができていた可能性を示すものといえるのではないであろうか。

 いま、多くの規制が緩和されている。その中での今後の課題は、いかにその意識を継続させるかということになろう。もちろん、経済の復興も極めて重要な課題であり、その両立を目指す社会が必要となってくる。第二波を最小限に食い止め、人々の生活を後戻りさせないためには、現状を把握し、創意工夫を凝らして柔軟に対処していく気持ちが大切になってくるのではないであろうか。

 難題ではあるが、現在の状況を見ると、それぞれの業界・職種で、さまざまな手法を新たに創造し、持続的対応へと向かっているように見える。これを禅では「柔軟心(にゅうなんしん)」と呼ぶ。
 
 世界規模で蔓延する新型コロナウイルス感染症への対策は、それゆえ境界を越えたものでなければならない。しかし、拡大阻止のためには、個人や地域、国を越えた交流を止めなければならない。まさに大いなる葛藤の中に在るといえる。

 このような「強制隔離」から発する孤独と、連帯の必要性との葛藤について、元外交官の東郷和彦氏は「新型コロナウイルス禍の人類は今、明確な分水嶺に立っている」(『エルネオス』2020年5月号)において、「自然との共生、禅思想等、日本人が育んできた思想的、生活的伝統の中から、いま世界に発信できるものを再構築する」ことが日本の役割ではないかと述べられている。

 この「禅思想」とは、東郷氏が常々発信されている「十牛図」を意識したものであろう。氏は、そこから「和(やわらぎ)の外交」を提唱されてもいる。

 その思想は、自ら構築したものに固執することなく、本質を見直してそこからより自由で深い生き方を構築するというものとされる。捨てるとは、獲得したものに固執しないこと。そして、原点を見直し、最終的に「入鄽垂手(にってんすいしゅ:街中で人々のために働く)」にたどりつく。上からモノを見ることなく、「いま」を見極めながら、全体の利益のために積極的かつ柔軟に行動せよ、というのである。

 現在の私たちは、「命を守る」という原点をもう一度意識せざるを得なくなっている。その原点を意識しながら、ウイルスによる物理的な分断を克服し、新たな行動様式を創り出していくために必要とされるあらゆる手段の中のひとつとして、禅的思考も活用していただければ幸いである。

いしい・せいじゅん/1958年東京生まれ。駒澤大学仏教学部卒、同大学院博士後期課程満期退学。駒澤大学・禅研究所所長。元学長。2000年にはスタンフォード大学客員研究員を務めた。専門は禅思想研究、特に道元禅師の著述を総合的に研究。著書に『禅問答入門』(角川選書)、『道元―仏であるがゆえに坐す』(佼成出版社)、『禅ってなんだろう?―あなたと知りたい身心を調えるおしえ』(平凡社)など。

2020/6/25
大谷派宗議会 大谷暢顯門首に感謝 24年にわたり新宗憲を体現

 
 真宗大谷派の第69回宗議会常会(17~19日)の開会式で、30日に退任する大谷暢顯門首(90)が門首として宗議会での最後の挨拶を行った。「約24年の長きにわたり、務めさせていただくことができた」と感謝の言葉を述べるとともに、「新型コロナウイルス感染症により、被害を受けられた全ての方々に衷心よりお見舞いを申し上げる」と話した。

 但馬弘宗務総長は事前に配布した施政方針演説で「門首継承」について語り、退任する大谷暢顯門首の事績を振り返った上で、「1996年7月31日から現在に至るまで、『僧侶及び門徒の首位にあって、同朋とともに真宗の教法を聞信する』という新宗憲の定めのもとでご就任いただき、日々その職務を全うされてきた」と感謝。「お東紛争」を経て、新宗憲を体現してきた足跡を回想した。

 来年6月11日に宗憲制定40周年を迎えることから、「このたびの門首継承式は、本廟留守職の伝統を確かめ、『教法聞信』『本廟護持』の象徴たる門首と私たち一人ひとりとの関係を確かめる大切な儀礼式として執り行う」と表明。7月1日に就任する大谷暢裕新門首が居住する真宗本廟境内(内事部建物南側)の門首公邸造成については、宗務審議会「門首公邸建設に関する委員会」で検討を進めると報告した。

 新羅興正議長が開会式で、退任する大谷暢顯門首に宗議会を代表して謝辞。「ご就任以来、我々僧侶と全門徒の先頭に立って」真宗本廟を護持してきた姿に「多くの僧侶・門徒が励まされてきた」と述懐し、今後の同朋会運動の推進やコロナ禍の中での信仰生活などの課題を挙げた上で「24年間お示しいただいたお姿を議員一人ひとりが憶念」しながら課題に取り組んでいく決意を表明した。(続きは紙面でご覧ください)

2020/6/25
宗教法人、公益法人でなくなる? 日宗連がHP掲載 持続化給付金めぐる経緯

 
 新型コロナウイルス対策として減収した事業所に最大200万円を給付する持続化給付金の対象から宗教法人が除外された。支給対象となるよう政府などに要望してきた日本宗教連盟(日宗連)は23日、HPに与党自民党に伝えた要望や経緯などを掲載。公益法人から宗教法人が外されかねないという危機意識がみえる。

 4月9日、自民党からコロナ禍に対して宗教界の意見や要望を求められ、日宗連は同17日「要望」を提出。小規模宗教法人の苦況を記しながら、この頃に打ち出された持続化給付金について、「宗教法人が公益法人等として支給対象となるよう、要望します」と述べ、行政機関にも除外することのないよう周知を求めた。

 この時、持続化給付金の制度が明らかになるのはまだ先であり、日宗連が念頭に置いていたのは雇用調整助成金がその一つであった。宗教法人が雇用しているアルバイトや職員の休業手当が助成金の対象となるものだ。同じ4月17日、文化庁宗務課は「宗教法人も対象」となると情報発信。宗教法人は助成金の申請が可能と認められた。

 持続化給付金の制度が明らかになると、財団やNPOといった公益法人が対象となるのに対して、宗教法人は除外された。そこで焦点となったのが「公の財産の支出又は利用の制限」を規定する憲法89条の解釈である。前段では宗教に公金を支出しないと規定。後段でも慈善や博愛の事業(民間の公益法人)には公金を支出しない、となっている。

 日宗連は、持続化給付金の対象に他の公益法人等が含まれるのであれば、宗教法人だけが外されるのは疑問だとしている。宗教法人を除外するのであれば、他の公益法人も同様にすべきと主張。こうしたことを政府機関に説明し理解を求めてきた。すなわち、他の公益法人は「合憲」となり、宗教法人のみが「違憲」になるという指摘だ。

 日宗連関係者は「個々の宗教法人が申請するかしないか、あるいは給付金を下さいという話ではない。最初から除外というのは、宗教法人は公益法人ではないと言っているのに等しいのです。それは宗教に公益性はないということにもなりかねないのです」と話した。

2020/6/25
臨済宗妙心寺派 『人権ハンドブック』刊行 僧堂・本末関係・沖縄…問題を論点整理

 
関連法規など資料面も充実した妙心寺派の『人権ハンドブック』 「専門道場のような閉ざされた空間での人間関係は、一層深刻な『いじめ』を生むことが懸念される」―臨済宗妙心寺派宗務本所がこのほど発刊した『人権ハンドブック―いま私たちが向き合うべき人権問題』にこのような文言が記された。修行僧は殴られて育つもの、というような仏教界の陋習を改める動きが進みそうだ。
 
 同書では僧堂での暴力を人権問題だと直視し、徹底して排除している。編集委員の河合宗徹氏(兵庫県・成徳寺住職)は「ここは今回、少し踏み込んで書いた部分。お坊さんは封建的な意識がまだあり、修行僧に人権などいらない、僧堂で人権を守ると修行にならないといった考えの人がまだ多くいます。しかし、それはとんでもない勘違い」と指摘。暴力がなければ指導できないという考えを根本的に問い直す必要があるという。

 未だに旧本寺が旧末寺に隷属関係を強いることもあるとし、これも人権問題の一つだとしている。差別戒名などの部落差別や、昨年、ネット上で僧侶がヘイトスピーチを書き込んだ問題、大逆事件で獄死した峯尾節堂を擯斥した負の歴史への反省も記されている。

 『ハンドブック』は教団内部の人権問題だけでなく、現代社会の人権問題を網羅し論点を整理した。部落差別、外国人差別、自死者とその家族の人権、拉致問題、多様な性的指向への配慮、直近の事象で言えば新型コロナウイルス感染者・医療者への差別問題も取り上げている。

 「沖縄問題」の項目では、日本の米軍基地の7割が沖縄県に集中している事実、そして米軍基地の騒音や環境汚染、事故などで沖縄の人々の権利が侵害され続けているとし、日米地位協定の不平等性にも踏み込む。河合氏は「沖縄というと政治問題の話が取りざたされますが、まさに人権問題だと言えます。それを僧侶に知ってほしい」といい、日本に復帰してまだ50年も経っていない中で、沖縄の複雑な歴史が忘れられかけていることに危機感を抱いての執筆だったと明かす。

 妙心寺派は2001年に『人権Q&A』を刊行、2010年に新版を出したが、時代の推移に伴い2年前から人権擁護推進委員会が抜本的に改訂・編集を続けてきた結果が『ハンドブック』に結実。「前回はQ&A形式でしたが、今回はテキスト形式なので読んですんなりと論点が分かるように工夫しています」と河合氏。アメリカで始まった「ブラック・ライヴス・マター」を受け、世界的に人権を守る動きが高まっている中、他教団にも参考になる面は多いだろう。

 なお、「はじめに」では「この本に収載された人権に関する考えや意見は、現代社会における大まかな方向性を示したものですので、必ずしも本派としての公式見解というわけではありません」とし、あくまでも現代社会で何が問題になっているかを宗侶が考える材料だとしている。(B5判・184頁。非売品)

2020/6/18

本願寺派宗会 コロナ対策 予算1億9千万円増

  
マスクを着け簡潔に挨拶する石上総長 浄土真宗本願寺派(石上智康総長)の第316回臨時宗会(浅野弘毅議長)が10日から12日まで、京都市下京区の宗務所に招集された。新型コロナウイルス拡大防止のため会期を1日で切り上げた2月宗会で提出されなかった今年度予算案を審議するもので、一般会計約53億7千万円ならびに各種特別会計を原案通り可決した。

 石上総長は挨拶で、コロナ禍の状況に対応して「念仏者としての声明」の発信、メッセージポスターの発表、宗務所におけるウェブ会議の開催などを行っていると述べ、一般寺院への支援として「寺院教化助成費」ならびに本願寺出版社商品購入券の交付を盛り込んだことも説明。コロナ危機により激変するであろう時代において伝道教化のあり方や人材育成、持続可能な宗門のための人事施策や業務精査の必要性を訴えた。

 寺院教化助成費は賦課金告知額のうち第1種(寺院賦課金)、第2種(僧侶賦課金)の2割を助成費として交付するもので、このために3億8千万円を計上。全寺院(約1万カ寺)に本願寺出版社商品券1万円分を給付するために1億円を計上した。財源は寺院振興金庫の回付金を充てている。今年度の第1種・第2種賦課金の歳入予算は約19億円。

 これら寺院支援策により予算は昨年度比約1億9千万円の増額となった。一方、コロナ禍に伴う行事・研修などの中止や会議のオンライン化により、ほとんどの項目の予算は昨年度より減少している。本山本願寺から宗派への回付金も昨年度から2億5千万円減少し約10億円となった。総局はより綿密に本願寺との協調を図り、懇志を増やせるような方策を検討していく。

 審査会は1日目午後から2日目全日にわたり行われ、活発に議論が交わされた。特に2月宗会で2023年まで延長されたあそかビハーラ病院への運営助成(今年度は特別会計で6千万円を計上)については、議員から早急に安定した経営を求める厳しい意見も出た模様。運営にあたる(一財)本願寺ビハーラ医療福祉会と総局が密接に連携を取り、透析医療などの可能性を検討した上で、2020年内に新たな医療事業計画をの立案を予定。近日中に医療関係者と会談を行って方向性を定めていく。

 今議会では全員がマスクを着用。壇上にもプラスチック製の衝立が設けられた。「三密」を避けるために採決時以外は約半数程度の出席になるように運営され、最終日の採決時には78人中70人の議員が出席した。

2020/6/18

大谷派宗会 持続可能な宗門へ改革 30教区→25教区体制に移行


 真宗大谷派の宗会(常会)が17日、京都市下京区の東本願寺しんらん交流館に招集された。但馬弘宗務総長は、少子高齢化が進む中での「持続可能な宗門ビジョン」を示し、行財政改革の断行を表明。第4回全国門徒戸数調査を2022年2月に実施予定とし、「(2023年に迎える)宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要後は経常費御依頼額(宗費)を相当額減じていく方向に舵を切らねばならない」と述べた。

 2018年度の経常費御依頼の収納は56億2975万7855円(107・2%)。6年連続で全30教区完納となった。2020年度の経常費御依頼総額は52億5301万4千円。4月30日現在の収納額は47億9207万9938円で、慶讃懇志金の収納は10億240万3818円となっている。

 2020年度予算では、「願い予算」から「実態予算」への転換を実施。一般会計予算総額は経常部・臨時部を合わせて80億7100万円で、前年度予算比4億9900万円減額した。冥加金・礼金・懇志金等の収入の減退傾向を加味し、歳入を抑制して計上するなどした。

 行財政改革の柱として進める「教区・組の改編」では、7月から岐阜高山教区(2教区合併)・九州教区(日豊・久留米・長崎・熊本・鹿児島の5教区合併)の2新教区が発足。新教区の教務所と教務支所での人件費が削減されることから、両教区の今年度経常費御依頼を減額することになり、岐阜高山教区は200万円、九州教区は1266万円の減額となった。

 両教区の発足で、全30教区から全25教区体制に移行。2023年までに17教区体制にすることを目指す。教区改編の取り組みを加速させるため、全国の経常費御依頼額を2022年度まで毎年5千万円減額。来年度には外部識者も交えた「宗門構造刷新会議」(仮称)を設置し、宗門機構の統合・再編を検討していく。

 今宗会の会期はコロナ禍で短縮したため3日間。総長・財務長演説をはじめ2018年度諸決算、2020年度諸予算、早急な可決を要する条例案を事前に送付し、議場での審議は最小限にとどめた。

2020/6/18
コロナ禍 寺からの発信、より重要に 谷晃仁氏(全日本仏教青年会・天台宗僧侶)


 
谷理事長 新型コロナウイルス禍に対して定時にお寺の鐘を撞く「祈りの鐘」を呼びかけ、実践してきた全日本仏教青年会(全日仏青)。祈りと実践の両面からアプローチしている。谷晃仁理事長(天台宗)は「他者を排除してはいけない」と説く。

 新型コロナウイルスの影響で私たちの周りでもオンラインやソーシャルメディア(SNS)を使った取り組みが始まっています。全日仏青の加盟団体の活動でいえば曹洞宗や臨済宗妙心寺派の青年会がオンライン坐禅を行っています。全日仏青ではゴールデンウイーク期間中に様々な業種や個人に感謝や敬意、賞賛など10の想いを込め、夕方5時に一斉に寺院の鐘を鳴らす「祈りの鐘」を呼びかけ、その様子をSNSに投稿してもらいました。「祈りの鐘」はこれまで以上に多くの青年僧が参画してくれました。

 SNSを使った僧侶の発信は年々増えていますが、個々の寺院の活動発信は多くなかったと思います。私自身もお寺で拝んでいる姿というのは、普通の活動という意識もあり、SNSで発信するという発想がなかった。ところが新型コロナによって、春のお彼岸が中止になったり縮小したことで、法要をSNSで発信するようになりました。お寺に直接来る檀信徒は高齢の方も多いので、SNSの発信が全ての方に届くわけではないのですが、普段お寺に来ることが少ない若い世代には、見えにくいお寺の活動、私たちの姿を見てもらうチャンスになったのではないでしょうか。

 寺院にとっては、葬儀・法事の縮小があり、中長期的にみても危機感は強いです。コロナによって法事や葬儀ができなかったことで、「次もやらない」という感覚が生まれてしまわないか。仏事を通した信仰がなくなる危機感があります。寺院からの「発信」をより増やしていく必要があるでしょう。同時に不測の事態に備えた寺院運営を各寺の住職が心がけていないといけません。
 
 天災は避けることはできません。しかし、起きたとしても必ず「新しくて良いもの」が生まれると私は思っています。阪神淡路大震災の時は「ボランティア元年」といわれ、東日本大震災ではさらにその活動が拡充しました。災害を乗り越えた分だけ、私たちの社会が成熟していく。今回も困難を乗り越えるための「助け合いの心」が日本だけでなく世界中で生まれています。「忘己利他」の教えのように、実際にこれまで多くの災害時に、人間の善き面が発揮されてきたと思います。

天台仏教青年連盟が各寺院を巡礼して行っている「新型コロナウイルス災害早期終息並びに罹災者安穏回復祈願木札巡礼法要」。谷理事長も参画 一方で、医療従事者や宅配業者、その家族に対して、感染リスクが高いことを理由に排除するような動きもありました。新型コロナの感染を恐れるあまりの行き過ぎた行為です。リスクの高い業種にある方々は、本人たちも十分にそれを知り、苦労して対応しているはずです。そのうえに自分だけでなく、家族が責められてはやり切れないでしょう。不安な思い、家族を守りたいという気持ちは大事にしながらも、自分の中の正義感を建前にして、相手の生活や人生を思いやることなく傷つけてはいけない。とてもシンプルですが「自分がされていやなことはしない」ことを実践する。応援・協力して、協働していく方法を考えていかないといけません。

 私は僧侶になってすぐ、地元の群馬教区で人権啓発委員を務めました。これを機に多種多様な人権問題を考えることができました。様々な方に出会い、知識を得て、マイノリティの方々の困りごとや価値観を知ることができました。「自分とは違う」という理由で他者を排除してはいけないと学びました。自分の行いは善いことも悪いことも因と縁となって返ってきます。誰かを排斥すれば私や私の周りに同じことが返ってくる。自業自得です。
 全日仏青ではSDGs(持続可能な開発目標)に継続的に取り組んでいます。このなかでもジェンダー不平等や差別問題の解消が目標となっています。「男性だから」「女性だから」「障害があるから」というカテゴリーに分け、固定された概念で人を評価するのではなく、個々人の持つ個性を見る。仏教でも「一切衆生悉有仏性・山川草木悉皆成仏」、全ての人に仏さまの種があると考えますが、個々の人が持つ仏性を見出していくことが大切なのだと思います。

 今回、自粛生活を送る中で、自分たちの生活が多くのものに支えられていることに気づいた方も多いと思います。私たちは関係性の中に生きていることを再確認し、日々の僧侶としての活動を見直す機会になりました。

 私の自坊では法事の人数を15人に制限しています。農村部のため親戚付き合いも多い土地柄で無理を聞いてもらっています。そんな地域にあって、今年4月に営んだ葬儀で、遺族の方が「(故人が)親しかった友人に顔を見てもらいたかった」と話されました。遺族の方の思いは、コロナが終わって日常が戻ったとしても残ります。この気持ちを和らげるための努力をしないといけません。私たち宗教者が日常に慣れることなく、檀家さんをはじめ様々な悩みや不安を持つ人の思いを真摯に受けとめ、聞き、和らげる。宗教者としての務め、根本の部分に立ち返るきっかけになりました。


 たに・こうにん/1976年生まれ。全日本仏教青年会理事長。群馬県前橋市・天台宗永福寺住職。前天台仏教青年連盟代表。群馬教区人権啓発委員(平成19年~現在)。

2020/6/18

高野山真言宗 初の保護規程に向け 寺族婦人意識調査を実施 寺からの給与無し52% 


 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)は1日付で、寺族婦人保護対策小委員会が昨年末に実施した「寺族婦人意識調査」の結果報告書を宗内寺院に送付した。「寺族婦人保護施策案の早期実現」を目指して、寺族婦人会会員2527人を対象にアンケート調査を行い、61%に当たる1549人から回答を得た。その結果、寺院からの給与所得の有無や各種年金の加入状況、将来の生活設計に繋がる資金の有無などの割合が判明。概して、寺族婦人を取り巻く不安定な経済環境が明らかになった。設問は8項目。

 寺族婦人の経済的な生活実態を問う設問④「給与所得の有無と年金加入」では、当該寺院からの「所得有り」は48%で「無し」が35%、「寺院外での給与所得有り」が17%となった。「寺院内で一定の役割を果たしながらも所得に結び付いていない寺族の割合」は、「寺院外での給与所得者」(年金生活者含む)を合算すると52%となったことから、「寺族給与体系整備が進まない厳しい寺院運営の実状が窺われる」とした。(続きは紙面でご覧ください)

2020/6/11

曹洞宗 宝慶寺、申請見送る 僧堂活性化策 新基準で25僧堂申請


 曹洞宗が進める専門僧堂活性化策の一環で、新運営基準のもと設置認可が必要となった各僧堂の申請が締め切られ、25僧堂が届け出た。対象外となる両本山僧堂を除く26僧堂中、1僧堂が申請を見送った。認可の可否は来年10月末までに出す。

 僧堂の維持と僧侶の資質向上が課題となる中、釜田隆文前宗務総長が打ち出した僧堂活性化策で、両本山僧堂を除く全僧堂の設置認可が2022年9月末に一斉に取り消される。設置の再認可を求める僧堂は3月末までの1年間に申請書を提出した。

 申請しなかったのは、福井県大野市の宝慶寺専門僧堂。同寺によると、田中洋一堂長が体調不良で退任するなどした影響で、提出を見送った。22年10月から運営停止となるが、「その後再開単するかどうかは検討している」とした。

 この間に申請した25僧堂に対し、書類審査や現地視察を実施した上で、認可の可否は来年10月末までに決める。申請しなかった僧堂や設置が認められなかった僧堂に関しては、掛搭僧全員と面談した上で、安居継続を希望する場合はほかの僧堂へ移籍できるよう調整する。

 宗制や各堂則、慣習などをもとに明文化した新たな運営基準では、僧堂に常在する指導者の配置や掛搭僧の人数、履修学科目、試験などについて定めている。僧堂の設置認可に関してはこれまでにも事例があり、昭和50年代と同30年代にも行っているという。

 同宗では、釜田前総長が就任した2014年以降、僧堂の活性化を重要課題に掲げている。設置認可のほか、補助金増額や僧堂共通の教本作成、暴力問題再発防止への取り組み、傷害保険の宗門負担などを実施。安居前の研修会開催も検討中だ。

 補助金は、新たに掛搭する新到1人につき5万円の給付金を新設。従来の奨学金は分配基準を見直した上で増額し、最大で1人17万円を給付している。

 人口減や少子高齢化の進行などで修行僧は減少傾向にあり、専門僧堂の掛搭僧数は全体で500人ほどという。両本山僧堂が300人近くを占めるため、26僧堂で約200人となる。

2020/6/11

チャイルドライン速報データ コロナ関連相談が激増 人知れず悩む子どもたち 久間泰弘氏に聞く チャイルドラインふくしま事務局長・曹洞宗僧侶  


 新型コロナウイルス感染拡大防止のため全国の公立学校が休校となっていたが、6月に入り大部分で再開された。2月末の休校要請から3カ月。この間、学校に行けず自宅で過ごす子どもたちの悩みは、人知れず深まっていた。

 18歳までの子どもたちの悩みを電話やインターネットのチャットで傾聴し、相談に乗るボランティア「チャイルドライン」。その全国支援組織である認定NPO法人チャイルドライン支援センターは5月27日、「新型コロナウイルス感染症に関連した子どもの声」の速報データを公表した(同センターのHPで閲覧可能)。休校要請のあった2月末日から4月末日までの2カ月間で、コロナに関連した相談が激増していることが報告されている。

 福島県の「チャイルドラインふくしま」で事務局長を務める久間泰弘氏(曹洞宗龍徳寺住職)は、「8割がコロナ関連の悩み相談になった感じです」と話す。悩みは多岐にわたるが、まず多かったのは休校で学業に対する不安。進学や就職がどうなるのかという声や、学校から自宅学習用に出される課題が多量でこなしきれないことへの困惑がある。

「学校が開いていなくて、一人で過ごすこと自体が、慣れていない子どもには大きなストレスになります」と久間氏は指摘するが、その一方で「いじめを受けている子どもからは、学校が休みになってほっとした、ずっと休校がいい、という相談もありました」ともいう。両面の声があることを認識して対応を考えていく必要性があるようだ。

 親も子どもも長時間家にいることで家族関係がしっくりいかなくなっているという相談もあり、久間氏はDVや虐待の発生も強く懸念する。先述の支援センターの速報データの中では「親もコロナのことでイライラしていてうざい」「親が仕事が休みで収入が減ってケンカしてる」などの声が挙げられている。

 もちろん「自分も感染したのではないか」といった健康面での相談も多い。感染者や医療者が差別される事件も全国で相次いでいるが、久間氏は「自分が差別されたという相談は今のところありませんが、そういう差別を耳にして傷ついた、という相談は受けました」という。センシティブな時期の子どもにとって、皆が助け合わなければならない時なのに差別が起きる、というのは耐えられないだろう。福島県民が、原発事故によりいわれなき差別・迫害を受けてきた記憶もまだ生々しいのかもしれない。

 「宗教者としては、檀信徒や地域の人の苦しみや困っていることを共有していくことが大切。そして差別はいけないことなんだ、と発信していくことが必要になってくると思います」と、久間氏は語る。

 受け手ボランティア 育成講座は通信で
 チャイルドラインへの相談件数の増加は4月に顕著で、4月1日から15日までの半月で全国の相談電話は2万7500件かかってきた。昨年同期に比べ約1万2千件増えているという。にもかかわらず相談に応じる全国の事業所がコロナで閉鎖されてしまい、実際に応じられた電話件数は大きく減少した。「これは本当に申し訳なかったことです」と久間氏は話す。

 この状況下では相談受け手のボランティア養成も課題。チャイルドラインふくしまでは毎年行っている、対面での養成講座を通信講座に切り替えて行うこととした。「思春期の性について」「子どもの発達障害」「いじめに遭っている子どもとの向き合い方」「インターネット世界の子どもたち」など、現代の子どもの悩みを受けるためのスキルを専門家から教わる。久間氏は「通信講座ですので県外の方でも希望されるならぜひ」と呼びかける。申し込みはHP(www.cl-fukushima.org)へ。

 全国各地のチャイルドライン事務所でもオンライン講座を開設している。