最新記事

2021/9/16
共生特集 SDGsとシルクロード史から考える 「共に生きる」とは? 入澤崇・龍谷大学学長


東西交流史をまじえて「共に生きる」を話す入澤学長 今夏の東京オリンピック・パラリンピックの基本コンセプトの一つに「多様性と調和」があり、その解説には「共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする」とある。しかし組織委員会トップによる女性蔑視発言や、開会式関係者の問題発言が相次いだ。「共生」や「共に生きる」の語が用いられて久しいが、その本質が認識されているとは言い難い。そこで龍谷大学の入澤崇学長に、SDGs(持続可能な開発目標)の理念や専門とするシルクロード史から21世紀の「共に生きる」について提起していただいた。
      
誰一人取り残さない
 2015年9月、国連総会で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。その重要な理念である「誰一人取り残さない」を聞いたときに、これは西洋版の仏教ではないかと直観しました。こうした発想は、これまでの西洋や欧米の価値観よりも極めて東洋的だと感じたのです。

 これはいち早く教育界、宗教界が本気で取り組むべきだと思い、国連のSDGs担当者を招いて国際学部の学生たちに講義をしてもらい、すぐに東京の国連大学にも出向きました。本学は仏教を建学の精神としています。とりわけ浄土真宗にかかわってくるのですが、阿弥陀如来の誓願である「摂取不捨」の精神と極めて近い。そこで両者を接合して仏教SDGsを打ち出したわけです。

 さらに龍谷総合学園という巨大な教育グループが本願寺派にあり、その理事長をさせてもらっているので、高校・中学においてもSDGsの取り組みを行ってみてはどうかと提案しました。一部から反発もありましたが、私は、若い人たちのほうが飛びついてくると思っていました。予想通り、高校生たちが自分たちの地域や学校でどういうことができるかを提案してくれました。先般、オンラインでしたが、総合学園に加盟する26校のうち、23校の高校生たちがそれぞれテーマを設定してSDGsの取り組みを発表しました。

 環境問題に一石を投じたスウェーデンの女子生徒グレタ・トゥーンベリさんが、あなたたちは何をやっているんですか、と大人たちに痛烈な言葉を投げかけました。私は童話の『裸の王様』を想起しました。無限の経済成長を追いかけている大人社会に対して問題提起しているのに、大人たちは『裸の王様』状態で現実問題として直視しようとしないのです。

 しかし社会実践や社会貢献の意欲をもった学生たちが年々増えています。これは大きな希望です。ですから未来社会をつくる今の高校生や大学生たちがSDGsへの理解を深めて動かしていけば、社会は劇的に変わるのではないかと期待しています。

アジアの平和政策の源流 
 シルクロードは多くの民族が行き交ったところです。異なる価値観を持っている者が、ぶつかり合ったときには争いが起き、当然のことながら戦争に次ぐ戦争でした。紀元1世紀から3世紀、かつてガンダーラと呼ばれた地域は、まさに民族の坩堝(るつぼ)でした。中央アジアや西から見るとインドへの入口。インドからみると中央アジアや西への出口。面白いことに、いろんな民族がひしめき合う、そうした地域で仏像が誕生しているのです。それも穏やかな表情の仏像が非常に多い。

 今問題となっているアフガニスタンもそうです。それまで悲惨な争いがあった。でもそこに仏教が広まった。この事実は過小評価されており、もっと評価すべきだろうと思っています。仏教は個人の心の安定であるとか、そうした受け止め方が特に近代以降、根強い。しかし長い歴史的観点から見るとそんなことはない。聖徳太子が十七条憲法で説かれた「和を以て貴しと為す」。これは聖徳太子独自の考えではなくて、私はインドからシルクロードを経て中国、朝鮮半島を経由して日本に仏教がもたらされる過程で生み出された思想だと考えています。

 実際、当時の為政者は仏教の影響を受けて、平和政策を打ち出した。例えば紀元前3世紀のインド・マウリヤ王朝の3代目アショーカ王が採った政策は、アジアに大きな影響を及ぼした。アショーカ王の施政を起点にして仏教の広がりを見ていくと、いかに彼の政策が偉大で影響が大きかったかがわかるのです。

 仏教徒のアショーカ王は、国境地帯に異なる民族や異なる宗教も保護せよと詔勅文の中で指示している。ですから仏教が行き渡った地域は、仏教一色になったわけではなく、その土地の宗教も大切にしている。私はフィールドワークで、そうした土地を巡りました。仏教寺院の隣にゾロアスター寺院があったりと他宗教を認めているのです。

 龍谷ミュージアム(京都市下京区)では、ベゼクリク石窟寺院の仏教壁画の修復をしています。ウイグルの人たちが造立した壁画です。ウイグル族はもともとマニ教を信仰していました。かれらが北からトルファンに進出したとき、トルファンでは仏教が行き渡っていた。最初は仏教と摩擦が生じた。仏教壁画の上にマニ教の壁画を施した例もありました。ただしウイグル族が徐々に仏教を受容していくのが修復でわかってきた。ウイグルの王が指示して壁画を造らせているのですが、他の地域には見られない、極めてマニ教的な仏教壁画なのです。ですから自分たちの宗教を捨てるのではなくて、マニ教の上に仏教を受容して独特な仏教世界を作り上げているのです。

一切衆生の思想
 「共生」や「共に生きる」という言葉は便利です。しかし仕事場にしても家庭にしても、やはり人間には感情があるので行き違いはある。共に生きるとは嫌いな人とも生きることです。近代の「共生」は椎尾弁匡師によって打ち出されましたが、もとは浄土教の「極楽浄土に共に生ぜん」から導き出されたと思っています。同時に縁起の思想とも結びつく。自分というものは、他者がいないと存在しないからです。

 ところで、戦争の反対は平和だと多くの人は信じていますが、これは一つの思い込みではないか。というのは、戦争の語は名詞であるのと同時に動詞になる。しかし平和は動詞にはならない。名詞だけです。では戦争の反対は何か。それは「交流」です。ガンダーラにおいて諸民族が交流している時代は平和なんです。交流を具体的な場で可能にさせているのが「対話」です。文化や宗教が違っても他者を排除せず、対話し、交流ができる。これこそが平和と共生を実現させる大きな手段だと思います。

 また仏教がシルクロードに行き渡ったとき、キーとなるのが「衆生」という思想です。生きとし生けるものであり、一切を付けて「一切衆生」。為政者の詔勅文をみると「一切衆生の利益や安楽のために」とある。つまり自分の支配地域や自国の利益にとどまらず、生きとし生けるものの利益を、より鮮明に打ち出しているのです。これは「摂取不捨」や「誰一人取り残さない」と通じています。菩薩が仏になる前に一切衆生を救済すると誓願するように、それを国のトップが実現しようとした。自分がすべてを見渡しても見えないところがある。けれども見えないところで苦しんでいる人がいるかも知れないという意識は常に持っていなければならない。見えなくても悲しみ、苦しんでいる人の立場に立つというのは仏教が初めから説いてきたことです。

 「共に生きる」とはどういうことか、少し見えてくると思います。(談)

2021/9/16
大谷派宗議選 全65席無投票当選 記録残る64年以降初めて


 任期満了に伴う真宗大谷派の宗議会議員総選挙が13日に25選挙区で施行され、僧侶議員全65議席が無投票で確定した。新人は14人。全選挙区無投票当選となったのは、記録が残る1964年以降で初めて。近く議会構成の臨時宗会が招集される。任期は17日から4年間。(続きは紙面をご覧下さい)

 

2021/9/16

高野山宗会 財務調査引継ぎ表明 コロナ困窮寺院増加? 賦課金未納問題が発生


初陣となる所信表明を行う今川総長 高野山真言宗の第169次秋季宗会(赤松俊英議長)が8・9両日、和歌山県高野町の総本山金剛峯寺内宗務所に招集された。今川泰伸宗務総長は初陣となる所信表明演説で、13年後の「宗祖弘法大師御入定1200年御遠忌大法会」を見据え「内局一同、宗本の護持興隆に力を尽くす所存」と表明。現在延期中でコロナ禍終息後に1年間の本調査を実施し新指数(各末寺の宗費負担額)を決定する予定の財務調査について、「宗会後、(指数算定方法決定や財務調査申告書作成を行う)財務調査諮問委員会を新たに立ち上げ、(前内局策定の)行程に従い準備を進めたい」と発表した。

 竹井成範財務部長は、佐伯公応財務部長(当時)名で全末寺に送付された4月吉日付の文書「財務調査諮問委員会の経緯と今後について」に記載の「本調査実施案」を説明。「7月に内局が交代したが、宗団の継続性からこれ(新指数確定までのロードマップ)を反故にするつもりはない。(各末寺が提出した平成29年度分以降3年間の収支計算書など)頂いた貴重な資料を尊重し、残された課題に取り組んでいきたい」と強調した。

 その上で、「御遠忌大法会、それ以降も視野に入れて、抜本的にこれからの財務調査のあり方について広く宗内で議論したい」との方針を示した。

 さらにコロナ禍による寺院困窮問題に言及。「一部寺院では賦課金(宗費・教師義納金・護持負担金)の未納問題が発生したため、当該宗務支所と連携して対処する必要がある。困窮寺院への対応のために今年度の賦課金納入期限(12月25日)を目途に、各支所宛てに(方法や内容等は全て未定だが、財調とは別に困窮状況の)調査を行いたいと考えている。今年度のコロナ禍による賦課金減免調査なども併せて行い、来年度以降はその都度検討したい」と説明した上で、令和4年度の宗費を3年度同様2割減額するとした。

 竹井財務部長は本紙の取材に、「現実問題として賦課金の減免申請が複数出ている。当該の支所長にそうした寺院の現状を聞いたが、『生活ができない状況だ』という。賦課金の減免レベルどころではない」と懸念。「困窮と言っても様々な状況がある。これらを把握する調査実施の可否も含めて、宗会後に検討したい」と話した。コロナ禍が末寺に及ぼした経済的影響を把握する宗派主体の調査としては、東寺真言宗が昨年実施した「3月4月期の法人収入状況のアンケート調査」などがある。

 近藤本淳総務部長は「悪質な賦課金未納寺院への対応」を求める一般質問への答弁の中で、「(正当な理由も含め)様々な事情による未納寺院は全国に100カ寺以上ある」と報告した。(続きは紙面をご覧下さい)

2021/9/16
共生特集 フードバンク目黒 祐天寺で食品配布 全日仏応援「思いを形に」


フードバンク目黒の平瀬代表(右から3人目)の説明を受ける全日仏の戸松理事長(右端) 一人親家庭や失業者、高齢者など十分な食事をとることのできない困窮者を支援しているフードバンク目黒(平瀬栄治代表)は12日、目黒区内の浄土宗祐天寺(巖谷勝正住職)で食品無料配布会を行った。これには全日本仏教会(全日仏)事務総局から3人が応援に駆けつけ、戸松義晴理事長も視察に訪れた。

 フードバンク目黒は4年前から子ども食堂などを開いてきたが、新型コロナの影響もあり今年1月からは食品配布(パントリー)に移行した。区内のキリスト教会では毎月実施しているが、祐天寺での配布は初めて。平瀬代表は「祐天寺はよく知られているお寺で、こうして協力していただけるのはありがたい」と感謝の言葉を述べる。

 この日用意された食品は36世帯分で、事前に家族構成や年齢などを聞き取る。「シングルマザーが多いかな」と平瀬代表は印象を口にする。

 平瀬代表によると、食品全体の半分あまりがセカンドハーベストジャパンから提供され、3~4割が食品メーカーや一般家庭から。1割ほどはフードバンク目黒が購入。その中には食品のほか生理用品や赤ちゃん用おむつも含まれる。

 正午過ぎから食品の仕分け作業が行われた。36のボックスが用意され、家族構成に合わせて食品が詰められていく。お米や醤油、缶詰、レトルト、卵パック、パン類など。子どものいる家庭にはおやつが入る。さまざまな食材が手際よく仕分けされ、フードバンクスタッフと共に祐天寺の僧侶や全日仏職員も一緒に汗を流した。

 配布は午後3時からだが、その少し前から登録者が順次訪れ、リュックや大きな鞄に詰め替えた。スタッフたちもこれを手伝った。

 全日仏は今年3月31日に「仏教とSDGs」シンポを開催し、戸松理事長が仏教界としてこうした活動に取り組むと明言。事務総局はフードバンクに関する情報収集や視察を重ね、祐天寺の協力を得て今回の配布会となった。戸松理事長は「思いを形にということで進めてきたが、今日がスタート。これが各地に広がることを期待したい」と意欲を示した。

2021/9/16

共生特集 世界救世教 熱海市土石流災害 境内地など提供し救援サポート 防災訓練活きる


信徒から提供されたお米1200㎏を被災者に配布するため職員らで小分けした(9月9日) 静岡県熱海市の伊豆山で7月3日に発生した土石流災害。犠牲者26人、行方不明者1人という甚大な被害となった。警察や消防、自衛隊による捜索活動が行われるなか、被災地にほど近い場所に聖地・瑞雲郷を有する(宗)世界救世教(長澤好之管長)は、境内地や研修施設を提供するなど救援活動を支援した。

 土砂災害の発生直後、伊豆山地区の住民が「MOA美術館」に一時避難し、熱海中学校を経て、市内のホテルの避難所へと移動した。熱海市の災害対策本部からは消防・警察・自衛隊の対策拠点及び、災害救助車両の待機場所として駐車場の提供要請を受け、世界救世教と岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館を運営、同館は5日間の臨時休館)が敷地内全ての駐車場(約600台の乗用車を収容)を開放した。

 連絡体制はスムーズに進んだ。というのも「南海トラフ地震」が想定される地域のため、毎年、市全体の防災訓練に参加し、地域とも共催訓練を実施してきた。平常時から市や警察、町内会や近隣の学校と顔が見える関係が築かれていた。発災当日も市の担当者から世界救世教の災害対策本部へと直接連絡が入った。

 教団の駐車場が拠点となり捜索活動は1カ月ほど続いた。この間、隊員らに休憩所やお風呂を提供。活動前半は長雨、後半は猛暑という過酷な状況下で野営する隊員らにお風呂は喜ばれた。

 熱海市には支援金を寄付。ニーズの聞き取りを行い、食品を寄贈したほか遺体安置所の交通整理ボランティアも行った。心の癒しを願って手作りした花器と生け花も避難所へ届けた。被災者のなかには信徒もおり、教団施設で保護し、宿泊施設の個室で約1カ月を過ごして、信徒や職員が寄り添った。(続きは紙面をご覧下さい)

2021/9/16

共生特集 大本・人類愛善会 天恩郷に給水スポット設置 プラごみゼロ目指し


亀岡のおいしい水を誰でもマイボトルに詰められる 大本(出口紅教主)と人類愛善会では、マイボトル推進のため、京都府亀岡市・天恩郷の施設内にウォータースタンドを設置した。

 同会では、人類愛善運動を広めるための実践活動として「マイ箸・マイボトルを携帯しよう」「プラスチックごみをゼロにする取り組みに協力しよう」を掲げている。このたび、亀岡市が推奨している「いつでもどこでも『亀岡のおいしい水』プロジェクト」に人類愛善会として賛同し、給水スポットとして登録を行った。

 また、日本全国の無料給水スポットを探せるスマートフォン用アプリ「mymizu(マイミズ)」へ登録を行い、亀岡市民や観光客などが自由に給水可能となった。

 マイボトル推進運動は、全国の多くの自治体で現在、増加中。設置したウォータースタンドは、おいしい水で定評のある亀岡市の水道水を使用しており、半年ごとにフィルターを交換、不純物を取り除き、常温、冷水、温水の3コースから選び、誰でも利用できる。

2021/9/9

第9回ACRP東京大会 概要発表 行動力ある運動体目指す SDGs基調に4分科会 オンライン開催 10月19日開幕 海外から300人参加


 
ACRP大会ロゴ 10月19日に開幕する第9回ACRPアジア宗教者平和会議(東京)大会の概要が2日、発表された。「行動するアジアの宗教コミュニティ:誰一人とり残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして」のテーマのもと、すべてオンラインで行われる。海外参加者は約20カ国から約300人。日本を含めると5~600人規模になるという。ACRP事務局と世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会が記者会見して明らかにした。

 最初に植松誠理事長(日本聖公会主教)が挨拶。オンライン開催となったことに無念さを滲ませながら、「本当は一緒に集まりたい。一緒に食事をし、お茶を飲み、 話し合う。そういう時間を持ちたかった。しかし世界にもアジアにも課題が多くある。それらを宗教者の立場から話し合って少しでも平和構築に前進したい」と述べた。

 続いてACRP(RfPアジア)事務総長の根本信博氏が概要を説明。連日、各国の役員と打ち合わせを重ねてきたと言い、「オンラインではあるが、参加者が東京に来ているような雰囲気を醸し出したい」と順調に準備が進んでいることを強調した。

 今大会について、3点の目的を示しながら、「ACRP組織を簡素化し、対話に基づく、より行動力のある運動体を目指していくこと」と位置づけた。さらにWCRP/RfPが17項目あるSDGs(持続可能な開発目標)を6項目(6SG)にまとめた目標を、ACRPはフラッグシッププロジェクトと統合させ、①いのちの尊厳教育、②人身取引防止、③平和構築と和解、④環境問題、⑤青年リーダー育成――に集約。⑤以外は分科会テーマに通じるものであり、具体的に検討していく。

 大会にはアジアから約20カ国の宗教者が参加するが、国内委員会(KCR)のある北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は参加しない。

 会見で、中国からの圧力が強まっている香港問題について問われると根本氏は「(ACRPとして)香港に関してはまだ問題提起していない」と応答し、今大会の議論には間に合わないかも知れないと示唆した。

 一方で台湾やウイグルといった問題に言及し、「ウイグルに関しては世界的レベルで問題が提起されている。私たちもCCRP(中国委員会)に申入れした。コロナが収まったら代表団を派遣し、対話をしたいと。来年行こうと思っている」と明かした。

 全体会議ではミャンマー状勢が取り上げられる。米国に身を寄せているWCRPミャンマー委員会創設メンバーの一人でムスリムのアル・ハジ氏が発言する。

 国内委員会を持たないアフガニスタンについては、隣国パキスタンの国内委員会(RfPパキスタン)がアフガンの宗教者と連携を有し、国際委員会と共に情報交換しているという。根本氏はまた「イギリスにはパキスタン系の非常に有名なNGOがある。かれらも強力なネットワークをアフガンに持っているので、宗教をベースにして何ができるかを検討している」と説明した。

 なお、大会用の専用ウェブサイトが開設され、事前登録すれば一般の人も開会式や全体会議などを視聴できる。

2021/9/9
曹洞宗大本山總持寺 江川貫首来月退董 新貫首に石附副貫首就任


江川貫首石附副貫首 曹洞宗は1日、大本山總持寺(横浜市鶴見区)の独住25世、江川辰三貫首(92)が退董することを発表した。次期貫首には石附周行副貫首(84)が就任する。退董式と入山式は10月18日に執り行う。貫首の交代は10年ぶり。

 同寺によると、江川貫首は6月初旬に体調を崩し入院。入退院を重ねて職務にあたってきたが、継続は難しいと判断し退董を決めた。

 江川貫首は昭和3年(1928)生まれ。山梨県出身。駒澤大卒。曹洞宗審事院副院長などを歴任。總持寺監院を経て、平成22年(2010)に副貫首に就任。大道晃仙前貫首の退董を受け、翌年に貫首に就いた。

 石附副貫首は昭和12年(1937)生まれ。群馬県出身。駒澤大大学院博士課程単位取得満期退学。神奈川県南足柄市の大雄山最乗寺山主。宗議会議員、宗務庁伝道部長、曹洞宗師家会会長などを歴任。平成23年(2011)に總持寺副貫首に就任した。

2021/9/9

浄土宗 カイシュウ850ハイチュウ発売


別料金で寺院名も入れることができる 3年後の浄土宗開宗850年(令和6年)を盛り上げるため、宗務庁は記念の「お菓子」を考案。ユニークなアイデアに思わず微笑がこぼれる好企画として人気を呼んでいる。

 森永製菓(本社・東京都港区)の誰もが知っているお菓子「ハイチュウ」。1975年にリリースされて以来、長く子どもたちに親しまれているが、このほど法然上人のシルエット(開宗850年記念ロゴ)と宗紋、マスコットキャラクター「なむちゃん」、それにキャッチコピー「お念佛からはじまる幸せ」をあしらった特別デザインとして浄土宗寺院向けに限定発売。名称も「カイシュウ850×ハイチュウ」と、韻を踏んでいて面白い。

 企画調整室によると、これまで浄土宗オリジナルのお菓子にはお寺同士で手土産として持っていくようなものはあったが、直接檀家に配布できる手軽なものがなかったため、開宗850年を機にハイチュウとコラボしたとのこと。

 価格も通常のハイチュウと変わらず1本95円で、50本から1本単位で注文できる。500本以上注文の場合、別料金5千円をプラスすれば寺院名も入れることが可能。賞味期限は製造日から12カ月。日曜学校や花まつりなどの行事をする際に配布すれば、笑って楽しみつつ、浄土宗への親しみを感じさせる機縁となりそうだ。なお、味は一番人気のグレープ。

 850年記念お菓子は他にも、京都を代表する菓子舗とのコラボで販売中。八ツ橋(聖護院八ツ橋総本店)、千寿せんべい(鼓月)、京べにもなか(鶴屋吉信)、ラングドシャ茶の菓(マールブランシュ京都北山)の4種で、こちらは法要の際のお配り物などにぴったりだ。

2021/9/9

大震災10年 被災中学生が僧侶の道へ 一般大学から宗門大学編入 支援に感謝、地域復興の思い語る


   
オンラインで講演する小林瑛真副住職 真言宗智山派智山青年連合会の災害救援対策講習会「東日本大震災から10年 震災の記憶を未来につなげるために」が2日、オンライン形式で開催された。震災発生当時15歳・中学3年生だった岩手県陸前高田市・金剛寺副住職の小林瑛真さんが、「私の10年―被災者から僧侶へ」と題して基調講演した。

 小林さんは住職の娘として寺に生まれたが、当初は別の道を目指して県内の大学に進学。だが10代で経験した大震災の影響は大きく、宗門大学に編入学して僧侶になると決心。そこに至る過程などを語った。

 震災発生時、気仙中学校の全校生徒は体育館で卒業式の合唱の練習をしていた。「大きな揺れで体育館がきしんだ。普段は温厚な教頭先生の『逃げろ!』という叫び声で皆外に出て、高い所にある避難所に逃げた」

 海に近い同校では定期的に地震・津波の避難訓練を実施。そのため初期避難は「スムーズにできた」。しかし、気仙川の川底が見えるほど水が引いたのを見た時、「恐怖感が膨れ上がった」。泣き出す生徒もいたという。

 教師たちは次の避難所への移動を検討。マニュアルの避難経路では次の避難先は気仙小学校だったが、低地を通らねばならず、教師たちは危険と判断。

 「先生たちは急遽、さらに上の高台へと避難経路を変えた。今、思い返しても素晴らしい判断をしていただいた。避難するはずだった気仙小学校は屋上まで津波をかぶった。先生方の臨機応変な判断に命を救われた」

 だが、「指定避難所に避難したにもかかわらず、犠牲者が出てしまった事例が数多くあった」。友人の父親も亡くなった。「決して津波を甘く見ていたわけではない。指定避難所に到着しても、絶対に安全とは言えない」(続きは紙面でご覧ください)

2021/9/2

龍谷総合学園 SDGs達成へ高校生が発表 ジェンダーや食品ロス対策など


オンラインで全国23の高校が結ばれ協議(写真は岡山龍谷高校) 浄土真宗本願寺派の宗門校24学園72校で構成される龍谷総合学園は21日、オンラインプログラム「仏教×SDGs2021」を開催した。持続可能な開発目標(SDGs)の達成に取り組むため、全国23の加盟校がアクションプランを発表、協議した。「仏教✕SDGs」は2019年からスタート。今回はオンラインで初開催となる。

 龍谷総合学園理事長の入澤崇氏(龍谷大学学長)は、「これからの未来を作り上げるのはあなたたちです」とエールを贈り、誰一人とり残さない社会の実現に向けて行動する「まごころある国際人」への成長を期待した。

 討議テーマになったのは「ジェンダー/多様性」「食べること/エシカル消費」「SNS/対話・コミュニケーションの可能性」で、いずれも高校生にとって身近な課題。旭川龍谷高校(北海道旭川市)は「生理を恥じない世の中にしたい」というプランを発表。労働基準法第68条には生理休暇の取得が定められているが、「生理という言葉を恥ずかしいと思っている女性がほぼ全員」で、男女ともに正しい生理の知識があるわけではないため休暇を申告しづらい等の状況があるとし、インターネットなどで生理について正しい知識を啓発して生理を恥じない世の中にしたいとした。ちなみに戦後、労働基準法に生理休暇を盛り込んだ国会議員の赤松常子は本願寺派寺院の出身である。

 進徳女子高校(広島市)は目標12「つくる責任、つかう責任」に関連し、「日本を含む先進国の食品ロスが飢餓の問題を助長している」と指摘。野菜の皮など一般的には捨てられるような部位も無駄なく使う精進料理の知恵を普段の生活に取り入れ、SNSなどで発表することを提案。「仏教の知足の教えを正しく理解することで食品ロスを減らせる」と展望した。

 北陸高校(福井市)は「SNSとの仏教のかかわり」について発表。SNSには災害時の情報共有や世界中の人とのつながりを担保する可能性を持ちつつ、自分勝手な人々がフェイクニュースや誹謗中傷を流す危険性もあると指摘。「仏教の教えである、自分だけよければよいという思いからの転換、物事を色々な視点から柔軟にありのままに見ることを学ぶこと」でSNSを正しく使えるようになると呼びかけた。

 こういったプランを、3つの班に分かれて協議し、ブラッシュアップ。龍谷総合学園公式や各学校の生徒会によるSNSアカウントを作り、「仏教✕SDGs」について情報を発信していくことなどが提案された。

 今後の実践のために「仏教✕SDGs2021宣言」を発表。龍谷総合学園の建学の精神には仏教の縁起の教えが流れており、「SNSについても同じで、世界のどこかで見知らぬ誰かが取り組んでいるものではなく、私たち一人ひとりの生活に密接に関わっているはずです」として、すべての課題を「自分ごと」として積極的に取り組むことを誓った。

2021/9/2
大谷派 但馬総長が入院加療 望月参務が臨時代理


 真宗大谷派宗務所(京都市下京区)は8月25日、但馬弘宗務総長の入院加療を受けて望月慶子参務を宗務総長臨時代理に任命したと発表した。同職は宗務総長が一定期間宗務を執り行えなくなった場合に置かれ、「あらかじめ指定する参務」が任命される。

 但馬総長の入院加療期間は、「一週間から10日程度の予定」という。「病名や病状については、ご本人の希望により公表を差し控えます」としている。

 女性参務の宗務総長臨時代理就任は、「おそらく初めて」(総務部広報担当者)。前回の同職任命は2007年で、熊谷宗惠宗務総長の南米本願寺理事会出席を受けて、石川正生参務がその留守中10日間の総長職を代行した。

2021/9/2

H1法話グランプリ 日本仏教発祥の奈良で開催 10月30日 審査員に宣教師も 公募8組9人が出場


奈良県庁で記者発表を行った雲井実行委員長㊥と森圭介副委員長㊧、池尾宥亮委員 超宗派の若手僧侶による法話の祭典「H1法話グランプリ2021」が10月30日午後1時から、奈良市三条宮前町7―1のなら100年会館で開催される。実行委員3氏が8月25日、奈良県庁内で記者発表を行い、雲井雄善委員長(兵庫県神戸市・天台宗能福寺住職・52)が「各宗派の教義の優劣や僧侶個人の話術を競う大会ではない。審査基準は『また会いたくなるお坊さん』。日本仏教発祥の地である奈良は、宗派の垣根を越えて集まる場所として最もふさわしい」と熱っぽく語った。

 45歳以下の若手僧侶を対象に、初めての全国公募を実施。選考会で16宗派36組の中から8組9人の出場が決まった。

 登壇順はあみだくじで決定。①小林正尚氏(山梨県北杜市・日蓮宗見法寺住職・38)②関本和弘氏(大阪府寝屋川市・融通念仏宗大念寺副住職・44)③畔柳(くろやなぎ)優世氏(愛知県西尾市・浄土宗西山深草派養寿寺住職・43)④田中宣照氏(兵庫県神戸市・高野山真言宗西室院住職・43)⑤舟川智也氏(福岡県行橋市・浄土真宗本願寺派両徳寺住職・43)⑥野田晋明氏(愛知県春日井市・臨済宗妙心寺派林昌寺副住職・31)⑦中田定慧氏(奈良市・華厳宗隔夜寺住職・38)⑧破石晋照氏(岩手県平泉町・天台宗金剛院副住職・41)と南洞法玲氏(同・同宗寿徳院住職・42)のコンピが、各10分間の法話を行う。

 審査員と来場者の投票でグランプリを決定。審査員長を釈徹宗氏(相愛大学教授・浄土真宗本願寺派如来寺住職)、審査員をいとうせいこう(アーティスト)後藤正文(ミュージシャン)露の団姫(落語家・天台宗尼僧)の各氏が務める。キリスト教宣教師のクリスチャン・モリモト・ヘアマンセン氏(関西学院大学教授)も審査員に加わり、キリスト教の説教の観点から仏教の法話を聴く。

 当日の開会セレモニーでは、奈良市立飛鳥中学校の書道パフォーマンス部の生徒たちが釈尊の名号を揮毫。その書を大会本尊として会場正面に掲げるなど、地元と一体となって大会を盛り上げる。

 観覧料は全席自由で2千円(なら100年会館チケットセンター☎0742―34―0111)。コロナ禍の状況で席数とチケット販売数を調整する。オンラインによるライブ配信も検討中。

 雲井委員長は、「疫病が蔓延した(1300年前の)奈良時代に東大寺の大仏が建立された」と日本仏教の黎明期を追想。コロナ禍の今、「こんな時だからこそ宗教が果たせる役割があると強く信じている」と意気込みを語った。

2021/9/2
全国教誨師連盟 中川文隆理事長インタビュー コロナ禍の教誨活動

 
 
 昨年6月、(公財)全国教誨師連盟の理事長に神道界から初となる中川文隆氏(東京・鐵砲洲稲荷神社宮司)が就任した。新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中での舵取り役となった。先般、NHK報道番組で今年2月に横浜刑務所でクラスターが発生したとを報じられた。緊急事態宣言とまん延防止の範囲も広がっている。コロナ禍の教誨活動についてインタビューした。


 ――本題の前に、神社界から初の教誨師連盟の理事長に就任されました。その心境についてお聞かせください。

 中川 教誨師連盟には仏教、キリスト教、神道、諸教、各宗教の方々が集まっています。教誨活動は、矯正施設の被収容者(受刑者)に、人として罪を犯したことに対しての後悔の念を起こさせ彼らに寄り添い、共に悩み、新しい生き方について考えることに大きなウエイトを占めていると思います。例えば、刑罰を受けて入所(服役)しているけれども、何年間か我慢すれば終わりなんだと、そういう意識を持つ人に対して、宗教的な面から人間の内面に語りかけ罪意識の自覚を促し、彼らが立ち直ろうとするようにしていく。神仏の教えに添いつつ、彼らの魂を解放し、人間性の回復をはかり、社会復帰へつなげていく――こうした基本的な考えは教誨師のみなさんは持っていると思います。

 ですから、神社界出身ということはあまり意識していません。5代前はキリスト教の理事長ですから。それに結構、みんな仲が良いですよ(笑い)。

 ――コロナ禍の教誨活動ですが、横浜刑務所でクラスターが発生し、その対策をとりながら運営されているとの報道がありました。宗教教誨には、個人教誨と集合教誨と宗教行事があります。コロナ禍ではどのようになされているのでしょうか。

 中川 施設職員は感染対策には非常に気を遣っています。その中で教誨活動が厳しい状況にあるのも事実なのです。実は、各地域の施設によって対応の仕方が違うのです。ほとんどの施設ではウイルスを持ち込ませないため、外部ボランティアの受け入れを厳禁としています。

しかし宗教教誨の場合、例えば、緊急宣事態言下にある首都圏ではできないけれども、宣言やまん延防止の対象外地域では、対策をとりつつ教誨をしているところもあるのです。本来、教誨は、被収容者の宗教の自由、信教の自由を守るために行われる。彼らが教誨を受けたいと願い出たとき、東京に緊急事態宣言が出ているから、地方にある施設でもダメとなると、彼らの信教の自由に強い制限を加えることになる。そのため各施設では、どこまで教誨活動ができるのかを、慎重に決めているようです。ですから各施設によって対応が異なるのです。

 ――横並びというわけにはいかないということですね。

 中川 そうです。個人教誨ではフェイスシールドとマスクをしながら、アクリル板を立てて実施しているところもあります。集合教誨では、広いスペースのある施設では、間隔を空けて人数を制限しながら行っているところもあるようです。

  何よりも被収容者の心の安らぎが大切です。しかしながら対面できないというのは、教誨師としても心苦しい。個人教誨の場合、入所してから同じ人と教誨を重ねることが多く、相手が変わっていく様子が伝わってきます。これは個人教誨の基本だと思います。それが対面できないと、どうしているのかなと気になったりしますね。(続きは紙面をご覧ください)

2021/8/26
IBYE2021 アジアの青年仏教徒がオンラインで交流 アフターコロナ、SDGs学ぶ


初のオンライン開催となったIBYE アジアの青年仏教徒の国際交流とグローバルな人材育成のための国際青年仏教徒交換プログラム(IBYE、主催=WFBY世界仏教徒青年連盟、JYBA全日本仏教青年会)が20~22日にオンラインで開催された。日本、韓国、マレーシア、インドネシア、シンガポール、バングラデシュ、スリランカなどの青年仏教徒約120人が参加し、コロナ後の世界や仏教の持つSDGs達成の可能性について学びを深めた。

 IBYEはこれまでにも日本を含めたアジアの仏教国で開催され、昨年2度目となる日本での開催を予定していたが、コロナ禍のため中止。今回は初のオンライン開催となった。

 テーマは「アフターコロナとパラダイムシフトー未来への希望」。村山博雅WFBY会長とホスト国の谷晃仁JYBA理事長の挨拶に続き、発災10年を迎えた東日本大震災や国内外で頻発する自然災害犠牲者の追悼、新型コロナ終息を願う祈りの時間が設けられた。

 初日は、相愛大学副学長の釈徹宗氏(本願寺派如来寺住職)と神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が基調講演した。

 釈氏はコロナ禍で生じている二項対立の問題を指摘し、世界的に感染症の対応を通じて政府が国民をコントロールする傾向が強まっていると指摘。健康とプライバシー、健康と経済など、どちらかを選ばせ人々が対立する状況があるが、「どちらかを捨てるのではなく、両者を維持しながら、その隙間を埋める心と身体が大切になる」と語った。

 SDGsでも課題に挙げられている地球環境の問題にも言及。地質学的には人類が地球環境に大きな影響を与える人新世(アントロポセン)の時代に入っており、「人類のエネルギーの過剰な部分があまりに環境に対して影響を与えている。この過剰な部分との付き合い方を仏教は教えている」と説示した。

 仏教は経済活動を否定してはいないが、「最初期から仏教はエシカル(倫理的)な経済活動を説いてきた」とし、六波羅密で説かれる布施行などを例に挙げて、現代人には「フェアとシェア」が必要だと提言。「普段からフェアネスがある社会を作っていかなければいけない」と日常生活での教えの実践を呼びかけた。(続きは紙面でご覧ください)