2018/9/20
「海との共生」を壊す“海ごみ” プラスチック 捨てない 使わない リサイクル
窪川香薫(浄土宗長福寺副住職・東京大学海洋アライアンス特任教授)

 四方を海に囲まれた日本は、約6800の島からなり、海岸線は世界第6位の総延長距離がある。海の恵みが産業、文化、生活の隅々に見られる。一方、海は脅威ももたらす。それでも、美しい海に沈む夕日に合掌し、心穏やかな時空間を感じ、海と人が共に生きていることを自然に想う。今、それを壊す要因が出現し世界が危惧している。それは海ごみである。

 海洋汚染のひとつである海ごみは、沿岸生態系への悪影響、漁業や船舶航行への障害、沿岸域の生活や観光への悪影響など多岐にわたり規模も大きい。特に海洋プラスチックごみは、海洋生態系だけでなく健康への影響も懸念されている。世界のごみ全体の10%がプラスチックで、2016年には4800億本のペットボトルが売られている。また、毎年5兆枚のビニール袋が使われている。そして、800万トンのプラスチックが海に流れ込む。

 2015年9月の国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)が採択され、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられた。海洋関連の目標はSDG14「海の豊かさを守ろう」にまとめられた。その項目のひとつが海洋汚染の防止と削減である。さらに、2015年ドイツ及び2018年カナダで開催された主要国首脳会談G7サミットでは海ごみが取り上げられ、2018年に「G7海洋プラスチック憲章」が作成されて、日本とアメリカ以外の参加国が承認した。2019年G20サミットは、日本が議長国となり海洋プラスチックが議題に上がる。

 なぜ海はプラスチックのゴミ箱になったのか。安価で使い捨てができ、丈夫で腐らないことが原因とされる。深刻なのは,極域や深海にも運ばれていることである。生分解までに数百年以上かかり、2050年には、その重量が魚の全重量を上回るとの推定もある。

 健康への影響はどうか。懸念は、海洋プラスチックの微少な破片であるマイクロプラスチックが食物連鎖により人体内に入ることである。海に流出して残存するPCBなどの有害化学物質がマイクロプラスチックに吸着すると指摘されている。最近、さらに小さなナノプラスチック(100万分の1㎜レベル)が魚類の筋肉で見つかった。消化器から吸収されて体内に運ばれるほどの超極小サイズである。健康への影響は推測段階だが、海ごみは確実に海の命を脅かしている。

 どのように防ぐか。ごみ流入元は、アジア諸国沿岸が多い。最近の調査では、日本沿岸のマイクロプラスチック量は、世界の他の地域と比べて20~30倍多かった。日本の大量消費と日本周辺の海流による流入などが原因とされている。世界中でプラスチックを捨てない、使わない、リサイクルの意識と行為が大切になる。

 日常的な教育と啓発は重要である。海ごみやマイクロプラスチックを調査研究している高校、海ごみ拾いをしている小・中学校は、沿岸域のほぼすべての自治体にある。瀬戸内海では、県を超えて高校が連携し、自分達で標準化した方法により各地域沿岸のマイクロプラスチックを調査している。若者たちから豊かな海への希望が見られる。

 人間活動を起因とする海の問題は海洋汚染だけではない。温暖化と海洋酸性化、乱獲と多様性の減少など多彩である。人と海の縁起が忘れられた結果だろう。

 One Ocean=かけがえのない海を守り,自分も他人も生物も、すべての命の生存が脅かされない海と人との共生に未来を繋げたい。
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くぼかわ・こうくん(かおる)/早稲田大学理工学研究科博士課程修了。早稲田大学、東京大学海洋研究所勤務を経て、現在は東京大学海洋アライアンス特任教授。浄土宗僧侶。浄土宗東京教区女性教師参画推進小委員会委員。東京都北区長福寺。

2018/9/20
共生特集 立正佼成会 普門館解体し12月から普門エリア整備 普門精神継承し地域と共に

「吹奏楽の甲子園」と言われる普門館の大ホールの舞台からの眺め 立正佼成会では、会の活動以外にも使われ、多くの人々に愛されてきた東京都杉並区の境内地施設「普門館」の使用を今年11月中に終了し、12月から解体を含めた普門エリアの整備工事を始める。解体後の跡地も〝普く人々に開かれた門〟となる普門精神を受け継ぎ、地域の憩いの場となる緑地化などが検討されている。

 1970年4月に落成した普門館は、5千人を収容できる大ホール、6カ国語の同時通訳に対応する国際会議室などを備える。教団の行事以外にも、20世紀を代表する指揮者カラヤンのベルリン・フィル・クラシックコンサートや美空ひばりといった国内外のアーティストの公演、様々な国際会議の会場となった輝かしい歴史を持つ。

 中でも、国内では長らく全日本吹奏楽コンクールの会場として使用され、吹奏楽を志す学生に密着したテレビ番組の影響もあり「吹奏楽の甲子園」としても親しまれてきた。
しかし、2011年の東日本大震災を機に、大ホール天井の耐震調査を実施した結果、人命を第一に考えて使用停止を決定。改修や建て直しも検討したが、関連法規等に照らし困難であることからやむなく断念した。

 普門館には、「その名の示す通り、普く一般社会のみならず世界の為に門戸を開いて学問、芸術、文化の為に貢献したい」という庭野日敬開祖の思いが込められている。

 解体後の跡地について主管の熊野隆規・時務部長は「跡地は、芝生を一案とする緑地化を予定しています。普門精神に基づく様々な実践が展開される場とすることで、会員のみならず多くの方に親しんでいただければと思っています」と話す。

 現在、会員向けに大ホールを見学できるイベント「ありがとう普門館」を開催中で、初めて訪れたという千代田中央教会の木村安成さん(20)は「解体は残念ですが、法律の問題はしょうがないですよね。会員の皆さんにとっては拠り所になっている場所。この魂というか、思いやりの心は残してほしい」と言う。

 同会では、一般に向けても大ホールを開放するイベント「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ」を11月5日から11日まで開催する予定。参加費は無料。楽器を持ち込んでの音出しも可で、吹奏楽関係者には、夢の舞台で演奏する最後の機会。開館時間や集合場所などの詳細はインターネットの特設ページ(www.kosei-kai.or.jp/fumonkan/)で確認できる。

2018/9/20
共生特集 秋田県曹洞宗青年会「秋田犬こもれび教室」 福島や宮城の子どもを招き

キュートな秋田犬を抱きしめて笑顔 秋田県曹洞宗青年会(菅原芳徳会長)はこの夏、8月1日から3日まで福島・宮城の子どもたちを招いての「秋田犬こもれび教室2018」を開催した。曹洞宗復興支援室分室(福島市)と協力し、東日本大震災の影響でのびのびと遊べない子どもたちに新鮮な空気と自然との触れ合いを提供しているもので、震災以後断続的に行われ今回が4回目。今、世界的にブームを呼んでいる秋田犬とのスキンシップに子どもたちは大喜びだった。

 プログラムは会長自坊の鹿角市円通寺での開校式でスタート。初日は椅子取りゲームや温泉入浴、花火を楽しんだ。翌日は笹森山のふもとにある自然体験学習施設「中滝ふるさと学舎」に移動し、景勝地の中滝での水遊びやお楽しみの秋田県とのハグを堪能。テレビや図鑑では見たことがある秋田犬も、実際に触れると「おっきい!」とビックリの様子。ピザ焼き体験や、曹洞宗僧侶のミュージシャン・英心さんによる星空ライヴとキャンプファイヤーで、忘れられない一夜を過ごした。

 最終日は秋田名物きりたんぽを作り、史跡尾去沢鉱山の旧炭坑内を探検。ちょっとした冒険気分で満足感を胸に帰路についた

 菅原会長は「震災からこれだけ年月が経つと、少しづつ記憶が薄れて、『もうそろそろ支援はいいのかな』と思っている向きもあるかもしれないんですが、やっぱり子どもたちに遊ぶ場を作ってあげるのは大切なこと。思い出に残ってくれれば」と語り、「SNSや人づての話などでも、親御さんたちから感謝の気持ちを伝えられることがあり、とても嬉しいです」と手ごたえも感じていた。

 今回参加した子どもは小学4年生から6年生までの21人。「気さくなあんちゃ(お兄ちゃん)」である青年僧との交流で仏教に親しむ機縁にもなったようだ。

2018/9/20
猛暑から地球温暖化を考える 宗教界が働きかけ 今こそダイベストメントの実行を!
山本良一インタビュー(東京大学名誉教授)

ワシントンポストに掲載された北半球の天気図。ジェット気流の蛇行が異常気象をもたらし、北欧では山火事が相次ぎ、カナダのケベックでは熱波で70人が死亡。米国カリフォルニアでは華氏111度(摂氏44度)を記録した 今夏の日本列島は短い梅雨が明けると猛暑が続いた。さらに豪雨や台風が相次ぎ、各地で被害が頻発した。そのうえ6月には関西、今月には北海道と大規模地震が発生した。地震以外の猛暑や豪雨は地球温暖化の影響が指摘されている。この分野の第一人者で、地球温暖化問題に早くから警鐘を鳴らし、倫理的側面から宗教界の発奮を期待する山本良一・東京大学名誉教授(工学博士)に聞いた。
◆ ◆ ◆
ーー高温、豪雨とその被害、相次ぐ台風など今夏の日本は異常気象に見舞われました。

山本 7月31日の日本経済新聞電子版では「7月こんなにすごかった猛暑・豪雨、記録ずくめ」と題して異常気象をコンパクトに伝えている。西日本豪雨の死者は225人、約4万5千棟の住宅に被害を与え、全国の雨量観測点の1割強にあたる138地点で72時間降水量が観測史上1位を更新。熊谷市では最高気温41・1度と国内記録を5年ぶりに更新。台風の逆送(反時計回り)などなど。

 気象庁には異常気象分析検討会があり、7月豪雨や酷暑は「異常気象の連鎖」だと断じている。記録的高温は「太平洋高気圧とチベット高気圧がともに日本に張り出し続けたこと」が原因で、布団の二枚重ね状態だという報道を耳にした人も多いでしょう。チベット高気圧の張り出しは、偏西風やジェット気流の大きな蛇行が繰り返されたことによって起きた。こうした背景には地球温暖化に伴う気温の上昇と水蒸気量の増加があるのです。

 そこで仏教界・宗教界の人たちに取り組んで欲しいことが2点ある。まずは天気予報とその報道のあり方を変えること。なぜかというとNHKも民放も、例えば台風上陸の場合、日本列島を中心に朝鮮半島と中国大陸の一部と台湾ぐらいしか画面に映らない。これでは国民の視野狭窄を招いているようなもの。拡大すれば北半球で蛇行するジェット気流と北欧の猛暑や山火事と日本の高温が連動していることが理解できる。

 もう一つは、リアルタイム・イベントアトリビューション(リアルタイムEA)と言いますが、簡単に言えば異常気象の要因分析。なぜこのような異常気象が起きているのかを数日内に分析して国民に知らせることです。ワールドウェザーアトリュビューションという民間組織は、異常気象の要因分析サービスをしている。ケープタウンの水危機の発生確率は気候変動によって3倍に高まっているとか、北欧の熱波についても7月28日に分析結果を発表している。日本でもそうした情報が毎日の天気予報で提供されるべきと思います。

 北半球を映した天気予報とリアルタイムEAは、仏教界・宗教界の働きかけで変えられると思います。それを見るだけで地球に何が起きているのかがわかるのです。

――地球温暖化対策として、パリ協定(2015)では2℃以下に抑えたいとしている。

山本 パリ協定では世界の気温上昇を産業革命以前と比べて2℃以下を目標としている。できれば1・5℃以下に抑えたい。2℃を超えるとさまざまな気候システムの臨界点を超え、異常気象がカスケード的に起きて大変な事態になるからです。1・5℃というのは、これ以下にしないと北極海の海氷が溶け、また海面水位上昇で小さな海洋島の国々は水没してしまう。こうした理由から1・5℃に抑えたい。しかしハードルは高い。

四諦の教えから

 温暖化は人類が排出している毎日1億トン近いCO2(二酸化炭素)が主原因。目標を達成するには仏教的な分析が有効です。四諦の教えです。つまり原因を分析し、原因を取り除くこと。原因は、CO2を含む温室効果ガスの大量放出なのですから、これを取り除かないといけない。

 取り除くには技術的なアプローチと精神的・倫理的なアプローチがある。技術面では、省エネ技術やCO2を排出しない自然エネルギーを使う方法がある。自然エネルギーは風力や太陽光、地熱など。それに原子力発電もCO2を抑えられるけれども、ただし原子力は倫理的な問題を生じている。今まで自然エネルギーが普及できなかったのは、化石燃料の発電に比してコストが高かった。ところがこの4~5年で大転換が行われている。
世界的には、風力発電は11年間で7倍に増え、太陽光発電は11年間で285倍に増えた。2016年の自然エネルギーの発電量は電力の24・5%を供給することになり、世界の自然エネルギー発電量は原子力発電の2倍になった。2017年には太陽光発電の設備容量は原子力発電を超えた。

 各国の電力消費量に占める自然エネルギーの割合は、スウェーデン58%、デンマーク58%、ポルトガル44%、ドイツ36%、イタリア32%、スペイン31%、イギリス29%、中国26%、アメリカ18%、インド17%、日本16%。つまり国際的に見れば日本は先進国ばかりではなくて、中国やインドよりも遅れをとっているのです。

 自然エネルギーコストの急激な低下が起きていて、世界の多くの地域で火力発電より安価になってきている。おそらく化石燃料発電より自然エネルギー発電の方がコストを抑えられる。ということは、われわれ人間は、倫理的にもコスト的にも自然エネルギーの時代に入ったのです。

――日本の省エネ技術や自然エネルギー発電の技術は高いとされますが、それほど普及していない。

山本 コスト面もありますが、この20年をみると、日本は変化を嫌う民族性というか、大きなチャンスに挑戦する力が、他の国や民族に比べて非常に弱い。目先のことばかりで、長期的に物事を考えられない。一番残念なのは倫理の力が弱いこと。例えばドイツは、倫理面からも論理面からも自然エネルギーにシフトした。日本人は、30年40年後の孫の代の地球がどうなるのかと深く考えていないのでは、と思わざるを得ない。

――天気予報改革のほか仏教界・宗教界は何をすべきでしょうか。

山本 宗教太陽光発電所(http://rse-greenenergy.org/)というサイトがありますが、まずはそれを見て実践するというのが一つ。お寺が太陽光パネルを設置すると、葬儀や法事で来た人たちへの啓発にもなる。ゼロエネルギー寺院をつくるのも一案です。ゼロエネルギーハウスやゼロエネルギービルがあるのですから、こうした流行にはぜひ乗って欲しい。

 そして化石燃料を使ってCO2を排出しながら電気をつくることは倫理的に許されない、というところまでいかないと。それにはダイベストメント(化石燃料からの投資撤退)が有効です。つまり石炭・石油火力発電を応援しているような銀行はボイコットするというもの。ダイベストは世界的な運動になっていて英国国教会の前カンタベリー大主教、ローワン・ウィリアムズさんはケンブリッジ大学にダイベストを要請しました。

各本山が連携せよ

 ダイベストと言っても預金全額を移せというのではありません。例えば、メガバンクに100万円の預金があるとしたら、その一部を城南信用金庫のような自然エネルギーを応援している金融機関に移すだけでいい。仏教界では、横浜善了寺住職の成田智信さんが初めてやった。

 それを高野山金剛峯寺や比叡山延暦寺、京都の東西本願寺、奈良の東大寺、曹洞宗大本山永平寺・總持寺など仏教界の各本山が連携して、預金の一部を動かすだけでもの凄いインパクトになる。それが広がっていけば、銀行も投資のあり方を見直し、自然エネルギーは増えるはずです。
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やまもと・りょういち/1946年生まれ。東京大学名誉教授。工学博士。現在、山本エコプロダクツ研究所代表。早くから物質文明に警鐘を鳴らし、環境経営やエシカル消費の概念を提示。15万人以上が来場する毎年12月の「エコプロダクツ」展実行委員長を務める。著書に『温暖化地獄』『実践 低炭素革命』(共著)『地球環境問題を仏教に問う』(共著)など多数。

2018/9/20
神戸で「日中韓仏教友好交流会議」開催 和合共生を世界の理念に

3国の仏教者が心を一つに世界平和祈願法要 第21回日中韓仏教友好交流会議日本大会「現代に生かす仏教の慈悲心―三国仏教の役割」(主催=日中韓国際仏教交流協議会)が12日、神戸市中央区の立正佼成会神戸教会で開催された。3国から僧侶や信徒ら約300人が参加。心を一つに世界平和祈願法要を奉修し、共同宣言文を採択した。特に「排他的思想から心の安寧が生まれることはなく、互いに認め合い、共に助け合い、共に生きる、この慈悲心こそが世界平和の源である」として、「今後も(3国の仏教者の)黄金の絆を深め互いに協力し合」うことを誓った。

 日中韓国際仏教交流協議会の伊藤唯眞会長(浄土門主・総本山知恩院門跡)が開式の挨拶。「日本仏教の各宗派は中国・韓国から伝えられ、育てられたものにほかならない」とし、3国の仏教者の「黄金の絆」で「和合共生のみ教えを世界人類の帰依すべき基本理念」にすることを呼びかけた。

 日中韓の順番で世界平和祈願法要。日本側は同協議会副会長の今井淨圓・真言宗中山寺派管長を導師に厳修した。中国仏教協会の演覚副会長が法要後に挨拶。「3国人民が世々代々友好でき、戦争が永遠になくなるよう」願いを込めた。韓国仏教宗団協議会の門德(ムンドク)・主席副会長が雪靖(ソルチョン)・同協議会会長の世界平和祈願文を代読。「世界で最も軍事的な緊張と葛藤が高まっていた朝鮮半島で和解と平和の花が咲き始めている。南北と関係する国々が心を一つにし、3国仏教者は同体大悲の思想をこの世に実現するために精進する」と読み上げた。

 続いて3国仏教者代表による講演会。武覚超・同協議会理事長(天台宗比叡山求法寺住職)が基調発言を行い、「自己の利益のためだけではなく、他者のために心を巡らしていく『忘己利他』の慈悲心」の実践を説いた。

共同宣言文を採択し、3国の「黄金の絆」を確認 明生・中国仏教協会副会長は、「仏教の慈悲心の視点から人類運命共同体の構築」を提案。3国の仏教者の「黄金の絆」を基にした「絆の智慧」を発揮していくことの重要性を強調した。

 悔省(フェソン)・韓国仏教宗団協議会次席副会長は、「慈悲の正道を実践する民衆と平和を!」と題して発言。「慈悲とは、心の門を開き、他人を受け入れることだ」と述べ、日本の弘法大師空海を例に日中韓の命がけの「法の伝授と仏教の弘布」を挙げて「正道を立てれば邪道は自ずと消える」と語った。

 同会議は1993年9月、日中友好仏教協会創立40周年記念大会(京都)の席上で、中国仏教教会の趙樸初(ちょうぼくしょ)会長(故人)が「3国仏教界に『黄金の絆』を構築しよう」と提案。95年に第1回大会を北京で開き、ソウル、京都・奈良と続いた。

 以来、中韓日の順番で毎年開催。日本では横浜や広島でも開かれ、今回で7回目。神戸では初。3国仏教徒の「黄金の絆」は、めまぐるしく変わる政治情勢とは一線を画した平和構築活動として重要性を増している。

2018/9/20
浄土真宗本願寺派・千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要 平和への貢献策「貧困克服」取り組みを表明

平和宣言で「貧困の克服」に向けて取り組むと発表した石上総長 浄土真宗本願寺派(石上智康総長)は18日、大谷光淳門主臨席のもと東京都千代田区の国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で第38回「千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要」を執り行った。石上総長は平和宣言で平和への具体策として「貧困の克服」に取り組んでいくことを明らかにした。

 昨年は台風18号の接近に伴い、全国からの参拝を中止し規模を縮小して行われたが、今年は晴天となり全国から約1400人が参拝した。

 仏教讃歌のなかを教区や学園の代表が献花を行い、平和の鐘の音と共に石上総長および築地本願寺の安永雄玄宗務長ら教区代表、職員らがお練りして入場した。

 石上総長による平和宣言では、共に生きる他者の苦しみや悲しみに無関心であってはならないとし、釈尊の「おのが身に引き比べて殺してはならず、殺さしめてはならない」の言葉を紹介した。

 さらに宗門として3年前の戦後70年に「平和に関する論点整理」を行い、平和に寄与する活動が不可欠だとの認識にいたり、「多様な平和貢献策のなか、仏教徒として、念仏者として行うことのできる、行うに相応しい平和への具体的な取り組みとして『貧困の克服』という点に多くの賛意が示された」と表明。

 貧困地域と武力紛争が関連していることに言及し、「恒久的な平和を実現するためには単に戦争がないというだけではなく、その原因となる貧困や抑圧をなくすことが必要だと考えられている」と訴えた。

 続く追悼法要は安永宗務長を導師に勤修。国会議員や全日本仏教会の釜田隆文理事長など来賓が焼香し、手を合わせた。終了後には会場の各所に設けられた焼香台に参拝者が並び、焼香した。

 最優秀作文2人に

 昨年は台風接近で中止された宗門校生徒の作文朗読と表彰式が、追悼法要に先立って行われた。最優秀作文は中学生の部が武蔵野女子学院中学3年生・秋元優佳里さんの「命ということ」、高校生の部が相愛高校3年生・大岡光咲さんの「世界を“無視”しないために」が選ばれた。石上総長は「いのちの尊さ、世界平和を願う思いを見事な作文に加えてくださった」と2人を讃えた。

 今年は宗門関係学校から51作品の寄せられた。優秀作文は中高で7人が選ばれた。

2018/9/20
サントリー美術館「醍醐寺 真言密教の宇宙」展開幕 国宝や重文を中心に展示

薬師如来および両脇侍像前での法要(18日) 真言宗醍醐派総本山醍醐寺が恪護する様々な宝物・聖教を一挙展示する「京都・醍醐寺―真言密教の宇宙」展が19日から東京のサントリー美術館(港区赤坂9―7―4東京ミッドタウン内)で始まった。

 空海真筆「大日経開題」、平安時代の「虚空蔵菩薩立像」、鎌倉時代の「三国祖師影」、それにもちろん5年前に国宝指定された聖教類といった国宝を目玉に、重要文化財や知る人ぞ知る秘宝がズラリと並ぶ。とりわけ目を引くのは重要文化財「五大明王像」。平安時代の古作でそれぞれの像高は81㌢~122㌢とやや小ぶりながら、憤怒の表情や細長い手足の動きなどが大変な迫力である。

 「権力との結びつき」に着目したコーナーもあり、天皇の宸翰や織田信長の書状も公開。歴史ファンにとっても見逃せない。

 18日の内覧会では、国宝「薬師如来及び両脇侍像」(平安時代)の前で仲田順和座主を導師に法要が営まれた。法螺貝の音が美術館に響きわたると来場者も思わず手を合わせた。

 「仏像大使」として作家のいとうせいこうさんと、仏教伝道協会賞沼田奨励賞受賞者のみうらじゅんさんが就任。両者が監修した「仏光ライト」(快慶「不動明王坐像」が映し出される)などオリジナルグッズも充実。

 一般1500円。10月14日の記念シンポ「醍醐寺の文化財を護るとは」など関連イベントも多数。11月11日まで。

2018/9/13
平和をつくり出す宗教者ネット、創価学会に公開質問状で辺野古新基地の是非を問う

 
「平和をつくり出す宗教者ネット」(平和ネット、事務局・日本山妙法寺)は5日、創価学会の原田稔会長あてに「辺野古新基地建設の是非についての公開質問状」を提出した。沖縄県名護市辺野古・大浦湾の自然保護の立場から、創価学会の意見開示を求めている。回答期限は今月12日。

 質問状では、現地で新基地建設事業が本格化してないまでも、「コンクリートブロック約300個が設置」され、貴重生物が下敷きとなり、絶滅が危惧されているジュゴンの餌場である海草藻場が破壊されていると指摘。さらに平和ネットとして故翁長雄志沖縄県知事の辺野古埋め立て承認撤回の意思を支持し、「辺野古・大浦湾の自然破壊を決して許さないことを、ここに誓います」と表明している。

 質問は、今年3月24日、沖縄県主催のシンポジウムで採択された声明文に示された日米両政府に求めた内容と同じ。

 ①現在行われている辺野古新基地建設計画に伴う工事を直ちに中止し、辺野古・大浦湾の生態および生態系サービスへの影響を正確に理解するために、徹底的な調査を行い、改めて評価すること。②貴重な辺野古・大浦湾の自然環境を守るために、辺野古新基地建設計画を断念すること。

 この2点について創価学会の意見を求めている。

 質問状には平和ネットのメンバーである13人が名前を連ねている。

2018/9/13
北海道胆振東部地震 停電と断水直撃 札幌市清田区は寺院に大きな被害なし

厚真町の本願寺派眞正寺では本堂の鴨井が崩落(11日撮影) 6日午前3時、マグニチュード6・7の北海道胆振東部地震が発生した。道内全域290万世帯が一時停電(ブラックアウト)になり、厚真町では北海道における観測史上最大となる震度7を記録し、近隣自治体も広範囲に震度5~6の揺れが襲った。12日現在、死者41人。10・11の両日、現地の寺院被災状況を取材した。

 札幌市清田区では液状化現象により家屋の倒壊、道路の陥没など甚大な被害になったが、同区の寺院に限れば、被害は大きくはなかったようだ。

 清田区北野の浄土真宗本願寺派光円寺は1900年に創建された市内では古い寺院。僧侶の一瀬暁城氏に話を聞くと、境内の宝塔や灯籠が崩れたり、本堂天井の一部が剥離した程度だったようだ。門徒も仏壇が倒れたりした家はあったが、深刻なものはないという。「ただ、市営墓地なのですが、隣の北野墓地では墓石の倒壊などもあり、危険なので立ち入り禁止になっています」とのこと。光円寺は、元々開拓民のための墓地だった北野墓地の供養を担ってきたという由来がある。

 同区平岡の真宗高田派北海道別院では職員が応対してくれた。「うちは灯籠が一つ倒れたくらいで他には何の被害もありません。門徒さんも大丈夫だったので安心でした」とのことであった。

 このほか、平岡の高野山真言宗弘仙寺、日蓮正宗大慈院、北野の真宗大谷派圓楽寺、清田七条の曹洞宗清泉寺も訪れたが、いずれも建物・仏像仏具・檀信徒などを含めまったく被害がないいう話であった。

 安倍首相も視察した同区里塚は液状化で大被害を受け、急ピッチでの工事が進められている。里塚には曹洞宗大乗寺がある。不在だったため話を聞くことはできなかったが、建物も無事で、特に大きな被害があった様子はない。液状化が起こった埋め立て地の低地とはかなり離れており、地盤の堅固な道道36号沿いにあったのが幸いしたのだろう。

 清田区の寺院は地盤が強固なところが多かったようで、液状化を免れたのは幸運だったといえる。ただ、どの寺も、停電や断水にはさすがに不安を覚えた様子はあり、それらが長引かなかったのもまた幸運だった。

 無事だったお寺には視線を次に向けているところもある。同区平岡の高野山真言宗成田山真如院の高山誓英住職は、スピリチュアルケアワーカーとして十数年間札幌で悩める人々に心理的ケアを行ってきた。「心の病を抱えている人たちの相談にはずっと乗ってきましたし、大災害の後には被災者に十分なケアが必要になってきますので、これまでよりも一層、受け入れを図っていかなければ」と語る。

 真如院は内陣の燭台が転げ落ちただけで済んだが、「やはり周囲を見れば被害はすさまじい。家が倒壊した人なんかこれからどうすればいいのでしょうか」と心配する。

 清田二条の真宗大谷派顯浄寺も被害はほぼなかった。坊守の宮本麻美さんによると、お寺の無事を確認した宮本尊文住職は、大きな被害を受けた安平町の救援のためにすぐに向かったという。僧侶の行動力が発揮されつつある。



 清田区の寺院の被害は少なかったものの、思わず呆然とする状況になっていたのは市営里塚霊園だ。台風21号により園内の木々がことごとく折れてしまった上、残った木も地震によって根本から倒れてしまい、まともに墓参ができないほど。もちろん灯籠や墓誌も散乱している。霊園管理事務所によればけが人はいなかったというが、彼岸を前に猛スピードでの修復をせねばならず、頭を抱えているようだ。

 そして、厚真・安平の両町を訪れると寺院や檀信徒へのとてつもない被害が明らかになった。