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2018/2/15
高野山3法人と前内局との訴訟 和歌山地裁が和解案提示 「遺憾の意と和解金」で

  放漫財政を行ったとして、前々内局の庄野光昭元宗務総長と森寛勝元財務部長を宗派3法人(宗教法人総本山金剛峯寺・宗教法人高野山真言宗・学校法人高野山学園)が訴えた総額8億7500万円超の損害賠償請求訴訟。第11回裁判(中山誠一裁判長)が7日、和歌山地裁で開かれた。一昨年1月21日の提訴から2年余り。裁判所は具体的な和解条項案を提示し、双方に打診した。

 現時点での和解条項案は、①「被告らは、原告らに対し、被告らが内局において宗務総長ないし、財務部長の職責にある際に、原告らに多大な財産的な損失を出したこと等について、深い遺憾の意を表明する」②被告らは「原告らに対し、本件和解金として、〇〇円の支払い義務があることを認め、次のとおり分割して〇〇の口座に振り込んで支払う。ただし、送金費用は〇〇の負担とする」③「原告らと被告らは、本件和解以降、より一層、宗門の発展及び一切衆生済度の大願を達成するために大同団結して、協力していくことを誓約する」④「原告らはその余の請求を放棄する」―など(〇印は未定を表す)。和解金額など詳細は、これから審理される見通し。

 原告側は今回の裁判で、賠償責任を負う善管注意義務違反など一切の法的責任を否定し続けている被告側に対し、「5千万円が54万円になってしまうようなハイリスクな仕組債を購入する必要があったのか、庄野・森両氏の認識を尋問で聞きたい」と要請。被告側は当時の金融市場の状況から、「(前任内局の)従来の為替商品に偏重した」運用にはリスクがあり、「分散投資の一環として」仕組債を購入した判断には「一定の合理性」が認められると主張し、その後の金融危機の発生は予見不可能だったと反論した。

 裁判長は、「本件は尋問など行わず、和解で解決すべき事案だ」と表明。次回期日は3月28日。

 宗内でも裁判終結を望む声は少なくない。しかし、「事実究明を曖昧にしての和解では、問題再発を免れない」と危惧する声も。今月末からの宗会での議論が注目される。

2018/2/15
《オウム裁判終結 事件の核心 今後の課題》② 滝本太郎・オウム真理教被害対策弁護団弁護士 12人を「殉教者」にしてはならず

  オウム事件の刑事裁判が終わりました。化学兵器は貧者の核兵器であり、世界史的にはそれほどのテロでした。様々な事件で起訴は193人、無罪は2人、無期懲役が6人、死刑確定が教祖以下の13人です。私の自動車にサリンをまいた教祖の愛人だった女性17歳は、私の要請もあり少年院にいかず歩んでいます。2滝本-空中浮揚.jpg麻原が得意とした「空中浮揚」を自分でもできると実演する滝本弁護士(1994年撮影)

 オウム集団は、最盛期の10%程度ですが今も残っています。出所者で戻ったのはごく一部です。本流の名を変えただけのアレフが1400人程、その資金は10億円ほどです。「山田らの集団」が30人程。アレフと話し合って分かれた「嘘をつくのがワーク」の上祐が指導する「ひかりの輪」は100人程です。アレフは特に血脈を重要視することから正妻と間の次男を新教祖にしたがり、次男や未だ離婚していない妻は、脱会者名目の信者らの支援で生活しています。「山田らの集団」は三女・長男の指導を仰ぎたがっています。教祖の死後はそのお骨の問題です。

 事件発覚からすでに23年を経過しており、今、若者の入信勧誘が成功する比率が高まっているようです。「真相が分からない」「麻原は語らなかった」という偽りの報道も影響しています。麻原は1997年4月24日、当時の17件中の多くは無罪を主張したが事件の成立と関与を認める罪状認否をしているのに、それが知られていなさすぎなのです。

 信者の問題は、第1には現実感覚を失っていることです。LSDや覚せい剤が出家者にはイニシエーションとして使用されてその影響もありましょうが、強烈な呼吸法などによる神秘体験の影響が継続しています。頭ではなく体で「現世は幻」と感じています。

 破壊的カルト 同時に宗教

 第2には、目的のためには手段を選ばないヴァジラヤーナの教えが、「説話ではなく現実にしたんだ」と分かりながら、残っていることです。

 だから平気で「冤罪だ」と言って勧誘します。次は「弟子が暴走」といいます。弟子が暴走と書いてある森達也氏の著作「A3」も利用されます。絶対者たるグルが出れば、その命令によりまずは内部から事件が起こるでしょう。グルは神様以上の存在で、全宇宙とすべての転生を把握している、「殺してあげる」という信仰なのですから。破壊的カルトであると同時に宗教なのですから。(続きは紙面をご覧ください)


 たきもと・たろう/1957年神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業後司法試験合格。大和法律事務所所長(神奈川県弁護士会)。坂本堤弁護士一家殺害事件以後「オウム真理教被害対策弁護団」の一員としてオウムをはじめとするカルト問題に対峙している。著書に『Q&A 宗教トラブル110番』など。

2018/2/15
福岡県春日市の浄運寺 インドに仏教学校建設 シッキム州に今年3月開校予定

 浄土真宗本願寺派浄運寺(福岡県春日市)の白山大慧前住職が代表を務めるFKサンガ教育機構では、インド・シッキム州で学校建設プロジェクトに取り組んでいる。インドにはまだ本願寺派の開教拠点はないが、親鸞聖人のみ教えに基づく仏教主義の学校になるという。今年3月の開校を目指し、準備を進めている。3浄運寺 インドに学校開設.jpgインドで建設中の学校。左は学生寮、右が幼稚園を含む小中学校となる

 シッキムはインド北東部に位置し、西にネパール、東にブータン、北にチベットの国境があるヒマラヤ山脈に囲まれた内陸州。学校は、州都ガントクから約58キロ離れたヤンガン町で建設中だ。

 ヤンガンは人口の70%が仏教徒。本願寺派ネパール開教地カトマンズ本願寺所長のソナム・ワンディ・ブティア氏の出身地でもあり、地元住民の要望に応え、ソナム氏が2016年に仏教の教えに基づく学校の開設を発願した。

 新設する学校名は「ピュアランド インターナショナル アカデミー」。すでにインド政府からの開設許可を得て、学園理事長にソナム氏が就任。ソナム氏からの希望で校長と日本事務局代表を白山前住職が務める。
 幼稚園、小中学校から始めるが、白山前住職は「将来的には高校、大学まで発展させていきたい。浄土真宗の仏教情操教育を一貫して行う学校になる」と話す。

 高校までの学校開設資金の目標は約1億円。現在建設中の校舎は、3階建て鉄筋コンクリートで教室数は24部屋。建設用地にはソナム氏が寄附した0・58ヘクタールの土地などを充てた。2014年に発足したシッキム州浄土真宗仏教青年会(インドYBA)が現地で学校建設のためのボランティアを行っている。

 インドではカースト制撤廃後も地域によって差別が続いていることもあり、仏教主義の学校に通いたいと遠隔地の入学希望者もいるという。そのため、敷地内に学生寮も建設中だ。白山前住職は「仏教は縁の教え。非暴力、平和、自由、平等を説く教えがインドで広まり、教育から共生社会が実現できれば」と話している。

 FKサンガ機構を通じて賛助会員となることで学校建設支援を行うことができる。問い合わせは(浄運寺内同機構・電話092―593―1111)。

2018/2/8
全日本仏教会理事会 WFB大会 總持寺で法要・シンポ 特別協賛金納入率113% 据え置きの負担金 見直し示唆

 (公財)全日本仏教会(石上智康理事長)は1月30日、都内のホテルで第20回理事会を開き、4月からの新年度事業計画案と予算案を審議し、承認した。11月開催の第29回WFB世界仏教徒会議日本大会・第20回WFBY世界仏教青年連盟日本大会の進捗についても報告された。大会テーマ「慈悲の行動」(Compassion in Action)のもと、最終日(11月9日)にシンポジウム「生死の中に見出す希望」(Creating Hope in Life and Death)を行うことが決まった。

 事業計画では、財団創立60周年記念事業として行われるWFBおよびWFBY日本大会について、「国内外の仏教徒とともに、社会との対話を推進していく」と位置づけた。併せて大会の詳細が発表されたが、その中の60周年勧募のうち、加盟団体協力金の予算額5千万円に対し、4311万円が納入済みで、納入率は86%(今年1月10日現在)。特別協賛金は予算額2千万円に対し、2258万円と納入率は113%に上り、今後も勧募を継続する。

 WFB大会の日本開催は10年ぶり4回目となる。前回は2008年11月、浅草寺と近接ホテルを会場に開催された。

 新年度予算では、経常収益総計1億8959万円、経常費用総計1億9665万円となった。

 出席監事が、収支赤字が続いていることから「こうした団体である以上、プラスにするのは難しい。もう少し赤字を減らすようにできないか。あるいは公益目的事業以外のところで収益を考えてはどうか」と提案した。

 これに対して久喜和裕事務総長が「ある程度の赤字予算で組ませてもらっている。最終的には内部で調整してやりくりしてきた。本会も20年以上、負担金を増額していない。事業も増え、大変苦しい状況ではある。今後、理事会とも協議しながら、これからの全日仏について考える必要があると思っている」とし、負担金の見直しを示唆した。

 各部報告では、社会・人権部から3月27日に国会議員と全日仏による「仏教懇話会懇談朝食会」を開くと発表。広報文化部は、機関誌『全仏』を年10回から4回に変更するとした。

 昨年1月の理事会では、僧侶派遣問題を検討する「法務執行に関する協議会」の中間報告が公表されたが、今理事会では言及がなかった。現執行部の任期中(今年3月末)に、何らかの報告があるとみられる。

2018/2/8
《オウム裁判終結 事件の核心 今後の課題》 永岡弘行・オウム真理教家族の会会長 実行犯の証言を再発防止教育に

 社会を震撼させた無差別殺人テロ・地下鉄サリン事件(1995年3月)に至ったオウム真理教による一連の凶悪事件の裁判が先頃、終結した。今後の焦点は、死刑が確定した教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)と実行犯12人の刑の執行に移る。だがこれを、事件の幕引きとしていいのか。オウム事件に深く関わった人に聞く。1回目は「オウム真理教家族の会」(旧称・被害者の会)の永岡弘行会長(79)。
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 オウム事件の裁判が全て終結したことで、事件の風化が急速に進むことを強く懸念している。

 私たちの会では、オウム真理教に入信した家族を取り戻す活動に加え、麻原以外の実行犯12人の死刑を回避するための署名活動をしている。死刑が執行されてしまえば、オウム事件の本質を解き明かす貴重な証言が失われてしまうからだ。

 私は死刑囚となった実行犯との面会を続けている。彼らは異口同音に「死にたい」と言う。私はそんな彼らに「とんでもない話だ!お前自身は死んだら楽だろう。だが、お前たちが役に立つことが必ずあるはずだ。大変なことをしてしまったと思うなら、生きて償いをしろ」と本心から言い聞かせている。

 実行犯を操った麻原彰晃という人間を見ていると、「なぜここまで人を憎めるのだろう」と思う。常軌を逸した憎しみがなければ、あそこまでできないだろう。「人のために尽くしなさい」と弟子たちに教えていながら、その若者たちに実行させたのは憎しみの行いでしかない。麻原はまず「現世の親子は、前世の敵同士。だから離れよ」と親への憎しみを教え、親から子どもを奪った。そして、その財産も奪い取った。

 純粋な若者ほど

 オウム真理教の教義は、麻原の歪んだ憎しみの上に仏教らしきものを被せただけのものだったのだろう。最初は、そのうわべの部分だけを教えて若者たちを惹きつけ、だんだん憎しみの行いへと導いていくという布教の構造がある。私は説法会で、麻原に何度も会っている。その弁舌には、詐欺師独特のわかりやすさがあった。これに騙され、「人のために何ができるか」「どう生きていけばいいのか」と真剣に考えていた好青年たちが入信し、マインドコントロールで徐々に思考力を奪われていった。

 10代後半から20代前半の若者が次々と麻原に騙されていったのは、麻原が若者の声を聴くふりをするのが非常にうまかったからだ。常に聴く耳を持っているように装っていた。皆、その姿に騙された。「この人だったら自分のことをわかってくれるかもしれない」。純粋な、きれいな、優しい心を持っていた若者ほど、そう信じ、どんどんオウムにのめり込んだ。(続きは紙面でご覧ください)

 ながおか・ひろゆき/1938年4月生まれ。89年にオウム真理教に入信した息子を脱会させた後も、教団への抗議活動を継続。地下鉄サリン事件直前のVX襲撃事件(95年1月)で、生死の境をさまよう。後遺症に苦しみながらも、カルト宗教による凶悪事件の再発防止のため、麻原以外の実行犯の死刑回避を求める署名活動を展開している。

2018/2/8
曹洞宗・愛知学院理事裁判 東京地裁・横浜地裁両判決を読み解く 内局交代と理事退任 事実認定の違いが判決に反映 紀藤正樹弁護士に聞く

 曹洞宗(釜田隆文宗務総長)と愛知学院理事と元理事の3宗議会議員および前愛知学院理事長の間で争われていた懲戒処分をめぐる訴訟は、昨年相次いで一審判決が出た。東京地裁判決(11月)では「却下」としつつも原告宗議会議員の地位と賠償請求を認めた。一方、被告曹洞宗の主張を全面的に認めたのが横浜地裁判決(12月)だった。今回の訴訟は宗教法人と学校法人との関係性をめぐる争いでもあった。宗教教団の訴訟に詳しい紀藤正樹弁護士に、両判決を読み解いていただいた。1紀藤弁護士.jpg紀藤弁護士

 ――二つの判決は矛盾しているように見えますが。

 紀藤 原告側の請求は3つに分解できます。3人の原告がいる東京地裁では①懲戒処分の無効確認、②宗議会議員の地位確認、③550万円の損害賠償請求です。横浜地裁は、①と③は同じですが、②が異なり、宗議会議員の地位ではなく、宗議会議員の選挙権および被選挙権を有する地位の確認です。

 ②は、そもそも争いの対象が違いますので、東京地裁では宗議会議員の地位確認を求めたところ「法律上の争訟」とされましたが、横浜地裁では、議員の選挙権・被選挙権を有する地位は「法律上の争訟」ではないと判断されました。この点、宗議会は、世俗の宗教法人の組織上の議決機関として、その議員の法律上の地位は認めやすい。他方、選挙権・被選挙権を有する地位は、まさに宗教団体内部で決めるべき事項なので、法律上の地位というのは難しいケースでした。

 ①は、いずれの請求も「法律上の争訟」にあたらないとして却下しており、両者で違いはありません。他方、③は、東京地裁は損害賠償を認め、横浜地裁は損害賠償を否定している。この点は矛盾を感じる人もあると思います。なぜそうなったのか。東京地裁判決は懲戒処分の有効性について「処分にいたる手続が著しく正義に悖る場合」「処分の根拠となった重大な事実に誤認がある等により重大な事実の基礎を欠くこととなる場合」など、いくつか例を挙げて「裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとして無効となる」とある。これが規範となります。

 横浜地裁判決でその規範にあたるのが「その判断が著しく不合理でない限り裁判所はこれを尊重すべき」という部分です。両判決で、懲戒処分の有効性について、「宗教団体の自律性」を尊重する立場の基本は一緒ですが、東京地裁判決はいろいろなケースを考慮しながら「裁量権」を限定する具体的な場面を意識した規範を設定しています。

 その規範に則して、横浜地裁判決では懲戒処分を受けた原告が敗訴し、東京地裁では原告の主張を認めている。この違いはどこにあるのか。東京地裁判決では「責任役員会の推薦により選任された理事が、内局の任期満了によって同一に退任するべきとは考えられていなかった」としている。つまり東京地裁判決では内局が代わったら、理事も代わるとは考えられていなかったことが認定されています。他方、横浜地裁判決では「内局が交代するごとに宗門理事も交代するとの取扱いがされていたと認められる」としており、それに伴う懲戒手続きは「相応の合理的理由がある」としています。

 つまり一見、両判決は法律上矛盾しているように見えますが、東京地裁と横浜地裁の両判決の大きな違いは、内局の交代が大学理事の退任につながるかどうかという真逆とも言える事実認定の違いの問題に尽きる感じがします。事実認定の違いで東京地裁は事実上原告が勝って、横浜地裁は被告が勝った。訴訟の場合、同種事件でも事実認定が矛盾することは往々にしてあります。(続きは紙面をご覧ください)


きとう・まさき/1960年山口県生まれ。リンク総合法律事務所所長(東京都千代田区)。著書に『21世紀の宗教法人法』『決定版 マインド・コントロール』『大阪弁訳 あたらしい憲法のはなし』など多数。

曹洞宗と愛知学院理事の訴訟】  平成26年10月、釜田内局が発足。これに伴い翌年2月、釜田内局は愛知学院理事の交代を求めたが、理事長および3理事は任期途中を理由に拒否。申告を受けて審事院から分限停止や謹慎の懲戒処分が下された。理事等は懲戒処分の無効などを求めて横浜地裁と東京地裁に提訴。東京地裁は却下としたが原告宗議会議員の賠償を認めた。横浜地裁は被告曹洞宗の主張を認めた。どちらも控訴した。

2018/2/8
朝鮮半島出身者の遺骨 壱岐・天徳寺に安置求める 宗教者市民連絡会が厚労省に要望書

 戦時中、朝鮮半島から日本に来た人の遺骨を韓国・北朝鮮に奉還することを目的に1月6日結成された遺骨奉還宗教者市民連絡会は同31日、加藤勝信厚生労働大臣に「金乗院の遺骨に関する要望書」を提出した。森俊英事務局長、曹洞宗天徳寺(長崎県壱岐市)の西谷徳道住職、浄土真宗本願寺派延立寺(東京都八王子市)の松本智量住職、在日コリアンの信仰を集める禅宗国平寺(東京都東村山市)の尹碧巌住職が霞が関の厚労省を訪れた。

 終戦の年の1945年秋に、福岡県・山口県などから船路で帰国する朝鮮半島出身者が、台風の直撃を受け対馬海峡で犠牲となった。遺体は壱岐・対馬の海岸に打ち上げられ、埋葬された。その後、1976年には壱岐で、83・84年には対馬で遺体の発掘が行われている。

 犠牲者の遺骨131柱は、国から委託され埼玉県所沢市の真言宗豊山派金乗院に安置されている。この遺骨は3月末までに別の場所に移される。

 そのため、「朝鮮半島出身者の遺骨は少しでも故郷の近くに安置され、ご遺族関係者などがお参りしやすいよう配慮されるべきと考えます」と指摘。長年にわたって犠牲者の供養を続け、韓国からも遺族や僧侶が弔いに訪れる天徳寺に安置されてこそ「現在の時点で実現可能な最も人道的な処置」と述べている。また、この海難犠牲者だけでなく、全国に存在する朝鮮半島出身者の遺骨をできるだけ早く奉還することも求めている。

 要望書を受け取った厚労省社会・援護局事業課の青木一生氏は、次の安置場所が見つからない場合は省内の安置室で預かる可能性があると示唆。要望書への文書回答はすぐにはできないが、できる段階になれば送付するように努力するとした。

 森事務局長(大阪府・浄土宗正明寺住職)は「壱岐の天徳寺への移送がスムーズに進むことを願うが、そうなるとは限らないという印象があった」と懸念しつつ、連絡会として何をすべきか模索していきたいとしている。

2018/2/1
WCRP理評議 ACRP東京大会「行動する宗教コミュニティ」 20年10月開催 テーマや日程が内定 核廃絶に向けタスクフォースに「条約批准」明記

 (公財)世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会(杉谷義純理事長)は1月23日、東京都杉並区の立正佼成会法輪閣で第24回理事会・第15回評議員会を開催し、日本委員会人事、平成30年度事業方針・事業計画・予算などを審議し了承した。核廃絶に向けた取り組みとして「核兵器禁止条約批准タスクフォース(TF)」に名称を変え、啓発活動や他団体と連携していく。2020年に東京で開催する第9回アジア宗教者平和会議(ACRP)については、「行動するアジアの宗教コミュニティ」(仮)を大会テーマとして調整中であることが報告された。①WCRP日本委 (1).JPG開式にあたり挨拶する杉谷理事長

 開会に先立ち、杉谷理事長が挨拶。昨年、国連で核兵器禁止条約が採択され、協働でハンドブックを作成した国際NGO「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」がノーベル平和賞を受賞したことに触れ、「運動にはWCRP国際委員会はもちろん、日本委員会も頼りにされている」と改めて受賞を喜んだ。一方で条約の発効に向けての課題も多く、「普段の政治的なスタンスはあるだろうが、宗教者として核兵器に関しては心を一つにし、人間が存在する以上共存できないという基本姿勢を持っていきたい」と協力を呼びかけた。

 新年度からはこれまでの「核兵器禁止条約TF」から、条約の批准と発効に焦点を当てた「核兵器禁止条約批准TF」として事業を推進する。ICANとは協働で映像作品制作を検討しており、科学者、国会議員やNGO、首長ら他団体とも連携して条約批准に焦点を当てて取り組む。

 東日本大震災復興TFは当初5年間の活動が3年延期され、2018年度で最終年を迎える。これ以降の取り組みとして、継続的に支援してきた協賛団体への支援を続ける。地元の人々の自立を支えるフクシマコミュニティづくり事業は、地元の団体「ふくしま百年基金」を引き継ぎ団体の候補の一つと想定して調整することになった。

 報告事項として、2020年に開催のACRP東京大会の概要も報告された。東京大会は「具体的な行動をする運動体」(根本信博ACRP事務総長)の眼目のもと、「行動するアジアの宗教コミュニティ―包摂的で平和なアジアに向かって」を大会テーマに調整を進めている。大会は10月14~16日の3日間で4つの分科会を開くほか、11~13日に青年大会、13日に女性大会を開く予定。

 人事では理事に大本の浅田秋彦前本部長が退任、鈴木頴一本部長が就任。臨済宗妙心寺派の栗原正雄宗務総長も新たに就任した。

 ロヒンギャ救援
 米12トンを支援

 1月20日にバングラデシュ・コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプを救援のため訪問したACRPシニアアドバイザーの神谷昌道氏が、理事会・評議員会で現地の様子を報告した。

 WCRP日本委員会の勧募で2万ドルが集まり、現地の救援活動の母体であるRfPバングラデシュに託された。これまでも毛布や蚊帳を送ってきたが、食料が不足しているという現地の要請から、12㌧の米を買い付けてキャンプに届けた。RfPの関係者20人が物資の配給にあたった

 神谷氏は難民登録ができずにキャンプに入れない難民が多くいたことなど、劣悪な生活環境下にあることなど厳しい状況に置かれたロヒンギャ難民の様子を話した。

2018/2/1
興正寺裁判に添田総長が出廷 寺有地無断売却 「宗規違反、確信犯的」

  中京大学への138億円を超える寺有地無断売却で罷免された梅村正昭元住職側と、宗派の特任住職側との間で住職の地位や寺の明け渡し等をめぐる裁判が続く名古屋市昭和区の高野山真言宗別格本山・八事山興正寺。名古屋地裁で1月24日、添田隆昭特任住職(同宗宗務総長)の尋問が行われ、罷免に至った経緯や処分(平成26年1月)の妥当性が争点となった。

 添田特任住職は、「元住職は宗規に違反して境内地を管長の承認を得ないまま売却し、礼録(売却収入の3%)も納めていない。確信犯的な宗規への反抗だ」と答弁した。

 元住職側弁護士は、「(処分に際し)他の罷免事例との比較はしたのか。高野山の塔頭寺院が重要文化財の仏像を売却しても降級処分。重文売却より重く処分している」と罷免処分の不当性について質問。添田特任住職は、「塔頭寺院は非を認めて礼録を払ってきたから、処分は軽微で済んだ。梅村氏は確信犯的に礼録を払わず、懲戒処分を避けるために宗派から離脱しようとしていた。だから(審査委員会で)罷免になった」と答えた。

 裁判長は、「末寺は(寺有財産処分に際して)どういう礼録が発生するのか、(宗派から)指導しないとわからないのではないか」と質問。添田特任住職は、「梅村氏は宗務支所長、宗会議員をしていた(から礼録納付の規則は熟知している)。確信犯的に宗規違反をしている」と答えた。特任住職側弁護士も、「寺有財産処分の際、管長の承認を得なければならないことは、興正寺の規則にも書いてある。周知するまでもない」と補足した。

 罷免後も寺を占有し続ける元住職側の職員への給与支払いについて、元住職側弁護士から「宗派から5億6千万円も借り入れているのに、なぜ多くの従業員に給料を払わないのか」と問われると、「公租公課を納めるためにやむを得ず借りている。この額は宗団にとっても簡単な額ではない。寺が不法占拠されているので、一人一人の雇用契約や勤務実態がわからない」と反論。社会保険料等は、「登記簿上の住職である私の所に請求が来るので、こちらが納付している」と強調した。

 元住職が1月17日の尋問で寺有地売却代金の投資運用益で「100億円」に上る伽藍改修事業を行う計画だったと説明したことに対しては、「50年に一度の高野山開創記念大法会でも、総事業費は約70億円。高野山よりも小さい興正寺で、100億円も伽藍改修にかければ、本来の興正寺の面目は失われてしまう」と主張。「宗務総長として宗規は守らなければならない。いわば梅村氏、(その息子の)昌寛氏は同僚。罷免・除名を通達する役にあったことは心苦しい」と吐露した。

 2月28日午前10時から最終弁論が開かれ、双方共に最終準備書面を提出。これで結審し、1審の判決日が決まる。