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2021/10/28
第9回ACRPアジア宗教者平和会議東京大会 多様性と包摂性ある行動へ フラッグシップ・プロジェクト 日本委が3千万円拠出


フラッグシップ・プロジェクトに言及しながら開会挨拶を述べる根本事務総長。大会はすべてオンラインで行われた 初のオンラインとなった第9回アジア宗教者平和会議(ACRP/RfPアジア)東京大会は19日から22日まで、東京・杉並の立正佼成会法輪閣を発信会場に開催された。大会テーマ「行動するアジアの宗教コミュニティ:誰一人取り残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして」に即して全体会議や分科会が開かれた。フラッグシップ・プロジェクトの実効性をより高めるため、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会(植松誠理事長)は3千万円の拠出を発表した。期間中、正式代表約120人を含めて延べ約1500人(事前大会含む)が参加した。

 新型コロナの影響により1年延期となった東京大会。初日(19日)は開会式典に先立ち出雲雅子さんによる「お清めの舞」が、和太鼓の響きと緑豊かな映像を背景にして披露された。

 開会式はイスラーム、神道、キリスト教の3宗教代表による祈りが捧げられた。神道では金光教泉尾教会長の三宅光雄氏によって会場からアジアと世界に祈りが向けられた。日本委を代表して庭野日鑛会長が歓迎挨拶を述べ、根本信博ACRP事務総長とディン・シャムスディーン実務議長が挨拶。共にフラッグシップ・プロジェクト(①いのちの尊厳教育②人身取引防止③平和構築と和解④環境問題⑤青年リーダー育成)に言及し、アジアの特性を踏まえての多様性と包摂性に基づいた行動を主張した。

 基調講演では、“触(さわ)れる地球”の発案者である人類学者の竹村眞一氏(京都芸術大学教授)が「人新世時代における人類と地球の共生・共進化」と題し、環境状態や人口動態などをデジタル地球儀で表現しながら話した。ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏の気候予測モデルを援用しながら、増え続ける二酸化炭素(CO2)による地球をシミュレーションしたうえで、森林火災や干ばつによる食糧危機などを指摘し、生活様式の変化を訴えた。

 2日目(20日)には全体会議Ⅱにおいてフラッグシップ・プロジェクトの5項目について各国の担当者が進捗を報告。この会議で日本委の植松誠理事長が同プロジェクトの推進へ3千万円(約27万3千米ドル)の拠出を発表した。続く全体会議Ⅲでは新型コロナウイルスに対する現状や取り組みが5人によって提起され議論された。

 3日目(21日)には4分科会が開かれた。4日目(22日)には閉会式が執り行われ、新体制が発表された。大会宣言文には、あらゆるレベルの意思決定プロセスに青年や女性を参加させることや、アフガニスタンやミャンマーなどへの人道支援と平和構築に努めることなど具体的な12の提言が盛り込まれた。

ACRP新人事発表 実務議長にカーヒル氏、事務総長に篠原祥哲氏

 閉会式でACRPの新人事が発表された。実務議長のディン・シャムスディーン氏(インドネシア、イスラーム)と事務総長の根本信博氏(立正佼成会)が今大会で退任した。新実務議長に副実務議長のデスモンド・カーヒル氏(オーストラリア、キリスト教)が昇格した。新事務総長には日本委事務局長の篠原祥哲氏(立正佼成会)が就任した。

 日本委関連では、前理事長の杉谷義純氏(天台宗妙法院門跡門主)が共同会長に、共同会長だった庭野日鑛氏(立正佼成会会長)は名誉議長となった。 

【デスモンド・カーヒル実務議長略歴】1945年生まれ。キリスト教。オーストラリア・メルボルンにあるRMIT大学のグローバル都市社会学部・異文化研究の名誉教授。2000年よりWCRP/RfPオーストラリア議長、08年より共同会長を務める。

【篠原祥哲事務総長略歴】1971年東京生まれ。1996年立正佼成会入職後、学林、一食平和基金事務局などを経て05年からWCRP日本委員会に勤務。昨年1月に同事務局長に就任した。今春、東京大学総合文化研究科博士課程修了。博士(国際貢献)。

2021/10/28

衆院選 全日仏189人推薦 立正佼成会は206人


 今月31日に投開票となる第49回衆議院議員総選挙(定数465)で全日本仏教会(全日仏)は25日現在、189人を推薦した。前回の81人(74人当選)から倍増した。推薦は増える可能性がある。

 推薦者の内訳は、自由民主党99人、立憲民主党71人、国民民主党10人、日本維新の会3人、れいわ新選組1人、無所属5人。

 立正佼成会は206人を推薦し、前回の183人より23人増えた。内訳は、自由民主党45人、立憲民主党140人、国民民主党10人、日本維新の会1人、れいわ新選組2人、無所属8人。

 なお創価学会を支持層とする公明党は小選挙区289のうち9選挙区に立候補。また自民党候補の約260人を推薦している。公明党は比例区に44人が立候補し、800万票獲得を目標として掲げている。

2021/10/28
和宗総本山四天王寺 聖徳太子1400年御聖忌開闢 半年にわたり各宗本山が出仕

 境内を練り歩く一山僧侶。朱傘の下が加藤管長 聖徳太子が推古天皇元年(593)に創建した日本最初の仏法道場である和宗総本山四天王寺(大阪市天王寺区)で18日、太子の1400年御聖忌慶讃大法会が開闢した。初日は加藤公俊管長が導師となり、聖霊院、太子殿で法要を営んだのちに境内各所での結縁柱の開眼法要が営まれ、「伝燈東方粟散王」すなわち仏教をこの国に伝えた王の遺徳を偲んだ。新型コロナウイルスを鑑み、参列者は最小限に留めた。

 午前10時、本坊から一山僧侶のお練りが出発。青天の下の境内を練り歩き、聖霊院へ向かった。前殿の「聖徳太子十六歳孝養像」を納めた厨子が開扉され、聲明や法華経の読経による法要が厳かに開始。孝養像は制作年代が鎌倉時代にも遡るとされる秘仏で、公に開扉されたことはこれまでない。その後、奥殿の太子四十九歳摂政像の前でも法要が続いた。

 結縁柱の開眼法要の表白で加藤管長は、摂政像・孝養像の手から五重塔の仏舎利、金堂の救世観世音菩薩像、行動の太子坐像へと結ばれ、全長350㍍を超える五色の結縁綱で太子の心と参詣者がつながることになる由縁を述べ「篤く三宝を敬い仏道を成ぜんことを」と述べた。結縁柱と綱は100年前の1300年御聖忌にも作られた記録がある。

 大法会は太子を讃仰する22の総大本山から出仕して連日続き、来年2月22日の御祥当法要(聖霊会)を経て4月22日の結願法要まで続く。写経や未来への手紙を奉納する「タイムカプセルプロジェクト」や諸堂ライトアップなど関連企画も多数。区内から来た参詣者は「これから半年間、毎日がありがたい事ばかりになるといいですね」と手を合わせた。

2021/10/21
大谷大学近代化120周年 宗教的信念ある人間育てる グランドビジョン130発表


 
木越学長を導師に営まれた記念勤行 大谷大学(京都市北区)は13日、近代化120周年(創立356年)の開学記念式典を厳修した。寛文5年(1665)に京都に開創された東本願寺学寮を淵源とし、120年前の明治34年に初代学長清沢満之が「真宗大学」として東京に開学した同大の歴史を振り返った。あわせて木越康学長が「大谷大学グランドビジョン130」を発表。130周年に向けて歩み出した。

 木越学長を導師に正信偈の勤行が勤められた。来賓として、真宗大谷派の大谷暢裕門首(大谷大学同窓会名誉会長)が挨拶。死の病に冒された清沢の最後の事業が「自信教人信」の人を育てることだったことを讃えた。門首は1歳の時にブラジルに移住したが、「日本とは異なる社会にあっても人生は念仏に始まる、というのが私の実感であります」とし、「自己の信念の確立と、それを他に伝えることが育まれていくなら、どのような世界にあっても道を切り拓いていくことができます」と学生にもエールを送った。

 木越学長は清沢の建学の思いを「宗教的信念の確立によってもたらされる平穏だけは万人に平等」と述べ、信念を持った人間の育成が根幹だったと挨拶した。

 東京大学名誉教授で、メソジスト系ミッションスクールの鎮西学院大学(長崎県)で学長を務める姜尚中氏が「平和と自立共生」について講演。新型コロナウイルスのワクチン確保に象徴されるような「自国ファースト」の考えが蔓延していることを憂慮し、平和と民主主義の確立の重要性を強調。木越学長の挨拶を受け、世界大戦前夜にあたる血生臭い120年前の世の中で「宗教的信念は平和をつくり出すことはできないにしても、平和の砦になるかもしれない。こういう思いが清沢先生の心にあったのではないか」と述べた。この講演の模様は後日、同大のホームページで公開予定。

 「グランドビジョン130」は、建学の理念である仏教精神に則った人格の育成をミッション、ブランディングメッセージとして掲げる「Be Real—寄りそう知性」を将来像に、教育部門(学生の真に主体的な学びの態度を養う)・学生支援部門(多様な学生を受け入れ、成長を支える)・研究部門(「人間のあり方を問い続ける」研究活動をより一層推進する)・社会連携部門(地域に開かれた大学としての社会連携事業を積極的に展開する)・管理運営部門(安定的かつ柔軟な管理運営体制を確立する)5つの部門別方針を立てた。具体的な重点施策や事業計画等は今年度末に公開を予定している。
 

2021/10/21
真宗大谷派 新総長に木越渉氏 行財政改革に意欲


記者会見で抱負を語る木越宗務総長 真宗大谷派の宗会臨時会が14・15日、京都市下京区の東本願寺しんらん交流館に招集された。僧侶議員から成る第71回宗議会臨時会で15日午後、故但馬弘宗務総長の後任総長を決める指名投票が行われ、投票総数64票の過半数となる49票を得た与党会派・真宗興法議員団代表の木越(きごし)渉(わたる)議員(64)が選ばれた。臨宗閉会後に大谷暢裕門首から認証を受け、同日付で就任。親子2代での総長就任は初とみられる。

 宗議会での指名投票結果は、旦保立子議員11票、東野文惠議員3票、草野龍子議員1票。続いて門徒議員から成る参議会でも投票が行われ、木越議員53票、旦保議員6票となり、木越議員の指名を決定。両議会の投票結果が一致したことから両会協議会を設けず、木越議員の総長指名が確定した。

 これを受け、木越議員が両議会で挨拶。宗議会では「スピード感をもって(参務5人を選び)組局を終え、(年末から年初にかけて)内局巡回を行いたい。(各教区から)広く声を頂戴し、この行財政改革を形あるものに作り上げていくつもりだ。だが内局だけでは何一つできない。両議会の慎重な審議を頂戴してまいりたい」と協力を要請し、「現時点の思いはシンプル・バット・エフェクティブ。シンプルだけれども効果的な改革を行ってまいりたい」と表明した。

 【木越渉宗務総長略歴】石川県かほく市高松・光專寺住職。金沢教区選出で議員5期目。昭和32(1957)年4月12日金沢市生まれの米国カリフォルニア州バークレー育ち。大谷大学大学院修士課程修了(真宗学)。平成24年10月から29年10月まで3内局で参務を務め、解放運動推進本部長・青少幼年センター長などを歴任した。木越樹(たつる)元宗務総長(91)の長男。大谷大学の木越康学長は弟。趣味は写真とジャズ。

法難に遭うほど強くなる 木越総長就任会見 青少幼年教化を表明

 15日夕、宗務所で木越新宗務総長が就任記者会見を行った。冒頭で但馬弘前宗務総長を追悼。「彼は最後の最後まで身を削る思いで、宗門のことをとても大切に思ってくれた。その姿勢に最大の敬意を表したい。その後を継ぐことは並大抵のことではないが、全力でこの難局を、全員で乗り越えていきたい」と語った。

 最も危機感を感じているのは、宗門の求心力の低下。「大谷派に限られたことではないが、宗派への帰属意識が段々と薄れていくという危機感がある。今回の宗議会選挙ではどこも(定数を超えず)選挙にならなかった。新型コロナウイルスの感染拡大防止で遠慮したところもあったかもしれないが、次世代を担う若い僧侶の宗門への関心が薄れているのではないかと感じた。そこに一番大きな危機感を持っている」

 現代における宗派所属の意義については、「宗門を抜きにして、単独でこの時代を乗り越えていくことは難しいと思う。宗門全体が一丸となって信仰を守っていくことが、最も重要だと思う。真宗大谷派は法難に遭えば遭うほど強くなっていく。その意味で、正確な危機感を持つことが、皆さんが立ち上がっていく力になると思う。まさしく行財政改革案は、その原動力になっていくものだと確信している」と強調。「宗門に対して不平・不満や意見、心配事を声に出して言うことで、宗門に関心を持っていただきたい。内局がその声を受けて真剣に取り組むことで、宗門に対する信頼関係が生まれてくるのではないか」と述べた。

 金沢市で生まれ、1歳の時に父親が米国カリフォルニア大学バークレー校に留学。父が2年後にバークレー東本願寺の住職になったことで、家族も昭和35年(1960)に渡米。3~11歳の8年間、「アメリカの門徒さんによく育てられた」と回想した。その上で、自身の原点に「コミュニティで肩を寄せ合って信仰を深め、日曜学校は家族そろって来てくれる。アメリカで真宗の生活をしていた」ことを説明。「日本語がしゃべれない状態で」帰国した後も、真宗の信仰が篤い金沢の地で「門徒に育てられた」と懐かしそうに振り返った。

 令和5年に迎える「宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃事業」について、「『御誕生』では青少幼年教化をテーマの一つにしたい」と表明。「立教開宗」では大谷派独自の企画として、国宝で親鸞聖人真筆の『教行信証』坂東本を中心に据えたいとし、宗祖の本願念仏の教えに至る思索を追慕する内容を考えていると話した。

2021/10/21
全日仏 戸松理事長 大阪府立高で講義 「AIと仏教」質問攻めに


講義後、戸松理事長の前には質問を待つ高校生が列をなした(写真=全日仏提供) 全日本仏教会(全日仏)の戸松義晴理事長(浄土宗)が大阪市内の府立天王寺高等学校の招きをうけて9月15日、「仏教とAI」を講義した。1~3年生の男女32人が受講した。

 経緯は、こうだ。同校は理数系教育に力を注ぐスーパー・サイエンス・ハイスクール指定校。河井昇教諭が日本経済新聞(5月23日)に掲載されたAI(人工知能)をめぐる戸松理事長の記事に目を止めたのがきっかけ。同校校長の許可を得て全日仏を通じて出講を依頼。日経記事は、AIを活用して故人をよみがえらせる技術が開発され、生前の音声やSNSなどの情報をAIが読み込み、ネット上で故人と対話できるという状況に対して、戸松理事長が仏教の観点から応答。学校側は「仏教とAI」というアナログ的な仏教と最先端技術のAIという組み合わせに関心を持ったようだ。

 「仏教とAI―人間を人間たらしめるものは何か」をテーマに講義。受講生は科学者や医師などを目指す学生たち。戸松理事長は1時間にわたって話した。寄せられた「100文字まとめ」と感想から、講義内容がうかがい知れる。その一部を紹介する。

 ▼科学技術の発展に伴い、社会統制の基盤が虚構である宗教から合理的な科学へ移り変わった。生命科学にまで踏み込めるようになり、人間の定義すら曖昧になっている今こそ、己の力を頼りにし、自然の摂理や「今」を大切にする仏教の教えにヒントがあるかもしれない。

 ▼全体を通し、仏教についてのお話しというよりかは、これからの人類の生き方、方向性や未来についてのお話しだった。生物学者の池田晴彦さん、ロボット学者の石黒浩さんは、人類はこのままでは滅亡し、生き残るには機械との一体化が必要と主張されており、機械やAIとの共存のデメリットやメリットについて、より深く知ることのできる内容だった。

 ▼三大宗教の1 つである仏教。仏教とキリスト教、イスラム教との大きな違いは、仏教は誰でも仏になる事が可能だが、他2つはなることができないということ。また仏教は人間の苦悩の原因は四苦(生・老・病・死)であり、全てのものは関係性のなかに存在すると考えるそうだ。“人とロボットの違いはなにか”“あの世は存在するのか”といった疑問や医療の進歩に向き合い、これからの科学技術が今まで宗教がしていたことも担うようになると知り意欲が高まった。

 10代とは思えないしっかりした応答である。講義後、戸松理事長の前に学生が並び質問攻めにした。戸松理事長は「教室で1時間ほど質問をうけました。帰りの新幹線が心配になりました」と苦笑する。「よく考えられていて質問が深い。それぞれ異なる質問だが、真剣そのもの。こちらが学ぶことも多かった」と高校生の熱心さと鋭さに舌を巻く。「われわれはもっとしっかりやらなければと思いました」と自省を込めながら刺激的な出講の成果を口にした。

2021/10/21

神仏習合の姿を伝える 諏訪信仰を僧侶が解説 諏訪神仏プロジェクト


諏訪大社に参拝し、巫女が用意した手水で手を清める僧侶ら 来年に迫った諏訪大社(長野県諏訪市)の「御柱祭」に向け開催中のオンライン連続講座「御柱と諏訪信仰」で、11月から仏教をテーマにした講座が始まる。諏訪地域の寺院と神社が設立した「諏訪神仏プロジェクト」のメンバーらが担当する。

 連続講座は7月に開始。仏教をテーマとする講座は11月12日の第7回「諏訪信仰の起こりと神宮寺」(小林崇仁氏)、11月26日の第8回「諏訪の神さま仏さま」(長谷川高隆氏、織田顕行氏、宮坂宥憲氏)、12月10日の第9回「見仏記・諏訪信仰の仏たち」(三好祐司氏、田中ひろみ氏)。ユーチューブの諏訪市公式チャンネルで配信する。

 諏訪神仏プロジェクトは来年4月に始まる御柱祭を機に、諏訪信仰を形づくった神仏習合の姿を現代に伝えようと、諏訪地域の19カ寺と6社などが参加して立ち上げた。5月の発足式では諏訪大社神楽殿に参拝し、僧侶も玉串を捧げた。

 プロジェクトのメーンイベントとして来秋10月から、諏訪大社のかつての神宮寺に由来する仏像などを一斉公開する予定だ。博物館でも展示するが、各地の寺社でそれぞれ公開する。イベント前には諏訪大社上社本宮で奉告祭を営み、大般若経の転読を執り行う。明治政府の神仏分離政策以降、約150年ぶりに諏訪大社でお経が読まれるという。

 実行委員会副会長の岩崎宥全・仏法紹隆寺住職は、廃仏毀釈が行われた際に地域の寺院が守った50体以上の仏像が残されているとし、「諏訪信仰をともに形づくった仏教の歴史に触れてほしい」と述べ、「多様性が尊重される時代を迎えている。宗教も互いに助け合っていけたら」と話した。

2021/10/14
足立区で震度5強 灯篭や墓石倒れる


應現寺(伊興本町)の墓地で石灯籠を復旧する職人たち(8日午後) 7日午後10時41分頃、関東地方で強い地震があり、震度5強を観測した東京都足立区では、時宗應現寺で墓地の石灯籠や墓石数基が倒れた。浄土宗浄光寺では、本尊の光背が落下するなどの被害があった。

 時宗の教学部長を務める應現寺(伊興本町)の大野和之住職は地震発生時、神奈川県藤沢市の総本山清浄光寺(遊行寺)にいた。同市は震度4の揺れだったが、特段の被害はなかったという。

 翌8日に自坊に戻り、状況を確認。建物の被害はなかったが、本堂内陣の灯籠が倒れるなどした。同日午後1時過ぎ、檀信徒の依頼で駆け付けた石材店の職人らが、倒れた墓地の石灯籠を復旧させた。

墓石が倒れた浄光寺(古千谷本町) 浄土宗浄光寺(古千谷本町)では本尊の光背が落ち、お花が倒れるなどして、夜中に本堂の片づけに追われた。境内墓地でも4基の墓石が倒れた。地震により脱線した「舎人ライナー」が近くを走っており、夜通しヘリコプターの音が騒がしかったという。浄光寺の大島周志さんは幼稚園等も運営しているため「子どもたちがいる時間帯でなくて良かった」と話した。

2021/10/14

日蓮宗 加行所開設を断念 昨年度に続き 地域医療に配慮し


 毎年11月1日からの寒百日間、大本山中山法華経寺(千葉県市川市)に開設される日蓮宗の加行所が今年度も中止となることが分かった。9月28日の内局会議で決定し、同日に各管区へ通知。今月5日に正式に告示が出された。

 今年は8月初頭から感染力の強い変異型ウイルスが全国的に蔓延。9月に入って関係医療機関から開設中止の意見書が出された。加行所が開設される法華経寺も都市部にある立地条件や感染者が出た場合の地域医療機関への影響などを憂慮し、開設中止の要望を出していたという。

 中川法政宗務総長は今年度も加行所開設に向けて可能性を模索し、諮問機関である修法会議などの関係機関と協議を重ねたが、総合的に判断した結果、開設を断念する決断に至った。

 昨年度の入行志願者は8人で、昨年8月頃に開設中止の判断を下した。今年度は86人が志願していた。志願者への対応としては、令和2・3年度に実施された教区入行審査合格判断を次年度加行所開設時に限り有効とする。入行者の加行礼録は後日、宗務所を通して返金される。

信行道場での布教院や声明師講習も中止
 全国から志願者を招集して身延山信行道場で実施する令和3年度の日蓮宗布教院、声明師養成講習会の開設についても、中止となった。地元保健所や身延山病院から保健医療体制逼迫の現状を理由に申し入れがあった。信行道場では7月に開催された第2回僧道林でクラスターが発生したため、その後に予定されていた今年度の第3期・第4期の信行道場の開設を中止としていた。

2021/10/14

第31回中村元東方学術賞授賞式 下田正弘氏に贈る 大乗涅槃経研究・大乗仏教成立史・大蔵経のDB化


学術賞を受賞した下田氏 (公財)中村元東方研究所(前田專學理事長)主催の第31回中村元東方学術賞(インド大使館共催)と第7回中村元東方学術奨励賞の授賞式が8日、オンラインで開催された。学術賞の下田正弘氏(東京大学大学院教授)と若手研究者対象の奨励賞の松川雅信氏(日本学術振興会特別研究員)に賞状と副賞が贈られた。

 学術賞授賞式では、選考委員会委員長の前田理事長が審査報告を行い、下田氏の業績を3点に集約して説明した。

 第一に漢語訳・チベット語訳・サンスクリット語の大乗涅槃経典を仔細に検討し、「現行の大乗涅槃経に至る以前の初期の大乗仏教期における原始大乗涅槃経を復元することに成功された」こと。第二に近代仏教学の方法論的反省とそれに基づく大乗経典研究方法を再検討し、「大乗経典の成立について全く新たな仮説を提示するに至った」と指摘し、大乗仏教の成立には「口伝から書写へと媒体の変化が深く関係していた」と解説。昨年出版された『仏教とエクリチュール』(東京大学出版会)にその成果が示されていると紹介した。

 第三はデジタル時代における人文情報学の推進で、1990年代に故江島恵教博士の事業を継承して大蔵経テキストデータベース(SAT)を完成させ、「日本の人文学の最先端の知識基盤に成長させた」と評価した。

 前田理事長は「一番槍を目指された中村先生もさぞお喜びであろうと思う」と讃え、賞状を贈った。続いて共催のインド大使館からも英文賞状が贈られた。

 下田氏は「東大文学部インド哲学研究室に進学して40年。研究員・教員として奉職して30年。今日まで実に多くの方からいただいたご恩に感謝の思いが募ってくる」と謝意を述べると共に、故中村元博士との思い出も披露した。

奨励賞は松川雅信氏 『儒教儀礼と近世日本社会』著者
奨励賞を受賞した松川氏 次いで奨励賞授賞式に移り、選考委員長の中島隆博氏(東京大学教授)が松川氏受賞の審査を報告を行った。

 従来、近世において儒教儀礼不在が前提とされてきたが、近年、それを見直す研究があり、それらを継承して上梓されたのが松川氏の『儒教儀礼と近世日本社会―闇斎学派の「家礼」実践』(勉誠出版)で、「家礼がどのように実践されたのかを正確な史料読解と地道な調査研究に基づいて詳細かつ広範に論じた労作」と称賛した。

 松川氏は第一報を聞いたときに近世の儒教を研究対象としているため、「正直、喜び以上に驚きがあった」と率直に語った。さらに儒教側から論じた葬祭礼に「儒仏折衷現象」がみられことから、「仏教側からのアプローチも必要」と次なる課題を口にした。

2021/10/14

ICU宗教音楽センターシンポ こんにゃく閻魔界隈は仏教音楽の中心地だった!! 近代の仏教音楽探る


 
仏教音楽の草創期を語るマット・ギラン教授 国際基督教大(ICU)宗教音楽センターは9月25日、第74回公開講演会・シンポジウム「越境する日本の仏教音楽」をオンラインで開いた。近代仏教研究は近年盛んだが、まだ十分に掘り下げられていない近代の仏教音楽に光を当てる研究に、国内外の視聴者約45人が耳を傾けた。

 ICUのマット・ギラン教授は「明治日本における『仏教音楽』概念の成立」と題して発表。浄土宗管長を務めた岩井智海(1863~1942)の大日本帝国憲法発布(1889)から5年間の音楽活動を通じ、当時の仏教音楽が一分野にとどまらない広がりを見せたことや、「国体」議論の文脈に接点を持つことも明らかにした。

 岩井は1889年から2年間東京音楽学校に在籍。同年に洋楽を取り入れた仏教音楽を実践する「仏教唱歌会」を設立した。同会の住所は東京・小石川のこんにゃく閻魔・源覚寺(当時の住職は端山海定)だった。

 会員は数百人規模で、名誉会員には音楽教育の第一人者として知られる伊沢修二(東京音楽学校初代校長)や、政治団体「尊皇奉仏大同団」を組織し、国体と天皇制に対する仏教の役割を論じた仏教思想家の大内青巒も名を連ねた。同会が出した『仏教唱歌集』(1892)の選文を担当したのは大内。「編集に携わったのも政治運動の延長線上にあったと考えられる」と述べた。

 岩井が1889年から1年間住職を務めた景久院も小石川にあり、同院は伊沢が設立した国家教育社の住所となっていた。この頃、源覚寺では後に立命館大を創立する中川小十郎が下宿。数年前には、カルピスの名付け親で社会事業家となる渡辺海旭が得度している。

 こうしたことを関連付け、「この界隈が仏教と音楽の中心地だったことを示している。端山住職が仏教や教育の発展に貢献できるような若者に意図的に呼び掛け、源覚寺を発信地にしていたのでは」と話した。

 大日本帝国憲法の発布は音楽界にも波及し、音楽教育排除論も唱えられた。これに反論した神津専三郎(東京音楽学校教授)の『音楽利害』(1891)では、国家と宗教と音楽の関係が論じられ、「仏教音楽が国体の土台として取り上げられた」と指摘。神津の主張はその後の仏教音楽の展開に影響し、岩井が1894年に出版した『仏教音楽論』にも色濃く反映されているとした。

 岩井が音楽活動を行ったのは、東京音楽学校に入学してからこの本を出版するまでの5年間のみで、その後の記録はないという。「岩井氏の音楽活動は教育・音楽界、国体の議論と密接な関係を結びながら進んだ。一宗派の範囲を超え、仏教音楽の展開に大きな役割を持った」と語った。

 シンポでは、宮城学院女子大の大内典教授や沖縄県立芸術大の遠藤美奈准教授、叡山学院の齊川文泰教授ら計7人が発表した。

2021/10/7
日蓮宗宗門運動 立正安国・お題目結縁運動 身延山で結願大法要 管長「結願は新たなる第一歩」


総本山身延山久遠寺で営まれた結願を奉告する宗門法要 4期15年にわたる日蓮宗の宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」の結願大法要が9月30日、山梨県南巨摩郡身延町の総本山身延山久遠寺(内野日総法主)で厳修された。大導師を務めた菅野日彰管長は奉告文の中で「宗門運動結実すといえども、立正安国浄仏国土顕現への精進を使命とせる我らが新たなる第一歩なり」と述べ、引き続き祖願達成に向けて異体同心で布教教化に取り組むことを誓った。

 法要は、全国11教区の教区長が副導師を務め、宗務内局や柳下俊明宗会議長、運動本部長を務めた歴代内局の総長経験者、宗政会派の同心会、明和会の会長・幹事長ら宗門要路が参列した。

 玄題三唱とともに宗門運動で掲げた「但行礼拝の精神」を表す法華経常不軽菩薩品の24字を唱え開式。冒頭で吉田顕嶺・修法師連合会会長を修法導師に宝前法楽が営まれた後、菅野管長をはじめ師衆が昇堂した。法華経如来寿量品が読誦される中、前日蓮宗管長の内野法主が焼香し、その後、菅野管長が運動の結願を御宝前に奉告した。

 奉告文で菅野管長は、世界各地の紛争や新型コロナウイルスの蔓延に触れて、「生老病死の苦患万邦に充満せり」と憂い、宗門運動の結実は「我らが新たなる第一歩」と今後も宗祖の遺命に応えるため、精進を続けることを誓った。

 続いてすべてのいのちを敬う但行礼拝の心でお題目を弘め、信仰の継承や菩提寺を支えることなどを誓う「結願の言葉」を全国檀信徒協議会の池上幸保会長が誓願。これを受け、次世代信仰継承者代表として守岡悟氏(43)と娘の沙南さん(14)が「誓いの言葉」を読み上げた。

 中川法政宗務総長は結願文で、歴代内局により実施された諸事業を振り返り、「無明長夜に没せる現代社会に一燈を点じ、宗祖の心願たる立正安国へと一歩を進むるもの」とその尽力に感謝。運動に込められた先師や同時代を生きる人々の祈りに思いを馳せ、「数多の祈りと共に我ら宗門運動を次世代へと継承することを誓願し、来たるべき祖願達成の本時を今たらしめん」と祈念した。

 新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、法要は規模を縮小し、アクリル板やフェイスガードなどの感染対策の上で営まれた。法要の様子はユーチューブでライブ配信され、当日約300人が視聴。配信後も動画は公開され、翌日だけで2000回以上の視聴があった。

宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」
 平成17年(2005)4月1日に策定され、2年間の準備期間を経て、平成19年(2007)から実働に入った。運動期間は来年3月31日まで。「いのちに合掌」をスローガンに37項目の目標を掲げ、今年の宗祖御降誕800年を目途に実施。平成から令和へと4期15年の運動が結実の時を迎えた。

2021/10/7

第45回全日本仏教徒会議 初のオンライン開催 七難八苦越え島根大会


挨拶する清水谷大会会長 新型コロナウイルスの感染拡大により1年延期された第45回全日本仏教徒会議・島根大会は2日、「異文化理解と共存―仏の心を稽古する」をテーマに松江市の島根県民会館で開催された。大会はオンラインでライブ配信された。大会宣言ではコロナ禍の世界に言及しながら<「ゆるしあう心」「互いに譲りあう心」「慈しみあう心」を稽古>すると明示した。主催は全日本仏教会(全日仏)と島根県仏教会。

 最初に開会法要が清水谷善圭大会会長(島根県仏教会会長、天台宗)を導師に、続いて世界平和を願う法要が伊東充伸大会実行委員長(曹洞宗)を導師にそれぞれ厳修された。

 開会式典では清水谷大会会長が挨拶。自坊のある安来市出身の戦国武将、山中鹿之助の「我に七難八苦を与えたまえ」を紹介しながら、「本大会の準備はまさに七難八苦。コロナ禍以前から苦難の連続であった」と振り返った。一般門信徒・檀信徒と仏教界の距離や各寺院の県仏に対する認知度の低さを実感したという。
 
 さらにコロナ拡大により開催方式が二転三転したことを報告しつつ、その影で実行委員会の力強い協力があったとし、「開催決定から4年間、多くの試練を乗り越えたことで実行委員会の心が一つになり、この日を迎えることができた」と安堵したように話した。

 大会総裁で全日仏の大谷光淳会長(浄土真宗本願寺派門主)はオンラインで島根大会を歓迎すると共に、今夏、島根県を襲った豪雨と台風被害の被災者にお見舞いの言葉をおくった。

 続く記念講演は大会テーマの副題「ほとけの心を稽古する」に添って宗教学者の釈徹宗氏(相愛大学副学長・本願寺派僧侶)が話した。新型コロナ以後顕著になっている二項対立の見方の問題点や現代人の時間の捉え方などを述べた。

 最後の閉会式典では、前文と宣言で構成された大会宣言が伊東大会実行委員長より発表された(宣言は別掲)。

〈大会宣言〉
 我々仏教徒は釈尊のみ教えを守り、常に「ゆるしあう心」「互いにゆずりあう心」「慈しみあう心」を稽古し、地域の平安、世界の平和を求め「己を忘れ、他を利す」生活を続けることを誓います。

 
来年は山梨で大会 会場は身延山久遠寺
 また大会旗が清水谷氏から全日仏の木全和博事務総長に返還され、さらに山梨県仏教会の近藤英夫会長(本願寺派)に手渡された。第46回全日本仏教徒会議・山梨身延山大会は来年10月7・8日、日蓮宗総本山身延山久遠寺を会場に開催される。

2021/10/7

浄土宗宗議会 契約規程を全面改正 開宗850年事業にあたり


事務報告する川中総長 浄土宗(川中光敎宗務総長)は9月28日から10月1日まで第126次定期宗議会(村上眞孝議長)を京都宗務庁(東山区)に招集。令和2年度の決算、今年度の補正予算、ならびに契約事務規程の全面改正など宗規改正案が上程され、全議案を原案通り可決。清浄華院法主推戴という難問が解決したこともあり平穏に進行した。緊急事態宣言下のため、27日から開会予定だったが1日短縮となった。全議員や宗務役員などにはPCR検査を実施し陰性を確認した。

 川中総長は事務報告で「開宗850年に向かって立ち止まっている暇はありません。ウィズコロナ時代と向き合いながら宗門一致団結のもと令和6年を迎えたい」と述べ、伝宗伝戒道場の入行面談の完全オンライン化をはじめ可能な行事はオンライン化を推進していることを説明。布教教化の一環として今年4月から無償化された「浄土宗新聞」の発行部数が11万部を突破(昨年比1・5倍)し、さらなる部数増を目指すとした。

 宗規の改正では、契約事務規程が全面改正され、宗が経済的負担となる契約を交わす場合には設計競技(コンペティション)、事業提案(プロポーザル)、見積収集、あるいは指名競争入札とすること、さらに契約見込額が500万円以上の場合は指名競争によることを原則として定めた。

 従来はコンペ、プロポーザルによるプロセスは明文で定められておらず、一般社会の契約と乖離し現状にもそぐわなかったこと、開宗850年の諸事業実施にあたりコンプライアンスの向上も求められることから改正となった。なお、予定価格が100万円未満の場合は、従来通り総長は契約権限を所管の企画調整室長または部長に委任できる。

 令和2年度一般会計経常部は歳入約25億9400万円、歳出は約22億2200万円で、剰余金約3億7100万円を繰り越す。歳出はコロナ禍で諸行事が中止・オンライン化されたことにより、委員会費が予算比約270万円減の約470万円となるなど、結果的に様々な費用節減となった。補正予算で約9300万円を確保していた新型コロナウイルス感染症対策費は決算約3800万円。PCR検査費などが想定より抑えられた模様。今年度予算は補正により約25億2千万円となった。

2021/10/7

大谷派 新代表に木越渉氏 興法議員団 宗務総長へ


 真宗大谷派の宗議会与党会派・真宗興法議員団の代表選出総会が9月29日に開かれ、内局参務・解放運動推進本部長・青少幼年センター長などを歴任した同団政策調査会会長の木越渉議員が新代表に選ばれた。14・15日招集の宗会(臨時会)で宗務総長に指名される見通し。