2019/9/12
環境非常事態を宣言 宗教・研究者エコイニシアチブ、温暖化警告し対策を要請

宣言を読み上げる山本良一・東大名誉教授 宗教者と研究者が協力して環境危機を克服し人と自然の調和を目指す活動を行っている「宗教・研究者エコイニシアチブ(RSE)」(会長=竹村牧男・東洋大学学長)は7日、東京都文京区の東洋大学で第10回宗教と環境シンポジウムを開催。その中で地球温暖化に警告を発する「環境と気候の非常事態宣言」を採択し、政府機関の早急な取り組みを要請した。

 環境非常事態宣言をするよう日本政府や各自治体に働きかけてきた地球環境学者の山本良一・東大名誉教授(RSE副代表)によると、日本では環境経営学会、自身が会長を務めている環境プランニング学会に続いてRSEが学会として3番目だと説明した。「RSEの夏合宿で文案を練ったもの」だと言い、他の宣言を踏襲しつつ、宗教的な視点を加えている。

 シンポの中で山本氏は、気候非常事態宣言をめぐる世界の動きを報告。今夏のヨーロッパ熱波では40度を超える都市が続出。国家として気候非常事態宣言を出したのは19カ国に達し、世界の900以上の自治体が宣言。「日本の自治体で宣言したところはない。今月(9月)に出す予定の自治体はある」とした。

 山本氏はさらに、昨年8月、スウェーデンの国会前で15歳(当時)の少女が一人で気候ストライキを始め、全世界に広がっていることを紹介。5月には125カ国180万人の青少年がストライキに参加した。フランシスコ・ローマ教皇やカンタベリー前主教も賛同し、これを支持していることから、日本宗教者の行動に期待を込めた。「この9月20日には全世界で気候一斉ストライキが呼びかけられている。大人も巻き込んで、数百万人規模になるだろう」と話した。

 その上で山本氏は「子どもたちの要求は何か。科学者の警告を真剣に受け止めて危機を回避するよう大人、特に政治家が動かなければいけないと訴えている」と解説し、科学者や大人の対応を強く促した。そして宗教者をはじめ来場者に環境非常事態宣言への支援を訴えた。(「宣言」の文面は写真をクリックしてご覧ください)

2019/9/12
日本仏教看護・ビハーラ学会シンポ ケアに「資格」は必要か 臨床宗教師らが討論

様々な形で医療や福祉に関わる仏教者たちがケアの課題を考察した 日本仏教看護ビハーラ学会(若麻績敏隆会長)の第15回年次大会(佐藤雅彦大会長)が8月31日から2日間にわたり、東京都港区の浄土宗大本山増上寺で行われた。大会テーマは「仏教から『いのち』のケアを問い直す」。2日目には「病む人々を支える仏教者の活動」と題し、臨床宗教師、臨床仏教師、スピリチュアルケアワーカー、チャプレン、ビハーラ僧が、ケアの課題を討論した。

 シンポジストは臨床宗教師の打本弘祐氏(龍谷大学教授)、臨床仏教師の吉水岳彦氏(東京都・浄土宗光照院)、スピリチュアルケアワーカーの大下大圓氏(岐阜県・高野山真言宗千光寺)、チャプレンの小西達也氏(武蔵野大学教授)、ビハーラ僧の樺澤賢正氏(新潟県・真言宗豊山派金剛光寺)。それぞれが活動の歴史や展開、養成プログラムなどについて紹介した。

 新潟県の長岡西病院緩和ケア病棟のビハーラ僧である樺澤氏は昨年4月に「仏教者ビハーラの会」(長岡市仏教会が基盤)から選出されて「専任ビハーラ僧」として同院に勤務。ビハーラ僧は資格認定はないが、「先輩が培ってきたものを受け継ぐ」「患者さん第一のお坊さん」であることが重要とし、「医療者とチームを組む。患者さんだけでなく、患者さんが何を要求しているかを特に知っている看護師さんや医師に声をかけられやすい人であることが大事。そのためにいつも暇そうに存在していたい」と話した。(続きは紙面でご覧ください)

2019/9/12
奈良・大本山興福寺の新貫首に森谷英俊氏

森谷貫首 奈良市の法相宗大本山興福寺の貫首(代表役員)に、森谷(もりや)英俊氏が1日付で就任した。「教学の増進と境内の史跡整備を進めてまいりたい」と抱負。「天平の文化空間の再構成」事業を引き継ぐことを表明した。平成元年から6期30年にわたり貫首として天平伽藍の復興に尽力した多川俊映氏は、8月31日付で任期満了により退任。寺務老院(責任役員)に就任した。

 森谷貫首は昭和24年 9月28日生まれ。群馬県出身。法政大学法学部卒。昭和55年10月に興福寺入寺。同58年に録事。平成元年に責任役員・執事。同3年に慈恩会竪義加行成満。興福寺子院大聖院住職に就任。同13年に興福寺執事長。同16年に山田寺住職兼務。同26年に興福寺副貫首・湘南別院院主。著書に『阿修羅を究める』(共著・小学館)『興福寺のすべて』(同)『寺院と仏像のすべて』(共著・フジタ)『唯識―こころの仏教―』(共著・自照社出版)『新古寺巡礼 興福寺』(共著・淡交社)など。

2019/9/12
和空プロジェクト 法隆寺門前に初のホテル

関係者がテープカット 奈良県斑鳩町の世界遺産・聖徳宗総本山法隆寺に向かう南大門前の参道沿いに門前宿「和空 法隆寺」が8日、「世界でいちばん法隆寺に近い宿」としてオープンした。茶道・華道・書道・香道などの和文化が体験できる初の宿泊施設。2年後の聖徳太子1400年御遠忌を前に、参拝客の増加が期待される。

 宿泊施設がなかった今までの斑鳩町は、日帰り・通過型の観光地だった。町は地域活性化のために滞在・宿泊型の観光地になることを目指し、平成26年に条例を改正。今回が規制緩和第1号のホテルとなった。宿坊研究会代表の堀内克彦氏は、「日帰りであわただしく参拝するという従来の形から、ゆっくり時間を使って広い法隆寺を拝観できるようになった」と話した。

寝室 宿坊「和空 下寺町」(大阪市天王寺区)・宿坊「和空 三井寺」(滋賀県大津市)に続き、「和空 法隆寺」の企画・運営を担当する株式会社和空プロジェクトの熊澤克己代表取締役は3日の記者発表で、「国内外に斑鳩の里の魅力を発信する拠点になれば」と抱負。荒井正吾・奈良県知事は、「門前の賑わいを作る」取り組みに期待感を示した。

 設計・施工は積水ハウス株式会社。2階建・2棟で60室・定員141人。1泊2食付で1万8500円(税別)から。地元食材を用いた料理は、北新地「神田川」店主・神田川俊郎氏の監修。問い合わせは同宿(電話0745―70―1155)。

2019/9/5

九州北部豪雨 武雄市・長泉寺の本堂が崩壊

 
屋根が崩れ落ちた本堂(長泉寺提供) 九州北部を襲った猛烈な雨で広範囲にわたり冠水した佐賀県武雄市で8月28日、臨済宗南禅寺派長泉寺(瀧川大雄住職)の本堂などが倒壊した。けが人はいなかった。

 裏山が崩れ、土砂と倒れた木が本堂になだれ込んだ。納骨堂・白雲殿と位牌所も倒壊した。崩れた本堂の屋根が庫裏にも被害を及ぼした。崩落の危険はあったが、信行前住職が建物に入ると、がれきに埋もれ停止した時計の針が「午前5時半」を指していた。

 「創建から660年で初めてのこと」。信行前住職によると、昭和30年代に土砂崩れで位牌所の壁が損壊。平成3年の台風で木が倒れるなどの被害も経験したが、災害で壊滅的被害を受けたとの記録はないという。現在の本堂は昭和3年に建て替えたもの。

 自衛隊が救援に訪れたが、二次被害の恐れもあり復旧作業は進んでいない。

 「自然が意見を吐いた」。自然の猛威を目の当たりにし、信行前住職は鈴木大拙の言葉が浮かんだ。「万物の発生もみんな心と栄西禅師は説かれた。私の心掛けが悪かったせいだ」。そう力なく語った。

佐賀県内に被害集中

 8月27日から続いた九州北部豪雨で各宗派の寺院に被害が相次いでいる。

【曹洞宗】3日現在、宗務庁に寄せられた被害報告では、佐賀県江北町の竜沢寺で境内地の崩落、武雄町の円応寺で裏山の崩落、朝日町の満徳寺で境内地崩落と伽藍の破損、白石町の法泉寺で境内地の崩落が発生している。白石町では朝元寺、広雲寺、世尊院で床下浸水の被害もあった。檀信徒の被害も多数あるものと見られる。
 北方町の永源寺は27日から30日まで避難所となった。30日からは佐賀県曹洞宗青年会が多久市でボランティア活動を開始、曹洞宗婦人会も支援に動き出している。

【日蓮宗】3日現在、宗務院福祉共済課に寄せられた報告では、佐賀県の佐賀市・唐津市・杵島郡で計7カ寺に被害があった。内、5カ寺が床下浸水の被害。水害による孤立が1カ寺。断水被害1カ寺。被害額が100万円を超える場合、一部損壊として宗門の支援があり、引き続き、被害の申告を呼びかけている。

【本願寺派】佐賀県内の7カ寺に被害があった。武雄市内の3カ寺で本堂や庫裏、納骨堂の床上・床下浸水があったほか、境内地に泥が流入するなどした。白石市の3カ寺と佐賀市の1カ寺で墓地が冠水した。
 山口県下関市の1カ寺で裏山が崩れ、本堂が損傷した。
 社会部災害対策担当は8月28日に福岡教区に土嚢袋を送付。同30日に佐賀教区にタオル500枚を送った。

2019/9/5

ロボットコンテスト日本大会決勝 裾野光明寺が3位 世界大会へ

 
日本大会で3位入賞し喜ぶチーム裾野光明寺。左が松岡住職 世界の小中校生がロボットプラグラミングを競うロボットコンテストの世界大会(WORLD ROBOT OLYMPIAD)の日本決勝大会が8月25日、兵庫県西宮市の関西学院大学で行われ、静岡県裾野市の曹洞宗光明寺(松岡広也住職)のチーム「裾野光明寺」が小学生レギュラーカテゴリー、エキスパートの部で3位入賞。これにより11月にハンガリーで開催される世界大会に出場することが決まった。

 来年2020年から小学校で必修化されるプラグラミング教育。光明寺では2年前から小学生を対象にしたプログラミング教室を開講。松岡住職が講師となり、レゴで組み立てたロボットに様々な動作を指令するプログラミングを学ぶ教室を月に2回開いている。

 大会に出場した「裾野光明寺」は小学生3、5、6年生の3人からなるチーム。7月23日に行われた静岡県沼津予選会を勝ち抜いて、全国40地区を勝ち抜いたチームが出場する決勝大会に3年連続で進出。「世界大会に行こう!」を目標に、生徒たちも自主的に準備に取り組み、大会では自律型ロボットでテーマに沿ったミッションをクリアする「レギュラーカテゴリーエキスパート」の部で世界大会に出場できる3位入賞を果たした。

 11月の世界大会は厳しい勝負になるとのことだが、チームは動画サイトYouTubeなども参考にしながら、プログラミングの向上に励んでいるという。一方で「大会のためだけの教室ではない」と松岡住職。仏教青年会の活動で他国と交流してきた自身の経験からも、「子どもたちには国際交流もしてほしい。色々な国の人と知り合うことが財産になる」ともう一つの〝ミッション〟も設定している。世界大会には子どもたちの顔写真が入った名刺を作成して臨む予定だ。

2019/9/5
「死刑をなくそう市民会議」設立 弁護士や宗教者ら参加

設立集会で死刑廃止を訴える平岡元法務大臣 死刑廃止に取り組む弁護士や研究者、宗教者らにより今年6月に発足した「死刑をなくそう市民会議」の設立集会が8月31日、東京都千代田区の明治大学リバティホールで開催された。共同代表の一人の平岡秀夫・元法務大臣は「日本は死刑を廃止しなければならないし、いつか必ず廃止されると信じている」と訴えた。

 同市民会議は、3年前に「2020年までに死刑廃止」を掲げた日本弁護士連合会(日弁連)の宣言が機縁となって設立。日弁連の菊池裕太郎会長は「多くの方々、団体と連携して死刑廃止に取り組んでいく。その中核となるのがこの市民会議」だと話した。

 日弁連前会長の中本和洋氏が講演で死刑反対の理由を提示。①日本では明治6年(1873)の太政官布告以来、140年以上も死刑の執行方法が絞首刑であり、憲法が禁ずる残虐な刑罰にあたる。②冤罪の可能性が避けられないため、刑の執行は取り返しがつかない。③人は変わり得る。罪を反省した者を殺すべきなのか、と説明した。

 共同代表の「死刑をとめよう」宗教者ネットワークの柳川朋毅氏(カトリック)などが登壇したシンポジウムでは、柳川氏がローマ教皇が「死刑は受け入れられない」との立場を表明していることを紹介し、「教皇が今秋来日する話があり、死刑廃止の流れとしても期待している」とした。

 鼎談では、真宗大谷派教学研究所元所長の玉光順正氏、作家の中山千夏氏、明治大学名誉教授の金山明生氏(死生学・宗教民俗学)が登壇。

 中山氏は現在の死刑廃止運動は自身が関わり始めた「数十年前と一緒」だと述べ、結果的にそれほど前進していないと嘆息。これを受けて玉光氏は、運動が進むためには仏教の基本である「自分で考える」ことが大事だと指摘し、死刑について考えてもらうよう「我々は他の人に伝えているか。それがこの運動に欠けている。それだけ、我々は分断されている」と自戒を込めて語った。(続きは紙面でご覧ください)

2019/9/5

平和なしに発展なし アフリカの新たなビジョン2019国際会議 

学生や宗教者、ビジネスマンなど850人が参加した 立正佼成会・聖エジディオ共同体(ローマカトリック)・上智大学の共催による国際会議「アフリカの新たなビジョン2019」が8月31日に東京都千代田区の上智大学で開催された。28日から30日まで横浜で開催された政府主催の第7回アフリカ開発会議のパートナー事業であり、アフリカ各国の首脳陣も演壇に立った。

 セッション1では、立正佼成会次代会長の庭野光祥氏が昨年5月に開催された第1回「アフリカの新たなビジョン」の成果を振り返り、日本・アフリカ・イタリアの3者が協力してアフリカを発展させることは「世界に蔓延する自国中心主義へのアンチテーゼ」と位置付けた。「差別と格差が広がる中、憎悪と不信の壁を破ることができるのは、世界の苦しみを自分の事と考えられる人を一人でも多く増やすこと」であるとし、諸宗教協力の重要性も呼びかけた。

 中央アフリカ共和国のフォースタン・アンシャンジュ・トゥアデラ大統領は「私たちのアフリカは多くの危機に直面している。政治、治安、自然災害など」と苦境を訴え、「平和がなければ社会や経済の発展は望めない。だから平和が必要なのです」と平和構築への協力を切望した。同国は武装グループによる暴動が長年続き、全人口の4分の1が国外への非難を余儀なくされる、深刻な状況にある。

 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会総務部長の篠原祥哲氏はリンダウ大会の成果をもとに発表。政府間協議は国益の調整が大きな目的だが、「国益の調整だけに偏ると自国ファーストの風潮を過剰に招く」とし、強い者がより豊かになり弱い者がより貧しくなる不公正が加速することを懸念。寛容と慈悲を根本とする宗教が仲立ちとなり、政府と一般市民との対話(トラック1・5協議)の架け橋となっていくことが必要とした。(続きは紙面をご覧ください)

2019/8/29

第10回WCRP/RfPリンダウ大会 「つながりあういのち」は積極的平和

開会式では諸宗教と地域から6人の子どもたちが「共通の未来」に向けてメッセージを発表した(20日) 「慈しみの実践:共通の未来のために―つながりあういのち」 (Caring for Our Common Future - Advancing Shared Well-being)」のテーマのもと世界125カ国・地域から約1千人余が参集してドイツのリンダウで第10回世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)リンダウ大会が20日から23日まで開催された。日本委員会からは正式代表やオブザーバーなど約40人が参加した。採択されたリンダウ宣言では、「つながりあういのち」を積極的平和と位置づけた。今後、WCRPは宣言をもとに行動を具体化させる。(近号詳報)

 初日(20日)の開会式では、世界の各地域と諸宗教を代表して6人の子どもと青年たちがステージに登った。共通の未来に向けてメッセージを発表して開幕した。

 WCRP/RfP共同議長による挨拶では、庭野光祥氏(立正佼成会次代会長)が着物姿で登場し、1970年のWCRP創設メンバーの労苦に思いを寄せながら、「現在は恐怖によって(世界が)分断されている。私たちは脅威に脅えるのではなく、自分自身に何が必要なのかを問いかけることが重要だと思う」と呼びかけた。

会議場から近くの公園まで行進。途中、庭野光祥氏がRfP旗を振った(21日) 開催国ドイツ連邦政府のフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、プロテスタントとカトリックが戦った「30年戦争」や世界に蔓延する今日の暴力に言及し、「宗教は戦争を正当化するものであってはならない」と主張。WCRP/RfPの活動についても、「努力が実を結んでいると言える。宗教は紛争解決や平和への建設的な役割を果たすことができる」と評価し、期待を込めた。

 大会は、特別セッションや5つの分科会、紛争当事国などによるセッションなどを経て最終日(23日)にリンダウ宣言が採択された。日本委員会の黒住宗道氏(黒住教教主)が宣言文奉読者の一人として一節を読みあげた。宣言文では、「つながりあういのち」と積極的平和が結び付けられている。また行動計画として9項目が掲げられた。日本委員会が事前に提出していた提言とも重なり合うものとなった。

 2日目(21日)には、会議場から近くの公園まで平和行進。ウイリアム・ベンドレイ事務総長をはじめ共同議長らを先頭に行進し、途中、庭野光祥氏がRfP旗を力強く振る場面もあった。

 また同日夕には、リンダウ市民が歓迎夕食会を催した。カトリックとプロテスタントの両教会に挟まれた広場で、市民が持ち寄った手作り料理が中央テーブルに並べられた。諸宗教指導者と市民が交流する、こうした企画は珍しい。

2019/8/29
WCRP/RfPで初の女性事務総長アッザ・カラム氏就任 25年にわたるベンドレイ氏退任

庭野日鑛氏とベンドレイ前事務総長(左隣)が見守るなかスピーチするカラム新事務総長(23日) 22日、ベンドレイ氏が国際事務総長を退任し、新たにアッザ・カラム氏が就任すると22日に発表。最終日(23日)の閉会式で新旧事務総長が顔を揃えた。女性事務総長は初めて。

 1994年以来25年にわたって牽引してきたベンドレイ氏に代表者が感謝の言葉を贈った。日本委員会の庭野日鑛会長(立正佼成会会長)は、「ベンドレイ事務総長のご尽力によってRfP(WCRP)は行動する共同体へと進化を遂げてきた。日本委員会を代表して感謝の意を表する」とねぎらった。

 ベンドレイ氏は、「ここにいる一人ひとりと活動することによって私自身も皆さんに助けられ、自分も変わったように思う。心より感謝する。この期間、素晴らしい恋愛生活を送ったように思う。本当に愛をありがとうございます」とユーモアをまじえて退任の弁。

 カラム新事務総長は、「大きな責任を感じている。ベンドレイ博士を師と仰ぎ今後も活動を引き継いでいきたい。皆さまの私に対する信頼感を忘れずに大切にしていきたい」と抱負を口にした。

【アッザ・カラム新事務総長略歴】国籍はオランダだが、出身はエジプトのカイロ。イスラーム。アムステルダム自由大学で宗教と開発を研究。博士。シニアアドバイザーとして国連人口基金(UNFPA)に勤務し、国連宗教・開発タスクフォースコーディネーターを務める。ヨーロッパ、アラブ諸国、中央アジアにおける異文化間リーダーシップの指導者として活動してきた。50歳。

2019/8/29
真宗大谷派 来年7月、大谷暢裕氏が門首に就任

 真宗大谷派(京都市下京区・本山東本願寺)は21日、大谷暢顯第25代門首(89)が来年6月30日に退任し、翌7月1日に門首後継者の大谷暢裕鍵役(68)が第26代門首に就任すると発表した。20日に内事会議の答申を得て、継承審議会で決定した。門首継承式は前例を踏襲し報恩講の前日となる来年11月20日に営む予定。所定の会議を経て確定する。

 大谷門首は昨年7月に入院。門首代行に門首後継者の大谷暢裕鍵役を立て、加療・リハビリの後、11月に公務に復帰した。真宗本廟(東本願寺)での晨朝等、日々の勤行に影響はなかったが、宗祖親鸞聖人の御命日法要や報恩講での登高座登壇、宿泊を伴う御親修等では体力的に負担がかかるため、大谷暢裕鍵役が代行していた。

 宗務所で会見を開いた但馬弘宗務総長は「本年7月5日、門首から『現在、体調は良好だが、新年度に入り2023年の宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要に向けた取り組みが展開されていくであろうことを思う時、この際、後継に門首としての任を継承してもらうことが最良ではないかとの思いに至った』との意向が私宛に表明された」と明かした。

 大谷門首は親鸞聖人の血筋である大谷家と内局が対立した「お東紛争」を経て、1996年7月31日に就任。1981年6月に改正・制定された現行「宗憲」の規定「門首は、僧侶及び門徒の首位にあって、同朋とともに真宗の教法を聞信する」などに基づき、真宗本廟崇敬の務めを果たしてきた。宗外では2000年から2年間、全日本仏教会会長。但馬総長は、「言葉では言い尽くせぬほど尊くありがたいことであり、深甚の敬意と謝意を表する」「地方御親教の折には御門徒と目線を同じくして語り合っていただいた」と感謝した。

 大谷暢裕次期門首は、大谷門首のいとこで京都市出身。但馬総長は「(次期門首は)ブラジル国籍で日本語・ポルトガル語・英語に堪能な方。ブラジル開教区だけでなくハワイ・北米の開教区など海外の方々に普遍の教えである本願念仏を伝えていきたいと常々仰っている」と紹介した。


新門に大谷裕鍵役

 大谷暢裕次期門首の後継者となる新門に、次期門首の長男である大谷裕鍵役(33)が来年7月1日、就任することも発表された。門首継承の順序を定めた内事章範の規定「宗祖の血統に属する嫡出の男系の男子」で「門首の長子」による。

 裕鍵役はブラジル出身で、サンパウロ大学卒。東京大学大学院博士課程理学部数理科学研究科修了。大谷大学大学院真宗学専攻修士課程在籍中。2017年に鍵役に就任。

2019/8/29

大磯町・地福寺で島崎藤村の七十七回忌 若いファンも墓参

梅に囲まれた墓で読経する櫻井住職。奥は静子夫人の墓 『破戒』『春』などを書き、今なお多くの読者を惹きつける文豪・島崎藤村(1872~1943)の命日の22日、墓所のある神奈川県大磯町の東寺真言宗地福寺で七十七回忌となる「藤村忌」が営まれた(主催=大磯町観光協会)。地元住民だけでなく、藤村の母校である明治学院の出身者や、藤村の登場するゲームのファンらも参列した。

 櫻井智定住職が藤村の墓所の前で読経し、供養。藤村の墓は梅の木に囲まれ、棺のような土台の石に20センチほどの細い柱が立つ特徴的なもので、千鳥ヶ淵戦没者墓苑の設計などで知られる谷口吉郎によるもの。正面に立つと十字架のような形にも見える。参列者は線香と白菊を次々と手向け、隣の静子夫人の墓にも手を合わせた。

 櫻井住職は「涼しい風だね(藤村の臨終の際の言葉)。まさに今日はそんな日かと思います。ここで読経している時に風がそよいで、そんな中でお勤めさせていただきました」と挨拶。亡くなった人や本尊に気持ちを伝える回向の大切さを説いた。また、最近訪ねてきた藤村の若いファンから酒の寄進があったことも披瀝。参列者を代表して、町観光協会会長の大倉祥子氏がその酒を墓所の周りに振りまいた。

 藤村は晩年の1941年に大磯に移住したが、その理由は黒川鍾信氏の『高等遊民天明愛吉』によると、友人だったが長年絶縁していた元俳優・天明愛吉が地福寺の離れに住んでおり、その招きで左義長の見物に訪れたことがきっかけだった。旧交を復活させた藤村は「天明君のいるこの寺で眠るのだ」と口癖のように語っていたという。天明は藤村の墓守として余生を過ごす。いわば地福寺は藤村の晩年の友情をつないだ寺である。