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2020/11/26
加速する地球温暖化対策 宗教界、仏教界も環境問題に注目

気候非常事態ネット発足 カーボンニュートラル早期実現へ

  
早期のカーボンニュートラル達成を訴えた山本氏 気候非常事態宣言を発表した自治体や団体に加え、企業、NGO、個人などカーボンニュートラルに賛同する人たちが参加して「気候非常事態ネットワーク(CEN=Climate Emergency Network)」が18日、都内のホテルで設立された。発起人の代表である環境学者の山本良一氏(東大名誉教授)は、「劇的に時代が動いている。カーボンニュートラルを早く実現し、次にカーボンマイナスを実現しない限り、地球気候を安定化できない」と早急な取り組みを訴えた。

 CENの協賛団体として宗教界から世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会と創価学会が名前を連ねている。

全青協・日仏保・全仏婦 子どもたちに豊かな地球を 3団体が共同アクション


環境への共同した取り組みを発表する3団体 仏教界の中でも女性、子どもを中心として教化活動をしてきた全国青少年教化協議会(全青協)、日本仏教保育協会(日仏保)、全日本仏教婦人連盟(全仏婦)の3団体は18日、地球温暖化への取り組みとして、「子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン―共生社会の回復へ向けて」を発表した。首相や環境大臣に要望書を提出するなどの3団体共同のアクションプランの素案も明かされ、仏教の観点から社会に共生社会の必要性を訴えていく。

気候非常事態宣言 国会決議 脱炭素社会へ WCRPが歓迎声明


 国会で20日、「気候非常事態宣言」が決議がされたことを受け、(公財)世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会(植松誠理事長)は同日、「脱炭素社会の実現に向けた立法府の意思を強く示すもの」と歓迎する声明を発表した。

 菅義偉首相は10月26日、就任後初の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と表明したこともあり、脱炭素への動きが加速。国会決議では、地球温暖化により大規模森林火災やハリケーン、洪水などの被害が相次いでいることや気候危機に対する認識を示した上で、「一日も早い脱炭素社会の実現に向けて、我が国の経済社会の再設計・取組の抜本的強化を行い、国際社会の名誉ある一員として、それに相応しい取組を、国を挙げて実践していくことを決意する」と述べている。

 WCRP日本委はこうした国会決議を「大きな意味がある」と評価すると共に、地球温暖化によって風水害や農業被害による食糧不足、病気の発生、資源をめぐる紛争勃発、生物種の絶滅といった危機を指摘し、以下3点の取り組みの必要性を表明した。

 ▽日本政府は、この宣言にもとづき、気温上昇1・5℃に抑制するための具体的な実行計画を早急に策定すること。
 ▽さらに多くの自治体、団体、組織において「気候非常事態宣言」を決議すること。
 ▽先月、首相が表明した2050年脱炭素社会の実現に向け、市民、宗教者、行政、財界、メディア、学会等が協力しながら具体的な行動を取り組むこと。
 
 また昨年8月、ドイツのリンダウで開催された第10回世界大会でも気候変動に取り組む意識を共有したことを紹介し、「祈りと平和の行動を通して、早期の脱炭素社会の実現に力を尽くす決意を新たにします」と結んでいる。

 WCRP日本委は今年1月の理事会・評議員会で、「慈しみの実践:共通の未来のために」と題する気候非常事態宣言を採択している。

2020/11/26

仏教伝道協会 パイプオルガンの夕べ開催 築地本願寺に上納50周年 記念音楽祭に250人 


 今も変わらぬ音色を響かせたパイプオルガン (公財)仏教伝道協会(BDK、木村清孝会長)と浄土真宗本願寺派築地本願寺(安永雄玄宗務長)が共催し、18日夕刻より東京都中央区の同寺本堂で仏教音楽祭「パイプオルガンの夕べ」が開催された。BDKから同寺にパイプオルガンが上納されてから50周年を記念したもので、250人の聴衆が、深く多彩なパイプオルガンの音色に聞きいった。

 パイプオルガンは1970(昭和45年)年に寄贈された同寺のパイプオルガンは本尊と向かいあうように配置され、2つのパイプケースの中には約2千本ものパイプが並ぶ。表に見える銀色のパイプは左右それぞれ48本で、阿弥陀仏の四十八誓願に、またパイプの山の数が6つあるのは「南無阿弥陀仏」の六字名号にちなんでいる。

 音楽祭では浄土真宗本願寺派の大谷光淳門主の祝辞を石上智康総長が代読。同寺で2006年から始まったランチタイムコンサート、仏前結婚式などの仏教行事で演奏されてきたことを紹介し、「人々の心に響き、それが築地本願寺や浄土真宗のみ教えに触れ親しんでいただくご縁になることを」と念願した。

 木村清孝会長はパイプオルガンを寄贈した三豊製作所(現ミツトヨ)の創業者でBDK創設者、「仏教伝道を生涯の使命」とした沼田恵範氏を紹介したうえで、「荘厳かつ華麗なパイプオルガンの創り出す宗教音楽の世界に身をひたしてください」と呼びかけた。

 第一部はパイプオルガンを用いた音楽法要「重誓偈作法」で導師は安永宗務長。同寺合唱団学友会が美しい仏教音楽を響かせた。第二部は築地本願寺親鸞聖人750回大遠忌記念委嘱作品「華」が披露された。

 第三部は、仏教伝道文化賞奨励賞受賞の松下功さん(1951―2018)を中心に結成されたパフォーマンスグループ「アンサンブル東風」により、松下氏作曲の《平和ソング》より「元素わたし」などが演奏された。オルガニストは元築地本願寺副オルガニストの小島弥寧子氏賀務めた。

2020/11/26 龍谷大学 ジェンダーと宗教研究センター創設シンポ ジェンダー視点 社会変革のカギに


竹安、入澤学長がセンターへの期待を語った創設シンポ

 龍谷大学ジェンダーと宗教研究センター(GRRC)は6日、オンラインによる創設記念シンポジウム「誰ひとりとしてとり残さない―ジェンダーと宗教の視点から」を開催した。同大が推奨する「仏教SDGs」の一翼として今年4月に発足したGRRC。ジェンダーと宗教研究が果たす役割について議論した。約500人が参加した。

 基調講演は京都女子大学で初の女性学長となった竹安栄子氏。ジェンダーに基づく社会的な差異として、男女の所得格差などから不公平・不平等な立場に置かれる女性の現状を解説。女性の就労率、平均賃金、管理職比率を高めることで出生率が向上した諸外国の事例を紹介した上で、高齢化率の急激な上昇や労働人口が減少する日本は「ジェンダー平等の実現を最も必要としている国の一つ」と位置づけた。

 ジェンダーギャップ指数で日本が世界121位となっている大きな要因に「政治領域」があるとし、120カ国以上が導入する「ジェンダー・クオータ(割当制)」導入を提言。「多様な社会経験をもつ者が集まり熟議することで民主主義が活性化する。意思決定におけるジェンダー格差の解消は、単なる理念ではなく、持続可能な社会のためにきわめて重要だ」と強調した。伝統仏教界における宗会議員、宗務所職員の男女比率から「圧倒的男性優位の構造」があるとしたうえで、GRRCには「宗門組織における女性参画推進に向けての議論開始」「女性人材の養成」「ジェンダー視点を導入し普及する活動」を提案した。

 続いてGRRCユニット2リーダーの猪瀬優理・龍谷大学准教授と、同研究員の川橋範子氏が提言。猪瀬氏はジェンダーや宗教が「社会や人の在り方を形作る力をもつ」と解説し、SDGsが「今の社会では、誰一人取り残さない社会ではないため、私たちの社会を変えなければという強い決意が述べられている」と指摘。宗教とジェンダー研究によって「社会を変えていくために何が必要なのかを示していく」と目標を掲げた。

 川橋氏は「寺族女性の不安定な身分」「女性僧侶の地位の低さ」等、不平等な仏教界の現状に言及。「SDGsの理念と仏教には親和性がある」とする言説に対し「SDGsのカギであるジェンダー平等の視点から仏教を問い直すべき」と強調し、「本来的に仏教は平等というが、なぜ現状はそうなっていないかみるべきだ」と苦言を呈した。

 その後の討論では入澤崇・龍谷大学学長が宗会議員の男女比率、教団が内包する差別性を顧みることなく、「(教団が)社会に向けて開かれた、といっても説得力がない」と指摘。GRRCの活動が各教団の変革に結び付くことを期待した。

長年、女性と政治研究を行ってきた竹安学長は「研究は十分に進んでいる。必要なのは実践。現場にいる女性たちは今を変えてほしい、変わる希望を持たせてほしいと叫んでいると思う。過度な期待とは思うが、一歩でも現実が前に進むことをしてほしい」とエールを送った。

2020/11/19

公益社団法人在家仏教協会 来年3月末 69年の歴史閉じる 寄附減少にコロナ追い打ち

 
加藤辨三郎(1899~1983) 協和発酵工業(現協和キリン)の初代社長で仏教への信仰が篤かった加藤辨三郎(1899~1983)によって昭和27年(1952)に設立された公益社団法人在家仏教協会(菅原伸郎理事長、東京都千代田区)が来年3月末で解散することになった。10月15日の臨時総会で決議され、このほど発表された。近年の寄付金減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大により講演会などの活動継続が困難になってきたためだ。来春、68年の歴史に幕を閉じる。

 島根県出身の加藤辨三郎は京都大学工学部で学び、昭和24年(1949)に協和発酵工業社長に就任。念仏者でもあったが、宗派にしばられず在家仏教の立場から東京や大阪のほか各地で講演会や坐禅会、仏跡参拝などを行ってきた。こうした活動から「仏教外護者」として昭和53年(1978)、仏教伝道文化賞を受賞した。

 仏教に造詣が深かった科学者の故武藤義一氏(東京大学名誉教授・元埼玉工業大学学長)が協会理事長を務めたこともあった。講演会では、仏教学者や各地方の僧侶などが出講し、講演録は月刊誌『在家佛教』に収載された。

 3年前、朝日新聞出身の菅原氏が理事長に就任したが、その前から運営が厳しい状況だった。機関紙「いのち尊し」(6月1日)で菅原理事長は「この数年来、財政基盤の弱体化が進み、各地での講演会を次々と休止させていただきました。さらに新型コロナウイルス騒ぎのなか、多くの方が集まることから東京会場での開催も難しくなっているのです」と吐露している。

 『在家佛教』も3年前に通巻780号で休刊した。講演録は月刊誌『大法輪』(大法輪閣)に移った。しかしその『大法輪』も今年7月号で休刊すると発表した。

 こうした事態に至った背景に「日本社会が物質的欲望に流されていったことが挙げられるでしょう」(菅原理事長『協会の今後について』)とし、「人生や社会を見つめ直す、釈尊や先人の教えを学び直す、そんな生き方は忘れられたのではないでしょうか」(同)と分析する。

 機関紙と講演会動画は来年3月まで継続する。残余財産は、公益財団法人中村元東方研究所(東京都千代田区)と公益財団法人松ヶ岡文庫(神奈川県鎌倉市)への帰属を予定している。世界的仏教学者である中村元博士と鈴木大拙博士をゆかりとする団体である。

2020/11/19

お寺の戦伝遺産を歩く⑦ 文京区護国寺「音羽陸軍埋葬地英霊之塔」 今月11日に慰霊祭

 
 
護国寺僧侶が出仕した慰霊祭。今年で64回目となる 東京都文京区の真言宗豊山派大本山護国寺の本堂奥の西側に建つ「音羽陸軍埋葬地英霊之塔」。11日、毎年行われている慰霊祭が営まれた。今年で64回を数える。例年は遺族会が参列するが、今年は新型コロナウイルスの影響で護国寺の僧侶のみでの法要となったが、塔の前には音羽陸軍埋葬地遺族会の花が供えられた。

 英霊之塔は昭和32年11月、護国寺第51世岡本教海貫首が建立。由来を記した石碑には「この地は戦前、明治以降の近衛その他の在京部隊に在籍し、幾多の戦役等で身を挺して勇戦敢闘され、国に殉じた二千四百余柱の英霊を埋葬した墓地でしたが、戦後は護国寺が管理しています」と刻まれている。

 江戸時代は幕府の祈願寺であった護国寺。檀家はなく、そのため明治に入ると経済的に厳しい状況に立たされた。そんな中で明治期に陸軍用墓地として本堂奥の西側約5千坪が接収された。ちなみに東側2万5千坪は天皇・皇后両陛下以外の皇族専用の墓地として整備され、現在も「豊島岡墓地」として利用されている。

 慰霊祭を担ってきたのが「音羽陸軍埋葬地遺族会」。護国寺に残る同会資料「音羽陸軍埋葬地に就て」(昭和26年5月)によれば、埋葬地は終戦直後に「復員省」に移され、その後、管理権が「東京都」、所有権が「大蔵省」へと移管された。その後に両権利を護 国寺が取得。返還されたことになる。これをしった東京近郊の遺族たちにより音羽陸軍埋葬地遺族会が結成された。

 返還された埋葬地については護国寺が改葬整備を計画。全墓地を発掘し、無縁故者の遺骨を現在の英霊之塔に合祀し、有縁故者の遺骨は遺族の意向に従って改葬した。英霊之塔周辺には有縁墓地40墓ほどが配される形となった。

 国から護国寺へと譲渡されたことで、遺族会と護国寺の間で新墓地の使用権、維持経費や管理、また祭祀について等の協定も結ばれている。

 昭和31年、現在まで続く慰霊祭の第1回が執行され、両者が協力し現在まで継続されている。東京都知事や東京都郷友会から献花や祭祀電報が届くなど、盛大に行われてきた時期もあったが、次第に規模が縮小。それでも例年、慰霊祭が本堂と塔前で営まれ、遺族が英霊之塔に参拝している。

 護国寺の墓地を歩くと、塀や門の一部があり、音羽陸軍埋葬地の跡がみえる。英霊之塔からさらに奥まった一角には、護国寺歴代貫首の墓石がまとめて安置されている。これらは明治期に陸軍に接収された際に改葬されたという。政治体制の変化と戦争のあった激動の近現代史が墓地にも物語られている。

2020/11/19

佛教大学 次期学長に伊藤真宏氏

 
伊藤次期学長 佛教大学(京都市北区)は、田中典彦学長の任期満了に伴う学長選挙を11日に実施し、第13代学長に伊藤真宏仏教学部教授を選出した。任期は来年4月1日から25年3月31日までの4年間。

 伊藤氏は1964年8月5日生まれの56歳。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程仏教学専攻単位取得満期退学。1993年から同大非常勤講師、2011年から准教授、今年4月から教授・仏教学部長。専門は浄土学・日本仏教文化史。著書に『法然上人のお歌』『法然さま二十三のお歌』など。伊丹市の法巖寺、大阪市の浄土宗見性寺住職。

2020/11/19
大本山總持寺 板橋禅師の荼毘式営む 仏事̪師9人が送り出す


板橋禅師の真骨を納めた真龕(左)を安置して営まれた荼毘式 横浜市鶴見区の曹洞宗大本山總持寺で10日、7月5日に93歳で遷化した独住23世、板橋興宗禅師の荼毘式が営まれた。禅師の葬儀で用いられる遺骨を納めた棺「真龕」を安置し、大導師にあたる仏事師の秉炬師を務めた同宗管長の南澤道人・大本山永平寺貫首の導きで、大夜など一連の儀式の参列者計約280人が仏土へと送り出した。

 前日から計9人の仏事師が儀式を執行。荼毘式では、奠湯師を總持寺副貫首の石附周行・最乘寺住職、奠茶師を次期永平寺副貫首候補の羽仁素道・龍華院住職がそれぞれ務め、旅の疲れを癒す蜜湯を献じるとともに、心を落ち着かせる茶を捧げた。

 火葬するための火を点じる秉炬師として、松明のような法具をかざし真龕に向け円を描くしぐさをした南澤貫首が法語を述べた。板橋禅師の仏道を回顧した上で、瑩山禅師の生誕地とされる福井県越前市・御誕生寺の再興などの功績にも触れ、「説法度生自在の接化は人天を魅了し、徳は万民に及ぶ」と讃えた。

 江川辰三・總持寺独住25世貫首の焼香後、代表者らが弔辞。永平寺の専使として小林正道監院が「自由闊達な禅風を宣揚され、社会に寄与する仏弟子の育成に力を尽くされました」と人柄を振り返り、「ご遷化の報に接し誠に痛恨の極みです」と悔やんだ。

 鬼生田俊英宗務総長は「宗統の護持と祖風の宣揚を固くお誓いし、謹んで大寂定中安らかなることを念じ、衷心より哀悼の意を表します」と語った。全日本仏教会会長の大谷光淳・浄土真宗本願寺派門主や布施浄慧・真言宗智山派総本山智積院化主、杜多道雄・天台宗宗務総長らから弔電が寄せられた。

 主喪を務めた總持寺の乙川暎元監院が謝辞を述べ、「修行道場を預かる者として、猊下のご遺志を肝に銘じて精進していきたい」と決意を語った。

2020/11/12
豊山派宗会 機構改革10項目を提示 鈴木内局初宗会 基本方針を表明


施政方針演説を行う鈴木宗務総長 真言宗豊山派(鈴木常英宗務総長)の154次宗会通常会(川田興聖議長)が5・6両日、東京・大塚の宗務所に召集された。7月に就任した鈴木内局の初の宗会。鈴木宗務総長は施政方針演説で「総本山長谷寺伽藍修復事業の継続」「弘法大師御生誕一二五〇年記念事業」「宗派の機構改革」の3つの基本方針を示した。機構改革では女性教師の委員会設立、運営困難な寺院の救済策として社会福祉事業の展開などを掲げた。

 鈴木宗務総長は星野前内局からの引き継ぎ事項として令和元年度より始まった総本山長谷寺修復事業について、令和6年の特別賦課金第二期に向け「宗内寺院への事業の進歩状況等の報告、説明を徹底していきます」と明言。星野前総長が提案した総合インフォメーションセンター機能を持つ「新昭和寮」への改築事業も引き継ぐ意向を示し、特別賦課金とは別に協力を呼びかけている「志納金」を事業に支出するための規則変更を検討する考えを示した。

 弘法大師御生誕一二五〇年記念事業は来年4月1日を目途に委員会を発足させるとし、事業については総本山長谷寺への「総登嶺と法要」と説明した。新型コロナウイルスの影響で長谷寺の収入に大幅な減額が見込まれることから「各支所において総本山へ檀信徒と共に総登嶺していただくことが今後の団参拡充につながる」と協力を求めた。

 宗派の機構改革については宗規類集の見直しを行い、改訂版を発行すると表明。その内容として①各種委員会の整理と議事録のデジタル化、②法臈の見直し、③総合調査の結果の分析と活用、④総合保障制度と共済制度の再点検、⑤真言宗豊山派教育事業団運営、⑥教務部・教化部・教化センターの業務の再構築、⑦総本山研修所一年制の導入、⑧豊山流大師講の再構築、⑨人権擁護、⑩宗派における社会福祉事業―を挙げ、制度調査会に研究班を設置して検討していくとした。

 ⑨では「(女性教師が)参画しやすい環境づくりを目指し、女性教師の委員会を新設」する意向を示した。⑩については、運営の維持が困難な寺院の救済策の一つとして、「宗派として地方における社会福祉事業を展開していきたい。施設を設立した後については、地元に運営を委ねるようにしていくことで、無住職寺院対策の一つにもなる」と具体策を示した。
 
 上程議案は令和元年度真言宗豊山派収入支出決算承認の件など7議案で、全て原案通り可決された。令和元年度収支決算は収入10億2232万2659円、支出9億2284万3586円。長谷寺伽藍修復資金特別会計収支決算は収入8億3879万1426円、支出1565万2280円。収入は予算額の4億6401万円に対し、特別賦課金収入4億6919万2900円(予算額1億2千万円)、寄付金収入が3億2959万5426円で大幅増となった。特別賦課金は22年間を4期に分けて徴収。単年と一期分(第一期は5年)の一括納付が選べるが、第一期は約7割にあたる1925カ寺が一括納付した。

事前にPCR検査実施
 宗会に向けて内局、議員と宗務所職員が事前にPCR検査を受けて全員陰性となった。議場にはパーテーションを設置するなどの体制で臨んだ。

2020/11/12

大正大学 創立100周年へ 新校舎落慶 一部に南三陸町の木材使用

 
落慶した新校舎の8号館 礼拝堂を建て替えて新築した新8号館が完成し、東京都豊島区の大正大で5日、落慶式が執り行われた。設立4宗派の関係者ら約100人が、創立100年に向けた新たなシンボルとなる校舎の落慶を祝った。

 新校舎は2018年9月から工事を進め、今年7月に竣工。新型コロナウイルスの影響もあり、仮オープンとして使用していた。

 2026年に迎える創立100年に向けた改革構想の中核となる施設に位置付け、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を活用した「超スマート社会」に適応した教育環境を提供する。先月にはデジタル化推進を目的にソフトバンクと連携協定を結んだ。

多彩な学習環境を備えた図書館 4階建ての延べ約9400平方㍍。移設した図書館(2~4階)と国内最大級というラーニング・コモンズ(1階)、総合学修支援部(同)を集めてワンストップ支援を目指す。最上階に礼拝ホール(190席)を備える。

 落慶式では、工事の間東京国立博物館に寄託していた本尊阿弥陀如来坐像(重要文化財)を安置した礼拝ホールで、天台宗・豊山派・智山派・浄土宗の設立4宗派と時宗の代表者が職衆を務めて勤行した。導師の髙橋秀裕学長が挨拶し、「デジタルの進歩など既成の価値観では対応できない新しい時代がやってくる。新しい価値を創造し高められる学生を育成していきたい。その実現のための中核となる施設だ」と語った。

 この日、東日本大震災の発生直後から続ける復興支援活動で深めた連携体制を発展させる「包括的特別連携協定」を結んだ宮城県南三陸町の佐藤仁町長も参列。これまでの支援に感謝を述べた上で、「将来にわたり心の通った交流を続け、互いのさらなる発展につなげていきたい」と話した。礼拝ホールの装飾の一部には、南三陸町のスギが使用されている。

 学生や卒業生、教職員から、新校舎の愛称を募集している。詳細はホームページで確認できる。

2020/11/12

全日仏 「仏教とSDGs」シンポ第2弾 LGBTQの視点から考える 寺院にレインボーステッカーの提案も

 
 
提言者のパネリストとコーディネーターの4人。左上から時計回りに、西村・川上・戸松・杉山氏 8月の「〈仏教とSDGs〉―女性の視点から考える」に続く全日本仏教会(全日仏、戸松義晴理事長)の第2弾シンポジウム「〈仏教とSDGs〉現代社会における仏教の平等性とは―LGBTQの視点から考える」が5日夕、オンラインで行われた。トランスジェンダーの当事者とそのサポーターが提言し、SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられているジェンダー平等への学びを深めた。

 最初の提言者は杉山文野氏(株式会社ニューキャンバス代表取締役)。フェンシング女子の元日本代表でもある。早い時期から女性であることに違和感を持っていた。幼稚園から高校まで女子校に通い、性の違和感を「誰にも言ってはいけないと思っていた」。中学から高校時代の成長期には「身体は女性として成長し、心は男性として自我が強くなり、引き裂かれるという言葉で済まされないような心理状況だった。罪悪感を持っていた」と当時の苦悩を話した。

 セクシャルマイノリティー理解のための啓発なども行っている杉山氏はLGBTの意味や法律面からも解説し、現行の「性同一性障害特例法」に規定されている性別変更のハードルが極めて高いと指摘した。杉山氏自身、結婚しているものの、性別変更ができないため戸籍上は女性のままだとした。また日本弁護士連合会(日弁連)が「同姓婚を認めないのは重大な人権侵害」とする意見書を政府に提出していることも報告した。

 世界的なメイクアップアーティストで浄土宗僧侶でもある西村宏堂氏は、自身の生い立ちを振り返りながら話した。幼少時におしゃれに目覚めたが、高校に入ると自分らしくいるのが難しくなった。ある時に「西村はおかまでしょ」という同級生同士の会話を耳にし、疎外感を抱くようになったという。

 ある映画を契機に米国に渡り、ニューヨークの美術大学に留学。その後、メイクに興味を持ち、ミスユニバースで日本代表が優勝したことで、日本人でも活躍できると意を強くし、ミスユニバースでメイクアップをしている人のアシスタントとなり、「殻が破れた」と話した。

 西村氏はメイクアップアーティストとして活躍するが、一方でお寺を継ぐことは嫌だった。しかし母親の助言を得て、僧籍取得のための修行に入った。そして高僧に尋ねた。「同性愛者ですけれどいいですか」「メイクやハイヒールを履くのが好きです」。高僧は「浄土宗ではみんなが平等に救われます。そのメッセージを伝えることが大切。同性愛者であることは全く問題ない」「浄土宗のお坊さんで教員や医師がいます。白衣を着たりします。(メイクやハイヒールは)問題ないと思います」と応答。西村氏は「私が勉強してきた仏教では、みんなが平等で、それぞれがそれぞれの場で輝くのが素晴らしいことだと教えていただいた。この自分の体験を通して伝えていきたい」と決意を述べた。

 最後の提言者は、自坊で同性婚を行っている川上全龍氏(京都・臨済宗妙心寺派大本山妙心寺塔頭春光院副住職)。高校卒業後、渡米してアリゾナ州立大学に進学した。当時は保守的な人間だったという川上氏。同性愛に偏見を持ち、「米国内でもLGBTQに葛藤している時代」だった。テキサス州に滞在していた頃、第三者に対して差別的な発言をしたところ、同性愛の友人から「アジア人として苦しまなかったのか」と批判された。「自分は差別を受けていたのに、LGBTQの人に対して差別していることに気付いた」と率直に語った。

 10年前、要望を受けてお寺で同姓婚をすることになり、事前に大乗経典を徹底的に読み込み、理論武装をはかった。同姓婚がニュースになると、抗議の電話が殺到。「ちょっとした知識」で批判する人がほとんどだったという。川上氏は「同性愛・異性愛で区別するのではなく、人間としてどう生きるのかを私としては結婚式の中心に置いている」と強調した。

 このあと戸松理事長をコーディネーターに、葬儀での戒名や法名の付け方、寺院・僧侶の情報発信や役割などが議論された。その中で、LGBTQの象徴であるレインボーのステッカーを寺院に貼ることが提案され、当事者たちからも歓迎の言葉が寄せられた。

2020/11/5
12人が入行 感染対策講じて 千葉県市川市・日蓮宗遠寿院荒行堂 

 
 
瑞門へと歩みを進める入行僧ら 祈祷修法を修練するために「寒一百日」間の修行に籠る大荒行の入行会が1日、千葉県市川市の日蓮宗遠寿院荒行堂(戸田日晨伝師)で厳修された。加行者は昨年に比べ1人増の12人(初行9人、再行2人、参行1人)が入行。行堂改革4年目の今年は、コロナ禍により、各種の対策を講じながらの加行となる。

 入行会を厳修した鬼子母神堂(表堂)は換気のため戸をあけ放ち、死を覚悟する意味を持つ白き清浄衣に身を包んだ修行僧の力強い読経の声が境内に響き渡った。

 戸田伝師は、疫病流行の中で行堂を開堂することの意義に触れ、遠寿院荒行堂の開堂は「日本の大乗仏教の伝統を保つだけでなく、日本人の心を保つ場所でもある」と述べ、その意味でも「本年の開堂は非常に大きな意味を持つ」と訓示。今年の荒行は、「新たな変化というよりも、原点回帰となる」とし、法華経の持経者としての自覚を持つよう教示した。

 新型コロナ対策としては、主に外部との接触に留意。入行僧に対して事前にPCR検査を義務付けることはなかったが、境内で見送る寺族・檀信徒の人数を制限し、許可証を持つ者以外の出入りを禁止。境内に入れなかった人々が門前から見守り、山門には人だかりができた。自行成満後の面会や祈祷も同様の方針で制限があり、状況によっては変更もあるという。

 同寺正干与の伊東日隆氏の祝辞では「現今、大変な世相であり、この病魔に打ち勝ち世を支える、これこそ行堂の真価が発揮される。皆さまの精進を期待している」と激励。

 全堂代表の古澤泰華氏は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「入行を志す私共の心は揺れ動いた」と率直に述べ、「健康面、衛生面の管理を徹底し、行学の二道に励み、一人ひとりが誠心誠意、使命と役割を果たすことを努力致します」と宣誓し、入行僧全員が成満することを誓った。

 その後、参列者に見守られた入行僧らは唱題しつつ、瑞門の中へと歩みを進めた。荒行は一百日後の来年2月10日に成満を迎える。

2020/11/5
天台宗 次期総長に阿部昌宏氏

 
 10月23日に発令された天台宗の次期宗務総長選挙の立候補者届出が27日に締め切られ、前総務部長の阿部昌宏氏(73)が候補者となった。候補者1人のため無投票となる。滋賀県大津市の宗務庁で今月16日、選挙会が開かれ、正式に当選が確定。同日就任する。任期は4年間。

 杜多道雄宗務総長が年度末の内局交代による宗務混乱を避けるために、任期を約半年前倒ししての辞任を表明。16日に杜多内局が退任し、阿部内局が同日発足する。翌17日に新内局任命辞令親授式を挙行。その後、記者会見が開かれ、阿部新総長が所信を述べる予定。

 阿部氏は昭和22年(1947)3月20日生まれ。大分市大字千歳字岡町・觀音院住職。宗議会議員や内局財務部長、総務部長など要職を歴任。

2020/11/5

本願寺派 オンライン宗会可能に 選挙控え法規を整備


 
オンラインで出席した議員は6人 浄土真宗本願寺派(石上智康総長)は10月23日、「新型コロナウイルス感染症の影響による宗会運営に関する特例措置規程」を発布し、宗会議員にオンライン会議システムでの宗会出席を認めた。「オンライン会議システムを利用して出席する宗会議員は、教務所においてオンライン会議システムを利用しなければならない」等と定めている。併せて、宗会議員により選出される総長の選挙に関しても従来は議場に出席する必要があったが、郵便投票を可能にした。

 これを受け、第317回臨時宗会(浅野弘毅議長)が10月29日に宗務所(京都市下京区)に招集された。議員からの要望により招集されたもので、「新型コロナウイルス感染症の影響による宗会会議規則の特例規則案」が議員立法により提出され、竹中了哲議員の説明を受けた上で可決。午前中のみで閉会となった。「オンライン会議システムを利用して出席する宗会議員は、招集日時の前日までに、出席場所その他必要な事項を議長に届出なければならない」(第3条)ことや、会期中に投票を実施する際に電子メールによる投票を可能とすること(第6条~第9条)などを定めた。全78人の宗会議員のうち73人が出席、うち6人がオンラインでの出席となった。なお今宗会における歳費は全議員が辞退している。

 特例は来年3月31日までの時限的なもので、12月の任期満了を受けての宗会議員選挙とその後の特別宗会を見据えてのものだが、コロナ禍の状況次第では延長される可能性もあるとみられる。これに先立ち9月常務委員会で、次の宗会議員選挙は全有権者が郵便投票可能になり、期日前投票もできるよう特例措置が定められている。立会演説会もインターネットで配信する。

2020/11/5

エンディングセンター30年記念シンポ 死を支える社会構築へ 〝孤独死〟の名称やめよう

意見を交わした井上理事長(右から2人目)や上野氏(左) 尊厳ある死と葬送を支援するNPO法人「エンディングセンター」(井上治代理事長)が今年で創立30年を迎え、記念シンポジウムが10月24日、東京都中野区の中野サンプラザで開かれた。死を支える社会について意見が交わされた。

 感染症流行の影響を受け、出席者を3分の1に抑え、会員ら約50人が参加した。死後を家族などに託すことができない人の葬儀や死後事務などを代行する「死後サポート」を、20年前から行ってきた井上理事長が活動を伝えた。

 永代供養墓に入る手続きをしても、独居などのため納骨に至らないケースが出てきたことをきっかけに、第3者が協力して死を支える社会の構築「死後の社会化」が必要だと死後サポートを開始した。社会構造の変化によって、介護や看取り、葬送を家族だけで担うのが難しくなったことが背景にあり、施設入所や入院時の保証人となるなどの生前サポートも合わせて提供している。

 死後サポートを始めた2000年から2019年1月末までに契約した54人(全契約者数は56人)を対象とした調査では、半数以上の約52%が既婚者で、未婚が契約の大きな理由になっていないという

 契約者の4分の3にあたる約74%に子どもがおらず、「子の代わりの装置としてのエンディングセンターという存在。そしてそのありがたさ」と、社会化を求める声が寄せられている。この日来場した会員も登壇し、「契約してほっとした。自分の意思を示せるうちにしてよかった」と語った。

 「おひとりさま」と言い表した独居高齢者についての著作で知られる社会学者の上野千鶴子・東京大名誉教授が「誰でも安心して死んでいける社会に必要なこと」と題して基調講演した。孤独死の定義を巡っては、緊急通報の有無で統計が変わることなどを挙げ、「立会人のいない死を孤独死と呼ぶのはやめよう」と話した。(続きは紙面でご覧ください)

2020/10/29
核兵器禁止条約発効へ 50カ国の批准達成 WCRPが歓迎声明

 
 24日、ホンジュラス共和国が核兵器禁止条約に批准し、発効に必要な50カ国を達成した。90日後の来年1月22日に発効する。同条約は史上初めて核兵器を全面禁止とするもので、核兵器の開発や実験なども禁じている。前文では「被爆者」の苦しみと被害にも触れている。ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と共同して条約の発効に力を注いできた世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は25日、植松誠理事長名で歓迎する声明を発表した。

 世界には約1万4千発の核兵器があり、その9割を米ロが保有している。そうした中で3年前の2017年7月、国連での核兵器禁止条約交渉会議で122カ国が賛成して採択された。採択にあたっては被爆者の存在も大きな影響を与えた。しかし、同会議に核保有国やその同盟国などは参加せず、日本も加っていない。

 唯一の戦争被爆国である日本が動かなかったことに失望感が広がった。だから同条約を支持する市民団体などが批准に向けた諸活動を展開してきた。WCRP日本委では、「核兵器禁止条約タスクフォース」を「核兵器禁止条約批准タスクフォース」とした。

 今回の歓迎声明では、「『核兵器なき世界』に向けて大きな前進であり、その実現をめざす人々に多大な勇気を与えるもの」と評価。さらにWCRPとして日本政府に対し、①核兵器廃絶に向けて、より一層の行動を強化すること。②核兵器廃絶の最大の障壁と考えられる核抑止政策の信ぴょう性に対する検証を行うこと。③核兵器禁止条約の締約国会合にオブザーバー参加し、同条約の発効から目をそむけず、国際法として尊重し、誠実に向き合うこと――を要望している。