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2021/3/4

宗会シーズン 本願寺派・智山派・浄土宗・高野山


執務方針を演説する石上総長 本願寺派宗会 伝道「茨の道」を覚悟
 浄土真宗本願寺派は2月25日、第319回定期宗会(園城義孝議長)を京都市下京区の宗務所に9日間の会期で招集した。昨年12月に3期目の総長当選を果たした石上智康総長は、浄土真宗の教えが一般生活者、とくに若者たちに伝道しきれていないことに危機感をあらわにし、改めて「伝える伝道から伝わる伝道」に進んでいく強い意志を示した。

 石上総長は執務方針演説でコロナ下における宗門内外の厳しい現実を認めた。中世の欧州でペスト大流行後に、人々への救いも死の意味への回答も与えられなかったカトリックが権威を失墜したというフランスの思想家ジャック・アタリの説を紹介し、同様の事態がコロナ後の日本仏教に起きるのではないかと危惧。

 新型コロナウイルスの蔓延を受け、昨年6月以後「本願寺新報」の全面を使い「すべての人々へのメッセージ」をポスターとして発信しているが、インターネットを使って全世代500人にポスターの言葉の意味が理解できたかを調査したところ、結果は「極めて厳しいものだった」という。

 科学や技術、知的分別を是とする現代人に「伝わる伝道」をすることは「茨の道」だとしつつ、「従来のようにご聴聞を継続してくださっている世代や地域の人は加速度的に減少していく」と予測。インスタグラム、フェイスブック、ツイッターなどのSNSツールでの伝道が不可欠とし、そこから仏縁を深めるため「突き刺さる言葉」をどう生み出していくかが大切だと展望した。これに関連し、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことも方針として掲げた。(続きは紙面でご覧下さい)


演説する芙蓉総長 智山派教区代表会 ご誕生事業本格始動
 真言宗智山派(芙蓉良英宗務総長)の第132次定期教区代表会(池田英乘議長)が2月23~25日、京都市東山区の総本山智積院内宗務庁に招集された。智積院境内で建設工事が進む新宝物館「展示・収蔵庫」に続き、令和5年に迎える「宗祖弘法大師ご誕生1250年」の慶讃事業が本格的に始動。総本山の信仰環境を護持する大規模補修工事がスタートすることになった。

 平成16年以来となる金堂の全面補修工事(工期5月1日~令和4年3月31日)では、㈲ベック建設(京都府向日市)と1億5570万5千円での請負契約締結を承認。境内各所の築地塀の修繕工事(工期7月1日~令和4年3月31日)でも、同社と4048万円で同契約を結ぶことになった。

 さらに智積院所蔵の代表的な宝物で、桃山期の美の頂点に位置する長谷川等伯一門の国宝障壁画の修理(期間4月1日~令和6年3月31日)の業務請負契約を、4626万5404円で㈱岡墨光堂(京都市)と締結することも承認。国宝「紙本金地著色 松に草花図」と重要文化財「金地著色 松ニ梅図」を修復する。

 同事業は国庫補助金の対象で、令和3年度分として503万4千円を受ける。建設中の「展示・収蔵庫」への同年度分の国庫補助金は2757万5千円。

 池田議長は閉会式の挨拶で、「ご誕生1250年奉修事業の全てが完成に向かって進み始めた」と感想。「宗団が一丸となってこの大事業を完遂させることが、宗祖弘法大師の鴻恩に報いることだと確信する」と強調した。

 令和3年度の「ご誕生1250年奉修事業特別会計」予算は18億7912万1千円。(続きは紙面でご覧下さい)

 浄土宗宗議会 コロナ給付金3億3千万円 
 浄土宗は1日、第125次定期宗議会(村上眞孝議長)を4日間の会期で京都市東山区の宗務庁に招集した。川中光敎宗務総長は執務方針演説で、目睫に迫った浄土宗開宗850年(令和6年)に向けての事業全体像を明らかにすること、新型コロナウイルスを徹底予防した上での僧侶育成、宗務庁の構造改革推進を掲げた。

 令和3年度の一般会計経常部予算は約24億円で前年度当初予算比1億1千万円減。ただしこれは一般会計の収益事業収入(出版部門)をすべて特別会計「浄土宗出版事業」(予算額約4億9千万円)として移管したことも要因にある。文化庁が出版事業は特別会計とすべきと指導していることを受けての移管。

 一般会計経常部には新型コロナ対策費として約5600万円を計上。宗議会議員、道場入行者らへのPCR検査代や感染防止物品の購入などに充てられている。

 特別会計「災害救援復興資金」に、新型コロナ対策として感染症対策支援給付金を計上。本山・特別寺院を除くすべての一般寺院に対し、通常課金における等級割課金の約23%にあたる総額3億3千万円を、令和3年度課金納付時に交付する。また感染症対策支援貸付金の予算として1億5千万円を計上。新型コロナの影響で寺院収入が減少した寺院に1千万円を無利子で貸し付ける(償還期間5年)。(続きは紙面でご覧下さい)

 高野山真言宗宗会 寺族婦人保護規程を可決 得度義務は努力目標に
 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)の第166次春季宗会(安藤尊仁議長)が3月2〜4日、和歌山県高野町の宗務所に招集された。コロナ禍で1年遅れとなった寺族婦人の保護規則を可決。法的立場が不安定とされる寺族婦人(主に住職夫人)を宗務所に寺族代表として登録し、各末寺の規則を変更した上で各宗教法人の責任役員に就任できるようにした。登録は任意で届出制。

 血縁関係のない新住職や法類によって前住職夫人が寺から放逐されるという深刻な実例を踏まえて策定された同規則案。宗規上に初めて「寺族婦人」が明記され、役割や責務とともに保護についても具体的に規定される存在となった。

 同規則は寺族婦人会の正副会長も参画した対策委員会での討議を経て、制度調査会で成案化。当初案では寺族代表登録を行う前提として「寺族婦人得度」を義務化していた。昨年上程予定の規則案にはそれが明記されていたが、昨年暮れの制調会で是非が改めて論点になったようで、今回の案からは削除された。添田総長は本紙の取材に「宗規には明記しないが、マニュアルを作る際に『寺族代表は得度を受けていることが望ましい』と入れたい」と話した。

 得度義務化には「寺族婦人」を“呼称か資格か”曖昧な状態から、法儀に基づく資格にまで高める意図が込められていたとみられ、宗教法人の責任役員に就任できるようにするための措置と表裏一体の規定となっていたようだ。

 寺族婦人の得度を義務化して「資格」とする試みは、他宗派に複数の先行事例がある。だが結果として定着せずに、「寺族婦人は得度を受けるものとする」などと努力目標に後退してしまった感がある。僧籍簿とは異なり寺族婦人の登録が任意であるため、宗派の思うようには進まなかった事情も背景にあるようだ。

 添田総長は施政方針演説で、「寺族代表=責任役員」という新概念を説明した。

2021/3/4

超高齢社会 VRで認知症を体験 変わる病状理解 小さな手助けを社会に


VRで認知症の症状を体験的に学んだ 超高齢社会を迎え、認知症人口が2025年には約700万人とも推計される。社会的な課題となるなか、VR(バーチャルリアリティ)で認知症を体験的に学ぶセミナーが2月19日、千葉県松戸市の法要館八柱霊園前で行われた。僧侶、介護・医療関係者らが参加し、認知症と共生する社会における理解と支援の在り方を学んだ。

 セミナーは超宗派の有志僧侶や神職からなる(一社)「恩送り」と、SRE AI Partners㈱(ソニーグループ)、㈱シルバーウッド、㈱センタンが共同し、経済産業省の認知症共生社会に向けた効果検証事業の一環。高齢者住宅・施設の運営やVRコンテンツ開発をてがける㈱シルバーウッドの石田香澄さんを講師に3つのVRプログラムを体験した。

 一つ目は認知症の中核症状である「空間失認」を体験するプログラム。VRゴーグルを付けると、突如ビルの屋上に立っていて、背後から「降りますよ」と促す声が聞こえてくる。状況が分からず戸惑っていると、場面が切り替わり地上へ。ヘルパーが笑いかけ、その後ろには車がある。

 このプログラムは実際の認知症高齢者が「ビルの上に立っている」と感じて車から降りられなくなったケースをもとに作られた。空間を認識できない症状に、石田さんは「もし車から降りることを躊躇っている人がいたら恐怖のためと思ってほしい。そして〝どうしたんですか?〟〝何が見えますか?〟と言葉をかけて、何を感じているかを知る。聴くことがまずは何よりも大事」と理解を求めた。

症状の軽減も

 このケースで無理やり車から降ろそうとした場合はどうなるのか。石田さんは患者の中に不信感が生まれ、介護側も症状の悪化と評価してしまうと指摘。認知症患者の感情や見える世界を知り、接し方を変えていければ「うつ状態や怒りっぽくなるといった認知症の行動・心理症状も軽減できるのではないか」と解説した。

 若年性認知症の男性の体験をもとにした「ここはどこですか編」、人物や動物の幻視がみえる「レビー小体病幻視編」もVRで体験。症状を理解することの重要性や、どんなサポートが必要かを示唆する内容となっている。石田さんは「町中に小さい手助けが溢れていることが大切だ」と社会の課題も示した。

 参加した㈲川本商店の川本雅由さんは「知識として学んだことはあったが体験はなく、最初のVRでも後ろから声を掛けられるだけで怖かったり、些細なことが気になると実感できた」と収穫を口にした。日本看取り士会の中屋敷妙子さんは、「レビー小体病の幻視の話は聴いたこともあるが、こんな風に見えていたのかと、自分で体験できたのは貴重」と理解を深めた。恩送り会員の三上蓮淨さん(東京都板橋区・真言宗慈慧院)は社会福祉に携わったこともあるが「体験すると違いました。(認知症だから)仕方ないではなく、認識の仕方で変わる」と共生社会へのヒントを見出した。

 セミナーではVRの他にも高品質の音声と映像で自然なコミュニケーションを可能にする「テレプレゼンシステム『窓』」も体験。「高齢者宅↔家族宅」「介護現場↔集いの場」をつなぐ最新のデジタル『窓』の技術にも触れた。

恩送りの新田代表 恩送りの新田崇信代表の自坊は滋賀県長浜市の浄土真宗佛心寺で、東京都豊島区に東京布教所をつくり活動をはじめた。無縁社会といわれるなかで、2018年に社団法人を設立。宗派や国籍を問わず入れる合同供養墓を作り、納骨や供養の相談を受け付けてきた。

困っている声から

 恩送りの主たる活動場である法要館本堂には自治体等からの要請で引き取り手のない遺骨も安置する。年間100柱ほどを預かり、年に2~3人の引き取り手が現れることもあるため5年間は無償で預かっている。このほか、子ども食堂や障がい者支援など幅広い取り組みで、支えあいの共生社会を目指している。

 新田代表は「活動を通じて(介護や認知症についての)困っている、という声を聴いてきた」ことをきっかけに認知症支援に着手。次世代企業とも積極的に連携を図り、「お寺はつながりを生む場所。ITの力も使ってご縁をつないでいきたい」と展望した。

2021/3/4
第38回庭野平和賞 台湾の昭慧法師に 動物保護からジェンダーまで社会派の尼僧


第38回庭野平和賞を受賞した昭慧法師 © Hong Shi Cultural and Educational Foundation  宗教協力による世界平和や平和構築に貢献した個人や団体を顕彰する第38回庭野平和賞は、仏教思想に基づいて動物保護や死刑廃止、人権保護、カジノ反対、ジェンダー平等などに取り組む台湾の社会派尼僧、昭慧(チャオフェイ)法師(63)に決まった。2月26日、(公財)庭野平和財団の庭野浩士理事長により発表された。贈呈式は6月2日に開催するが、実施方法についてはオンラインを含め決定次第、同財団HPなどで発表する。

 昭慧法師は1957年、中国本土出身の両親のもとミャンマーのヤンゴンで生まれた。1965年に家族と共に台湾に移住。1978年に出家し、仏教の道を歩み始めた。玄奘大学や佛教弘誓学院で教鞭を執り、現在は玄奘大学宗教文化部長を務めている学究派でもある。

 27歳の時、日本の大正大学で博士号を取得した印順導師との出会いが昭慧法師のその後を決定づけた。それから仏教精神に基づいた社会運動を推進してきた。「すべての生きとし生けるものを尊ぶ」という教えから、台湾において「野生動物保護法」と「動物保護法」の立法に取り組んだ。

台湾国内初となるLGBT カップルの結婚式を主宰(2012) © 2012 Hong Shi Cultural and Educational Foundation また男性・女性という性別が、社会的にさまざまな差別を生んでいるジェンダー差別にも目を向け、2001年、尼僧は男僧に従わなければならないとする「八敬法」の廃止を求めて声をあげた。2012年には台湾で初めての仏教徒の同性結婚式を主宰して世界的に注目された。

 今回の庭野平和賞決定にあたり、125カ国600人の学識者や宗教者に推薦を依頼。第1次、第2次書類選考等を経て5組に絞られ、庭野平和賞委員会委員による最終選考(オンライン)で決まった。


 不正見たら行動 昭慧法師の受諾メッセージ

 90 年代以降、私はギャンブルや動物虐待、核エネルギーの拡散、そして愛や家族の差別的解釈について反対する運動に関わってきました。なぜなら、それらがいかに大きな害を及ぼしているかを目にしてきたからです。

 もちろん、声を上げることは常にリスクが伴いますが、真の平和は、表面的な調和や平穏という幻想を越えた先を見据えられた時こそ実現します。私たちが不正を見て行動しないとき、そこに私たちも一種の苦痛を経験します。行動を起こすことで、私たちの心と世界に、より深い平穏と平和が生まれます。

 コロナウイルスの世界的大流行は、長年にわたる幻想を露呈し、古い様式を打ち砕きました。私たちに与えられているものは、一切衆生のためにより良く構築するためのかつてない機会です。私は、積極的かつより永続的な平和へのこうした献身の覚悟をもって、謹んで庭野平和賞をお受け致します。 (要旨)
 
 解説 證厳法師に続き台湾から2人目 
 「人間(じんかん)仏教」の継承・実践者

 昭慧法師は、台湾から2人目の受賞者となった。07年の受賞者は、財団法人台湾仏教慈済慈善事業基金会(仏教慈済基金会)創始者の證厳法師(1937~)である。両法師とも「人間(じんかん)仏教」を提唱した印順導師(1906~2005)に師事し、強い影響を受けている。人間仏教は、日本では仏教を基盤とした社会活動の意味に近い。すなわち「世の中で仏教の教えを実践し広めること」(仏教慈済基金会日本語HP)である。

 記者発表で両法師とも印順導師の弟子であることについて庭野理事長は「たまたまです」と説明した。また人間仏教には「人間の活動にいかに仏教を生かしていくかという発想がある。證厳法師にもそういうところがある」と両法師の共通性を紹介した。

 『驚異の仏教ボランティア― 台湾の社会参画仏教「慈済会」』(白馬社)の著者で、台湾宗教に詳しい金子昭氏は、昭慧法師に直接会ったことはないとしつつ、次のようにコメントした。

 「昭慧法師は台湾のテレビ番組によく出ておられ、多岐にわたる社会活動は大変有名です。

 證厳法師の慈済基金会が組織化された『社会事業』だとすれば、昭慧法師は、所属は玄奘大学や仏教弘誓学院などありますが、基本は法師個人による『社会活動』です。社会事業にせよ、社会活動にせよ、人間仏教(≒社会参画仏教)の現われ方の違いかと思います。

 昭慧法師自身も證厳法師を尊敬しており、仏教弘誓学院の共同設立者の性廣法師(この性廣法師が1986年に弘誓協会を創立してそれを母体に92年にできたのが弘誓学院です)と3名での写真もあります。仏教弘誓学院はまさに印順導師の人間仏教の理念に基づいているものです」

2021/2/25

日蓮宗 オンラインで国内外を結び 宗祖降誕800年法要を執行


日蓮聖人誕生の聖地・誕生寺で営まれた宗門法要 宗祖日蓮聖人の降誕800年正当を迎え、日蓮宗(中川法政宗務総長)は16日、千葉県鴨川市の大本山誕生寺(石川日命貫首)で宗門法要「宗祖降誕八百年慶讃大法要」を執り行った。コロナ禍ということもあり、感染防止対策を徹底しながら、宗祖誕生の聖地と国内外の僧俗をオンラインで結び、リモート参加型の法要として営まれた。前日、翌日にも地元千葉教区や誕生寺主催の法要も行われ、宗祖降誕八百年の聖日を祝った。

 正当である16日の宗門法要は、菅野日彰管長(大本山池上本門寺貫首)を大導師に厳修。菅野管長以下、式衆来賓はマスクとフェイスシールドを着用し、検温や手指消毒、換気など感染防止対策が徹底された。法要の内容は簡略化せず、宗門法要としての修法祈祷や数々の声明が盛り込まれた。

 会場となった祖師堂にはオンライン配信のためにビテレビカメラ8台、大型モニター10台を配置。国内全74管区の代表者、アメリカ、インド、インドネシア、イタリア、ドイツ、ブラジル、マレーシア、韓国の国際布教師が参加し、祖師堂に参列した宗務内局や宗会議員、本山貫首など宗門要路とともに宗祖降誕を祝う国内外の思いが宗祖誕生の聖地に集結した。

 御親教で菅野管長は、世界各地の現在時刻を挙げ、法要の中継を見守る人々のリモートでの参加に感謝。国内外の僧俗が一体となって「この尊い聖日を機に、お題目の輪を広げ人々をやすらぎの世界にともに導いていかせていただきたい」と話した。

 表白を述べた中川総長は挨拶で先師先哲による800年にわたる不断の努力が紡がれた宗門の歴史を思い、「私たちは宗祖、先師先哲の要靖に応え、未来に向けてその歴史を繋げていく義務がございます。この法要は、その決意と覚悟を次の時代に向けてお誓いする砌なのです」と祖願成就への決意を新たにした。

 石川貫首も「このご降誕800年以後、一人ひとりが心のよみがえりの道場として、全国の方々の心の拠り所、法華の道場として山内一同、異体同心、一意専心の想いで、蘇生願満日蓮聖人へ給仕の誠を捧げてまいる所存」と誓った。

 法要後は、宝前にも置かれた世界的イラストレーター天野喜孝氏の「法華経画」を宝物館で展示。夜には、奉納演舞『日蓮』が披露された。竹灯籠による境内ライトアップ、宗祖降誕の伝説「三奇瑞」を意味する3色のライトも点灯。降誕800年を祝う「報恩献灯花火」も海上に打ち上げられた。

2021/2/25 宗会シーズン 臨済宗妙心寺派・曹洞宗


施政方針を演説する栗原総長 【妙心寺派】ハラスメント防止を規定 職員の服務を厳格化
 臨済宗妙心寺派は17日から19日まで、京都市右京区の花園会館に第140次定期宗議会(小川哲秀議長)を招集。宗務本所職員規程を改正し、ハラスメント防止をより厳格に義務付けることが可決された。新年度歳入歳出通常会計予算は秋の宗議会で可決された毎歳香資(僧侶賦課金)の増額などもあり、約10億8千万円で今年度当初予算比約1億1千万円の増。5月25日に任期満了となる栗原正雄宗務総長・内局にとって最後の定期宗議会となる。

 栗原総長は初日の施政方針演説で「万遺漏なきよう十全な引継ぎをして、次期内局に新しい施政、施策を実施していただけますよう、全力を尽くしたい」と述べた。課題としては財政の逼迫をあげ、昨夏からの宗務本所機構刷新会議などで歳出削減を図っているが「継続した歳出削減とともに、歳入の増加につながる花園会費等の見直しも喫緊の課題」とした。

 宗務本所職員規程は従来から服務の心得(第30条)として性的言動や人格を傷つける指導・注意を禁じていたが、今改正で「相手の意に反する性的言動や、妊娠、出産、育児及び介護に関する不適切な言動、又は相手の尊厳や人格を不当に傷つけるような指導、注意、行為等によって他の職員、本派の僧侶及び檀信徒へ迷惑をかけないこと」と詳細に整えた。これらの行為が再度に及んだ場合や悪質なとき、「他の職員に対して、交際や性的関係を強要したとき」は総長が諭旨退職又は懲誡免職処分とすることができるようにした。(続きは紙面でご覧下さい)

演説する鬼生田総長 【曹洞宗】宗費賦課金を12%減 コロナ対策に5億円
 曹洞宗の第136回通常宗議会(三𠮷由之議長)が22日、東京都港区の檀信徒会館に招集された。教師などの宗費賦課金を12%減らす新型コロナウイルス対策案のほか、約56億7900万円とした2021年度一般会計予算案など16議案を提案した。

 宗費賦課金の軽減は、寺院と教師、准教師それぞれの21年度納付額を12%差し引く形で実施する。感染症流行の影響で未執行の事業予算を集約するなどした感染症対策積立金5億800万円を財源に充てる。

 この積立金は、2億7400万円が20年度補正予算に計上されたが、残りの金額について鬼生田俊英宗務総長は演説で、「さらに令和2年度の事業の執行状況および今後の事業予定を検討し予算の見直しを図った」と説明した。

 ほかにも新型コロナ対策として、宗令で対応した宗費納付期限延長の特例措置を規定化するため財務規程の変更案を提案。昨年11月に開始した、収入が減少した寺院への運営資金貸付制度に、1月末までに申請のあった2カ寺に貸し付けを行ったことが報告された。(続きは紙面でご覧下さい)

2021/2/25
文化庁 不活動宗教法人対策会議 将来見据え「トリアージ」必要 格差の増大が深刻化 教団形態の検討訴える


 包括宗教法人に対し、不活動宗教法人に関する自主的な取り組みを求め、必要な対策を伝える文化庁宗務課の「不活動宗教法人対策会議」が16日、初めてオンラインで開かれた。教団や自治体の担当者ら約200人が参加し、急速に進行する人口減や儀礼文化の変容など社会変化を見据えて「トリアージ(優先順位の判断)」といった手を打つ必要性があることも確認した。

 出生数よりも死亡数が上回る人口の自然減は急激に進み、2019年には50万人を超えた。同年の出生数は初めて90万人を切ったが、コロナ禍も少子化に拍車をかけ、2021年に一気に70万人台に落ち込むとの試算もある。

 こうした人口動態に加え、家族構成の変化や地方の過疎化など戦後の社会変動に対応しきれなかった結果、「遠くない将来、寺院の一部が消滅、衰退し、包括団体の財政基盤は弱まっていく」と、講師を務めた石井研士・國學院大教授は指摘。「社会変動は、少子高齢化も伴って祖先祭祀などの儀礼文化にも変容をもたらしている」と寺院が置かれる状況を説明した。

 仏教界にも衝撃を与えた、日本創生会議が提示した「消滅可能性都市」にも象徴されるように、「問題は現象が一律に起こらず、包括団体全体の問題として認識されにくかったこと。当分の間勢力を拡大、維持する寺院もあり、格差の増大が深刻化する」と問題の所在を示した。

 その上で、推進しやすい活性化策をとる教団にとっても、「将来を見据えて、トリアージが必要」と強調。「寺院数や教団の規模、教区などの組織形態といったあり方を検討し、早めに手を打たねばならない。今一度、教団としての一体感を取り戻せるかが問題になる」と語った。

 田中聡明宗務課長は、2019年時点で約18万ある全国の宗教法人(仏教系は約7万7千)のうち不活動宗教法人は約3千500(同約2千)あるとし、放置されると売買の対象になり、脱税などに悪用される懸念があると説明。「宗教法人制度そのものが批判されかねない。各法人の主体的な取り組みが重要になる」と話した。

 香取雄太宗務課専門官は「不活動状態となる前の予防措置が大切」と訴え、役員の選任手続きや意思決定の方法など規則を見直しておくべきだと述べた。解散時の課題となっていた境内地など残余財産の処分に関し、初となる近年の国有化の事例も紹介した。富永浩明弁護士が宗教法人の解散や清算の手続きについて実務的な観点から解説した。

2021/2/18

福島県沖地震 相馬市興仁寺「大震災より大きい」 拝殿屋根が崩落


崩落した薬師堂拝殿の屋根(興仁寺提供) 13日午後11時8分頃、福島県沖を震源地に東日本大震災の余震と見られる地震が発生し、最大震度6強の強い揺れが福島県や宮城県で観測された。大震災で大規模半壊の被害を受けた福島県相馬市の浄土宗興仁寺(名木橋隆英住職)では、堂宇の屋根が崩落するなどの被害が出ている。

 薬師堂の拝殿屋根が落ちた。10年前の大震災では持ちこたえたが、今回の揺れに耐えられなかった。名木橋住職は「予兆なしに突然揺れ、非常に驚いた。庫裡で棚を支えるので手一杯で、収まった後に外に出て崩れているのを見つけた」。

 本堂と庫裡の境目が横に5㌢ほどずれたほか、本堂の壁も一部剥落した。墓地では倒れた墓石もあった。大震災後、地震に備えて仏像や位牌が落下しないようくくっていた銅線も切れてしまった。本尊は無事だった。

 「大震災のときよりも大きく長く感じた」と名木橋住職。「今回は食器なども大分落ちた」と揺れの強さを語った。

2021/2/18

日蓮宗遠寿院大荒行堂 コロナ禍 全12人が成満 


百日間の行を終え、成満会に臨む修行僧ら 修法祈祷を修得するため寒一百日間、苦修錬行を行う日蓮宗遠寿院の大荒行が10日に満行を迎え、千葉県市川市の遠寿院大荒行堂(戸田日晨伝師)で成満会が厳修された。コロナ禍の中、昨年11月に入行し、今年1月には政府による緊急事態宣言が発出されたが、入行した12人全員が満行した。

 今年度は、新型コロナウイルスの感染防止策として修行僧を出迎える寺族・檀信徒は修行僧1人につき5人までに制限。外部との接触は細心の注意を払った。成満会も入行時と同様に許可証の無い者は境内への出入りを禁止して営まれた。

 修行僧については、結界が張られ隔離状態にある堂内での修行には特別制限を加えず例年通り行った。コロナウイルスの発症を疑うような事態もなく、戸田伝師は「怪我などもなく逆に例年よりも何事もなく修行を終えられた。尊神さまのお示しとしか思えない」と話した。

 修行僧を迎えにきた僧侶の一人は「無事に成満してくれて本当に良かった。待っている間、なんとか無事にやり遂げることを祈っていた」と我がことのように安心した様子だった。

 成満会の許証授与式で戸田伝師は、「各宗派の修行道場も続々と中止や閉鎖が続いた。色々考えなければならない事態になったが、こういう時こそ、百日の行をして自ら精進に励むのが法華経の行者の保つべき精神だと日頃思っていた」とコロナ禍の入行を振り返った。

 さらに、宗祖日蓮聖人が『曾谷殿御返事』の中で仏教で戒める貪瞋痴が世に広がることで飢饉(貪)、戦争(瞋)、疫病(痴)が蔓延すると記しており、「痴とは、邪な気持ちや自己本位な考え。嫉妬心。こういうもので世の中が形作られてしまうと疫病が出るということではないか」と行や布教の意義を説示。

 荒行堂の護持は、「僧侶だけでなく地域の人々の支援が欠かせない」との感謝も表明し、「日本という国の大切な修行の場としてこれからも伝統を保持していく」とも語った。

2021/2/18
宗教と性差別を徹底討論! 仏教界「意思決定機関に女性なし」 牧師夫人「365日教会在住を求められ」


右上から時計回りに山本氏、太田氏、松谷氏、露の氏、西永氏 「牧師&僧侶&弁護士が宗教界の根深い差別構造をぶった斬る!!」と銘打ったオンライントークイベント「宗教と性差別」が6日に開催された。お寺にも教会にも未だに残る男性中心の考えが厳しく問われた。主催はキリスト新聞社(春秋社・大月書店後援)。司会はキリスト新聞編集長の松谷信司氏が務めた。

 森喜朗元総理大臣が「女性がたくさんいる会議は時間がかかる」「組織委の女性はわきまえている」などと女性差別発言を連発したことを受け、天台宗尼僧で落語家の露の団姫氏は早速「私はわきまえない女です」と自己紹介。露の氏自身は剃髪しているが、剃髪していない尼僧は「まじめにやれ」と男性僧侶から評価されることもあるといい「頭剃っててもまじめにやってへん人もいますし、髪の毛あってもすごくまじめにやってる人もいるやないですか。男性僧侶には、剃髪してるかいないかで評価をするのはやめてほしい」と苦言。伝統教団において最高意思決定機関である宗議会に女性が極端に少ないことも問題視した。天台宗も現状、宗議会議員は全員男性である。

 同じく宗会議員が全員男性で占められている浄土真宗本願寺派の僧侶である西永亜紀子氏(築地本願寺職員)も、「女性を宗会に入れないとおかしいよ、ということすら気づいていないかもしれない。同年代の議員さんには、おかしいと言ってるんですが」と述べ、クオータ制を提案。

 西永氏は17年間、鹿児島別院の僧侶の妻として暮らした後に離婚して上京した経験から、鹿児島別院では、出張所に赴任する僧侶の妻は他の仕事をすることが事実上認められず、寺の運営を手伝う「坊守」となることを余儀なくされ、有無を言わさず数万円の「坊守手当」が口座に振り込まれる特殊な構造があったことも証言した。

 プロテスタント牧師の妻である山本百合氏(仮名)は、所属している教派では数年前まで牧師女性が結婚すると牧師の資格を返上しなければならなかったと説明した。信徒も「牧師夫人は24時間365日教会にいてお茶くみとか、教会の事をするという意識の人がほぼすべて」と嘆息。信徒は牧師の妻に給料を払うという考えもなく、他の仕事をしようとすると白眼視されるといい、教団の構造だけでなく信徒の意識にも問題点があると声をあげた。

 仏教界でも同様に檀信徒の意識が旧態依然としていることは西永氏も指摘。露の氏は、女性僧侶が葬儀の導師を務めた時は男性僧侶の時よりもお布施は少なくていいと思っている檀信徒もいると話した。

 宗教界のさまざまな男女不平等の実態を、目を丸くして驚きつつ聞いていた弁護士の太田啓子氏(国際基督教大学出身)は、時折、法律的なアドバイスを加えつつ連帯の態度を示した。「成文化されていない暗黙のものに縛られていると思う」とし、「うちの宗教はこうだから」と安易に女性差別を温存するのは「宗教への冒涜ではないか」と述べると、参加者一同うなずいた。「わきまえない女」になり、伝統や慣習がどうであろうと、男女差別にはおかしいと言っていくことが大切だという認識で一致した。

2021/2/11

ミャンマーでクーデター発生 WCRP国際委と日本委が声明 拘束者解放、平和回復を要請 

 
 今月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生し、昨年11月の総選挙で圧勝したNLD(国民民主連盟)の党首であるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相、ウィン・ミン大統領ら幹部らが拘束された。現在も軟禁状態が続いている。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会は2日、拘束者の即時解放などを求める声明を発表。3日にはRfPミャンマー委員会のチャールズ・ボー枢機卿がメッセージを発し、4日には日本委員会も植松誠理事長名で声明を発表した。


解説 「ミャンマー政治と仏教僧」 藏本龍介・東京大学東洋文化研究所准教授
 2月1日、ミャンマー国軍は現NLD(国民民主連盟)政権のトップであるアウンサンスーチー氏らを拘束し、全権を掌握した。ミャンマーでは1962年以来、約半世紀に渡って国軍による政治主導が続いた。2011年に民政移管が実現し、2015年に総選挙を経てNLDがようやく政権を握った。

 昨年11月に実施された総選挙ではNLDがさらに議席数を増やし、2月から議会が始まる予定だった。10年に渡る地道な民主化への歩みはしかし、またしても一夜にして閉ざされた。
 
 このクーデターは、国民に失望と混乱を与えているが、一部の仏教ナショナリストにとっては吉報だったかもしれない。ミャンマーでは2011年以降、仏教徒による反ムスリム運動が活発化している。その中心にいるのがウ・ウィラトゥや「民族・宗教保護協会(通称マバタ)」といった政治僧である。彼らは「仏教および仏教徒を守る」ことを目的とした活動を行い、反ムスリム的な法改正まで実現した。しかし国内融和を目指すNLDには批判的な立場を取り、2015年、2020年の総選挙では軍事政権の流れをくむUSDP(連邦団結発展党)側についた。NLD政権下ではその活動は低迷していたが、今回のクーデターを機に、過激な政治僧たちもまた復活するのだろうか。

 独立運動の端緒となった20世紀初頭の反英闘争、国政を混乱させ軍部のクーデターを招いた1950年代の仏教国教化運動、民主化運動を支えた1990年代以降の反軍政デモなど、ミャンマーの近現代史の転換点には常に仏教僧の存在がある。つまり異教徒の侵入や世俗権力による反仏教政策といった仏教の危機に際して、仏教僧が政治活動を行い、国政に大きな影響を与えるというパターンがある。しかし国政が安定すれば仏教僧は政治の舞台から退去させられるというのも毎度の構図である。その意味では、今回の政治僧の役割は既に終わったといえるのかもしれない。

 クーデターに対し、一般の仏教徒たちは非暴力的な不服従を呼びかけあっている。地道な歩みが、また始まる。

2021/2/11
立正佼成会 普門エリアが落成 聖観音菩薩が見守る


庭野会長、次代会長、理事長によるテープカット 立正佼成会は3年かけて東京・杉並の聖地にある普門館の解体と跡地の緑地化を進めてきたが、その工事を終えて8日午前、「普門エリア」落成式が行われ、庭野日鑛会長、庭野光祥次代会長、國富敬二理事長によるテープカットで新たなスタートをきった。

 波羅蜜橋の東側に位置する普門エリア。野球グランドと同じぐらいの敷地を有する。その一角には旧普門館から遷座された普門の象徴である聖観音菩薩像がガラスケースに安置されている。

 テープカット後、入り口から聖観音菩薩像の場所まで庭野会長はじめ教団幹部らがゆっくりと歩いて移動した。式典で庭野会長は、設計を担当した(株)入江三宅設計事務所と施工業者の清水建設(株)に感謝状を贈り、労をねぎらった。

聖観音菩薩像から大聖堂が仰ぎ見られる 庭野会長は謝辞で、教団の希望と諸々の要件を両立させながら完成したことに感謝。さらに「これから植生にあった樹木を植え、花を植え、きれいな場所にしたい」と述べ、誰もが休息でき、心安まる場所を願った。

 庭野会長はまた、コロナ禍の現況に「私たち人間が生き方を省みると共に新たな創造という時期にかかっている。今回の落成式は、そうした状況でなされた。この普門エリアを有効に活用して、みなさまに喜ばれるよう精進したい」と気をひきしめた。

 芝生はまだ色づいていないが、5月頃には一面緑で覆われそうだ。

2021/2/11

レポート 兵庫県尼崎市 浄土宗光明寺 尺八を縁に米国僧が坐禅会 「禅浄双修」を現代に


すっかり意気投合した柴田住職とフーさん 浄土宗といえば、言うまでもなく「ただ一向に念仏すべし」を宗旨とする。だが、坐禅会が好評な浄土宗寺院がある。兵庫県尼崎市西難波町の光明寺(柴田雅章住職)だ。しかも、指導をするのはアメリカ人の禅僧だというから二度びっくり。1月30日に開催されたその「少林寺坐禅」を体験してきた。

 指導するのは米国籍の臨済僧であるフー・ミヤタニ・フレンチさん(漢字表記は宮谷風)。客殿を会場に、まずは阿弥陀如来像に向かって合掌礼拝、お十念。特徴的なのは全身を使った動きと呼吸法を組み合わせていることで、さしずめ「歩行禅」といったところか。どこか太極拳に近いような雰囲気もある。運動不足でカチコチの記者にも「リラックス、リラックス」と優しく指導してくれた。座り方についてはさほど厳格ではなく半跏趺坐でも大丈夫だった。坐蒲ではなく座布団を使用する。

 確かに全身の緊張がほぐれてスッキリした気分になる。日本の坐禅とはまた違った趣で、他ではなかなか体験できないものだ。

 フーさんはカリフォルニア出身で、元々はマーシャルアーツ(格闘技)の武道インストラクター。なぜ禅宗の僧侶に?と尋ねると「武道を深く極めていく中でタオイズム(道教)に出会いました。中国のタオイズムは仏教、特に禅と融合していますし、自然に流れるように禅に関心を持ちました」と英語で話す(取材時は、参加者に通訳していただいた)。「中国のカンフーや拳法はお寺で修行しています。なぜ、お寺で武道をするのか?それが不思議で、武道のフィロソフィーを知りたくて僧侶になりました」という。2016年に中国系臨済宗虚雲禅寺のラスベガス支院で得度し、その後来日したという。


「吹禅」仲間に
 柴田住職(60)によると、もともとはお寺で「禅リズムCafe」というイベントや夏祭りを開き、コンサートや挽きたてコーヒーの提供、ヨガや流しそうめんなどで地域住民や檀信徒と一緒になって楽しい寺作りをしてきた。「けれども、コロナでそれができなくなって、それでも何かイベントができないかと思って企画したのが、フーさんの坐禅会だったのです」。昨年7月から毎月1回行われている。

中国式の坐禅。この時は柴田住職も共に坐る 柴田住職は尺八を学んでおり、外国の奏者とも交流がある。フーさんとは3年ほど前、尺八仲間の米国人の紹介で知り合った。すっかり意気投合した。フーさんはしばしば光明寺を訪れ、共に演奏したりする仲になった。尺八も元々は虚無僧の楽器で、それを吹くのは「吹禅」なのである。

 柴田住職はなぜ、浄土宗ながら禅を受け入れるのか。「藤吉慈海先生に強く影響を受けました」と語る。

 藤吉慈海氏(1915~93)は京大出身で、花園大学教授を務め、大本山鎌倉光明寺法主などを歴任した学僧である。生涯にわたり「禅浄双修」を唱えた。さらに柴田住職は「禅僧の良寛さんは『良寛に辞世あるかと人問はば南無阿弥陀仏というと答へよ』との句を遺しています。自分の宗旨と違うものを認められる許容力がある良寛さんを尊敬していることもありますね」と話す。

 曹洞宗の内山興正氏や浄土真宗の東井義雄氏の本もむさぼり読んだ。救いの道は念仏だけではないというおおらかな考えを抱く。龍樹の「指月の譬え」がお気に入り。「月は真理。指は念仏や坐禅といった伝える手段ではないでしょうか」。すなわち、真理に到達するのが目的なのに、手段にばかり固執してはならないということ。「お釈迦さまの教えは『こだわるな』でしょう。なのに指しか見ていない人がいますよね」

 「禅リズムCafe」やフーさんの坐禅会だけでなく、伝統的な大念珠繰りなどの行事も欠かさない。インスタグラムやYouTubeなどインターネットを活用して情報発信もしており、「インスタを見て、木魚を叩きたい!とお寺に来てくれる親子連れもいらっしゃいます」とニッコリ。坐禅して「無になんねん」と話すちびっ子もいるそうだ。「子どもだからといって、仏教がわからないと思ったら大間違いですよ」と話す。

 総本山知恩院と大本山百万遍知恩寺の布教師でもある柴田住職。幅広い人脈を活かし、固定観念にとらわれない様々な形の伝道にチャレンジする姿はまさに、布教師の鑑といえそうだ。(越高陽介)

2021/2/11
大本開教129年 出口教主 原発と放射能を憂慮 「愛善エネルギー」呼びかける


大潔斎神事でこの世を祓い清めた舞姫 今年開教129年となる大本は2日、四大大祭の一つ「節分大祭」を京都府綾部市の聖地梅松苑で執行した。人数を絞った上で全国信徒の参列を受け入れる予定だったが、緊急事態宣言が京都府にも発出されたことを受け全面謝絶に方針を転換。本部職員らごく少数のみの参加とし、甘酒や福引などの接待も取りやめた。そのため夜を通してオンラインで生中継された(一部録画はYouTubeの大本公式チャンネルで一般公開中)。

 神火が祭壇に奉献され、世界の平和と人類の幸せを祈る「大潔斎神事」が厳修された。2人の舞姫が鈴と麻を振り、大宇宙から家族、個人に至るまでこの世のすべてを祓い清めた。今年一年の五穀豊穣を願う豊年祈願祭や、出口すみこ二代教主(1883年2月3日生まれ)と出口聖子四代教主(1935年2月19日生まれ)の生誕祭も合わせて営まれた。

 全国の信徒から寄せられた人型・形代が、瀬織津姫に扮した祭員により壺に収められ、午後11時と午前2時半の2度にわたり和知川の綾部橋まで運ばれ、神言が奏上される中で川に投じられた。その後は豆まきが長生殿で行われた。大本では鬼神である艮の金神(国常立命)が節分の日に出口なお開祖に神がかりしたことを寿ぐため、「鬼は内、福は内」と呼ぶ。また、炒り豆は発芽しないので、生命に感謝するために生豆を撒くというしきたりでもある。

 祭典に先立ち、小林龍雄本部長と出口紅教主が挨拶した。小林本部長は「コロナ禍で思うような活動には至りませんが、ご家族や信仰の仲間の皆さんと、自分の役割は何か、何ができるかを具体的な活動にイメージしてどのように行動すべきかを話し合っていただくのが大切かと思っております」と、平和を願う愛善精神でできることを一つひとつ実践してほしいと激励。

 出口教主は東日本大震災から10年を迎えるのを前に被災者の心の傷に深い同情を示し、「天災と人災が重なったともいえる原発事故による放射能汚染の問題が常に案じられ、心から離れません」と憂慮。原子力発電は一度事故が起きると人間の手には負えないものであるとし、大地や海、川、空気を汚すことのない大自然の力を「愛善エネルギー」として構築していくことを呼び掛けた。

 安心安全な食の確保のため、個人レベルでも家庭菜園や田畑で作物を育てることも促した。