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2018/6/14
東洋大学 学祖・井上円了100回忌を蓮華寺で営む “哲学”が求められている

①竹村学長、円了100回忌.JPG円了の墓前で「南無絶対無限尊」を唱える竹村学長 日本仏教の復興と近代化に尽力した仏教学者・哲学者・教育者として改めて注目されている井上円了(1858―1919)。円了を学祖とする東洋大学は、祥月命日の6日、墓所のある東京都中野区の日蓮宗蓮華寺(金子朋史住職)で100回忌法要を執り行った。福川伸次理事長、竹村牧男学長はじめ大学関係者ら170人が焼香した。

 本堂の宝前には円了の位牌を安置。福川伸次理事長が宝前に進み、5キャンパス、13学部を擁する大学の現況と展望を報告した。文系と理系ともに相互交流と哲学の必要性を指摘しながら、「井上円了先生の建学の精神『諸学の基礎は哲学にあり』がまさにこれからの時代に求められている」と述べた。

 読経の中、最初に井上家を代表して円了の孫で数え100歳となる井上民雄氏が焼香。そして福川理事長、竹村学長、学校法人および大学関係者が続いた。導師の金子住職は円了の法号「甫水院釈円了大居士」を奏上して回向した。

 大学代表15人は境内にある円了墓前に移動。井桁の上に円形の石を置いた墓石は、「井上円了」の名前を表現したもので、円了の発意とされる。円形の裏側には円了と妻(芳田院釈妙敬)の法号を刻印。その墓前に一人ひとりが交代で進み、手を合わせた。最後に竹村学長が、円了創唱の「南無絶対無限尊」を三唱して100回忌法要を閉じた。

②井上民雄.JPG井桁に円形の墓石に詣る孫の井上民雄氏(1919年生まれ) 昨秋、『井上円了―その哲学・思想』(春秋社)を上梓した竹村学長は、「100回忌法要に参列したことで、あらためて井上円了先生の卓越した建学の理念を現代に活かしつつ、東洋大学のさらなる発展に努めたいと思いを新たにしました」とコメントした。

講演先の大連で死去 近代仏教研究で注目

 井上円了は安政5年(1858)、新潟県長岡市の真宗寺院生まれ。東本願寺(大谷派)給費生に選ばれ東京大学に進み、哲学を学ぶ。29歳の時に東洋大学の前身、私立哲学館を創立。仏教の近代化にも力を注いだ。「妖怪学」の研究でも知られる。仏教近代化に加え、社会教育や生涯教育の分野でも先駆的な業績を残した。

 生涯、3回にわたり世界旅行を行った。晩年は全国を講演行脚。大正8年(1919)6月5日中国の大連にある西本願寺附属幼稚園での講演中に倒れ、翌6日死去した。 近年、近代仏教史研究が盛んになると円了と哲学館が注目され、哲学館は「明治の新仏教運動の一大拠点」(『近代仏教スタディーズ』)とされている。

2018/6/14
各地の本山で晋山式 僧侶・檀信徒が祝す

日蓮宗本山實相寺 小松浄慎貫首が晋山 新旧管長や総長が祝福 
③日蓮宗 本山実相寺に小松貫首が晋山 (1).JPG晋山式で練行する小松貫首 日蓮宗本山實相寺(静岡県富士市)の第72世に就任した元宗務総長の小松浄慎貫首(70)の晋山式が5日、同寺で営まれた。静岡市内のホテルで開かれた祝賀会では、新旧管長をはじめ内局、本山会貫首、宗会議員ら約350人が集い、小松貫首の入山を祝った。

 小松貫首は稚児や万灯講ら約200人と共にお練り。沿道で声援を送る地域の人々の声に応えながら、同寺までの約1キロの道程を進んだ。法要は小松貫首を導師に駿河達師法縁会が出仕して厳修された。

 豊田日穂前貫首(91)から払子を受け継いだ小松貫首は、古式に則り歴代住職の名が記された相承譜に記帳。奉告文で護念護法、寺檀和融に精進することを誓った。

 同寺は久安元年(1145年)に鳥羽法皇により創建された勅願寺。宗祖日蓮聖人が戦乱や飢饉、他国侵逼等の国難を憂えて同寺の一切経蔵に篭り『立正安国論』の草稿を編んだことで知られる。

 一切経蔵をはじめとする伽藍の諸修理や奥書院の再建、地元教師の悲願であった静岡中部宗務所建設ため境内地の提供を決断するなど、多大な功績を残した豊田前貫首は、「21年間ただこの實相寺のためを思ってやってきました。新しい貫首さまと共に、この天下の實相寺を皆さんで発展させてほしい」と今後の寺門興隆を願った。

 小松貫首は、約8年前に豊田貫首から次期貫首への打診があったことを振り返り、「豊田猊下が入山したのがちょうど70歳。私も70歳になりました」と万感を込め挨拶。

「総長時代、常々口にしていたのが〝祖山の繁栄なくして宗門の発展なし〟。祖山と共にお参りいただき、このお山の大聖人ご在世当時の空気を大勢の皆さんに感じていただけるよう努めていきたい」と抱負を語った。(続きは紙面でご覧ください)

真言宗智山派別格本山高幡不動尊金剛寺 杉田純一貫主が晋山 先代の遺訓を尊び遵承
高幡不動の杉田貫主.JPG第34世として晋山した杉田純一貫主 東京都日野市の真言宗智山派別格本山高幡不動尊金剛寺で12日、第34世に就任した杉田純一貫主の晋山式が執り行われた。真言宗智山派の小峰一允管長(総本山智積院化主)や芙蓉良英宗務総長をはじめ、宗内外の僧侶や檀信徒らなど300人が参集し、杉田貫主の晋山を祝した。

 午前11時、客殿「舞台ノ間」で法燈相承式を執行。法類寺院、教区代表、総代世話人が参列し、幡山会の清水博雅会長から杉田貫主へ相承品が手渡された。午後からは門前参道で江戸消防記念会による木遣りと纏ふり、総代世話人、職衆、杉田貫主がお練りし、山門をくぐり不動堂に入堂。晋山記念の大護摩供を厳修した。

 奥殿参拝に続いて、大日堂に進み入り晋山奉告法要を厳修。杉田貫主は伝燈奉告文で先々代の秋山祐雅、先代の川澄祐勝両大僧正の「遺訓を尊び遵承し」と述べ、「先輩諸友の教導を仰ぎ且つ檀信徒の信援を願い山内和合を専らとし自ら研鑽を以って寺門興隆宗団発展の大道に迷わらざらん事を期すのみ」と奏上。「一山の整備伸長を誓うものなり」と表明した。(続きは紙面でご覧ください)

2018/6/14
高野山真言宗 元総長らと和解成立 損失責任2千万円

 放漫財政を行ったとして、前任内局の庄野光昭元宗務総長と森寛勝元財務部長を宗派3法人(宗教法人総本山金剛峯寺、宗教法人高野山真言宗、学校法人高野山学園)が訴えた8億7500万円超の損害賠償請求訴訟で12日、和解が成立した。一昨年1月21日の提訴から2年半。元総長らが在職時に出した「多大な財産的損失」について「深い遺憾の意」を表明し、和解金として1千万円ずつ計2千万円を原告に支払うことで合意した。

 和歌山地裁での第11回裁判(2月7日)で、中山誠一裁判長の「本件は和解で解決すべき事案だ」という強い意向から示された和解条項案。現内局(添田隆昭宗務総長)では和解案を事実上の判決と受け止め、和解金の額などが明示された和解勧告(4月24日付)を受け入れた。

 元総長らの提訴は宗会での責任追及決議に基づいて行ったことから今月4日、大阪市内で安藤尊仁宗会議長ら宗会議員の代表からなる宗派の監査機関・参事会と協議。和解勧告受け入れについて理解を求めた。

 他の和解条項は、「原告らと被告らは、本日(和解成立日)以降、より一層、宗門の発展及び一切衆生済度の大願を達成するために大同団結して協力していくことを誓約する」「原告らは、その余の請求を放棄する」など。(続きは紙面でご覧ください)

2018/6/7
引き上げ船事故の朝鮮出身者の遺骨、42年ぶり壱岐島に戻る 天徳寺で安座法要

1壱岐遺骨.JPG移送された遺骨を前に営まれた安座法要 終戦直後の1945年秋、日本からの引き揚げ途中に台風による海難事故に遭い、長崎・壱岐島で死亡した朝鮮半島出身者らの遺骨が5月31日、これまで安置されていた埼玉県から壱岐島に移された。遺骨の安置を国に委託された長崎県壱岐市の曹洞宗天徳寺で安座法要が営まれ、日韓両国の僧侶や檀信徒、厚生労働省担当者ら参拝者約70人は、祖国への返還が早期実現するよう願った。壱岐島に遺骨が戻るのは42年ぶり。

 遺骨は全131柱で、70~80年代に長崎県の壱岐島(86柱)と対馬(45柱)で発掘されたもの。壱岐島の86柱は76年、朝鮮半島から動員され三菱重工の広島工場で働いた徴用工を探していた広島の市民団体によって掘り出され、持ち帰られた。

 後に遭難時期や犠牲者の特徴から三菱の徴用工でないとほぼ確定したものの、寺院などを転々とし、最終的に本願寺広島別院で保管されていた。2003年に厚労省が引き取り、対馬の遺骨45柱を委託する埼玉県所沢市の真言宗豊山派金乗院に預けられた。

 事故翌年から70年以上にわたって慰霊を続けてきた天徳寺の西谷徳道住職は厚労省などに対し、曹洞宗宗務庁や壱岐市の協力を得ながら、返還が困難ならば朝鮮半島に近い壱岐島への遺骨移送を訴えてきた。金乗院の田中正樹住職もこの考えに同意。納骨堂の修理を理由に、17年度末の3月末を期限に遺骨の移動を求めた。

厚労省はこうした要望を受け、移送を決定。4月中旬に金乗院から東京・霞が関の同省に一旦移した上で、この日、遺骨を納めた37の骨壺が天徳寺に運ばれた。

 法要では、地元僧侶約10人が壱岐島独特の壱岐歎仏で手厚く供養するとともに、韓国の僧侶も勤行。韓国・慶州市の曹渓宗仏国寺前住職、李性陀・同宗元老議員は関係者に感謝の気持ちを述べた上で、「壱岐島からは韓国までもう遠くない。すべての遺骨が故郷に1日も早く戻れるよう願いたい」と日本語で話した。

 池田大智・曹洞宗宗議会議員が、釜田隆文・曹洞宗宗務総長の慰霊の言葉を代読し、「遺骨の受け入れ先が二転三転し、御霊がさまようことになった」と懺悔。その上で日韓両政府に対し、「返還の方途を実現していただけるよう心からお願いしたい」とした。

 西谷住職は、遺体が埋葬されていた清石浜付近に67年に慰霊碑建立を発願した檀家総代長らに思いを馳せ、「あなた方の力が後押ししてくれた」と声を詰まらせた。壱岐島に戻り、さらに望郷の念に駆られていると犠牲者の気持ちを代弁し、「祖国への返還に向け、日韓の友好の絆がますます結ばれるよう祈念したい」と語った。

 厚労省の担当者は「日韓政府間で合意に至れば、速やかに返還したい」としたが、政府間の協議は進んでいない。

2018/6/7
全日本仏教会 新理事長に曹洞宗・釜田隆文氏 事務総長に浄土宗・戸松義晴氏

2釜田理事長.JPG就任の挨拶を述べる釜田新理事長 公益財団法人全日本仏教会は4日、東京・芝の東京グランドホテルで第22回理事会を開き、新理事長に曹洞宗宗務総長の釜田隆文理事を選出した。石上智康前理事長(浄土真宗本願寺派総長)に続いて2期にわたる現役総長の就任となった。事務総長には浄土宗の戸松義晴理事が選任され、初の2度目の就任。これにより第33期執行部が整った。新体制当面の取り組みは、11月に開かれるWFB世界仏教徒会議日本大会となる。

 事前の評議員会を経て新任9人、継続9人、再任2人の全20人が第33期理事に就任。理事会には15人が出席し、石上前理事長を議長に進行。釜田理事が理事長候補者に推薦され、全会一致で選出した。続いて釜田新理事長が議長席に着き、新事務総長に戸松理事を選出した。

 石上氏は理事長退任にあたり感謝の言葉を述べた。「理事長就任早々、マスメディアの集中砲火を浴びたりもした」と当時、ネット通販大手のアマゾンが僧侶派遣サービスの販売を開始し、全日仏としての対応に追われた体験を振り返った。一方で「時代がどう変わろうと、仏法、仏さまのお悟りの真実は変わることはなく、永遠に私どもを導いてくださる」とし、“現場目線”を呼びかけて新執行部に期待を寄せた。

 釜田新理事長は、前執行部を慰労すると共に、公益財団としてのあり方を再提示し、「時代の要請にも応えながら、目的達成のために誠実に最善を尽くす所存である」と抱負を口にした。

 理事会ではさらに理事長と事務総長を除く第33期の全理事が各種審議会及び委員会、部会と担当となる案が審議され、原案通り承認された。

 報告事項では、11月7日成田市内のホテルで行われる第29回WFB世界仏教徒会議・第20回WFBY世界仏教徒青年会議日本大会の総会・開会式典・歓迎レセプション、9日横浜市の曹洞宗大本山總持寺で行われる記念法要・式典・シンポジウムについて説明がなされた。

 5カ月後に迫ったWFB日本大会は新執行部にとって最初の大型イベントになる。

会長と理事長 初の同じ宗派

 昨年11月の全日仏理事会で第33期会長に江川辰三曹洞宗大本山總持寺貫首が就任すると発表。江川貫首は1月の管長交代を経て曹洞宗管長となり、4月から正式に全日仏会長となった。

 全日仏理事長・事務総長は慣例により、曹洞宗・本願寺派・大谷派・浄土宗の4宗派が順送りで就任してきた。かつては全日仏会長もそうだったが、現在は10宗派から選出される。

 第33期の江川会長、釜田理事長は共に曹洞宗。順番とはいえ全日仏の歴史で初めて同じ宗派となった。江川会長が住持する大本山總持寺(横浜市鶴見区)はWFB日本大会の会場となる。
 また曹洞宗の現役宗務総長が理事長に就くのは、第13期の町田宗夫氏以来20期(40年)ぶりとなる。

理事長・事務総長略歴
 【釜田隆文理事長】かまだ・りゅうぶん/昭和15年(1940)8月三重県生まれ。77歳。正眼短期大学卒。曹洞宗三重県青年会会長、松阪市佛教会会長等を歴任。平成14年(2002)から曹洞宗宗議会議員を務め現在4期目。教化部長を経て平成26年(2014)10月から宗務総長。今年10月に任期満了を迎える。自坊は三重県松坂市の養泉寺。
 【戸松義晴事務総長】とまつ・よしはる/昭和28年(1953)5月東京生まれ。65歳。慶應大学卒、ハーバード大学大学院神学校修士課程修了。浄土宗総合研究所主任研究員。全日仏第29期の事務総長を務めた。世界仏教徒連盟(WFB)執行役員。自坊は港区東麻布の心光院。

2018/6/7
次世代のための環境シンポジウム 仏教思想と実践で地球を救え!

1環境.JPG約200人が集まり仏教思想の有効性を確認 次世代のための環境シンポジウム「仏教は地球を救えるか」が4日、港区の東京グランドホテルで開催された。約200人が仏教精神を環境保護に活かす必要性に耳を傾けた。主催は経済人が主体となって環境問題を考える「和合科学国際会議」(川瀬泰人代表)。

 基調講演は東京大学名誉教授の山本良一氏。経済発展が進んでいる国では環境破壊も進んでいることを示し、「生活の満足を実現するために環境を犠牲にしている」と危惧。世界に目を向ければカンタベリー大主教のローワン・ウィリアムズ氏など、環境問題に積極的に取り組む宗教者がいるが「なぜ日本でそれができないのか」と檄を飛ばした。

 化石燃料や原子力発電の恩恵に与る大銀行から自然エネルギーを推奨する銀行に預金を移すのも宗教団体にできる環境保全の一つだと提言し、実際にやっている市井のお寺もあると例示。大本山・総本山がそういう活動をすれば「大ニュースになる!」と期待し、後世の需要を損なわない「倫理的な消費」をすることが現代に求められると語った。

 世界仏教徒青年連盟(WFBY)会長代行・全日本仏教青年会(全日仏青)顧問の村山博雅氏が招待講演を受けた。副住職を務める大阪府豊中市の曹洞宗東光院が創建以来1300年間咲かせ続ける萩の花のことを説明し、寺院が環境保全を担ってきたことを提示。仏教の「三時業」(現世・来世・それ以後で報いを受ける業)の視点から、仏教は未来に対しても因果を考えることができるとし、自然保護などにもつながる思想だと指摘した。

 この世の諸問題に対し「他人事ではない、というところに(心を)もっていくのが仏教。これからの世界を考える上で一層重要になっていく」と指摘。そういう思想があってこそ初めて慈悲が実践でき地球環境などに向きあえると述べ、全日仏青も「誰一人取り残さない」を掲げるSDGs(持続可能な開発目標)達成のために取り組んでいると力説した。

 続く討論では東洋大学学長の竹村牧男氏、湯島天神権禰宜の小野洋一郎氏が登壇。武村氏は村山氏の言う「他人事ではない」という仏教思想に深く同意。「悪は来世にまで影響して他者を損ねていく」と述べ、現代人の生活指針として十善戒・六波羅蜜・四無量心を実践していくことが環境を守ることにつながると呼びかけた。

 山本氏も村山氏の提言に啓発され、「人身受けがたし今既に受く」という三帰依文は科学者から見ても非常に重要だと指摘。銀河系に生まれた唯一の知的高等生物たる人類が、愛や慈悲心を担う生物になるための自覚を仏教で促すことを期待した。

2018/6/7
韓国人教授が日本で得度 東北福祉大学の大谷哲夫学長と意気投合

日韓③.JPG仏弟子の証の絡子を授けられる崔氏 東北福祉大学学長で国際(日中)禅文化交流協会会長の大谷哲夫氏に、韓国人福祉学者の崔枰圭氏(チェ・ピュンキュ、72)が弟子入り。5月28日、大谷氏の自坊、曹洞宗長泰寺(東京都新宿区)で行われた交流協会の総会に併せ崔氏の得度式が営まれた。

 崔氏は曹渓宗立東国大学校出身で、名門高麗大学校などで福祉行政を講義してきた。高麗大は大谷氏の母校早稲田大学の姉妹校でもある。大谷氏が会長を務める仏教稲門会に仏教と福祉のつながりで交誼を深めたいと連絡があり、意気投合。大谷氏が得度を勧め、この度の縁となった。

 受戒の後に大谷氏から仏弟子となった証に絡子が贈られた。戒名は「薫風泰鳳居士」。鳳仙山長泰寺の文字を織り込んでいる。崔氏は「何十年も前から奈良・京都・鎌倉など日本のお寺を見て回り、活動に感銘を受けてきました。縁を結んでいただき本当にありがたいことです」と感激の言葉を述べた。

韓日禅文化交流協会の発会も発表され、崔氏が会長に就任。「禅も日本の中で閉じこもっているだけではだめ。曹渓宗も禅宗ですから、これからどんどん交流を深めていきましょう」と呼びかけた。大谷氏は崔氏が福祉学者であることから東北福祉大学との学術交流にも意欲。翌日、崔氏は宮城県仙台市の東北福祉大学を表敬訪問した。

 崔氏はダライ・ラマ法王の韓国訪問に尽力するなど仏教を通じた国際交流を活発に実践。韓国政府の大統領特別諮問機構の委員など公職も多数務める。

2018/5/31
真言宗豊山派、長谷寺修復で説明会 宗派負担の34億円は22年かけて課金 豊山人の力を結集しよう!

1豊山説明会.JPG宗務所で開かれた説明会 真言宗豊山派は24・25日に東京都文京区の宗務所で、宗務支所三役(支所長・副長・布教長)を対象に、奈良県桜井市の総本山長谷寺伽藍修復と総合調査に関する説明会を開いた。両日で110人が参加した。星野英紀宗務総長が長谷寺伽藍の老朽化の現状を説明したうえで、「豊山人の力を結集して、長谷寺の未来を支えよう」と呼びかけた。

 説明会は星野総長が「当局との第一回目のコミュニケーション」と位置付け、今後も様々な形で開催する意向を示し、自ら「総本山長谷寺の魅力と課題」と題して現状を説明した。

 本堂、本坊・大講堂は共に、長年の雨風による腐食が進行。昭和23年に応急的な瓦葺き替えを行った本堂は棟瓦の劣化、葺き土の緩みもみられる。「本堂よりも大変」な状況にあるという本坊・大講堂は、建設から95年が経過、屋根全体に凍害による割れや瓦のズレが生じており、「早急な修理が望まれる」という。

 星野総長は1500年の歴史で本堂だけでも7度の火災に遭い、そのたびに「(勧進活動をした)長谷聖(はせひじり)」らの活躍で復興を果たした歴史を紐解き、文化財を守る役割を伝統仏教が担っていると強調。「歴史のなかで武士や貴族、商人たち、そして長谷聖が支えてきたものを、豊山の寺院が支えるということになると思う。それぞれのお寺にお考えがあると思うが、お力をお貸しいただけると有り難い」と理解を求めた。今説明会は5月31日に福島、6月18日に名古屋でも開催される。

 123の建造物を有する総本山長谷寺。これまでの発表によると、専門家の調査で国宝の「本堂」、重文の「本坊・大講堂」など75棟に修復が必要と判断された。宗派でも昨年11月に「総本山伽藍修復基金検討委員会」を設置し、修復対象となる建造物の特定、費用の概算と捻出方法を審議。本堂と本坊・大講堂を修復事業の中心とし、修繕費は国の文化財であるため55%を国が補助し、残りの45%(約34億円)を宗派が負担。その費用は22年間の「特別課金の賦課」などで捻出する方向で検討している。

2018/5/31
第15回国連ウェーサク祝典開催 世界連邦日本仏教徒協議会・高野山大学代表がスピーチ

③ウェーサク 国連.JPGウェーサク祝典で、パーリ語のお経を唱える各国の上座部僧侶(27日 バンコクの国連センター) 仏陀の生誕・成道・涅槃を祝する第15回「国連ウェーサクの日」祝賀式典が25日から27日までの3日間、「人間開発のための仏教の貢献」のテーマのもと、タイ・バンコクを中心に開催された。GNH(国民総幸福)で知られるブータン国首相が基調講演を行った。上座部・大乗・金剛乗の枠を超えて約80カ国・地域から約2千人が参加した。日本からは世界連邦日本仏教徒協議会(世連仏)やITRI、高野山大学関係者、霊雲院国際禅交流友好協会関係者ら30人余が出席した。

 初日午前、バンコク郊外のマハチュラロンコン仏教大学(MCU)アユタヤキャンパス大講堂を会場に、タイ僧伽の最高位であるソムデット・プラ アリヤヴァンサガタヤナ大僧正を迎えて開会式が行われた。

 主催者である「国連ウェーサクの日国際評議会」(ICDV)議長のプラ・ブラマプンティットMCU学長は、1999年12月、仏陀の生誕・成道・涅槃を祝するウェーサクの開催を奨励するとの国連決議を紐解きながら、タイ政府・タイ僧伽の協力を得て2004年から主にUNSCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の本部であるバンコクの国連センター(会議場)で開催してきた歴史を報告。「15回目のウェーサク祝典を皆さまと祝福できてうれしい」と歓迎した。

 さらに「ICDVには4つの役割がある。持続可能な開発・気候変動・平和構築・教育である。これらは国連のSDGs(持続可能な開発目標)でもある」とし、今回のテーマもこれらに基づいていると述べた。

 基調講演はブータン王国のツェリン・トブゲー首相。国際的な経済指標であるGDP(国内総生産)によらない、自国独自のGNH(国民総幸福)について解説。仏教を背景にしたGNHには、生活の質や共感なども含むという。タイのプミポン前国王が示した「足るを知る経済」にも言及し、人々を幸福や調和に導くものと評価した。

 午後からはタイ王室の代表が臨席しての式典が挙行され、続いて各国代表のスピーチ等に移行し、翌2日目は終日、アユタヤキャンパスで4分科会が開かれた。

 最終日は国連センターで祝典行事。アントニオ・グテーレス国連事務総長、プラユット・タイ国首相、オードレ=アズレ・ユネスコ事務局長のメッセージ(各代読)が紹介された後、各国・団体代表が登壇スピーチ。世連仏は、叡南覚範会長(天台宗曼殊院門跡門主)のメッセージを水谷栄寛事務総長(高野山真言宗真照寺住職)が読み上げた。ユネスコ憲章前文にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから人の心の中に平和の砦を作らなければならない」を引用し、「仏教は一人ひとりが信じる神を決して否定したりしない。逆に尊重することで人々は融和の関係を持つことができる。本当の平和とは、一人ひとりの自己が認められ、一人ひとりが信じる対象を否定しないことで築かれる」と主張した。

 高野山大学の乾龍仁学長は、最初に添田隆昭宗務総長のメッセージを紹介。仏教が各地に伝播する中で土地の宗教に影響されつつも「慈悲と平和と寛容の精神」という仏陀の教えは変化していないと説いた。続いて学長として大乗仏教の立場から、「すべての生きものを尊重することは社会貢献につながる」と述べた。

 終了後、MCUのプラ・ブラマプンティット学長は本紙の取材に、「今回のウェーサクには経済の学者もいた。ある学者は、哲学をもっていなければならないという。グローバル経済と仏教はどう関わるのか。精神的なものがなければ発展しない。精神的に良くなれば人間は成長できる。そこに仏教の役割があると思う」と話した。