2019/2/14
日蓮宗荒行98人が成満 法華経寺87人が満行 遠寿院11人も4人に許証不授与

全身全霊で読経する満行僧(中山法華経寺) 
 修法祈祷を習得する日蓮宗の「寒一百日」荒行が10日に満行を迎え、千葉県市川市の大本山中山法華経寺の日蓮宗加行所(吉澤順將伝師)と、日蓮宗遠寿院大荒行堂(戸田日晨伝師)がそれぞれ成満会を厳修した。加行所は体調不良により五行僧1人が退堂し、87人が満行した。行堂改革を進める遠寿院では、気力減退で初行僧1人が退堂し、11人が満行したが、そのうち4人に「修行者として行堂清規等に反する行為があった」として許証を授与しない措置がとられた。

 法華経寺祖師堂で営まれた日蓮宗加行所の成満会では、同寺の新井日湛貫首を導師に修行僧らが全身全霊で読経。成満を待ち望む寺族、檀信徒らが見守る中、渾身のお題目が堂内に響いた。

 自身も五行成満の修法師である中川法政宗務総長は、「修法は世間に灯を点す最強の武器。修法師になった限りは一生、死ぬまで弱音を吐くことは許されない。修法師に弱音はない」と挨拶。「娑婆は平和で楽しいように見えるが、平和の中に地獄がある。それを見極め、治める力が修法にはある。全国津々浦々に救いの手を差し伸べていただきたい」と期待した。

 吉澤伝師は「大尊神さまにお預けした生命を、たった今皆さまにお返しいたします」と成満を宣言。成満後も常に感謝の気持ちを持つ修法師となるよう訓示した。

行満者に労いの言葉をかける戸田伝師(遠寿院) 遠寿院では、許証を授与しない異例の事態について、戸田伝師が挨拶の中で言及。「今回、以前とは違う行堂改革の視点で(修行僧の生活を)追ったところ、色々なことが発覚した。私の立場として、そういう者に遠寿院の許証を今渡すことはできない」と話し、該当する修行僧への許証は「伝師預かり」とすることを告げた。

背景に行堂改革の流れ

 遠寿院の成満僧は参行1人、再行6人、初行4人。許証が授与されなかった4人は、いずれも再行だった。具体的な違反内容は明かさなかったが、初行に対する先輩僧の立場を悪用した行為があり、戸田伝師は、「これまでの行堂改革の流れを含め、修行者として行堂清規等に反する行為があった」としている。

 遠寿院は、昨年修行僧を対象にしたアンケート調査をまとめ、同院内の修法研究所に行堂研究会を設けて外部の識者を招聘するなど、行堂改革を進めてきた。入行時の選考を徹底したほか、特に支配構造を生みやすい先輩僧と初行僧との関係で違反行為を戒める方針を打ち出していた。

 遠寿院での修行経験がある僧侶の一人は「異例の事態に驚いた。戸田伝師が目指す行堂改革に反する行為があったのだろう。伝師も相当な覚悟があるはず。賛否はあると思うが、行堂改革は支持したい」と話した。

2019/2/14
浄土宗東京教区「僧侶紹介」事業着手へ 菩提寺住職の承諾前提

紹介システム案について説明する成田氏 浄土宗東京教区は1月31日、港区の増上寺会館で浄土宗開宗850年の慶讃事業として同教区で実施する僧侶紹介システムに関する公開研究会を開いた。50人が参加した。

 離郷檀信徒や首都圏の宗教浮遊層への教化伝道、教宣拡大を目的に葬儀や法要への僧侶紹介システムの構築を目指す東京教区。教化団長の佐藤雅彦氏は事業に関する意義を「地方寺院の檀家で、東京在住の人々への浄土宗の法務提供のため」「東京近辺に在住で、霊園墓地などを保有し、『うちは浄土宗』という自覚のある人々に対する浄土宗責任遂行」と整理した。

 具体的な法務受付システム案については成田淳教氏(感応寺住職)が説明。東京教区のHPで法務を受け付けし、利用者が菩提寺の有無・日程・場所・法要内容・お布施額を選択入力し、対応可能な教区内寺院(登録制)へ情報が配信され、先着順で施行寺院を決定する仕組み。他教区の菩提寺から同システムへの紹介があった場合にはお布施の50%を「本尊前」として納めることで地方寺院運営に寄与する可能性も示した。
 
 その後、この取り組みやシステムへの活発な意見交換がなされた。特に菩提寺がある利用者の場合は「承諾を得た」ことを前提にして法務を受け付けるが、「東京都内に菩提寺があっても法要をお願いしたくない方の場合はどうするのか」「菩提寺が無いと言って、後からあったことがわかりトラブルになるケースも。その場合、責任の所在は寺院か教区か」と懸念。佐藤団長は「今現在は、菩提寺住職への断わりなしで執行することはできない」との見解を示し、今後の継続的な課題とした。

 このほか、僧侶紹介システムの認知、登録する僧侶の講習や研修会の実施、業者との関係性、住職の顔写真の掲載の有無など、多岐にわたった。

 開宗850年の正当は2024年だが、「僧侶紹介システム」は次年度から段階的に東京教区のHPで始動させる予定だ。

2019/2/14

興正寺問題 西部法照住職に聞く 裁判外和解〝間違い〟 訴訟リスク「全責任とる」

時折、怒気を帯び、独自の主張を展開した西部氏 名古屋市昭和区の高野山真言宗別格本山八事山興正寺の問題が再燃した。添田隆昭特任住職(宗務総長)による昨年5月の元住職側との裁判外和解後、再び元住職側の関係企業と係争状態に陥った。なぜ和解は崩れたのか。責任役員2氏の立ち会いのもと、西部(にしぶ)法照住職(73)に聞いた。西部氏は「内局と喧嘩をするつもりはない」とする一方、「興正寺住職として貫くべき立場がある」とし、独自の主張を展開。宗派との緊張関係を窺わせた。

西部 私の役割は興正寺の信頼と信仰を回復することに尽きる。混乱の原因がどこにあったのか、見定めることが大切だ。お寺に商業活動が立ち入る隙間は全くない。これが私の基本理念だ。

混乱の原因は何か
 私は昨年6月1日から主監に就任した。それ以前のことについて何かを言う立場にはない。ただ、梅村(正昭)住職(当時)が(寺有地売却の)礼録納付の手続きを怠ったとか、そういう表面的な問題ではない。100億円という金が消えているんだよ。もっと深い問題が隠されていると思う。だが過去に遡っての追及は私の仕事ではない。

特任住職だった添田総長から、具体的な和解内容などの引き継ぎはなかったのか。
 何もない。

引き継ぎなしの入寺に不安はなかったのか。
 私に与えられた天命だ。不安は全然感じていない。

特任住職が、責任役員が宗派に出した解任要望書を契機として昨年8月に辞任した。どう思うか。
 私の関与するところではない。

特任住職が行った裁判外和解をどう思うか。
 明確に間違いだ。だが何か深い隠れた原因があって、それによってそういう結果になってしまったのだろう。総長が判断を間違えたというわけではない。何かの力が働いて、そうならざるをえなかったということかもしれない。これは推測だ。

昨年8月に梅村元住職時代の関係企業R社から寺資産13億円超を差し押さえられた。なぜ、再び差し押さえられたのか。
 私は〝差し押さえが来る〟とか〝公正証書がある〟とか、全く知らなかった。和解内容も一度も見たことがない。和解で全部片付いたと思っていた。そうしたら8月20日に差し押さえられた。相手方は和解したように見せかけていたのだろう。こういう巧妙な戦略で初めからやっている。(続きは紙面をご覧ください)

2019/2/7
WCRP理事会 6月にG20諸宗教フォーラム開催を承認 大阪サミットに向け成果発信

 公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は1月29日、東京都杉並区の立正佼成会法輪閣で、今年度(18年度)の補正予算と新年度(19年度)の事業計画などを主義案とする理事会および評議員会議案説明会を開いた。6月下旬のG20大阪サミットに先立ち、京都でG20諸宗教フォーラム2019を開催することが承認された。8月にドイツで行われる第10回世界大会のテーマの訳語が「慈しみの実践―共通の未来のために」(Caring for Common Future)と決まった。

 昨秋、就任した植松誠理事長(日本聖公会)による最初の理事会。「以前、キリスト教では白柳誠一枢機卿が理事長をされたが、日本ではキリスト教はマイナー。理事長ができるかと心配しているが、優秀な評議員、理事、事務局みなさま方のお救けを得て理事長職を務めて参りたい」と決意を述べた。

 G20諸宗教フォーラムは6月11・12日、日本はじめ世界の宗教指導者や国際機関の代表者たちが参加。経済格差による貧困問題の恒常化や気候変動の悪化、核兵器禁止条約、SDGs(持続可能な開発目標)などを討議し、成果を世界に発信していく。

 ドイツのリンダウで行われるWCRP世界大会(8月20~23日)は、メインテーマのもと、「A、共通の未来のために積極的平和を促進する」「B、共通の未来のために戦争やテロ等の紛争を予防し解決する」「C、共通の未来のために公正で調和のある社会を促進する」「D、共通の未来のために持続可能な総合的人間開発のために行動する」「E、共通の未来のために地球を守る」の5つのサブテーマが設けられた。

 今回の世界大会にはドイツ政府が資金協力しており、ドイツ政府は地域ごとでの準備会議を要請。アジア地域では3月5~7日にミャンマーのヤンゴンでアジア準備会議を開催することが決まっている。(続きは紙面でご覧ください)

2019/2/7
アーユス・デイ 甲斐田万智子・谷山博史両氏にNGO大賞を贈る

大賞を受賞した甲斐田氏(中央右)と谷山氏(中央左) NPO法人「アーユス仏教国際協力ネットワーク」(アーユス、茂田眞澄理事長)が主催する国際協力NGOの祭典「アーユス・デイ」が1月31日、東京都品川区の日蓮宗本立寺で開催され、第6回アーユス賞授賞式が挙行された。長年にわたる功績に対して贈られるNGO大賞は、国際子ども権利センター代表理事の甲斐田万智子氏と日本国際ボランティアセンター前代表理事の谷山博史氏が受賞した。

 甲斐田氏は、1960年生まれ。長年にわたりアジア各地で暮らし、人身売買や児童労働、子どもの性的搾取の問題に取り組んだ。子どもの権利に関するNGO関係者に大きな影響を与え、多くの人材を輩出してきたことが評価された。

 受賞スピーチで甲斐田氏は、学生時代にフィリピンで出会ったスラムの子どもたちをはじめ、「多くの人の影響を受けて今の私がある」と感謝。今年は国連で子どもの権利条約が採択されて30年。SDGsでも子どもへの暴力を撤廃する目標が掲げられているが、日本でも体罰や児童虐待が続けられていると指摘し、「このような暴力をなくすためにも、あらゆる人が子どもの権利を知ることが大事」と話した。

 谷山氏は1958年生まれ。タイ・カンボジア国境の難民支援をはじめ30年以上にわたり活躍し、日本の国際協力NGOのネットワーク構築にも尽力。その現場経験に根差した非戦の精神は、国際NGOに携わる多くの人に影響を与えた。

 谷山氏はこれまでの活動を振り返る中で、「戦争は降ってくるものじゃない。作られているものだと現場の情報から訴えてきた」。紛争が続くアフガニスタンで、「対立は武力でしか解決できないと考えていた現地の男性が、NGOの活動を見て〝対話による解決しかない〟と考えを変えたことを、私は今でも心の支えにしている」と語った。(続きは紙面でご覧ください)

2019/2/7
ヒバクシャ国際署名、宗教界に協力求める 全日仏や佼成会など訪問

全日仏に署名の意義を説明する川崎氏ら(右側) 世界中の核兵器廃絶を目標とする「ヒバクシャ国際署名」の協力を求めるため、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員と日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員、それに浄土宗僧侶で「ピースプラットホーム」の森俊英事務局長は1日、東京都内の教団や寺院、団体を訪問した。

 東京都杉並区の立正佼成会では川端健之理事長らと懇談。続いて訪れた港区の全日本仏教会(全日仏)では奈良慈徹社会・人権部長らの対応を受けた。川崎氏は「政治的な立場を超えて、まずは核兵器の廃絶という一点に絞って協力をしていく」と署名の目的を説明し、現在約830万筆の署名を集めているが「目標は数億筆で、まだ2桁ほど足りない状況です」と協力を切望。田中氏は「私も87歳だし、被爆者はどんどん亡くなっている。生きているうちに核兵器のない世界にしたい」と語った。

 奈良部長は、会として動くには理事会としての決定を経なければならず、すぐにというわけにはいかないと説明しながらも「実は30日の理事会でもこの署名のことが話題にされました」と明かし、前向きな姿勢を示した。この後は浄土宗大本山増上寺などを訪れた。

 全日仏は反核への取り組みを早くから行っており、1957年にはイギリスがクリスマス島で行った原水爆実験への反対声明を出し、以後も各国の核実験に抗議している。立正佼成会も加入する新日本宗教団体連合会は1982年の第2回国連軍縮会議に際して3700万筆の反核署名を集めた。こういった実績がある宗教界が反核運動に積極的に取り組むことが期待されている。

2019/2/7
全日本仏教会理事会 過疎問題で情報集積へ 近くネットで調査へ

新年懇親会で来年の島根大会をアピールする島根県仏教会の清水谷会長とスタッフたち 公益財団法人全日本仏教会(釜田隆文理事長)は1月30日、都内のホテルで理事会を開き、新年度の事業計画案や収支予算案などを審議し、原案通り承認した。明年10月の第45回全日本仏教徒会議島根大会への共催が決まったほか、10年後の財団創立70周年に向けた要望も寄せられた。またこの2月末から3月にかけてインターネットを活用して、過疎問題に関する調査の実施が報告された。

 過疎問題について理事会後の会見で釜田理事長は、「それぞれの宗派では色んな形の過疎の問題がある。考え方も違うと思う。そういうものを全日仏に提供してもらい、全日仏として何か方向付けができないかと考えて、理事長になって提起した。一宗派で考えるよりも、いくつかの宗派が集まって考える方がいろんな意見が出てくると思う」と意義を語った。全日仏として情報集積と意見交換の場を設けることになりそうだ。

 戸松事務総長は過疎調査に関して、 地方から東京に出た人たちを対象にするという。「もともと菩提寺がある。だけど今はお寺さんと付き合いがない方たちはどういう葬儀をされているのか。例えば(郷里の)お寺に戻って納骨をするのか。推測ではなく実態を知るべく、首都圏を中心に全国規模で不特定多数に実施する」と語った。

 全日仏は2年前、大和証券と共同で「仏教に関する実態把握調査」を行っており、今回も同様にネットを用いて実施する。7千サンプルを予定している。(続きは紙面をご覧ください)

2019/1/31
展望2019 ひとり死社会の時代 高齢者の独居化が進行中 小谷みどり(シニア生活文化研究所所長)

 
継承者がいないお墓の無縁化が進んでいる(東京近郊の墓地) ひとり暮らしをしていない人のなかには、独居高齢者に対して、「かわいそう」「さびしい」と思う人は少なくない。高齢者は子や孫に囲まれて幸せそうに過ごすという、昔のホームドラマのイメージが、いまだに多くの人の脳裏に染みついているからだ。

 高齢者の6割
 ところがいまや、高齢者の暮らし方は、ひとり暮らしの方が当たり前になりつつある。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、65歳以上がいる世帯のうち、三世代世帯が占める割合は、1980年には50・1%あったが、2017年には11・0%にまで減少した。変わって昨今では、ひとり暮らしの高齢者が26・4%を占め、高齢者の独居化がこの40年間で急速に進んでいる。高齢夫婦二人暮らしも合わせると、高齢者の6割が、すでに独居か、独居になる可能性がある。

 しかも内閣府の2014年調査によれば、65歳以上でひとり暮らしをしている人の76・5%が、今のままひとり暮らしでよいと回答している。元気なうちはひとり暮らしの方が、家族に気兼ねしなくていいという人は多いのだろう。病院通いはしていたとしても介護が必要な状況ではなく、親しい友人や親せきが何人かおり、年金は充分ではなくても日々の生活に困るほどではなく、気ままに暮らせるのであれば、ひとり暮らしは幸せかもしれない。

 そもそもひとり暮らし高齢者は、死別による独居化が主たる原因とされてきたが、これからは生涯未婚者の高齢独居化が深刻だ。50歳時点で一度も結婚経験がない人の割合を示す生涯未婚率は、2015年には男性が23・4%、女性は14・1%だった。日本では最近まで、「男性は結婚して一人前」などと言われており、結婚しないという人生の選択肢はありえない風潮があった。現に1950年には男性の生涯未婚率は1・3%しかなかった。
1990年以降、男性の生涯未婚率が急増したが、1990年に50歳だった人は来年、80歳を迎える。言い換えると、今までのひとり暮らし高齢者には生涯未婚は少なかったが、これからは生涯未婚による独居化が増える。もっと言えば、これまで亡くなっていた人で生涯未婚はほとんどいなかったのに、これからは結婚経験のない人がどんどん亡くなっていく時代がやってくる。

しかし僧侶だけでなく、社会全体も、この事象に対する対策を講じていないのが現状だ。今までとこれからは、まったく異なる社会であることは明白なのに、である。


孤独死の場合、室内がごみに覆われているケースは珍しくない(昨年のエンディング産業展でミニチュア再現された孤独死の部屋) 先祖の墓の行方は
 特に寺院にとっては、問題は深刻だ。多くの寺院は、その経済基盤を子々孫々継承することを前提とした檀家の布施に頼っているが、生涯未婚者の増加は、近い将来、檀家が減少することを意味する。

 墓の継承者がいなくなれば、無縁化も進む。先祖の墓を片付けてしまう墓じまいも、この先、加速度的に増えていくだろう。先祖意識が薄れた結果ではなく、墓参りをする子孫がいなくなるのだから、先祖の墓の行方は無縁化か、墓じまいのどちらかしかない。

 墓じまいには批判的な僧侶は少なくないが、自分でお金と労力をかけて墓を片付けようという人は、放置して無縁化させてしまう人より、先祖を大切に思う意識が強いのではないかと私は思う。子々孫々での継承を前提としてきた墓が破たんすれば、寺院の未来も危うい。

 なぜなら、檀家と寺院は墓や葬儀、法事でつながっている関係であって、多くは、信仰でつながっているわけではないからだ。現に、「菩提寺があることは子孫にとって負の遺産だ」と、離檀したいと考える人は少なくない。

 寺院にとってもっと喫緊の問題は、配偶者や子どもがいない人の葬儀を誰がするのかということだ。国立社会保障・人口問題研究所の2017年調査によれば、65歳以上の独居男性のうち、16%が2週間のうち、一度も誰とも話さないという。家族がいないだけでなく、社会ともつながりがない人がこれだけいれば、早晩、葬儀の意義を問われる時代がやってくる。布施を払う人もいない、遺族も参列者もおらず、葬儀をする意味をみいだせない場合、僧侶はどんな対策を取るべきだろうか。

 私は、無縁死の葬送を考えるよりも、無縁死をいかにして減らせるかを僧侶は考えるべきではないかと思う。

 家族や地域との関係が希薄化し、ひとり死が当たり前になる社会においては、新たなつながりの構築に寺院が関わる余地は広がる。誰も経験したことのない社会の到来に向け、僧侶がやるべきことはたくさんある。

こたに・みどり/昨年末で25年半勤務した第一生命経済研究所を退職。シニア生活文化研究所を設立し所長に。最新著作に『没イチ』(新潮社)、その他、『ひとり死時代のお葬式とお墓』(岩波新書)など。