2020/9/17

日蓮宗 龍口法難750年宗門法要を執行 〝令和の立正安国〟呼びかけ

 
コロナ対策を講じて営まれた宗門法要 日蓮聖人が法華経の行者として自覚を強めた龍口法難が今年で750年を迎え、日蓮宗(中川法政宗務総長)は正当の前日にあたる11日、神奈川県藤沢市の霊跡本山龍口寺(本間日恩貫首)で宗門法要を執り行った。コロナ禍のため、万燈行列を中止するなど影響があったが、本山会、宗会議員、宗務所長ら宗門要路が参列し、約150人が集い宗祖への報恩感謝の思いを新たにした。

 法要は、菅野日彰・日蓮宗管長が大導師を務め、副導師を本間貫首、京浜教区各宗務所長が務めた。新型コロナウイルスの感染防止対策として、本堂を開け放ち、換気に努めた。参列者はマスク、式衆はマウスシールドを着用。向かい合わないように配置されるなど配慮した。

 菅野管長は、法難から750年を経た今、宗祖が『立正安国論』で予言した天変地異、戦乱、貧富の差、疫病までが起こっていることに「令和の世の立正安国の必要、実現を私たちは目の当たりにしている」と説示。一個人としては自分の行動がお題目の心に適っているかを問う生活を呼びかけ、社会・日本・世界に向けては令和の時代ならではの立正安世界を呼びかけることが求められている」と教示した。

 中川総長は、龍口法難によって宗祖が上行菩薩としての自覚を強めたことから、門下一人ひとりが使命感を持ち「コロナ禍の中、人心喪失、風評被害により互いに傷つけあう修羅の心を本復せしめ、日蓮聖人の末弟としての自覚を一層堅固なものとなさなければならない」と呼びかけた。

 謝辞に立った本間貫首は、「江戸期には囚人が打ち首にされる前には、助命を願うお題目が牢屋中から聞こえるほど龍口法難の縁起が江戸の庶民に知れ渡っていた」と語り、江戸期の庶民が伽藍建立維持に尽力したことに感謝。今後も伽藍を守っていくことを誓い、「お題目を一人でも多くの人に伝えなければ。750年を一つのスタートラインにしてお題目が広まるように努めていきたい」と話した。

 龍口法難は、日蓮聖人が受けた4大法難の一つ。「末法の世に法華経を弘める者には法難が訪れる」とされ、聖人が法華経の行者の自覚を深めた法難の中でも最大の法難として考えられている。『立正安国論』を著し、幕府に諫言した日蓮聖人は1271年9月11日、龍ノ口の刑場で斬首されそうになったが、江ノ島の方から光が飛来し、首を刎ねようとした武士たちは恐れおののき、一命をとどめたとされる。

2020/9/17
<寄稿>コロナ禍におけるSDGsを考える 枝廣淳子氏(幸せ経済社会研究所所長)


枝廣氏 新型コロナウイルスの問題は、社会がこれまでも抱えていた問題を、実感を伴って浮き彫りにする契機となった。例えば、社会的弱者ほど感染リスクが高い職業についていることが問題になったり、インターネット接続環境の有無により、教育を受ける機会に差が出たりするなど、これまであまり意識されなかった差異を顕在化させたといえるだろう。

日本社会とSDGsの動き

 SDGs(持続可能な開発目標)とは、今後の地球や社会を考えたときに、誰一人取り残さず、持続可能で幸せな社会をつくっていくために必要な17の側面を、「目標として示している枠組み」と考えることができる。

 例えば、7月に公表された「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」では、コロナ危機の影響下でデジタル化の遅れが顕在化していることを受け、デジタル・トランスフォーメーションを推進しながら、東京圏への一極集中、人口減少・少子高齢化に対する取り組みを強化するとしている。インターネットインフラの整備によって子どもたちの学びを止めなくて済むという点で、SDGsの目標「4 質の高い教育をみんなに」とも関わってくる。

 また新しい働き方として、東京の企業による地方でのサテライトオフィスやシェアオフィスの開設を支援することも明記されている。これは、目標「8 働きがいも経済成長も」に関わる。こうした動きは、地域にとっても大きなチャンスとなるだろう。

地域にとってのSDGsの意義

 自治体においても、まちづくりの推進や住民の幸せの実現、またその自治体や地域そのものが持続していくために、SDGsの枠組みを活用することは極めて有用である。

 私は、北海道の下川町、熊本県の南小国町などで、地域がSDGsを推進する手伝いをしている。その経験から、自治体や地域では、SDGsを自分たちの取り組みを振り返ったり、今後の取り組みを考えたり、独りよがりにならないまちづくりをする際のチェックリストとして活用することがやりやすく、また、役に立つと考えている。

 市民や地域の構成者がそれぞれの立場からSDGsに取り組んでいくこと。そして自治体や地域は、主体者が取り組みを実行しやすくするため仕組みをつくり、支援すること。これらが誰ひとり取り残さないまちづくりにとって不可欠である。さらに、個人の自己実現や社会的つながりの形成といった主観的幸福感を高める要素を組み入れることによって、個人の幸福度向上につなげる仕組みづくりにもSDGsを活用できるだろう。

コロナ禍と地球の持続可能性

 そして、我々の地域、社会を支えているのは地球環境だ。コロナ危機の間にも、ゲリラ豪雨や干ばつといった異常気象の頻度が増し、資源の使いすぎやプラスチックをはじめとする廃棄物問題も深刻化している。こうした問題が社会の安定性を揺るがすようになると、個人の暮らしや幸福も影響を受ける。個人と社会、地球環境はつながりあっているからこそ、個人の持続的な幸せのために、地球の持続可能性を考慮する必要がある。このような視点からあらためてSDGsの17の目標をみると、個人の暮らしを支える社会と地球環境に関する目標が中心であることがわかる。

 コロナ後に、各国で強力な経済活動が繰り広げられると、今度は気候危機が加速度的に大きくなりかねない。コロナ危機と気候危機と、その危機が発現する時間軸は多少違うかもしれないが、同時に対応していかなくてはならないことは間違いないだろう。

 ただし、今回の危機で明らかになったことの一つは、「命がいちばん大事」ということだ。コロナ対策として、経済活動も縮小せざるをえず、便利さや楽しさも我慢することを強いられたが、私たちは「経済よりも命が大事」という大前提を社会全体で共有したのだ。これは、これまでの「命を軽視・もしくは考えに入れない経済・社会」から、「いのちを大事にする経済・社会」へのシフトにつながる可能性があると、私は前向きに捉えている。

「誰一人取り残さない社会」をめざして

 今回のコロナ禍が突きつける問題の本質に真摯に向き合い、同じく本質的な枠組みであるSDGsの考え方や取り組みとのつながりをつくっていくことが肝要だ。この危機に対して、単なる対症療法ではなく、コロナのトンネルの先の経済や社会のあり方を考え、「本当に大事にすべきことを大事にする方向」への動きとしていく必要がある。ここにおいて宗教界の果たすべき役割は非常に大きい。

 あらゆる宗教の究極の目標は「人々の幸せ」であろう。コロナ禍でさまざまな人々の幸せが脅かされている中、幸せを支える環境や社会のあるべき姿を提示するSDGsの精神とその枠組みをじっくりと反すうし、人々に伝え、必要なシフトを支えていく役割がこれまで以上に期待されていると考える。

えだひろ・じゅんこ/幸せ経済社会研究所所長、大学院大学至善館教授。持続可能な未来・地域に向けて、新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンスを高めるための考え方や事例について研究、発信している。

2020/9/17
お寺の戦伝遺産を歩く⑤ 岐阜県北方町西順寺「報国塔」 靖国神社に合祀されない地元傷痍軍人を祀る

 
傷痍軍人を祀る報国塔。建立から84年が経過し、8月末の強風で手前の尖塔部分が落下した。現在は太鼓堂に移されている。 岐阜市に隣接する本巣郡北方町の浄土真宗本願寺派西順寺(三浦まゆみ住職)。明治に入って同寺に移設された「時の太鼓堂」が地元の観光名所だが、同様に傷痍軍人を追悼する一風変わった報国塔も地元でよく知られた存在である。今年5月に塔内を調査したところ新たな発見があった。

 複数の大きな自然石の台座に長方形の塔。正面に「報国塔」の名称、側面には建設協力者の名前が刻まれている。その上に胴体として直系35~40センチほどの魚雷のスクリュー部分が上向きに置かれ、三八式歩兵銃と銃剣が天を突く。海軍と陸軍を代表する武器を荘厳した報国塔。旧本巣郡の傷痍軍人会が、傷痍軍人の慰霊碑として昭和11年(1936)9月に建立したものだ。

 坊守の三浦真智氏は「戦死した兵士は靖国神社に祀られるが、傷痍軍人は合祀されないため建立したと聞いています」と説明する。祖父が住職の時代で、「祖父は海軍との縁が深く、梵鐘の供出にも積極的でした」。

 本願寺派は今春、全寺院を対象に戦争と平和に関する調査票を送付した。西順寺の金庫を調べたところ、戦死門徒の「殉国英魂名簿」が出てきた。死没年月日、戦病死場所、軍の階級、年齢、法名などが記載されている。日露戦争から第2次大戦まで110名余。最年少は17歳。最高齢は広島で原爆死した45歳。圧倒的に20歳代である。

 三浦氏は5月、気にかけていた報国塔内部の調査に着手。生前、両親から名簿らしいものがあることは耳にしていた。鉄製の扉をバールでこじ開けるとブリキ缶があり、中には「戦傷病死者法号」と記された軸物が9本入っていた。しかし傷みが激しく、京都の専門店に表装を依頼。8月4日に巻物として納品された。驚かされるのは、第1号が明治10年(1887)3月13日の日付であること。西郷隆盛が挙兵した西南戦争の戦死者である。そこから第2次大戦までに地元から出征し負傷してその後死亡した人や戦死者の法号が記録されている。北方の島々から南方の島々、中国大陸と戦死地はとにかく広い。三浦氏は「どれだけの数になるかまだ計算していない」と言い、10年前に死去した三浦氏の父が最後まで記録を更新していたという。(続きは紙面でご覧下さい)

2020/9/17

高野山宗会 権大僧正昇補資格に学園在籍を義務化 反対多く異例の撤回


 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)の第165次秋季宗会(安藤尊仁議長)が9・10日、和歌山県高野町の総本山金剛峯寺内宗務所に招集された。2級(権大僧正)以上の僧階昇補の条件に、「本末転倒」「強制するのは大問題」として「平成十七年生まれ以降の教師については、高野山高等学校又は高野山大学に二箇年以上在籍した者」を追加する新規定を提案。だが僧階昇補の資格と、事実上の入学義務化による㈻高野山学園の経営基盤強化を結び付けた案に、反対意見が噴出。添田総長は宗規第63条5項に則り、議案の撤回を表明した。議案の修正・付帯事項の追加等はあっても撤回は極めて異例だ。

 長谷部真道総務部長は、「権大僧正以上は高野山高校、または高野山大学に2カ年以上在籍した経歴がないと昇補できないことになり、平成17年生まれ以降には厳しくなる」と説明。規定の根底には、宗門子弟(寺院後継者)を育成する学園本来の役割の再興と入学者増による経営基盤の強化があることを示した。

 規定案が策定された背景には、「宗門校の高野山高校・大学で本格的な密教教育を受けた者を尊重すべきだ」という昔からの強い意見もあったという。新規定をテコにこれから高校に進学する「平成17年以降生まれ」の宗門子弟の高野山高校入学を促進し、大半を占める一般大学卒の寺院後継者の高野山大学編入学等を推進する狙いがあった。

 議案質問では入学者減少で深刻な経営難が続く学園の維持基盤強化の必要性に理解を示しつつも、新規定の唐突感に戸惑う声が上がった。

 吉田明史議員(奈良)は、「2年間在籍」の真意を質問。「学園維持のための僧階昇補規定であれば本末転倒ではないか」と問題提起した。添田総長は「宗内に〝もう高野山大学は要らないんじゃないか〟という声がある。それに対する改善案であり、一般大学を出た寺院後継者にはぜひ高野山で本格的に密教を勉強してもらいたいという思いがある」と話した。(続きは紙面をご覧ください)

2020/9/17
共生レポート2020 SVA 外国ルーツの子ども支援 新事業、寺院との連携も期待

 
熊本県西原村の山西小に届いた教材セットを受け取る生徒 シャンティ国際ボランティア会(SVA、東京都新宿区)は今年から、外国にルーツを持つ子どもたちの居場所づくりへ向けた支援を始めた。多文化共生の新たな時代の到来も視野に、災害支援を除いて国内初の支援事業に乗り出した。

 現在、2024年までの6年間の中期計画を進めるSVA。来年には創立40年を迎え、アジア6カ国8地域で多くの支援を行ってきた。一方で、外国人労働者の受け入れ拡大もあり、支援した国の人たちが日本に移り住むケースも増えていて、中計では教育支援を根幹とするこれまでのノウハウを生かしながら、国内にも目を向け新しい支援事業を始める方向性を出している。

 在留外国人数は昨年末に293万人超に達し、年々増えている。日本で暮らす外国にルーツがある子どもたちも急増し、日本語の指導を必要とする子どもの人数は、2018年の文部科学省の調査で約5万1千人いることが分かった。2年で約7千人増えている。

 こうしたことを背景にSVAは、子ども食堂や勉強会などを開いて子どもの貧困を支援するNPO法人「豊島子どもWAKUWAKU(わくわく)ネットワーク」(東京都豊島区)と連携し、外国ルーツの子どもたちの居場所をつくる取り組みを開始した。

 「授業についていけずに孤独になっている子たちは多いんです」とSVAの山本英里事務局長。「災害が起きたとき、避難場所を指す言葉が分からず取り残されるケースもあります」と指摘する。

 支援を始めてすぐに感染症が流行し、現在はオンラインでのコミュニケーションが主な活動。わくわくネットワークの企画に参画し、SVAが手掛けてきた図書館の設置や運営のノウハウを生かした支援策も検討する。

 在留外国人は大都市だけでなく、全国各地で生活している。山本事務局長は今後、支援地域を広げていきたい考えで、寺院との連携に期待する。「仏教に親しみのある国から移り住む人たちは少なくありません。信頼も厚く、各地に存在する寺院に協力していただけたら心強い」と話した。

コロナ禍の子どもへ教材や絵本を届ける

 新型コロナウイルス流行の影響で家庭で過ごす時間が増え、不安を抱える子どもたちに、自宅で勉強できる学習キットや絵本を届ける緊急支援も実施した。わくわくネットワークが催す子ども食堂の参加者や、熊本県の被災地などに800セットを配布した。

 オンライン以外で楽しめるものとして、特にひとり親家庭や外国ルーツの子どもたちを対象に企画。SVAの支援活動を描いた絵本もあり、海外の様子を学ぶことで視野を広げ、困難な状況を乗り越える力を養ってほしいとの願いを込める。

人手足りぬ豪雨被災地

 7月の豪雨で被害を受けた熊本県で、復旧支援活動を行っている。現地の関係団体と連携し、救援物資を届けたほか、ボランティアが移動するためのバスの運行などを行っている。しかし、県外のボランティアの立ち入り制限があるため、人手不足が深刻な課題となっている。バスは玉名と人吉の両市を結ぶが、10人に満たないまま走ることもある。

 山本事務局長は「手が足りず、泥かきさえ終わっていない場所がある。冬になる前に何とかしなくては」と焦りをにじませる。SVAでは、現地の協力者を募っている。問い合わせは☎03―5360―1233まで。

2020/9/17

共生レポート2020 コロナ禍における電話相談の現場 コロナ倒産、経済困窮が精神的苦悩へ 僧侶はつながりの回復を訴えよ

 
 コロナ禍により様々な不安やストレスを感じている人も多いだろう。残念ながら依然として、風評被害や陽性者への差別・偏見、行き過ぎた同調圧力もあれば、自己中心的な心を抑えられない場合も見られる。密が避けられる電話相談で様々な人々の心の悩みを受けとめる僧侶たちがいる。仏教界でも取り組まれてきた電話相談だ。相談の現場から見えてくるのは、コロナ禍特有の難しさだった。

 曹洞宗・臨済宗・浄土真宗本願寺派・真宗大谷派・日蓮宗・浄土宗・真言宗の有志僧侶が参加する(一社)仏教情報センターの仏教テレフォン相談は、新型コロナによる緊急事態宣言を受けて5月上旬に一時休止になった。

 その後、5月19日から相談員を3人から2人に減らし、相談時間も1時間短縮して再開。現在は相談員の僧侶を3人に戻したが、相談時間の短縮は継続している。長谷川岱潤理事長は「コロナで相談件数は増えている印象はないが、時間を短縮しても例年と同じ水準の相談件数があり、着実に電話はかかってきている」と話す。

 仏教・仏事から、人生の悩み相談まで、なんでも話を聴く。他の相談に比べ、コロナ禍に関わる相談が特に多いわけではないが、「火葬についての質問や感染を怖がりお坊さんが来てくれないといった相談があった」という。コロナ禍の僧侶の対応について考えさせられる事例だろう。

 コロナ禍で寺院の相談窓口にも影響があった。日蓮宗大本山池上本門寺では、対面で個別相談を行っていたが、コロナ禍で2月から休止。5月からコロナ対策として特別電話相談に切り替えた。あまり告知をしていないが、日に1、2件の相談がある。「ぽつぽつと増えています。友だちにも会えず誰かと話したかった、話を聴いてもらうだけで嬉しい、という声をいただいています」(担当者)。

自死者が急増

 一方で、コロナ禍における統計で気になるデータを警察庁が発表している。自死者数の速報値だ。今年8月の自死者数は1849人で、昨年に比べ246人増加した。7月が2人増加(1795人)で留まっていたことを考えると、大幅な増加だ。年末にかけてコロナ禍で倒産する企業も増えると言われる中で、今後どう推移していくのか気がかりだ。

 自死者が増加し始めた兆候について、50カ寺ほどの寺院が相談所として参加するNPO法人自殺防止ネットワーク風(本部=千葉県成田市)の篠原鋭一理事長(曹洞宗長寿院住職)は、「コロナ禍による経済的困窮が精神的な苦悩に変化している。年末までの今がその過渡期だ」と指摘する。

 篠原氏は毎日数件の相談に対応し、「今海に向かっている。ようやく独立し店を開いたが、コロナで閉店になり、先立った女房のところへ行く」と自暴自棄になった人や車中泊をして生活する人から「車を停められる寺を紹介してほしい」との相談もあった。

孤立させない

 相談者に「一度寺に来ないか」と直接会って話を聴くこともあるが、今は感染防止のために対応できない状態だ。「密を避けるコロナ禍の事情が余計に孤立化を招いている」という。

 特に高齢者は先行き不安の中で孤立し、「見捨てられた感」を強く持つ傾向にある。新しい生活様式の中で「若い世代でも職場や学校で今、仕事を失くし、行き場を失くした若者が増えている」。新型コロナウイルスの本当の恐ろしさは、人を分断させ、孤立させることにあるのかもしれない。

 篠原氏は「自死の防止に必要なのは、人間同士のつながりを回復させること。それを世の中に訴えることができるのは、私はお坊さんだと思っている」という。

 失業率が1ポイント上がれば4千人が自死を考えると言われる。年末に向け社会への呼びかけは急務だ。多くの宗派が共生や慈悲という仏教の教えのもとに、苦しみに寄り添う電話相談窓口を設けている。その存在を仏教界は、一丸となって社会に伝えていく必要があるのではないか。

2020/9/17
共生レポート2020 大本・人類愛善会 プラごみゼロへ清掃活動 亀岡市内の水域 月1回のペースで

 
「人類愛善会」のビブスを着けて保津川を清掃(2020年7月2日) 京都府亀岡市に本部天恩郷を置く大本は青年部・青松会(壮年部)・外郭団体の人類愛善会・大本愛善学苑(宣伝使教育機関)の有志により今年から市内の池や河川のクリーンアップ活動をスタートした。

 初回は3月9日、天恩郷北側に面する南郷池・南郷公園のごみ拾いを行った。18人が参加。ペットボトルやナイロン袋、空き缶や空き瓶を拾い集め、本部で仕分けをして処分。6月5日には25人が参加し、市内を流れる津川の河川敷のごみを清掃。バーベキュー用の網など不燃物も発見された。7月2日の第3回目も同じく保津川河川敷でのごみ拾いで18人が参加した。

 保津川に捨てられたごみは、わずか1日で淀川を経て大阪湾に流れ着くという。プラスチックごみの海洋汚染が世界的に問題になっており、川をきれいにすることが海を守ることにもつながる。

 亀岡市は2018年「プラスチックごみゼロ宣言」を発信し、行政と市内の諸団体・企業が連携してプラスチックごみを出さないよう取り組んでいる。大本もこれに全面的に賛同。出口すみ二代教主は「火のご恩水のおめぐみ土の恩これが天地の神のみすがた」という和歌を残しており、この教えに従い教団一丸となって水への感謝と美化、節約を実践している。今後は市内各所の清掃活動を月1回ペースで行う。

2020/9/10

北野天満宮・比叡山延暦寺 神仏一体で北野御霊会 応仁の乱以来550年ぶり 疫病退散を祈る


神前での山門八講を見届けた後、拝礼して退座する森川天台座主 学問の神様・菅原道真(菅公)を祭神とする京都市上京区の北野天満宮で4日、北野祭が営まれた。室町時代後期の応仁の乱で途絶えて以来約550年ぶりとなる神仏一体の祭礼・北野御霊会(ごりょうえ)を、歴史的な繋がりのある天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市)と共同で再興。僧侶と神職27人が、本殿で疫病退散と世の平安を祈願した。森川宏映天台座主が神前に進み、祭文を奏上。「仰ぎ願わくは天満大自在天神、聞法随喜の徳を耀かし、暗夜の群生に光を与えたまえ」と力強く読み上げた。

 午前10時過ぎ、三光門の下で神職と僧侶が対面し、小雨の中、傘をさしながら並んで進列。全員が本殿に入った後、森川座主が入殿した。

 神職による修祓や橘重(しげ)十九(とく)宮司の祝詞奏上に続き、森川座主が祭文を奏上。玉串を供え、柏手を打って拝礼した。

 そして、北野御霊会再興の要となる神仏習合の伝統法儀・山門八講(法華八講)を開始。神前に設えた高座に登る講師と読師など延暦寺(山門)の僧侶が、誰もが仏になれることを説いた法華経全八巻の真髄を問答形式で明らかにしていった。

 神前での仏事は、仏典講讃や読経の功徳で神の威光も倍増するという信仰に基づいて中世に発展。神仏習合の法会の場で生み出された教説は、神仏を共に祀る日本人独自の信仰心を育んでいく役割を果たした。神仏分離から150年を経た現代、今回のようにほぼ完全な形での再興は珍しい。天満宮と延暦寺では毎年続ける方向で調整中という。

 北野天満宮では令和9年に迎える25年ごとの式年大祭・1125年半(はん)萬(まん)燈(とう)祭に向けて古儀復興を発願し、昨年には一條天皇の命による勅祭北野祭を復興。さらに本来の形である神仏一体の北野祭に回帰すべく、宗祖伝教大師最澄1200年大遠忌を来年に控えた比叡山延暦寺と共に、山門八講を行う北野御霊会の再興に取り組んでいた。だが今年、コロナが流行。退散祈願のために予定を前倒しし、今年再興した。

 境内には修学旅行生の姿も。本殿前で手を合わせながら、550年ぶりの法会に結縁していた。

 終了後の記者会見で橘宮司は、「人生最高の感動だった」と述懐。「千年続いてきた神仏習合の歴史の方が(分離後より)長い。仏教を信じ、神を尊(たっと)ぶ。これが日本人の心だと思う」と語った。

 明治まで北野天満宮を管轄する別当寺だった縁から天満宮側の立場で出仕した曼殊院門跡(京都市左京区)の藤光賢門主は、「神仏習合の信仰と歴史を改めて強く感じた」と感想。水尾寂芳・延暦寺執行は、「いろいろな災害や災難がある。神仏の前での善根が早期終息に繋がるよう誠心誠意お勤めした」と感慨を述べた。

 寺院だった北野天満宮

 天神信仰発祥の聖地・北野天満宮(北野社)は、天暦元年(947)に創建。左遷先の九州・大宰府で失意のうちに没し、直後に怨霊となって京に甚大な災禍をもたらしたと信じられた菅公の御霊を祭っている。

 菅公は生前、天台座主尊意を仏法の師とするなど比叡山と深い関係を有していた。菅公の怨霊鎮魂に際しては台密の修法がなされ、北野社の初代別当には菅原家出身の高僧で曼殊院門跡の是算が就任。以後、明治維新による神仏分離まで900年にわたり、北野社は延暦寺の末寺となり曼殊院が社務を統括した。

 神仏習合の根本思想である本地垂迹では、北野社の本地は十一面観音に。京都の鬼門を守護する比叡山に対し、北野社は大内裏の北・天門の守護神として鎮座し、宮仕(みやじ)という僧職が明治期まで神仏習合の形で日々の神事を勤修していた。
た。

2020/9/10

コロナ禍8月お盆 地方の場合 予想以上だった檀家の〝自粛〟 袴田俊英氏(秋田県藤里町・曹洞宗月宗寺住職、藤里町「心といのちを考える会」会長) 

 
 「今年のお盆はどうする?」
 お盆直前の8月7日に秋田県でも集団感染、いわゆるクラスターが発生し、新型コロナウイルスの影響がお盆を直撃するということで、県内僧侶の間ではその対応に苦慮することとなりました。

 秋田県での最初の感染者はダイヤモンドプリンセス号の乗客の方で、3月6日という早い段階で発表がありました。しかし、その後の推移は比較的穏やかで、このまま低い感染率で終息を迎えるのではないか、お盆も感染拡大の対策をやっておけば例年通りできるのではないか、と僧侶の中にも「緩み」がみられた時期の、集団感染の報でした。

 私は秋田県の宗門機関に勤務していることもあり、県内の状況の断片は耳に入ってきました。主なところは、
①棚経を取りやめた。
②墓地での読経を取りやめた。
③施食会を組寺の随喜なし、もしくは檀信徒のお参りなしで行った。

 感染の拡大を防ぐためには、移動人口の多いお盆の時期の行持は中止にしたいところですが、お寺の経営のことを考えるとすべて取りやめることは至難です。

寺院の経済格差

 私の預かっている寺も檀家数の少ない小寺院で(曹洞宗の過疎寺院の聞き取り調査対象になったくらいです)、棚経、墓参りは例年通り、位牌堂へのお参りは県外の方にご遠慮いただくよう文書でお願いした程度の対応しかできませんでした。

 後から聞いた話ですが、経済的体力があるお寺は「今年のお盆は楽をさせてもらった」とのこと。寺院の経済格差は一般社会より大きいなどといわれますが、まさに今年のコロナ禍でのお盆は、それを実感しました。

 感染の不安を抱えながらお盆を迎えてみると、檀家の皆様の「自粛」は予想以上のものでした。他県からの帰省は極力避けるように家族で話し合い、初めての帰省となるこの春卒業した子どもにも「帰ってくるな」と連絡したとのご家族の声を聞きました。私の次男も今春大学に入り、リモート授業でなければ東京に「ステイホーム」していなければならない身でした。同級生は多くが帰省できなかったようです。

 位牌堂やお墓参りには、マスクの着用や手の消毒は当たり前に行っていました。何よりも、例年であれば涼しい午前中に位牌堂の混雑はピークになるのですが、申し合わせでもしたかのように分散してお参りに来ていました。3月以来のコロナ対策の日々で、感染予防は既に生活習慣になっていることを感じました。

 一方、気がかりなこともあります。新型コロナウイルスは、ヒトからヒトへ感染する病であるがゆえに、人と人との関係を分断する対策が長期にわたってきたことで、問題が浮き彫りになってきました。

 私は普段、自死予防に関わっており、警察庁のデータにも触れることがあります。手元の最新のデータは6月のもので、1月からの6カ月間で全国の自死者数は前年比951人減少し9336人、減少率は9・2%です。前年ワーストであった秋田県は27人減少し82人、減少率は24・8%となっています。いずれも近年にない減少幅です。ある専門家は減少の理由として、自宅待機が要請されたことによって、職場や学校に行かなくてもよくなったことを挙げています。

 僧侶の日常に引き付けてみれば、葬祭の現場での変化があげられます。秋田では少なかった家族葬が主流になり、葬祭ホールの中には県外からの親族の参列を拒むところも出てきました。秋田は火葬を先に済ませ逮夜を行ってから葬儀をすることが一般的ですが、日を置かず、火葬当日の葬儀が増えてきています。法事も延期もしくは家族のみという形が多くなっています。

歴史の転換点

 いずれの変化も、これまでの人の関係が分断されたことに起因します。危惧するところは、コロナ禍の長期化で「人のつながりの意味」が見失われてしまうということです。

 自殺対策は人の関係を分断すれば効果的とか、葬儀・法事はいくらでも簡略化できるものであるとか、コロナ禍で見えてきたことを短絡的に捉え行動してしまうことは、コロナ後の社会をどうしたらいいのかという深い考えに結び付きません。

 今までの人のつながりが、一方で人を追い込むようなものではなかったか。これまでの葬祭儀礼にはどんな意味があり、何よりも僧侶がそれを自覚し檀信徒に説いていたのか。これらの反省を踏まえ、これからの「人のつながり」を考えていかなければいけないと思います。
パンデミックは社会を大きく変えてきました。私たちは今、歴史の転換点に立っているのかもしれません。

はかまだ・しゅんえい/昭和33年(1958)秋田県能代市生まれ。藤里町曹洞宗月宗寺住職。平成4年仏教思想を基盤に命の問題を考える「ビハーラ秋田」を設立。翌年から自死問題に取り組み、平成12年藤里町で「心といのちを考える会」を立ち上げ、現在会長。他に自死予防のための県民運動である「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」会長代行。しらかみ看護学院非常勤講師。平成28年正力松太郎賞正賞受賞。

2020/9/10
大仏建立キャラバン開始 曹洞宗僧侶発案 須磨寺で出発法要

 
須磨寺・小池副住職により営まれた護摩祈祷 新型コロナウイルスの蔓延で混迷する世の中を救う大仏の建立がスタートした。企画したのは現代美術グループ「ジャーマンスープレックスエアラインズ」(前田真治代表)の一員で曹洞宗僧侶の風間天心氏。「勧進キャラバン」として、等身大の「勧進仏像」と共に全国の寺院を巡礼し、法要を通して浄財を募って人々の祈りを受け止める「コロナ大仏」建立を目指す。

 出発法要は4日、兵庫県神戸市の真言宗須磨寺派大本山須磨寺で営まれた。勧進仏像の前で護摩を焚き、加持祈祷をしたのは趣旨に賛同した須磨寺副住職の小池陽人氏。燃え盛る炎の中、参列者が次々にチラシや新聞紙などを勧進仏像に貼り付けた。少々奇妙な姿だが、これは、コロナウイルスにより中止になったイベントのチラシや記事で、不完全燃焼になった思いを供養する意味を持たせた。風間氏の活動分野は絵画や写真など多岐にわたるが、このように観客が参加する形のインタラクティブアートも行う。

 小池氏は「風間さんのフェイスブックで企画を見て、とてもいい企画だと思ったのでぜひ当寺を会場にと申し出ました。寄付金の目標額などのゴールを設定しないでキャラバン形式で勧進するのは、一見すごく効率が悪いようだけれど、そこが実に仏教らしいと感じた。物を作る道のりや縁を大切にしていると思います」と話す。

発案者の風間氏は、人々がコロナ禍でこれまでのような活動ができないことに不安を抱き、マイナスのエネルギーが蓄積していることを憂慮。「僕自身もまた、内から生じてくる負の感情と葛藤する日々を過ごしている」とし、そのエネルギーをプラスに転換させる装置としての大仏の建立を発願した。

 勧進仏像の開眼法要は1日に三重県の高野山真言宗大師之寺で営まれており、須磨寺を出発後は大阪、岐阜、新潟の寺院を歴訪、今後も全国各地の寺院を巡礼する。協力に名乗りを上げている寺院は超宗派。風間氏は「仏教とは何かを自分自身で考えたとき、宗派にこだわるのではなく、それぞれの人の信仰心を大切にしていくべきだと思いました」と語る。

 法要はインターネットを通じ生中継する。「棚経のお参りに高齢の檀家さんのお宅に行くと、『体が悪くて、お寺に行けなくてごめんね』といった言葉も聞いたりします。色々な事情でお寺に直接来られない人にも参加してもらえるような形での活動をしたい」と風間氏。協力寺院は随時募集中。詳細はHP「コロナ大仏造立」(https://bigbuddha.jp)で。

2020/9/10

大本山永平寺 承陽殿の磬子を新調 都内2団体が寄付 御征忌に献納式


調音を終えた馨子を囲むシマタニ昇龍工房の島谷好徳専務(左)と島谷粂一社長(中央)ら 曹洞宗大本山永平寺(福井県永平寺町)境内の道元禅師霊廟「承陽殿」の磬子(けいす)が約90年ぶりに新調され、同寺で28日、御征忌に合わせて献納式が行われる。磬子は、東京都内の同宗関係2団体が寄付する。

 現在の磬子は昭和4年(1929)の製造。二祖孤雲懐奘禅師650回大遠忌に合わせて造られた。傷みがひどくなっていたため、永平寺の依頼を受け、本山護持団体「東京都祖門会」(久保達夫会長)と、別院長谷寺(東京都港区)で眼蔵会を催す「東京吉祥講布教後援積立会」(来馬英紀代表幹事)が寄付。91年ぶりに新調されることとなった。

 現在の磬子には寄付者として、「東京吉祥講本部同第二支部」の刻印があったことから話が持ちかけられたが、現在の東京吉祥講の発足は昭和7年頃。当時の団体は本山参拝の講とみられるが、詳しい関係性は分かっていないという。4月に亡くなった東京吉祥講の幹事を務めていた玉宗寺(同台東区)の續道雄氏が寄付の話を進めていた。

 新造する磬子は、富山県高岡市のシマタニ昇龍工房が製作。以前にも永平寺仏殿や大本山總持寺(横浜市鶴見区)に大型磬子を納めている。今年2月に修復の依頼を受けたが、亀裂が数カ所に入り音が響かない状態だったため、新調することになった。

 製作したのは口径76・5㌢、胴張91㌢、高さ71㌢、重さ101㌔の大型磬子。黄銅板(真鍮)を金鎚で叩いて焼きなます手作業を繰り返して形成し、最も重要な音のうねりを整える調音を行い、8月中旬に完成させた。今後、着色などを経て納品される。

 製作に携わった同工房の島谷好徳専務は、「これほど大きなものを叩くのは大変だったが、いい音色に仕上げられた。自信をもってお届けできる」と話した。

 久保会長(東京都港区・瑠璃光寺住職)は「道元禅師が祀られる場所に磬子を献納できる機会を与えていただき、祖門会としてありがたい」、来馬代表幹事(同豊島区・白泉寺住職)は「御征忌に新しい磬子が間に合ってよかった。これからいい音を響かせてほしい」と語った。

 なお永平寺では献納式の翌29日に、南澤道人副貫首が第80世貫首に就任し、入山式が営まれる。

2020/9/3 コロナ禍8月お盆 地方の場合 参列者や出仕者を制限 深沢照生氏(千葉県銚子市・真言宗智山派威徳寺住職)

施餓鬼法要後、法話を述べる深澤住職 今夏は連日のように猛暑が続き、さらにコロナ禍でさまざまな対応を強いられる中で、8月のお盆を迎えた。

 地元では8月に入ると各種のお盆行事が執り行われる。新盆七日法事、盂蘭盆施餓鬼法要、棚経、灯篭流し(送り火)、地蔵盆などである。しかし、例年通りの行事執行とはならず、異例ずくめの8月お盆となってしまった。

コロナ感染対策について、本宗教化部から『教化・布教活動再開における「新型コロナウイルス感染症の対応について』(2020年6月18日)という以下の通達が出された。

《全国的に緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ先の見えない状況です。第2波第3波に備え引き続き3密(密閉空間・密集場所・密接場面)の回避、外出自粛が求められています。このような状況下でご自坊に於ける恒例法要(施餓鬼法要・棚経)等の感染症対策が大変重要になります。それぞれの地域性や時期などを踏まえ状況に応じた対応をお願いいたします。以下、対応の一例をお示し致します。

1、施餓鬼法要における僧侶の対策
(1) 施餓鬼法要には多数の僧侶による読経が行われる場合が多く、その対策が必要となります。
・集会所においては僧侶が間隔を空けて着座する。
・集会所に入る前に塗香をとり、塗香回しは行わない。
・職衆は一定の距離を保ちながら上堂する。
・堂内の着座位置は一定の間隔を空ける。
・経典は微音にてお唱えする。
・法要終了後のお斎の席は控え、お食事のお持ち帰り等の対策をとる。

(2) 檀信徒への対策
 施餓鬼法要には多くの檀信徒がお参りに来られます。例年通りの法要ではクラスターを起こす危険性があるので、その対応が必要です。
・本堂内は一定の間隔を空けて着座して頂く。
・本堂に入れない方は回廊、屋外にて参拝、お焼香をして頂き、読経はマイクを使用し屋外に音声を流す。
・お渡しする卒塔婆等は事前に外に並べて接触を避ける。
・法話は、マイクを使用し距離をとり、飛沫感染を防ぐ。

2、棚経についての対応
・事前にハガキや電話にて棚経希望の確認をする。
・棚経にお伺いする時と読経の際にはマスクを着用し、その旨を説明する。
・密の状態を避ける為、同室には近親者のみの参列とし、マスクの着用をお願いする。
それ以外の方は他の部屋にて読経を聞いて頂く。
・部屋の換気をお願いする。
・自宅に伺う前後にはアルコール消毒を行うこと。》

 通達に沿って、自坊でも以下の通り、8月お盆行事の対策を行った。
3密の回避ということで、行事への参列者の人数を制限した。堂内への参列者は、原則新盆を迎える家族で一家族2名までの参加とさせていただいた。堂外にも焼香台を設置し外から参拝出来るよう対応した。

 コロナ対策と共に熱中症対策として空調をフル稼働しつつ窓や扉を開け堂内の十分な換気を行った。入口に消毒薬を設置し、参列者には入場の際、手指を消毒していただき、マスクの着用をお願いした。参拝者への湯茶接待はペットボトルのお茶を配布することにした。また当山では、施餓鬼法要時には例年智山雅楽会の奉楽をお願いしているが、今年は雅楽会の出仕を取りやめ、さらに組寺の法要出仕者も例年の半数とさせて頂いた。

 施餓鬼受付帳場にはアクリル板を設置し、受付のお手伝いをお願いしている役員・世話人にはフェースシールドまたは、マスクの着用をお願いし感染予防に努めた。

 棚経参りの際にはマスクを着用しての読経で猛暑の中つらい思いをした。

 新盆を迎える各家では例年多くの親族や近所の人たちが集まり、中には、小さなお子さんたちがはしゃぎ回り、昼からお酒を飲んで賑やかに団欒を過ごされている様子も見受けられたが、今年はコロナ禍で都会に住む子や孫たちも帰省することなく、老夫婦、地元に住む親族だけで静かに新盆を迎えられていた。

 地元銚子では、16日の送り火には、銚子市仏教会によって市内各寺院住職が参列し、利根川河畔にて灯篭流し供養が実施されていたが、今年はコロナ禍の影響で中止となった。お盆期間中催される地元の花火大会や盆踊り大会も中止となった。

 組寺の中には、施餓鬼法要を中止したり、檀信徒は参列せず住職のみで施餓鬼法要を営んだり、複数回に分けて法要を営む取り組みを行っていた。今夏のお盆行事はコロナ禍によって様変わりしてしまった。

 さて、コロナ禍によって、盆行事ばかりでなく、昨今の葬儀や年回法要の様相も大きく変わってしまった。高齢者施設では家族の面会が制限され、病院へ入院した方は面会も人数制限されたり、時間制限されたり、あるいは、面会も出来ず、最期の看取りも出来ないまま亡くなってしまったと悲嘆にくれるお檀家さんの話をよく耳にする。

 地元自治体では火葬場への人数制限がなされ、遠隔地やご近所の弔問もなく地元の親族のみにて営まれるいわゆる家族葬や火葬場からそのまま寺に来て葬儀を行う直葬が増えてきた。年回法要もキャンセルや延期が続いている。卒塔婆のみにて済ませてしまうこともある。

 コロナ禍の影響でますます宗教儀礼が簡略し、なお一層寺檀関係の希薄化、寺離れが加速したように感じる。

 地域コミュニティの中心的役割を担ってきた寺院はコロナ禍によって年中行事の中止や縮小を余儀なくされ、さらには葬儀や年回法要の簡略化に伴って檀信徒との関係も大きく様変わりしてしまった。

 檀信徒の安寧と疫病退散を祈願しつつ、コロナ対策に追われ今夏のお盆は過ぎていった。


ふかざわ・しょうせい/1959年生まれ。東洋大学(印度哲学)卒。下総海銚教区長。全日本仏教会国際文化部次長、真言宗智山派教化センター所員、智山派財務部長、全日本仏教会理事などを歴任。

2020/9/3

全日仏「仏教とSDGs」女性3氏提言 ジェンダー平等焦点にあてWEBシンポ


 
左上から時計回りに、戸松、村木、岡田、田中各氏 SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる17目標のうち、ジェンダー平等に焦点をあてた全日本仏教会(全日仏)の公開WEBシンポジウム「〈仏教とSDGs〉現代社会における仏教の平等性とは―女性の視点から考える」が8月25日に開かれた。江戸文化研究者の田中優子氏(法政大学総長)、元厚生労働省事務次官の村木厚子氏(津田塾大学客員教授)、日蓮宗僧侶で仏教学者の岡田真水氏(兵庫県立大学名誉教授)が提言した。コーディネーターは戸松義晴全日仏理事長が務めた。

 開式にあたり、木全和博事務総長が2018年のWFB(世界仏教徒会議)日本大会で採択された、SDGsを含む東京宣言の具現化を進めていると説明し、「仏教界は伝統的に男性社会。しかし近年は女性が寺院と関わる場が増えてきた。多様性を尊重する社会において、様々なご意見に耳を傾けることが今一度仏教の価値を見出すことにもつながる」と述べ、今シンポが学びを深める機会と位置付けた。

 最初に田中氏が、平安期から近代までの寺院のあり方や仏教思想について概観。中世において寺院は女性にとって駆け込み寺であり「アジール」であった。江戸時代には檀家制度が導入されたものの、駆け込み寺は残った。「仏教の教えに『山川草木悉有仏性』がある。すべてに仏性があるという基本があり、アジールとなりうる。しかし政治権力は、力が及ばないアジールを排除しようとする」とした。

 近代に入り仏教は廃仏毀釈に遭遇し弱体化したのは、権力側が「アジール的機能、平等思想」を危険視したからだという。そして仏教と女性解放が結びついた例として平塚らいてふを紹介。1911年9月『青鞜』創刊号で「原始女性は太陽だった」という有名な一節のほか、「草木国土悉皆成仏す」と記し、仏性を重視していた。さらに「廃仏毀釈後、仏教をよりどころにして(平塚らいてふらの)日本の女性解放運動は動いていった。単なる政治運動ではなかった。まさに人間解放運動であった」と提起した。

 村木氏は現代社会に視点を置いて話した。SDGsのうち、日本でもっとも遅れているのがジェンダー平等だとし、国際的調査結果である「男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数」(2019年)において日本は、153カ国中121位。 日本は女性活躍が進んできているのに、なぜ順位が下がるのか――。村木氏が事務局に問い合わせたところ、「日本は良くなっている。しかし他の国はもっと速いスピードでやっている」との返答を紹介し、日本の改革にスピードが欠けていると難じた。一方で諸外国のデータから「女性の就業率が高い国ほど、合計特殊出生率も高い傾向にある」と解説し、女性の活躍は少子化対策にもなると述べた。

 岡田氏は自身の体験を交えて発表。ジェンダー研究は苦手だったが、この分野を開拓してきた宗教学者の川橋範子氏(国際日本文化研究センター客員教授)の「他人の苦しみのわかる人になるため」との言葉に共感し、触発されたという。

 また幼少時から大学教員の一時期まで「女であることを意識せずに生きてきた」ものの、「21世紀になって突然、女であることを不都合に感じるようになった」。大学等の委員会で3割は女性と規定されたことから、「専門であろうとなかろうと何でも回ってきた」ため多くの委員会委員に。「『3割の呪い』が降りかかり、女性であることが不都合だと初めて感じるようになった」と吐露した。

 こうした体験を経て東日本大震災から3年後、大学を早期退職して僧侶になろうと決心し、日蓮宗住職である夫のもとで出家した。宗門の女性が元気である理由として、「法華経に登場する8歳の龍女は、膨大な経典の中でたった一人、その身そのまま成仏している。ほかでは、男になったり、生まれ変わって仏になる。そういう経典をよりどころにしているためであろう」と推察した。

 続いて戸松氏を進行役にトークセッション。話題は広範囲に及んだが、その中で「伝統」に着目。田中氏は「排除ややりたくない時に都合よく使われる」と指摘。一例として夫婦別姓に言及し、伝統と思われている夫婦同姓は明治期にドイツを真似て導入されたもので、江戸時代から夫婦別姓だったと明かし「伝統」に注意を促した。

2020/9/3

来年4月、国際学部が誕生 大谷大学 木越康学長に聞く 京都の国際的環境を活かす 3コース海外フィールドラーニングも

 
「Be Real」精神で展望を語る木越学長 大谷大学(京都市北区)は2021年4月、国際学部を発足させる。「世界中のどこでも、身近な他者に気づき、寄りそい、共生できる人」を養成することを目標に掲げる。展望を木越康学長に聞いた。
 
 「2018年に教育学部と社会学部を設置しました。従来から国際学部を設立しての4学部への構想はありましたが、大学の体力の面も考えるといきなりにはできなかった」といい、満を持しての新設となる。定員は100人だ。

 昨今、大学の新学部設置は盛んだが、文科省による認可のハードルが高いのも事実。仏教系大学でも新学部設置の申請を取り下げた例がある。しかし木越学長によると、これまでの国際文化学科を発展的改組して学部にするために、特に厳しい注文はなかったようだ。「1993年に文学部国際文化学科を開設して以来の活動実績がありますから、資産なども認めていただけているのではないかと。新学部は、今まで作り上げてきたものをブラッシュアップしていくということです」

 カリキュラムを見ると、1年次から京都を舞台にフィールドラーニングを行うのが目を引く。外国人観光客に対するインタビュー調査を行い、分析の上でプレゼンテーションを行う。「京都で学ぶというのが大きなコンセプト。京都には国際的な環境がたくさんありますから!」と木越学長は自信を見せる。2年次以降は「英語コミュニケーションコース」「欧米文化コース」「アジア文化コース」の3つのコースに分かれ、国内だけでなく留学による海外フィールドラーニングも行われる。大谷大学はアジア・欧米の27大学と学術協定を結んでいる。より高度な語学力が身につきそうだ。

 真宗大谷派の教師資格も取得可能だ。「国際学部だけでなく、全学部で教師資格の取得は可能です。宗門子弟の立場からすれば、選択肢は仏教学科、真宗学科だけとはいかない時代。社会学部を出て公務員になったり、教育学部を出て教員になったりして、色々な形で僧侶になろうという人がいる」と語る木越学長。ちなみに国際学部卒業生の進路としては、観光業や航空・交通、教員や公務員のほか、真宗大谷派宗務所が想定されている。国際時代の宗門を担う人材の育成も視野に入れているわけだ。宗教教育には重きを置き、木越学長は「国際的に、異文化、他者を理解するためには宗教を理解することが必要です。仏教だけでなく他宗教のことも理解しなければならない」と力を込める。

寄りそう知性
 気になるのは新型コロナウイルスの拡大。外国人観光客の減少、留学での海外往還に困難があり、実際、今年は教職員の海外出張はすべて中止。終息までは「限定的な活動をせざるを得ないのは事実」と苦衷を覗かせる。6月29日から対面授業を再開しているが、遠隔授業に慣れた学生からは「大学に行くのがめんどくさくなった」という声もあったという。人間の精神にコロナウイルスがどのような影響を与えるかは未知数のようだが、全学生(約3300人)に1年次から指導教員がつくなど、学生サポート体制は充実しており、学生に物心共に寄りそう教育をしていく。

 仏教の「智慧」「慈悲」の精神に基づき、2018年から大学キャッチフレーズとして「Be Real 寄りそう知性」を定めた。「真実を立脚地として、世の中の現実を生きていこうという態度を表す」ということである。

 進歩する科学技術の暴走の危険性や、自国ファースト的思想の拡大も懸念される国際社会。「現実の動きに警鐘を鳴らすような(真実の)視点も、仏教系の大学としては持たなければいけない」と語る。仏教の智慧で、世界の問題を解決する国際的な若者の登場が期待される。