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2022/7/7
比叡山宗教サミット35周年 実行委員会が会見 「気候変動と宗教者の責務」諸宗教の力を結集し行動へ


記者会見に臨む大樹孝啓名誉顧問ら実行委員のメンバー 比叡山宗教サミット35周年記念「世界宗教社平和の祈りの集い」が8月4日、京都国際会館(京都市左京区)と天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市)で開催される(主催=同実行委員会)。「気候変動と宗教者の責務」をテーマに国内外の宗教者ら400人が参加予定。6月27日に京都市内のホテルで阿部昌宏実行委員長(天台宗宗務総長)らによる記者会見が行われた。

 大会名誉顧問を務める大樹孝啓天台座主は、人間が勝手なことをして自然を破壊し、いろいろな弊害が出ている」と述べ、物質文明の中で環境破壊が起きていることや、戦争や紛争により難民、避難民が大勢出ている目下の地球を憂慮。伝教大師の言葉「一身弁じ難く、衆力成じ易し」(『伝述一心戒文』)を引き、「一人の身では僅かな力しか出ないけれど、大勢の心を合わせた力によっていろんなことは成り立つ。この真理はいつまでもその通り」とし、諸宗教が協力して世界平和の構築のため行動を起こさなければならないと呼びかけた。

「祈りの集い」ポスター 午前10時に国際会館で開会。多摩大学学長の寺島実郎氏が「歴史的大転換期における宗教―心の回復力(レジリエンス)」のテーマで記念講演する。続く気候変動シンポでは薗田稔氏(日本、秩父神社宮司)、竹村牧男氏(日本、世界宗教者平和会議日本委員会平和研究所所長)、ジェームズ・バグワン氏(フィジー、メソジスト教会・太平洋協会協議会事務総長)、デズモンド・カーヒル氏(オーストラリア、カトリック・アジア宗教者平和会議実務議長)が発言する。その後、延暦寺に移り平和の鐘を鳴らし、祈り、そして「比叡山メッセージ2022(仮称)」を発表する。5年前に折り鶴を納めた「祈りのオーブ」も登場する。

 比叡山宗教者サミットは1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が提唱した「アッシジ平和の祈り」の精神を受け継ぐもの。そこで同じく平和の祈りを受け継ぐカトリックNGO団体・聖エジディオ共同体のアジア地域担当部長のアゴスティーノ・ジョバニョーリ氏が招聘される。

 集いの模様はYouTubeでオンライン配信される。(続きは紙面でご覧ください)

2022/7/7

曹洞宗宗議会 宗憲変更めぐり〝教学論〟 「和合」と「即身是仏の承当」宗制関係36案を審議 


演説する鬼生田総長 曹洞宗の第139回通常宗議会(三𠮷由之議長)が6月27日から7月1日の5日間、東京都港区の檀信徒会館で開かれた。前宗議会から継続審査となっていた宗憲の変更案に関し、有道会の河村康秀議員らが初日に修正動議を提出した。変更案によって教団が、宗旨とする「即身是仏の承当」よりも「和合」を重視しているように見えかねず、宗門の第一義に混乱を招くと疑問を呈した。

 変更案では、第1条の見出しを「名称」から「名称および趣旨」に改めた上で宗憲の趣旨を説明する項を新たに設け、「宗門は、その和合と興隆を念願する全宗門人の堅い信念に基づき、この曹洞宗宗憲を定める」(一部省略)と加えた。宗旨は第3条で述べられ、「仏祖単伝の正法に遵い、只管打坐、即身是仏を承当すること」(同)としている。

 河村議員は、第1条に「和合」を謳う趣旨が入ることで宗旨との間に混乱を招くと問題視し、「宗門の第一義が和合であるとは言えない」と主張。趣旨の新設は不要などとして、さらなる継続審査を求めた。

 採決では発議した7人以外が反対し、否決された。河村議員は「最高法規である宗憲の変更が、満票で決まらなかった。非常に残念だ」と語った。なお、変更案を検討した特別委員会の審査を経て、最終的に第1条の見出しは「趣旨」となり、名称についての条項は削除された。

 内局の任期中、最後の宗議会となった鬼生田俊英宗務総長は、重要課題に掲げた宗制の全体的見直しの締め括りに、規程変更案など宗制関係だけで36案を提出した。(続きは紙面でご覧ください)

2022/7/7
本願寺派 女性布教使大会 如来の慈悲 4人が法話 多様性狙い6回目


右上から時計回りに肥田さん、味府さん、松本さん、八幡さん  浄土真宗本願寺派の第6回女性布教使布教大会が6月24日に大阪市の津村別院で開催された。近畿・北陸から4人の女性布教使が仏法に出遇えた喜びを、自分の体験を絡めながら説法した。聴衆は男女を問わず、約60人が聞法した。

 トップバッターは北陸教区の八幡真衣さん。「またね!」と題し、昨年、法話中に倒れた経験とその回復の中で家族に励まされたことを織り交ぜながら「大好きな家族、大事な人、皆さんにもそれぞれにいられるかもしれません。どちらが先に往くことになるかわかりません」と述べ、だからこそ今、念仏することが大切なのであり「サヨナラのない世界を阿弥陀様が両手を合わせて待ってくださっている」。布教使2年目のフレッシュな感性で語りかけた。

 和歌山教区の肥田眞琴さんは「願いの中につつまれて」の題で法話。母から僧侶になることを願われ、豊かな愛情を受けて育ったことを回想し深く感謝しつつ「子煩悩というのは私たちの一番深いところの煩悩なんですね」と話し、そのような罪悪深重煩悩熾盛の凡夫を必ず救ってくれる如来の慈悲の願いを、朗々とした和讃も織り交ぜつつ語った。

 大阪教区の松本知子さんは、月参りで独居の門徒がいつも心を込めてお茶を淹れてくれることに触れ、「20数年前より5倍くらい時間がかかっている」としつつ、「その一杯のお茶は格別な味がしました。老いるってことはこういうことやなと思いながら、それも私の身に起こっていくこと。時間をかけて一杯のお茶を仕上げてこの私に届けてくださる、そのぬくもりが私の心に伝わる」と、月参り文化が根付く大阪ならではの人情法話。

 最後は大阪教区の味府浩子さん(女性布教使研修会実行委員会代表)。自分たちはどうしてもお金があるか、健康か、若いかといったことを尺度として生き、人と比べて死ぬまで苦しんでしまうが、「仏さまは、そんなこといいじゃないのって言っているの」。煩悩まみれの人間を絶対に救わずにはいられないから「お念仏して思い出しなさい、どんな時でも安心して生きなさいっておっしゃってる」と生きる力を湧き立たせる話をした。

 味府さんは女性布教使大会のねらいについて「多様性や女性の視点を考えた時、こういう機会があってもいいのかなって」と話し、来年以後はコロナの状況次第ではより幅広い地域から布教使を招いて大会としたいと期待した。女性布教使研修会の会員は現在、約240人。

2022/6/30

真如苑 初の「真如ヤーナ済摂会」執行 屋外法要に7千人参座 融和世界の顕現、開かれた聖地へ


参座者に向かって洒浄する伊藤真聰苑主 20年前に入手した東京・立川市と武蔵村山市に跨る広大な敷地(旧日産工場跡地)を、先般「真如ヤーナ」と命名した真如苑(総本部=立川市)。新たな聖地への出発となる火と水の浄儀「真如ヤーナ済摂会」が18日、伊藤真聰苑主を導師に執り行われた。雨や猛暑が心配されるなか、薄曇りの好天にめぐまれ行われたこの野外法要には、地元市長など来賓のほか7千人の教徒が参座した。

 106ヘクタール(東京ドーム23個分)という敷地の中央部分に特別の祭壇がしつらえられ、常住本尊と開祖・霊祖・両童子の尊像が安置され、護摩壇も配置された。稚児行列に続き、浄儀に用いられる火と聖水を携えた出仕者らが会場奥から祭壇へと進列。その後に苑主が特別車で続いた。

 登壇した苑主が挨拶。真如ヤーナの意味をひも解き、「ヤーナは古代インドのサンスクリット語で、乗り物、道、教えを表します。すなわちここに真如ヤーナは、真如開祖教主様のお名前のごとく『真乗』。真の乗り物そのものです」と述べ、伊藤真乗開祖(1906~1989)の思いを具現化したものであることを示唆した。

 さらに「人と自然、あらゆる存在が共生・融和し、地域、社会をはじめ、幅広い分野で世に貢献する開かれたステージをここに作り上げてまいります」と決意も口にした。

 最初の法要となる火と水による「真如ヤーナ済摂会」について「多様性を融和に摂め、善なる個性を輝かせ、一切を救いへ導く」法会と解説、融和世界顕現を祈誓すると表明した。

 法要は、斉燈護摩で行われる承仕の所作をアレンジ、青年が群舞で結界し開始。真如太鼓とオーケストラという和と洋の音楽、コーラスなどをBGMにしながら、智慧の火で護摩が焚かれ、慈悲の水で万霊を廻向。祭壇前の池に灯籠も浮かべられた。

 この敷地の活用法については真如苑、立川市、武蔵村山市、東京都の四者で協議し、この間、周辺環境の整備や生態系の回復にも努めてきた。真如苑では現在世代で終了するプロジェクトではなく、50年、100年、200年と次世代、次々世代も参画し、変化する世界、環境にそって人々に寄り添い、様々な価値観を超えて心かよう空間づくりを構想している。

2022/6/30

東寺でウクライナ法要 駐日大使が参列、献花 犠牲者慰霊し平和願う


 ロシアによるウクライナ軍事侵攻から4カ月となった6月24日午後、京都市南区の東寺真言宗総本山教王護国寺(東寺)・大日堂で「ウクライナ軍事侵攻犠牲物故者慰霊並びに平和祈願法要」が厳修された。駐日ウクライナ特命全権大使や大使館職員、京都で暮らす同国人をはじめ、ルーマニア人やアメリカ人ら12人が参列。ウクライナの国花ヒマワリを宝前に献花した。英訳願文も奉納。大使館を通して、ゼレンスキー大統領に届けることになった。

 吉村増亮宗務総長を導師に宗内高僧12人が職衆として出仕。最初に僧侶と参列者全員で黙祷を捧げてから法要に入った。

 祭壇の両脇にはウクライナ国旗と国旗の色に盛られたヒマワリが供えられ、参列者はその中央にヒマワリを一輪ずつ献花。合掌し、平和の到来を祈念した。法要中、堂外には一緒に合掌する一般参拝者の姿もあった。

日本語に続き、英訳された願文も奉読された 吉村総長は願文で、「神に慈しみの光あり、仏に平和の教えあり。人は安寧幸福を求めてやまぬところ、何故(なにゆえ)世は武を弄(もてあそ)ぶのか」と悲憤。「宗教は違えども祈りは通ずる」と念じた上で、軍事侵攻犠牲者への哀悼と慰霊、そして「ウクライナ国恒久の平和」を祈願した。

 この願文を英訳し、ルーマニア人の参列者マーガリットさんが読誦。「Humans are born to love, and to be loved.」(人は愛し、愛されるために生まれる)と人間存在の真理を唱えた。英訳願文も宝前に供えられ、平和のメッセージをウクライナに回向した。

 1カ寺×3万円で勧募 近く義援金を大使館へ

 吉村総長が法要後に挨拶。「本日の祈りが通じて一日も早くウクライナに平和が訪れ、国民の皆様が今まで以上に幸せに暮らしていけるようになることを願う」と述べた。

 セルギー・コルスンスキー大使は、「毎日のように子ども、女性、お年寄りを含めて罪のない人たちが死亡している。誰も冷静でいられない。母親は子どもが生き残るよう、爆撃で死なないように神様に毎日祈りを捧げている」と心痛の念を表明。「命と平和に最高の価値を置く仏教の本日の祈りは、私たちにとって極めて重要だ」と感謝した。

 同宗ではウクライナへの人道支援として、正住職寺院約130カ寺に3万円以上の義援金を勧募。近日中に東京に行き、大使館に届ける予定だ。

 吉村総長は3月の宗議会で、「軍事侵攻に対して宗派声明を出すかどうかではなく、その前に宗教者として慰霊と平和を祈りたい」と演説。宗議会後、ウクライナ大使館に赴いてこの思いを伝えたところ、大使も快諾し、今法要が実現したという。

 今法要には、高野山真言宗から国際局長の桐生俊雅教学部長ら3氏も参列。大使に平和への思いを伝えるなどしていた。

2022/6/30
最高裁、国の責任を否定 原発事故被害者住民の4訴訟 落胆と批判の声


 2011年の福島原発事故により被害を受けた住民らが国に損害賠償を求めた4つの訴訟で17日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は、地震が想定を超えて大きかったため「事故を回避できたと判断するには無理が大きすぎる」と国の責任を否定する判決を下した。裁判官4人のうち、1人が国の責任を認める反対意見を述べた。避難者の支援や原発問題に取り組む宗教者からは、落胆と批判の声が上がっている。

 同訴訟では、群馬・千葉・福島・愛媛で行われ、群馬だけが東京高裁で国の責任を否定する判決が出され、国の責任についての最高裁の統一的判断が注目されていた。

 判決では、福島第一原発事故以前の津波対策は防潮堤が基本だったとし、実際に発生した地震・津波が想定よりはるかに大規模であったため、国の地震予測「長期評価」に基づく防潮堤を国が設置させたとしても、事故は避けられなかったと国の責任を認めなかった。

 一方で、反対意見を述べた三浦守裁判官は、国は遅くとも長期評価の公表から1年が過ぎた2003年7月頃までに、原子炉施設が津波により損傷を受けるおそれがあると認識でき、東電に改善を求める「技術基準適合命令」を発する必要を認識できたと指摘。事故を回避できた可能性に触れ、国が「規制権限を行使しなかったことは合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法である」との認識を示した。
 
 司法の忖度ではないか
 原賠裁判を支援する群馬の会の小野文珖氏(日蓮宗僧侶・群馬諸宗教者の集い代表)の話

 6月17日の最高裁正門前は30度を超す暑さをものともしない全国の原告・支援者でひしめいていた。判決の出た2時半頃から周囲の雰囲気が重く静まりかえり、イヤな気分になってきたところ、訴訟団の弁護士の沈痛な声がマイクから伝わってきました。「国の責任を認めず――」。周りの原告から、「うそー」「バカな―」。声にならない悲鳴のようなものも聞こえてきた。

 要は想定外の事故だったので防ぐことはできなかった。国には責任はない、という判決。これは「公正な」判決とは言えないだろう。「不当判決」もはなはだしい。

 広島・長崎で放射能被害を体験している日本である。近くにスリーマイル島やチェルノブイリの事故を目の当たりにしている。にも関わらず国策で原発を作り続け、地元住民には「絶対安全」「事故など起こるはずがない」と説得してきた。国の原発行政の結果だったことは間違いない。電力会社にだけ責めを負わせて逃げてしまう、それを日本の司法が追認して免罪符を与えてしまうとは、司法の忖度としか言いようがない。最高裁第二小法廷の判決に賛成した3人の裁判官を弾劾したい。

 世論の喚起が重要
 原子力行政を問い直す宗教者の会・長田浩昭氏(真宗大谷派僧侶)の話

 原子力政策という国策の本質、すなわち国が責任もとらなければ犠牲もかえりみない、ということが表れたとんでもない判決。これでは三権分立も、国民を守ることも成立しないのではないか。

 これから再稼働が進められても、安全確保はすべて自治体や国民に丸投げということ。命の犠牲を大前提にした行政が本当に正しいのかを問うのが司法の役目であるはず。ただ、4人の裁判官のうち1人が反対意見を出したのは、良心からだと思いたい。

 私達の裁判(宗教者核燃裁判)はこれから第4回口頭弁論(東京地裁、7月7日)で、現時点ではこの判決がそこまで影響があるとは思っていないが、最高裁というのは世論に敏感なところ。「こういう判決を出しても国民は怒らない」と思えばこういう判決になってしまう。国民一人ひとりが原発の危険性を考え、監視し続けていくことが重要になってくる。

 今、北海道の神恵内村と寿都町に核のゴミを捨てるという計画が出ている。都会で電力を大量に消費し、10万年残るゴミを出して遠くの町や村に押し付ける。こんなことでいいのかと声を上げ、繰り返し世論を喚起していかなければならない。

2022/6/30

第39回庭野平和賞贈呈式/記者懇談会 南アフリカのラプスレー司祭 平和をつくる「助産師」に


賞状を手にするラプスレー司祭©2022 Niwano Peace Foundation 第39回庭野平和賞(公益財団法人庭野平和財団主催)を受賞した南アフリカのマイケル・ラプスレー聖公会司祭(73)への贈呈式が14日に開催された。17日には記者懇談会が開かれた。反アパルトヘイト運動の過程で郵便爆弾により両手と右目を失った司祭は、人間の奥底に残る心の傷(トラウマ)を癒す「記憶の癒し」ワークショップを通じて、平和構築に取り組む。人間はみな平和創出の「助産師」になるよう訴えた。

 3年連続のオンライン開催となった贈呈式。庭野平和賞委員会(全9人)のランジャナ・ムコパディヤーヤ委員長(インド・デリー大学准教授)が贈呈理由を報告。その中で委員の一人が「ラプスレー司祭は大きな代償をはらいながら、なおも記憶の癒しを訴え続けている。それが示すことは、世界に迫害の犠牲者が数多く存在する中、赦しと癒しについて語る強靱な被害者の姿であり、権力者は強靱なる被害者の存在を認識する必要がある」と述べたという。

 庭野日鑛・財団名誉会長(立正佼成会会長)が賞状を読み上げ、アパルトヘイト撤廃や心の傷を癒す活動に讃え、賞状をおくった(副賞は顕彰メダルと賞金2千万円)。(続きは紙面でご覧ください)

2022/6/23

全日仏 新理事長に里雄元大谷派総長 事務総長は尾井氏 直近課題に参院選、山梨大会

 
 (公財)全日本仏教会(全日仏、東京都港区)は14日、評議員会を開き、任期満了に伴い第35期の理事及び幹事を選任。続く理事会で新理事長に真宗大谷派元宗務総長の里雄康意氏の就任を承認した。第35期の会長は大谷派の大谷暢裕門首で、会長と理事長が同じ宗派というのは第33期の曹洞宗以来となる。新事務総長には浄土真宗本願寺派の尾井貴童氏(築地本願寺副宗務長・東京教区教務所長)が就いた。任期は2年。

 コロナ禍のため2年前の第34期に続いてオンラインによる評議員会と理事会で新執行部が決まった。ロシアによるウクライナ侵攻といった国際的な難題に直面しているが、全日仏としては直近に迫った参院選(7月10日投開票)に対する候補者推薦や、10月7・8両日に開かれる第46回全日本仏教徒会議山梨・身延山大会が当面の取り組み課題となる。

 コロナ禍以降、対面型の公開シンポジウムなどはなされていないが、オンラインでSDGs(持続可能な開発目標)に関連したシンポが何度か開催された。こうした路線は新執行部にも引き継がれると思われる。

 また33期と34期の理事長が社会人権審議会に諮問した事項に死刑廃止に関するものがある。いずれの答申でも「仏教の教義と死刑が相いれないことは明白」と明言。しかし死刑制度の是非については触れていない。里雄理事長の属する大谷派は死刑廃止の立場をとっており、死刑廃止論に進展が見られるかどうかが注目される。

【里雄康意(さとお・こうい)理事長略歴】昭和24年(1949)1月生まれ。73歳。1993年12月より大谷派宗会議員。現在8期目。3内局で4度の参務を務めた。2012年から2016年まで宗務総長。宗務総長時代、大谷暢顕門首(当時)の後継者としてブラジル国籍の暢裕氏(現全日仏会長)着任の道筋を付けた。自坊は岐阜県海津市の緑林寺。

【尾井貴童(おのい・きどう)事務総長】昭和38年(1963)2月生まれ。59歳。2006年本願寺派財務部長を皮切りに、統合企画室次長兼所務部財務担当部長、総合企画室長などを経て21年7月から築地本願寺副宗務長・東京教区教務所長。自坊は兵庫県丹波市の照徳寺。


 4宗派体制維持

 全日仏は59宗派、37都道府県仏教会、9仏教団体の計105団体で構成されている。このうち宗派の上位10宗派から職員が出向し業務に当たっている(ほかに2名の職員)。

 さらに10宗派の中で負担金が大きい曹洞宗・本願寺派・大谷派・浄土宗が慣例で理事長と事務総長を順番に務めてきた。公益財団法人に移行(2012年4月)したころにはその見直し機運もあったが、4宗派体制は維持されている。

 かつては1954年の創立後、会長も4宗派体制だった。しかし第15期(1982年)に日蓮宗管長が全日仏会長に就任してから10宗派に広がった。「仏教界が直面している問題の解決のためにも10宗派の有為な人材を登用できるようにしたらどうか」という声は少なくない。

2022/6/23
東西2学園が150周年 立正大学学園 花園学園


立正大学学園「立正グランドデザイン」を発表 建学精神活かして人材育成

「立正グランドデザイン」を発表する望月理事長 (学)立正大学学園開校150周年を祝う記念式典が15日、東京都品川区の同大品川キャンパス石橋湛山記念講堂で開かれた。日蓮宗教育委機関「飯高檀林」を淵源として明治5年(1872)に設立された日蓮宗小教院を開校の起点とし、9学部16学科7研究科を擁する総合大学へと発展した歴史を振り返るとともに、150周年を節目とする新たな時代に向けた長期構想「立正グランドデザイン」を発表した。

 記念法要では、導師を務めた学園総裁の菅野日彰・日蓮宗管長が挨拶。宗祖日蓮聖人の三大誓願を拠り所として第16代学長の石橋湛山のもとで明文化された建学の精神「真実を求め至誠を捧げよう/正義を尊び邪悪を除こう/和平を願い人類に尽くそう」を紹介し、「まさに立正精神。先師先聖より脈々と受け継がれたこの精神を根本として、時代に適応した知識と技術を修めた社会に有為な人材を育て、輩出し、150周年を迎えることができた。本日この日が200年に向けての第一歩となりますよう未来永劫の発展を期待します」と学園の発展を祈念した。

 式典は歴代理事長・学長をはじめとする関係者が列席する中、大学吹奏楽部、同大付属中学・高等学校吹奏楽部が共演する演奏で幕を開けた。

 学園の望月兼雄理事長、大学の寺尾英智学長、付属立正中学・高等学校の大場一人校長が挨拶。望月理事長は学園の沿革を繙きつつ、多様な150周年事業の成果を挙げ、「さらなる教育発展のために、歴史と伝統のある学園として誇りをもって皆さんと一緒に進んで参りたい」と呼びかけた。(続きは紙面でご覧ください)

花園学園 妙心寺法堂で記念式典 9月と10月にも記念イベント

狩野探幽の雲龍図の下での法要。導師は小倉管長 (学)花園学園(本部=京都市中京区)は14日、右京区の臨済宗妙心寺派大本山妙心寺法堂で創立150周年記念式典を開催した。明治5年(1872)妙心寺に臨済宗各派連合の経営による僧侶養成機関「般若林」が設置されてから1世紀半、数多の僧侶を輩出してきた歴史を噛み締め、さらなる未来に向かう一歩を踏み出した。

 妙心寺派の小倉宗俊管長を導師として、学園関係各位物故者慰霊法要が営まれた。続いて野口善敬理事長(妙心寺派宗務総長)が挨拶。同大教授で学僧でもある野口理事長は、花園大学の前身である臨済宗大学の学長だった釈宗演(円覚寺派管長)、その教え子の鈴木大拙が禅を世界に広めたことや。柳田聖山や入矢義高といった優れた学者の研究を称賛した。

一方で「禅は言うまでもなく、僧侶だけでなく元々世界すべての人々に差別なく大きく開かれています。一般社会を離れて仏教も禅も存在しない」とし、幼稚園から大学院までの幅広い教育を持つ学園で「世界で活躍できる人材を必ずや育ててまいります」と決意を述べた。

 田中英之文部科学副大臣(京都市出身)、西脇隆俊京都府知事、門川大作京都市長が祝辞を述べた。門川市長は大学間連携組織「大学コンソーシアム京都」の単位互換制度で、花園大学の禅の講義が他大学の留学生にも人気があることを称揚した。

 横田南嶺総長(円覚寺派管長)と、花園大学仏教学科OBでソフトバンク㈱代表取締役社長の宮川潤一氏(学園理事)が記念対談。寺院の生まれから世界的実業家となった宮川氏のあゆみや、メタバースなど最新技術について盛り上がった。(続きは紙面でご覧ください)

2022/6/23
豊山派 宗祖生誕1250年事業 総本山長谷寺 総登嶺がスタート 


宗祖降誕会に合わせて厳修された開白法要 来年迎える宗祖弘法大師御生誕1250年の記念事業として、全国49宗務支所の住職・檀信徒による総本山長谷寺への総登嶺を計画している真言宗豊山派。その開白法要が弘法大師降誕会の15日午後、奈良県桜井市の総本山長谷寺・御影堂で厳修され、1年半に及ぶ祖山慶讃参拝がスタートした。

 前日まで続いた法雨が初夏の生命を潤し、新緑がその輝きを増した初瀬の山々。一般参拝者が見守る中、宗派・総本山の両内局と要職者、総本山研修生ら30人超が陽光を浴びながら御影堂に入り、浅井侃雄化主(同宗管長)が稚児大師尊像正面の導師の座に着いた。

 壮麗な豊山声明が堂内外を荘厳。浅井化主が表白を読誦し、宗祖の生誕が「日本文化を潤し、以て萬民を利益すること」になった縁起を明らかにした。
 右の壇に設えられた御堂にも、稚児大師像を奉祀。鈴木常英宗務総長に続き、職衆、総本山研修生らが灌沐した。報道陣も尊像に甘茶を灌ぎ、総登嶺に結縁。全真言宗各派で最も早い御生誕1250年開白法要の法悦を共にした。

 浅井化主は垂示で、「今日開白した慶讃事業は来年の12月31日まで、支所の総登嶺を一大目的として遂行する」と説明。「私は常日頃、御本山には二つの大きな顔があると申している。一つは十一面観音様の一大霊場。もう一つは豊山派の総本山としての顔で、お大師様はいつも御影堂においでになる。大勢の方にお大師様との御縁を結んでいただき、観音様の慈悲の心をいただいてほしいと願っている」と述べた。

 川俣海淳総本山寺務長は法要後、「50年ぶりのお大師様の法要。コロナも収まり、普段の生活に戻れるよう合わせてお祈りしたい」と抱負。「1年半と長く期間を設定したので、世界の平和のためにも〝みんなで一緒にお大師様を拝もうよ〟と呼びかけたい」と話した。(続きは紙面でご覧ください)

2022/6/23

浄土宗大阪教区教区団 古舘氏、熱烈仏教トーク お経も披露し喝采浴びる


「法然上人を背負って」縦横無尽に話す古舘氏 浄土宗大阪教区教化団(中山正則団長)は9日、大阪市天王寺区の大阪国際交流センターで3年ぶりの仏教文化大講演会を開催した。総本山知恩院おてつぎ運動本部おてつぎ運動推進大会との併催。日本を代表するアナウンサーの古舘伊知郎氏が「古舘節」を唸らせながら仏教について熱く語った。

 司会のプロフィール紹介に続いて古舘氏はさっそく「テレビ朝日のアナウンサーになった時スポーツアナウンサーとして採用されました、従いましてとにかくお前は喋れ、日常起きている時は、“寝ている時以外常に喋れ”と言われました、そこから今や言葉の中毒者と言われております、喋らなくては堪らなくなるわけで…」と、往年のプロレス実況を彷彿とさせるマシンガントークで入場。大歓声を浴びた。

 両親がクリスチャン、大学はミッション系の立教大学を卒業した古舘氏が仏教に関心を抱いたのは、42歳で亡くなった姉の葬儀の頃からだったという。「人が死ぬってどういうことだろう。本当に釈迦に説法でお坊さんもいるのに申し訳ないのですが、仏教では生死一如といいますね。生きることと死ぬことは一つである、死があるから次の命へのバトンで生がある」

 人間が死後、別の人間に生まれ変わるような「輪廻」は信じていない古舘氏。しかし、ある浄土真宗の僧侶に「私は輪廻を信じません、輪廻って何ですか」と疑問をぶつけた際に、火葬場の煙が大気となり、それが雨になって大地に降り注ぎ植物を育むことだと説かれたことには感銘を受け、輪廻思想と循環型社会との共通性を指摘するなど、「報道ステーション」元キャスターとしてのジャーナリスティックな顔ものぞかせた。

 「私は仏教ファンなだけ、特に原始釈迦仏教が好き」とのことで、諸行無常、諸法無我、一切皆苦など根本教理について縦横無尽にトーク。一方「法然さんはヘルプミーブッダと言った。親鸞さんはサンキューブッダと言った」など、独自の切り口で大乗仏教も賞賛。さらに知人の日蓮宗僧侶からお経を習っているといい、京都の永観堂(浄土宗西山禅林寺派総本山禅林寺)でのライブ「トーキングブルース」で暗誦した秘話も。この会場でも勧請文を唱え、宗派が違っても受け入れる仏教界の懐の深さを称えた。

 古舘氏の講演に先立ち、京都文教大学教授の平岡聡氏が「いのちを考えなおす」の題で講演。仏法に基づく生命観をユーモアを交えながら説いた。

2022/6/16

時宗法主・遊行75代 他阿一浄上人 東山心徹氏が晋山 法要後には念仏札を賦算


境内を合掌姿でお練りする他阿一浄上人 神奈川県藤沢市の時宗総本山清浄光寺(遊行寺)で8日、遊行75代・藤澤58世の他阿一浄・東山心徹上人の晋山式が営まれた。今年1月に時宗法主に就任した一浄上人は「お一人おひとりがお互いを信じ、支え合っていく社会」を念じた。

 お稚児と木遣り衆に先導され境内をお練りする一浄上人を、隣接する学校法人藤嶺学園藤沢中学・高等学校の学生約300人や檀信徒が合掌姿で迎えた。晋山式には天台宗総本山比叡山延暦寺の水尾寂芳執行、浄土宗大本山光明寺の柴田哲彦法主、同清浄華院の飯田実雄法主ら宗外からの多数の来賓を含む220人が列席して営まれた。

 遊行75代に就任した一浄上人は表白で「嗣法の大任」に「故聖の遺範を遵守して利生の道に進まんとする」と表明。宝前に「佛日増輝 令法久住を悃祷し奉る」と祈念した。

 参列者に十念を授与した一浄上人は、改めて多くの参列に謝意。疫病や紛争が起こる世相を鑑み「改めて普通の日常の有難さ、人と人とが接することの大切さを味わっている」とし、「人と人との触れ合いを大事にし、お一人おひとりがお互いを信じ、支え合っていく社会を目指していくことが大事だと心しております」と念じた。

 祝辞では時宗宗議会の落合浩人議長(代読)が「山風の宣揚、遊行御賦算に積善されますことを願ってやみません。我々宗門人も、御上人様のお導きにお応えできますよう日々精進し、教化の実をあげるべく努力致します」と宣誓。遊行寺檀徒会の尾島秀樹会長は「天下泰平の祈りは、檀徒一同も心根を同じくするもの。同じ心根を持つものとして本日は大変嬉しく思います」と祝した。
謝辞に立った神田普照宗務総長は「宗門一同、一浄上人のもと同入和合海を誓い、宗門興隆、念仏弘通に専心致すことをお誓い申し上げます」と決意を示した。

 法要後に御賦算行われ、 橙色の御札箱を首から下げた一浄上人が、参列者一人ひとりに「南無阿弥陀佛決定往生六十万人」と書かれた「念仏札」を手渡した。(続きは紙面でご覧ください)

2022/6/16

浄土宗大本山増上寺 次期法主に小澤憲珠氏


 浄土宗大本山増上寺の八木季生法主の後任となる法主に浄土宗総合研究所所長の小澤憲珠氏(80)が推戴されることが決まった。八木法主が退任の意向を示したことを受け、5月23日と6月7日に開催された浄土門主・法主推戴委員会で決定した。任期は8月1日から4年間。

 小澤次期法主は1941年11月6日生まれ。東京都八王子市の極楽寺住職。大正大学大学院文学研究科博士課程満期退学。同大教授、副学長を経て現在名誉教授。浄土宗教学院副理事長、日中友好浄土宗協会副理事長など宗内要職を歴任。増上寺でも教監を務めた。著書に『大乗の菩薩』など多数。

2022/6/16
三河大浜騒動150年記念法要 愛知県内3カ所で殉教者悼む


石川台嶺や護法有志の墓のある蓮泉寺での法要 三河殉教記念会(平野眞会長)は6月5日、愛知県安城市小川町の真宗大谷派蓮泉寺(午前10時)、西尾市葵町の殉教記念碑(同10時30分)、西尾市一色町の大谷派赤羽別院(午後1時30分)で三河大浜騒動150年記念法要を執り行った。騒動から今年は151年だが、新型コロナの影響を受け、一年延期し、コロナ対策を万全にしたうえで開催された。

 法要にはそれぞれ、真宗大谷派の鍵役・大谷佳人氏(信教院)が導師をつとめ、赤羽別院では雅楽が付くなど150年の節目として盛大に行われた。参加者も例年より多く、蓮泉寺では40名超、殉教記念碑前では200人以上、赤羽別院では百数十人が殉教者を追悼した。

 鍵役も本紙の告知記事に関心を示し、移動の途中に岩瀬文庫へ立ち寄り、企画展の前室で放映されている戦後制作された幻燈(スライド)に音声を吹込んだDVDや展示されている首謀者とされた石川台嶺が処刑時に着ていた「血染めの白衣」や「幽囚日記」などの貴重な資料を熱心に閲覧した。

 赤羽別院の法要後、三河殉教会の平野会長が挨拶し、「新型コロナウイルスの蔓延により、一昨年と昨年は法要を執り行えず、150年法要は一年延期し今年になったが、多くの方々が参集していただき、これからも大浜騒動で犠牲になった方々の信仰を少しでも触れていただきたい」と述べた。

 続いて鍵役は「151年も続く法要は、地元のみなさまに支えられてこんにちに継続されており、ご縁あって今日、参りましたが、これからも末永くこの法要を大事にしていただきたい」と挨拶した。

 この後、同朋大学教授の安藤弥氏が「三河大浜騒動」の歴史としての視点と、信仰としての視点について法話を行った。

 大浜騒動は、明治4年(1871)3月、現在の愛知県碧南市で、寺院統廃合や天拝日拝に反対する僧侶や護法有志らが立ち上がった事件。役人一人が殺害され、首謀者とされた僧侶の石川台嶺は裁判の判決で斬首となり、即日執行された。29歳だった。

2022/6/16
お寺の戦伝遺産を歩く17 奈良市大本山霊山寺「バラ庭園」 世界平和願い昭和32年開園 当時の住職が戦争とシベリア抑留体験し


東山管長と開園時から植えられている「ピース」。太平洋戦争終結を記念して作出されたバラだ 天平8年(736)に創建された奈良市の古刹、大本山霊山寺(りょうせんじ)。「登美山鼻高 霊山寺」の勅号を有する真言宗寺院である。広大な敷地の中には国宝の本堂や重要文化財の三重塔などがある。歴史の古層と文化が漂う境内に現代的なバラ庭園がある。世界平和を願って作庭された。その背景を東山光秀(とうやま・こうしゅう)管長(住職)に取材した。
 
 富雄川の橋を渡ると正面に山内に入る受付がある。そのすぐ先にバラ庭園がある。入口の説明板から、京都大学農学部造園学研究室が設計し、造園学者の新田伸三氏が監督して昭和32年(1957)5月に開園したことがわかる。1200坪の土地に200種2000株のバラが植えられていることも記されている。

 6月に入り春シーズンのピークは過ぎたとはいえ、紅や白、黄色などカラフルなバラの花が、緑の葉や幹の中で優雅に咲きほころぶ。萎れて散った色とりどりの花びらにも味わいがある。

 説明板には発願者の名前はない。霊山寺パンフレットに「当時の住職の戦争体験から世界平和を願って開園された」とある。当時の住職とは東山管長の祖父にあたる東山圓教師(1898~1984)である。

 高野山大学を卒業し、昭和2年(1927)霊山寺住職となり、同寺の復興に努めた。旧富雄村の村長を務めるなど地元の名士であった。

 その後、召集を受けて中国大陸に渡った。詳しい戦地は不明だが、終戦と共にシベリアに抑留された。過酷な労働、寒さと飢え――多くの抑留者が帰国を願いながらいのちを落とした。「夜中に目が覚めてトイレに行って、戻ってきたら仲間が死んでいたこともあったそうです。抑留生活は2年半に及びました」と東山氏。

 「太平洋戦争の終結を記念して作出されたのがピースという名前のバラです。フランスのメイアンさんが作出され、開園時は、このピースを中心に植えられました」

 戦争と抑留体験から平和な世の中を願って近代洋風庭園が生まれた。そして年間を通して多くの参拝者が鑑賞する人気のスポットとなった。