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2021/12/2

総本山醍醐寺 弘法大師諡号1100年法要 「南無遍照金剛」響く 弘法利生の想い受け継ぐ


仲田座主を導師に金堂で厳修された慶讃法要(11月27日) 入唐し密教の全てを請来した真言宗の開祖・空海上人に、醍醐天皇から「弘法利生」の想いを込めた弘法大師の諡号が贈られて1100年。京都市伏見区の真言宗醍醐派総本山醍醐寺で11月27日、「諡号下賜千百年慶讃法要」が厳修された。僧侶約30人と宗内外からの多数の来賓、堂外の一般参拝者らが、心を一つに世の安寧を祈念。金堂に御宝号「南無遍照金剛」の唱声が響き渡った。

 弘法大師の諡号は延喜21年(921)に下賜された。空海入定(承和2年=835)から80年以上後のことで、醍醐寺開山・聖宝理源大師の高弟で醍醐寺第1世座主も務めた観賢僧正が醍醐天皇(延喜の帝(みかど))に「本覚大師」号下賜を奉請した。

 導師を務めた仲田順和座主は表白で、「帝は上人の偉烈を仰ぎみて、弘法利生を択ばれし」と帝の想いを明らかにし、当初の「本覚大師」ではなく「弘法大師」の諡号の下賜になった経緯を奉読。「弘法利生」の文字通り、弘法大師は今も生き続けて悩み苦しむ人々に救いの手を差し伸べているという「大師信仰の礎」になったと追想した。

五重塔内にある現存最古の国宝・大師御影(壁画)と壁瀬執行長。千年以上前の大師信仰黎明期の息吹を今に伝える 翌28日には不動堂前で大原弘敬・醍醐寺顧問を大祇󠄀師に修験者約40人による諡号下賜記念柴燈大護摩供を営み、大勢の参拝者が不動明王の浄炎に幸福を祈願。29日には醍醐寺を御願寺とした醍醐天皇の菩提を弔うために建立された天暦5年(951)完成の五重塔で、醍醐天皇に大師号下賜を感謝する報恩謝徳法要を岩鶴密雄・醍醐寺顧問を導師に厳修した。

 27日から3日間、国宝・五重塔で初めてとなる特別内拝を実施。曼荼羅世界への入口となる扉を開き、建立時に描かれたとみられる現存最古の国宝・弘法大師御影(塔内初重壁画)を24年ぶりに公開した。千年以上前の弘法大師信仰黎明期の息吹を伝える御影に結縁しようと大勢が参拝。木津川市から来た男性(70代後半)は、「醍醐寺には2回目くらい。コロナ禍の中で弘法大師を思うと、冷静に物事を考える人にならないといけないと感じた」と語った。

 壁瀬宥雅執行長は4日間の慶讃法要を終えた29日午後、「コロナ禍の後に、少しでも皆さんの気持ちがほぐれる機会になれば」と念願。今後も醍醐寺を挙げて「弘法利生」の想いを継承する決意を示した。

 26日には約400年ぶりに三論宗の論義法要・竪(りゅう)義会(ぎえ)を復興。仏法の深奥を掘り下げていく問答が展開された。

2021/12/2

WCRP50周年式典挙行 〝新たな扉〟開く アジェンダ2030発表


策定に携わった青年宗教者らがアジェンダ2030を発表した(京都国際会館) 新型コロナの感染拡大により1年延期となった世界宗教者平和会議(WCRP)創設50周年式典とシンポジウムが11月24日、“発祥の地”京都市左京区の国立京都国際会館で開催された。50周年テーマ「Our Heart for All Beings(共にすべてのいのちのために)―宗教協力の新たな扉」のもと、青年宗教者を中心に討議されてきた「WCRP日本委員会アジェンダ2030」が発表され、“新たな扉”を開いた。会場には約350人が参加し、オンラインでは約150人が視聴した。主催はWCRP日本委員会。

 最初の式典では、サヌカイトの音色による平和の祈りから始まり、創設前史を含めたWCRP50年の歩みを映像で振り返った。主催者を代表して庭野日鑛・日本委員会会長(立正佼成会会長)が挨拶。宗教協力・宗教間対話の道を切り開いた先達の労苦に言及し、「数々の困難を乗り越え、第1回の世界大会を実現させることができたのは先達の方々の熱い情熱と深い祈りがあったからこそ」と感謝した。

 日本委のさまざまな取り組みも紹介した上で庭野会長は、「50周年を機にWCRPは一層大きな貢献ができることを念願し、また世界のあらゆる出来事に思いを寄せ、情熱を失わずに、前進していくことをお誓いする」と原点を踏まえてさらなる精進を明言した。

 来賓挨拶では、日本宗教連盟の大柴讓治理事長(日本キリスト教連合会)が「『千年の希望』に向かって祈りと力」を合わせることを説きながら祝福した。WCRP国際委員会のアッザ・カラム事務総長はビデオレターで「最も弱き人々に仕える」という使命を共有。同じくビデオレターで日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は、柔道選手として海外遠征と外国人との対戦を繰り返してきた体験を披露しながら、それぞれの国や地域が「宗教のみならず習慣も伝統も多種多様」だとし、「確実な一歩が踏み出せるよう期待している」とエールを送った。

 後半は記念シンポジウムで人類学・霊長類学者の山極壽一氏(前京都大学総長)と宇宙飛行士の山崎直子氏がそれぞれ専門分野から基調講演。これを受けて加盟団体の青年宗教者代表による質疑応答が行われた。

 最後に「WCRP日本委員会アジェンダ2030」の策定に携わった青年宗教者が登壇して発表した。国連のSDGs(持続可能な開発目標)と2年前のWCRP世界大会の戦略目標を踏まえた上で検討を重ねてきた。

 アジェンダまとめ役である篠原祥哲事務局長は「WCRPのみならず、日本や世界のあらゆる人たちと共に達成していきたい。私たちはそれができます!」と力強く宣言し、篠原事務局長の音頭で「私たちはできる」を英語で「We Can Do It(ウィ・キャン・ドゥ・イット)」を会場全体で唱和した。
 
 アジェンダ6項目 マインドセット8項目
 
 WCRP日本委員会アジェンダ2030は6項目のほか、取り組みのための8つのマインドセット(心構え)からなり、それぞれ詳しく解説を付している。

 アジェンダとマインドセットは次の通り。
 
【アジェンダ2030】
 ①国際的“サバイバル目標”達成に向けた世界の宗教ネットワークの強化
 ②気候危機の打開に向けたグローバルサウスとの連携
 ③非武装による戦争のない世界の実現に向けた政治との対話
 ④異常な経済的格差の解消に向けた経済界との対話
 ⑤人とのつながりの醸成に向けた草の根コミュニティ活動の強化
 ⑥ケア(慈しみの実践)が重視される社会に向けた公共における宗教活動の実施

【マインドセット】
 ①祈りと行動の一致
 ②握る手の温かさ
 ③Go to Problem
 ④人類家族と分け合う
 ⑤一人ひとりが大切
 ⑥Understand=下に立つ
 ⑦開いてつながる
 ⑧次世代の声と共に


2021/12/2

光華女子大学 もの忘れクリニック開院 学生の実習の場にも 地域社会に貢献へ


地域貢献の場としても活用されるクリニック 来年、人間健康学群を設置する京都光華女子大学(京都市右京区、高見茂学長)は11月15日、付属病院「光華もの忘れ・フレイルクリニック」を開設した。脳神経内科病院の中で、もの忘れや認知症を専門とした病院は珍しい。フレイルとはやや耳慣れない言葉だが、「健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態」を指す。

 14日に行われた内覧会で高見学長は「最先端の研究知見を活かした治療をしていただけるのでは」と、医療を通じた社会貢献を展望。上田敬太院長(健康科学部教授)は「認知症療法、進行を遅らせるような何らかの地域貢献、講習会も将来開催できれば」と話した。

 診察室のほか、処置室、言語聴覚検査室、X線検査室を備える。近年の研究では認知症と運動機能、骨密度に密接な関係があることがわかっているため、骨密度の測定も可能だ。見学した地域住民からは「いつお世話になるかわからないので、これで安心できますね」といった声が聞かれた。

 健康科学部では看護師、言語聴覚士などの専門職資格が取得できる。クリニックは心理や社会福祉、栄養運動の分野とも連携した「地域包括ケアシステム」で活躍できる人材を育てる実習の場でもある。

 診療日は月・火・水・金。予約制。医師は上田院長をはじめ8人が担当する。

2021/11/25
日蓮宗が比叡山を公式参拝 伝教大師1200年遠忌法要営む 両祖の「浄仏国土建設」を共有


日蓮聖人像を宝前正面に安置し、日蓮宗の曼荼羅本尊が掲げられた宝前で敬白文を奉読する菅野管長 日蓮宗の菅野日彰管長と中川法政宗務総長は19日、天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市)を公式参拝し、大講堂で伝教大師1200年大遠忌報恩法要を営んだ。導師を務めた菅野管長は宗祖日蓮聖人の比叡山での修行時代に触れ、「天台沙門として立正安国を論じ、根本大師門人として、五字玄額を掲げ給うこれなり」「大いなる哉報恩、如何が讃ぜん」と報恩感謝の祈りを捧げた。

 法要に先立ち、菅野管長一行は、大書院にて森川宏映天台座主の名代・叡南覚範探題と懇談。その後、一隅会館前から大講堂まで天台宗内局、延暦寺内局と共にお練りし、各宗各派の宗祖を祀る大講堂へと入堂した。

 法要には、天台宗の阿部昌宏宗務総長、延暦寺の水尾寂芳執行をはじめとする天台宗、比叡山の両内局が参列。新型コロナウイルス感染防止に配慮し、日蓮宗は内局から塩田義徹伝道局長(副導師)、生駒雅幸総務局長、木内隆志総長室長、地元近畿教区から橋本一妙教区長(副導師)が出仕し、人数を制限して法要を厳修した。

 菅野管長は敬白文で伝教大師最澄と立正大師日蓮の両大師の願いに思いを寄せ、「根本伝教大師の志向されたる同帰一乗、わが祖の意趣するところの皆帰妙法の大願を承継し、以って立正安国の祖猷を輝かしめ、一天四海の静謐を祈念し、世界平和人類共生を誓願す」と報恩の思いを奉読した。

 天台宗の阿部総長は、人々の心の平安のために様々な教えが共存し、互いが精進する大切さを説いた伝教大師の言葉を紹介。「本日の法要は、まさに伝教大師、立正大師が目指された浄仏国土建設への願いを社会に強く伝える両大師のお志の具現」と述べ、法要を機縁に今後も両宗派の絆が深まることを念願した。

 日蓮宗の中川総長は「日本仏教の聖地であるこの比叡のお山に足を踏み入れ、私は今、限りない憧れと畏敬の念を禁じえません」と法要に参列した法悦を語り、「両祖の心願たる生きとし生けるもののすべてが等しく安穏である浄仏国土を顕現すべく、手を取り合って精進していくことを切に願います」と話した。

 今年は、伝教大師最澄1200年大遠忌の御祥当年にあたり、天台宗では大法会事業の一環として、日蓮宗など全国縁故教宗派による報恩法要を10月から予定していたが、コロナ禍のため中止していた。

 日蓮宗では、今年が日蓮聖人御降誕800年御祥当にあたり、比叡山内に日蓮聖人修行の聖地である横川定光院を護持している。今回の法要は日蓮宗からの参拝の意向に天台宗が応え、比叡山への公式参拝という形で実現した。

 法要後、延暦寺の水尾執行は、「菅野管長さまと宗務総長さまをはじめ日蓮宗の皆さまの強い気持ちを感じました。この晴天もコロナが落ち着きを見せているのも、皆さまの気持ちの表れという気がします。これを機会にさらに良い方へ向かってほしい」と話した。

2021/11/25

森川天台座主逝く 96歳 6月に祥当法要を厳修

 
 天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市)の森川宏映(もりかわ・こうえい)第257世座主が22日午前7時30分、延暦寺一山眞藏院で逝去した。96歳。通夜儀(延暦寺葬/葬儀委員長・喪主=水尾寂芳執行)は25日午後7時から、密葬儀(同)は26日正午から、大津市坂本4―6―1の滋賀院門跡で営まれる。本葬儀(天台宗葬/葬儀委員長・喪主=阿部昌宏宗務総長)は1月18日午後1時から、坂本4―6―2の天台宗務庁で営まれる。遺弟代表は櫻井行尚・眞藏院住職。

 大正14年10月22日、愛知県春日井市出身。京都大学農学部卒。昭和25年に眞藏院住職。延暦寺副執行や天台宗宗議会議員、一隅を照らす運動会長などを歴任。延暦寺学園比叡山中学校・同高校校長として、多くの青少年の心に仏の種を植えた。

 「草木国土悉皆成仏」の教えが宿る比叡山の山林育成にも注力。平成11年から7年間、京都・毘沙門堂門跡門主となった。天台座主への登竜門とされる戸津説法の説法師を平成6年に務め、半田孝淳座主の逝去を受け、27年12月14日に天台座主に就任した。

 今年6月4日に迎えた宗祖伝教大師1200年大遠忌御祥当法要の大導師を務め、「誰もが仏になれる」という法華一乗の教えを国内外に発信。8月4日の比叡山宗教サミット34周年「世界平和祈りの集い」では、力強い声で「私ども宗教者は対話による相互理解を深め、『博愛』『利他主義』に基づく連帯をより強固にし、共に祈り、世界平和を希求し続けなくてはならない」と呼びかけた。

 昭和11年6月4日に得度受戒。以来「忘己利他」「一隅を照らす」を実践し続けた生涯だった。

2021/11/25
第258世天台座主に大樹孝啓探題

 大樹新座主 森川宏映座主の逝去に伴い、天台宗と総本山比叡山延暦寺は22日、第258世座主に次席探題で書写山圓教寺(姫路市)第140世長吏の大樹孝啓(おおき・こうけい)氏の就任を発表した。

 大樹氏は大正13年(1924)6月兵庫県生まれ。97歳。昭和11年出家得度。大正大学予科卒。昭和23年から姫路市の小学校教諭を17年間務めた。県内の法界寺住職、仙岳院住職を経て昭和59年(1984)書写山圓教寺長吏に就いた。宗内では兵庫教区宗務副所長、審理局員、審理局局長などを歴任。平成28年から一隅を照らす運動の会長を務めた。

 平成8年(1996)大僧正。その3年後に戸津説法師を務めた。平成22年(2010)最高法階である探題に就任。

 書写山圓教寺は開創千年余の古刹。西国三十三観音霊場の第二十七番札所として多くの巡礼者が参る。映画『ラストサムライ』『G・I・ジョー』のロケ地となった。

2021/11/25
大谷大 学園祭で食料品配布 昨年に続き同窓会が協力


「先輩の好意が嬉しい」との声多数 大谷大学(京都市北区、木越康学長)は13日に開催された学園祭において、同窓会の協力を得て新型コロナウイルスの影響で困窮する学生に食料品配布を行った。昨年に続く2度目の取り組み。

 全国の同窓会支部が集めたインスタントラーメンや缶詰などの保存食が440セット(1セットにつき5日分)に小分けにされ、校友ラウンジ前のブースで先着順に配布された。2時間もしないうちに配布が終わる盛況ぶりで、定番商品だけでなく全国各地の同窓会網ならではのご当地カレーやラーメンに学生たちは感激。「コロナの影響でアルバイトのシフトに中々入れない状況下で、このような支援をして頂き本当に感謝以外の言葉が出てきません」といった感想が寄せられた。

 学園祭実行委員長の井上広陸さん(教育学部4年生)は「多くの学生が手提げを持って、お互いの中身を見せあったりして喜んでいました。実行委員会としても、このプロジェクトに協力できたことを大変嬉しく思います」と話した。

 同窓会は毎年の学園祭を「ホームカミングデー」と位置づけて学生と共に盛り上げているが、昨年と今年はコロナ禍により直接参加は控え、このように食料品支援を行った。
 

2021/11/18
曹洞宗 9僧堂来年9月末に閉単 8僧堂不認可、1僧堂再認可申請見送り 


瑩山禅師も住持した大乘寺(金沢市)。「規矩大乗」と称される重要な寺院の僧堂も閉単となった 来秋に実施される曹洞宗専門僧堂の設置認可一斉取り消しに伴い、取り消し後の再認可を求めた全国の25僧堂に対し、宗務庁(東京都港区)は10月末までに認可の可否を通知した。不認可となった僧堂は8カ寺に及んだと見られる。予想外の結果として受け止めた堂長からは、説明が不十分などと疑問の声も上がっている。

 再認可が認められなかったと確認できたのは大榮寺(新潟市)、大乘寺(金沢市)、発心寺(福井県小浜市)、長国寺(長野市)、西有寺(横浜市)、妙厳寺(愛知県豊川市)、興聖寺(京都府宇治市)。複数の関係者によると、明光寺(福岡市)も不認可となったと見られる。宝慶寺(福井県大野市)は再認可の申請を見送ったため、計9カ寺が来年9月末で僧堂を閉単する方向となった。

 僧堂の設置認可一斉取り消しは、僧堂の維持と僧侶の資質向上が課題となる中、釜田隆文前宗務総長が打ち出した僧堂活性化策の一環で、両大本山僧堂を除く全26僧堂を対象に実施。常在する指導者の配置や掛搭僧の人数、履修学科目、試験などについて宗制や各堂則、慣習などをもとに明文化した新たな運営基準を設け、僧堂の継続を望む寺院は新基準を満たさなければならない。

 10人近い掛搭僧を抱える大榮寺僧堂の五十嵐紀典堂長は「夢にも思わなかった」と落胆の色を隠さなかった。不認可の理由は伝えられず、問い合わせても回答が得られなかったという。「せめてどんなところがいけなかったのか教えてほしい。宗門にとって重要な寺も入っている。意図が分からない」と首をかしげる。「価値観が多様化する今、自分に合った僧堂を選べるよう選択肢を残すことも一つの方法ではないか」と話した。

 中国から戻った道元禅師が最初に開いた最古の道場「曹洞宗初開道場」と呼ばれる興聖寺僧堂の吉川圓良堂長は「面目ない」と肩を落とした。同じく説明を受けていないというが、「責任を感じている」と自責の念を口にし、「道元禅師の教えの原点に立ち返り、修行生活を続けたい。閉単後には掛搭僧に資格は与えられないが、参禅者がいればともに修行したい」と語った。

 宗務庁によると認可の可否は、書類審査や現地視察を行った上で決定。不認可とした僧堂の審査基準や評価について、「どう評価し精査したかについては、曹洞宗教育規程の定めにより回答しない」とした。

 人口減や少子高齢化の進行などで掛搭僧は減少傾向にあり、現在の僧堂全体の掛搭僧数は約450人。このうち両大本山僧堂が約280人を占める。不認可となった僧堂の掛搭僧は、希望する僧堂に移籍できるよう調整する。

2021/11/18
全日本仏教会 次期会長に大谷暢裕門首 副会長は3人体制

   
大谷暢裕門首 全日本仏教会(全日仏)は10日、京都市下京区のしんらん交流館で理事会を開催し、来年4月から始まる第35期の会長・副会長を選出した。同日、戸松義晴理事長と木全和博事務総長が記者会見し発表した。

 次期会長に選出されたのは大谷暢裕・真宗大谷派第26代門首(70)。仏教だけでなく科学にも深い造詣を持っていることや来年にタイ・バンコクで行われる世界仏教徒連盟(WFB)70周年記念大会に全日仏代表としてスピーチをすることを考慮して選出された。

 大谷派からは第24期会長(2000年4月から2年)を務めた大谷暢顕門首以来となる。

 副会長は五條良知・金峯山修験本宗管長(57)、近藤英夫・山梨県仏教会会長(68)、髙山久照・日本仏教保育協会理事長(68)。五條氏は全日本仏教青年会理事長の経験、近藤氏は来年の全日本仏教徒会議が山梨県で行われること、髙山氏は全日仏が推進するSDGs(持続可能な開発目標)に保育・教育の観点が欠かせないことからの推薦となった。副会長3人体制は第31期(2014~16)以来。

 大谷次期会長がコメントを発表。新型コロナウイルス感染症が収束せず、人と人との分断や貧困、差別、格差、不安、孤独に悩み苦しむ人が多数いることに心を寄せ、「今の時代ほど、あらゆる差異(ちがい)を超えて、生きとし生けるものが互いに響き合う世界が求められているときはありません」と述べ、仏陀の「和」の精神を広めるよう力を尽くすとした。

2021/11/18

大本山増上寺「三大蔵」 ユネスコ「世界の記憶」に推薦 中国・韓国からの3種大蔵経 電子化しウェブ公開へ


公開された元版「仏説阿弥陀経」。右上に徳川家康の寄進を示す徳川家の家紋が押されている 浄土宗大本山増上寺(東京都港区)が所蔵する中国と韓国で開版された3種の大蔵経(三大蔵)がユネスコ(国連教育・科学・文化機関)の「世界の記憶」に国内候補として推薦されることになり、12日、同寺で記者会見が開かれた。三大蔵の電子化とウェブ公開も報告され、川中光敎宗務総長は「(3年後の)立教開宗850年事業に弾みがついた」と喜んだ。

 増上寺三大蔵のユネスコ登録は浄土宗と増上寺が共同で申請。今月10日、文部科学省が国内推薦に決定したと発表。仏教研究はもとより、漢字文化や印刷文化の観点からも貴重な史料だと評価した。

 会見では申請に携わった浄土宗総合研究所研究員の柴田泰山氏が概要を説明。「大蔵経は1セットでいいのだが、3セットあることに家康公の深い意図を感じている。これを持つこと自体が平和の象徴であり、その祈りと願いが込められている」と3種存在することの意味を強調した。

 明治に入って、『縮刷大蔵経』が高麗版をもとに刊行され、仏教研究資料の金字塔となった『大正新脩大蔵経』の編纂にも用いられた。さらに大蔵経データベースとして公開されていることから「全世界の仏教研究においてこの三大蔵なくして現在の仏教学はあり得なかったとも言える」と力を込めた。

 大蔵経データベース化を推進し、その運営に当たっている東京大学大学院教授の下田正弘氏は、「大蔵経は、日本のみならず東アジアの仏教圏全体の財産」と明言。「『世界の記憶』として登録されることを契機として、学術界のみならず、世界に開かれ、文化の継承と発展にも大切な意義を持っている」と推薦者の立場から解説した。

 増上寺の友田達祐執事長は「1セットだけでも希有だが、それを3セット奉納されたことに家康公の並々ならぬ想いが込められていたと思う。家康公の仏さまへの信仰、平和への思いが400年経った今、再び光が当たったことが何よりのご供養と喜んでいる」と感想を口にした。
 なお、このほか「智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国のパスポート」(申請者:園城寺、東京国立博物館)が推薦された。2023年のユネスコ執行委員会において登録の可否が決まる予定だ。

 【増上寺三大蔵】
 ①南宋時代に開版された思渓版5342帖。中国浙江省の思渓円覚禅院で印刷され、1275年に滋賀県菅山寺を経て1613年に増上寺へ。
 ②元時代に開版された普寧寺版5228帖。14世紀前後、中国浙江省の南山普寧寺で印刷。韓国、山口県興隆寺を経て1610年に増上寺へ。
 ③高麗時代に開版された高麗版1537冊。1458年韓国海印寺で印刷され、奈良県円成寺を経て1609年に増上寺へ。

 これらは徳川家康が全国から収集。すべてに徳川家の家紋(三つ葉葵)が押されている。重要文化財。『大正新脩大蔵経』の底本・校本ともなった。経蔵は関東大震災や東京大空襲の難を逃れた。現在は経蔵後方に建立された収蔵庫で温度や湿度を一定にして保管。

2021/11/11
衆院選 改憲勢力3分の2超える 改正議論、加速しそう


 先月31日に行われた第49回衆院選挙(定数465)は、与党が議席を減らしたものの絶対安定多数を超えた。野党では日本維新の会が大幅に議席を伸ばした。憲法改正を主張している政党は自民党・公明党の与党に加え、日本維新の会と国民民主党があり、この4党で345議席となり、改憲発議に必要な3分の2以上を占めることになった。また比例で目標800万票を掲げていた公明党は711万票を獲得した。

公明党復活? 比例700万票超
 今回の総選挙で公明党は小選挙区9、比例23の32議席を獲得した。選挙前より4議席増やした。

 また小選挙区289のうち党公認候補9人を除いた280選挙区に対し、263選挙区で自民党候補を推薦。比例復活を含めて233人が当選した。じつに自民党候補の9割以上を推薦し、9割近い当選結果となった。

 比例では711万票を獲得。近年は衆参ともに600万票台だったが、今回の衆院選では2012年とほぼ同じ711万票まで回復させた。

2021/11/11

東京佼成ウインドオーケストラ 教団から独立 一般社団法人に 解散危機経て存続合意


法人の代表理事に就く勝川氏(左)と立正佼成会常務理事の佐藤益弘氏 日本を代表する吹奏楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」は1日、立正佼成会から独立し、来年4月から一般社団法人として活動すると発表した。独立後も教団は運営費を拠出したり、楽器・楽譜を無償貸与したりして支援を続ける。

 法人の代表理事に就く勝川本久ステージマネージャーら関係者が同会(東京都杉並区)で記者発表した。楽団名はそのまま継承し、引き続き正指揮者を大井剛史氏が務める。7月に法人登記した。

 楽団は同会の付属事業部門。教団は10年以上前から課題となっていた事業費増加の改善に取り組んできたが、昨秋に限界と判断し、事業の継続断念を決定。楽団は解散する方向となった。存続を強く望んだ楽団員・事務局員らは教団側と協議。その結果、一般社団法人として独立し、教団も支援を続けることで合意した。

 教団側は楽団の独立後、3年間で5億円強の助成金を拠出し、それ以降も支援する。楽器と楽譜も3年間無償貸与し、4年目に無償譲渡。音源の印税もすべて寄付する。これまで通り練習場を使えるようにするほか、教団行事など年4回の演奏機会を設けて出演料を支払う。

 楽団は収入源として賛助会員制度を新設し、今月から受付を始めた。楽団員は定員の36人を維持し、これまでの雇用契約から委託契約に変更する。定期演奏会場は、東京芸術劇場(豊島区)から中野ZEROホール(中野区)に移す。独立後初となる定期演奏会は来年4月23日の予定。

 勝川氏は名称に「佼成」を残したことについて、60年間にわたり教団が楽団を維持し続けたことに敬意を示した上で、「世界でも類を見ないその事実に大きな感謝の念を持っています」と話した。さらに、「佼」の文字が人の交流を意味し、「うつくしい」と読むことを挙げ、「優れた音楽家たちと聴衆との交流の中で、美しい音楽をつくり上げていくために、この名前を継続して使用していきたい」と語った。

 楽団は1960年に発足した。1973年に「佼成吹奏楽団」から現名称に改称し、海外でも多くのコンサートを行うなど日本有数の吹奏楽団として活躍。箱根駅伝テーマ曲の演奏でも知られる。

2021/11/11

深大寺が「鬼大師」公開 205年ぶり 疫病退散の願い込め


特別公開された胎内仏の「鬼大師」像。異形の姿で疫病や災難を睨みつける 東京都調布市の天台宗別格本山深大寺(張堂興昭住職)で3日から、日本最大の肖像彫刻である「元三大師像」の胎内仏「鬼大師」が疫病退散の願いを込め、205年ぶりに特別公開されている。

 元三大師(慈恵大師良源)は平安時代の天台宗の高僧で、比叡山中興の祖と言われる。人並みはずれた霊力を持ち、角のある鬼のような姿で疫病や災難を退散させたとされ、正月3日に入滅したことから「元三」(がんざん)大師と呼ばれ親しまれてきた。

 同寺では鎌倉時代に造られた高さ約2㍍の日本最大の元三大師像「慈恵大師坐像」が祀られており、今回特別公開された「鬼大師」像はその胎内仏で約15㌢の大きさ。霊力があふれ出る元三大師を表した鬼の姿をした仏像となっている。

 江戸期の文化13年(1816)に元三大師像と共に江戸両国(現墨田区)回向院へ出開帳された記録があるが、その後は秘仏として鍵付きの二重の厨子で厳重に格護されてきた。

 大師像が現在、東京国立博物館で開催中の「最澄と天台宗のすべて」展に出開帳されたことから、「コロナ禍にある人々のために厨子を開ける時がきた」と「鬼大師」像の公開を決めたという。

 同寺教務部の張堂芳俊執事は「目は睨みつけ、悪いものを退治してくれるようなお姿。205年ぶりですが、次またいつ手を合わせることができるか分からない。今のコロナ禍の私たちの苦しみを抜き、このまま収束に向かってほしい」と話した。
 
 連日、多くの参拝者が訪れ、週末ともなると1時間待ちの行列も。拝観に訪れた夫婦(50代)は「小さいのに迫力、威厳のあるお姿。見ていると自分も強い心になれそう。コロナ禍で皆の心が弱っていますが、皆が強い心を持てば疫病も退散するのではと思えた」と記憶に残る大師との出会いになったようだ。

 公開期間は21日まで。拝観時間は午前9時から午後4時。拝観料500円(中学生以下無料)。

2021/11/11

「コロナ禍と仏事」意識調査 供養を大切に思う人が増加 オンライン儀式に違和感…36%

 
 コロナ禍が、人々の葬送意識にどんな影響を与えたのか。(株)寺院デザイン(東京都中央区、薄井秀夫代表)が意識調査「コロナ禍と仏事」(21年)を実施したところ、供養を大切に思う気持ちが前年より上回った。一方でコロナ以降、寺院などで行われているオンラインの儀式に違和感を持つ人が3割以上いることが明らかになった。先月12日、同社HPで発表した。

 設問項目はコロナ禍の葬送儀礼から個人の死生観などに及んでいる。調査結果から同社は以下の3点について集約し、解説を加えている。

 ①供養を大切に思う気持ち、供養に関わる行動は、軒並み高ポイントを示した。
 ②儀式の簡素化を望む方向にあるが、家族だけの儀式を望むパーソナル化の傾向も進む。
 ③オンラインの儀式に反発を感じる人は3割(36.0%)を超える。昨年の21.0%に比べても、大幅アップし、コロナ禍でオンラインに慣れた人が、むしろ儀式のオンラインに反発している。
 
 コロナ禍の長期化で葬儀や法事に対しての考えは変化してきたが、寺離れが指摘される中で、「お寺にお願いして」の儀式は、47・3%と5割近い(表)。お寺からのオンラインをプラスすると5割を少し超える。ただし、複数回答のゆえか、「無理をして法事をしなくてもいい」が4割弱ある。“お寺にお願いして法事をしたいけれども、今回は見送ろうか…”という回答者の迷いが見え隠れする。

 ③のパーソナル化傾向の分析は興味深い。コロナ禍で葬儀や法事の簡素化を望む傾向は確かに強まった。だが同時に供養を望む人が多いこともわかった。「パーソナルなものを望むのは、人々の暮らしのコミュニティが縮小していることが前提にある。つまり簡素化は、供養の気持ちの衰えではなく、現実社会のコミュニテイ縮小が招いた結果」だとしている。

 遺族や施主らの宗教心から簡素化されるのではなく、供養の気持ちがあるのだから、簡素化要因はコミュニティ縮小にあるとの指摘である。

 実際、本調査の自由回答の一部からそれが裏付けられる。
 「出来る限り亡くなった人の供養を続けたい。その方法は人それぞれに考えれば良いこと」
 「私が生きている間の周回はしきたり通りにするつもりですが、私の死後は墓じまいをしてもよいと思います」
 「いくらコロナ禍とはいえ、故人との別れ等の意味合いもあり、法要は大事な行事だと思います」
 「自分の心の中で故人に感謝し供養できれば良い」

 こうした回答者は、自分の代だけはきちんとしたいという思いを有しているようだ。寺院側もかつての関係で檀信徒を見るのではなく、現在の檀信徒の心境に耳を傾ける必要があるだろう。(続きは紙面でご覧ください)

2021/11/4
H1グランプリ 全国公募で初開催 グランプリは関本和弘氏 新たな唱導史 扉開く


超宗派の8組9人が登壇した(奈良市) 若手僧侶(45歳以下)による法話の祭典「H1法話グランプリ2021」が10月30日、奈良市のなら100年会館で開催された。全国公募方式での初めての大会。16宗派38組40人の中から選ばれた8組9人が、日本仏教発祥の地・奈良で超宗派の法話共演という新たな唱導史の扉を開いた。

 開会式で、奈良市立飛鳥中学校の書道パフォーマンス部の生徒たちが「釈迦如来」と揮毫し、正面に掲揚。僧侶が大会本尊としての開眼法要を営み、仏教の開祖・釈尊の名号の下で法話グランプリを選ぶ舞台を整えた。

 法話は各10分間。「『また会いたいお坊さん』は誰か」を唯一の審査基準に、審査委員5氏と来場者約750人が投票。それぞれの得票数は非公開だが、雲井雄善・実行委員長(兵庫県神戸市・天台宗能福寺住職)は「全員に票が入り、本当に僅差だった」と明かした。

 グランプリに輝いた関本和弘氏(大阪府寝屋川市・融通念仏宗大念寺副住職・45)のテーマは、「仏花が教えてくれたこと」。お参りに行った檀家宅で見た「仏壇の枯れた仏花」と「軒下にあった鉢植えのきれいな花」の姿を対比させ、「先祖供養」へと展開させた。

右から審査委員特別賞の田中氏、グランプリの関本氏、雲井実行委員会長 「鉢植えの花も絶対枯れる。でも暖かくなると、また芽が出て来る。仏壇の花は枯れたらそこまで。二度と花咲くことはない。何が違うんだろう」と問いかけ、「根っこがないから」とズバリ指摘。「先祖は木々の根なり。根は目には見えねど多くを養う。子孫はその枝葉なり。根、養わずして子孫繁栄する理なし」という言葉を紹介し、自分に至る大勢の先祖が「私たちの根っこ。敬いや感謝の水やりをどうか忘れずに」と説いた。

 審査員でキリスト教宣教師のクリスチャン・モリモト・ヘアマンセン氏(関西学院大学教授)は、「表面的に成功しても、根を忘れたら枯れてしまう」と絶賛。先祖との関係性の根を認識することの大切さに言及した。

 審査員特別賞に選ばれた田中宣照氏(兵庫県神戸市・高野山真言宗西室院住職・44)の法話は、自身の経験に基づく「コロナ禍でのお葬式―心のかけ橋」。審査員の露の団姫氏(落語家・天台宗尼僧)は、「これが本当の法話だと感じた」と激賞した。

 グランプリの関本氏は閉会式後、「皆様のご期待に応えられるような僧侶になっていかないといけない。そういう激励を頂いた気がする」と感想。特別賞の田中氏は、「『また会いたいお坊さん』とは逆に、今日を一期一会だと思って全力で話した」と振り返った。