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2016年

2017/1/1 新春随想 自らのつとめに目覚め済世利人へ 小峰一允 真言宗智山派管長・全日本仏教会会長

  22年前の平成7年(1995)1月15日、家内が一度見てみたいということで、総本山智積院の新年行事であるお昆布式に参列しました。それを終えて神戸市北区の有馬温泉に一泊。帰りに神戸市の三宮駅周辺を散策し、16日夜には東京に戻りました。そして17日早朝の大地震。わずか半日の違いで地震に遭わずに済みました。安堵する反面、大変な事態が起きたと思いました。②.JPG

 6年前の東日本大震災の時は自坊におりました。以前、小名浜から随身していた学生がおりましたので、すぐに彼のお寺に電話をしたところ、庭まで津波が来たという。急きょ、自坊にある食料や毛布など何でもかき集めて救援物資として彼のお寺に送りました。

 智山派の話になりますが、震災後、青年僧たちの震災に対する反応は敏感でした。津波や原発事故の周辺地域に智山派寺院が多かったこともあるでしょう。全国各地の青年僧が一致協力して救援活動を行いました。済世利人の実践です。その行動力とスピードには頭が下がります。こうした他者の痛みがわかるような実践と生き方は彼らの財産になることでしょう。

 実は智山青年会を作ったのは私なのです。60年近く前です。当時大正大学に編入学したのですが、智山派学生はよく言えばおとなしい。時代的には創価学会の折伏行進の頃でした。全日本仏教青年会があり、各宗派の仏教青年会ができつつありました。そういう時期でしたので、同級生たちと何かしなければという思いが募り、智山青年会を結成しました(昭和33年1月)。当初は東京を中心に全国の個人加盟でしたが、それでは行動が伴わないということで教区単位となり、数年後には智山青年連合会となりました。組織に命を吹き込むのはその時々の青年僧たちです。平成以降、阪神淡路大震災をはじめ新潟地震などで救援・支援活動をしていますが、青年僧たちの行動はOBとして心強いし、うれしくもあります。

 個人としては東日本大震災から2年後、お寺の御詠歌講の人たちと一緒に東北三十六不動を春と秋に分けて巡拝しました。震災は天地自然の現象ではあるけれども、こうした時代をつくり、異変を生み出したのは私たちの行為に原因があるのではと個人的に思ったからです。それで懺悔をしながら、犠牲者のみ霊安らかなれ、被災地復興なれ、この世平安なれ――とお不動さまに願ったのです。

 智山派管長に就任してから岩手・宮城・福島の三県で公式に慰霊法要の導師をしました。さらに茨城と千葉で慰霊法要があり、名取市では御詠歌の奉詠大会も行われました。その都度、被災の大きさと継続的なご供養の大切さを思います。

 阪神淡路大震災二十三回忌となる本年1月17日の前日(16日)、神戸市の須磨寺に建立されている「阪神淡路大震災物故者追悼碑」前で法要が営まれます。10月には全日本仏教会財団創立60周年記念行事が東日本大震災の被災地、福島県郡山市で開催されます。二十三回忌と七回忌、それに熊本大地震一周忌。大自然の中に生かされている仏教者として、自らのつとめに目覚め、全力を尽くしていきましょう。(談)

 こみね・いちいん/昭和8年(1933)東京生まれ。早稲田大学教育学部卒、大正大学大学院仏教学修士課程修了。真言宗智山派教学部長、智山教化センター長などを歴任。平成27年(2015)6月真言宗智山派管長、総本山智積院化主第71世に就任。昨年4月1日より全日本仏教会会長(第32期)。自坊は練馬区の三寳寺。

2017/1/1 本願寺派特別宗会 石上総長を再任 正副議長に浅野、下原両氏

 浄土真宗本願寺派は12月19~21日、任期満了に伴う宗会議員選挙をうけて第311回特別宗会を京都市下京区の宗務所で開いた。総長選挙が行われ、石上智康氏(80)が総長に再任された。就任の挨拶で石上総長は「伝灯奉告法要の無事円成」と「宗門総合振興計画の丁寧な推進、具体化」を当面の目標に挙げ、引き続き宗務に精励することを誓った。

 宗会2日目の20日に総長選挙が行われ、大谷光淳門主は総長候補者に石上氏と元総務で福岡教区東筑組敬行寺前住職の大沼善龍氏(78)の2人を指名。投票の結果、出席議員74人の内、石上氏が68票、大沼氏が5票、無効票1票で石上氏の総長再任が決まった。

 大谷門主は総長選挙に先立つ開会式で、「少子高齢化、過疎化など社会状況が変化しているだけでなく、人間の生き方も大きく変わってきている。その中でどのようにして浄土真宗のみ教えを伝えていくことができるのか、強い危機感を覚えます」と新たに選ばれた議員らにご親教を述べた。

 22日に開かれた石上総長の就任会見では、現在進行中の伝灯奉告法要全10期の内、すでに終了した4期までで法要に約6万人、本山西本願寺に約15万人が参拝したことを発表。「改善するところがあれば改善し、より宗教的感動を共有していただける法要にしていきたい」と抱負を語った。

 総長選挙に先立ち、特別宗会初日の19日に正副議長選挙が実施された。議長には浅野弘毅氏、副議長には下原忠雄氏が選出された。得票数は以下の通り(敬称略)。
【議長】浅野弘毅68票、下川弘暎1票、石上智康1票、白票6票
【副議長】下原忠雄59票、塩月光夫3票、下川弘暎1票、白票9票、無効票3票

 第3次石上総局発足

 12月21日付けで総務3人、副総務2人が任命され、第3次石上総局が発足した。40代の若さで新任された弘中貴之副総務以外は再任。人事は以下の通り(敬称略)。
 【総務】▼中戸康雄(67)=国府教区高田組眞行寺住職 ▼光岡理學(74)=佐賀教区佐賀組浄照寺住職 ▼霍野廣紹(65)=北豊教区上毛組覺圓寺住職
 【副総務】▼丸田教雄(68)=北海道教区北見西組光源寺住職 ▼弘中貴之(46)=山口教区防府組乗円寺住職

2017/1/1 大谷派 新総長に但馬弘氏 念仏僧伽の再興を目指す

 辞意を表明した里雄康意宗務総長(67)の後任を決める真宗大谷派の宗会臨時会は15・16両日、京都市下京区の本山東本願寺で開かれ、参務の但馬弘氏(57)を指名した。大谷暢顕門首の認証を経て、19日、正式に就任した。①大谷派 新宗務総長.JPG宗務総長指名後に宗議会で挨拶を述べる但馬氏

 与党会派・真宗興法議員団は14日、次期総長候補となる新代表に但馬氏を選出。一方、野党会派・同朋社会をめざす会は旦保立子代表(69)を立て、一騎打ちとなった。16日の宗議会で投開票が行われた結果、但馬氏が48票、旦保氏が15票だった。めざす会の15票以外、無所属議員の票も但馬氏が獲得した。

 門徒で構成する参議会でも同日に投開票が行われ、但馬氏46票、旦保氏15票という結果を受け、両議会で過半数の票が集まった但馬氏が新宗務総長に指名された。

 但馬氏は両議会で挨拶し、同派の現状について、「進行する寺離れや宗教離れによって教勢は下降線をたどっている」との認識を示した上で、「親鸞聖人の立教開宗の精神は念仏の僧伽の希求であり、それこそが真宗大谷派なる精神だ。あらゆる施策が念仏の僧伽の再興につながるよう宗務に取り組んでいきたい」と決意を述べた。

 宗会閉会後に記者会見した但馬氏は、里雄内局が掲げた「一人の人、一つの寺を大切にする精神」を受け継ぎ、施策を行う意向を強調。「進行中の兼職寺院への支援や僧侶の資質向上を着実に進めたい」とした。人口減や過疎化の問題に関し、「都市開教と対にして考えていくべき。人口集中地域への教化拠点設置にも力を入れたい」と述べた。

 さらに、安保法制に強い危惧の念を抱いているとした上で、「宗門は寺やご門徒だけに顔を向けていればいいというわけでない。平和への課題を中心に置きながら、差別や死刑制度の問題なども信心の問題と受け止め、声明を出すだけでなく、様々な分野と交わりながら念仏の教法に立つ教団として行動したい」との考えを示した。

 但馬氏を後任に推した里雄氏が15日、辞任にあたって挨拶。11月下旬に執り行った修復完了奉告法要を節目に、2023年に迎える親鸞聖人誕生850年、立教開宗800年に向けて人心を一新するために辞意を固めたと説明。4年間余りの在任中、「気の休まることはなかったが、充実したときを過ごした」と語った。16日付の辞任後に取材に応じ、「一歩ずつ着実に施策を進めてほしい。一議員としてバックアップするとともに、『一人の人、一つの寺を大切にする精神』で一住職として力を尽くしたい」と話した。

 旦保氏は「残念ながら、風穴を開けることができなかった」と悔しさをにじませ、無所属代表の大城雅史氏(72)は「全面的に支援する」と協力する姿勢を示した。

 但馬内局スタート

 大谷暢顕門首の認証を受け、19日、宗務総長に就任した但馬氏は同日付で内局を組局した。参務に林治氏(66)、木越渉氏(59)、望月慶子氏(74)、八島昭雄氏(61)、藤井宣行氏(54)を選び、但馬内局が発足した。八島氏と藤井氏は宗議会議員1期目で、入局するのは初めて。

 宗務所で同日、内局就退任式が行われた。但馬新宗務総長は、「2023年の親鸞聖人誕生850年、立教開宗800年に向けての準備が与えられた任務だ」と表明。一大イベントのような法要や、多額の費用を要するインフラ整備を行うのではないとして、「23年を目標に、そして23年を越えて、本来の真宗大谷派教団への回復を目指す」と抱負を述べた。

 但馬氏は1959年生まれ。大谷大卒。石川県小松市の興宗寺(大聖寺教区)住職。97年から宗議会議員。5期目。2001年10月~03年2月に三浦崇内局、15年1月~16年12月に第2次里雄康意内局で参務を2回務めた。

 林氏は50年生まれ。大谷大短期大学部卒。大阪府羽曳野市の玅善寺(大阪教区)住職。97年から宗議会議員。5期目。02年6月~03年2月に三浦内局、05年10月~07年6月に第2次熊谷宗惠内局、09年4月~同年10月に第1次安原晃内局、同年10月~12年10月に第2次安原内局で参務を4回務めた。

 木越氏は57年生まれ。大谷大大学院修士課程修了。石川県かほく市の光専寺(金沢教区)住職。06年9月から宗議会議員。3期目。12年10月~13年10月に第1次里雄内局、同年10月~16年12月に第2次里雄内局で参務を2回務めた。

 望月氏は42年生まれ。兵庫県立明石高校卒。兵庫県洲本市の浄泉寺(山陽教区)衆徒。05年9月から宗議会議員。3期目。15年1月~16年12月に第2次里雄内局で参務を務めた。

 八島氏は55年生まれ。一橋大卒。北海道札幌市の徳生寺(北海道教区)住職。13年9月から宗議会議員。1期目。

 藤井氏は62年生まれ。大谷大卒。愛知県豊橋市の浄圓寺(岡崎教区)住職。13年9月から宗議会議員。1期目。

2017/1/1 駒澤大学新学長に長谷部八朗教授

 学校法人駒澤大学は廣瀬良弘学長の任期満了に伴う選挙で仏教学部の長谷部八朗教授が当選し、11月24日の理事会で新学長に選任された。就任は4月1日から。任期は4年。④長谷部次期学長駒澤.JPG長谷部教授

 長谷部氏は1950年7月7日生まれ。慶応義塾大学商学部卒業、駒澤大学大学院博士課程社会学専攻満期退学。文学修士。1996年駒澤大学仏教学部助教授、2002年より同教授。現在は評議員・学生部長・仏教経済研究所所長を兼ねる。

 専門は宗教学・民俗学。著書に『祈禱儀礼の世界』『「講」研究の可能性』など多数。

2017/1/1 妙心寺派宗門特別学徒得度式 第2の人生プロジェクト 57歳と47歳 師僧「心から歓迎」

 臨済宗妙心寺派は先の宗会で承認された宗門特別学徒の得度式を12月8日、大本山妙心寺涅槃堂で厳修した。戒師は栗原正雄宗務総長が務めた。規程により師僧となった上沼雅龍総務部長は「宗門として、門戸に入っていただいたことを心から歓迎する」と祝した。
④妙心寺派 特別学徒得度2016 (1).JPG栗原宗務総長から戒を授かる宗門特別学徒の二人
 宗門特別学徒は、「第二の人生は僧侶に」プロジェクトなどで僧侶を志すも適切な授業師(師僧)がいない場合に限り、得度者を宗門活性化推進局局長が始入法階稟承申請をできるようにしたもの。

 同局長を兼任する上沼部長が授業師となったが、3年を目途に宗制に則った授業師を選定することとなっている。

 上沼部長は「得度は目標点ではなく、通過点であるはず。これから厳しい修行に向かわれるが、世間に通用する一人前の僧侶になるために日々精進を続けてほしい」と垂訓した。

 宗門特別学徒となったのは、石川県金沢市の森信仁さん(57)と長野県上田市の甲田康晴さん(47)。森さんは僧侶への第一歩を踏み出したことに「率直に嬉しいです。実際に戒を授かり、栗原総長のお言葉が重みをもって身体に染み渡るのを感じた。戒を守って自分を高め、すべての人々のためになる僧侶になりたい」と語り、甲田さんも緊張の面持ちで「これからどのような僧侶になるべきか、一から考えていきたい」と抱負を語った。

 森さんは花園禅塾に入塾し、禅僧としての基礎や心構え等を学ぶという。今後二人は、来春以降での僧堂への掛搭を目指し、準備を進めていく。

2017/1/1 特集 僧侶派遣の現状と背景を追う 第1回

 ほぼ一年前、葬儀関連会社の「みんれび」がインターネット大手のアマゾンに出店を発表した。料金が明示されたこともあって全日本仏教会(全日仏)は理事長談話で「お布施は、サービスの対価ではありません」と批判し、理事会で対応していくことを決めた。僧侶派遣(僧侶手配サービス)問題の背景には寺檀関係の希薄化や都市化、少子高齢化、グローバル化、ネット社会化などさまざまな要因がある。仏教界はここ20年の間に表面化した葬儀や戒名問題に対する研究を行い、その成果を発表してきた。だが生かされたとは言い難い。過去を検証しつつ、僧侶派遣を行っている企業や組織の現場を取材した。

 インターネットで「僧侶派遣」と検索すると夥しいサイトが目に飛び込んでくる。クリックすると葬儀費用はともかく、お布施の金額明示は珍しくない。あるサイトには「通夜・葬儀・初七日・火葬・戒名 お布施料金 〇万円」とある。「お布施料金」とはいささか矛盾する表現であるが、〈お布施=料金〉という認識なのだろう。通常は「お布施はいくら―」といったように用いられる。ただし、一般にはこうした表現が受け入れやすいようだ。 

 お布施ではないが、戒名問題が表面化した時、全日本仏教会(全日仏)は“戒名料という表現・呼称は用いず”と決めたことがあった。平成11年(1999)11月、全日仏に設置された「戒名(法名)に関する研究会」が出した結論の一つである(報告書別掲)。さらに「仏教本来の考え方からすれば、僧侶・寺院が受ける金品は、すべてお布施(財施)である。従って、戒名(法名)は売買の対象ではない」と明言。確かにそうであるし、寺院・僧侶もそう認識しているはず。だが、寺檀関係が希薄化してくると、檀信徒は料金(対価)として意識するようになる。寺院との関係を持たない人にとっては、まさに料金でしかない。

 その傾向は20年近く経った今日ではさらに強まっている。平成以降の葬祭関連の推移(別掲)をまとめてみたが、平成10年代(2005年頃)までは、葬儀そのものや戒名(料金やランク)が問題となった。葬儀依頼者(施主)と寺院・僧侶という2者関係、あるいは葬儀社を介した3者関係であった。

 ところが、流通大手のイオンなど他業種からの参入により、4者関係となった。仲介する会社は必ずしも葬儀社を有しているわけではない。その場合、一定の条件のもとに仲介会社に登録されている葬儀社が担当する。葬儀依頼があると仲介会社は担当葬儀社と寺院や僧侶を決めることになる。依頼者にとっては窓口が一本化されるメリットはあるだろう。しかし寺院・僧侶側からみると、葬儀とは何か、戒名とは何かといった主体性に疑問が残る。

 変わりゆく現代社会と葬儀事情。仏教界もまた変化の嵐のまっただ中にいる。(続きは1月1日号紙面をご覧ください)

2017/1/1 特集 被災地の今、復興の課題―東日本大震災・熊本地震

  昨年4月に発生した熊本地震から8カ月が経った。被災寺院では復興への取り組みを始めているが、檀信徒も被災した現状では協力が得られない状況にある。

 一方、東日本大震災の被災地では3月11日で発災から6年を迎える。復興は少しずつ進んでいるが、千年に一度と言われた巨大津波や原発事故に襲われた被災地域では、地域の再生、復興の困難さに直面している。

 大災害からの復興には地域ごとに特有の課題がある。熊本・福島・宮城3県を歩き、被災地の〝いま〟をレポートする。 
 益城町―熊本地震

 熊本・大分両県を中心に発生した「熊本地震」から8カ月。現地の寺院の状況は今どうなっているのか。被害が大きかった地域の一つ、益城町を訪れた。現地では、被災した檀信徒の多くが今も避難生活のただ中にあり、伽藍の建て替えや修復について「とても寄付をお願いできない」と苦悩する住職たちの姿があった。②IMG_5134縮小.jpg道安寺2階の旧本堂。屋根をブルーシートで覆っているが、今でも雨漏りに対応しきれない状態が続く

 「とにかく先が見えない」。一週間ほど前に本堂の建て替え決めたという真宗大谷派皆乗寺の粟津信也住職(57)は、ブルーシートで覆われた本堂の中で内陣を見つめながらそうつぶやいた。
 寺を支える門徒約350軒の内、およそ100軒の家が全壊、150軒が半壊の被害に遇っている。今も避難生活を送る門徒は多く、町内を歩けば手つかずのまま放置されている門徒の家が数多くある。「総代さんには相談しましたが、とても寄付をお願いできる状況ではないですよ」と声に苦悩が滲んだ。(続きは1月1日号紙面をご覧ください)

 飯舘村―原発事故

 原発事故から今年で6年。国は全村避難となっている福島県飯舘村の避難指示を、3月31日午前0時に一部の帰還困難区域を除いて解除する方針だ。村では昨夏、居住制限区域にある役場本庁舎で業務を再開した。だが住民は、南相馬市や福島市など周辺地域に家を建てるなどして定住。村内には3宗派6カ寺があるが、檀家の多くが村外で暮らすことになる。原発事故からの地域と信仰の復興は、どう進むのか⑧飯舘村の善応寺.JPG飯舘村の豊山派善応寺。避難先から自坊に毎日通う草野住職は「故郷の寺に住職がいることが大事」と話す

 人口約6200人のうち、村の調査で帰村の意思を示したのは1~3割。65歳以上が大半だという。「帰村と言っても、ずっと村で暮らすということではない。春先から冬前までは村に住むが、冬場は息子が福島市などに建てた家で過ごす。村で家を建て直している人でも、完全に帰村するわけではない。避難解除を手放しで喜べる状況では全くない」―。村役場復興対策課で主任主査を務める杉岡誠・浄土真宗本願寺派善仁寺住職(40)は、「村の7割を占める山林は除染されず、元の村の生活が再生されるわけではない」と説明する。

 村の自宅を壊す檀家のために、「仏壇の遷仏のお勤めをしに行く」ことが増えたという杉岡住職。「村で家を建て直している人も自分限定。子どもが家を継ぐかどうか、わからない。ここ10年くらいで、〝村にはお寺しかない〟という状況になるかもしれない。そうなった時、お寺としてどういう活動ができるのか…」

 真言宗豊山派善応寺の草野周一住職(42)は、二本松市内のアパートで、母と妻、子ども3人と暮らしながら村の自坊に通う日々をおくる。「子どもたちは避難先での学校生活の方が長くなり、向こうの子になっている。子どもたちにとっては避難解除後も、今の環境のままでいた方がストレスも少ないのかな。お寺の修繕を進めながら、将来のことはあまり急がずに考えたい」と話す。(続きは1月1日号紙面をご覧ください)

 仙台市・山元町―津波
 3月11日の東日本大震災と大津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部。災害危険区域に指定された地区の寺院でも再建が進められているが、津波で流された「地域」の復興はまだ始まったばかりだ。⑩山元・普門寺 (2).JPG毎月開催のてら茶房。12月は年末で少なめ

 宮城県亘理郡山元町の海岸近くに位置する曹洞宗普門寺(坂野文俊住職・53)には「おてらボランティアセンター(テラセン)」があり、月に一度「てら茶房」が開店する。ケーキとコーヒーが提供され、焼き物やアクセサリー作り、フリマやミニライブなどで終日賑わう。県内外からボランティアが訪れ、毎回150人近い住民がひと時を過ごす。年内最後の茶房が開店した12月17日。被災し、移転したという60代女性は「良い街だった。住んでいた頃は思えなかったのに」と複雑な思いを吐露する。毎月、ここに来ているという。

 普門寺は津波が本堂の壁を突き破り、墓石が流失、檀家全員が被災した。直後から、立入制限区域になりボランティアが入れずにいた。「移転する資金はない、お檀家さんもみんな被災した。ここに残るしかない」。自分自身を奮い立たせながら、坂野住職は一人で瓦礫撤去を始めた。(続きは1月1日号紙面をご覧ください)

2017/1/12 生長の家がブックレット 立憲主義否定政権を批判

 昨年の参院選前、「与党とその候補者を支持しない」と発表した生長の家はその主張の意味を具体化したブックレット『“人間・神の子”は立憲主義の基礎―なぜ安倍政権ではいけないのか?』(監修=谷口雅宣総裁)を11月末に発行し、先月から頒布した。教団の政治姿勢を明確にしたものとして注目される。

 ブックレットでは明治憲法に遡って立憲主義を検証しつつ、「安倍首相は『国民の権利擁護のために国家権力を縛るのが憲法だ』という立憲主義の考えを拒否するだけでなく、国家権力の一部である議会において憲法を変更しやすくすべきという見解の持ち主」と断定。その安倍政権を支えている「日本会議」にも批判を加えている。

 また自民党の「憲法改正草案」の中で、特に「緊急事態条項」が独裁体制を作りかねないと警告している。

 教義面から立憲主義を確認するほか、有識者の見解を紹介しながら地下資源ではなく太陽光や地熱などの地上資源の有用性を説き、「安全保障を高めるためには、循環型の地上資源に切り替えることが必要不可欠」と提案もしている。

2017/1/12 SVA35周年 支援で育った青年が感謝 外交官や国営放送アナに

 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)は前身の曹洞宗ボランティア会の活動開始から35周年を迎え、12月10日に新宿区の芸能花伝舎で記念イベントを開催した。SVAの活動により未来を切り開いたアジアの若者が来日し、これからの活動にも期待を寄せた。

 若林恭英会長は「一口に35年といっても大波小波山あり谷あり、順風満帆とはいきませんでしたが全国の皆さんのお力添えでここまで来ることができました」と挨拶。アジアの人々と共にこれからも歩んでいきたいと抱負を語った。④SVA.JPG「図書館はベストフレンド」と語るスニター氏㊧。中央はオラタイ氏、右が八木澤氏

 ラオス国営放送アナウンサーのスニター・ピンマソン氏は6人姉妹の長女で「子どもの頃はアナウンサーになれるなんて夢にも思っていなかった」と笑顔を見せた。両親が離婚し、漬物の行商をする中で、SVAが支援していたビエンチャンの教育センター「子どもの家」を発見し、たくさんの楽しそうな本と触れ合うことができたという。「紙芝居に出会った時の衝撃は今でも忘れられません。図書館員の読み聞かせも楽しかったです。図書館は私にとってベストフレンドですよ」と語り、一冊の本から学ぶことの喜びを知り猛勉強して現在の職を得たことを述懐。「10歳であの子どもの家の前を通らなかったらどうなっていたのでしょうか」と不思議な縁に感謝した。

 タイ外務省一等書記官としてロシアを担当するオラタイ・プーブンラープ・グナシーラン氏はバンコクのスラム出身。「両親はとても貧しくまさに社会の底辺でした。父のDVは母だけでなく姉や私にも及んでいた」が、「貧しいから暴力が起きるんだと思い、両親を貧困から救おうと考えるようになりました」と、スラムからの脱出を夢に描いた。SVAが運営していた図書館に通い、蔵書の大半を読破して名門・チュラロンコーン大学に入学。強く前向きな態度を本と教育から育んだと語り、今では豊かな生活で姉の子どもも育てているほどになったと語った。

 1980年「曹洞宗東南アジア難民救済会議」のカンボジア難民支援からSVAでの活動を続けている八木澤克昌理事は今もタイのスラムに住み現地で活動中。スニター氏、オラタイ氏については「この2人はとんでもない将来を拓くんじゃないのかなという実感があった」と回想。「2人だけでなく、いろんな子どもが私たちの支援で先生になったり弁護士になったり農業をやったりしている」とも語り、貧しかったり不幸な家庭に生まれても決して劣っているわけではなく、すべての子どもたちに平等なチャンスを作り出したいというメッセージを送った。

2017/1/12 コルモス会議 相模原事件、生命倫理、原発、いじめ―宗教はいのちを育めているか

  現代における宗教の役割研究会(コルモス会議、大谷光真会長)は12月26・27の両日、京都市内のホテルで第63回研究会議を開催した。「宗教といのちを育む力」をテーマに宗教者と宗教研究者が意見を交換した。2日目の全体討議では、これから生まれるいのちのために「未来世代のことを考える責任倫理を宗教から出せないか」と宗教が現代で果たす役割について話が及んだ。
①コルモス会議2016.JPG宗教者・研究者が問題意識を共有した研究会議
 初日の基調講演で京都大学教授の西平直氏が「生まれてきた幸せ・生まれてこなかった幸せ」と題して講演。「生まれてこなかったいのちも大切にする視点を持ち、生まれてきたいのちを大切にすることが、宗教の視点からみた、いのちを育むということではないか」と話した。

 2日目の全体討議では、死者・生者、そして生まれ来る未来世代のいのちを育む宗教の責任について議論し、宗教者・研究者が問題意識を共有。丘山願海・浄土真宗本願寺派総合研究所所長は「今一番大事なことは、いのちがつながっているという価値観を宗教者が伝えること。いのちを育むというきれいな言葉だけでなく具体的に議論すべきだ」と提案した。

 近藤剛・神戸国際大学教授は、相模原市の障害者施設での殺人事件や出生前診断に見られる優生思想の倫理的問題に触れ、「いのちが有用かどうかという悪魔的な発想が社会に広まっていないか」と危惧。社会問題の中に「宗教者の役割が鋭く問われている」とした。
 小原克博・同志社大学教授は「未来世代のことをきちんと考える責任倫理を宗教が出せないか。宗教には社会に問題を提起していく使命がある」と意見。山崎龍明・WCRP平和研究所所長も「いのちの問題は宗教の問題そのものだ」と述べ、原発問題など社会的問題も宗教者の課題となると提起した。

 武田道生・浄土宗総合研究所研究員は原発問題や原発事故地域の避難者へのいじめ問題に言及し、「どの教団もきちんとした対応やコメントをしていない。特に宗教界は発言する責任がある。発言がないことは黙認と同じ。我々宗教界が不作為に犯罪に加担しているのと同じだと思っている」と宗教界全体で取り組む必要性を強調した。

2017/1/12 第44回全日本仏教徒会議福島大会(10月13・14日)に向け 石田宏壽・実行委員長インタビュー 震災七回忌「忘れない、そして未来へ」

  (公財)全日本仏教会(全日仏)は今年、財団創立60周年を迎える。その記念事業となる第44回全日本仏教徒会議福島大会が10月13・14両日、福島県郡山市で開催される。東日本大震災から6年。仏教では七回忌に当たる。福島での大会開催を決断した時の福島県仏教会会長で、現在は大会実行委員長を務める石田宏壽・同仏教会前会長(71)は、「忘れない、そして未来へ」という構想を抱えながら準備を進めている。①全日仏福島大会・石田実行委員長.JPG「大会開催を機縁にして各地域の仏教会が活性化してくれれば」と期待する石田委員長

 大会テーマは、「ご縁をかたちに、絆を行動に―私からはじまる」。特に今大会は岩手・宮城・福島3県を中心として、被災した全地域の思いを集約する大会になる。

 そこで石田氏(郡山市・真宗大谷派道因寺住職)はサブテーマとして、「忘れない、そして未来へ」を入れたいと考えている。「震災を忘れない、そして一歩前へ踏み出す勇気を」との思いからだ。「震災七回忌が終わると、急速に震災の風化が進む懸念がある。ここでもう一度、社会に呼びかけていかないといけない。こういう機会はめったにない」と力を込める。

 震災直後、郡山市でも津波で亡くなった人々の火葬を行った。当時、市仏教会の会長だった石田氏は読経ボランティアを組織して、身元不明の遺体を見送った。自坊で遺骨約40柱を預かったが、DNA鑑定で全員身元が判明した。宗派の活動としては岩手県陸前高田市と大船渡市、福島県内ではいわき市などでも法話や傾聴活動を行ってきた。そうした経験から、「心の復興のためには被災した方々に寄り添うことが一番大事。七回忌は大きな節目になるが、これで震災を風化させてはいけない。これを起点に立ち上がっていけるように、『忘れない』というメッセージを全国に発信したい。そのためにも日本中から福島に集まっていただきたい」と呼びかける。(続きは1月12日号紙面をご覧ください)

2017/1/12 展望2017 定員割れ時代の仏教系大学の行方は 他大学との統合・連携に活路 寄稿 石渡嶺司・大学ジャーナリスト

 44・5%。これは私立学校振興・共済事業団が公表した「2016年度私立大学・短期大学等入学志願者動向」から、入学充足率について100%割れ、すなわち、定員割れの状況にある大学の割合である。

 ほぼ2校に1校が定員割れ状況にあることを意味する。大学にとってサバイバル時代が続いており、苦しい状況は当面の間、続きそうだ。

 小規模校は、学生からすれば選択肢が少なく魅力に乏しいこともあり、どうしても志望校から外れやすい。

 では、中規模以上なら安泰か、と言えばそうではない。

 私立学校共済・振興事業団のデータによると、1989年度、私立大全体での推薦入試による入学者の割合は29・83%だった。それが2016年度は45・32%まで上昇している。つまり、定員割れを起こしていない大学でも、一般入試が機能していないことを意味する。

 そのため、中規模以上の大学では、定員割れを引き起こしていなくても、学生の学力不足が課題となっている。


中規模以上の創価と天理大

 ある大学(仏教系ではないが)では、経営学部を擁しているにもかかわらず、就職試験対策の講義では掛け算・割り算から始める。実際の就職試験はもっと高度だが、そこから始めないと学生がついていけないからだ。

 大学サバイバル時代にあっては、中規模以上の大学であっても安穏としていられない。

 龍谷大学は2015年、瀬田学舎に農学部を新設。国際文化学部を瀬田学舎から深草学舎に移転して国際学部に改組した。

 佛教大学は2015年、大学院文学研究科の3専攻(浄土学、仏教学、仏教文化)を仏教学専攻に統合した。

 武蔵野大学は有明キャンパスの開設・移転(2012年)、工学部設置(2015年)、グローバル学部開設(2016年)などで規模を拡大している。

 ただ、全ての仏教系大学が順調か、と言えば決してそうではない。特に小規模校は定員割れに苦しむところも少なくないのが現状である。そうなった理由については2015年1月1日号仏教タイムスにて6点、理由を挙げた。

 では、他の宗教系大学はどうか。キリスト教系、創価学会(創価大学)、天理教(天理大学)、それから幸福の科学についてそれぞれ見ていきたい。

 キリスト教系大学は、女子高生を中心にイメージの良さがあるため、概して受験生集めでは有利になりやすい。

 一方、小規模校が苦戦しているのは仏教系と変わらない。異なる点は、統合を選ぶ大学があることだ。

 関西では2009年、聖和大学が関西学院大学と統合。関東では2011年に聖母大学が上智大学と統合した。どちらも、同じ宗派(聖和・関西学院はメソジスト派、聖母・上智はカトリック)の大学である。

 創価大学、天理大学はそれぞれ、創価学会・天理教という新宗教を基盤としている。信者の子弟が入学者の中心となりやすいが、それだけではない。創価大学は8学部、天理大学は4学部とどちらも中規模以上である。

 2014年には、学校法人幸福の科学学園(幸福の科学)が幸福の科学大学設置認可を申請。大川隆法の霊言集(大学のテキストとする予定だった)が学問の要件を満たさず、学校教育法に反するなどの理由で文部科学省は不認可とした。2015年には大学設置予定地に無認可校として「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」を開設している。

 創価大学・天理大学の2校と幸福の科学の無認可校に共通しているのは、宗教の規模が大きく、それでいて、大学(または無認可校)が1校しかない。つまり、受験生が集まりやすい。

 一方、仏教系はどうか。小規模校が多く、同じ宗派でも関連大学が複数存在するところもある。

 それから、各大学とも仏教研究に重点を置いてきた、という点を指摘したい。仏教の歴史、文化、哲学などをさらに深く研究し、次世代に伝えることは重要である。

 だが、そのために、仏教系大学に関わる宗派・寺院の財政援助負担は重い。しかも仏教研究は受験生集めには直結しない。定員割れが続くとなれば、宗派・寺院の財政援助負担は増えこそすれ、減ることはないだろう。

 では、小規模な仏教系大学に活路はあるのだろうか。

 まずは、キリスト教系大学と同じく、大規模校との統合は有力な選択肢となるだろう。場合によっては違う宗派の大学とも統合ないし連携する必要が出てくるかもしれない。

 それから、福祉、幼児教育、看護などを擁する大学であれば、支援をする宗派・寺院と提携するのも再建策としては有力だろう。大学に財政支援をするほどの宗派・寺院であれば、幼稚園・保育園や老人ホーム、病院などの運営をしていることが多い。関連施設への就職を条件として大学の学費を一部(または全額)免除する奨学金を新設すれば受験生集めには強力な一手となる。

 他にも、社会人学生や外国人学生の短期受け入れなども有力である。これらを含めて、前例にとらわれない方策を検討していかないと、仏教系大学の中には、定員割れから閉校を迫られるところが出てくる可能性は極めて高い。

 いしわたり・れいじ/1975年生まれ。東洋大学社会学部卒。大学ジャーナリスト。大学入試や就職活動を取材。著書に『最高学府はバカだらけ』等多数。『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)は今月発行。

2017/1/19
須磨寺で阪神・淡路大震災23回忌法要 全日本仏教会主催、本坊と追悼碑前で

①全日仏23回忌本坊法要.JPG須磨寺本坊で営まれた23回忌法要。福島や宮城、熊本で被災した仏教者も参列した(1月16日) 南無震災物故者諸精霊、南無震災物故者諸精霊――。16日午後、神戸市須磨区の真言宗須磨寺派大本山須磨寺本坊書院で全日本仏教会(全日仏)主催の阪神淡路大震災23回忌逮夜法要が営まれ、物故者追悼の真言が120人余の参列者と共に唱和された。東日本大震災と熊本地震の被災地の代表も参席した。山門近くにある全日仏建立の追悼碑前でも一座の法要が営まれた。

 開式に当たり全日仏の石上智康理事長(本願寺派総長)が挨拶し、「震災から22年が経ち、街は復興を果たしたと言えるだろうが、今日に至るもなお震災関連の問題は複雑かつ多様化している。何よりも大切な方々を亡くされ、悲しみ苦しみを胸に必死に生き抜いてこられたことを忘れてはならない」と呼びかけた。さらに各種災害における全日仏の取り組みを紹介しながら「すべての被災された方々に引き続き全力で被災地復興に、仏教徒として寄り添う活動を展開していく」と表明した。

 大導師の小峰一允会長(真言宗智山派管長)、脇導師の篠原法傳氏(兵庫県仏教会会長)と小池弘三氏(須磨寺派管長)をはじめ全日本仏教青年会・兵庫県仏教会・神戸青年仏教徒会・神戸市仏教青年連合会・神戸市真言宗連合会の代表らによる式衆が入殿し法要が執り行われた。読経の中、各宗派・団体代表が焼香し、物故者を追悼し、「南無震災物故者諸精霊」の真言などが唱えられた。

 法要後、導師と式衆に続いて参列者が本坊から追悼碑前に移動。法要では、境内に居合わせた一般参詣者らも焼香し、手を合わせた。

 全日仏は財団創立40周年の記念事業として須磨寺の協力のもと平成9年(1997)10月、「阪神・淡路大震災物故者追悼碑」を建立。追悼碑には各宗派管長(当時)の染筆が納められている。題字は高井秀隆会長(当時、智山派管長)が揮毫。

2017/1/19 日本山妙法寺 藤井日達山主三十三回忌、清澄山道場に世界から400人参列

①.JPG藤井山主の遺影の下で法話をする吉田首座 日本山妙法寺は9日、千葉県鴨川市の清澄山道場で開山・藤井日達山主(1885~1985)の三十三回忌法要を厳修した。世界平和と武力廃絶のためにインドや欧米など全世界を行脚した遺徳を偲んだ。

 藤井山主の大きな遺影のもと、吉田行典首座を導師に法華経を読経。日本山の黄色い衣をまとった男僧・尼僧が団扇太鼓を高らかに轟かせた。インドやスリランカの仏教徒も「南無妙法蓮華経」を熱心に唱えた。

 吉田首座は法話で師である藤井山主の西天開教と仏塔の建立を「誰も為しえなかった」と述べ、「アメリカの暴力的世界支配の戦略に従う日本国政府の政策を真っ向から諫め、軍事基地をはじめ戦争への道を糾弾してきた」ことなど、戦乱で苦しむ世界の人々を救おうと行動してきたことを讃嘆した。

 その上で現代日本の集団的自衛権行使容認や安保法案成立、軍備拡張を深く憂慮。「我々は平和憲法を守り、お互い話し合いの解決によって相互に平和友好を築かなければならない」とし、人類滅亡の危機に瀕する今、師の教えを守り精進していくと誓った。(続きは紙面でご覧ください)

2017/1/19 高野山真言宗宗勢調査 檀家数100軒以下が47% 「お布施の目安」表示は檀信徒の8割が支持

20170120111438414_0001.jpg 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)は昨夏、首都圏開教・過疎対策など宗派の将来構想策定の基礎データとすべく、正住職寺院と檀信徒を対象にした初めての宗勢調査を実施した。全寺院正住職宛アンケートの回収率は53・6%(郵送2611・回収1400・集計対象は締切内到着の1305)。このほど株式会社マーケティング・コミュニケーションズによる分析結果の概要が発表された。

「檀家数100軒以下」の小規模寺院が47・3%と半数を占めた。全体で檀家数が増加した寺院が25・8%、減少が48・4%。減少は大・小規模寺院に顕著で、中規模寺院は増加が多く減少が少ないという結果が出た。
規模の大小を問わず檀家減少寺院も多く、宗費納付が困難との回答も22・6%に。寺院運営が困難との回答は39・9%に上った。様々な教化活動や小~中規模の法会・行事の回数が多い寺院ほど、運営が順調と回答していることも判明。後継者の有無では、寺院の「経営維持可能度」が高いほど「後継者が決まっており、不安はない」が多く、「経営維持困難」では「後継者はいるが不安」「後継者はおらず不安」が増加した。

 僧侶派遣サービスへの意見では、「布施固定・ネット斡旋ともに好ましくない」が4割に上る一方、「布施固定は良い」が18・9%、「ネット依頼は良い」も9・4%と一定の割合を占めた。

 檀信徒対象アンケートも同時に実施され、回収率は46・7%(回収1215・集計対象は1138)だった。

 菩提寺への満足度では、「満足+概ね満足」が92・7%。住職の「熱心な姿」を見ていることや、最愛の人を亡くした悲しみに「住職が寄り添ってくれている」などが理由に挙げられた。自由記述では、寺院を地域コミュニティーの場として開放すべきとの意見が多数。「高野山真言宗は布教活動はしていますか?創価学会に学べ」という厳しい声もあった。

 お布施について「お葬式の目安金額」では、「10~30万円」が5割と最も多かった。関東では「31万円以上」が42%、「4万円以下」が24%と大差があった。「法事の目安金額」では、「3~4万円」が5割と最多。関東は「10~30万円」が12%、「2万円以下」が20%と、ここも大差があった。「九州」「北海道・東北」は「2万円以下」が半数だった。

 ネット僧侶派遣の利用希望は、全体で4・1%と低かった。だが希望理由の中には、「兼務寺院で住職が常時不在のため将来的には利用を検討する」「費用がリーズナブルで、寺と日常の付き合いをしなくてよいので助かる」という答えもあった。

 お布施の目安については、8割が「あった方が良い」と回答。一方で「農山村地帯で貧富の差が大きく、目安がなくて助かっている」「僧侶の姿勢が正しければ財力に応じて布施する」という意見もあった。

2017/1/19 展望2017 流動化時代の布教・伝道とは! 一日授戒で仏弟子に(中野東禅・元曹洞宗総合研究センター講師)

「現代仏教」をどう概念規定すべきか。近代化により宗教は「内心化」するといわれたが、それは、伝統的な儀礼によって維持される意味世界が色あせて、世俗的な価値観の中で「個人的感性によって消費されるカミ」になるということだった。

 現代日本仏教は価値多元化・世俗化・グローバリゼーションの流れの実験室の中にいる。戦後の新宗教勃興期、葬祭仏教に決別し流出した信徒を「取り戻し・流出防止」する作戦は脆弱で、流出が一段落したところで安定期に入り、危機感は忘れ去られて行った。

イエ共同体解体 信仰教育希薄化

 昭和の終わりごろ厚生省の墓地問題研究会が始まり、公共霊園では継承者の行方不明墓地は深刻化していた。三大新聞に三回公告して不明なら改葬してよいという制度の無意味化を認め、年限を切った契約型墓地も進め、また米国式壁墓地や集合墓なども提言した。

 その背景は、(1)江戸・明治の「家」主体の墓・先祖祀りは、税金の元はイエにあり、イエ共同体こそが国家の基本原理だったのである。しかし次・三男も含めた都市化・人口の流動化により「イエ意識」の解体となってきたが、本家を押さえていた寺院仏教は変化の影響を大きく受けなかった。(2)ところが、農地解放に象徴される寺院資産の減少と戦争被災寺院も復興したころから高度経済成長期の布施額高騰になり、(3)檀家であれば基本戒名になかった「戒名料」が始まった。(4)その頃から仏教寺院の幼・保や日曜学校、スカウト活動など社会に貢献し、人々への「信仰教育」を行う機会が希薄化した。

 振り返ってみると「葬祭仏教」とはよく言ったものである。「仏の徳」を「先祖まつり」で代弁していたのである。もちろん亡き人が仏の徳で安らぐのが基本論理ではあるが、仏が哲学化・内心化されないまま「仏という神聖性」を「先祖」に代替してもらっていたわけである。

 したがって「苦悩への内省と、人生論・存在論としての仏法による安心」が不完全なままの「仏教であった」がゆえに「イエ共同体・葬祭だけの仏教」になっていったのである。こうした現状の日本仏教寺院に起死回生の道はあるのだろうか。(過疎地寺院と都市部の集合納骨という両極は今回は触れないでおこう)

 あるとすれば「信仰教育」による①個人と②家族・親族共同体の育成の道であろう。しかし、人が仏教に関心を寄せる動機は様々である。

 例えば、a祈祷やお祓いに関心のある人は問題解決型で、神秘的力への期待で、現世利益で、霊感商法へ横滑りする危険を孕む信仰になる。

 b先祖供養に期待する人は共同体型の世界観で仏の代替として精霊信仰でとどまるという限界のある存在論の人であろう。しかし、人間は動機が浅いものであっても、学びによって存在論の核心に触れる生き方にまで深化することは可能である。

当座は檀信徒の5%を目標に

 こうした状況に対して、切り札は「座標軸の確立強化」である。それはブッダおよび世界の仏教の基本の「帰依三宝」である「受戒」の活性化である。すなわち、キリスト教の洗礼と同様に自己存在の座標軸であり、信仰的所属意識の確立であろう。受戒・おかみそりで戒名・法名を頂くことを、一日受戒で菩提寺(等)で受け(真宗の場合は門主様のお代理で)、かつ信仰教育の一環とし、そこから信心の学習を定期的に深化してゆくという提案である。

 特に読経礼拝(行・家庭でも)、講話(学)、仲間や家族に語る(心の確かめ言語化)ことで、個人の内心と家族共同体がしっかりする。それによって祈祷や先祖供養も意味あるものに深化し、和尚や寺族・弟子も信仰的になる、という運動である。当座、檀信徒の5%を占めたら、それは従来型の人々にも影響をもたらすことになろう。

 これは、宗教の全てに共通する在り方である。戒名・法名を頂いたら、宗派や寺、葬儀・埋葬で変わっても、この原則的な戒名・法名部分は最初の名を尊重し合えば、商業的な戒名料批判も解消できる。この提案をしてきたが、宗内・各宗派の仲間でもかなり実践していることが分かり、結局、現代だからこそ仏教教化の生きた原則だと自信を持ったのである。

 それに(1)この運動では住職が語らねばならないのてその信心が深化する。さらに(2)弟子になった信徒の「心の声」が言葉になり、それが僧侶の信心や仏教理解を深化させる。

 そこで、受戒をうけた人の声を集める運動を進めることも提言したい。
――――――――――
 なかの・とうぜん/1939年静岡県生まれ。駒澤大学仏教学部卒、同大学院修士課程修了。曹洞宗総合研究センター教化研修部門の前身である教化研修所時代から講師を務める。「医療と宗教を考える会」世話人。著書に『仏教の生き死に学』『道元百話』など多数。

2017/1/26 各山会 小峰化主が真言宗長者に 来年大阿は黒沢門跡

  真言宗各派総大本山会(各山会)の御修法新年総会が24日、京都市東山区の総本山智積院で開かれ、今年の後七日御修法で大阿闍梨を務めた小峰一允・智積院化主が長者杖を受け取り、真言宗長者に就任した。また、来年の大阿闍梨に黒沢全紹・大本山大覚寺門跡が就くと発表された。 
④御修法新年総会.JPG真言宗長者に就き挨拶を述べる小峰化主(右)と来年大阿を務める黒沢門跡(左)
 御修法は今月8~14日、総本山教王護国寺(東寺)で執り行われ、別当を務めた芙蓉良英代表総務(智積院寺務長)が成満を報告。その後、約80人の僧侶が参席した講堂で、小峰化主に長者杖が手渡された。

 真言宗長者に就いた小峰化主は「全法要を通して、厳粛かつ如法に営まれたことに感謝したい」と謝意を示した上で、「法要全体が一つの願いに向かって集約され、感動の極みだった」と、7日間21座にわたった修法を振り返った。

 前長者の仲田順和・総本山醍醐寺座主は「本年一年間、真言宗長者として真言僧全員にご教示していただきたい」と祝いの言葉を述べた。
また、昨年11月、東寺で行われた各山会常任委員会で、黒沢門跡が大阿闍梨に推挙されたと、芙蓉代表総務が説明。この日、新年総会前に開かれた常任委で、正式に決まった。

 黒沢門跡は「御修法の成満のために全力を尽くしたい。各山会の皆さまには協力をお願いしたい」と決意を語った。

2017/1/26 1・17阪神・淡路大震災23回忌を勤修

神戸市佛教連合会 50回忌以降も続けたい 熊本被災児童が作文発表

 神戸市佛教連合会は17日、神戸市兵庫区の曹洞宗八王寺で、金井孝顕会長を導師に阪神淡路大震災犠牲者追悼法要を執り行った。辻井定宏、善本秀樹両副会長が脇導師を務め、市内の各区仏教会代表者が出仕した。23回忌を迎えた今年、参拝者約130人が犠牲者を慰霊した。①神戸市仏 阪神淡路.JPG熊本地震の被災体験を作文で発表した女子児童

 この日、各地で追悼法要が営まれ、金井会長の法華宗本門流は本光院(同市同区、藤村泰介住職)で厳修。導師を務めた小西日遶管長も兵庫区出身で震災を経験した。法要には80人を超える僧侶が参列した。

 金井会長は、あちこちに増えたコインパーキングは家を再建できなかった場所が多いとして、22年経ち復興を果たしたように見えるがまだ途上だと述べ、「記憶はどんどん薄れていく。あの悲惨な震災を次の世代へ引き継がなければならない。50回忌を過ぎてもずっと回向を続けたい」と語った。

 八王寺も本堂や庫裏が全壊。永平寺で修行中だった志保見道開住職(一昨年に就任)は翌日に駆け付けた。被害を免れた剣道場が震災時、曹洞宗ボランティア会(当時)や両本山修行僧など宗門の支援活動の拠点となった。

 今年は東日本大震災の7回忌、熊本地震からも1年の節目。法要後、熊本地震で被災した小学生や、東日本大震災の被災地に慰霊訪問した中学生らの発表があり、阪神淡路大震災を経験していない世代と交流した。

 熊本地震で被災し、神戸市の祖父母宅に引っ越して、現在、兵庫大開小学校(同市同区)に通う1年生の女子児童が作文を読んだ。母と弟の3人で避難し、父は熊本に残ったという。遠足の前日に地震が発生したといい、車中での避難生活や鳴りやまない緊急速報メールの恐怖を振り返った。転校後、授業中に地震があり、「家族と地震が起きたときのルールを決めようと思った」と結んだ。

 兵庫中学校(同市同区)の生徒5人は、昨年7月末に授業の一環で東日本大震災の被災地を訪問した経験を発表した。津波で流された町が復興されずに残されている現状を目の当たりにし、愕然としたと報告。仮設住宅で避難生活を送る被災者や現地小中学校との交流を通して、日頃の避難手順確認の重要性を学んだと伝えた。

 諏訪山公園で追悼のつどい 5時46分 鐘の音響く

 神戸の市民団体や特定非営利活動法人「災害危機管理システムEarth」(アース、理事長=石原顕正・山梨県日蓮宗立本寺住職)が共催している「阪神淡路大震災 市民追悼のつどい」が17日、寒風が吹く中、神戸市中央区の諏訪山公園で開かれた。地震発生時刻の5時46分に「神戸・希望の鐘」が鳴らされ、犠牲者の鎮魂を願った。

 市内を一望できる諏訪山公園の高台に当時の被災者約50人が訪れ、石原理事長が撞いた鐘の音を合図に黙祷した。石原理事長ら日蓮宗僧侶による読経回向で参列者一人ひとりが思いを込めて「希望の鐘」を撞いた。

 「希望の鐘」は、震災の風化を懸念した石原理事長が「震災の教訓を活かし、各地の被災者の希望をつなぎ、今を生きる糧となる鐘を」と発案し、震災15周年を機に鋳造。東北など他の被災地での慰霊活動でも使用されている。
②アース神戸2017.JPG市内を一望できる諏訪山公園で追悼の鐘を鳴らし、犠牲者を偲ぶ参列者
 地元の市民団体「阪神淡路大震災被災者ネットワーク」の安田秋成代表(91)は「眼下に煌々とした明りがついているが、古い住宅はなくなり、6千数百人の亡くなった人が帰ってきても、今や行き所がない。だから、鐘の音を鳴らし、私たちはここにいると伝えたい」と鐘への思いを語った。

 続いて神戸市勤労会館に場所を移し、琵琶と声明による音楽法要を厳修した。参列した神戸市在住の村上広子さん(76)は「23回忌と聞いてそんなに経ったのかと思った。当時私は50代。あれから生きている人も街も変わったが、あの時の思いは忘れない」と話した。

 石原理事長は「2000年に行政が式典を止めた後に引き継ぐ形で安田会長と二人三脚でやってきた。名称や形は変わっても、思いは変わらない。新潟や東日本大震災、熊本地震と災害は続いているが、どうすれば被害を少なくできるのか。阪神淡路での教訓を活かしながらこれからも頑張っていきたい」と述べた。

 午後からの神戸と東北の被災者が語り合う「1・17と3・11をつなぐ会」では、東北から東日本大震災の被災者も訪れ、福島原発事故の現在と今後について神戸市民と懇談する場も設けられた。

2017/1/26 展望2017 僧侶の養成と資質向上を考える 求められる「有り難い」僧侶 僧侶は人を救うのが「仕事」 養成失敗すれば未来に打撃 寺田信彦・智山専修学院院長

1 僧侶になろうとしている方々へ

 僧侶は人を救うのが主な「仕事」です。救うのは何か。人の魂です。僧侶としての修行をし、自らの魂を救うという人もいるでしょう。お通夜や葬儀・法事等の場で、ご遺族の魂を癒すという救いを行う場合もあるでしょう。ご信心の方達に、お護摩等の御祈祷や御祈願を行うのも人を救う行為です。

 一般的に檀信徒に対して僧侶が携わる宗教的儀式は、厳粛さという「非日常的」な時空を共有させる行為であるとも表現できます。「非日常の世界」でなければ癒されない魂もあるのです。人の世は、合理的かつ説明可能な部分などはほんの一部です。「日常的」な世界の価値観(地位や名誉、お金、楽で楽しいこと)ばかりで人は満足するものではありません。いわゆる極楽浄土で金銀宝石の御殿に住み、蓮の花と天女に囲まれた生活をしていても、きっと飽きてしまい「菩薩行」をしに行きたくなるでしょう。

 人間には「非日常的」な世界の価値観(一文の得にもならないが、人間として文化的、全霊的に豊かに生きるためのもの)が必要不可欠なのです。特に宗教における神仏等をとおしての厳粛さの共感は、人間存在の厳粛さを実感・体感する大切な場です。だから儀式は厳粛に行わなければならず、僧侶は有り難い存在でなければなりません。


2 儀式における厳粛さ、僧侶における有り難さ

 最近は卒業式・入学式・成人式のあり方が話題になっています。儀式は厳粛に行われてこそ儀式なのに、その厳粛さの持つ意味を若者たちはほとんど教えられて来なかったようです。それらの儀式は自分を育てて下さった方々への感謝のみならず、自分がここまで生きてこられたその陰にある、全ての存在への感謝と、有り難さを厳粛に受け止めるべき場でもあったはずです。

 それは葬儀についても同じです。死も生も、いやそもそも人間とは厳粛な存在なのです。その厳粛さを「浄仏国土」を実感しつつ、遺族・参列者共に同じ「厳粛な時空」を共有し合うのがお葬式の場なのです。それなのに、有り難くもない僧侶がまるで手間賃を要求する感じでお布施を求めたら、世の人はどう思うでしょう。


3 僧侶の教育に求められているもの

 現在は仏教に関する本が多く出版され、かつインターネットで様々な情報が飛び交っています。そのような中にあって、学問を積み「さすがお坊さんだ」という評価が得られるような僧侶を養成しなければなりません。無論、碩学の学者たりうることと、有り難いお坊さんとは別の話かもしれません。しかし教学の裏づけと学問的体系のない宗教はまやかしだと思います。 

 若い僧侶には生活者として、いわゆる世間的な常識、教養と品格を身に付けさせたいものです。今の僧侶には人間的「良質さ」が求められています。実は贅沢三昧な生活をして、世間から眉を顰められている僧侶もいるのです。僧侶は宗教家としての力に加え、生活者としての品格も身に付けたほうが金ピカの袈裟よりも布教力を発揮します。


安心与える努力を 

 僧侶は儀式の時、宗派の法や伝統に従って如法にそれを行うことが大切です。宗教における伝統や所作には必ず教義的意味があり、時代に洗われた様式美と品格があります。それを若い僧侶に実感させ、教える必要があります。


4 宗教法人の責任役員として

 住職は通常、宗教法人の代表役員になります。法人経営のトップに立つのです。公的な組織は法令・規則に則って運営されます。住職としては宗教法人法、当該宗派の規則、寺院規則を踏まえ、適正な組織管理を行う実践力が求められます。

 よくお寺は世間から、無税でズルイとか、お布施は和尚さんの懐に入るとか、墓地の分譲で金儲けしているとか様々な誤解を受けています。住職は檀信徒への安心(あんじん)を与える努力と共に、そのような誤解を正すこともしなければなりません。

 お寺が無税とは、憲法20条の「政教分離」の精神から公権力は宗教行為に対しその懐までは手を入れないという解釈だけの話です。憲法は解釈次第、判例次第。民意で解釈も変わり得ます。宗教法人は国民に対し思想信条の自由とプライバシーの保障という責務も負っています。住職は法人の責任者としての義務を果たし、権利の行使は正当に行うべきです。

 宗教界の行く末は日本文化の行く末を占うものでもあります。今、良い僧侶の養成に失敗すれば、日本の未来に計り知れない打撃を及ぼすだろうと私は思います。
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 てらだ・しんげん/昭和21年(1946)生まれ。早稲田大学教育学部卒。千葉県立高校教諭、県教委、県立高等学校長、県校長協会長、秀明大学学校教師学部教授(教育行政学・教職概論)などを歴任。平成17年度文部科学大臣賞受賞。著書に『学校文化を高める聞かせる話、読ませる話』(学事出版)。現在、智山専修学院院長、大正大学理事、真言宗智山派總持院(館山市)住職。

2017/2/2 ACRP大会 2020年秋、東京を予定

 公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(杉谷義純理事長)は1月25日、東京・杉並の立正佼成会普門閣で理事会と評議員会を開いた。その中でACRP(アジア宗教者平和会議)事務局から各国委員会に通知予定の次回大会候補地に、日本委として2020年東京開催を提案することを表明した。

 國富敬二事務局長が日本受け入れの経緯と準備について説明。世界大会は2度行われたが、ACRP大会は未開催であり、かねてより各国委員会から日本開催を強く打診されていたという。また2002年のジョグ・ジャカルタ大会以降、6年ごとに開かれており、「WCRP創設50周年でもある2020年に開催することが相応しいのではないか」とした。東京オリンピック・パラリンピック終了後の秋頃を想定している。

 会場や予算についても方向性が示され、杉谷理事長は「ある程度の予算はかかるが、多大な負担となるようなことは考えていない。また日本の立場から言うと、大変各国から開催要望が強い」と補足した。

 理事会で承認され、今年5月、中国でのACRP執行委員会で審議され、開催時期と場所など次期第9回大会の大枠が決定する運びだ。

2017/2/2 全日仏理事会 「伝道の力不足」を反省 「お坊さん便」対策に加盟宗派へヒアリングも

 公益財団法人全日本仏教会(全日仏、石上智康理事長)は1月30日、東京・芝の増上寺会館で理事会を開催した。ネット通販大手のアマゾンが僧侶手配サービス「お坊さん便」の販売を開始したことに端を発して設置された「法務執行に関する協議会」の中間報告が提出された。現状分析の中で「一般の人々に対する伝道活動の力不足」を僧侶側の努力不足を指摘する一方で、「仏教界があげて仏道の原点に立ち帰り、自らの本来化に向け真摯に努力することが重要」と取り組む課題も明示した。理事15人(5人欠席)、監事3人が出席した。

 中間報告とその経緯を久喜和裕事務総長が説明。3度会合を開き、参考人として日本消費者協会と葬儀業界から関係者を招いて意見聴取も行った。「非常に耳が痛い。悲しくなるような事実も突きつけられる中で議論をした」と報告。今後は加盟教団へのヒアリングなどを実施するとした。 1200字強の中間報告では、9項目を掲げて論点を整理。理事会後に石上理事長は「(仏教界にとって)厳しい内容が含まれている」と評した。

 浄土宗の戸松義晴理事は「社会からは、報告書にある『一部僧侶・寺院側の、宗教の商品化を助長する行為』と私たちの在り方への批判が多いと思う。協議会を作り対応していくならば、こうしたことが起きない取り組みをどうするのかを具体的に提示していく時期だと思う」と意見を表明した。

 石上理事長は「この問題に対する各宗派の見解、あるいは具体的な対応があればそのご報告を頂きたい。もしこの件に関し全日仏にご要望があればお伝え頂きたい。それらの資料が集まった段階で、もう一度、協議会を開催し、さらに対応をとりまとめて理事会に報告頂きたい」と要請。ただ次回報告の期限は示されなかった。

 全日仏は平成10年(1998)、「戒名(法名)問題に関する研究会」を設置し、報告書では「布教・伝道を通して、社会の苦悩を解消するための努力を充分に果たしていないことへの批判が、戒名(法名)問題の根底にある。仏教界全体として反省すべきだ」とあり、今中間報告書と共通する視点もある。

アンケート調査

 新年度の事業については10月の財団創立60周年式典(13日)および第44回全日本仏教徒会議福島大会(14日)を柱に、調査研究活動・仏教文化活動・広報活動・人権擁護活動・国際交流・WFB(世界仏教徒連盟)・救援活動支援・大蔵経テキストデータベース運営支援の9項目を公益目的事業として取り組んでいく方針。

 また今年度の事業となるが、仏教に対するアンケート調査を行う。「実際に一般社会の人たちがどのように仏教文化を捉えているか、こういった数字を持っていない」「仏教と縁のない方を含めてネットの調査会社を利用してアンケートをとり、レポートが届き次第、提示させていく予定」(広報文化部)という。

2017/2/2 曹洞宗梅花流講習会、ルーツの密厳流伝承曲を学ぶ 智積院で初の開催

③曹洞宗 智積院会館で梅花流講習会.JPG密厳流の模範詠唱では梅花流師範・詠範の熱い視線が注がれた 曹洞宗宗務庁主催の梅花流講習会が1月24・25の両日、京都市東山区の真言宗智山派智積院の智積院会館で開催された。曹洞宗御詠歌の梅花流は真言宗智山派密厳流を原点としており、今年65周年を迎える梅花流のルーツに触れようと、師範・詠範約130人が参加した。本庁主催の講習会が智積院で開催されるのは初めて。梅花流講師の久峩章稔氏は「原点に触れて、今に梅花流を伝えて下さった方々への感謝する機会にもなった」と話した。

 曹洞宗の梅花流は、昭和27年(1952)の梅花講設立時に密厳流の9曲(伝承曲)が提供され、これに曹洞宗側で歌詞をのせたのが始まり。翌年から梅花流独自の曲を増やし、現在では約80曲あるという。

 講習会の初日は、密厳流遍照講の川上秀忍事務局長が特別講師に招かれ、梅花流の原点となった「密厳(梅花)」「木揚(紫雲)」等の伝承曲を中心に指導を行った。密厳流の模範詠唱では貴重な機会を今後の指導で役立てようと、スマートフォンやカメラでその流麗な調べや所作を撮影する人もいるなど、熱心な受講生が食い入るように見つめていた。

 久峩氏は「宗務所単位では、智積院さまとのご縁で講習があったが、本庁講習が他宗派で行われるのは初めてのこと。智積院さまの暖かいご理解で講習を開くことができ、本当の密厳流のお唱えを聞かせていただくことは今後のプラスになる」と述べた。

 同じく梅花流師範の佐藤俊晃氏は「梅花流が発足した65年前には道元禅師の700回大遠忌が永平寺であった。今回その永平寺で65周年記念大会が行われる。この講習会で梅花流の原点である密厳流に触れて、参加者は梅花流発足時の思いを新たにされるのではないか」と語った。

 講習は密厳流の特別講習の他、2日間で四講師により16講座を実施。模範詠唱を披露した遍照講の講員も梅花流講習会に一部参加した。

2017/2/9 大本開教125年節分大祭 出口紅教主が復帰 和知川に人型130万枚投じる

  天地の罪や穢れを祓い清める大本最大の祭典「節分大祭」が3日夜から4日早朝にかけて、京都府綾部市の教団発祥の聖地、梅松苑で執り行われた。露店が並んだ苑内に大勢の地元市民も訪れ、信徒ら約1万人が参拝した。2015年末から静養中だった出口紅教主が元旦の復帰後、初の大祭に参席した。③大本 節分大祭.JPG約1年の休養を経て復帰した出口紅教主

 体調を崩したとして休養が発表されたのは一昨年の12月。丸1年の静養を経て、出口教主は今年元日、梅松苑で執行された新年祭で復帰した。この日、大祭に通して参席しなかったが、約9分間の挨拶を述べるとともに、玉串を捧げた。

 出口教主は、みろくの世を願う日々の祈りは、紛争や災害などで苦しむ国内外のすべての人に向けられていると述べ、「きょうの節分大祭のよき日に、天地の大恩への感謝とともに天地の神々さまにお詫びを申し上げ、諸々の罪や穢れを祓い清めていただき、全人類の救済と幸せを共に祈願したい」と語った。

 祭典は長生殿で執り行われ、神体山の本宮山山頂で起こした神火を点火。米や魚、野菜や果物などが供えられ、向こう1年の豊作も祈願した。出口家、岐阜道院統掌の大野岳恵氏、綾部市長の山崎善也氏、参議院議員の福山哲郎氏らが玉串を捧げた。

 この後、天地すべてを祓い清める「大潔斎神事」を執行。八雲琴の調べに合わせて、舞姫2人が鈴と麻(ぬさ)を打ち振り舞った。祓戸四柱の一神、災厄祓除の瀬織津姫に扮した祭員が、厄除けを願って寄せられた約130万枚の人型や型代をつぼに納めた。世界中の国名を記した型代も共に奉納された。

 午後11時と4日午前2時半の2回、松明を掲げた祭員ら約100人が、辻々でお祓いをしながら和知川に架かる綾部橋までつぼを運んだ。深夜にもかかわらず集まった参拝者らによって唱えられた神言が響く中、橋上から人型が投じられた。

 節分大祭は、国祖・国常立尊が明治25年2月3日夜、出口なお開祖に帰神した開教を記念する祭典で、大本は今年で開教125年を迎えた。

2017/2/9 天台宗 木ノ下宗務総長辞任 3月に選挙へ

  天台宗は1月30日、木ノ下寂俊宗務総長(69)が辞任することを同28日に森川宏映天台座主へ上申したと発表した。木ノ下宗務総長は2013年に就任し、任期は今年11月までだった。昨年から体調を崩しており、今年8月の比叡山サミット30周年記念行事の遂行を考慮して、健康上の理由で辞任を決めたものと見られる。

 天台宗では2月21日から天台宗宗議会が招集されるが、後任が決まるまでは宗務を継続する。後任の宗務総長を決める選挙は5日に告示、立候補届け出期間は18~22日、選挙期日は3月14日。

 木ノ下宗務総長は、祖師先徳鑽迎大法会の第二期で恵心僧都一千年遠忌など他教団とも協働する事業を指揮。天台宗宗務総長が担う比叡山サミット30周年を主催する日本宗教者代表者会議の事務総長も務めている。

2017/1/19 日本消費者協会・葬祭アンケート 葬儀費用、やや増加 相談は寺院から業者 仏式葬儀 首都圏で減少気味

 (一財)日本消費者協会が3年に一度行っている「第11回葬儀についてのアンケート」の報告とシンポジウムが1月26日に東京・千代田区の四谷プラザエフで開催された。減少傾向にあった葬儀費用合計の全国平均は約196万円(前回約189万円)、寺院への費用は約47万円(同約45万円)で前回より増加を示した。一方、葬儀に際し「誰に(どこに)相談したか」の設問(複数回答)では「寺・神社・教会」が約19%(同29%)と減少し、変わって「葬儀社」が約54%(前回16%)と増加した。
①葬儀アンケート.JPG調査結果を受けて行われたシンポ
 調査は全国の同協会会員、消費生活コンサルタント、一般、日本退職者連合会員など4038人を対象にし、このうち1875人から有効回答を得た。調査報告は同協会専務理事の唯根妙子氏が行った。仏式葬儀は全体の87%(前回92%)を占めたが、「東京・神奈川・埼玉」では77%で、9%が「無宗教」と回答。「菩提寺を持たない」人も17%で、寺院や僧侶との関係が希薄化している都市部の状況が浮き彫りになった。

 墓地に関する項目では17%が「墓はない」と答え、このうち将来の希望として、「新たに墓を求める」と答えたのが16%で、樹木葬(23%)や散骨(21%)といった新たな形態を希望する声、「その他」と答えた30%の人は、共同墓地や納骨堂など「集合型の墓地」を求める記述が多かった。「墓の継承」を不安視する消費者意識が反映された。

 調査を踏まえてのシンポジウムは「自分らしい逝き方と後悔しない送り方」をテーマに行われ、葬儀業者、宗教関連、消費者の立場から識者が発題。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の松本勇輝・専務理事は葬儀の相談先として前回よりも回答が多かったことについて、「担う責任が重くなったと実感している」とコメント。全葬連は平成19年に自主基準である「葬祭サービスガイドライン」を作成し、情報開示や相談窓口の設置、相談員の育成、見積書・請求書の交付などを進め、「相談しやすい環境を整えてきたことが数字に表れているのではないか」と分析した。

 一方、宗教者の立場からは全日本仏教会(全日仏)理事の戸松義晴氏が「非常に衝撃的」と受け止め、「事前相談やエンディングノートの配布など、葬儀社さんが地域のネットワークを使って一生懸命広報をしているのに比べ、お寺は待っているばかりで、敷居も高く相談しづらい状態が続いている」と自省を込めて話した。

 消費者の立場からは日本退職者連合の臼井百合子副会長が自身の経験も交えながら、エンディングノートの作成、事前相談が「尊厳ある」葬儀につながると語った。

 お布施の定額化や「お坊さん便」などの問題に対しては戸松氏が、「檀家以外に門戸を開いてこなかった」という寺院側の反省と、全日仏が検討している各宗派での相談窓口の設置に向けた取り組みなども話した。

 フロアからも様々な意見が上がり、消費者からはインターネットで多くの情報が得られる一方で、「どうやって安心できる業者を探したらいいか」といった声、事業者からは増加する「独居高齢者」への対応といった課題が提起された。

2017/2/16 東本願寺「いのちとこころの相談室」開設 一人じゃない、居場所ある!

大谷派 悩み相談窓口開設⑤.JPG本尊の阿弥陀如来像を安置した相談室。研修を受けた職員が電話口で待つ 真宗大谷派(京都市下京区)は2日、しんらん交流館に電話相談窓口「東本願寺いのちとこころの相談室」を開設した。悩みを抱えた人に寄り添おうと、「一人じゃない。ここに居場所がある」との思いで、同寺職員が電話口で待っている。

 宗派の代表番号には、納骨や墓じまいに関することまで様々な相談が寄せられるが、中には「生きる意味を教えてほしい」「死にたい」といった内容の電話もかかってくる。誰にも言えない苦悩を抱えた人に寺という居場所があると伝えようと、計画を進めてきた。

 大谷派僧侶で臨床心理士の譲西賢・岐阜聖徳学園大教授と佐賀枝夏文・大谷大名誉教授をアドバイザーに、20~50代の同寺職員約30人が昨年5~11月の半年間、10回の研修を受講。治療的・指示的対応をしない傾聴を重視したロールプレイを重ねるとともに、守秘義務についても指導を受けた。

 相談室のテーマは「感情受容」。鈴木君代・企画調整局次長は研修を受けた一人。「同じように苦悩する者として耳を傾ける。答えを出すことが目的ではない。どんな悩みでも受け入れる場所であることは、お寺の大きな役割」と語った。

 2日の開設日に4本の電話があった。対応した職員は、「相談者は問題への答えを持っているようにも感じた。話すことが踏み出すきっかけになれば」と話す。大谷派の電話相談はこれまでに、真宗会館(東京)の「ココロダイアル」などで10年以上の実績がある。本山として窓口を開設したのは初めて。

 毎週木曜日午後1~5時。1回の相談時間の目安は30分。祝日、しんらん交流館閉館日は閉室。電話075―371―9280。

2017/2/16 浄土真宗本願寺派「スクール・ナーランダ」開校 若者との縁づくりに特化

本願寺派 スクールナーランダ2017京都②.JPG授業での学びについて意見を交わす若者たち 浄土真宗本願寺派子ども・若者ご縁づくり推進室は4・5日、京都市下京区の西本願寺伝道院で若者世代に特化した学びの場「スクール・ナーランダ」を開催し、2日間で約120人の若者が参加した。本願寺派が宗門興隆のために策定した長期計画「宗門総合振興計画」に沿った取り組みの一つで、寺院と縁がなかった世代との縁づくりを強化していく狙いがある。

「スクール・ナーランダ」は、各分野の専門家を講師に仏教や科学、芸術、哲学などを寺院で学び、これから社会に出る若者たちに〝生きる軸〟を作ってもらおうというもの。今年から年2回10年にわたり開催する。僧侶側の発想だけで内容を決めるのではなく、「若者のことは若者に聞いた方がよい」として、講師の選定など企画から学生スタッフの意見を積極的に取り入れているのが特徴だ。

 両日ともに午前中は、阿弥陀堂や御影堂に参拝した後、世界遺産・国宝の西本願寺境内をめぐるツアー。若者たちは、飛雲閣・書院の特別拝観では、歴史に残る〝本物の〟芸術、美術を直に目にした。

 午後は重要文化財の伝道院で「わけへだてと共感」をテーマに仏教、科学、アート等の専門家による授業が行われた。

 初日の講師は、人とロボットとの認知メカニズムを研究する大阪大学大学院特任講師の高橋英之氏、ミスターチルドレンなどアーティストのアートワークを多く手がける森本千絵氏、本願寺派布教師の天岸淨圓氏が担当。人とロボットの認知の仕方や共感を生むアート、仏教の観点から自分と他者をどう捉えるかを学ぶ授業と意見交換は5時間にも及んだ。

 参加した京都大学大学院生の岩田歩子さん(27)は「人とコミュニケーションをとる上で、どんな視点で自分と相手のことを捉えるかを学んだ。今までにない視点の話が聞けて良かった」。龍谷大学大学院の実践真宗学研究科で学ぶ熊鰐信行さん(23)は「自分にない考え方を聞けて勉強になる。仏教をどう発信していくかという点でも参考になった。こうした取り組みにスタッフとしても関わりたい」と刺激を受けたようだ。

 授業の様子を見ていた霍野廣紹総務は「まだ始まったばかりだが、これから続けていく中で若者に参画していただけるような共感を生むことが大事と思う。宗派のこれからがかかった重要な取り組みと考えている」と話している。

2017/2/16 法華宗(本門流)教学研究発表大会 門流を超えて日蓮門下が一堂に

法華宗教学大会①.JPG日蓮門下の150人が参加した教学大会 法華宗(本門流)主催の第30回法華宗教学研究発表大会が10日、東京・有楽町の国際フォーラム会議室で開催された。「〈法華教学/研究の現在(いま)―さらなる発展をめざして〉のテーマのもと、門流を超えた発表が行われた。参加者は約150人に上った。

 開会式での挨拶二瓶海照宗務総長は、教学大会が30回目という節目に当たり、宗外の勝劣派3派に講演を依頼しと説明。さらに、本門法華宗、仏立教育専門学校、日蓮宗現代宗教研究所、立正大学日蓮教学研究所、法華コモンズ、日蓮正宗教学研鑽所、法華仏教研究会、興風談所などからの参加に謝意を表した。

 同じく主催者の興隆学林専門学校の大平宏龍校長は、「30回を迎え、特別な記念大会として法華宗陣門流、法華宗真門流、顕本法華宗の方々に発表をお願いした。今回は各方面より多くの方に参加いただいた。この会が和やかで実り多いものとなるよう願っている」と挨拶した。

 基調発題は大平校長による「『勧心本尊抄』管見―なぜ『観心』なのか」。「観心」をキーワードに先行研究を批判的に考察しながら、『観心本尊抄』と『開目抄』の関係性を詳述した。

 宗内師弟による学位取得記念講演では、芹澤寛隆氏(東北大学で博士号)が「日蓮聖人における中国思想の受容と展開について」、米澤立晋氏(立正大学で博士号)が「日隆上人の釈尊観について―一仏二名論を中心として」をそれぞれ発表した。

 午後からは特別講演として顕本法華宗の朝倉俊泰氏「七里法華の歴史と教義」、陣門流の布施義高氏「本門の世界―『観心本尊抄』理解の一視点」、真門流の岩崎峻暉氏「日真門流の歴史地と主張」、本門流の小西日遶氏「開祖日隆聖人の鴻業の顕彰と宗門史研究について」の4人が専門的な知見から講演した。

 会場は補助席を使用するほどの活況ぶりで、宗外からの40人を含め約150人が聴講した。

法華仏教研究会主宰者の花野充道氏(文学博士)の話 当日の懇親会の時にも話したが、米国のトランプ大統領がアメリカ・ファーストと言っている。どこの国も、自分の国がファーストであるのは当然。しかし、世界経済が好循環になってこそ、自国の経済も良くなっていく。各国が閉鎖主義の政策を取れば、世界経済が委縮して、結果的に自国の経済も衰微する。自由競争をするからこそ、製品の品質も向上し、価格も下がっていく。
 日蓮門下も同じ。自分の教団がファーストなのは、信仰者としては当然。しかし、学問研究は、開かれた場で自由に議論し、競争することによってこそ進展する。自国エゴのナショナリズムは、対立・抗争・戦争を生み出すから、グローバルな視点で日蓮教団の未来も考えていかなければならない。
 日蓮門下が、門流の閉鎖主義を克服して、日蓮研究を進めていこうという流れは、近年、法華仏教研究会の発足や法華コモンズ仏教学林の開講、さらには春秋社『シリーズ日蓮』(全5巻)の刊行として結実している。このたびの法華宗(本門流)の教学大会は、そういう時代の流れを真摯に受け止めた画期的な大会だったと思う。

2017/2/23 第34回庭野平和賞 パレスチナのユナン師に 中東で宗教間対話を促進

 (公財)庭野平和財団(庭野浩士理事長)は20日、京都市内のホテルで記者会見を開き、第34回庭野平和賞を中東エルサレムで諸宗教間対話を実践しているパレスチナ人でルーテル世界連盟(LWF)議長のムニブ・A・ユナン師(66)に贈ると発表した。ユナン師は1991年からパレスチナ人キリスト教徒とイスラエル人ユダヤ教徒の合同組織「ヨナ・グループ」を皮切りに、さまざまな対話を実践。教育者の立場からも和解を呼びかけている。贈呈式は7月27日、東京・国際文化会館で行われる。

パレスチナ難民の家族に生まれたユナン師は11歳の時に牧師を志した。地元のルーテル派神学学校に進み、ヘルシンキ大学で神学を修めた。1998年に「ヨルダン及び聖地福音ルーテル教会」監督を務め、2005年にはエルサレムに「聖地宗教評議会」(CRIHL)を立ち上げた。一貫して諸宗教対話と和解による「エキュメニカル運動」を推進。中東ではキリスト教徒は少数派だが、ユナン師は教派を超えて中東地域の平和構築に貢献している。

 また宗教指導者の働きと学校教育が「人々を過激主義に向かわせるか、穏健な姿勢に向かわせるのか鍵を握っている」として、寛容と和解を促す学校教育の充実にも力を注いでいる。2013年の世界宗教者平和会議(WCRP)第9回世界大会(ウィーン)に出席している。

 ユナン師は受賞受諾メッセージで次のように述べている。「諸宗教が協働した平和の希求に関与する自分の生涯を考えると、私は、今一度、庭野平和賞をお受けすると喜んで申し上げたいと思います。私たちの生活に影響を及ぼす多くの過激主義と対峙しながらも、私の姿勢は常に確固たる穏健でありました。今回の受賞は、全ての人にとって良いことを求めて、私がより大きな信念をもって発信してゆくよう勇気づけています。私は、庭野平和財団の一層の発展と創設者のビジョンのさらなる実現をお祈りいたします。皆さまと共にあることを名誉に思います」

2017/2/23 曹洞宗宗議会 苫駒大の経営移管で激震 唐突な発表に不満と不安の声

 第127回曹洞宗通常宗議会(小島𣳾道議長)が20日、東京都港区の檀信徒会館に招集された。宗門校の苫小牧駒澤大学(佐久間賢祐学長、北海道苫小牧市)の設置法人が2018年度より学校法人駒澤大学から曹洞宗と無関係の学校法人京都育英館に移管されることが議会直前の1月27日に唐突に明らかにされた。釜田隆文宗務総長も「青天の霹靂、寝耳に水」と驚きを隠さず、初日終了後には議員懇談会(非公開)も持たれ、須川法昭理事長らの説明もあったが、納得した議員は少なかった模様だ。(続きは2月23日号紙面をご覧ください)

2017/2/23 仏教伝道協会 沼田智秀会長逝去 3月30日 築地本願寺で本葬

  (公財)仏教伝道協会会長で㈱ミツトヨ相談役の沼田智秀(ぬまた・としひで)氏が2月16日午後10時32分に、療養中だった神奈川県横浜市鶴見区の平和病院で逝去した。84歳。
③50年史会長写真.jpg沼田智秀会長
 通夜及び密葬は近親者で執り行われた。喪主は長男の恵明氏(ミツトヨ代表取締役専務執行役員)。本葬は3月30日に東京・中央区の築地本願寺で、ミツトヨと仏教伝道協会の合同葬として執り行う。詳細は未定。

 沼田氏は昭和7(1932)年4月、神奈川県横浜市生まれ。昭和31年に早稲田大学を卒業し、同年に現・㈱ミツトヨに入社。同46年に代表取締役社長、同60年に会長に就任した。同じ年に、父惠範氏より仏教伝道協会会長も引き継いだ。平成19年からはミツトヨ相談役。

 2年前に行われた仏教伝道協会の設立50周年式典では偉大な父の面影を追慕しながら、「㈱ミツトヨと仏教伝道協会、父が始めた事業を引き継ぎ、ただ精一杯、無我夢中で走り続けた半世紀でありました」と回顧していた。本人はかつて本紙取材に「ミツトヨでずっとやって行くつもりだった」と語り、当初は仏教伝道協会の会長就任に戸惑いもあったようだが、近年は土・日曜日に仏教関係の講演会に出かけるなどして、より仏教に親しんでいたという。晩年まで海外出張に出向くなど、最後まで動きまわる体力も父親譲りだった。

 惠範氏は仏教タイムス社長を務めたが、智秀氏は株主として長年にわたり経営安定化に協力。しばしば経営面や企画に対し助言した。

2017/2/23 日本浄土教の祖・恵心僧都一千年遠忌 西本願寺と知恩院で初の合同法要

  日本浄土教の祖と称される天台宗の恵心僧都源信和尚の一千年遠忌を記念した合同法要が14日に浄土真宗本願寺派本山本願寺(京都市下京区)で、17日に浄土宗総本山知恩院(京都市東山区)でそれぞれ営まれ、その遺徳を偲んだ。昨年、各浄土教団が比叡山延暦寺での恵心僧都源信和尚一千年遠忌法要に出仕していたが、天台座主を導師に知恩院や西本願寺で天台声明と浄土宗や本願寺派の念仏が融合した合同法要が厳修されたのは初めて。
 昨年の延暦寺法要に応える 天台声明と念仏で偲ぶ

 本願寺派との合同法要は、西本願寺阿弥陀堂で森川宏映天台座主を大導師に、延暦寺と本願寺の両本山の式衆が10人ずつ出仕して厳修された。両宗派、両山の内局、総局が参列し、一般参列者も満堂の約千人が参列した。
①恵心僧都千年遠忌 西本願寺.JPG森川天台座主を大導師に延暦寺と西本願寺の僧侶が随喜した初の合同法要
 法要は、恵心僧都源信が定めた法要式「二十五三昧式(六道講式)」などを元に、本願寺派僧侶の発音で始まる阿弥陀経などを織り交ぜるなど、合同法要ならではの形式で執り行われた。念仏信仰を説いた恵心僧都念仏法語を両宗派の式衆がともに唱え、節回しや言い回しが両宗派で若干違う五念門などは、今回は天台宗が本願寺派に合わせる形で唱和した。


 延暦寺の小堀光實執行は昨年比叡山で営まれた浄土教団各派の法要に触れ、「法悦で感極まり、涙した」ことを回顧。参列者に向け「このご縁を倍旧にして胸の中にしっかりとお留めおきを」と呼びかけ、自らも「このご縁をさらに深め、親鸞聖人のお心を持ちあわせて比叡山に帰りたい」と話した。
 西本願寺の本多隆朗執行長は、「長い仏教の歴史の中でも初めてのこと」と感慨を示し、「昨今の宗教や民族の違いを背景とする紛争により、排他主義に傾倒する世界情勢にあって、平和社会の実現を目指す仏教界全体のメッセージとして大きな意義をもつ」と法要を機縁に結束を深めていく意向を語った。

 法要に先立ち、森川座主と大谷光淳門主との懇談も行われた。西本願寺安穏殿では記念講演が開かれ、「往生要集の念仏とその実践」と題して延暦寺一山長臈の武覚超・天台宗勧学と龍谷大学名誉教授の淺田恵真・本願寺派勧学が講演。約600人が参加し、予定した会場では参加者を収容しきれず、急きょ別フロアも解放する盛況ぶりで、注目の高さがうかがえた。 

 知恩院でも森川座主を大導師に、両本山から10人ずつ出仕し執行。僧侶計100人が参列した。念仏を中心とした「声明例時」が勤められ、法然上人御堂に参拝者約500人の念仏が響いた。
②恵心僧都 知恩院.JPG知恩院の法然上人像と恵心僧都御影前で焼香した森川座主
 両本山の声明は近い部分もあり、習礼を通して節回しなどを確認した上で臨んだ。この日、作法も調整しながら、阿弥陀経などを共に唱和した。念仏法語が唱えられる中、森川座主は法然上人像と恵心僧都御影前で焼香した。

 法要後に小堀執行が挨拶し、「同じように声を揃え、旋律を唱えたご縁をこれからも大切につなげ、歴史に残る法会を受け継いでいきたい」と声を詰まらせながら話した。小鴨覚俊・延暦寺副執行は、「歩み寄りながら法要を勤めることができ、ありがたく稀有な機会だった」と感慨深そうに語った。
 伊藤唯眞・知恩院門跡は、「知恩院として歴史的な一日となった。恵心僧都から千年経った今年、中国から比叡山、東山、全国に伝わったお念仏の教えを聞いた者同士が縁をいただいた。喜びを分かち合いたい」と話した。法話では、恵心僧都の教えやその著『往生要集』を解説した。
 大阪から来た浄土宗信徒の女性(70)と天台宗信徒の女性(80)の友人2人は、14日の西本願寺での法要にも参拝。「生きている間にこのような仏事にめぐりあえて感動で胸が一杯。助け合いの心を教えられた」と口々に話した。

2017/3/2 宗会・代表会シーズン 各宗派17年度予算や方針が定まる

新義真言宗 妹川総長が3期目へ
 新義真言宗(妹川敬弘宗務総長)の第59次定期宗議会(五十嵐敬司議長)が2月16日、東京・湯島の宗務出張所に招集された。3月末に2期7年の任期を満了する妹川総長(58・東京都新宿区・東福院住職)の再任を全会一致(議員10人)で決定した。任期は4月1日から4年間。

臨済宗妙心寺派 10年後のグランドデザイン見据え「さらに一歩」
 臨済宗妙心寺派(栗原正雄宗務総長)は2月20日から23日まで、京都市右京区の宗務本所に第132次定期宗議会を招集した。平成29年度予算など全12議案を可決、その他承認案4件や報告3件を承認した。
 初日の施政方針演説で栗原宗務総長は、「宗門、寺院、僧侶を取り巻く環境は大変厳しい」との認識を語り、「いま何をすべきか、10年後の宗門のグランドデザイン、あるべき姿を考え、さらに一歩を踏み出すことが大切」と施策を進める方針を強調した。

天台宗 木ノ下内局、過疎化対策を置きみやげ
 天台宗(木ノ下寂俊宗務総長)は2月21日、滋賀県大津市坂本の宗務庁に第138回通常宗議会(小川晃豊議長)を招集。木ノ下総長はすでに辞任を表明し、後任選びさなかの議会とあって通告質問はなく、議会は2日間で閉会した。過疎化や少子化の中で寺院存続をはかるための対策などが置きみやげとなった。

真言宗智山派 宗費の申告基準を改定

真言宗智山派(芙蓉良英宗務総長)の第124次定期教区代表会(川崎純性議長)が2月21~23日、京都市東山区の宗務庁で開かれ、5年に1回実施される宗費負担数改定の基準が定まった。人口減、少子高齢化が進む地方を減額し、都市部や都市周辺部を増額させ、現在比で最大50円の増減幅となる配分とした。
 改定基準を検討する中央査定委員会の意見をもとに、地域間バランスをとる方針を決定。人口5万人の都市に住む檀家1軒あたり千円、信徒1人あたり250円を基準に、人口がより多い都市部8地域で上げ、より少ない町村部5地域で下げた。

浄土真宗本願寺派 「現場ファースト」掲げる
  浄土真宗本願寺派(石上智康総長)の第312回定期宗会(浅野弘毅議長)が2月22日、京都市下京区の宗務所で始まった。石上総長は執務方針演説で、従来型の布教方法では「これまで縁のなかった人々に教えが届かない」との危惧の念を示し、「伝道力の再生」「現場第一主義、現場ファースト」を掲げ、「一切の聖域を設けず、すべての宗門関係者が、責任の一端を担うのだという自覚と覚悟が求められている」とこれまで以上に危機意識の共有を訴えた。会期は2日まで。

2017/3/2 津波被害の照徳寺で仙台仏教会主催の東日本大震災七回忌法要  全日仏と東仏後援

④七回忌仙台.JPG発生時刻に海に向かって黙とうする参列者 東日本大震災から間もなく6年。宮城県仙台市宮城野区の浄土宗照徳寺(中澤康博住職)で、一般社団法人仙台仏教会が主催する七回忌法要が営まれた。公益財団法人全日本仏教会(全日仏)、東京都仏教連合会(東仏)が後援。地元の住民、仏教会の僧侶など合わせて約150人が参列。犠牲者の供養と復興への祈りを捧げた。

 法要は曹洞宗梅花流詠讃歌奉詠、真言宗奉賛声明、浄土宗雅楽演奏で開式し、伊達広三・仙台仏教会副会長を導師、河野哲雄・国安泰泉副会長を脇導師に厳修。般若心経の読誦のなか、照徳寺の中澤住職、全日仏、東仏の代表、参列者が焼香した。震災発生時刻の2時46分には鐘を7回鳴らし、「皆さまの心の声が届きますように」のメッセージと共に海に向かって黙とうを捧げた。

 法要後には仙台仏教会理事の中村瑞貴氏(浄土宗)がコーディネーターとなり、TV番組「ぶっちゃけ寺」に出演していた、千葉公慈氏(曹洞宗)、杉若恵亮氏(日蓮宗)、釆澤良晃氏(臨済宗建長寺派)による「ぶっちゃけトーク」も行われ、震災後の支援活動や別れの悲しみにどう向き合うかなどを語った。千葉氏は被災地への思いと共に「私の中で大きく変わったのは、言葉の重み」と話し、道元禅師の「生死の中に仏あれば生死なし」を引いて、「生まれ来ること、この世から死んでしまうこと、生きていること。この中に仏が見つかれば死ぬこと生きることはなくなる。言葉のシンプルな意味は心得ていたつもりでいたが、本当の意味で、私なりに仏のいのちを感じるようになった」と話した。

⑤祈り鶴@七回忌.JPGPRAY for (ONE)が呼びかける他者への祈りを込めた祈り鶴を参列者も作った 今も亘理町に半年に一度訪れている杉若氏は、ボランティア活動の中で「おばあちゃんの形見がほしい」という要望を受け、津波で流出した桐たんすの中から綺麗な状態の着物を見つけたエピソードを紹介。「去っていく人はメッセージを残してくれる」と語り、「望まないことが起きるが、受けて立っていかないといけない。そうした想定の中で生きていく強さ、忍耐という心を鍛えてくれるのが仏教だと思う」と体験を交え話した。

 釆澤氏は「ひたすらに祈ること」をあげ、無心の祈りの先に「誰もが持つ仏さまの心。他者を思う慈悲の心がありありと表れてくるのだと思う」と語った。

 アトラクションとして三味線集団「華凛」の演奏が行われたほか、一般社団法人PRAY for (ONE)が呼びかける「祈り鶴」を参列者が祈りをこめて折った。中沢住職は法要の参列に謝意を示し、「人の生き死についてお話をいただいた。目で耳で心で感じ取っていただいたと思う。日々の生活をしっかりとお送りいただきたい」と静かに話した。

 照徳寺は海から約1.2キロに位置し、津波により本堂や会館に大量の瓦礫が流入、住民にも多くの犠牲者が出た。瓦礫撤去には浄土宗青年会ら約800人のボランティアが力を注いだ。境内には中澤住職が建てた慰霊碑があり、犠牲者63人の名が刻まれている。隣りには七回忌に併せて、全日仏、東仏、PRAY for (ONE)が寄贈した和顔地蔵が建った。

2017/3/2 「平和をつくり出す宗教者ネット」緊急集会 共謀罪は治安維持法の再来 山城氏の釈放求め声明も

「共謀罪」(テロ等準備罪)の上程阻止と廃止にむけて先月16日、東京・永田町の参院議員会館で開かれた「平和をつくり出す宗教者ネット」の緊急集会。講師の海渡雄一弁護士は、戦前の宗教弾圧の根拠となった治安維持法との関係からも報告した。

 治安維持法は「私有財産制度の否認」と「国体変革」の二つを取り締る目的で構成され、1925年の制定当時は「共産党対策とされた」。実際、これにより共産党と周辺の労働組合に適用された。次いで合法的な政党や労組が対象とされた。共産党は組織活動を停止。1930年代には特高組織が肥大化し、海渡氏は「食うために生き残りをかけてやったのが1935年の大本教に対する弾圧。凄まじい弾圧で神殿が破壊され、悲惨だった。獄死者も出た。しかし治安維持法に関しては後に無罪判決が確定している。これを突破口にキリスト教の一部、創価教育学会などが弾圧された」と危機感を訴えた。

 そして「公明党は推進とはなっていないが、ずるずると引っ張られている。戦前の歴史を覚えている人もいるはず。宗教者の方からもお声がけいただいて一緒にしていただければと思う」と宗教界と創価学会・公明党の“共闘”を促した。

 同日はまた、宗教者ネットが会見を開き、昨年10月、沖縄県の東村高江や名護市辺野古で米軍基地建設反対の抗議活動をしていた山城博治氏(沖縄平和活動センター議長)が公務執行妨害や傷害などで逮捕され、勾留期間が3カ月に及んでいることに対し、即時釈放を求める声明を発表した。 

 声明では「明らかに基地に対する抗議活動に圧力をかける意図」があると指弾。山城氏には悪性リンパ腫の持病があることも指摘し、即時釈放を求めている。同時に釈放のための署名活動への協力も呼びかけた。3月15日には宗教者ネット代表が沖縄県庁で記者会見を行う予定だ。

2017/3/9 念法眞教 次期燈主に桶屋総長 稲山燈主 教団の行く末を考慮

  念法眞教は5日、次期燈主に桶屋良祐・念法眞教教務総長兼金剛寺執事長(68)が選任されたと発表した。桶屋総長は任期途中の4月1日付で燈主代行者に就き、稲山霊芳・三代燈主(92)の代わりを務める。代行者が置かれるのは制度ができてから初めて。燈主は終身制。教務総長の後任に一宮良範・念法眞教総務部長(68)、執事長の後任に丸山良徳・金剛寺教務部長(52)が4月1日付で④桶屋次期燈主.JPG桶屋次期燈主就任する。任期は現内局の残任期間の来年9月まで。

 1年の教団方針を伝える家族会議が同日、大阪市鶴見区の総本山金剛寺に招集され、明らかにされた。全国の信徒総代ら約1000人に、稲山燈主は「燈主の使命として、教団の行く末を安心できるようにしておきたい」と説明。「齢により、これからは今までのように思うよう勤める事ができなくなる。そこで私の意思を明確に表明し、今後は後任の燈主と共に僧俗一致し、教団が一丸となって、開祖親先生の御心に添うように勤め、現世界極楽浄土建設に邁進することをお願いしたい」と語った。

 稲山燈主は、教団が立教開宗した年と同じ1925年に生まれた。17歳で出会った小倉霊現開祖(親先生)に勤仕。2001年2月に燈主に就任し、一昨年に90歳で立教90年祭を迎えた。

 桶屋総長は、「親先生、二代様が終身、燈主をお勤めになったように、ご燈主様も終身お勤め下さいます。全身全霊をあげてご燈主様を生涯お支えする覚悟です。ご燈主様がご存命中、四代燈主が誕生することはあり得ません」と言明。燈主代行に関して、執務の部分委譲と受け止めているとし、稲山燈主は全国の信徒に会って、親先生のみ教えを伝えたいとの思いを持っていると述べた上で、「そのお心に少しでも添わせてもらうために、全国の各支院をご親教に回ります」と決意を語った。

 全国親教は燈主の大きな任務の一つ。開祖や二代燈主は年間300日以上、全国の支院を巡教した。桶屋総長は、代行就任後の5月から80カ寺以上の支院を回る予定。 

 第4代燈主、燈主代行者を決めた稲山燈主による諭示は昨年12月29日付。内局や主管者には今年1月7日、新年面会で発表された。5日付の機関紙「念法時報」の号外で全国の信徒に伝えられる。

 桶屋総長は1948年8月、富山県生まれ。富山商業高校卒。円満屋木材に入社し、1969年に社長。1972年に入山。親先生の全国親教随行を3年務める。二代燈主巡錫随行長、三代燈主親教随行長を歴任。総務部長などを経て、2003年から現職。富山念法寺ほか19カ寺の主管者を兼ねる。

2017/3/9 天台宗 新宗務総長に杜多道雄氏

④天台宗 杜多道雄 新総長.jpg杜多道雄氏 天台宗の新宗務総長に東京都台東区大泉寺住職の杜多道雄氏(72)が就任することが2月22日、内定した。1月に木ノ下寂俊宗務総長(69)が健康上の理由により任期途中で辞任する意向を表明した。後任を決める宗務総長選挙で立候補届出期限の22日までに届け出たのは杜多氏一人で、無投票で事実上当選が決まった。任期は3月14日から4年間。15日に新内局の任命式が行われる。



 杜多氏は東京生まれ。慶応大卒。東京教区宗務所長などを歴任し、2009年に阿内局で総務部長を務めた。

2017/3/9 宗会シーズンⅡ 高野山 豊山派 日蓮宗 浄土宗

 高野山 興正寺問題で元住職の再処分採択 添田総長続投表明
 高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)の第155次春季宗会(安藤尊仁議長)が2月28日~3月2日、和歌山県高野町の総本山金剛峯寺内宗務所に招集された。最終日には、罷免住職側の「不法占拠」が続く名古屋市昭和区・別格本山八事山興正寺の裁判と今後の対応について集中審議。「無権限者であるにもかかわらず年間3597万円もの高額報酬を受領し、しかも自身が負担しなければならない租税公課等を納付せず、宗派側に負担させている」梅村正昭元住職に対し、最も重い除名(僧籍剥奪)を含む「新たな懲戒処分を下すべき」という宗会議員の総意を採択した。

 田邊正紀・犬飼尚子両弁護士が出席し、裁判の現状と見通しを報告。元住職側が起こした「罷免無効」訴訟と宗派の特任住職(=添田総長)側による「寺の明け渡し」要求訴訟の第1審判決までに、「短くても半年から1年を要する」との見解を示した。4月に添田総長の証人尋問を実施。罷免住職側による80億円もの寺有財産外部流出をめぐる刑事告訴は、「名古屋地検が捜査中」と説明した。

 添田総長は閉会挨拶で、興正寺問題の完全解決に向け、総長職続投の意思を表明した。(続きは3月9日号紙面をご覧ください)

 豊山派 宗団活性化へ ケネディ演説で鼓舞
 真言宗豊山派(星野英紀宗務総長)の第144次宗会通常会(加藤章雄議長)が7日、東京・大塚の宗務所に招集された。星野総長は施政方針演説で、ジョン・F・ケネディ米国大統領の就任演説をふまえ、「同胞である豊山派関係者の皆さん、宗派があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが宗派のために、総本山のために、同胞寺院のために、何ができるかを考えようではありませんか」と鼓舞。「全ての豊山人の力を結集して、課題満載の感がある豊山派を少しでも前進させたい」と力強く表明した。

 宗派が直面する主要課題の一つである人口減少と過疎化に対し、「地方寺院と都会寺院の交流の促進化」を提示。「地元から都市へ移住していく檀信徒への法務執行等の宗教的サービスの継続の方法を、地方寺院と都市寺院との協力の中で実行していく具体的方法を模索している」とし、「平成29年度は、過疎・少子化が着実に進んでいる地域の寺院や教師諸氏の話を聞き、実態への認識を一層高めたい」と述べた。(続きは3月9日号紙面をご覧ください)


 日蓮宗 降誕800年いよいよ実動 浄財勧募は順調
 日蓮宗は7日、第111定期宗会を東京都大田区の宗務院に招集した。小林順光宗務総長は施政方針挨拶でいよいよ新年度から実動する宗祖降誕800年慶讃諸行事・事業に意気込みをみなぎらせ、寺院・僧侶・檀信徒が一丸となって取り組めるよう進めていくと表明した。

 慶讃行事は本年5月21日のマレーシア・ペナン島一念寺におけるアジア国際布教拠点記念大会に続き9月の山静教区、11月の中部教区の記念大会を予定。慶讃事業は日蓮宗の社会的認知度を上げるための「日蓮宗ブランド化」、寺院布教活動に必要なソフトを作り活性化を図る「寺院活性化事業」、宗門子弟と青少幼年信徒の育成を目的とした「人材育成事業」を三本柱としている。(続きは3月9日号紙面をご覧ください)


 浄土宗 抜本的な組織再編へ 局室統合、総長任期内に移行
 浄土宗の第116次定期宗議会(木村弘文議長)は2月27日、京都市東山区の宗務庁に招集された。豊岡鐐尓宗務総長が2017年度の執務方針を述べ、宗務庁の抜本的な組織再編に着手する意向を示した。

 現行の宗務庁の基本体制5局2室は2003年、水谷幸正内局が確立。その後、2006年に社会福祉推進事務局、東日本大震災を契機に設置した災害対策事務局(当時は災害復興事務局)、一昨年に立ち上げた浄土宗開宗850年準備事務局の3局が現在、追加されている(京都4局2室、東京4局)。

 10年以上経ち、構造改革検討委員会は2014年、時代の変化に対応した組織体制の改革案を提案。しかし、豊岡内局がすでに取り組んでいたコンピューターシステムの見直しを巡り、組織再編にも関係する大幅な業務改善を進めることにし、システム構築を先決事項とした。根幹となる寺院、僧侶の情報を扱う総務システムを4月から本格的にスタートさせる。(続きは3月9日号紙面をご覧ください)

2017/3/16・23 天台宗 杜多内局スタート 人材養成 最重要課題に

  天台宗の宗務総長に杜多道雄氏(72)が就任し新内局が発足した。阿部総務部長以外は新任となった。任期は平成33年3月14日までの4年間。15日には、滋賀県大津市の滋賀院門跡「梅の間」で宗務総長任命辞令親授式が執り行われた。森川宏暎座主から任命辞令を親授された杜多氏は「皆様方のお力添えを賜り、宗本一体を旨とし、全力を傾注して職責を全うする所存」と誓った。①天台宗 杜田内局発足.JPG記者会見で所信を述べる杜多宗務総長

 森川座主は、8月の比叡山宗教サミットと11月の建立大師相応和尚一千百年御遠忌を円成するために「仏さまのお計らいで皆様方に託されたと思っている」と新内局の手腕に期待を寄せた。

 親授式後の記者会見では、杜多総長が所信を表明。体調不良により任期途中で退任した木ノ下寂俊前宗務総長への思いを語り、「本人が一番心残りだろうと思う」として、前内局の施策を引き継ぎ、最重要課題に人材の養成を掲げ「全力を挙げて取り組む」とした。

 さらに、比叡山宗教サミット30周年の円成、不活動法人対策、宗務行政の運営評価、宗務庁の機構改革、宗内寺院の収入額申告、高度情報通信社会に対応した情報発信なども課題に挙げ、「より良い方向性を見つけて参りたい」と抱負を述べた。

 座右の銘や内局のスローガンを問う質問には、〝常精進〟を提示。「常に精進を心がけ、後に残る者にも呼びかけたい。この内局でも常に精進を続ける姿勢を怠らないことを心がけて、宗政を運営させていただきたい」と思いを語った。

 杜多新内局の陣容は以下の通り(敬称略)。

 総務部長=阿部昌弘(九州東教区・大分県大分市・觀音院)法人部長=浅野玄航(南総教区・千葉県夷隅郡・妙音寺)財務部長=甘井亮淳(九州西教区・福岡県久留米市・大善寺)教学部長=森田源真(兵庫教区・兵庫県姫路市・圓明寺)社会部長=林光俊(福島教区・福島県本宮市・金礼寺)一隅を照らす運動総本部長=森定慈仁(延暦寺一山・滋賀県大津市・竜襌寺)

2017/3/16・23 本願寺派 石上総局が総局改造 新総務に山階、池田、阿部の3氏

  浄土真宗本願寺派(石上智康総長)は3日、総局の入れ替えを行い、第4次の石上総局が発足した。総務に山階昭雄氏、池田行信氏、阿部慶一氏が就任した。副総務に弘中貴之氏、玉井昭英氏が就任した。中戸康雄氏、光岡理學氏、霍野廣紹氏、丸田教雄氏は退任し、弘中氏は再任した。

 各氏の略歴は以下の通り(敬称略)。

【総務】
 山階昭雄=昭和27年生まれ。64歳。北海道虻田郡倶知安町東林寺住職。宗会議員4期。総務2回目。副総務2回。
 池田行信=昭和28年生まれ。63歳。郡栃木県那須郡那珂川町慈願寺住職。宗会議員4期。総務2回目。
 阿部慶一=昭和19年生まれ。72歳。新潟県西蒲区長厳寺住職。宗会議員4期。総務2回目。
【副総務】
 弘中貴之=昭和45年生まれ。46歳。山口県防府市乗円寺住職。宗会議員2期。副総務2回目。
 玉井昭英=昭和30年生まれ。62歳。奈良県吉野郡天川村西教寺住職。宗会議員3期。副総務1回目。

2017/3/16・23 3・11 東日本大震災から6年 各地で七回忌法要

 全日仏青 日蓮宗本山孝勝寺で営む 慈母観音像のノミ入れも
  全日本仏教青年会(全日仏青/東海林良昌理事長)は11日、宮城県仙台市の日蓮宗本山孝勝寺(谷川日清貫首)で七回忌法要を営んだ。遺族や檀信徒130人、日本の青年僧、世界仏教徒青年連盟(WFBY)会員や来賓120人が参列。犠牲者を追悼し、復興を祈った。本山孝勝寺、全国日蓮宗青年会が共催。
全日仏青七回忌④.JPG本山孝勝寺での七回忌法要で慈母観音像にノミ入れする参列者

 東海林理事長は「皆さま共々に震災でお亡くなりになられた方の追善菩提、この地に住まわれている方の心の平安を祈りたい」と挨拶。WFBYのデンポン・スワナチャロプ会長も「アジアの青年僧を招いていただきありがとうございます。被災された皆さまがご健康であり、勇気を手にされることをお祈りします。宮城の皆さま、日本の皆さま、世界中の私たちは皆さまの心と共にあります」と心を寄せた。

 法要後には、身延山大学仏像制作・修復室が東日本大震災の慰霊のために制作している「慈母観音像」のノミ入れ式や浄土宗僧侶で二胡奏者の川野真広さんによる追悼コンサートが催された。


身延山大学の柳本伊佐雄教授は「慈母観音は多くの方の協力で進められている」と語り、荒彫りの慈母観音像にノミをいれる「一のみ運動」は全国各地を巡り、約2千人以上が参加したことを紹介。この日も、参列者がノミを入れ、削りとった観音像の一部はお守り袋に収められてそれぞれに手渡された。(続きは3月16・23日合併号紙面をご覧ください)

 全曹青 福島市で集い開く 夢を込めた風船を空に
 全国曹洞宗青年会(全曹青、安達瑞樹会長)は10日、福島市のルンビニー幼稚園(吉岡棟憲園長)と円通寺(同住職)で東日本大震災七回忌復興慰霊祈願の集いを開催した。合言葉は「笑顔の君とおなじ空を見上げて」。地震・津波・原発事故からの復興が続く福島の人々の心を癒し、絆を深めた。全曹青⑪.JPG「みんなのゆめがかないますように」と風船を空に飛ばした

 ルンビニー幼稚園では全曹青メンバーが約180人の園児に演劇やダンスを披露。青年僧の着ぐるみ仮装には子どもたちも大喜びだった。続けて、「みんなとずっとながいきできますように」といった願いが書かれたお地蔵様の塗り絵が結ばれた約500個の風船が用意され、園児たちは風船でできた観音様の前に集合。「みんなのゆめがかないますように!」の言葉とともに一斉に大空に放たれた。西からの風に吹かれ飛んでいく風船を、子どもたち、保護者、僧侶はしっかりと目に焼き付けた。


 ルンビニー幼稚園教諭で円通寺副住職の吉岡統親氏は「こんなにたくさん集まってくれて本当にうれしかった。子どもたちはいつも元気いっぱいですが、風船を前にするともっともっと、いつも以上に元気を出しますね」と笑顔。(続きは3月16・23日合併号紙面をご覧ください)

2017/3/16・23
東日本大震災七回忌特別寄稿 記録者としてみた被災地の土徳 大飢饉に続く原発事故 
青原さとし(ドキュメンタリー映像作家 『土徳流離』監督)

 3月11日で東日本大震災から6年。仏教では七回忌にあたる。被災地、特に原発事故被害の大きい福島に足繁く通った映像作家で『土徳流離』監督の青原さとし氏に記録者の視点から寄稿頂いた。庶民の「営み」が崩されようとしていることに思いを綴る。

 江戸時代後期、東北一帯を襲った天明の大飢饉により旧相馬中村藩(福島県相双地方・浜通りの一部)は、餓死者・逃散者が相次ぎ、人口が3分の1にまで減少した。藩は荒廃した相馬の土地を復興させるため「入百姓政策」を打ち立てた。他藩から農民を受け入れ入植させるのである。入植者は、ほとんどが越後、越中、加賀などの真宗門徒であった。この相馬移民の入植は、文化年間から明治初期まで続いた。それからおよそ200年後、同じ相馬の地に東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故が襲ったのである。①チラシ用コラージュ.jpg青原氏が2015年に公開した『土徳流離―奥州相馬復興への悲願』のチラシ。時空を超えた人間と土の記録でもある

 2012年秋、相双地方を初めて訪ねた時の衝撃は今でも忘れない。現地の人に相馬市・南相馬市各地の津波被災地へ案内していただいた。瓦礫がまだまだ夥しく転がる海岸のほとり、住宅の基礎石が所々に露出している。随所随所に供えられている花やお線香が生々しい。ここには人が暮らす数十軒の家があったのだ。旧相馬藩藩域における海岸線の集落は、真宗移民の人たちの居住区が多いと聞いた。また南相馬市小高区、飯舘村、浪江町、双葉町、富岡町など原発事故によって立ち入り禁止区域にされ無人となった街々も、相馬藩域であり真宗移民の入植地であったと知り、愕然とした。相双地方はまさに天明の大飢饉が、再び繰り返されたような場所なのだ。「映像に記録する」という重要性、緊急性をこのときほど痛感したことはなかった。私は記録映画作家として、広島の真宗僧侶の身として、この地を映像に記録せねばという衝動に駆られた。

 しかしその志は多くの困難な障壁にぶち当たり、くじけそうになることが何度もあった。お祭りの撮影に臨もうとすると今は完全に行っていない、避難している人と連絡がとれない、警戒区域には1週間以上も前から申請し遠方に避難している住民の人と同行しないと入れない、一度訪ねた時の田園風景が次に訪ねたら放射性廃棄物の仮置き場と化したり、避難中の寺院や神社が火事で全焼したりと、日々の常識では考えられないような状況ばかりが続く。そんな中でも、私が問いかけようとしている切り口での取材は、地元の多くの人たちから快く迎え入れてくれた。

 共同体の記憶

 そう大飢饉からの復興を目指して行った「入百姓政策」、「二宮仕法」の歴史は、3・11を経た地元の人にとってみれば痛烈に響いてくるものと想像がつく。相馬藩という共同体の尊い「記憶」であり、アイデンティティなのだ。それを「記録」に残すことは、私が想像する以上の重大課題であったのかもしれない。

 足かけ3年におよんだ撮影記録は『土徳流離―奥州相馬復興への悲願』と題した映画に結実した。

 2015年9月、相馬市・南相馬市で4日間に渡り上映した。来場者延べ1500人の方々は、3時間半に及ぶ映画をほとんど席を立たれることなく食い入るようにご覧いただいた。しかしスタッフや一部の方からの意見として「長すぎる」という意見も多くあった。それでも私は微調整や趣旨を明確にするための改編はしても、長さは全く変えなかった。映画の中で、物語の流れを大きく寄り道をするシーンがある。

 移民政策は相馬だけでなく笠間市など北関東へも広範囲に行われていたことを解き明かすシーンなのだが、そここそカットすべきであるという意見もあり私もそのように漠然と考えていた。ところが東京での試写会にその笠間市の出演者の方が来場された。アンケートにびっしり感想を書かれていた。「相馬の人たちと同朋であるということを痛感した」とあった。またその方から、同じ地域の出演者が最近、ご逝去されたことを伺った。実はその時点で2人、映画の完成を見ずして御逝去された方がおられ、現在にいたっては6人の方々がお浄土へ逝かれている。つまり映画が、ある意味遺言ともいえる最後の記録となってしまったのである。

 「営み」の記録
 私は、これまでおよそ30年近くドキュメンタリー映画製作に従事してきた。いわゆる社会派ドキュメンタリーではなく、ほとんどが、庶民の民俗文化の記録である。庶民にとってかけがえのない伝統工芸であるとか、お祭りであるとか、そういった「営み」の記録である。このたび「土徳流離」をまとめても、やはり「営み」こそが、先人の記憶であり記録であり、その積み重ねが「歴史」を形作っているということを改めて思った。「土」の「徳」とは、そういった先人が積み重ね、積み重ねして堆積した分厚い、決して崩してはならない層なのだ。ところが、いま、6年を経たフクシマは、何の復興も遂げていない。地元への杜撰な東電の対応、早すぎる解除宣言、帰還できない村民、補償金等を巡る村落・家族の分断等々…、土徳の層が一気に崩されようとしている。あきらめてはならない。力の続く限り土徳を、先祖の営みを想い続けてほしい。
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あおはら・さとし/1961年広島市の浄土真宗本願寺派眞光寺に生まれる。龍谷大学仏教学科卒。87年映像を志し上京。イメージ・フォーラム付属映像研究所第10期生。88~00年民族文化映像研究所に在籍。日本列島に伝わる様々な庶民の生活文化の映像記録作業に関わる。03年『土徳―焼跡地に生かされて』以後、フリーに。広島を拠点にドキュメンタリー映画の制作に励んでいる。

2017/3/30 淑徳大学が仏教社会福祉の国際フォーラム開催 アジア仏教ソーシャルワーク研究ネット結成

淑徳大学フォーラム①.JPGフォーラムに参加した9カ国代表と日本によって「アジア仏教ソーシャルワーク研究ネットワーク」が結成された 淑徳大学アジア国際社会福祉研究所(秋元樹所長)は3月22・23の両日、千葉市内のホテルで「アジアの仏教は人びとの生活の問題にどうはたらくか?」をテーマに第2回国際フォーラムを開催した。アジア9カ国19人の研究者らをはじめ国内を含め約40人が参加。西欧のソーシャルワーク(SW、社会福祉)と仏教ソーシャルワーク(BSW)の共通性や相違性が検討された。またアジア仏教ソーシャルワーク研究ネットワークが結成された。

 最初のフォーラムは2年前、建学50周年記念として「仏教"ソーシャルワーク"と西洋専門職ソーシャルワーク―次の第一歩」をテーマに開かれた。昨年4月、アジアおよび世界の国際社会福祉/ソーシャルワーク(SW)研究の向上に寄与するとともに研究成果の社会還元を目的として同研究所が設立され、第2回を主催した。

 研究所研究班が対象国に赴き、仏教とSWの関係を調査すると共に現地研究者らと交流を深めてきた。フォーラムでは、ミャンマー、カンボジア、モンゴル、ブータン、タイ、ラオス、ネパール、ベトナム、スリランカの9カ国代表がパワーポイントを用いてそれぞれBSWについて報告した。

 ミャンマーのボビー氏(NGO共同代表)は少数派のイスラーム教徒だが、「見返りを求めずに他者の福祉に寄与する」ことを意味するパラヒタ(利他)について説明。この言葉は仏教に基づいており、ミャンマーの福祉に深く根ざしているとした。

 また公的な制度や法律に基づく政府主導のSWに対して、非公式で柔軟性のあるBSWは対応の早さや政府のすき間を埋めたり、繰り返しがしやすいといった強みがある。「西欧ルーツの専門職とは相容れない考え方も存在するが、(両者の)協働も成立している」とも話した。

 ブータンではミャンマーのパラヒタに相当する言葉としてジンパがあると言い、僧院での慈善活動を紹介した。

 各国で教育や職業訓練、災害被災者支援、環境保護、HIV/エイズ患者ケア、ホームレス支援、孤児院など形を変えながらも僧侶や寺院による社会福祉活動の実践例が報告された。一方で淑徳大学研究班が現地調査することで、複数国ではBSWを自覚する機会にもなった。

 初日の最後に代表者が署名してアジア仏教ソーシャルワーク研究ネットワークが正式に結成された。秋元所長は「SWは西欧で生まれ、専門職としてだいたい150年続いてきた。ところが仏教は、ある方が言うには2500年やってきたという。特にアジアを回っていると大部違うなという印象を持つ」と述べ、BSW研究の広がりとその焦点化を期待した。

 2日目にもBSWの実践報告と共に定義等について議論が交わされた。

2017/3/30 新日本宗教団体連合会 拉致被害者即時帰国を求め首相に要望書

2017.03.15/新宗連 拉致問題要望書提出③.jpg安倍首相に要望書を手渡す保積理事長(提供:新宗連) 公益財団法人新日本宗教団体連合会(新宗連)は15日、東京・永田町の総理大臣官邸を訪れ、保積秀胤理事長(大和教団教主)が「北朝鮮による日本人拉致被害者の即時帰国を求める要望書」と24教団代表の署名簿を安倍晋三総理大臣に手渡した。新宗連からは常務理事の宮本惠司氏(妙智會教団法嗣)と川端健之氏(立正佼成会理事長)、理事の田澤清喜氏(松緑神道大和山教主)及び事務局2人が同席した。

 新宗連は平成22年(2010)以降、拉致事件解決に積極的に取り組み、署名活動や被害者家族を招いての学習会などを重ねてきた。昨年10月の理事会で要望書提出を決定したが、その際に「加盟教団代表の先生方のお心を署名に託して総理に届ける」ことに合意した。3月14日までに24教団代表の署名が集まり、それを提出。拉致事件解決に向けて、より強い姿勢と決意を示した。

 要望書では、拉致事件の発生から長い歳月を経過したことによる、被害者家族の高齢化を指摘し、「多くの国民がこの問題に対して強い焦燥感を募らせている」と述べ、「日本人拉致被害者の即時帰国に向け、早急に施策を講じるよう強く要望申し上げます」としている。同時に今年4月から全国各地で学習会を開き、風化防止と啓発に努めることも述べている。

2017/3/30 日本香堂 子ども絵画館inお台場 心を動かす「心のふるさと」作品

日本香堂子ども絵画館2017②.JPG子どもたちの受賞にご当地キャラクターも応援に駆け付けた 株式会社日本香堂(小仲正克社長)は25日、東京・お台場のフジテレビ本社1階のシアターモールで、「ふるさとのお盆の思い出」絵画コンクールの2016年度入賞作品132点を展示する「子ども絵画館inお台場」の授賞式と絵画館オープニングの記念セレモニーを開催した。

「夏休みの思い出」をテーマにした作品を公募する同コンクールには昨年、国内外から6万5135点の応募があった。この中から小学校低学年、同高学年、中学生の各部で入賞作品を選出。25日の式典では最優秀賞、原田泰治賞の受賞者がテープカットを行った。

 小仲社長は「みなさんの絵を観て一番感激しているのは私たち大人です。失ったものや心のふるさとを見出します。このノスタルジックな感情はポジティブな感情を生むとも言われている。みなさんの心とその手で末永く絵を描き、世界の人々に感動を与えてほしい」と讃えた。選考委員長の原田泰治画伯は「自分の絵を、才能を大切にしてください。毎年描くことで心の中に感動が残る」と祝福した。

 小学校高学年の部で最優秀賞を受賞した起塚龍玄さん(兵庫県・小5)は「観た人が幸せになる絵を描きたい」と今後の目標を話した。中学生の部の川神茜音さん(和歌山県・中3)は「出品するのが最後だったので嬉しい」と喜びを語った。

 式典には同社キャラクターのさだきちくん、かおりちゃんのほか、各受賞者のご当地キャラクターも応援に駆け付け、晴れ舞台を盛り上げた。子ども絵画館は4月9日まで。入場無料。

2017/4/5 第2期臨床仏教師に女性2人含む5人認定 さまざまな苦の現場で

1臨床仏教第2期.JPG第2期の臨床仏教師認定者。右から内山、岡部、星、眞木、森脇の5氏  公益財団法人全国青少年教化協議会(全青協)の臨床仏教研究所が運営する臨床仏教師養成プログラムの第2期認定式・記念講演会が3月30日、東京・芝の東京グランドホテルで行われ、女性2人を含む5人に認定証が授与された。最初の講座(座学)には83人が登録しており、16倍強の競争率となった。第1期を含めた臨床仏教師は11人。5人は今後、生老病死の現場で活動する。

 臨床仏教師に認定されたのは、内山美由紀(神奈川・本願寺派西法寺門徒)岡部幸子(茨城・曹洞宗常光院寺族)星光照(埼玉・日蓮宗円真教会担任)眞木興遼(群馬・天台宗円龍寺副住職)森脇宥海(愛媛・豊山派浄明院副住職)の5氏。

 開式に当たり、臨床仏教研究所の齋藤昭俊所長(大正大学名誉教授)が挨拶。2年近くにわたった養成プログラムの修了をねぎらい、「今後、社会的問題や社会的な状況からもたらされる個人の悩みに接していくことになる。これからも充分に学び、臨床仏教師として仏作仏業に励んでいただきたい」と激励した。

 選考経過を同研究所の島薗進理事(上智大学グリーフケア研究所所長)が報告。第1ステップの全10回の座学には83人が登録し、第2ステップのワークショップに34人が進んだ。第3ステップの100時間以上におよぶOJT(実践研修)では8人に絞られ、最終口頭試問で5人となった。島薗氏は「日本の仏教、世界の仏教にとっても現代の新しい課題に取り組むチャレンジである。認定は始まりであり、長い歩みの第一歩が今日始まる」と祝福した。

 この養成プログラムを構築し、運営してきた神仁上席研究員も「皆さまにとってスタートライン。仏教者として自身の信仰を深めながら社会のさまざまな場面で声なき声を聞き、答えのない問いを受け止めていただければと切に活躍を願う」とエールを送った。

 齋藤所長から5人に認定証が手渡され、それぞれが感想を披露。内山氏は看護師時代の反省を口にしつつ、「仏教には無財の七施という貴重な教えがある。和顔と愛語をもって慈しみの心をもってお話をうかがっていきたい」と話した。元教員の岡部氏はプログラムを通じて「自分を知った」と告白。そして「不登校の親は毎日のように訪ねてくる。その中で学んだことを実践していきたい」と胸を張った。

 星氏は第1期も受講し、2度目の挑戦。「臨床仏教師というのは自らの足で寺から出て、生老病死の現場に行き、悩み苦しんでいる人に寄り添う存在という思いを捨てきれずに第2期を受講した。本日がスタートだと思っている」と抱負。眞木氏は講座の中で患者に何も返答できず無力感に陥った体験を述べ、神氏から「生身の人間には人を救うことはできない。その人の仏性を信じて寄り添い続けることが大切である」と教えられたエピソードを紹介し感謝。元銀行員の森脇氏は、銀行生活と寺院の狭間で悩むことがあったことが受講のきっかけになったと言い、緩和ケア病棟、グループホームでの活動から「頂いたご縁に報いていけるよう精進していきたい」と口にした。

 記念講演では、看取り医の大井玄氏(東京大学名誉教授)が「看取り医がブッダに学んだこと」をテーマに話し、臨床仏教師の活動に期待した。