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2025/8/25
「話しておこう 心のこり」 フューネラルアンバサダー田村淳さん登場 文化放送


収録後の田村さんと全葬連の石井会長 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)フューネラルアンバサダーの田村淳さんがパーソナリティーを務める文化放送「田村淳のNewsCLUB」の公開収録が7日、東京・浜松町の文化放送で「話しておこう 心のこり」と題して行われた。抽選で招待された60人が来場した。

 2020年8月に他界した母の久仁子さんが生前、自らの葬儀をプロデュースしていたことをきっかけに、「最期の向き合い方」や「葬儀のあり方」を考え直すようになった田村さん。2年前の全葬連愛媛大会で講師として参加し、親と葬儀について話すことや、ハグすることを勧めた。

 今回のテーマである「心のこり」について田村さんは、「母ちゃんの唯一の心のこりは、父ちゃんを一人残すことだった」と言い、「父ちゃんを寂しくさせないでよ」と子どもたちに言い遺した。こうした体験から、誰かの心のこりに触れることで、自分は心のこりがないよう前向きな気持ちになれると話した


 事前に寄せられた来場者の心のこりに耳を傾けながらトーク。心のこりには個々人のさまざまなストーリーが組み込まれ、田村さんは体験を交えて助言した。

 収録後、田村さんは全葬連の石井時明会長と並んで取材に応じた。葬儀社を選ぶポイントを尋ねたところ、「カスタマイズ(好みや必要に対応すること)してくれるかどうかだと思います」と返答。母の葬儀では、母の要望を葬儀社が聞き入れていたことから、「そうした葬儀社は増えているのではないか」と感触を口にした。(続きは紙面でご覧ください)

2025/8/22
朗読ライブ「三輪車」上演 広島出身 坂田明氏が演奏 中野区宗清寺


奏者の坂田氏(左)と朗読した辻氏 80年目の終戦の日を迎えた15日、生演奏を織り交ぜた朗読ライブ「三輪車」が東京都中野区の曹洞宗宗清寺で上演された。東京大空襲の夜に起きた少年の不思議な物語に、満堂となった本堂は祈りに包まれた。

 台本は4月に亡くなったラジオプロデューサーの延江浩氏(享年67)が書いた。執筆中に急逝したが、家族がパソコンに残された原稿を見つけた。柳田國男の『遠野物語拾遺』に着想を得た作品。火事が起き、めざましい活躍で火を鎮めた小さな子どもたちが姿を消してしまうが、足跡を辿ると泥まみれの阿弥陀如来が安置された仏壇に行き着くという話だ。原爆資料館に展示される「伸ちゃんの三輪車」もモチーフとなっている。

 朗読は俳優の辻しのぶ氏。今年2月に80歳となった広島県出身のサックス奏者・坂田明氏が演奏した。辻氏が、8月に寺院で2人の朗読ライブを企画していると延江氏に知らせたところ、「坂田さんは終戦の年に生まれ、原爆も身近だった。寺で公演するなら15日がいい」と、台本の執筆を買って出たという。

 初上演を迎え、チケットは100席完売。仏前には第2次世界大戦の犠牲者すべてを供養する位牌とともに、延江氏の位牌が祀られた。舞台となった大間には傷ついた三輪車。迫真の朗読によって、空が赤く染まった下町を目指して三輪車をこぐ少年が見た状景が広がり、力強く抑揚のついた演奏が物語の世界に引き込んだ。関係者を含む参拝者約135人が終戦の日に思いを寄せた。

 埼玉県蕨市に住む坂田氏はこの日、犠牲者を追悼する正午のサイレンに合わせ合掌した。南方と沖縄で叔父2人も亡くしている。終戦後の社会とともに年齢を重ねてきたが、「思い描いていた未来とは違う」と失意の表情を浮かべた。「私たちにできるのは祈ること。その思いを音に込めた」

 辻氏は「平和という言葉は軽々しく口にできるほど生易しいものではありません。ですが、今日は祈りによって心が一つになる瞬間があってほしい。お寺という場が後押ししてくれるようです」と話した。

 飯島尚之住職は「どうやって戦争を伝えていけばいいのか。私を含め参拝者はみな戦争を知らない人たち。平和について考える場として新たな試みとなったのではないか」と語った。

 主催したNPO法人ビンテージエイジングクラブ(東京・赤坂)は今後、寺院での公演を検討している。問い合わせは同クラブ(メールinfo@vintageaging.com)まで。

2025/8/22

日蓮宗 千鳥ヶ淵墓苑で法要 胸に刻む〝いのちの連なり〟 終戦80年 犠牲者悼み平和を願う


戦没者の遺骨が奉安された六角堂で営まれた法要 日蓮宗は15日、東京都千代田区の国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で終戦から80年にあたる戦没者追善供養・世界立正平和祈願法要を執り行った。導師を務めた田中恵紳宗務総長は、今後もすべての戦没者の供養と世界立正平和の実現を祈念していくことを改めて誓った。

 法要は、田中総長を導師、東京4管区の宗務所長を副導師に営まれ、鈴木秀行・東京南部修法師会長を修法導師に修法祈祷も行われた。祭壇脇には日蓮宗保育連盟から寄せられた千羽鶴が奉納された。

 田中総長は、戦争について「戦争は正義と正義の衝突とも言える。人は自らの信念に基づく正義を疑わず、それを妄信してしまうことで、時に他者を排し、争いを招き、暴力を行使する口実と化すことがある」との見方を示し、「仏陀釈尊は〝正しさ〟とは決して他者に振りかざし、誇示するためのものではなく、冷静に物事の本質を見極めるための道しるべだと説かれた」と仏教的な「正しさ」を説いた。

 その上で、「国や文化の違いを超え、人々が互いを思いやる心を持つことができたならば、恒久なる世界平和の第一歩となる」と述べ、戦没者供養が「日常が先人たちの犠牲の上に築かれた有り難き〝いのちの連なり〟によるものであることを胸に深く刻む機会」となることを願った。

 国外での戦死者は240万人とも言われ、いまだ多くの遺骨が海外に遺され、現在も収骨が続く。同墓苑には遺族に引き渡しできない遺骨が納骨されており、累計37万989柱が奉安されている。

 同墓苑奉仕会の保松秀次郎理事長は、「奉安されたご遺骨は海外に残されたご遺骨の代表と思っている」とし、5月に同墓苑で満開となる墓苑の花に指定した紫蘭の花言葉「あなたを忘れない」を紹介。「まさに千鳥ヶ淵墓苑に相応しい花。この花言葉の意味を肝に銘じて日々のお勤めをしております」と話した。

 日蓮宗では、墓苑が創設された昭和34年以来、毎年この終戦の日に同墓苑で供養を続けている。日蓮宗檀信徒の全国組織・全国檀信徒協議会の池上幸保会長は「本日法要をしていただけるのは大変ありがたいこと。今の日本があるのは戦争で犠牲になった方々、そして戦後復興をした方々のおかげです。感謝の気持ちを常に持っていたいと思います」と語った。

2025/8/22
念法眞教 盛大に立教100周年法要 明るく社会を照らす存在に 開祖親先生追慕し精進誓う


挨拶する桶屋燈主 4月1日に立教百年大祭が開闢した念法眞教は2日、大阪市鶴見区の総本山小倉山金剛寺で立教百周年報恩大法要を勤修した。宗教界内外から約480人を祈願本堂に招待。桶屋良祐4代燈主を導師に全国支院主管者(住職)ら約70人が出仕し、大勢の信徒と共に感謝の念法眞言を唱えた。桶屋燈主は、「教えの実践活動は百周年で終わるのではなく、二百年、三百年へと現世界極楽浄土現成を目指して続けなければならない。それが教団の使命」と力強く表明した。

 念法眞教は大正14年(1925)8月3日午前2時、久遠実成の阿弥陀如来が当時40歳の開祖親先生(小倉霊現初代燈主)に応現し、「信仰の立て直し、世の立て替え」をするようにと霊示を授けたことに始まる。少年期から艱難辛苦を重ねてきた親先生が、「現世界極楽浄土建設」を掲げて立教開宗してからの教団の歩みは、今年迎えた「昭和百年」と丁度重なる。

 桶屋燈主は、「昭和20年8月15日、大東亜戦争が終結し、親先生は御霊示のままに日本再建に一身を捧げる決意をされ、全国各地の御巡教を始めた」と回想。立教開宗から97歳で遷化するまでの57年間にわたって法を説き続けた姿を追慕し、「私は開祖親先生の御高徳に自身の生涯と命を捧げても惜しくないと決意し、25歳で入山した。爾来50年間、親先生、2代燈主様、3代燈主様の身近に仕え、修行の日々を過ごした。4代目を相承してより今日まで、ひたすら開祖様の姿を追い求め、走り続けてきた」と想いを込めて語った。

 教団代表顧問の東久邇吉子殿下が祝辞。「百年間の報恩感謝と祈りを深め、開祖様の教えに基づいて住みよい世の中を目指し、日々精進なさることを喜ばしく思う」と述べた。(続きは紙面をご覧ください)

2025/8/22
奈良の「広島大仏」で原爆忌 安堵町極楽寺 平和式典で犠牲者供養


山形、広島から極楽寺へと移ってきた広島大仏 広島原爆忌の6日、奈良県生駒郡安堵町の真言宗国分寺派極楽寺(田中全義住職)は「広島大仏」の前で平和記念式典と法要を営んだ。檀信徒や西本安博町長ら約100人が参列し、二度と原爆の惨禍を繰り返さないことを誓った。大仏殿の前では平和を願うコンサートも奉納された。

 広島大仏は身の丈約4メートルの阿弥陀如来坐像。約700年前に造立されたもので、かつては出羽国(山形県)の黄檗宗寺院の本尊だったが、廃仏毀釈の時代にその寺から離れ、大正時代に広島県に写ってきた。北広島町に安置されていたため原爆の被害は免れた。これを原爆犠牲者供養のための広島供養塔の本尊にしようという動きが有志僧俗により沸き起こり、大仏奉讃会が結成された。1950年にパレードが、1955年には増田日遠日蓮宗管長を大導師に超宗派の法要が行われた記録も残っている。ところが、所有権を巡る争いなどが発生し、詳しい事情は不明なものの1960年頃に広島から姿を消した。

 極楽寺の田中義邦先代住職(故人、田中住職の祖父)が知己の古美術商から譲り受けていた仏像が、調査の結果この広島大仏だと判明したのが2011年。以来15年にわたり平和記念式典を営んでいる。

 広島市の松井一實市長が「ヒロシマの平和への願いの原点は、『こんな思いは他の誰にもさせてはならない』という被爆者の切なる願いです」とメッセージを寄せた。(続きは紙面をご覧ください)

2025/8/8
識者に聞く カンボジア・タイ国境で武力衝突
両国とも寺院を避難所に オンライン対話の試みが
浅見靖仁・法政大学教授


 領有権を主張するタイとカンボジアの国境で7月24日、軍事衝突が発生し、両国で30人以上が死亡した。避難者は双方で30万人とされる。同28日、マレーシアの仲介で両国の停戦合意にいたった。しかしその後も攻撃があったと伝えられている。上座部仏教国に位置付けられる両国はどのような状態なのか。それぞれの国や仏教事情に詳しい識者3氏に聞いた。

両国とも寺院を避難所に オンライン対話の試みが
浅見靖仁・法政大学教授

 両国の仏教界上層部は今回の紛争に対して沈黙しているが、僧侶たちはただ座しているわけではない。戦闘によって双方とも十数万人が自宅に滞在できなくなり、避難民となった。日本では小中学校の体育館や公民館が災害時の避難先として使われるが、両国とも国境近くの地域には大きな公民館や体育館のある学校はほとんどない。どちらの国でも僧侶が寺院を一時避難所として開放し、政府が救援物資を配布するようになるまでは食事の手配もした。

 1970年代から90年代にかけて激しい内戦を経験したカンボジアでは、僧侶が平和と和解の重要性を唱えて行進するタンマイェートラという「新たな伝統」が作られたが、今回の紛争に対しても8月2日に中堅の僧侶が中心となって平和行進が行われた。ASEAN議長国マレーシアの仲介による一時停戦の合意成立を祝い、戦闘が再開されないことを祈願する行進であったが、停戦合意を実現したフン・マネット首相やフン・セン上院議長に感謝し、彼らの指導の下に国民が一致団結することを呼びかけもした。

 こうした姿勢は、特定の側に肩入れすることなく、紛争の当事者双方に自制と寛容を呼びかけた内戦終結時に行われた平和行進の精神とは相容れないという不満を表明するカンボジアの仏教徒もいる。

 そうしたカンボジア側の動きに呼応するように、タイ側でもカンボジアとの仏教者交流を続けてきた人たちを中心にして、相互理解と寛容の精神でカンボジアとの和解を進めるべきだという訴えをSNSで行う人が少しずつではあるが、増えてきている。タイとカンボジアの仏教者が今回の紛争についてオンラインで対話する試みも始まりつつある。

 紛争発生以来、両国のネット上では、相手国は好戦的で悪意に満ちた侵略者であり、自国は常に正しく、争いは好まないが自衛のためにやむをえずに戦っているという言説に満ち溢れていた。そうした怒涛のような憎悪の感情を、両国の仏教者の訴えが少しでも良い方向に変えてくれることに期待したい。

(紙面では、東海林良昌・世界仏教徒連盟人道支援委員会委員長、小野正遠・TM良薬センター事務局長のご意見も掲載しております。ぜひ紙面をご覧ください)

2025/8/8
栴檀学園創立150年 洞門の強豪野球部が記念試合 東北福祉大 VS 駒澤大 ドラフト候補先発 序盤から点を取り合う熱戦


力を出し合った両校の選手ら(仙台市青葉区、福祉大野球場) 曹洞宗の宗門関係校・東北福祉大を運営する栴檀学園の創立150周年を記念した野球の招待試合が3日、仙台市青葉区の同大野球場で行われた。対戦したのは駒澤大。同門の強豪校同士の熱戦に、両校の関係者ら約700人が声援を送った。

 6月の全日本大学野球選手権で7年ぶり4度目の優勝を飾った福祉大。対する駒澤大も今春に東都リーグ2部で優勝し、1部に復帰した強豪。同選手権では歴代2位となる6度の優勝経験を持つ。曹洞宗門校同士の対戦は、序盤から点を取り合う白熱した展開となった。試合前には両校の応援団がエール交換した。

 福祉大は今秋ドラフト候補の櫻井頼之介投手、駒澤大は本間葉琉投手が先発した。一回に福祉大がDH・冨田隼吾内野手のライト前ヒットで先制。二回に駒澤大が鳥山穣太郎内野手のツーランホームランで逆転すると、福祉大が2点を返して再逆転。三、五回にも2点ずつ追加した。七回に駒澤大が2点を挙げて追い上げるも、福祉大が7対4で勝利した。

ドラフト候補に挙がる福祉大の先発・櫻井頼之介投手 ユーチューブでライブ配信され、実況席では福祉大の山路哲生監督と駒澤大の香田誉士史監督の対談もあった。

 球場にはレジェンドたちも集結。福祉大OBで元メジャーリーガーの「大魔神」こと佐々木主浩氏や元阪神監督の金本知憲氏らが駆け付けた。始球式では元福祉大野球部長の大竹榮氏がマウンドに立ち、打席に入ったのは駒澤大終身名誉監督の太田誠氏。前福祉大監督の大塚光二氏が捕手役を務めた。

 初めての記念試合に両校の理事長も揃って参加した。福祉大の平井正道理事長は「互いに高め合えるいい機会になった」。駒澤大の小島𣳾道理事長は「今後も続けていけたら。楽しみだ」と話した。

 福祉大の千葉公慈学長は「精一杯力を出し切ることが相手の全力を引き出すことにつながる。それが互いの利益となる。本学の教育理念は自利・利他円満。自己研鑽にふさわしい試合だった」と語った。

2025/8/8
核廃絶 比叡山から世界へ サミット38周年 真の平和、慈愛社会訴える


平和の鐘の音が響く中、諸宗教者が黙祷を捧げた 超宗教で世界の恒久平和を祈る比叡山宗教サミット38周年・第39回「世界平和祈りの集い」が4日、滋賀県大津市の天台宗総本山比叡山延暦寺で開催された。各宗教から約450人が参加。広島・長崎への原爆投下から80年を迎えた今、世界では自国第一主義の台頭で対立・分断が深刻化し、再び核武装論の拡大による核の実戦使用の危機が増大。比叡山上に参集した諸宗教者は、山内に鳴り響く平和の鐘の音に乗せて「日本仏教の母山」から世界中に祈りを発信し、国境を越えた対話・協力による核兵器廃絶の道を探った。

 一隅を照らす会館前「祈りの広場」で、「平和の祈り」。次代を担う若手宗教者を代表して神社神道の戸内(とのうち)結(ゆ)律子(りこ)氏と仏教の犬山空(くう)翼(よく)氏がステージに登壇し、「平和のために祈ることは、平和のために働くこと、そして平和のために苦しむことですらある」とする比叡山メッセージの全文を交互に読み上げた。

 藤光賢天台座主をはじめ、仏教・神道・キリスト教・イスラム教などの各教宗派・団体の代表10氏がステージに登壇。午後3時半、文殊楼横鐘楼の「世界平和の鐘」を打ち鳴らし、参加者全員が起立して黙祷を捧げた。

 藤座主は主催者代表挨拶で、「平和とは、単に戦争がないということではない。人間同士だけでなく全ての生物と慈しみをもって共生していくことが、真の世界平和と言える」と表明。終戦80年に際し、「あらゆる兵器や暴力のない、慈愛に満ちた社会の実現に邁進する」決意を新たにした。(記事全文は紙面をご覧ください)

2025/8/8
子どもの栄養失調深刻 議連総会 ガザに即時食糧を


多くの乳児が重度の栄養失調状態であることが報告された パレスチナのガザ地区で飢餓状態が深刻化するなか、超党派の人道外交議員連盟(阿部知子事務局長)は5日、国会内で緊急総会を開いた。現地で活動するNGO団体も参加し、食糧等の物資搬入や即時停戦の必要性を強く訴えた。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長がオンラインでガザの状況を報告。3月にイスラエルが食料搬入を止めてから子どもたちの栄養失調の割合が増加し、7月時点で18・5%が栄養失調の状態に。現地で働くUNRWA職員の飢えと疲弊も深刻で「崩壊が始まっている」と危惧。「ガザの外には大量の食料と医療品がある。何故それが届けられないのか」「人道支援が政治の題材にされている」と憤った。

 米国・イスラエルによるガザ人道財団が設置した食料配布所は、ガザの人口200万人以上に対して僅か4カ所。配布所周辺で1400人以上が殺害されている。国連の配布所は400カ所ある。「何ができるか答えは明白。停戦と食料と医薬品の搬入。それ以外にない」と訴えた。日本国際ボランティアセンター、国境なき医師団、パレスチナ子どもキャンペーン、セーブザチルドレンジャパンも参加した。

 人道外交議連は7月上旬に「パレスチナの国家承認」等を求める要望書を政府に提出している。阿部事務局長は「国家承認の迅速化、人道物資支援の搬入、医療的な避難の加速を申し入れる」と述べた。

2025/8/5
模擬原爆投下80年 恩楽寺で追悼式 長崎原爆と同型 5㌧の火薬、7人死去


門前の追悼碑には千羽鶴が供えられた 80年前の7月下旬、終戦を目前にした日本各地に「模擬原爆」が投下された。それは米軍が原爆を落とす練習のためだった―その被害を受けた大阪市東住吉区の真宗大谷派恩楽寺(乙部大信住職)で7月26日、犠牲者追悼式が営まれ、当時を知る人から小学生まで120人以上が参加した。オンラインで各地の平和団体とも繋いだ。主催は追悼実行委員会。

 1945年7月26日の朝、B29は恩楽寺付近に模擬原爆を投下、急旋回して消え去った。中身は約5トンの火薬で、7人の死者を出した。外形は長崎原爆「ファットマン」と同じ。本物の原爆を投下した時に自機が衝撃波を受けないように急旋回する練習のためだったと指摘されている。恩楽寺もこの時の爆風で柱が傾いており、現在でも敢えてその傾きを残して戦争の被害を知る助けとしている。

 3人が体験を語った。当時、小学校2年生だった山本悦子さんは空襲警報が鳴り響き、防空頭巾を被って路地で伏せると「とたんに爆風の凄い音がして、上から瓦とホコリが降り掛かってきた」。帰宅すると家の窓ガラスは全部割れていた。当時はもちろん模擬原爆とは知る由もなかったが、「戦後4、5年して何か怪しい爆弾だったという話を聞きました。数十年経ってやっと模擬原爆だとわかった」と回想。戦争は人間の尊厳を無視したものだと訴えた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/8/1
自由な意思決定権を奪われた 宗教2世 旧統一教会を提訴 弁護団、教団の共同不法行為問う


記者会見する弁護団。前列中央が村越進弁護団長 旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)信者の親を持つ2世の8人が24日、教義に基づく虐待などによって精神的な自由な意思決定権等を奪われたとして教団に対して総額約3億2千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。弁護団は教団側の民法上の共同不法行為を問うとしている。同日、全国統一教会被害対策弁護団と原告の1人が都内で記者会見した。

 弁護団長の村越進氏は「2世の方が統一教会を訴えるのは初めてであり、画期的なことと考えている」と語った。訴状では、「被告(教団)が、親に対して、2世の人権よりも教義の実践を優先するよう指示した結果、2世の発達環境を著しく歪めた」と指摘。具体的には「恋愛は堕落の始まり」「統一原理に反する行動を取れば地獄に落ちる」「親や教会に背くことは神に背くこと」と教え込まれ、「人生の基礎にかかわる事柄について自由な意思決定を行うことを許さなかった」としている。

 こうした2世への人権侵害に対し、民法709条、同719条に基づいて教団の故意の不法行為を問うとしている。

 会見では、原告8人の被害は「驚くほど似通っている」とし、ネグレクトのような状況、教育環境が十分ではない、交遊・恋愛関係の制限、趣味・趣向の制限、幼少時から教義の教え込みを受ける、祝福によってさまざまな苦しみを受ける――といった事象を列挙。その上で「個別家庭ではなく、多くの問題が共通して起こっている。それを生み出している教団も教義で指導している。教団は組織的にそうした被害が生じうると分かった上で行為に及んでいることになり、法律的には共同不法行為にあたる」と説明した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/8/1
仏教伝道文化賞決定 本賞 河野太通氏・妙心寺派元管長 沼田奨励賞 雄谷良成氏・日蓮宗蓮昌寺住職 贈呈式は10月16日


河野太通氏雄谷良成氏(公財)仏教伝道協会は7月24日、第59回仏教伝道文化賞選定委員会を開催し、仏教伝道文化賞に河野太通氏(95、臨済宗妙心寺派元管長、兵庫県・龍門寺先住職)を選出した。沼田奨励賞は雄谷良成氏(64、石川県・日蓮宗蓮昌寺住職、社会福祉法人佛子園理事長)に決まった。

 仏教伝道文化賞は国内外で仏教関連の研究や論文、美術や音楽、仏教精神を基に活動する実践者など、幅広い分野で仏教精神と仏教文化の振興と発展に貢献した人物や団体に贈られる。今後の活動に期待ができる個人や団体に「沼田奨励賞」を贈呈している。

 河野氏は太平洋戦争の激戦地の慰霊、内戦地での人道支援、震災復興支援などを長年にわたり実践し、宗教者としての生き方を身をもって示してきた功績を称賛しての授賞となった。アジア南太平洋友好協会会長、花園大学学長、全日本仏教会(全日仏)会長等を歴任。ちなみに全日仏会長時には東日本大震災とそれに伴う原発事故を受けて「原発によらない生き方を求めて」とする宣言文を発表。脱原発依存を打ち出した。

 雄谷氏は特別支援学校教員、青年海外協力隊、北國新聞社勤務などを経て、祖父が創設した佛子園に戻って事業を展開。「シェア金沢」のオープン、「輪島KABULET®プロジェクト」の始動など、世代・障害・国籍の分け隔てをせず共生する福祉施設を運営。差別のない世界を目指す地道な活動が評価された。昨年元旦の能登半島地震では金沢市の自坊が被災しながら、復旧・復興活動に取り組んでいる。

 贈呈式は10月16日午前11時から、東京都港区の仏教伝道センタービルで開く。受賞者には賞状と賞金(本賞500万円、奨励賞300万円)、記念品が贈られる。
 
受賞者の声

無文老師の志継承
河野太通氏

 この度は文化賞を賜り、誠に光栄に存じます。妙心寺派山田無文老大師の志を受け継ぎ、アジア南太平洋友好協会・RACKの活動を続けてまいりました。諸仏の加護と皆様の支えに深く感謝し、今後も平和と共生のため精進いたします。


感謝の大切さ学ぶ
雄谷良成氏

 能登半島地震から1年7カ月、復旧・復興活動では人と意見を交わすことが必要ですが、色々なことに向き合っています。一番必要だと思うのは、日頃から子どもも若者も高齢者も、障害のある人もない人も、外国人も、みんなが何らかの形でつながっていること。これが災害時にも大きな力を発揮します。そして感謝をする力がある人はすごく強い。災害に遭っても「ありがとう」と言える人は周りを引っ張っていく力がある。そういう人たちと一緒に、感謝する大切さを学ぶ場になっています。今回の表彰を自分のことのように喜んでくれて、お祝いをしようと考えてくれています。

2025/8/1

次期全日本仏教徒会議 2027年秋 東京で開催
東仏賛同 全日仏70周年式典も


 東京都仏教連合会(東仏)は7月28日、台東区の浄土宗凉源寺で理事会を開き、全日本仏教会(全日仏)が2年後の2027年秋に開催を予定する「法人創立70周年式典・記念祝賀会」の一環として「第48回全日本仏教徒会議」の企画運営を行うことを決め、東京大会が内定した。東京大会は昭和58年(1983)10月、池上本門寺で行われて以来44年ぶりとなる。今後は実行委員会を作り、内容を検討していく。

 理事会には55地区仏教会から30人が出席。三吉廣明理事長(烏山仏教会)、吉田泰樹事務局長(浅草仏教会)が全日仏から東京大会開催の打診を受けてからの経緯や、60周年大会が行われた2017年の福島大会を参考にしながら予算計画について説明した。細かな質疑の後、出席者の賛同を得て大会開催が内定した。

 今後は東仏事務局・常務理事を中心にした実行委員会を組織し、仏教徒会議の方向性や具体的な内容を計画していく。また事務局は今回の理事会に参加しなかった地区仏教会に対して必要があれば説明するとしている。

 全日仏はおよそ2年に一度、加盟する全国の都道府県仏教会との共催で全日本仏教徒会議を開催してきた。今年9月5・6日に第47回大阪大会が行われる。
 
 次期大会となる2027年は全日仏の法人創立70周年と重なるため記念式典や祝賀会も開催する。全日仏からは50周年、60周年の大会が「ご縁」をテーマに行われたことを踏まえ、70周年大会のテーマも「明日へつなげるご縁の力」(案)で検討されている。開催時期は2027年10~11月頃を予定。