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2025/6/9

大谷派大阪教区シンポ 浄土系3大宗派そろう 寺の新時代 熱くトーク


浄土系三大宗派の僧侶が刺激的提言を連発  真宗大谷派大阪教区青少幼年部教化推進実行委員会は23日、大阪市中央区の難波別院でシンポジウム「寺の新時代」を開催した。大谷派僧侶の木越康氏(大谷大学教授)、浄土真宗本願寺派僧侶の安永雄彦氏(西本願寺前執行長)、浄土宗僧侶の鵜飼秀徳氏(ジャーナリスト)が登壇し、刺激的な提言でお寺の奮起を説いた。

 木越氏はアメリカにおける真宗寺院の実態調査に基づき、日系人コミュニティの解体に伴い信仰の継承に困難を抱えている一方で「ものすごくお寺は元気。ひょっとしたら将来的にアメリカのほうがお寺は残るんじゃないかとも言われている」と指摘。寺はNPOであり、メンバーによる理事会が運営している。

 住職は儀式と法話を執行する「雇われ」の存在であるため、自分たちのお寺は自分たちが運営するという意識が強く「危機感をもってメンバーが動かしている」と、寺檀制度を経験していないゆえの生き生きとした活動があるとした。ただし「(日本では)真似はできないんじゃないでしょうか、住職の給料は高くないし」とも述べた。

 安永氏は銀行マン、コンサルの世界から50歳で僧侶になり、築地本願寺で7年2カ月間宗務長を務めた成果を発表。「私が行った2015年、数億円の赤字でした。『納骨堂も売れなくて宗教離れでどうしようもない』と言われたが、そんなことないだろうと」と発奮し、仏事相談のインフォメーションセンター、カフェ、カルチャーセンターのGINZAサロンなどを次々に展開した。特に合同墓は広く受け入れられ、利用者への帰敬式も積極的に行っている。

 「最初にこうストーリーを立てたら、ほとんどの人がそんなことはありえないと言っていた」と苦笑しつつ、小規模寺院が築地のノウハウを取り入れ成功した事実もあるとし、新しい門信徒と縁をつなぐ「寺の新時代」は規模にかかわらず努力次第で可能だと熱弁。また「寺の経営と会社の経営はほとんど共通」とし、聖職者の誇りを一度捨て、商売人の心になったつもりで寺を繁盛させることを説いた。ちなみに難波別院のある船場は「商人の町」でもある。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5

全日本仏教青年会 東大寺で花まつり千僧法要 終戦80年 世界の平和祈る 聖武天皇の願いを現代に


約300人が大仏殿目指して進列 全日本仏教青年会(全日仏青)は5月26日午後、昭和63年(1988)から続けている「仏法興隆花まつり千僧法要―和が儘に集い 和が為に祈る」を、奈良市の華厳宗大本山東大寺で勤修した。共催は東大寺と南都二六会。終戦80年に思いを致しながら、超宗派で世界平和を祈念した。

 小澤慧月教化研修委員長(金峯山青年僧の会)が金鐘ホールでの開会式で、38回目の超宗派の祈りの伝統を引き継いだことに感謝。新井順證理事長(和宗仏教青年連盟)が、「今年は阪神淡路大震災から30年、先の大戦から80年。この節目の年に大仏殿から世界中に祈りを届けたい」と祈祷力の結集を要請した。

 大勢の参拝者が参道両脇から見守る中、青年僧侶約300人が勇壮な法螺貝の音を先導に大仏殿を目指して厳かに進列。外国人観光客も多く、「何が始まるの?」と尋ねている人もいた。修学旅行生の中には、団扇太鼓を打ちながら進む全国日蓮宗青年会の幟旗を見て、「いのちに合掌!」と声を上げる男子中学生の姿も見られた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
大谷派宗議会 「災害に強い教団」へ 被災時に特別教化金交付


施政方針を述べる木越総長 真宗大谷派の第77回宗議会(常会・望月慶子議長)が5月29日、京都市下京区の宗務所で始まった。木越渉宗務総長は施政方針演説で、「大規模災害被災教区の教化・運営を支えるための体制づくり」として「災害時特別教化交付金」を新設すると発表。「災害に強い教団」を目指して、今年から「新たな復興共済制度の検討」に関する宗務審議会を設置したとし、「宗派の共済・保険制度」の抜本的な改革への審議を始めたと説明した。

 長峯顕教財務長は2025年度予算で、一般会計の災害見舞費の不足を補填する基金「災害見舞準備金」(4月末現在の残高1億9232万円)を「災害対応準備金」と改め、一般会計から毎年1千万円を繰り入れ積み立てると説明。臨時部歳出に、「災害時特別教化交付金」を新設したと述べた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
第49回正力賞決定 本賞・藤田佳子氏(パネルシアター作家、淑徳大学客員教授) 奨励賞・中野浄昭氏(大分・浄土宗浄泉寺住職)


石巻市で行われたパネルシアターキャラバン浄泉寺で3代続く寺子屋活動と中野住職 (公財)全国青少年教化協議会(全青協)は5月29日、仏教精神に基づき日曜学校や子ども会などを通じて青少幼年の教化に尽力している個人や団体を顕彰する第49回正力松太郎賞を発表。本賞はパネルシアター作家で淑徳大学客員教授の藤田佳子氏が受賞した。奨励賞は中野浄昭氏(浄土宗浄泉寺住職/大分県国東市)、特別賞には𠮷岡秀人氏(認定NPO法人ジャパンハート最高顧問・小児外科医/東京都台東区)、(公社)三宝莚国際交流協会(理事長=栢木寛照・善光寺本坊大勧進貫主/事務局:滋賀県大津市)が選ばれた。

 本賞の藤田氏は1977年から視聴覚コミュニケーション教材「パネルシアター」を通して、仏教教育および仏教福祉活動を実践。パネルシアター創案者の古宇田亮順氏(浄土宗僧侶)のもとで研修を重ね、淑徳大学で教鞭を執り後進を指導し、情操教育の向上に尽力してきた。インドネシアのスマトラ島沖地震や東日本大震災の被災地でパネルシアターを通した支援活動を実施。アジア各国や中南米でパネルシアターの導入活動を進め、特別支援教育分野への展開にも取り組んでいる。その教育的価値や効果を広め、積極的に研究交流を行い、国内外で人と人を結び、心豊かな社会づくりに貢献する活動が高く評価された。

 奨励賞の中野氏は戦前から浄泉寺で3代にわたり「地域の寺子屋」として、子どもたちの学びと交流の場を提供。昭和20年代後半から開始した、小学生の米や芋を栽培する農業体験活動は現在まで続いている。「子ども信行道場」「花御堂の飾りつけ体験」「写経体験」など、仏教精神に根ざした地域青少年教化活動を継続的に実践してきたことが評価された。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
世界中で南無阿弥陀仏 24時間 不断念仏会20回の節目


大本山増上寺で念仏する参加者たち 毎年5月に営まれる「24時間不断念仏会」が17日午後1時から翌日にかけて東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺で開かれた。今年で20回目となる節目に揃って参加した8総大本山をはじめ、オンラインでつながった世界各地の道場から称名を響かせた。

 「いつでも、どこでも、誰でも」をコンセプトに現代の念仏会を目指して2006年に始まった24時間不断念仏会。当初からインターネットを活用し、会場の制限を超えて各地に参加者が広がった。そのおかげもあって、コロナ禍の間も一度も中断せずに20年目を迎えられた。

 増上寺光摂殿に設置されたスクリーンに、全国各地の寺院から念仏する姿が届けられた。ハワイやブラジル、ドイツ、フランスなど海外の道場からも中継され、世界各地の約40カ所で心を合わせて南無阿弥陀仏が称えられた。

 事務局・観智院(芝公園)の土屋正道住職は「世界中のどこかで誰かが念仏し、そこにいつでも参加できるようになることが夢です。この20年間で技術革新が進み、可能性が広がりました。人口減や過疎化が待ち受ける将来の社会で、仏教を伝え続ける方法にもなると思っています」と語った。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/2
「ダイ・イン」で抗議 武器見本市に宗教者や市民


会場前で抗議行動を行う参加者ら 国際的な武器見本市「DSEI JAPAN」が5月21日、千葉県千葉市の幕張メッセで始まり、平和をつくり出す宗教者ネットや市民団体ら約350人が会場前で抗議のアピール行動を行った。

 同展は5月23日までの日程で国内外の企業・団体約420社が出展。後援には防衛省、経済産業省、警察庁、宇宙航空研究開発機構(JAXA)なども名を連ねている。日本では2019年に初開催され、2年ぶりの開催となる。

 抗議した市民たちは、「武器で稼ぐな」「誰の子どもも殺させない」「死の商人はお断り」と声をあげた。また海外での反戦行動から始まった集団で地面に横たわる「ダイ・イン」を行うなどして、同展に抗議の姿勢を示した。

 英国や米国、イスラエルなどの軍需企業も出展しており、イスラエルからの攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区の平和を訴える人々も参加。

 ガザ地区出身のハニン・シアムさんは、日本で同展が開催されることについて「どうしてこんなことができるのか。日本人は戦争の意味を知っているはずです。二度と繰り返さないと毎年8月に祈りを捧げるあなたたちが、今、イスラエルの兵器企業を歓迎し、軍事代表団をもてなし、戦争犯罪人と握手している。会場内の企業は恥を知りなさい、あなたたちは防衛請負企業ではない。死の商人です」と批判した。

 日本山妙法寺の武田隆雄氏は、「武器見本市は、戦争展です。宗教者、特に仏教は、不殺生戒の教えをいただていますから、反対の意思を示していかなければいけない」と話した。

2025/5/29
曹洞宗 沖縄で梅花流全国奉詠大会
本土復帰の日に平和を祈る 南澤管長導師に終戦80年法要 全国から3千人参加


講員ら約3千人とともに戦争の犠牲者を慰霊し、香を焚く南澤管長 曹洞宗の梅花流全国奉詠大会が15日、沖縄市の沖縄サントリーアリーナで開かれた。終戦80年の節目で、沖縄の本土復帰の日にあたるこの日、全国各地の講員ら約3千人が鈴鉦の響きにのせて世界平和を祈った。

 奉詠に先立って、南澤道人管長(大本山永平寺貫首)を導師に「終戦80年平和祈念法要」が執り行われた。「戦災精霊供養御和讃」を唱和し、戦争で犠牲となったすべてのいのちに祈りが捧げられた。

 数え年で白寿を迎える南澤管長は戦時中を思い出すように垂示を述べ、「当時最後の決戦、本土防衛と言っていたが、沖縄の地が攻撃され、島民の皆さまが凄まじい戦に遭遇された。そのことを思いますと心が痛み、今でもやるせない思いでいっぱいです」と心を寄せ、「この記念すべき大会で心からご苦労された皆さまの御霊をお慰めいただき、今後の世界平和のために祈りを捧げてほしい」と語った。

 開会の挨拶に立った服部秀世宗務総長は「沖縄本土復帰という特別な日に平和を祈念し、全国奉詠大会を開催することは大変意義深い。沖縄の大地に平和のお唱えをお届けください」と話した。服部総長は大会前日の14日に糸満市の沖縄平和祈念堂を師範らと訪れ、奉詠を捧げて献花した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/29
全日仏・大和証券 仏教実態調査報告書を発表 コロナ禍では高かったが 住職に期待せず 7割近く 女性住職肯定は66%


報告書「菩提寺への満足度」(全日仏HPより) (公財)全日本仏教会(全日仏)が大和証券と共同で実施した「仏教に関する実態把握調査(2024年度)」の報告書が16日、HP上で発表された。「住職に期待すること」の設問に「期待することはない」との回答が全体で68・6%に及び、「菩提寺あり」の回答者でも64%を超え、“寺離れ”を暗示する数値となった。また「寺院において女性が活躍しているか」という設問には、14・1%が「活躍していない」と答えたが、女性が住職に就くことには66%超が肯定した。

 今回の調査は、菩提寺、葬儀・法要、お墓の移動、合祀・合葬、お寺の復興支援、仏教寺院における女性活躍、お寺を取り巻く環境(AI倫理、拝観料)の7項目を設定。過去の調査と同様、「菩提寺あり」と「菩提寺なし」のほか性別、年代、居住地別で集計。有効回答は6192件。

 「菩提寺あり」を対象にした菩提寺満足度を尋ねた設問では、「満足」は39・8%にとどまった。報告書では「地方60代以上の満足度はやや高いが、40・50代では都心、地方にかかわらず満足度は低い」と分析。さらに「菩提寺や仏教との接点が高いほど菩提寺への満足度が高まることが想定される」とも解説し、菩提寺との関係の近さと満足度が比例しているようだ。

 「住職に期待すること」には全体の7割近くが「ない」と回答。「もっと社会貢献活動を行ってもらいたい」は13・3%だった。報告書では「住職には『社会貢献活動』を求める声が最も多いが、『期待することはない』と考える人が68・6%と高く浮かび上がった」としている。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/29
天台宗性加害審判 罷免処分の元住職が会見 被害の訴え「事実無根」


元住職と代理人弁護士が反論(21日、大阪市内) 女性僧侶の叡(えい)敦(ちょう)氏(50代)が男性住職2人の僧籍剥奪を求めて天台宗に告発した性暴力被害の審判決定を受け、罷免処分(住職解任)となった元住職(60代)とその師僧で「懲戒に該当しない」と認定された大僧正(80代)側が21日午後、初となる会見を大阪市内で開いた。代理人弁護士2氏と元住職の3人が出席し、叡敦氏の訴えを「事実無根」と全否定した。

 宗内の司法機関・審理局が元住職に罷免処分を下したのは、「住職でありながら既婚者である叡敦氏と夫婦同然の同居生活を合計約10年間自坊で続けた」から。「天台宗僧侶としての本分を忘れた非違行為」と断じた。一方、「相手方(叡敦氏)の健康障害の治癒・克服の支援に尽くし、共にお寺の護持運営や事業の遂行に工夫して協力してきた経緯」はあったとした。

 叡敦氏が訴えた「意に反した性行為、侮辱や恫喝、尼僧の偽装、剃髪等の加害行為、心理的監禁状態の継続、ストーカー行為、強制的性行為、強姦、仏の名を借りた性加害、抵抗できなくして支配」などは、「確認できない」と不認定に。元住職には、「今後、僧侶としての品位を汚すことなく聖行を全うすることを願う」と付言した。

 叡敦氏の助けを求める声を無視して弟子の性加害行為を助長したと申し立てられた大僧正については、「精査した結果、非違行為は認められない」と結論。1月から3回の審判会を経て、4月15日に審判決定が確定した。

 元住職の代理人・田渕学弁護士の説明に続き、元住職が「この度、天台宗のみならず師匠をはじめ多くの宗教者や信者に多大な心配をかけたことを、心よりお詫び申し上げる」と陳謝。「性加害行為はこれまで高松地方検察庁でも嫌疑不十分により不起訴処分を受けているが、審理局でも正しく判断していただいた」と述べ、「今後は、今回の懲戒処分を重く受け止めて深く反省し、師匠の指導の下、僧侶として修行に励みたい」と語った。

 大僧正の声を森美穂弁護士が代読。「多くの事実でないこと」で訴えられたが、「弁明書や(反論の)証拠書類を提出したところ、正しい判断がなされた」とし、叡敦氏の申立と報道の影響で「天台宗だけでなく宗教関係者の名誉と信用を大きく毀損することとなった。まさに断腸の思いであり、誠に申し訳ない」とした。

 今会見の内容は、叡敦氏のほぼ全ての主張と真っ向から食い違う。叡敦氏側は、「事実と異なる点が多く、大変憤りを感じる。信仰虐待(スピリチュアル・アビュース)の点が抜け落ち、単なる男女の問題とされたことは耐えがたい」とコメントしている。(記事全文は紙面をご覧ください)

2025/5/29
鎌倉市・安国論寺 「御難おむすび」商品化 フェアトレードにも一役


御難おむすびと平井住職 神奈川県鎌倉市の日蓮宗安国論寺(平井智親住職)に伝わる厄除けおにぎり「御難おむすび」が期間限定で商品化された。数々の法難を乗り越えた日蓮聖人にあやかり、家族の無事と安泰を願って作られる「郷土めし」として人気を呼んでいる。

 同寺は、日蓮聖人が『立正安国論』を執筆した草庵の地として知られる。境内には、松葉ケ谷法難で草庵を焼き討ちされた日蓮聖人が白猿に導かれ身を隠した南面窟があり、「御難おむすび」は聖人が白猿から振る舞われたと伝えられている。

 この伝承に注目した米穀類卸売のミツハシライス(横浜市)が「郷土めし」として商品化を提案。平井住職がレシピを伝え、刻んだ梅、紅生姜、青しそ、胡麻、もち麦を出汁ご飯と和えた爽やかな味に仕上がった。パッケージは地元鎌倉のデザイナーと絵本作家が手掛け、鎌倉の伝統的な意匠や平井住職の似顔絵が使われている。

 平井住職のコーディネートでフェアトレードを推進する地元の鎌倉エシカルラボとも連携。おむすびで使う胡麻に中南米・ニカラグア産の白ごまを使用しており、途上国の発展支援にも一役買った。この支援を知ったニカラグア大使も同寺を訪れた。

 「御難おむすび」は関東のスーパーと同寺で販売。境内の休憩所でおにぎりを食べた参拝者は「暑くなってくるこの時期にぴったりの味。元気が出る」(50代女性)と好評だった。同寺によると、家族へのおみやげとして5個、6個買っていく人もおり、早い日は午前中に売り切れる日もあるという。

 平井住職は「非常に好評で本当にありがたいこと。鎌倉はフェアトレード・タウンに認証されており、今月は推進月間だったので丁度良かった。5月中の期間限定ですが、フェアトレードや御難おむすびが広まってくれたらうれしい」と話した。

2025/5/26
千葉県茂原市 日蓮宗本山藻原寺 増田日優貫首が晋山 伝統遵守し寺院護持に精進


お練りする増田貫首 日蓮宗本山東身延藻原寺(千葉県茂原市)で7日、第93世増田日優貫首(73)の晋山奉告式が執り行われた。歴代貫首に引き継がれる口漏箱が前貫首の持田日勇・総本山身延山久遠寺法主(89)から増田貫首に授与された。増田貫首は奉告文で「伝統ある御題目初唱之霊場、藻原寺の寺門隆昌に尽力する所存なり」と抱負を語った。

 法要に先立ち、総門からお練り行列が出発。増田貫首は茂原市のシンボルとしても親しまれている戒壇塚を通って大堂まで練り歩き、歴代墓所に参拝した。
法要には、田中恵紳宗務総長をはじめ日蓮宗全国本山会の井上日修会長ら本山貫首、総本山身延山久遠寺の浜島典彦総務など宗門要路が参席。

 田中総長からの辞令伝達の後、藻原寺特有の伝統であり法燈継承の証である口漏箱を持田法主が増田貫首に相承した。続いて歴代譜に記帳した増田貫首は普山を奉告。立教開宗後、宗祖が本格的な布教を行った「日蓮門下御題目初唱之霊場」である同寺の縁起を紐解き、寺門興隆を誓った。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/26
念法眞教 水乞霊蹟法要 教団行事に 飛騨の水不足、開祖が救う


水が流れる祠で法要。奥にトンネルがある 念法眞教は13日、岐阜県高山市一之宮町にある小倉霊現初代燈主(親先生)ゆかりの水乞霊蹟で「念法燈主水乞霊蹟報恩奉告式」を桶屋良祐燈主の親修により営んだ。水不足に苦しむ人々を助けた親先生の慈悲の心を偲び、信徒340人が参列した。

 水乞霊蹟は昭和22年(1947)、飛騨地方を巡教していた親先生が大野郡久々野村山梨(現在の高山市久々野町山梨)を訪れた際に、入浴の布施行として信徒が天秤棒にバケツを乗せて谷底から水を担いでくる姿を見て、水涸れがひどい地域だということを知った。この水涸れは昭和6年の高山線のトンネル工事で地下水脈が遮断されたことによるもので、地域の人は15年以上も水不足に苦しんでいた。これを放っておけないと思った親先生が水涸れの原因になったトンネル入口に赴くと、湧水が山梨とは別方向の宮村に流れていた。

 親先生が「この水を半分、山梨の集落に送ってやって下さい」と祈念し、水を口に含んで空に向かって3度噴き上げたところ、龍神の加護があり、天空に女神の姿が現れて山梨に水が半分流れ出し、渇水から救われた。瑞祥は続き、2日間にわたり慈雨が降り注いだため、干ばつで危機的状況だった田畑も回復した。

 報恩法要は従来、高山念法寺(同市松倉町)の主催で行われていたが、立教百年祭を迎えた今年、教団行事に昇格し、来年以後も欠かさず行われることとなった。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/22
庭野平和賞贈呈式 「ムサーワー」に授与 イスラーム社会で男女平等を促進 反イスラームの批判を乗り越えて


庭野名誉会長から賞状を受け取るアンワール理事長(中)とホセイニ理事 第42回庭野平和賞を受賞したイスラームの女性組織「ムサーワー」(マレーシア)のザイナ・アンワール理事長(マレーシア)と共同創設者のジーバ・ミル・ホセイニ理事(イラン出身、英国在住)を招いての贈呈式が14日、東京・六本木の国際文化会館で挙行された。主催の(公財)庭野平和財団の庭野日鑛名誉会長(立正佼成会会長)は「女性が大切にされる社会の実現に尽力されている皆さまに心から敬意を表する」と称讃した。約150人が参加した。

 ムサーワーはアラビア語で平等を意味する。ムサーワーは2009年、マレーシアで創設された。イスラーム法に基づいて婚姻や財産分与において顕著な男女格差の解消といったムスリム家族法の改革を促進。世界40以上の地域・国の女性ムスリムが参画している。

 式典で贈呈理由を述べた庭野平和賞委員会のムハマド・シャフィーク委員長は、人権を求めるイラン女性たちの抗議、アフガニスタンでの女子教育禁止など他国を含めた女性に対する人権侵害に直面している現状に対して、「庭野平和賞委員会はムサーワーの活動が現代社会における女性の地位向上のために不可欠であり、強く必要とされていることを確信した」と活動を高く評価した。(続きは紙面をご覧ください)