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2025/6/19
天台宗・延暦寺 藤光賢座主が伝燈相承 戒行精神で仏国土建設 


歴代座主1200年の系譜に自身の名を書き加える藤座主(大津市・延暦寺) 2月1日に上任した天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市坂本本町)の藤光賢第259世天台座主(93)は10日午前、延暦寺一山の総本堂・根本中堂で歴代座主の名が記された「傳燈相承譜」(座主血脈譜)に署名する傳燈相承式に臨んだ。宗祖伝教大師が約1200年前にあらゆる命の平安を願って灯した不滅の法灯と、絶対秘仏である宗祖謹刻の薬師如来像の宝前で、名実共に天台座主に就任した。

 梅雨の到来を告げる強い法雨が叡岳の諸堂を洗う中、藤座主は天上輿(殿上輿)と呼ばれる特別な輿に乗って、大書院から根本中堂まで進列。輿から降りると、法親王や摂関家の子弟を多く含む歴代座主が平安時代から現代まで紡いできた宗門継承の最高厳儀の歴史を、一歩一歩確かめるような足取りで入堂した。

 悠然と内陣本尊壇を拝する中陣中央の猊座に登壇。不滅の法灯の輝きと秘仏薬師如来像をはじめとする諸仏諸菩薩の照覧のもとで、天台座主史に新たな歴史の始まりを刻んだ。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/19
WCRP理事会 第3回東京円卓会議 ウクライナ・ロシア パレスチナ・イスラエル ミャンマー 3紛争地域に絞る 東京平和プロセス策定目指す


 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(戸松義晴理事長)は9日、亀岡市の大本本部を会場に、オンラインを併用して理事会を開催。7月1日から始まる第3回東京円卓会議の概要が報告され、戦闘が続くロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ及びミャンマーの3紛争地域の宗教者を招へいすると発表した。和解に向けた平和プロセスの策定を目指す。 

 篠原祥哲事務局長が過去2回の円卓会議と今会議の意義を説明。第2回会議声明文では「宗教者の平和構築者としての自覚」などを合意。「こうした声明文が紛争地域でどの程度実行できたのか、できなかったのか。行動を誓い合ったことを確認する場となる」と述べた。さらに「円卓会議から東京平和プロセスということで、行動指向を強めていきたい」と強調した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/19
元プロ野球審判が語る 長嶋茂雄さんの名言に続きあり
「野球というスポーツは人生そのものだ」
群馬県館林市大谷派覺應寺 佐々木昌信住職


自坊で長嶋さんが綴った色紙を手にする佐々木住職 「野球というスポーツは人生そのものだ」。3日に亡くなった巨人の終身名誉監督、長嶋茂雄さん(享年89)のこの名言には続きがあった。「“思い通りにはならない”という残りの部分を聞きました。まるで仏教の教えにも通じるような言葉です」。真宗大谷派覺應寺(群馬県館林市)の元プロ野球審判員、佐々木昌信住職(55)が長嶋さんの思い出を語った。

 29年間、2414試合で審判を務め、日本シリーズ6回、WBCにも出場。2015年には最優秀審判員賞に輝いた。20年シーズンをもって引退し、同年1月に亡くなった父の後を継いだ。

 1992年にセ・リーグ審判員となり、95年に1軍に上がった。長嶋さんとは93~01年の第2次監督時代に同じグラウンドに立った。自軍が勝った試合の審判員は縁起が良いとゲンを担ぐ風習が球界にあり、長嶋さんからは「アンパイア、今日も頼むよ」と英語交じりで声を掛けられた。

 ナイターを待つ旧広島市民球場でのこと。その日は大雨が降っていた。「アンパイア、どう思う?」と聞いてきた長嶋さんは「一生のうち今日しか球場に来られない人だっている。その人のためにがんばろうよ」と話したという。この日の試合は通常よりも遅れて決行された。

 「長嶋さんはファンのためというプロ意識がとても強い人でした」と佐々木さん。「NPBのコミッショナーになってほしかった。野球界を一つにまとめ、発展させられる人だった。それが一番悔やまれます」と偲んだ。

 冒頭の言葉を長嶋さん自身が綴った色紙をもらったのは巨人の宮崎キャンプ。審判員として帯同したときのことだった。その後、アテネ五輪の監督に就任した長嶋さんが東京ドームの審判室に立ち寄った際に、あの言葉について語ったという。(続きは紙面をご覧ください)

2025/6/19
フューネラルフェア2025 遺体ホテルからAIまで 葬祭事情の現在地
災害にも対応 移動型遺体冷蔵庫 生成AIで写真が動き出す 伝統応用したモダン仏壇も


移動できる遺体冷蔵庫「おくりコンテナ」 葬祭・供養業界の最新サービス・システム・商品・設備機器の出展者と葬祭事業者のビジネスマッチングを促進する「フューネラルフェア2025」が4・5日にパシフィコ横浜で開催された。葬祭事情を反映したサービスやAI活用など葬送事業・文化の現在地を映した展示会。出展社数は149社で、2日間の総来場者数は1万2897人。前年と比べて7・2%増加した。

 都市部では火葬場の混雑で「ご遺体ホテル」といった〝安置ビジネス〟が登場している。たつみ工業(神奈川県川崎市)はニーズに合わせてカスタマイズできる遺体冷蔵庫「おくりこ」とペット用「おくりこpet」の改良版を展示。コンテナメーカーのロッコーエンジニアリング(神戸市中央区)とコラボした移動式の「おくりこコンテナ」も発表した。冷蔵コンテナを改造し輸送・設置が可能な移動型で、災害時向けというコンセプトで、「お寺の敷地で使えるとお声かけをいただいた」と担当者。寺院や葬儀関係者からの問い合わせがあるとのこと。

 遺影写真作成の全国シェア1位を誇る㈱アスカネット(本社=広島市安佐南区)は、思い出の写真が動き出す「スナップシネマ」を葬儀社向けにリリース。生成AIで写真から映画のワンシーンを生み出すサービスで、例えば、着物を着た女性の写真も、スナップシネマを使えば、ゆっくりと前方に歩き出し、ニコリと笑って手を振る映像に。5枚の写真提供で大切な人との思い出が動画になって再現。懐かしさと驚きに溢れるサービスだ。生成AIで故人をテーマにしたオリジナル楽曲を作るサービスも試験的に発表。こちらも好評を博していた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/16
大阪・関西万博パビリオン 薬師寺僧侶が読経 国宝レプリカ観音像前で


レプリカ聖観音像に薬師寺一山僧侶が読経 大阪・関西万博会場の、ロボット工学者の石黒浩氏がプロデューサーを務めるシグネチャーパビリオン「いのちの未来」で4日、同館に展示された観音像の前で奈良薬師寺の僧侶による読経が行われた。

 この観音像は1970年の大阪万博において日本政府が出展した日本館の歴史展示のために制作された、薬師寺東院堂に安置されている国宝の聖観世音菩薩立像のレプリカである。プラスチック製ではあるが、実物の聖観世音菩薩立像から型取りしたようで、非常に精巧なレプリカとなっている。70年の万博では巨大な朱塗りの柱の一部がアクリルになったようなデザインのケースに他の仏像や仏塔とともに飾られていた。

 万博終了後は万博記念公園内の施設に所蔵されていた。2023年に高島屋史料館で開催された「万博と仏教」展にもこのレプリカ像が展示されており、同展を石黒氏が見学したことから今回の万博への出展が決まった。「いのちの未来」パビリオンの最初のコーナーでは、土偶や埴輪からアンドロイドまでが並び、日本人がどのように人間の形をした物に対して命を宿してきたのかを展示する。その中央に聖観世音菩薩立像のレプリカも安置されている。

 この日は薬師寺の加藤朝胤管主導師のもと14名の僧侶によって「般若心経」や「延命十句観音経」などの読経がおこなわれた。加藤管主は「世界平和、来館者の健康増進と幸せを祈らせていただいた。一人でも多くの方々に近くで親しんでいただければ」と話していた。

 この精巧な聖観世音菩薩立像のレプリカは「いのちの未来」パビリオンで万博最終日まで間近で見学することが可能だ。

報告=君島彩子(和光大学講師)

2025/6/16
ラジオ「曹洞宗の時間」復活 北海道管区 地域に合った布教模索 毎週日曜日 7月6日から


札幌市内のスタジオで法話を収録する飯田全祥氏(6月5日) 曹洞宗北海道管区教化センターのラジオ番組「曹洞宗の時間」(HBCラジオ)が7月に復活する。番組終了を惜しむ檀信徒ら聴取者の声に応えようと、再開を模索してきた同センターの山川章順統監(由仁町・常福寺住職)は「現時点ではまだラジオ布教の影響力は大きい。役目を全うできるよう努めたい」と意気込みを語る。放送枠は毎週日曜日午前6時15分から約5分間。初回の放送は6日。

 番組は2008年7月に始まった。「伝わる布教」を目指し、当初から僧侶が直接語り掛ける法話形式で放送してきた。出演した僧侶はのべ600人以上。出演をきっかけに若手の意識向上にもつながり、僧侶育成の役割も果たしていた。

 ラジオ離れが進み、各管区教化センターのラジオ番組は予算削減を受け、2021年度ですべて終了。北海道も2022年3月で打ち切りとなった。しかし、北海道では聴取率は高く、終了間際の2022年1月でも約5万人(0・9%)が耳を傾けていた。(記事全文は紙面をご覧ください)

2025/6/12
日蓮宗 終戦80年宗門法要営む 戦没者供養し立正平和を祈る


御親教を述べる菅野管長 日蓮宗は5日、東京都大田区の大本山池上本門寺で終戦80年戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要を執り行った。同寺貫首の菅野日彰管長が大導師を務め、戦死戦病者や戦災物故者の追善供養を祈った。法要後には、被爆体験証言者による特別講話も行われた。菅野管長は戦争の惨禍を「想像を絶する被害・苦しみ・悲しみは言葉で表せない人類史上最大級の被害」であると述べ、「二度と繰り返さない」と宗門を代表し霊前に誓った。

 法要は本殿で営まれ、総本山身延山久遠寺の持田日勇法主をはじめ宗務内局や本山貫首、宗会議員、宗務所長ら宗門要路が参列。菅野管長親修の下、副導師を川口久雄宗会議長、磯貝宣明審査会長が務めた。

 田中恵紳宗務総長による表白では、「諸霊に報いる道は係る無念を晴らすにあらず、身心安穏なる平和世界をこの土に築き上げることにある」と戦没者追悼を祈り、祖願である世界立正平和を祈願。続いて、参列者が心からの焼香を行った。

 昭和12年(1937)生まれの菅野管長は御親教で、終戦から80年の歳月が経過し戦争体験者が減っていることを危惧。「まるでこの状況を見透かしたように世界はまた争いの道に入ろうとしています。戦争未体験者による大国主義・専制主義がまかり通り、侵略者の自分勝手な理屈を別の専制主義者が正しいと言い始めている、私には原爆投下も含めた第三次世界大戦に向けての足音がヒタヒタと聞こえて参ります」と警鐘を鳴らした。

 唯一の被爆国である日本は、「戦うよりはるかに難しく重い忍耐心が求められる世界平和・対話の世界のリーダーになって頂きたく、ひたすら祈っております」と平和のメッセージを伝えた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
鈴木法衣店 護国寺で展示販売会企画 袈裟に伝統の技術あり ミッションは職人育成と仏教界への貢献


4代目となる鈴木社長 法衣・袈裟の製造販売を行う鈴木法衣店(東京本社=台東区元浅草)が6月26日から28日まで、真言宗豊山派大本山護国寺の月光殿(文京区大塚5—40—1)で展示販売会を開催する。1917年創業の老舗らしく展示会は「伝統と革新」をテーマに伝統技術が光る高級七條から機能性を重視した新時代の革新的な法衣までを展示し、同社の取り組みや、ものづくりに込めた想いをピーアールする。

 企画したのは4代目となる鈴木貴央社長(34)。真言宗と天台宗を中心とする法衣・袈裟を製造販売する同社は、寺院のパートナー企業を目指し、「仏教の継承と、寺院の発展に必要な商品、サービス、情報を提供する」と使命を掲げる。なかでも鈴木社長が注力するのが「伝統技術の承継」だ。同社の「製造部」には多くの職人が所属し、技術承継を担っている。しかし、伝統工芸の世界は後継ぎがなく廃業して技術が途絶えてしまうケースが少なくない。法衣作りにも織屋や染屋など多くの職人が携わっており、喫緊にして重要な課題だ。鈴木社長は次世代育成のため、全国各地を歩いて、技術を持ちながら活かせていない人や関心がある若者を見出して採用を進めている。「興味がある人は必ずいる。次世代育成は私たちがやらないといけないこと」と自覚的に取り組む。

 今回の展示会では弘法大師空海が唐で恵果阿闍梨から授かった「犍陀(けんだ)穀(こく)糸(し)袈裟(七条綴織袈裟)」を現代の技術で再現した最高峰の袈裟を設え、職人の技術に光を当てる展示も行う。展示は僧侶にとっても普段身につける袈裟や法衣が、いかに多くの職人の技術によって紡がれてきたかを知る貴重な機会となる。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
国際葬儀連盟・特別講演会 日本と共通 海外の葬儀 縮小はコロナで顕著に 火葬は増加傾向


墓地と環境対策について発表するスペインのヌリア・カプデビラ氏 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)が加盟する国際葬儀連盟(FIAT―IFTA)の特別講演会が4日、横浜市のパシフィコ横浜を会場に開かれた。日本のほか米国、英国、スペインの代表が登壇した。キリスト教国では土葬が一般的とされてきたが、新型コロナもあって火葬や縮小化が増加傾向にあることが確認された。海外を中心に約100人が参加した。

 講演者は5人。うち3カ国は女性で、日本関連は男性が話した。すべて英語で行われ、日本人には同時通訳がついた。

 全米葬祭ディレクター協会(NFDA)のクリスティン・ペッパー代表は、ベビーブーム世代(60―78歳)、X世代(44-59歳)、ミレニアム世代(28-43歳)、Z世代(12―27歳)の葬儀に関する意識調査の結果について報告した。

 「葬儀は重要か」という問いに、各世代とも50%前後の回答だったが、もっとも高いのはZ世代の53%だった。また自身の埋葬に関して、28歳以上の世代は火葬指向が強いが、Z世代は棺による土葬が多く、保守的な一面をのぞかせた。

 新型コロナにより小さな葬式が増え、ペッパー氏は、新型コロナで死去した父親の葬儀に誰も呼ばないつもりでいた。見送りのない葬儀が増えていた頃だが、Z世代の娘から家族みんなで見送るべきと提案され、実際に遺体に「さよなら」を言えたと安堵したように話した。

 英国で5世代100年以上にわたり家業として葬祭業(AWリム社)を営んでいるジャッキー・ローズ氏は同国の葬儀事情について話した。同国でも火葬が普及している一方で、「お葬式をしないで、そのまま火葬するケースがある。それをテレビで広告している業者もあり、大きな社会的な問題だと思う」と説明。日本と近似した課題に直面していることが報告された。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
ほとけのファッション 夏だ!Tシャツ布教だ! 
佛現寺てらのみ公式T 雲林寺住職デザインの猫T


てらのみTを掲げて酒を酌み交わす(5月24日) 今年の夏も酷暑だろうか―とウンザリしてはいないだろうか。否、そんな時期だからこそ、涼しいTシャツを使っての布教、お寺おこしにはチャンスなのではないか。

 京都市中京区の浄土真宗本願寺派佛現寺は、毎月1回、本堂で日本酒マニアが集って酒を酌み交わす「てらのみ」というイベントを3年前から開催している。お寺で日本酒の試飲会というのはびっくり仰天だが、全国の銘酒、珍酒が飲めるということもあって近隣だけでなく大阪、和歌山、さらには台湾など海外からも左党が集まる人気イベントに。油小路和貴副住職は「近所の酒屋さんの試飲会に参加したのがきっかけ。どうせならこのお寺という場所を使って試飲会をやってみたらどうだろうと思って」と、ちょっとした閃きだったと振り返る。もちろん、飲んでばっかりではなく、ご本尊さまの前で仏教の話もある。

 そんな「てらのみ」の公式Tシャツがこの春に完成した。浄土宗僧侶の河村英昌氏が代表を務める㈱神社仏閣オンラインの仏教Tシャツブランド「僧伽」の製品の一つで、ゆる~い「てらのみ」の揮毫を配している。「僧伽」は寺宝や揮毫をデザインしたTシャツを作り通信販売し、売上の一部がお寺への支援金になる、というシステムで、現在、佛現寺のほかに3カ寺(京都市の大光寺と恵明院、岡山県真庭市の福王寺)のTシャツを取り扱っている。

 「へえ~、こんなTシャツ作ったんだ」「そうなんです、僧侶仲間から作ることを勧められて」「そりゃ買わなきゃネ」と、参加者との会話の肴にもなっている。飲み仲間だって、仏縁ある同朋。おそろいのTシャツがそんな連帯感を深めるのが面白い。(続きは紙面をご覧ください)

2025/6/9

大谷派大阪教区シンポ 浄土系3大宗派そろう 寺の新時代 熱くトーク


浄土系三大宗派の僧侶が刺激的提言を連発  真宗大谷派大阪教区青少幼年部教化推進実行委員会は23日、大阪市中央区の難波別院でシンポジウム「寺の新時代」を開催した。大谷派僧侶の木越康氏(大谷大学教授)、浄土真宗本願寺派僧侶の安永雄彦氏(西本願寺前執行長)、浄土宗僧侶の鵜飼秀徳氏(ジャーナリスト)が登壇し、刺激的な提言でお寺の奮起を説いた。

 木越氏はアメリカにおける真宗寺院の実態調査に基づき、日系人コミュニティの解体に伴い信仰の継承に困難を抱えている一方で「ものすごくお寺は元気。ひょっとしたら将来的にアメリカのほうがお寺は残るんじゃないかとも言われている」と指摘。寺はNPOであり、メンバーによる理事会が運営している。

 住職は儀式と法話を執行する「雇われ」の存在であるため、自分たちのお寺は自分たちが運営するという意識が強く「危機感をもってメンバーが動かしている」と、寺檀制度を経験していないゆえの生き生きとした活動があるとした。ただし「(日本では)真似はできないんじゃないでしょうか、住職の給料は高くないし」とも述べた。

 安永氏は銀行マン、コンサルの世界から50歳で僧侶になり、築地本願寺で7年2カ月間宗務長を務めた成果を発表。「私が行った2015年、数億円の赤字でした。『納骨堂も売れなくて宗教離れでどうしようもない』と言われたが、そんなことないだろうと」と発奮し、仏事相談のインフォメーションセンター、カフェ、カルチャーセンターのGINZAサロンなどを次々に展開した。特に合同墓は広く受け入れられ、利用者への帰敬式も積極的に行っている。

 「最初にこうストーリーを立てたら、ほとんどの人がそんなことはありえないと言っていた」と苦笑しつつ、小規模寺院が築地のノウハウを取り入れ成功した事実もあるとし、新しい門信徒と縁をつなぐ「寺の新時代」は規模にかかわらず努力次第で可能だと熱弁。また「寺の経営と会社の経営はほとんど共通」とし、聖職者の誇りを一度捨て、商売人の心になったつもりで寺を繁盛させることを説いた。ちなみに難波別院のある船場は「商人の町」でもある。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5

全日本仏教青年会 東大寺で花まつり千僧法要 終戦80年 世界の平和祈る 聖武天皇の願いを現代に


約300人が大仏殿目指して進列 全日本仏教青年会(全日仏青)は5月26日午後、昭和63年(1988)から続けている「仏法興隆花まつり千僧法要―和が儘に集い 和が為に祈る」を、奈良市の華厳宗大本山東大寺で勤修した。共催は東大寺と南都二六会。終戦80年に思いを致しながら、超宗派で世界平和を祈念した。

 小澤慧月教化研修委員長(金峯山青年僧の会)が金鐘ホールでの開会式で、38回目の超宗派の祈りの伝統を引き継いだことに感謝。新井順證理事長(和宗仏教青年連盟)が、「今年は阪神淡路大震災から30年、先の大戦から80年。この節目の年に大仏殿から世界中に祈りを届けたい」と祈祷力の結集を要請した。

 大勢の参拝者が参道両脇から見守る中、青年僧侶約300人が勇壮な法螺貝の音を先導に大仏殿を目指して厳かに進列。外国人観光客も多く、「何が始まるの?」と尋ねている人もいた。修学旅行生の中には、団扇太鼓を打ちながら進む全国日蓮宗青年会の幟旗を見て、「いのちに合掌!」と声を上げる男子中学生の姿も見られた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
大谷派宗議会 「災害に強い教団」へ 被災時に特別教化金交付


施政方針を述べる木越総長 真宗大谷派の第77回宗議会(常会・望月慶子議長)が5月29日、京都市下京区の宗務所で始まった。木越渉宗務総長は施政方針演説で、「大規模災害被災教区の教化・運営を支えるための体制づくり」として「災害時特別教化交付金」を新設すると発表。「災害に強い教団」を目指して、今年から「新たな復興共済制度の検討」に関する宗務審議会を設置したとし、「宗派の共済・保険制度」の抜本的な改革への審議を始めたと説明した。

 長峯顕教財務長は2025年度予算で、一般会計の災害見舞費の不足を補填する基金「災害見舞準備金」(4月末現在の残高1億9232万円)を「災害対応準備金」と改め、一般会計から毎年1千万円を繰り入れ積み立てると説明。臨時部歳出に、「災害時特別教化交付金」を新設したと述べた。(続きは紙面でご覧ください)