最新記事

2025/3/18

高野山宗会 宗費の自己申告制導入 専学授業料、半額免除 共に来年4月から


完全志納型の宗費賦課制度への大転換を表明する今川総長 高野山真言宗の第176次春季宗会(赤松俊英議長)が4~6日、和歌山県高野町の総本山金剛峯寺内宗務所に招集された。内局・議員共に任期中最後の定期宗会。今川泰伸宗務総長は施政方針演説で、制度調査会で約3年間熟議してきた財務調査(各寺院の収入額調査)の根本的な見直しに基づく宗費改革新制度を発表。「寺院・教会が負担する宗費は自己申告額を賦課することとし、(財務調査の結果を受けて各寺院の負担額を算出してきた)指数制度を廃止する」と宣明した。令和7年度を移行・周知期間とし、8年度から施行する。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/17
立正佼成会創立87周年式典 庭野会長の米寿を祝福


3月20日に満87歳となる庭野日鑛会長と佳重夫人に記念の花束が贈られた 立正佼成会は5日、東京・杉並の大聖堂で教団創立87周年式典を挙行すると共に、数え88歳で今月20日に満87歳を迎える庭野日鑛会長の米寿を祝福した。庭野会長は430人の功労者を前にして、「皆さまのおかげで87年を迎えることができた」と感謝した。全国から約1550人が参拝したほかオンラインでも配信された。

 奉献の儀では、全国青年女子部員代表20人が晴れ着姿で、供物などを献じた。庭野光祥次代会長を導師に読経供養を行い、続いて庭野会長が啓白文を奏上。 昭和13年(1938)のこの日に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖によって創立された原点や今日までの歩み、今年の年頭法話などを紹介し「天地万物に支えられているこの尊いいのちに感謝し、サンガ同士互いに助け合い、日に新たな心で元気に生き生きと精進して参ります」と誓願した。

 教団を代表して熊野隆規理事長が挨拶。庭野会長の米寿にあわせ、「佼成会そのものも米寿の祝い年」にあたると説明した。さらに今年の功労者表彰では教会役員206人、特別会員224人の430人が対象で「本当に元気。90代が17名、80代が119名、最高齢は97歳。昭和・平成・令和と三つの時代を生き抜いた菩薩の鏡のような皆さんです」と讃えた。

 また今年は終戦から80年を迎えるが、「久遠本仏を勧請してからちょうど80年を数える」と述べ、「平和活動の原点」である一食を捧げる運動も開始から半世紀になると続けた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/17
最高裁、過料命じる決定 旧統一教会への「質問権」めぐり


 宗教法人法の「質問権」に基づく調査に回答しない項目があったため、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に過料10万円の処分を科すよう求めた裁判で最高裁第1小法廷は3日、教団側の主張を退け、「民法709条の不法行為を構成する行為は、宗教法人法81条1項1号にいう『法令に違反する』行為に当たると解するのが相当である」と判示し、教団への過料を命じた。現在、東京地裁で審理中の教団の解散命令請求についての判断にも影響するとみられる。

 旧統一教会をめぐっては、解散命令請求を行った文部科学省が同法に基づき7回の質問権を行使。しかし教団側が多数の項目で回答を拒否したとして、東京地裁に過料を科すよう求めた。地裁が10万円の過料を決定し、教団側は即時抗告を申し立てたが、東京高裁も地裁決定を支持していた。

 高裁の決定に教団側は特別抗告し、解散命令請求の根拠となった宗教法人法上の「法令違反」について、民法の不法行為は当たらないと主張したが、最高裁は「民法709条の不法行為を構成する行為は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害するもの」として、「『法令に違反』する行為に当たると解したとしても、同号の文理に反するものではない」と5人の判事が全員一致で判断した。

 教団は5日、ホームページで判決への見解を発表し、「信者のプライバシーに関する質問等,回答が不適切と思料される質問以外は、できる限り回答に務め」たと反論し、「この決定は他の宗教法人に対しても重大な脅威となり得ます」と述べている。

2025/3/13
日蓮宗定期宗会 勧募金取り止め大幅減額 750遠忌予算を修正可決


施政方針を述べる田中総長 日蓮宗(田中恵伸宗務総長)の第123定期宗会(川口久雄議長)が4~7日、東京都大田区の宗務院に招集された。日蓮聖人750遠忌の記念事業のため、寺院教師に勧募する臨時特別賦課金・臨時特別義納金を定める規程中改正案が修正され、勧募に関する改正を削除。遠忌特別会計総額予算案などを修正可決し、閉会した。修正により遠忌事業の予算が約19億9千万円から約13億5千万円に大幅減額される波乱の事態となった。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/13
豊山派宗会 宗会公開やコンプラ推進を 施政方針受けて要望


施政方針演説をする川田宗務総長 真言宗豊山派(川田興聖宗務総長)の第165次宗会通常会(佐藤眞隆議長)が4日から6日まで東京都文京区の宗務所に招集され、令和7年度収入支出予算案など、予算関連6議案を含む7議案が可決承認された。川田総長の執務方針を受け、宗会の公開やコンプライアンス推進など、開かれた宗派・宗政の運営が要望された。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/13
浄土宗宗議会 機構改革案 再び否決 6月25日 沖縄で戦後80年法要


演壇に立つ川中宗務総長 浄土宗は3日から7日まで第134次定期宗議会(宮林雄彦議長)を京都市東山区の宗務庁に招集した。昨年9月の前回議会で否決されていた宗務庁機構改革のための「宗教法人浄土宗規則改正案」が改良され再び上程されたが、議員多数の理解を得るには至らず2度目の否決となった。現行制度の下で可能な限り機構改革を進めるフレキシブルな対応が必要になってきそうだ。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/13
本願寺派宗会 11年ぶりに園城総長誕生 議案成立後、池田氏辞任


受諾挨拶をする園城新総長 浄土真宗本願寺派の宗会は会期最終日の6日、予算や宗務の基本方針を可決した。可決された基本方針の本文には、原案時点ではなかった「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)に関する施策を取り止め、宗門の信頼回復に努める」という文章が4日の上程にあたって挿入されている。

 直後、池田行信総長は「人心を一新し、一刻も早い信頼回復のため」と辞任を表明。緊急に会期延長の上で総長選挙が議題となり、大谷光淳門主は後任の総長候補に荻野昭裕氏(総務)と園城義孝氏(議長)を指名した。現職議長を総長候補に指名するのは珍しい。

 翌7日に園城議長が「一身上の都合」で議長を辞したため、優先して議長選挙が行われた。出席議員75人中、72票を獲得して下川弘暎議員が当選。下川議長の進行の下で総長選挙の投票が行われ、園城候補が59票、荻野候補が16票で、園城新総長の選出となった。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/10
<本だな> 『無住道暁の拓く鎌倉時代 中世兼学僧の思想と空間』土屋有里子 編 勉誠社


 『沙石集』『雑談集』などの仏教説話集を編み、中世という時代を透徹した目で見つめた鎌倉時代後期の遁世僧・無住道暁(1226〜1312)。彼は、「いつどこで誰に出会い、どのような教えを受け、その教えの中で彼が何を選択し、その結果をどのような形で作品として遺したのか」(序文=土屋有里子氏)。無住研究のトップランナー13人の論考14本から、多面的で重層的な無住の生涯を明らかにしていく。

 第一部では東国や尾張、伊勢、京をめぐって無住の「修学と環境」を浮かび上がらせ、稀代の兼学僧であり文学者であった無住がどのような過程を経て形成されたのかを丹念に辿る。

 源頼朝の側近だった有力御家人で討伐された梶原景時の孫として生まれた無住は仏門に入り、天台・真言両宗に加え新たに親鸞専修念仏や真言律宗が混在する常陸国で青年期を過ごした。巻頭論文「常陸の宗教世界と無住」(亀山純生氏)では「常陸の宗教動向を一身に体現」し諸宗を兼学した無住の視座について、「特に鹿島神宮寺圏・真言念仏圏と重なりつつも、正統派仏教による寺院・領主の民衆支配の貪欲を批判し、最も民衆目線で彼らの現世安穏・後生善処に応答する立ち位置にあった」と指摘。中世を「災害社会」と捉え、「民衆の悲惨を凝視し共苦し」た親鸞の「立ち位置」と重ね合わせる。

 「無住と鎌倉―鎌倉の仏教関係説話を中心に」(追塩千尋氏)では、教科書的な鎌倉仏教のイメージと無住の目を通した鎌倉仏教の様相は「隔たりが大きい」と考察。鎌倉仏教論深化のためのテーマを提起する。

 第二部は説話集編者としての「文芸活動」を追究。無住が依拠した諸典籍、同時代の仏教説話集、無住と関係が深い尾張万歳や和歌陀羅尼観などを手掛かりに、無住が切り拓いた文学世界の新地平を提示する。

 各地に赴いて僧侶間ネットワークの中で学び、鎌倉幕府にも深い関心を寄せた無住。来年は生誕800年の節目となる。無住の足跡を通して鎌倉時代を巡礼する旅の現在地であり、今後の無住研究の方向性と可能性をも示した本書の刊行は、生誕の勝縁を予祝する慶讃事業であるとともに、無住本人への最大のプレゼントとなった。(A5判・216頁・価3080円)

2025/3/10
<本だな> 『世俗仏教の倫理と死の意味の哲学』スティーブン・バチェラー/一ノ瀬正樹/碧海寿広ほか 著 武蔵野大学出版会


 武蔵野大学は創立100周年事業の一環で「カンファ・ツリー・ヴィレッジ・プロジェクト」を進めており、世界の課題に向き合う識者を招き対話の場を開いている。本書はその成果をまとめた叢書シリーズの第一弾。

 「世俗仏教」を提唱し、欧米を中心に支持者を増やしている仏教の著述家で活動家のスティーブン・バチェラー氏と同大教授で哲学者の一ノ瀬正樹氏の対話を通して「死の意味」を探求する。バチェラー氏はチベット仏教における死の瞑想の体験により「生きていることの尊さ、特別さ、素晴らしさをより強く意識」することになったと人生の転機を語る。一ノ瀬氏が投げかける「死の意味」という問いを多角的に捉えながら、「他者とどう生きるか」「信念の倫理」といった議論が、仏教と西洋哲学の視点が交わりながら展開する。

 碧海氏による「スティーブン・バチェラー論」では「世俗仏教」の概要を解説。スコットランドで生まれ、インドで仏教に出会ったバチェラー氏はカルマの研究と実践を重ねるなかで「信仰ベース」ではなく「実践ベース」の「世俗仏教」を提唱する。仏教とは「行為と責任の哲学」であり、「輪廻転生の真偽を問うこと」ではなく、「どのような生き方をすれば善いカルマを積み重ねられるか」という実践的な問いを重視する。世俗仏教に対する批判的な意見を紹介しつつ、日本仏教の現状と課題を「実践」という視座を通して考察する。(A5判・216頁・価2200円)

2025/3/6
本願寺派宗会 新領解文、得度式で唱えず 新報への掲載停止 混乱収拾に道筋つける


演壇に立つ池田総長 浄土真宗本願寺派は2月26日、第325回定期宗会(園城義孝議長)を京都市下京区の宗務所に招集した。2年近く紛糾が続いているご消息「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)」について、池田行信総長は得度式での唱和をしない、「本願寺新報」等での掲載を当面見合わせるなどの対応策を施政方針演説で提示し、混乱収拾に道筋をつけ始めた。会期は6日まで。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/6
智山派代表会 布施管長が辞任表明 6月末退任 次期管長推薦委を開催

 
答弁する三神総長 真言宗智山派の第140次定期教区代表会(深澤照生議長)が2月18~20日、京都市東山区の総本山智積院内宗務庁に招集された。三神栄法宗務総長は施政方針演説で、2期目に入っていた布施浄慧管長(90)が「2月12日に6月27日をもって辞任する意志表示をされた」と発表。「3月3日に管長候補者推薦委員会が開催される予定」と報告した。

 布施管長(智積院化主)の2期目(重任)の任期は、令和5年(2023)6月28日から4年間。その半分を満了する今年6月に退山し、管長在職6年間の公務を全うすることになった。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/6
天台宗宗議会 大阪万博に正式参加 7月24日 滋賀県デイで比叡山発信

答弁する細野総長 天台宗の第158回通常宗議会(大澤貫秀議長)が2月18~20日、滋賀県大津市の宗務庁に招集された。昨年11月に就任し初の宗議会に臨んだ細野舜海宗務総長は執務方針演説で、阿(おか)内局が示した「人材の育成」「教えの普及」「寺院の存続」の3本柱を継承すると表明。「伝教大師最澄1200年魅力交流委員会」として、4月開幕の大阪・関西万博に滋賀県と連携して正式に参加すると発表した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/6
相続人なき遺産 国庫納付年1000億円 宗教法人やNPOも対象だが…周知されず国庫へ 慈悲と祈りの遺贈が世界を開く


 自分の遺産を法定相続人だけでなく、任意の宗教法人やNPOなどに寄付することを生前に定めることができる「遺贈寄付」制度。昨年、制度の啓発を連携して行う協定を締結した、認定NPO法人のおてらおやつクラブ(奈良県田原本町)、テラ・ルネッサンス(京都府京都市)、税理士などで作る(一社)日本相続知財センター(東京都中央区)の3団体に、遺贈寄付による新たな可能性について話を聞いた。

 近年、国庫に入る「相続人なき遺産」が増えている。2015年に約400億円だった国庫納付遺産は22年には約768億円に増加。23年度は1000億円を超えたという(『日本経済新聞』(2月9日付)。2020年の国勢調査によると、子どもがいない夫婦は1115万世帯。全世帯の2割を占めている。

 日本相続知財センター本部の鹿内幸四朗・専務理事は、国庫納付遺産について「これからまだまだ増えていきます。しかも、これは表に出てきただけのお金。銀行にもまだまだ埋もれているのです」。 銀行には文字通り眠っている休眠預金があり、「誰も取りに来ない。毎年銀行にそうしたお金が沈んでいく。遺産をどうしたいという遺言を作らずにいると、渡したいところに渡せない」と話す。

 昨年、日本相続知財センターの仲介により、ある依頼人の遺産1億2千万円の内、子どもの貧困問題に取り組むおてらおやつクラブと地雷・子ども兵などの社会課題の解決に取り組むテラ・ルネッサンスがそれぞれ3千万円の遺贈寄付を受けた。

 「私はいつ死ぬか分からないし、どこに寄付すればいいかも分からない。あなたを信じるから、良いところに寄付してほしい」。それが依頼人の願いだった。鹿内氏は「調べると、お寺やNPOがダイレクトな社会貢献をたくさんしている。動いてくれている人がもっと評価され、資金援助もあるべきだと思った」という。

 効力のある遺言や遺贈には法律の知識が欠かせない。恣意的な遺言執行を防ぐために、用途の限定やチェック機能などが必要になる。檀信徒からお寺に遺贈される場合でも「適正な手続きを踏むことでトラブルを回避できる。ぜひ専門家に相談してほしい。残念なのは、遺贈寄付の認知度が低いこと。お寺の皆さんには、ぜひ檀家さんに遺贈寄付について話してほしい」と人生の伴走者である宗教者への遺贈寄付文化の定着を期待する。(続きは紙面でご覧ください)

2025/3/3

<本だな> 『ニューカマー宗教の現在地 定着する移民と異教』 三木英編 七月社



 出生率が減少し、多死社会になる一方で、日本に移住して学問・勤労する在留外国人は増加傾向である。外国出身のコンビニ店員がレジ対応してくれるなど、珍しくもない。隣の家に移民が住む時代である。もちろんそれは、喜ばしいことだ。

 しかしそうなったということは、外国出身者が持つ文化、本紙的には特に信仰、についても理解を一定、深めなければいけない時代ということでもある。本書は、在日ブラジル人社会におけるペンテコステ教会の意義や、ムスリム土葬墓地、台湾の天道などの事例から、日本社会・移民・宗教を考える論集である。

 編者による第三章では在日ベトナム人の仏教寺院である姫路の2カ寺の調査に基づき、そこが「ないと困るし、あったほうが良いに決まっているのだが、いつも気にかけ続けなければならないほどでもない、『保険』のような場所」となっていることを論ずる。一方でそこで出会った、故郷を同じくする仲間たちとの交流はかけがえがないものだ。なお寺院の土地購入などに大きな協力をしているのが、市議会議員(おそらくベテランで保守系と見られる)だというのは、移民と日本社会の関係性において興味深い。

 岡尾将秀氏は第七章で、在日スリランカ人信者が主体となる静岡県のスリランカ系仏教寺院富士スガタ冥想センターを論じる。日本人がプージャ/ダーナ(布施)へは控えめな関与ながら修行に真面目に取り組む様子が、スリランカ人からもそれなりに尊重されている姿があり、アジア系移民の増加に伴い増えることが予想される上座部寺院が、どのように布教し互恵できるかの参考となるケースだろう。(A5判・272頁・価4730円)

2025/3/3
<本だな> 『戦争宗教学序説 信仰と平和のジレンマ』 石川明人著 角川選書


 軍事や戦争と宗教の関連を刺激的なタイトル(例えば『戦争は人間的な営みである』『すべてが武器になる』)で世に送り続けている著者。今回も敬遠されがちな宗教と戦争の関係性をより深く掘り下げていく。

 加藤清正のものと伝えられる兜には「南無妙法蓮華経」が荘厳され、直江兼続の「愛」兜は愛染明王を意味するとされる。戦艦「大和」には天理市の大和神社から分祀された神棚があり、戦艦「武蔵」にはさいたま市の氷川神社の神棚がある。米国の自動小銃の照準器には聖書の箇所を示す記号が刻印されている。このように軍事と宗教には親和性がみられる。

 米軍の従軍チャプレンは、日本の従軍僧とは比べものにならないほど歴史があり、かつ地位が高い。米陸海空軍に置かれている「チャプレン科」は1775年から制度化され、士官(将校)に位置付けられる。

 歴史を見ると、どの世界的な宗教も戦争と無縁ではなかった。著者は「平和」は、「『戦争・軍事』と同じ地平で検討されるべき」と提起する。さまざまな紛争に直面している現代だからこそ、宗教・平和・戦争を同列に論じる機会かもしれない。(B6判・304頁・価1980円)

2025/3/3

SZI講演会 盂蘭盆会太鼓に 駒形総監の揮毫 ハワイ強制収容所で


 SOTO禅インターナショナル(SZI)の講演会が13日、東京・芝の檀信徒会館で開かれた。南原一貴副会長(総合研究センター常任研究員)が登壇し、戦時中にハワイ布教総監だった駒形善教氏が日系人強制収容所で盂蘭盆会に用いたと見られる平太鼓について報告した。

 ハワイの日系寺院の文献や文化財に関する科研の研究(代表・安中尚史立正大教授)に携わる南原氏。SZIの総会後の講演会で「ハワイ寺院の仏教文化財―両大本山布哇別院を中心に」と題して発表した。

 平太鼓はハワイ日蓮宗別院の所蔵。1921年に信徒から奉納されたもので、安中教授らが2017年に本堂地下の倉庫で発見した。胴部に「盂蘭盆會供養 於ホノウリウリ監禁所」とあり、「昭和拾九年八月拾五日」と日付が記されている。

 これらの文字を書き込んだのが駒形氏だったという。開戦後、日蓮宗の開教師が米国本土に移送され、ハワイに残った駒形氏はホノウリウリ収容所に収容された。そのため太鼓を託したと推測されていると説明した南原氏は「宗派を超えて布教活動が維持されていた」と述べた。

 太鼓には賛の揮毫もある。「満月皎々輝中天 梵香溢堂保峡鮮 打開甘露微妙法 萬霊斉潤菩提選」と朗唱し、「少しでも安らかになってもらいたいという切実な願いが込められている」と読み解いた。

 オアフ島にあったホノウリウリ収容所は1946年の閉鎖から長く忘れ去られてきた。日系人ら有志の調査で跡地が特定され、歴史が掘り起こされたのは2000年代に入ってからだった。収容者から「地獄谷」と呼ばれた過酷な環境だったというが、「収容所で人々の安寧を祈っていたことが分かる貴重な資料だ」と話した。

 また、駒形宗彦前総監が収集した写真資料「駒形コレクション」や、両大本山ハワイ別院正法寺に安置される西国三十三観音像にも言及。観音像の台座に記された施主の出身地は新潟県が最多で、「新潟出身の駒形善教氏の影響があるのだろう」と分析した。

2025/2/27

曹洞宗宗議会 東京グランドホテル閉業 27年3月末 宗務庁分館含め再開発へ 跡地は定期借地権を活用


演説する服部総長 曹洞宗の第146回通常宗議会が17~21の5日間、東京・芝の檀信徒会館で開かれた。服部秀世宗務総長が、2年後の2027年3月末をめどに東京グランドホテルを閉業すると発表した。ソートービルは解体した上で、宗務庁が入る新ビルを建設。宗務庁分館なども合わせて解体する方針で、所有不動産再開発に向けて新たな計画を示した。跡地の運用は定期借地権を活用する考え。

 東京グランドホテルとして運用するソートービルの再開発を巡っては、大和証券との契約問題で計画を変更。服部総長は昨年の宗議会で10年後をめどに建て替える考えを示していたが、大幅に早まった。建て替えまでの間、外部委託によってホテルを継続する計画は中止となった。(続きは紙面でご覧ください)

2025/2/27

妙心寺派宗議会 天衣尼僧堂、閉単か 女性師家の確保難しく


演壇に立つ野口総長 臨済宗妙心寺派は19日~21日にかけ、京都市右京区の宗務本所に第148次定期宗議会を招集し、令和7年度予算、花園禅塾の卒塾をもって専門道場在錫1年とみなす宗制別表改正案など全議案を原案可決した。数年間、掛搭者がおらず休単状態だった女性専門の天衣尼衆僧堂(岐阜市)については、閉単の方向が野口善敬宗務総長の施政方針演説で示された。(続きは紙面でご覧ください)