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2024/6/20
真言宗豊山派総本山長谷寺 初のイギリス出開帳 ノーフォーク州都ノリッジ 16メートル超の観音大画軸を荘厳 図書館や教会で声明公演


ノリッジ中心部の図書館に掲げられた大画軸の前で声明公演を行った(長谷寺提供)  真言宗豊山派総本山長谷寺(奈良県桜井市)は5月21から25日までイギリス東部ノーフォークの州都ノリッジで声明公演とご本尊十一面観世音菩薩の御影大画軸の出開帳を行った。長谷寺初のイギリス出開帳で、仏教のゴスペルともよばれる声明の荘厳な響きと、日本仏教で培われてきた観音信仰の一端を伝えた。

 日本の芸術文化に関する知識と理解を促進するセインズベリー日本藝術研究所(SISJAC/サイモン・ケイナー所長)の招聘を受け、豊山派声明を研鑽する迦陵頻伽声明研究会の沼尻憲尚氏を団長に同会メンバーら12人が渡英した。

 今年設立25周年を迎えたSISJACは「奈良からノリッジへ」をテーマに、アジアとヨーロッパの端にある両都市に広がった芸術と信仰に関する研究や展示会を開催しており、声明公演もその一環として企画された。

 会場となったのはノリッジの中心部に位置する図書館で、高さ16㍍超の長谷寺観音の御影大画軸が掲げられた。大画軸を前に21日から5日間、6回の声明公演を行い、多くの市民が荘厳な調べに聞き入った。最後の声明公演後に沼尻団長が「私たちの心は一つになれる」と英語でメッセージを送ると、会場が拍手に包まれた。

セント・ピーター・マンクロフト教会での声明公演(長谷寺提供) 市の中心部にある聖ピーター・マンクロフト教会ではカリフォルニア大学サンタバーバラ校の日本宗教学のファビオ・ランベッリ教授も参加し、地元の教会の聖歌隊とワークショップも実施。西洋音楽とは全く異なる声明の譜面に関心が集まり、譜面を見ながら一節を披露する一幕もあった。

 夜には教会で声明と聖火のパフォーマンスが行われ、200人の聴衆が相互理解と尊敬を深め、「感動的な夜だった」との声が寄せられた。

 期間中には地元テレビ局の取材を受けたほか、ノリッジの市役所や市議会を表敬訪問。SISJACの25周年のシンポジウムに際して声明のデモンストレーションを行うなど、両国、両都市の交流を深めた。

 長谷寺教務部の瀧口光記氏は「文化の違いはあっても、尊崇の対象であることを感じ取ってくれて、礼をしたり、手を合わせる姿を目の当たりにしました。他文化を尊重する度量の深さも感じました」と話した。

2024/6/20
曹洞宗 祖院に5千万円支援 服部総長、目録手渡す


 能登半島地震で大きな被害を受けた大本山總持寺祖院に対し、曹洞宗は5千万円の支援を決めた。服部秀世宗務総長が6日、石川県輪島市の祖院を訪れ、髙島弘成副監院に目録を手渡した。

 被災地のために宗門が募っている「曹洞宗義援金」から拠出した。出席できなかった関口道潤監院の代わりに目録を受け取った髙島副監院は「多大な支援をいただき、大変ありがたい」と述べ、「門前町あってのお寺。町とともに一歩を踏み出す力にしたい」と話した。

 大本山總持寺(横浜市鶴見区)の渡辺啓司監院も「力強い支援を頂戴した。大変ありがたい。地域の力になれるよう復興へ進んでいきたい」と感謝の言葉を述べた。

 曹洞宗はまた、能登半島地震で被災した寺院に対し、これまでに寄せられた曹洞宗義援金と瑩山禅師700回大遠忌本法要で縮約した法定聚会予算の残金を被害の程度に応じて分配する。

 祖院は2007年の能登半島地震で大きな被害を受けた。14年かけ修復し、2021年に復興を遂げたが、今年元日の地震で再び被災。国の登録有形文化財17棟を含む伽藍全体に被害が及んだ。

 専門家の調査のもと応急工事を実施し、安全確保に努めている。2月中旬以降、全国各地から青年僧や祖院の修行経験者らが駆け付けて片付けが進められた。今月には門前町の住民たちも境内の草刈りを手伝うなどし、復旧に協力している。

 修行生活を取り戻すため、僧堂の修理費を募るクラウドファンディングを6月29日まで実施中で、復興への努力を続けている。断水が続いていた水道も5月下旬に復旧し、6月15日から境内の一部拝観を再開。当面は午前9時~午後3時まで無料で一般参拝者を受け入れる。

2024/6/20
総本山教王護国寺 東寺長者に橋本尚信氏


橋本次期長者 真言宗総本山教王護国寺(京都市南区・東寺)は13日、第258世長者(東寺住職)・東寺真言宗第4世管長に宗務総長や修行機関・東寺伝法学院の学院長などを歴任した橋本尚信氏(75)が就任すると発表した。入山式を弘法市の7月21日午前9時から営む。任期は同日から4年間。晋山式は10月25日の予定。

 橋本氏は、神奈川県小田原市飯田岡・福田寺住職。昭和23年(1948)6月22日同市生まれ。高野山大学、高野山専修学院卒業。県内の真言宗寺院が設立母体の明倫学園(現横浜清風高校)に教諭として奉職。平成4年から5期15年間庶務部長、平成19年から令和元年までの4期12年間にわたって宗務総長を務め、宗団の礎を築いた。平成26年から10年間、東寺伝法学院長として後継者を育成。地元では令和4年まで39年間、民生委員として活動。

 東寺真言宗は真言宗東寺派と袂を分かち、昭和49年11月に発足。「(宗団発足から)50年のうちの約35年、総本山に上がらせていただいた」と話す橋本氏は今年2月の宗団発足50周年記念祝賀会での挨拶の中で、「私は昭和47年に住職になった。まだ東寺派だった。その当時のことを鮮明に覚えている」と回想。「東寺派のことが気にかかる」と述べ、東寺派との〝統一〟に向けた「雪解け」の機運を醸成しつつある現内局(吉村増亮宗務総長)に「何とか良い形にならないのか」と期待する一幕もあった。

2024/6/20
大正大学「鴨台祭」 阿弥陀の世界へ、いざ! 学生出仕し浄土宗850年法要も


学生が出仕して営まれた浄土宗開宗850年法要 東京都豊島区の大正大学(神達知純学長)で8・9日、学園祭「鴨台祭」が行われた。仏教学科の学生が浄土宗開宗850年を記念して「阿弥陀の世界へ、いざ!」と題してお砂踏み、坊主カフェ等を企画。浄土宗僧侶を目指す学生が出仕した慶讃法要も営まれた。

 8号館(総合学修支援施設)図書館では、多くの来場者が見守るなか、〝浄土宗僧侶の卵〟が出仕し、林田康順教授が導師を務めて浄土宗開宗850年慶讃法要を厳修。850年前に「誰もが救われる仏教の教え」を広めようと浄土宗を開宗した法然上人を讃え、「一枚起請文」「開宗の御文」を読誦、清々しい念仏の声を会場に響かせた。

 挨拶に立った林田教授は「法然上人は、我が名を呼べば必ずあなたをお守りするぞ、いのちを終えた時には我が浄土に迎えるぞという阿弥陀様の思いを受け止め、念仏の教えを伝え広めていただいた」と説き、「お念仏は誰にでも出来る修行。皆様と共々にお念仏をたくさん唱えられたことをとても喜んでおります」と、来場者と法要に臨んだ学生に感謝した。

法然上人の手形に手を合わせる来場者 この日の法要のために大本山黒谷金戒光明寺(京都)から同寺が所蔵する「一枚起請文」の複製と法然上人の両手形のプレートを借用し、来場者が法然上人の手型に両手を合わせて結縁。法然上人ご真筆を写し取った名号を記したオリジナル御朱印と「カイシュウ850×ハイチュウ」が記念品として贈られた。

 仏教学科の展示では浄土宗開宗850年を記念して総大本山を巡る「お砂踏み」を企画。学生が光明寺や増上寺のお砂を集めるなどして準備し、お砂踏みを終えた参拝者には御朱印を授与した。坊主カフェやバザーも開き、真言宗豊山派総本山長谷寺の本尊御影大画軸の縮小版レプリカも展示された。

 仏教学科長の石川琢道教授は「我々が思う以上に、仏教に触れたいという思いが強いことを改めて実感しました。学生たちも僧侶になりたい、仏教を勉強して広めていこうという思いが強いので、学園祭はとても有り難い機会です」と話した。

2024/6/13

大谷派宗議会 宗派史上最大級の被災 能登復興支援を拡充


施政方針を述べる木越総長 真宗大谷派の第75回宗議会(常会・望月慶子議長)が5月30日、京都市下京区の宗務所で始まった。木越渉宗務総長は施政方針演説で、能登半島地震の復興支援について「寺院やご門徒の密集度合からして、宗派にとって史上最大級の被災であると認識している」と表明。「宗門としてできること、仏教的・大乗的支援を形作ってまいりたい」と述べた。能登地震救援金の5月28日現在の勧募状況は、1億9507万5190円。

 2022年度の経常費御依頼(宗費)の収納は、総額54億2906万8995円(108・9%)。2019年度に始まった宗祖親鸞聖人御誕生立教開宗慶讃懇志金(4カ年度)では、総御依頼額29億円に対し、収納額は30億9398万8561円(106・6%)になった。今年度の経常費御依頼の5月28日現在の収納額は49億7580万3801円(99%)。

 2022年度一般会計決算では、経常部・臨時部を合わせた歳入額は82億4102万円(予算比106・8%)。長峯顕教財務長は、「19年度より感染症拡大の甚大な影響を受けたことによる収納減が数値として顕著に表れていたが、21年度以降の復調傾向に加え、大谷祖廟においては納骨志の収入が感染症拡大前を上回る収納となり、相続講金も予算を大幅に超える収納を賜った」と説明した。

 最終年度に当たる御誕生・立教開宗慶讃事業特別会計の剰余金4億6499万円を宗務改革推進資金に繰り入れる。

 2024年度の一般会計予算総額は経常部・臨時部計87億1390万円(前年度予算比4億1770万円増)。

 能登半島地震災害復興支援費3千万円、能登教区への広域災害被災教区特別教化助成1400万円の新設を含めて、災害見舞費を増額。被災地域から参加の青少年研修関連の上山補助、被災地の寺院教化支援の予算を編成した。同教区への宗派経常費御依頼の大幅減額を講じ、全国から寄せられた災害救援金と合わせて、約3億4千万円規模の復興支援策に取り組む。

2024/6/13

WCRP理事会 来月9日、広島でAI国際会合 AIの核利用を警告へ


 
 (公財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(戸松義晴理事長)は4日、東京・代々木の神社本庁会議室でオンラインを併用して第48回理事会を開催。来月9日に迫った「平和のためのAI倫理国際会合」の概要が報告され、ユダヤ教、カトリック、イスラームの主催団体枠のほかアジア宗教者枠として中国佛教協会の演覚会長、韓国KCRPのチェ・ジョンス代表会長(儒教)、WFB世界仏教徒連盟のパロップ・タイアリー会長(タイ)らが参加すると発表した。

 2020年2月、ローマ教皇庁生命アカデミーは、マイクロソフト、IBM、国連食糧農業機関(FAO)、イタリア政府と共に、EU議会議長出席のもと、ローマで「AI(人工知能)に対する呼びかけ」に署名。AIに対する倫理的なアプローチを育成し、組織・政府・多国籍テクノロジー企業の間で責任を促進させ、他方でデジタル革新と技術進歩が、人間の尊厳を維持・尊重しながら人間の才能と創造性に役立ち、単なる高利益や人間の段階的な代替をめざさない未来を形成することを目的としている。

 2023年1月には、ユダヤ・キリスト・イスラームの3つの「アブラハムの宗教」指導者が同文書に署名。次いで東洋の宗教指導者による参画を目的として開かれるのが広島での「AI倫理のための国際会合」である。 広島会合は、9日午前9時に始まり、夕方までに「科学の知見」「テクノロジーの知見」「宗教の知見」の3つのセッションを行う。翌10日には平和記念公園で署名式。開催地を意識して「核兵器廃絶を目指し、AI技術が核兵器に利用されないことへの警告」を発する場ともなる。 

 今回の広島会合の主催団体は、WCRP日本委員会、教皇庁アカデミー、アブダビ平和フォーラム、イスラエル首席ラビ委員会の4団体。

2024/6/13

著者・大谷哲夫氏に聞く 『永平廣録大全 全8巻』(勉誠社) 半生かけた参究の集大成



 「いま此の録を繙き拝覧すれば、そこには間断なき高祖正伝の仏法の息吹が実に親しく眼前に彷彿としてくるのであります」

 昭和の終わりに『祖山本 永平廣録』が一穂社から発刊された際、永平寺第78世丹羽廉芳貫首が述べた言葉である。それから36年を経て、このほど勉誠社から祖山本を原本にした『永平廣録大全』が全8巻で刊行をみた。両著とも曹洞宗学を専門とする大谷哲夫氏(元駒澤大学学長・総長)が校訂し著した。今回の『永平廣録大全』の題簽は現永平寺貫首南澤道人禅師によるものであり、禅師は「五葉花開劫外春」さらに道元禅師の仏法の真髄を「非思量」とご染筆され巻頭を飾っている。

 大谷氏は以前から『永平廣録』の定本の必要性は感じていたが、それと真剣に対峙するのは1977年、駒澤大学北海道教養部に籍を置いてから。「北海道には旧宗学研究所出身の渡部賢宗先生(苫小牧駒澤短大学長)や中西道瞻先生(後に苫小牧駒澤短大学長)といった大先輩がいらした。両先生の協力を得て始めたのが『永平廣録』の祖山本と諸本の対校と訓読でした」。多忙な両氏に代わって奮闘したのが40代後半の大谷氏だった。幸い、渡部氏による「祖山本」の訓註を中心とした第1巻が大谷氏の元に届けられた。

 北海道赴任からおよそ2年後に全体の訓註はできたものの、その後も苦難は続いた。月2度自坊のある東京と北海道の往復だけではない。研究の重要性を示しながら出版助成金を得るため共同研究として曹洞宗宗務庁と交渉もしなければならなかった。言うまでもなく北海道の冬は厳しい。「吹雪がやまず、自家用車は吹きだまりで動かすことができなくて7度ほど研究室に閉じ込められたことがありました」と笑う。それでも「『永平廣録』参究の場としてはもっともふさわしいところだった」と振り返る。

 『永平廣録』には慧可断臂をテーマにした上堂(須弥壇上からの説法)が収載されている。12月10日のこと。晩冬の雪を見ると慧可大師の求法の心が思い出され、感激で胸が詰まり、悲涙が襟を濡らすのだ(意訳)――。中国少林寺での出来事を時空を超えて越前の永平寺法堂で涙をこぼしながら説示する道元禅師。大谷氏は厳寒の地で寒さに堪えて参究し続けた。もっとも短いけれども夏は過ごしやすいらしい。

 今年85歳の大谷氏は人生の半分以上を『永平廣録』の研究と敷衍に努めてきた。まさに今回の『大全』はその集大成である。「この上梓によって仏祖道を歩んでいる洞門僧とともに道元禅師の謦咳に接し仏法を正しく理解していただきたい」と期待する。

 中国に渡り、中国語にも不自由しないはずの道元禅師は『正法眼蔵』を和語で記した。これは新しい挑戦であった。

 他方、『永平廣録』は道元禅師の上堂を弟子たちが筆録した日本人の禅僧による最初の漢文の語録である。いわば中国を中心とした東アジア漢文圏における確たる禅語録なのである。

 大谷氏は「『正法眼蔵』と『永平廣録』は車の両輪。両者を参究することで道元禅師の説く『禅(黙照禅)』の真相が理解できる」と強調する。

 正確な訓読と訳と註解をも心掛けたという全8巻のうち、1~7巻は『永平廣録』そのものを扱い、8巻目は解題・原典と関連書・索引などを収載する。(B5判・全3548頁・価7万1500円/分冊不可)

2024/6/13

浄土宗大阪教区大講演会 三味線法話に歓声 A4判記念経本に賛同の声

 
三味線歴30年の寺尾住職 浄土宗大阪教区教化団は4日、第39回仏教文化大講演会を大阪市天王寺区の大阪国際交流センターで開催した。2人の布教師がタイプの違った法話で念仏の心を伝えた。

 岸和田市西光寺の寺尾昌治住職は三味線法話「心にぞ澄む」。少年時代から日本民謡と三味線を習っていた寺尾氏はまず、津軽じょんから節のエモーショナルな演奏で聴衆の心を掴んだ。引き続き、民踊「能登麦屋節」を披露。そうめん造りが盛んな能登で粉引の際に歌われるのどかな音色で被災地に想いを寄せた。宗歌「月かげ」については「法然上人は月明かりのことを言いたかったのかというとそうではない。そのお月さまのみ光を阿弥陀様のみ光に例えているわけですね」とわかりやすく説いた。そして大阪名物河内音頭による「法然上人一代記」では会場の手拍子と「ドッコイセー」の合いの手が加わり盛り上がった。

 堺市正明寺の森俊英住職は、教区が開宗850年を記念して発刊した『浄土宗日常勤行式』を用いて法話。この冊子はA4判という特大サイズだが、檀家からは「ちょうどいい、うん、これだったらメガネなくても読めるな」という感想をもらい「嬉しかった」という(ちなみに経文は総ルビ大活字)。「僧侶も、どなたも、今日初めてお教本をご覧になった人も、一緒に声を出してお念仏できる、それが浄土宗、法然上人の教えなんです」と、あらゆる人が念仏を称えることで救われる道を示した法然上人の思いを具体化した冊子だと解説。

 「今日ものすごい沢山念仏申したからしばらく念仏称えなくていいというのはダメ。少なくてもいいから念仏の生活をずっとするならば十人が十人、百人が百人絶対に極楽浄土に行ける」と、開宗の御文にあるような行住坐臥を問わない念仏生活を勧めた。

 法話の後は仏教通のお笑い芸人である笑い飯哲夫さんが爆笑を誘う講演をした。ロビーでは北陸・東北の被災地復興支援の物産展や募金活動も行われた。

 大阪教区の850年慶讃法要は10月25日、一心寺と四天王寺で行われる。法話、声明とご詠歌による法要、上宮学園書道部によるパフォーマンスを予定。

2024/6/6
晋山式 東西で相次ぐ 大本山妙心寺 総本山醍醐寺 大本山誕生寺


京都市右京区 臨済宗妙心寺派大本山妙心寺 第36代山川宗玄管長 須弥壇上から香語  

法堂で香語を示す山川管長 臨済宗妙心寺派の第36代管長(妙心寺第698世)となった山川宗玄新管長(74)の晋山式が5月26日に京都市右京区の大本山妙心寺で営まれた。檀信徒や、各宗高僧ら約千人が参列し祝福。無心の一歩をあゆんで禅門の頂点に登った霧隠軒大和尚のさらなる本領発揮を願った。

 仏天の加護てきめんの快晴の朝8時、入山・晋山の時しか開かれることがない境内南側の「勅使門」が開扉され、山川管長が厳かに焼香。奉行や稚児と共に放生池の石橋を通って仏殿に入堂し諷経した後、衣を更えて無相大師関山慧玄を祀る開山堂、花園法皇を祀る玉鳳殿を参拝し、茶湯を奉献し700年近い妙心寺の歴史を守ってきた祖師先徳に報恩感謝した。(続きは紙面でご覧ください)


京都市伏見区 真言宗醍醐派総本山醍醐寺 第104世壁瀬宥雅座主 法脈継ぐ重責を覚悟

金堂へと進列する壁瀬座主 真言宗醍醐派総本山醍醐寺(京都市伏見区)で壁瀬宥雅第104世座主(75)の晋山奉告法要が5月30日に営まれた。理源大師聖宝から続く法脈を継承し、開創1150年の慶讃円成や一宗の繁栄への決意を披瀝した。真言宗各派の管長をはじめ高僧や関係者約160人が参列した。

 三宝院の勅使の間に座していた壁瀬座主は唐門を出て、法螺貝の先導により職衆とともに晴天の醍醐寺境内を厳粛に進列。仁王門を経て新緑の美しい参道から国宝・金堂に入り、本尊薬師如来坐像に相対した。(続きは紙面でご覧ください)


千葉県鴨川市 日蓮宗大本山誕生寺 第85世片桐日岳貫首 「本化再生道場」興隆へ

晋山奉告式でお題目を唱える片桐貫首 日蓮聖人生誕の聖地として知られる千葉県鴨川市の日蓮宗大本山誕生寺で5月23日、片桐日岳・第85世貫首(76)の晋山奉告式が執り行われた。片桐貫首は「本化再生道場の法幡を掲げ、お題目結縁の先鋒となる」と決意を述べ、宗祖降誕の聖地のさらなる興隆を誓った。(続きは紙面でご覧ください)

2024/6/6
孝道教団 自殺対策で日韓会議 自死者追悼法要に関心 日本の11.5倍 行政の取り組み吸収 


上が韓国側参加者、下が日本側参加者 自死・自殺対策に関する日韓仏教徒会議が5月28日、横浜市神奈川区の孝道教団(岡野正純統理)で開かれた。韓国から韓国政府への政策提言を予定している韓国生命運動ユニオンのメンバー13人が参加。仏教、キリスト教、専門家らで、官民による対策によって自殺者数減少に転じた日本の取り組みを熱心に聞き入り、活発な質疑が行われた。

 最初に岡野統理が挨拶。2017年に韓国訪問し自殺問題に触れ、秋には日本で国際シンポジウムを開いたことを回想し、「交流を通して学び合いたい」と話した。

 韓国側は3氏が挨拶と発表を行った。圓仏教教務の金大禅氏が韓国の自殺予防対策の現状と課題を報告し、1995年に11.8人(10万人当たり)だった自殺率が、2009年に33.8人とピークを迎え、2020年では24.1人。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中では2003年から2022年まで1年を除いて19年間ワースト。加盟国平均の10.7人の2.4倍、日本の15.4人の1.5倍にあたると深刻さを吐露した。

 日本側は、最初に行政担当者が発表。政府の自殺対策に携わり、現在は川崎市健康福祉局総合リハビリテーション推進センターの所長を務める竹島正氏は、1998年から14年続けて3万人を超え、2006年の自殺対策基本法制定、2019年の新法制定など網羅的に発表した。続いて、川崎市健康福祉局総合リハビリテーション推進センター企画連携推進課長の塚田和広氏が川崎市の取り組みについて、内閣府の孤独・孤立対策推進室参事官の松木秀彰氏が予防の観点から日本政府の取り組みを報告した。

 質疑で韓国側は川崎市の対策に関する事業予算と内訳、条例による組織変化、対策に関する評価のあり方、ゲートキーパー(悩んでいる人に気づき声をかけられる人間)の育成法など実務的で具体的な質問を矢継ぎ早に提出した。

 後半は日本の仏教者の取り組みについて。自死・自殺問題に向き合う僧侶の会の小川有閑氏(浄土宗)は自死遺族を招いての自死者追悼法要や自死念慮者との往復書簡などを発表。曹洞宗総合研究センターの宇野全智氏も追悼法要や法要後の茶話会などでハイリスク者にアプローチしていることを話した。

 こちらにも具体的な質問が次々に寄せられた。手紙など僧侶たちは専門的な学びをどのようにしているのか、僧侶と遺族に倫理的な問題が生じていないか、必要な予算はどうしているのか、追悼法要に有効性を感じるが遺族だけなのかなど時間を超える質疑が続いた。若者の自殺問題が提起された際、韓国では今年7月から学校で生命尊重教育が実施されると報告した。

 一行は日本滞在中、専門家と面会したほか京都自死・自殺相談センターにも足を運び、日本の対策の吸収に努めた。

2024/6/6
全葬連 石井会長が4期目に 責任と使命感を強調


懇親会で挨拶する石井会長 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は5月30日、都内のホテルで第49回通常総会を開き、石井時明会長の再選と理事21人、幹事3人の新役員を決めた。来賓を招いての懇親会で改めて発表された。

 石井会長は懇親会で再選を報告し、「3期6年が過ぎ、4期7年目に入らせていただいた。全葬連は56単組1220社の組織。1220社は同一の会費だけでなく、同一の義務と責任をもっている」「地域に根付き、地域になくてはならない存在。そんな中で人の最期をお見送りする仕事をさせていただく責任と使命感を忘れてはならない」と表明した。

 また業界全体の発展と健全化のために進めている法制化についても石井会長は「我々の責任として、消費者にとっても早い段階で実現できれば」と決意を述べた。

2024/6/6
全曹青創立50周年記念式典 「外へ向かって羽ばたいて」 第2代会長の石附貫首が激励


祝辞で青年僧を激励する石附貫首 全国曹洞宗青年会(全曹青)は発会から50年を迎え、東京・芝の檀信徒会館で5月23日、記念式典を行った。歴代会長や各地の青年会の僧侶ら参加者約210人が節目を祝した。第2代会長を務めた大本山總持寺の石附周行貫首も駆け付け、「外へ向かって大きく羽ばたいてほしい」とエールを送った。

 全曹青は1975年に発会。来年に創立50年を迎える。この日は世界仏教徒青年連盟の村山博雅会長や全日本仏教青年会の新井順證会長、曹洞宗尼僧団の山田宣宗団長、曹洞宗婦人会の高野美智子会長、シャンティ国際ボランティア会の若林恭英会長らも参加した。

開会の諷経で導師を務めて会員物故者を慰霊した田ノ口太悟会長が「全曹青を継承くださった先輩に報恩感謝を示したい」と式典に臨む意気込みを述べ、青年会活動を未来へ継承すると決意を語った。

 「実に刺激を受けた集まりだった」と祝辞に立った石附貫首が発会当時を振り返った。「大衆教化の接点を求めて」をスローガンに「緑陰禅のつどい」の開催を通して青年会活動が広がっていった全曹青の歩みを伝え、内向きの活動にとどまらずに、「外へ向かって大きく羽ばたいてほしい」と激励の言葉を送った。

 大本山永平寺の南澤道人貫首の祝辞を大本山永平寺東京別院の宗清志副監院が代読。古教照心の示訓を旨に心豊かな社会を形成するという全曹青の目的に向け、「智慧と慈悲をもって精励し、百尺竿頭進一歩、50年の吉辰を越えてさらなる高みを目指し、活躍してほしい」と述べた。

 服部秀世宗務総長は、被災地支援など全曹青の活動は高く評価されているとし、「内局として敬意と感謝の念を表したい」と話した。こうした菩薩行は時代の要請に即応できると強調し、「若く燃えるような志と行動力で、人々の苦しみの中に飛び込み、社会の様々な問題に対して貢献してほしい」と述べ、宗門として活動を支援すると約束した。

 宮本昌孝副会長が能登半島地震の支援活動を報告。発災2日後の1月3日に現地に入り、支援物資の提供や炊き出しを行い、現在も倒れた仏具の整理など被災寺院の支援を継続しているとした。5月9・10両日には被害の大きかった輪島市や珠洲市、七尾市、能登町、穴水町の被災した31カ寺を訪問。「倒壊した建物、町の惨状を見ると、発災当初からあまり変わっていない印象を抱いた」と述べ、長期にわたって支援を続けていくと語った。

2024/5/30
第19回国連ウェーサク祝典 分断世界に信頼と連帯の構築を 智慧と慈悲で使命達成へ 


式典途中でタイの少年僧(沙弥)約100人が登壇して読経。合間に平和に向けたメッセージを発信 第19回国連ウェーサク祝典が19・20の両日、「信頼と連帯を構築するための仏教の道」をテーマにタイのマハチュラロンコン仏教大学(MCU)アユタヤキャンパス講堂とバンコク市内の国連会議センターで開催された。世界73の国と地域から2千人超が参加。ブッダの生誕・成道・涅槃を祝すると共に3つのパネルを通じて分断した世界に対し、信頼構築を訴えた。主催は国連ウェーサクの日国際評議会(ICDV)。

 初日午前の開会式はタイ仏教僧伽最高位ソムデット・プラ・マハティラチャン大僧正が臨席して挙行。ICDVのプラ・ブラマプンティット議長(前MCU学長)が1999年12月の国連決議による「国連ウェーサクの日」の制定から、今日までの歩みを大僧正に報告し、大僧正は参加者たちを歓迎するスピーチを行った。

 大僧正の退堂後、同議長が登壇して挨拶。ICDVが掲げている持続可能な開発目標(SDGs)、気候変動、教育、平和構築の4課題を提示した上で「仏教の智慧と慈悲を用いて信頼と調和を築き、4つの使命を果たしていこう」と呼びかけた。

 午後からは、①健康と幸福のための仏教マインドフルネスの応用、②信頼とグローバルパートナーシップへの仏教の道、③調和の取れた社会のための仏教教育―の3パネルディスカッションを実施した。

 ①では、禅を基調に心が調う食事を提唱し、世界各地でワークショップを実践しているZen Eating代表のももえさんが5人のパネリストの1人として登壇。「足るを知る」「自由」をひも解きながらウェルビーイング(幸福)へのアプローチ方法を話した。

 2日目は国連会議センターで開催。各界リーダーからの発言やメッセージが披露された。日本からはITRIの高野展至支部長がスピーチ。コロナ禍で2年の中止を経て昨年の対面による祝典に続いて今回も対面開催となったことに深謝。また国連決議以来、四半世紀にわたり国連ウェーサク祝典を牽引してきたプラ・ブラマプンティット議長に謝意を表した。そして「来年は20回目の節目の年を迎える。さらにウェーサク祝典が飛躍、拡大されることを祈念申し上げる」と期待した。 

 ワチラロンコン国王主宰の祝賀会では、国王陛下の名代としてスラユット枢密院議長(元首相)を迎えて、厳粛な中で執り行われた、枢密院議長は、各国代表僧侶に記念の仏像を贈呈。日本代表として天台宗海岸寺(名古屋市)の川口圓玄住職が拝受した。

 今年のバンコク宣言は、「世界の仏教コミュニティーは、市民と政府に対し、思いやりや共感、敬意に満ちた対話と協力を基礎に、紛争によって分断された今日の世界に信頼と連帯を構築するよう努める」など12項目で構成。来年の第20回祝典がベトナムで開催されることも盛り込まれた。

2024/5/30
日蓮宗本山妙成寺 藤井日傳貫首が晋山 伽藍の国宝昇格へ努力 能登全体の復興胸に


宝前で奉告文を読み上げる藤井貫首 日蓮宗本山妙成寺(石川県羽咋市)で19日、藤井日傳貫首(75)の晋山式が執り行われた。藤井貫首は古式に則り、勇壮な奴行列を伴い駕籠に乗って参道をお練り。能登半島地震の復興を祈念すると共に、伽藍の国宝昇格に向け、「護持繁栄に努めてまいります」と抱負を語った。

 当日は法要に先立ち、入寺の際に歴代貫首が末寺筆頭の本成寺で休んだとの故事に由来する「草鞋脱ぎの儀」を本成寺で行い、妙成寺の門前へと向かった。門前町では檀信徒や地域住民が見守る中、貫首の晋山の時にだけ行われる奴行列と藤井貫首を乗せた駕籠が晋山を知らせるようにゆっくりと参道を進んだ。

 地域に伝わる伝統の「高題目」が奉唱され、本堂に入堂。藤井貫首は奉告文で、師匠である藤井日光・総本山身延山久遠寺91世法主(1909~2006)も自坊の東京・小伝馬町の身延別院から妙成寺貫首に晋山したことから、「師範の仮入山の時に随行して50年。同じく晋董するとは、これ仏縁にあらずしていかなる縁となさんや」と仏縁に感謝した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/5/30
延暦寺執行に獅子王氏


 天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県大津市)で水尾寂芳執行(代表役員)の2期目任期途中での辞任に伴う山内の執行選挙が23日に行われた。副執行(財務部長)の獅子王圓明(えんみょう)氏(58)が当選し、24日に就任した。任期は3年間。

 昭和40年(1965)11月、兵庫県伊丹市生まれ。延暦寺一山壽量院住職。第17期延暦寺本山交衆(三年籠山行)課程遂業。大正大学仏教学部天台学卒業。延暦寺檀信徒会館館長や横川中堂輪番などを経て、平成24年から延暦寺副執行(総務部長)を3期9年間、令和2年から同(財務部長)に就任。昨年6月から同職2期目の任期に入っていた。

2024/5/30
立正佼成会「青年の日」 千代田中央教会は千鳥ヶ淵戦没者墓苑へ 玉石拭いて清掃奉仕


青年部員らが玉石を一つひとつ拭いて清掃奉仕した 立正佼成会の千代田中央教会(東京都中央区、金澤尉順教会長)は19日、「青年の日」との共同活動として千鳥ヶ淵戦没者墓苑で清掃奉仕と慰霊供養を行った。千代田、中央区両明るい社会づくりの会も協賛。小さな子どもから青年部、壮年部まで異世代の会員約100人が参加して「菩薩行」に勤しんだ。

 「『大河の一滴』になろう。」をメーンテーマに、全国の青年部員が地域や世界の平和のための菩薩行を実践する「青年の日」。従来は5月の第3日曜日に実施してきたが、「青年の日」の意識を日常化していくことを目標に、各教会で年間を通じて様々な菩薩行を実践している。

 金澤教会長が「開祖さまが願われた平和への思いを胸に、生きて郷土の地を踏むことが出来なかった御霊安かれ、そして世界平和の将来を念じ、真心でお掃除をさせていただきたい」との心構えを示して清掃奉仕を開始。会員は手分けをして墓苑の石畳の左右の溝にある玉石を全て取りあげ、一つひとつを丁寧に雑巾で拭いた。溝に溜まった落葉も綺麗に掃き出して、祈りの場を清めた。

 清掃後は学生部長が導師を務め、六角堂に向かって慰霊供養を厳修。世界の紛争に思いを馳せながら、祈りの言葉「世界が平和になりますように」「人のことを思いやる人がふえますように」「まず私からやさしくなります」を全員で唱和して黙とうを捧げた。

 墓苑の清掃奉仕はこの日で2回目という青年部員は「大人になって清掃活動をする経験があまりないので、こういう体験は有り難い。身体を使うのは楽しいです」と充実感を口にした。金澤教会長は幼い子どもが玉石を「あかちゃん」に見立て友だちと一緒に磨いている姿を見て、「思いが少しずつ伝わっていくことを目の当たりにして感動しました」と嬉しそうに話した。

 立正佼成会は千鳥ヶ淵戦没者墓苑が創建された昭和34年(1959)の9月21日に庭野日敬開祖が秋の彼岸会法要を執行、以降毎年行っている。千代田中央教会の清掃奉仕も当時から始まり、毎年春と秋に実施している。

2024/5/23
曹洞宗覚皇院 石川禅師の紫雲臺が倒壊 明治期の火災後に過ごす


崩落した紫雲臺について話す髙島住職(6日) 能登半島地震で大きな被害があった石川県門前町で、曹洞宗大本山總持寺の移転を決めた石川素童独住4世が、明治期の火災後に過ごした覚皇院の紫雲臺が倒壊していたことが分かった。

 大本山總持寺は1898年(明治31)の火災を受け、現在の横浜市鶴見区に移転した。当時監院として再興にあたった石川禅師は1905年に貫首に就任。計画を進め、1911年に移転を実現させた。

 火災後、およそ90人いた修行僧らは山内寺院に分散するなどして過ごしたという。石川禅師が住したのが塔頭覚皇院だった。「坐禅や朝課も行われていたようです」と話すのは髙島仙龍住職。移転計画も同院で進められたと見られる。大本山總持寺で紫雲臺と称される禅師の居室も建立され、石川禅師が暮らした事跡を伝えていた。

 諸嶽奕堂独住1世が住持した天徳院(金沢市)が認めるものとして、同院を大本山總持寺の別院に定めると記された額があったが、倒壊した紫雲臺の瓦礫の下に埋もれてしまった。ほかにも石川禅師の書が残されていたという。(続きは紙面でご覧ください)

2024/5/23
庭野平和賞贈呈式 アブニマー博士に贈る イスラームの教えに導かれ「赦しと和解」基調に活動 ガザ地区の現状 深く憂慮

 
庭野名誉会長からアブニマー氏に賞状が手渡された (公財)庭野平和財団(庭野浩士理事長)は14日、東京・六本木の国際文化会館で第41回庭野平和賞を受賞した米国「平和と正義のためのサラーム研究所」創立者で所長のモハメド・アブニマー博士(61)を迎えて贈呈式を挙行した。イスラームの教えから導かれた「赦しと和解」を基調に平和構築に取り組んでいるアブニマー氏の活動を讃え、賞状と顕彰メダル、賞金2千万円(目録)が財団の庭野日鑛名誉会長(立正佼成会会長)から贈られた。国内外から132人が参加した。(続きは紙面でご覧ください)