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2024/7/11

臨済宗妙心寺派 フランス人僧侶が垂示式



太心住職(右から3人目)と内局部長、宿院住職 フランス唯一の臨済宗妙心寺派寺院である正法寺の太心宗明住職(フランス名クリストフ・セルジュ・フィリップ)が1日、京都市右京区の大本山妙心寺で「垂示式」を挙行した。妙心寺派で外国籍僧侶が垂示式を行い正式に前堂職となるのは極めて珍しく、フランス人としては初。

 太心住職は1968年生まれ。若い頃から禅に関心が深く、兵庫県神戸市の祥福寺僧堂で10年ほど修行をしたこともある。フランスの正法寺はリヨンから南に70キロほどのサン・ローラン・ドゥ・パプ村に所在し、2004年に妙心寺派寺院として包括関係を結んでいる。太心住職は2020年から沙弥として住職を務めていた。日本の場合、前堂以上の法階がなければ住職にはなれないが、「海外寺院の場合はその辺りは柔軟に対応していた」と宗務本所担当者。宗務本所から垂示式のすすめを受けた太心住職は、本格的に住職となって弟子を育てたいとの熱望を伝え、垂示式に至った。

 太心住職は垂示式における問答や、修行中のエピソードや禅の哲学を巧みに織り交ぜた法話もすべて日本語で実施し、日本人禅僧と同じ行程を完了。無事前堂職に任命された。筆記レポートも日本語で提出した。ちなみに正法寺には現在、日本人スタッフはおらず、現地人により運営されているという。

 垂示式後に各部長から激励を受けた太心住職は、フランスでの臨済禅の受容はまだまだこれからといった現況を話しつつ、寺門興隆への情熱をみなぎらせた。

2024/7/11

第41回日韓・韓日仏教交流大会 増上寺で世界平和祈願 「一即多、多即一」 平和共存へ韓国会長説示

 
内陣で世界平和祈願法要に臨む日韓・韓日仏教の役職者 第41回日韓・韓日仏教文化交流大会が6月27日、東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺で開かれた。韓国側の韓日仏教文化交流協議会(会長=眞愚・曹渓宗総務院長)から約100人が参加し、日本側の日韓仏教交流協議会(会長=藤田隆乗・真言宗智山派川崎大師平間寺貫首)から約60人が参じた。世界平和祈願法要や「激変する世界秩序と仏教の可能性」をテーマにした学術会議を通じて、両国親善と共に世界の平和を願った。

 同日午前、増上寺大本堂で小沢憲珠法主を導師に世界平和祈願法要が営まれた。両国の役職者は内陣に参座し、会員らは外陣で法要に臨んだ。日本を代表して柴田哲彦副会長(浄土宗大本山鎌倉光明寺法主)が表白文を読み上げ、「日韓・韓日の文化交流に勤しみ、以て真の世界平和実現と人類和合共生を祈願し奉る」と奏上した。

 法要後、両国会長が挨拶。日本の藤田会長は韓国の訪問団を歓迎しつつ、今日の世界が直面している紛争や頻発する自然災害に言及し、「現代的苦境が生起している今、私たち宗教者は人々の心に寄り添う力を養い、いかにして解決方法を見出すのか、その術を模索することが大きな課題」と述べ、仏教者の取り組みを促した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/11
東京都仏教連合会 火葬料金値上げ問題を研修 公共性より利益優先懸念


東京博善の火葬料問題を論じた濵名会長 東京都仏教連合会(東仏)は6月27日に台東区の聖観音宗総本山浅草寺(田中昭德貫首=東仏会長)で総会を開き、研修会で東京都葬祭業協同組合の濵名雅一理事長(㈱オリハラ=墨田区)が、都内の火葬場を運営する㈱東京博善の火葬料金値上げ問題を取り上げた。公共性の高い事業を担いながら利益を追求する同社の姿勢を問題視した。

 東京23区内には9つの火葬場があり㈱東京博善(港区)は6場を所有する。その他は都営の瑞江葬儀所(江戸川区)、公営の臨海斎場(大田区)、民営の戸田葬祭場(板橋区)。東京博善と親会社の㈱廣済堂(港区)は、2021年1月に火葬料金を5万9千円から7万5千円に値上げし、翌2022年6月からは燃料サーチャージを導入して料金に上乗せ。その後2カ月毎に燃料サーチャージを見直ししては値上げを行ってきた。今年6月から燃料サーチャージを取りやめ一律9万円とする料金改定を実施した。火葬は公共性が高く、都以外では基本的に自治体が火葬場を運営し、住民は無料から数千円程度で火葬できる。

 濵名氏は23区内の火葬の75%を東京博善が占める状況下で、業界関係者への相談もなく、都民生活に負担を及ぼす同社の運営に「独占状態のなかで経済的な追求のもとに制限なく値上げを繰り返している」と批判。東京都や23区の各自治体に「是正を求める申し入れ」を行っている一方で、「墓地埋葬法」では、墓地や火葬場を「許可する権限はあるが罰する権限がない」と述べ、法律の不備も指摘した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/11
宗門系大学サバイバル 僧侶養成と少子化の狭間で 龍谷大学編 入澤崇学長に聞く 総合大学ならではの全人的育成


学生がプレゼントしてくれたアクリルの似顔絵を持つ入澤学長 浄土真宗本願寺派の宗門校である龍谷大学(本部=京都市伏見区)は3つのキャンパスに10の学部を擁し、約2万人の学生が学ぶ。近年は「仏教SDGs」を掲げ、地球規模の問題を仏教の視点から解決するための全人的な教育にも取り組む。その原点は1639年に西本願寺の僧侶養成のために設立された「学寮」だ。現在でも多くの本願寺派僧侶はここで学んでいるが、入澤崇学長は「子弟教育という面では危機的な状況」と語る。

 「寺の子ども自身が自分の人生をどういう風に見ているか、今どういう気持ちでいるか、を考えなければならないと思います。私も寺院子弟ですが、若い頃はいかに寺を出るかということしか考えていなかった。結果として住職をやっていますが。今はお寺の子がすんなり真宗学科、仏教学科に入っている状況ではない」と見る。真宗学科の学生は寺院子弟が半分を切っているといい、打開するためには学科や専科で子弟教育や学問のあり方を問い直す必要があるとする。「寺院子弟が真宗学や仏教学に背を向けているのはどうしてか。私はずばり言って、魅力がないからだと思うのです」と厳しく分析する。

 原点を見つめる

 「僧侶になるということは仏教者として生きることですから、仏教の根本に向き合い原点を見つめることが大切」であり、ただお寺の跡を継ぐために教師資格を取り、門徒だけを相手に細々とやっていく僧侶になるだけならその人の未来も危うく、仏教界の先はないと憂慮。「お釈迦さまの時代に檀家がありましたか?命をかけて伝道に志す人たちが生きていた。私はもう一度、僧侶はその志を持たなければならないと思う」

 では、どのようなことが必要か。「龍大の場合だと、寺院子弟は政策学部や国際学部などまず自分の関心領域に行って、卒業後に大学院で真宗学や仏教学を学ぶ人、あるいは本願寺派の中央仏教学院に行ったりする人がいる。そうした、他の領域を学んでから仏教の世界に入る人をもっと増やしていきたい。社会に目を向けた人が宗門の中に入っていき、伝統教学に欠けているものを補っていく。私は伝統仏教は社会性を見失っていると思うのです」。伝統的な僧侶養成のカリキュラムは大切だが、そこにもうひと工夫の実践的、学際的な学びが必要だという考えだ。

 視点を逆にすれば、それは真宗学・仏教学を学ぶ人が他の領域に目を向ける必要性でもある。龍大には、他大学に類例のない「実践真宗学研究科」が2009年に設置され、真宗教義に基づく社会実践を研究しているが、入澤学長はむしろ真宗学・仏教学と実践との交叉は「恥ずかしながらうちの大学の遅れている部分かと思う」と意外な悩みを吐露する。

 コロナ禍の際、教職員や学生が協力して困窮する学生に食料配布の支援をしたことがあった。「その時に手伝ってくれた実践真宗学の院生がいたのですが、『こういうことを自分はやりたかったんです』と切々と訴えられました。理論のほうが中心でなかなか実践ができていないというのですね。そういう学生のニーズを捉えきれていない。コロナ禍では実践真宗学こそが立ち上がることを期待したのですが」。とはいうものの「しかしそこで学んだ学生は少数でも非常に優秀。その人たちと話をすると宗門の未来は明るいなと思います」と微笑む。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/4
曹洞宗宗議会 ホテル事業に3社名乗り 賃貸借契約の方向で交渉 能登支援 半損以上の寺院に250万円


交渉の条件についても説明した服部総長 曹洞宗の第144回通常宗議会(浅川信隆議長)が6月24~28日の5日間、東京・芝の檀信徒会館で開かれ、ホテル事業に名乗りを上げた企業3社が発表された。服部秀世宗務総長は交渉の条件として、宗務庁が入るフロアを契約対象としないことなどを盛り込むとし、「候補になる運営業者を1社に絞れれば、契約締結を見据えて交渉を進めていく」と述べた。

 候補となったのは、ホテル運営・リゾート開発のリソルホールディングス(東京・西新宿)、貸会議室大手でホテル運営も行うティーケーピー(東京・市ヶ谷)、檀信徒会館運営委員会専門部会にも加わっていたホテル再生を手掛けるシャンテ(岡山県矢掛町)の3社。大和証券を通じて決まった。ホテルの内覧会を実施するなど交渉を始めていて、企業側の質問に応じる協議会には有道会・總和会の両幹事長らも出席した。

服部総長は契約交渉の条件として、▽現在のホテル職員の雇用を継続する▽宗務庁や研修道場が入るフロアは契約の対象外とし、宗議会などに使う会議室を優先的に利用できる▽東京グランドホテルの名称を保持する▽建物のランニングコストは使用面積に応じて案分する―の4点を企業側に提示した。

 契約には賃貸と業務委託、事業譲渡のいずれかが考えられるとした上で、服部総長は賃貸の方向性で進めると主張。貸与先の企業がホテル事業を担うと説明し、「経過は逐一、議員と情報を共有しながら交渉に臨みたい」と話した。候補の3社が提案を行うプレゼンテーションが7月9日に予定されている。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/4
真言宗豊山派 新総長に川田興聖氏 今月5日に新内局発足


川田新総長 真言宗豊山派(鈴木常英宗務総長)の次期宗務 総長候補者を選出する第163次宗会臨時会(佐藤眞隆議長)が6月28日、東京都文京区の宗務所で開かれ、川田興聖氏(菩提院結衆、茨城県桜川市・雨引山楽法寺住職)を選出した。川田氏は7月5日に就任し、新内局を発足させる。

 岩脇彰信総務部長が総長候補選出の議案第一号の補足説明として「現内局の意思を継続発展させ、真言宗豊山派を輝ける宗団に導くことができる素晴らしい候補者を選出いただきたい」と要請した。議案は全宗会議員から成る特別委員会(平手徳彦委員長/愛知・安楽寺)に付託されて審議。その後、本会議が再開され、平手委員長が「川田興聖氏が全員一致で選出された」と報告した。

 青木博芳議員(埼玉三号・金仙寺)が推薦の演説を行い、大きな転換期を迎える現状にあって「宗政の先頭に立って重責を担われる宗務総長には学徳兼備にして識見豊かなる川田興聖僧正が最適任だと存じます」と支持。宗団の充実した基盤作りと活性化、災害対策や危機管理、教化宗団として布教教化の推進、子弟教育の充実と後継者育成、宗派財政の安定確立、総本山長谷寺の護持整備等の推進等々の課題をあげたうえで「川田総長によって構成される内局であれば、必ずや随時適正な決断と果敢な行動力で推進されるものと確信します。宗会をあげて支援協力する」と期待感を示した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/4
日本仏教看護・ビハーラ学会 設立発起人が20年を振り返る ビハーラはどこでも可能


田宮氏㊨と藤腹氏。左は司会の郷堀ヨゼフ氏 日本仏教看護・ビハーラ学会は6月22・23日に京都市の龍谷大学大宮学舎で第20回年次大会を開催した。周年大会ということでテーマは「ビハーラの原点に返って未来へ」。初日には設立時の発起人代表である田宮仁氏がこれまでを振り返る講演を行い、同じく発起人代表の藤腹明子氏と未来を展望する対談をした。

 田宮氏は1981年に「浄土教思想にみる末期患者ケア」と題した発表を日本社会福祉学会で行った。実はこの頃は仏教界は看取りの問題にはほとんど関心を示していなかったと回顧。「仏教系のある学会でビハーラケアについて発表しようとしたら『うちには馴染まない』と拒否されたので、当時は何でもありだった日本社会福祉学会で発表した」と打ち明けた。その翌年に看護師だった藤腹氏と出会い、以後、二人三脚で仏教看護やビハーラの啓蒙に邁進。85年に「ビハーラ」の概念を提唱し、2004年に仏教看護・ビハーラ学会を設立。その後、日本仏教看護・ビハーラ学会と名前を変えて今に至る。

 田宮氏は仏教看護とビハーラの関係は並列的なものではないと改めて整理。仏教看護とは仏教を元にした看護論であり、その中の一つとしてビハーラという「看取りの場」でのケア(ビハーラケア)があるとした。「それはビハーラ病棟でなければやれない代物ではなく、どこででもやれるものだ」とし、一般病院や自宅での看取りへのビハーラケアの応用を示唆した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/7/4
善通寺派臨宗 上原雅明新総長を承認 賛否同数 議長が判断


所信表明する上原総長 真言宗善通寺派の第123次・124次臨時宗会(生駒琢一議長)が6月27日午後、香川県善通寺市の総本山善通寺内宗務庁に招集された。菅智潤管長(善通寺法主)は、2期目の任期(4年間)の半ばで5月15日に宗務総長(善通寺執行長)を辞任した齋藤弘道氏(68)の後任に、上原雅明氏(68・京都市山科区小野御霊町・大乗院住職)を指名。採決の結果、全議員13人中賛成7・反対6となり、過半数による承認となった。任期は前任者の残任期間で令和8年3月まで。

 内局総辞職による新総長承認の議案は第123次臨宗で審議され、菅管長が上原氏の推薦理由を説明。平成25年から善通寺責任役員を務めるなどした経験と幼児教育分野での実績を挙げた上で、「いろいろと困難な状態にある善通寺と善通寺派を導いていただけると期待している」と紹介した。

 1度目の採決では賛成5・反対6・保留1で、賛否共に過半数に至らず。議場に緊張が走ったが、報道陣退席の場での協議に入り賛否同数に。議事が再開され、最後の1票を持つ議長の賛成で承認となった。議長判断にまで賛否が拮抗するのは極めて異例という。

 上原総長は直ちに組局。久保田法修総務部長(53)と長谷川恵淳教学部長(49)を再任し、新たに安藤誠啓財務部長(52)を加えた。安藤財務部長は引き続き、善通寺の広報・信徒主任も兼ねる。(続きは紙面でご覧ください)

2024/6/27
全日本仏教会 新理事長に池田行信氏(本願寺派) 第36期執行部 取り組み課題多く 事務総長は和田学英氏(曹洞宗)


池田理事長和田事務総長 (公財)全日本仏教会(全日仏)は19日、京都市内で理事会を開き、第36期理事長に浄土真宗本願寺派前総長の池田行信氏(71)を選出した。事務総長には全日仏元財務部長で曹洞宗の和田学英氏(58)が就任した。任期は2年。新執行部は、能登半島復興のほか、来年9月に開催される第47回全日本仏教徒会議大阪大会(大阪府佛教会主催)や来年10月までに行われる衆院選への対応が迫られる。また前期答申に対する具体化も課題となりそうだ。

 全日仏は世界仏教徒日本連盟(WFB日本センター)と仏教連合会が昭和29年(1954)6月25日に合同して設立された。「全日本仏教会」の名付け親は友松円諦とされる。3年後の昭和32年(1957)8月23日に財団法人として認可された。今年は設立から70周年にあたるが、全日仏は30周年以降、財団法人化年を軸に周年行事を企画・実施している。

 その財団創立70周年は3年後の2027年となるが、翌年にはWFB日本大会を受け入れる可能性が高い。2月の理事会で「法人創立周年記念事業計画基本規程」および「法人創立70周年記念事業実行委員会内規」がそれぞれ承認されており、今執行部によって70周年事業が具体化されるとみられる。

 前期(第35期)答申では、大蔵経運営事業支援を「大蔵経事業」と位置付けて、公益目的事業として推進するべきとしており、事業体制の構築も必要となる。

 さらに第33期で諮問された「死刑廃止」について、答申では「仏教の教義と死刑は相いれないことは明白である」としつつ、犯罪被害者への支援にも取り組むべきだとした。続く第34期答申でも犯罪被害者支援に言及。さらに第35期では諮問項目に「死刑及び犯罪被害者支援」と明記。犯罪被害者支援についても今執行部の取り組み課題となる。

 【第36期理事長・事務総長略歴】
 池田行信(いけだ・ぎょうしん)理事長/昭和28年(1953)5月生まれ。2006年から2年間(第27期)全日仏事務総長を務め、財団創立50周年事業を推進した。2005年4月から本願寺派宗会議員。現在5期目。2023年5月31日から今年3月27日まで本願寺派総長。自坊は栃木県那珂川町の慈眼寺。

 和田学英(わだ・がくえい)事務総長/昭和40年(1965)10月生まれ。曹洞宗からの出向として2016年全日仏財務部長(第32期)、2019年同社会・人権部長(第33期)を歴任。自坊は神奈川県川崎市の大乘院。


 4宗派体制と淵源
 
 今期も慣例によって負担金の大きい曹洞宗・本願寺派・大谷派・浄土宗の上位4宗派体制が維持された。事務総局は加盟団体のうち上位10宗派からの出向だが(ほかに職員2名)、4宗派以外から理事長・事務総長は選出されていない。定款では「理事長は、理事会の決議によって理事の中から選定する」と規定しているのみで宗派を特定してはいない。近年、加盟団体の中からこの体制に風穴を開けようとする動きがあるが、進展していない。会長は10宗派に広げられている。

 昨年秋、『岩波仏教辞典第3版』に「全日本仏教会」の項目が設けられた。それによると明治45年(1912)に設立された仏教各宗派懇話会が後の仏教連合会などとなり、現在の全日仏だとしている。他方、全日仏HPでは「1900(明治33)年、国家の宗教統制に反対して結成された『仏教懇話会』に淵源を持ち―」としている。正しいのは辞典か全日仏か。近代仏教史研究の進展もあり、全日仏として主体的な歴史検証が迫られそうだ。

2024/6/27
WCRP日本委 新会長に杉谷義純氏 庭野氏退任「印象深いのは小泉首相参加の第8回京都大会」


握手を交わす新旧の会長(公財)世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は19日、京都市の立正佼成会京都教会で第28回評議員会を開催した。退任の意向を示していた庭野日鑛会長が後任に杉谷義純氏を推薦、三宅光雄評議員も同様に杉谷氏を推し、満場一致で杉谷氏の就任に同意。「つなぎとしてしばらくお手伝いを務めさせていただく」と受諾した。会長は評議員会議長を兼ねる。任期は4年。

 評議員会終了後に庭野前会長、杉谷新会長、戸松義晴理事長、篠原祥哲事務局長が記者会見に臨んだ。庭野前会長(立正佼成会会長)は「杉谷先生は豊かな見識と判断力をお持ちで、理事会や評議員会の運営でも常に中心的な働きをしている。国際的な諸宗教対話でもリーダーシップを発揮しており、杉谷先生ほど適任な方はない」と評価。杉谷会長・戸松理事長の新体制で日本委が再出発することを喜び、「諸宗教者の活動で思いやりの溢れる社会、調和のある世界が実現することを心から願っています」と挨拶した。

 杉谷新会長(天台宗妙法院門跡門主)は「庭野先生のリーダーシップがあったからこそ私も務めさせていただけた」と謝意を示した。現代の宗教界には「(仏や神の)正しい教えを受け止める人の考えが本当に正しいか、という問題が横たわっている」とし、教えの受け止め方に常に疑問を持ち、本当にこれでいいのかと考え続けなければ「場合によっては誤った解釈を説き、実践してしまうかもしれない」。これが戦争などになることを危惧した上で、自己を絶対視するのではなく、他者から学び反省してさまざまな問題に取り組んでいく諸宗教対話の必要性を呼びかけた。(続きは紙面でご覧ください)

2024/6/27
総本山長谷寺 第89世 川俣海淳化主が入山 85年ぶりに地元奈良から誕生


輿に乗って参道を練り歩く川俣化主 奈良県桜井市の真言宗豊山派総本山長谷寺で15日、川俣海淳・第89世化主(豊山派第35世管長)の入山式が執り行われた。85年ぶりに奈良県宗務支所から推戴された川俣化主は「御加護が遍く照らされるよう祈る」と決意を新たにした。宗派・本山要職者、檀信徒ら300人が参列した。

 晴天の下、門前町の老舗旅館井谷屋前で輿に乗った川俣化主のお練り行列が出発。華やかな衣装をまとった稚児50人、宗内僧侶、檀信徒らが参道を練り歩いた。川俣化主は多くの参拝者や観光客が見守るなか、長谷寺の登廊をゆっくりと進み、本堂外舞台に到着。子どもたち一人ひとりに稚児加持を授けた後に、本堂に入堂し、本尊十一面観世音菩薩の宝前に入山を奉告した。法要後に挨拶した川俣貫主は長谷観音と宗祖弘法大師が共に「衆生を救済し、寄り添い、常に信仰尊崇の対象であり続けた」とし、「これからも多くの皆様方に御加護が遍く照らされますよう、祈らねばならぬと、思いを新たにしました」と決意を述べた。

 大講堂に移動して入山式典を挙行。2日前の退山式で浅井侃雄前化主から託された「歴代化主系譜」が川俣化主に継承された。垂示で国宝重要文化財の伽藍修復の大事業に「一丸となって事業推進に取り組んでゆかねばなりません」と述べたうえ、社会の混迷と人心の不安に対して「本尊十一面観世音菩薩の大慈悲をもって我らが照らされんことを日々祈り続けてまいります」と表明した。(続きは紙面でご覧ください)

2024/6/27
国際仏教興隆協会 印度山日本寺50周年祝う 菩提樹学園45周年 光明施療院40周年 成道の聖地で社会活動実践

 
中村理事長から功労表彰を受けた大工原氏㊨ 釈尊成道の聖地であるインド・ブッダガヤで様々な公益活動を展開している(公財)国際仏教興隆協会(事務局=東京都目黒区)の印度山日本寺開山50周年・菩提樹学園創立45周年・光明施療院開院40周年を祝う記念式典が18日、京都市内のホテルで開かれた。昨年12月の現地祝典に続き、仏教界内外から220人が参加した。

 開式にあたり全員で三帰依文を唱和し、世界の紛争地や能登半島地震の被災地に想いを寄せながら1分間の黙祷。同協会の中村康雅理事長(浄土宗大樹寺貫主)は、超宗派で釈尊成道の聖地に建立した印度山日本寺の50年の歩みを振り返りつつ、「お釈迦様が悟りを開かれたブッダガヤで世界の平和と人々の安穏を願って活動してきたが、賛同し支えてくださる多くの方々のおかげで歴史を繋いでくることができた」と謝辞を述べ、「一層のご助力を」と要請した。

 印度山日本寺の北河原公敬第6世竺主(華厳宗大本山東大寺長老)は、日本寺の落慶法要に出仕した50年前の思い出を披露。「初めてのインドで緊張し興奮した。法要後には毎日施食があり、揚げたお菓子を参拝者に配っていたが、大勢の地元の人たちが我先にと来た」状況を振り返った上で、「インドも随分変わった。日本から宗派を超えて若い僧侶に(交代で)半年~2年間駐在してもらっている。ぜひ皆様の関係で駐在僧のご推薦をいただきたい」と呼びかけた。(続きは紙面でご覧ください)

2024/6/20
真言宗豊山派総本山長谷寺 初のイギリス出開帳 ノーフォーク州都ノリッジ 16メートル超の観音大画軸を荘厳 図書館や教会で声明公演


ノリッジ中心部の図書館に掲げられた大画軸の前で声明公演を行った(長谷寺提供)  真言宗豊山派総本山長谷寺(奈良県桜井市)は5月21から25日までイギリス東部ノーフォークの州都ノリッジで声明公演とご本尊十一面観世音菩薩の御影大画軸の出開帳を行った。長谷寺初のイギリス出開帳で、仏教のゴスペルともよばれる声明の荘厳な響きと、日本仏教で培われてきた観音信仰の一端を伝えた。

 日本の芸術文化に関する知識と理解を促進するセインズベリー日本藝術研究所(SISJAC/サイモン・ケイナー所長)の招聘を受け、豊山派声明を研鑽する迦陵頻伽声明研究会の沼尻憲尚氏を団長に同会メンバーら12人が渡英した。

 今年設立25周年を迎えたSISJACは「奈良からノリッジへ」をテーマに、アジアとヨーロッパの端にある両都市に広がった芸術と信仰に関する研究や展示会を開催しており、声明公演もその一環として企画された。

 会場となったのはノリッジの中心部に位置する図書館で、高さ16㍍超の長谷寺観音の御影大画軸が掲げられた。大画軸を前に21日から5日間、6回の声明公演を行い、多くの市民が荘厳な調べに聞き入った。最後の声明公演後に沼尻団長が「私たちの心は一つになれる」と英語でメッセージを送ると、会場が拍手に包まれた。

セント・ピーター・マンクロフト教会での声明公演(長谷寺提供) 市の中心部にある聖ピーター・マンクロフト教会ではカリフォルニア大学サンタバーバラ校の日本宗教学のファビオ・ランベッリ教授も参加し、地元の教会の聖歌隊とワークショップも実施。西洋音楽とは全く異なる声明の譜面に関心が集まり、譜面を見ながら一節を披露する一幕もあった。

 夜には教会で声明と聖火のパフォーマンスが行われ、200人の聴衆が相互理解と尊敬を深め、「感動的な夜だった」との声が寄せられた。

 期間中には地元テレビ局の取材を受けたほか、ノリッジの市役所や市議会を表敬訪問。SISJACの25周年のシンポジウムに際して声明のデモンストレーションを行うなど、両国、両都市の交流を深めた。

 長谷寺教務部の瀧口光記氏は「文化の違いはあっても、尊崇の対象であることを感じ取ってくれて、礼をしたり、手を合わせる姿を目の当たりにしました。他文化を尊重する度量の深さも感じました」と話した。

2024/6/20
曹洞宗 祖院に5千万円支援 服部総長、目録手渡す


 能登半島地震で大きな被害を受けた大本山總持寺祖院に対し、曹洞宗は5千万円の支援を決めた。服部秀世宗務総長が6日、石川県輪島市の祖院を訪れ、髙島弘成副監院に目録を手渡した。

 被災地のために宗門が募っている「曹洞宗義援金」から拠出した。出席できなかった関口道潤監院の代わりに目録を受け取った髙島副監院は「多大な支援をいただき、大変ありがたい」と述べ、「門前町あってのお寺。町とともに一歩を踏み出す力にしたい」と話した。

 大本山總持寺(横浜市鶴見区)の渡辺啓司監院も「力強い支援を頂戴した。大変ありがたい。地域の力になれるよう復興へ進んでいきたい」と感謝の言葉を述べた。

 曹洞宗はまた、能登半島地震で被災した寺院に対し、これまでに寄せられた曹洞宗義援金と瑩山禅師700回大遠忌本法要で縮約した法定聚会予算の残金を被害の程度に応じて分配する。

 祖院は2007年の能登半島地震で大きな被害を受けた。14年かけ修復し、2021年に復興を遂げたが、今年元日の地震で再び被災。国の登録有形文化財17棟を含む伽藍全体に被害が及んだ。

 専門家の調査のもと応急工事を実施し、安全確保に努めている。2月中旬以降、全国各地から青年僧や祖院の修行経験者らが駆け付けて片付けが進められた。今月には門前町の住民たちも境内の草刈りを手伝うなどし、復旧に協力している。

 修行生活を取り戻すため、僧堂の修理費を募るクラウドファンディングを6月29日まで実施中で、復興への努力を続けている。断水が続いていた水道も5月下旬に復旧し、6月15日から境内の一部拝観を再開。当面は午前9時~午後3時まで無料で一般参拝者を受け入れる。

2024/6/20
総本山教王護国寺 東寺長者に橋本尚信氏


橋本次期長者 真言宗総本山教王護国寺(京都市南区・東寺)は13日、第258世長者(東寺住職)・東寺真言宗第4世管長に宗務総長や修行機関・東寺伝法学院の学院長などを歴任した橋本尚信氏(75)が就任すると発表した。入山式を弘法市の7月21日午前9時から営む。任期は同日から4年間。晋山式は10月25日の予定。

 橋本氏は、神奈川県小田原市飯田岡・福田寺住職。昭和23年(1948)6月22日同市生まれ。高野山大学、高野山専修学院卒業。県内の真言宗寺院が設立母体の明倫学園(現横浜清風高校)に教諭として奉職。平成4年から5期15年間庶務部長、平成19年から令和元年までの4期12年間にわたって宗務総長を務め、宗団の礎を築いた。平成26年から10年間、東寺伝法学院長として後継者を育成。地元では令和4年まで39年間、民生委員として活動。

 東寺真言宗は真言宗東寺派と袂を分かち、昭和49年11月に発足。「(宗団発足から)50年のうちの約35年、総本山に上がらせていただいた」と話す橋本氏は今年2月の宗団発足50周年記念祝賀会での挨拶の中で、「私は昭和47年に住職になった。まだ東寺派だった。その当時のことを鮮明に覚えている」と回想。「東寺派のことが気にかかる」と述べ、東寺派との〝統一〟に向けた「雪解け」の機運を醸成しつつある現内局(吉村増亮宗務総長)に「何とか良い形にならないのか」と期待する一幕もあった。

2024/6/20
大正大学「鴨台祭」 阿弥陀の世界へ、いざ! 学生出仕し浄土宗850年法要も


学生が出仕して営まれた浄土宗開宗850年法要 東京都豊島区の大正大学(神達知純学長)で8・9日、学園祭「鴨台祭」が行われた。仏教学科の学生が浄土宗開宗850年を記念して「阿弥陀の世界へ、いざ!」と題してお砂踏み、坊主カフェ等を企画。浄土宗僧侶を目指す学生が出仕した慶讃法要も営まれた。

 8号館(総合学修支援施設)図書館では、多くの来場者が見守るなか、〝浄土宗僧侶の卵〟が出仕し、林田康順教授が導師を務めて浄土宗開宗850年慶讃法要を厳修。850年前に「誰もが救われる仏教の教え」を広めようと浄土宗を開宗した法然上人を讃え、「一枚起請文」「開宗の御文」を読誦、清々しい念仏の声を会場に響かせた。

 挨拶に立った林田教授は「法然上人は、我が名を呼べば必ずあなたをお守りするぞ、いのちを終えた時には我が浄土に迎えるぞという阿弥陀様の思いを受け止め、念仏の教えを伝え広めていただいた」と説き、「お念仏は誰にでも出来る修行。皆様と共々にお念仏をたくさん唱えられたことをとても喜んでおります」と、来場者と法要に臨んだ学生に感謝した。

法然上人の手形に手を合わせる来場者 この日の法要のために大本山黒谷金戒光明寺(京都)から同寺が所蔵する「一枚起請文」の複製と法然上人の両手形のプレートを借用し、来場者が法然上人の手型に両手を合わせて結縁。法然上人ご真筆を写し取った名号を記したオリジナル御朱印と「カイシュウ850×ハイチュウ」が記念品として贈られた。

 仏教学科の展示では浄土宗開宗850年を記念して総大本山を巡る「お砂踏み」を企画。学生が光明寺や増上寺のお砂を集めるなどして準備し、お砂踏みを終えた参拝者には御朱印を授与した。坊主カフェやバザーも開き、真言宗豊山派総本山長谷寺の本尊御影大画軸の縮小版レプリカも展示された。

 仏教学科長の石川琢道教授は「我々が思う以上に、仏教に触れたいという思いが強いことを改めて実感しました。学生たちも僧侶になりたい、仏教を勉強して広めていこうという思いが強いので、学園祭はとても有り難い機会です」と話した。

2024/6/13

大谷派宗議会 宗派史上最大級の被災 能登復興支援を拡充


施政方針を述べる木越総長 真宗大谷派の第75回宗議会(常会・望月慶子議長)が5月30日、京都市下京区の宗務所で始まった。木越渉宗務総長は施政方針演説で、能登半島地震の復興支援について「寺院やご門徒の密集度合からして、宗派にとって史上最大級の被災であると認識している」と表明。「宗門としてできること、仏教的・大乗的支援を形作ってまいりたい」と述べた。能登地震救援金の5月28日現在の勧募状況は、1億9507万5190円。

 2022年度の経常費御依頼(宗費)の収納は、総額54億2906万8995円(108・9%)。2019年度に始まった宗祖親鸞聖人御誕生立教開宗慶讃懇志金(4カ年度)では、総御依頼額29億円に対し、収納額は30億9398万8561円(106・6%)になった。今年度の経常費御依頼の5月28日現在の収納額は49億7580万3801円(99%)。

 2022年度一般会計決算では、経常部・臨時部を合わせた歳入額は82億4102万円(予算比106・8%)。長峯顕教財務長は、「19年度より感染症拡大の甚大な影響を受けたことによる収納減が数値として顕著に表れていたが、21年度以降の復調傾向に加え、大谷祖廟においては納骨志の収入が感染症拡大前を上回る収納となり、相続講金も予算を大幅に超える収納を賜った」と説明した。

 最終年度に当たる御誕生・立教開宗慶讃事業特別会計の剰余金4億6499万円を宗務改革推進資金に繰り入れる。

 2024年度の一般会計予算総額は経常部・臨時部計87億1390万円(前年度予算比4億1770万円増)。

 能登半島地震災害復興支援費3千万円、能登教区への広域災害被災教区特別教化助成1400万円の新設を含めて、災害見舞費を増額。被災地域から参加の青少年研修関連の上山補助、被災地の寺院教化支援の予算を編成した。同教区への宗派経常費御依頼の大幅減額を講じ、全国から寄せられた災害救援金と合わせて、約3億4千万円規模の復興支援策に取り組む。

2024/6/13

WCRP理事会 来月9日、広島でAI国際会合 AIの核利用を警告へ


 
 (公財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(戸松義晴理事長)は4日、東京・代々木の神社本庁会議室でオンラインを併用して第48回理事会を開催。来月9日に迫った「平和のためのAI倫理国際会合」の概要が報告され、ユダヤ教、カトリック、イスラームの主催団体枠のほかアジア宗教者枠として中国佛教協会の演覚会長、韓国KCRPのチェ・ジョンス代表会長(儒教)、WFB世界仏教徒連盟のパロップ・タイアリー会長(タイ)らが参加すると発表した。

 2020年2月、ローマ教皇庁生命アカデミーは、マイクロソフト、IBM、国連食糧農業機関(FAO)、イタリア政府と共に、EU議会議長出席のもと、ローマで「AI(人工知能)に対する呼びかけ」に署名。AIに対する倫理的なアプローチを育成し、組織・政府・多国籍テクノロジー企業の間で責任を促進させ、他方でデジタル革新と技術進歩が、人間の尊厳を維持・尊重しながら人間の才能と創造性に役立ち、単なる高利益や人間の段階的な代替をめざさない未来を形成することを目的としている。

 2023年1月には、ユダヤ・キリスト・イスラームの3つの「アブラハムの宗教」指導者が同文書に署名。次いで東洋の宗教指導者による参画を目的として開かれるのが広島での「AI倫理のための国際会合」である。 広島会合は、9日午前9時に始まり、夕方までに「科学の知見」「テクノロジーの知見」「宗教の知見」の3つのセッションを行う。翌10日には平和記念公園で署名式。開催地を意識して「核兵器廃絶を目指し、AI技術が核兵器に利用されないことへの警告」を発する場ともなる。 

 今回の広島会合の主催団体は、WCRP日本委員会、教皇庁アカデミー、アブダビ平和フォーラム、イスラエル首席ラビ委員会の4団体。